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製造現場で見つけた不良品を写真で見分けて、不良区分と発生工程の記録にする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

現場で撮った不良品の写真を入力に、不良区分の候補と記録票の下書きを作ります。作業者は、紙の不良票に書いて後から入力することから、写真を撮って候補を選ぶことに変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Make/n8n/Power Automate
対象業界
EC/小売/建設/物流/製造
対象部門
品質管理/生産
対象業務
分類・仕分け/記録・議事録作成
主な課題
データ分析に時間がかかる/入力作業が多い/属人化している
AIで行う処理
画像認識
主な効果
入力漏れ削減/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
90h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
67%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 作業者が不良を見つけ、現品を不良品置き場へ移す
  2. 紙の不良票に、品番・ロット・工程・不良区分・数量・発見者・発見日時を書く
  3. 不良票を現品に添えるか、所定のボックスに入れる
  4. 品質保証の担当者が、1日分の不良票を集める
  5. 生産管理システムに1件ずつ入力する
  6. 不良区分が曖昧なものは、現品を見に行くか、書いた人に聞く
  7. 月末に、区分別・工程別・品番別に集計する
  8. 集計をもとに、傾向のある不良について対策会議を開く
導入後(After)
  1. 作業者が不良を見つけ、タブレットで写真を2枚撮る(全体と近接)
  2. 作業者が品番のバーコードを読み取り、数量を入力する
  3. 自動写真がSharePointのライブラリに保存される
  4. 自動写真から不良区分の候補を3つまで出す
  5. 自動品番とロットから、通過した工程の一覧を引く
  6. 自動不良区分と、見えている位置から、発生した可能性のある工程を候補として出す
  7. 作業者が候補から区分を選ぶ(違っていれば正しいものを選ぶ)
  8. 自動記録票を作り、生産管理システムへ登録する
  9. 自動月次の集計に反映する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 作業者が不良を見つけ、現品を不良品置き場へ移す
  2. 紙の不良票に、品番・ロット・工程・不良区分・数量・発見者・発見日時を書く
  3. 不良票を現品に添えるか、所定のボックスに入れる
  4. 品質保証の担当者が、1日分の不良票を集める
  5. 生産管理システムに1件ずつ入力する
  6. 不良区分が曖昧なものは、現品を見に行くか、書いた人に聞く
  7. 月末に、区分別・工程別・品番別に集計する
  8. 集計をもとに、傾向のある不良について対策会議を開く

問題は4つあります。

(a)書く手間が惜しまれる。 不良票は10項目以上あり、すべて手書きです。忙しい時間帯には「後でまとめて書く」ことになり、後でまとめて書いた内容は正確さを欠きます。

(b)不良区分の付け方が人によって違う。 「打痕」と「傷」の境界が人によって違います。ベテランは細かく分けますが、新人は迷って「その他」にします。その他が全体の8%を占めており、ここに本当の傾向が埋もれています。

(c)発生工程が特定できない。 最終検査で見つかった傷が、どの工程でついたかは、傷の形と位置で見当がつきます。しかしそれはベテランの勘であり、不良票には書かれません。

(d)写真が残らない。 現品は一定期間で廃棄されます。後から「あの不良はどんなものだったか」を確認できません。対策の効果を測るときに、前後の比較ができません。

  1. 作業者が不良を見つけ、タブレットで写真を2枚撮る(全体と近接)
  2. 作業者が品番のバーコードを読み取り、数量を入力する
  3. 【自動】 写真がSharePointのライブラリに保存される
  4. 【自動】 写真から不良区分の候補を3つまで出す
  5. 【自動】 品番とロットから、通過した工程の一覧を引く
  6. 【自動】 不良区分と、見えている位置から、発生した可能性のある工程を候補として出す
  7. 【人】 作業者が候補から区分を選ぶ(違っていれば正しいものを選ぶ)
  8. 【自動】 記録票を作り、生産管理システムへ登録する
  9. 【自動】 月次の集計に反映する

自動化されるのは「書く」「入力する」「候補を出す」の3つです。残るのは「どれを選ぶか」です。

作業者の操作を3回に抑えることが設計の目標です。 写真を撮る、バーコードを読む、候補を選ぶ。これ以上増やすと現場で使われません。数量の入力も、1個なら既定値で済ませます。

