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材料試験の後に撮った試験片の破断面の写真から、延性・脆性・疲労の破壊形態の候補と特徴を見分けて試験記録の所見欄の下書きにし、専門家の確認が要るものを示す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

材料試験の後に撮った試験片の破断面の写真から、延性・脆性・疲労の破壊形態の候補と、ディンプルやビーチマークなどの特徴を見分けて、試験記録の所見欄の下書きにします。試験条件から期待される形態と違うものは、専門家の確認に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
その他/建設/製造
対象部門
品質管理/研究開発
対象業務
分類・仕分け/記録・議事録作成
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
画像認識
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
120h/月
AI導入後
48h/月
想定削減
60%
年間削減
864h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 試験が終わった試験片の破断面を、デジタルマイクロスコープで撮る
  2. 写真を試験番号のフォルダに保存する
  3. 写真を見て、破面の色、シアリップ、模様、起点の位置を確かめる
  4. 試験記録の所見欄に、破壊形態と特徴を書く
  5. 判断に迷うものは、専門家に試験片と写真を見せて相談する
  6. 専門家は必要に応じて走査電子顕微鏡での観察を指示する
  7. 試験記録を確定し、受入れの判定や開発の報告に使う
導入後(After)
  1. 人試験が終わった試験片の破断面を撮り、試験番号のフォルダに保存する(これまでと同じ)
  2. 自動定時に処理が動き、新しい写真と、試験記録の試験条件を読む
  3. 自動写真の質(ピント、明るさ、破断面の全体が入っているか)を確かめる
  4. 自動破面の特徴を位置付きで返し、特徴から破壊形態の候補を返す
  5. 自動試験条件から期待される形態と候補を規則で照らし、専門家の確認が要るものに印を付ける
  6. 自動所見欄の下書きを、決まった書き方で試験記録の下書きの列に書く
  7. 人試験の担当が写真と下書きを並べて確かめ、直して所見欄に確定する
  8. 人印の付いた試験片は、専門家が写真と下書きを見て、走査電子顕微鏡での観察の要否を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 試験が終わった試験片の破断面を、デジタルマイクロスコープで撮る
  2. 写真を試験番号のフォルダに保存する
  3. 写真を見て、破面の色、シアリップ、模様、起点の位置を確かめる
  4. 試験記録の所見欄に、破壊形態と特徴を書く
  5. 判断に迷うものは、専門家に試験片と写真を見せて相談する
  6. 専門家は必要に応じて走査電子顕微鏡での観察を指示する
  7. 試験記録を確定し、受入れの判定や開発の報告に使う

(a)所見の書き方がそろわない。 同じ延性の破面でも、「延性」「延性破壊(カップアンドコーン)」「ディンプル状と思われる」と、担当者ごとに書き方が違います。過去の記録を後から検索しても、同じ形態の試験片がまとまりません。

(b)相談が専門家に集まる。 5番目の相談は、担当者の経験が浅いほど増えます。専門家は自分の仕事の合間に試験片を見ることになり、相談の待ちが試験記録の確定を遅らせます。 逆に、遠慮して相談しないと、見るべき試験片が「延性」とだけ書かれて流れます。

(c)見るべき試験片が埋もれる。 受入れの試験で、いつもは延性の材料が一部だけ脆性的に割れていた、疲労試験で起点が表面ではなく内部にあった。こうした試験片は、材料のロットの異常や介在物の手がかりですが、月480本の中に数本しかありません。 所見の欄に書かれていても、誰かが気づかなければ次に進みません。

  1. 【人】 試験が終わった試験片の破断面を撮り、試験番号のフォルダに保存する(これまでと同じ)
  2. 【自動】 定時に処理が動き、新しい写真と、試験記録の試験条件を読む
  3. 【自動】 写真の質(ピント、明るさ、破断面の全体が入っているか)を確かめる
  4. 【自動】 破面の特徴を位置付きで返し、特徴から破壊形態の候補を返す
  5. 【自動】 試験条件から期待される形態と候補を規則で照らし、専門家の確認が要るものに印を付ける
  6. 【自動】 所見欄の下書きを、決まった書き方で試験記録の下書きの列に書く
  7. 【人】 試験の担当が写真と下書きを並べて確かめ、直して所見欄に確定する
  8. 【人】 印の付いた試験片は、専門家が写真と下書きを見て、走査電子顕微鏡での観察の要否を決める

7番目と8番目で、確認の担当を分けています。 期待どおりの候補が出た試験片は、試験の担当が確かめて確定します。専門家が見るのは、印の付いたものだけです。 全件を専門家に回すと、ベテランへの集中が下書きの確認に変わるだけです。

5番目を規則で決めているのも、意図してのことです。 「室温の引張試験で延性が期待される」のような期待は、材料と試験の種類で決まる社内の取り決めで、AIの判断ではありません。 期待と候補が違うことを事実として拾い、確認に回すかを規則で決めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
デジタルマイクロスコープ ── 破断面の写真(全体1枚+拡大数枚)
   ▼ 試験番号のフォルダに保存
【トリガー】定時の実行(1時間ごと)
Python ── 新しい写真と試験条件の読み込み、写真の形式と大きさの確認
   ▼
Gemini API ── ①写真の質の確認(ピント・明るさ・全体が入っているか)
   ▼
Gemini API ── ②破面の特徴(位置の枠つき)と破壊形態の候補
   │   社内の標準写真(形態ごとの見本)を一緒に渡す
   ▼
Python ── 期待される形態との照合(規則)、所見欄の下書き
   ▼
試験記録(下書きの列)
   ▼
【試験の担当が確認】──▶ 印の付いたもの ──▶【専門家が確認】
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(写真の質の確認、破面の特徴と破壊形態の候補、所見の下書き)Claude API、OpenAI API
連携Python(定時の実行、試験記録の読み書き、期待される形態との照合)Google Apps Script
保管共有フォルダ(破断面の写真、標準写真)既存の試験データの管理システム

試験記録と共有フォルダは、新しく足すものではありません。 試験記録の表に「所見の下書き」「破壊形態の候補」「確認の印」の列を足し、確定の所見欄にはこのプログラムから書き込みません。

判定の土台は Gemini API の画像理解です。 対応する形式は PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF です。マイクロスコープが TIFF で保存する場合は、変換してから渡します。物体の検出では、位置を [ymin, xmin, ymax, xmax] の形で、0から1000に正規化した座標で返します。シアリップの範囲、ビーチマーク、起点の候補の位置を枠で返させ、担当者は写真に重ねた枠で確かめます。画像をリクエストに直接入れる場合は、指示と合わせたリクエスト全体が20MBまでです。

破断面の写真は細かさが要ります。 Gemini 3 のモデルでは、画像1枚に割り当てるトークンを media_resolution で low(280)、medium(560)、high(1120)、ultra_high(2240)から選べ、公式のページは画像の分析には high を勧めています。 ultra_high は画像ごとの指定に限られます。ビーチマークの細い縞や放射状の模様を見る拡大の写真は細かくし、全体の写真は high にします。

構造化出力は、いまの公式ページでは Interactions の書き方です。 /v1beta/interactions に、response_format として mime_type に application/json と schema を渡します。スキーマには enum、required、additionalProperties などが使えますが、すべての JSON Schema の機能に対応しているわけではなく、大きすぎる・深すぎるスキーマは拒否されることがあるとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

1時間ごとの定時の実行を起点にします。 試験の担当は、試験が終わるたびに写真を試験番号のフォルダに保存します。プログラムは定時に共有フォルダを見て、下書きの列がまだ空の試験番号で、写真がそろったものを拾います。

写真がそろったかは、全体の写真があるかで決めます。 撮影の手順で、破断面の全体を1枚目に撮ると決め、ファイル名の末尾を「_all」とします。全体の写真が無いまま拡大の写真だけで所見を作ると、起点の位置やシアリップの割合が分からず、所見が拡大した部分だけの話になります。

疲労試験の試験片は、試験が終わった時点で1回だけ動かします。 疲労試験は数日から数週間続くので、途中で破断面を撮ることはありません。破断した日に写真が保存されれば、その日のうちに下書きができます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
破断面の写真全体の写真1枚と拡大の写真数枚。倍率、撮った人共有フォルダ(試験番号ごと)
試験条件試験の種類(引張・衝撃・疲労)、材料の種類と熱処理、試験の温度、疲労なら荷重の条件試験記録
標準写真形態ごとの社内の見本(延性・脆性・疲労・判断の難しい例)と、その所見共有フォルダ(専門家が選んだもの)
期待される形態の表試験の種類・材料・温度の組み合わせごとに、期待される破壊形態専門家が作る表
特徴の用語集所見に使う言葉と、その見え方の説明専門家が作る表

質を決めるのは、下の3つです。 標準写真が無ければ、AIは一般的な教科書の見え方で判断し、自社の材料と撮り方での見え方とずれます。 期待される形態の表が無ければ、確認に回すものを決められません。用語集が無ければ、所見の書き方がそろいません。

標準写真は、形態ごとに数枚に絞ります。 延性、脆性、疲労、それぞれの典型と、専門家が「これは間違えやすい」と考える例を選び、その試験片で専門家が書いた所見を添えます。渡す枚数を増やすほど、1回の呼び出しが大きくなります。

試験条件のうち、AIに渡すのは試験の種類と温度までです。 期待される形態の表はAIに渡しません。期待を見せると、AIは期待に寄せた候補を返しがちで、期待と違うものを拾う仕組みが働かなくなります。 期待との照合は、AIの結果が出た後に規則で行います。

Step3

データの取得方法を決める

共有フォルダの試験番号ごとのフォルダから写真を読み、試験記録の表から試験番号で試験条件を引きます。

取るものどこから何に使うか
写真試験番号のフォルダ写真の質の確認、破面の特徴と候補
試験の種類と温度試験記録AIへの手がかり
材料と熱処理試験記録期待される形態の照合(規則)
標準写真と所見標準写真のフォルダAIへの見本
期待される形態期待される形態の表確認に回すかの規則

倍率は、写真と一緒に必ず残します。 マイクロスコープの写真には倍率と目盛りを焼き込むか、ファイル名に入れます。倍率が分からないと、模様の細かさを見誤ります。 倍率はAIに渡す文にも入れます。

API キーは、プログラムの設定に直接書かず、秘密の情報を置く場所から読みます。 開発中の材料の写真を扱うためです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF のいずれかであることを確かめ、TIFF は変換します
  2. 大きさの確認 … 標準写真と合わせて、リクエスト全体で20MBに収まるように縮めます。拡大の写真は縮めすぎないようにします
  3. 全体の写真の確認 … 「_all」の写真が無ければ、処理せず担当者に知らせます
  4. 倍率の読み取り … ファイル名か焼き込みの目盛りから倍率を取り、文に入れます
  5. 写真の質の確認 … ピントが合っているか、反射で白く飛んでいないか、破断面の全体が入っているかを Gemini API に先に確かめさせます

5番目を、特徴の観察と分けて先に行います。 破断面は金属の面なので、照明の当て方で強く反射します。白く飛んだ部分は、脆性破壊の「銀白色の反射」と区別がつきません。 質の確認で unusable とされた写真は観察に渡さず、撮り直しを担当者に返します。

照明の条件はそろえます。 同じマイクロスコープで、照明の向きと明るさを試験の種類ごとに決めておくと、写真ごとの見え方の違いが材料の違いだけになります。 これはAIのためというより、人が見比べるためにも効きます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、破断面に見える特徴を位置付きで記録し、その特徴から破壊形態の候補を返すことです。 技術資料の表に沿って、マクロで見える特徴を用語集の言葉で返させます。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
面の色と光沢鈍い灰白色か、銀白色の反射か照明の反射と区別がつかなければ uncertain
シアリップ縁にせん断の唇状の部分があるか、全体に対するおおよその割合縁が写っていなければ not_visible
模様放射状の模様、山形の模様、貝殻状の模様(ビーチマーク)があるか模様か傷か区別がつかなければ uncertain
起点の候補模様が集まる位置が表面か内部か模様が無ければ not_assessable
変形破断の前に絞れた跡(ネッキング)が見えるか側面が写っていなければ not_visible
破壊形態の候補上の特徴から、延性・脆性・疲労・判断できない、のどれか特徴が足りなければ undetermined

右端の列がいちばん大事です。 写真で見えなかった特徴を「無い」とすると、候補の根拠が崩れます。not_visible と uncertain を設け、見えたものだけで候補を出させます。

候補には、根拠にした特徴の番号を付けさせます。 「疲労の候補:特徴2(貝殻状の模様)と特徴3(起点の候補が表面)から」のように返させると、専門家は根拠の特徴を写真の枠で確かめるだけで、候補の妥当さを判断できます。

させないこと理由
破壊形態の確定マクロの観察だけでは特定できない。専門家と走査電子顕微鏡で決める
破壊の原因の推定(介在物、熱処理の不良など)材質の分析と製造の記録が要る
試験の合否の判定規格と社内の基準で、数値から決まる
環境による破壊(水素脆性・応力腐食割れ)の断定特徴が似る形態が多く、使用の環境の情報が要る
ミクロの特徴(ストライエーション・ディンプル)の断定マクロの写真では見えない。SEMの写真があるときだけ候補に挙げる

最後の行が、いちばん起きやすい失敗です。 「延性破壊」と聞くと、AIは教科書の知識から「ディンプルが見られる」と書きがちです。ディンプルは走査電子顕微鏡で見るミクロの特徴で、マイクロスコープの写真には写りません。 書かれていない特徴が所見に入ると、後で記録を読む人が観察したものと思い込みます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは材料試験室で、試験片の破断面の写真から所見の下書きを書く担当です。
渡された写真に見える特徴だけを記録し、その特徴から破壊形態の候補を返してください。
写真に写っていない特徴を、知識から補わないでください。

【写真】{images}(1枚目が破断面の全体。倍率:{magnifications})
【試験の種類と温度】{test_type}、{temperature}
【社内の標準写真と所見】{reference_images}
【特徴の用語集】{glossary}

【特徴として返すもの(用語集の言葉で)】
- 面の色と光沢(鈍い灰白色/銀白色の反射)
- シアリップの有無と、全体に対するおおよその割合
- 模様(放射状/山形/貝殻状(ビーチマーク))
- 起点の候補の位置(表面/内部)
- 破断の前の変形(絞れた跡)
各特徴に status(visible/not_visible/uncertain)と位置の枠 box_2d
([ymin, xmin, ymax, xmax]、0〜1000 に正規化)を付ける。

【破壊形態の候補】
ductile(延性)/brittle(脆性)/fatigue(疲労)/undetermined から選び、
根拠にした特徴の番号を basis に入れる。

【厳守事項】
- 写真に見えない特徴を書かない。見えなければ not_visible。
- ディンプル、ストライエーション、へき開などのミクロの特徴は、
  走査電子顕微鏡の写真が渡されたときだけ書く。それ以外は書かない。
- 強い反射で白く見える部分を、銀白色の反射として扱わない。迷ったら uncertain。
- 破壊の原因(介在物、熱処理、加工、腐食の環境など)を推定しない。
- 試験の合否を書かない。
- 水素脆性や応力腐食割れを断定しない。粒状に見える面などの気づきは
  notes に事実として書くだけにする。
- 候補を1つに決められないときは undetermined にする。迷ったら undetermined。

「ミクロの特徴を書かない」を明記しないと、ほぼ必ず書きます。 延性の候補を出すと「ディンプル状の破面」、疲労の候補を出すと「ストライエーションが見られる」と、形態の説明を特徴として書き足します。 試験記録は何年も残るので、観察していない特徴が記録に残ることがいちばん困ります。

「強い反射を銀白色の反射として扱わない」も同じです。 照明の当たった延性の破面の一部が白く光ると、AIはそこを脆性の特徴と読みます。写真の質の確認を通っていても、反射の部分は残るので、指示の側でも止めます。

写真の質の確認は、別の短い指示で先に行います。 「この写真について、ピントが破断面に合っているか、反射で白く飛んだ部分が破断面の大半を覆っていないか、破断面の全体が入っているかを返す。どれかが満たされなければ unusable」と指示し、迷ったら unusable の側に倒します。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "specimen_no": "",
  "photo_quality": "ok | unusable",
  "features": [
    { "id": 1, "kind": "surface_color | shear_lip | pattern | origin | necking",
      "value": "", "status": "visible | not_visible | uncertain",
      "image_index": 0, "box_2d": [0, 0, 0, 0] }
  ],
  "mode_candidate": "ductile | brittle | fatigue | undetermined",
  "basis": [1],
  "notes": [""]
}

スキーマでは kind・status・mode_candidate を enum にし、features の各要素の additionalProperties を false にします。

1つ目の理由は、期待される形態との照合を規則で行えることです。 Python は、試験記録の材料・熱処理・温度から期待される形態の表を引き、mode_candidate と照らします。

候補と期待試験記録での扱い
候補が期待と同じ下書きのまま、試験の担当が確認
候補が期待と違う専門家の確認の印
候補が undetermined専門家の確認の印
起点の候補が内部期待と同じでも専門家の確認の印(介在物などの手がかり)
notes に粒状の面などの気づきがある専門家の確認の印

4行目が要です。 疲労試験で疲労の候補が出るのは期待どおりですが、起点が表面ではなく内部にあるなら、材料の中に何かがあった可能性があります。 形態が期待どおりでも、起点の位置で拾います。

2つ目は、所見欄の書き方をそろえられることです。 下書きは、features の visible のものだけを用語集の順に並べ、「破壊形態の候補:延性(根拠:鈍い灰白色、シアリップ約3割、絞れた跡)」のように決まった型で書きます。 not_visible の特徴は所見に書かず、uncertain は「判断できず」と書きます。

3つ目は、box_2d で確認が速くなることです。 試験の担当も専門家も、写真に重ねた枠を見て、根拠の特徴が本当にそこに見えるかを確かめます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有フォルダPython で読み取り破断面の写真、標準写真
試験記録Python で読み書き試験条件の読み取り、下書きの列への書き込み
Gemini APIPython から呼び出し写真の質の確認、破面の特徴と候補
期待される形態の表Python で読み取り確認の印の規則
社内のチャットPython から通知専門家の確認の印が付いた試験片の知らせ

確定の所見欄には書き込みません。 下書きの列から所見欄へ写すのは、試験の担当の操作です。受入れの判定や開発の報告に使われるのは、人が確定した所見だけにします。

専門家への知らせは、印の付いた試験片だけにします。 1日に数本の知らせで、試験番号と印の理由(期待と違う・起点が内部・気づきあり)を添えます。

Step9

人が確認する

下書きは全件を試験の担当が確かめます。 試験記録は品質の記録として残るためです。

  1. 写真と枠を並べて、特徴が合っているかを確かめる … 根拠の特徴が写真の枠の中に見えるかを見ます。違えば直します
  2. 候補と根拠を確かめる … 期待どおりの候補で、根拠も合っていれば確定します
  3. 印の付いたものを専門家に回す … 印の理由を添えます
  4. 専門家が、走査電子顕微鏡での観察の要否を決める … 観察したら、その結果で所見を確定します

目標は、1本をならして6分です。 期待どおりの候補が出た試験片は枠を見て数分、印の付いた試験片は専門家の確認で20分前後かかります。それを大きく超える月は、unusable の写真が増えているか、期待される形態の表が材料の実態に合っていないかのどちらかです。

1番目で直した内容を記録します。 反射を特徴と読んだ、模様を見落とした、傷を模様と読んだ、のどれかを選ばせると、多い型から撮り方と指示を直せます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
全体の写真が無い処理せず、担当者に撮り足しを知らせる
写真の形式が対応していない対応形式は PNG・JPEG・WEBP・HEIC・HEIF。TIFF は変換して再投入
写真が大きすぎるリクエスト全体で20MBまで。標準写真の枚数を減らすか縮める
写真の質が unusable観察に渡さず、撮り直しを担当者に返す
破断面が錆びている・汚れているundetermined として専門家の確認の印
試験記録に試験条件が無い期待との照合ができないので、専門家の確認の印
試験の種類が表に無い(新しい試験)下書きは作るが、全件を専門家の確認に回す
Gemini API が応答しない・形が崩れる下書きの列に「未処理」と書き、次の定時の実行で拾い直す

5行目は、試験片の保管の問題です。 破断してから撮るまでに日が空くと、鋼の破断面は錆びます。撮影を破断の当日にする取り決めのほうが、AIの精度を上げるより効きます。

Step11

記録を残す

  • 破断面の写真と、倍率・撮った人・撮った日
  • 写真の質の確認の結果
  • 特徴と候補のJSONの全文と、呼び出した日時、使ったモデルの名前、渡した標準写真の版
  • 期待される形態の表の版と、照合の結果(確認の印の理由)
  • 試験の担当と専門家が直した所見と、直した理由の区分
  • 走査電子顕微鏡で観察した試験片と、その結果

3つ目で標準写真の版を残すのは、見本を差し替えると候補が変わるためです。 どの見本で出した候補かが残っていれば、見本を変えた前後で所見の傾向が変わったかを比べられます。

最後の行は、標準写真を育てる材料です。 専門家が観察して確定した試験片のうち、間違えやすかったものを標準写真に加えると、次から同じ型の候補が良くなります。

04実装レベルの3段階

最小構成:写真と標準写真をAIの画面に貼り、特徴と候補を返させる / 1本ごとの観察の確認
半自動化:上記+定時に Python で写真を読み、写真の質の確認と特徴・候補を一覧に書く / 写真の質の確認と特徴・候補の一覧化
本格構成:上記+期待される形態との照合、所見欄の下書き、専門家への知らせ / 写真から所見の下書きと確認の振り分けまで

最小構成では本数がさばけません。 1本ずつ貼るので、月480本には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1本15分が10分程度になります。 特徴と候補は一覧で出ますが、所見欄への書き写しと、相談するかの判断が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、uncertain の多い材料と、候補が外れやすい熱処理が分かります。そこを標準写真に足してから振り分けを始めるほうが、専門家への空振りの知らせが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  480件 × 15分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 480件 × 6分 ÷ 60 = 48 時間/月
月間削減時間
72h
削減率
60%
年間削減時間
864h
年間金額換算(時間単価4,000円)
346万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 金属材料や部品を作る会社の材料試験室・品質保証部門で、引張試験・衝撃試験・疲労試験の後に試験片の破断面を実体顕微鏡やデジタルマイクロスコープで撮り、試験記録に所見を書いている場合。月に数百本の試験片があり、破面の見方が一部のベテランに頼っている場合。試験を受託する機関で、依頼者への報告書に破面の所見を添えている場合にも当てはまります。
向いていない
  1. 破断面の写真を撮っておらず、試験記録が数値だけの場合。月の試験片が数十本で、専門家がすべて見ても負担にならない場合。破損事故の原因調査のように、1件ごとに走査電子顕微鏡での観察と材質の分析を重ねて結論を出す仕事。なお、破壊形態の確定、破壊の原因の判断、試験の合否の判定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去の試験から30本を選ぶ(専門家が確認した試験片と、期待と違う形態だった試験片を入れる)
  2. 開発中の材料で社外秘のものは外し、受入れの試験の試験片を中心にする
  3. 社内で使ってよいと認められた生成AIの画面に、全体と拡大の写真、標準写真を貼る
  4. 第7章の指示で、特徴と候補を返させる
  5. 当時の所見と、専門家の確認の結果と比べる

比べるのは、候補の当たり外れだけではありません。 見るのは、ミクロの特徴を書いていないか、反射を特徴と読んでいないか、期待と違った試験片で候補が期待と違って出たか、の3つです。

出てきた内容判断
当時の所見と同じ特徴が出て、期待と違った試験片を拾えた試験記録との連携に進む
ミクロの特徴を書いた指示の書き方で直る。構成は有効
反射を銀白色の反射と読む撮り方の照明をそろえる
ほとんどの写真で uncertain が多い撮り方が先。 AIの問題ではない

4行目が出たら、照明と倍率の取り決めから始めてください。 試験の種類ごとに照明の向きと倍率を決めると、人が見比べるときも速くなります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
マクロの写真から「ディンプル」「ストライエーション」と書くSEMの写真が無いときはミクロの特徴を書かないと指示する
照明の反射を脆性の特徴と読む写真の質の確認を先に行い、指示でも反射を特徴として扱わせない
期待を見せて、期待に寄せた候補が出る期待される形態の表はAIに渡さず、照合は規則で行う
見えない特徴を「無い」とするnot_visible を設け、見えたものだけで候補を出させる
破壊の原因まで書く原因の推定を禁じる。介在物や熱処理は材質の分析で決める
全体の写真が無く、拡大だけで所見を作る全体の写真の有無で処理を止める
錆びた破断面で候補が揺れる破断の当日に撮る取り決めにする
起点が内部の試験片を見落とす形態が期待どおりでも、起点の位置で確認の印を付ける
標準写真を一般的な教科書の写真で作る自社の材料と撮り方で撮った写真から、専門家が選ぶ
確定の所見欄に直接書き込む下書きの列に書き、確定は人が行う

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、写真に見えないものをAIが知識や期待で補う失敗です。見えたものだけを書かせ、期待との照合を規則の側に置けば、残りは調整で直ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 試験片の破断面の写真、試験の種類と温度、標準写真です。開発中の材料の破面と試験条件は、組成や熱処理の条件を推測させうる技術情報です。

  1. 有料の利用条件で使う … 規約では、有料のサービスでは送った内容を製品の改善に使わないとされています。無償の枠では使いません
  2. AIに渡す情報を絞る … 材料の組成、熱処理の詳しい条件、顧客の名前、開発の名前はAIに渡しません。渡すのは写真と、試験の種類と温度までです
  3. 社外秘の度合いで対象を分ける … 開発の初期の材料など、社外に出せない試験片は、この構成の対象から外す区分を試験記録に持たせます
  4. 確定の判断を代替させない … 破壊形態の確定、破壊の原因、試験の合否は、専門家と品質保証の責任者が決めることです
  5. 試験を受託する場合は依頼者の同意を取る … 依頼者の試験片の写真を外部のサービスに送ることになるため、契約で取り決めてから使います
  6. 利用者の年齢の条件を確かめる … 規約は、APIの利用者が18歳以上であることを求めています。使うのは試験室の職員に限ります

誤りが起きた場合のリスクは、観察していない特徴が記録に残ることと、見るべき試験片を見落とすことの2つです。 前者はミクロの特徴を書かせると起き、後者は期待をAIに見せると起きます。どちらも、見えたものだけを書かせ、照合を規則で行う設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:撮り方と用語集を決める

試験の種類ごとに、全体の写真の撮り方、照明の向き、倍率を決めます。専門家が所見に使う言葉を用語集にし、見え方の説明を添えます。

2週目:30本で試す

過去の試験から30本を選び、生成AIの画面で特徴と候補を返させます。ミクロの特徴を書いていないか、反射を特徴と読んでいないかを最優先で見ます。

3週目:標準写真と期待される形態の表を作る

専門家が、形態ごとの典型と間違えやすい例を選び、所見を添えます。材料・熱処理・温度ごとに期待される形態の表を作ります。

4週目:写真の質の確認と観察を一覧に書く

Python で定時に写真を読み、写真の質の確認と特徴・候補を一覧に書き出します。所見の下書きはまだ作らず、試験の担当が一覧と写真を見比べます。

2か月目: 期待される形態との照合と、所見欄の下書き、専門家への知らせを足します。印の付いた本数を毎週数えます。3か月目以降: 1本15分が何分になったかを実測します。直した所見の型を見て撮り方と標準写真を直し、専門家への相談が印の付いたものだけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
破面解析は事故調査の第一歩で、破壊様式・破壊の開始点・亀裂の進展方向がわかること。肉眼・ルーペ・実体顕微鏡のマクロ解析と走査電子顕微鏡のミクロ解析があり、通常は併用すること。マクロ観察で延性破壊と脆性破壊の区別やビーチマークによる疲労破壊の判断ができる場合があるが、破壊様式を明確に特定するには走査電子顕微鏡でミクロの特徴を調べる必要があること。破壊様式が延性・脆性・疲労・環境破壊に大別され、マクロの特徴が延性は鈍い灰白色とシアリップ、脆性はキラキラした銀白色の反射とシェブロンパターン・放射状模様、疲労はビーチマーク・ラチェットマーク・フィッシュアイであること。ディンプルやストライエーションが走査電子顕微鏡によるミクロの特徴であること(PDFの原文を取得して確認)大阪産業技術研究所 技術資料: 金属材料の破面解析(No.98046)2026-10-08
対応する画像の形式が PNG・JPEG・WEBP・HEIC・HEIF であること。画像を直接入れる場合はリクエスト全体で20MBまでで、大きい場合は Files API を使うこと。物体の位置を [ymin, xmin, ymax, xmax] で0〜1000に正規化して返すこと。例が Interactions API で書かれていることGemini API: Image understanding2026-10-08
media_resolution の値が low・medium・high・ultra_high で、Gemini 3 のモデルの画像1枚あたりのトークンがそれぞれ280・560・1120・2240であること。ultra_high は画像ごとの指定に限られること。画像の分析には high が勧められていることGemini API: Media resolution2026-10-08
構造化出力が /v1beta/interactions で response_format に mime_type と schema を渡す形であること。enum・required・additionalProperties などが使えること。すべての JSON Schema の機能には対応せず、大きすぎる・深すぎるスキーマは拒否されうることGemini API: Structured output2026-10-08
利用者は18歳以上であること。無償のサービスでは送った内容が製品の改善に使われ人が読むことがあり、機微・機密・個人の情報を送らないこと。有料のサービスでは製品の改善に使わないことGemini API: Additional Terms of Service2026-10-08

破壊形態の確定と破壊の原因は、材料の専門家が走査電子顕微鏡での観察などとあわせて判断してください。 本記事は公式ページと公設試験研究機関の資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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