02今回想定するシステム構成

構成図
現場のタブレット(写真2枚+バーコード+数量)
   │
   ▼
SharePoint の不良記録ライブラリ
   │
   ▼【トリガー】ファイルの作成時(プロパティのみ)
Power Automate
   │
   ├──▶ Claude API(画像入力)── 不良区分の候補/見えている位置/所見
   │
   ├──▶ 生産管理システム ── 品番・ロットから通過工程を引く
   │
   ├──▶ 過去の不良記録 ── 同じ品番・同じ区分の発生工程の実績
   │
   └──▶ 記録票の下書きを作る
   │
   ▼
タブレットに候補を表示 ──【作業者が選ぶ】
   │
   ▼
生産管理システムへ登録 + 写真を品番・ロットで検索できる形で保管
役割想定する製品代替候補
処理Claude APIGemini API、OpenAI API
連携Power AutomateMake、n8n
保管SharePointBox、Google ドライブ
台帳生産管理システム各社のMES

専用の画像検査装置との違いを理解しておいてください。 画像検査装置は、決まった位置に決まった照明で置いた製品を、決まった判定基準で合否判定します。精度は高く、インラインで動きます。この構成は、それとは別の用途です。 人が見つけた不良を、現場のタブレットで撮った写真から分類する。照明も角度も一定ではありません。

そのため、この構成に合否判定をさせません。 不良かどうかはすでに人が決めており、AIがするのは「どの区分か」の候補出しだけです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

SharePointの不良記録ライブラリにファイルが作成されたことを起点にします。Power Automate の SharePoint コネクタには「ファイルの作成時 (プロパティのみ)」トリガーがあります。

なお、同じコネクタには「フォルダーにファイルが作成されたとき」というトリガーもありますが、こちらは非推奨とされており、推奨される代替は「ファイルの作成時 (プロパティのみ)」です。 新しく作る場合は非推奨のほうを選ばないでください。

トリガーの動き方にも注意が要ります。Power Automate は、設定したライブラリの変更を定期的にチェックする作りです。多くの場合は変更から数分以内に動きますが、続けて撮影されたときに、1回の実行で複数の変更をまとめて拾うことがあります。 1回の実行で1枚だけを処理する前提で作ると、取りこぼします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
不良品の写真全体像1枚、不良部の近接1枚現場のタブレット
品番・ロットバーコードから読み取った値現品のラベル
数量不良の個数(既定値1)作業者の入力
不良区分の定義社内で使っている区分の一覧と、それぞれの見本写真品質保証部が持つ資料
工程の通過実績その品番・ロットが通った工程の順番生産管理システム
過去の不良記録品番×区分×発生工程の実績生産管理システム

不良区分の定義に「見本写真」を添えることが、この構成の成否を分けます。 「打痕」という語だけを渡しても、自社が何を打痕と呼んでいるかは伝わりません。各区分について3〜5枚の見本写真を用意し、判定のときに一緒に渡します。

Step3

データの取得方法を決める

写真: タブレットの標準のカメラで撮り、SharePointのライブラリへ保存します。専用アプリを作らなくても、共有のショートカットで足ります。

画像の受け渡し: Claude の画像入力では、base64で埋め込む、URLで参照する、Files APIにアップロードして file_id で参照する、の3つの方法があります。見本写真のように繰り返し使う画像は、Files APIにアップロードして file_id で参照するほうが、毎回base64を送るより軽くなります。

工程の通過実績: ロット番号から生産管理システムのAPIまたは日次エクスポートを参照します。リアルタイムである必要はありません。

過去の不良記録: 「品番Aの打痕は、過去60件中48件が研磨工程で発生している」という集計表を月1回作り、これを候補の根拠にします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 画像の枚数と向きの確認 … 2枚そろっているか、真っ暗・真っ白でないかを見ます。撮り直しが必要なら、その場でタブレットに表示します
  2. 画像サイズの調整 … 撮ったままの写真は大きすぎます。Claude の画像入力では、1枚あたり10MB(base64)が上限で、最大寸法は8000×8000 pxです。 これを超えないよう、送る前に縮小します
  3. 枚数の管理 … 1リクエストに含める画像は、見本写真を含めて20枚以下に抑えます。20枚を超えると1枚あたりの寸法制限が厳しくなるため、すべての画像を2000px以下にするか、20枚以下に収める必要があります
  4. 圧縮の程度 … JPEGで強く圧縮すると、細かい傷が消えます。圧縮の設定を決めたら、実際に送った画像を目で見て確かめてください
  5. 品番とロットの妥当性確認 … バーコードの読み取り誤りを検出します。存在しない品番なら、その場でやり直させます
Step5

AIに処理させる

AIと従来の処理で役割を分けます。

従来の処理にさせること: 品番・ロットからの工程の引き当て、過去実績の集計、記録票の組み立て。

AIにさせること:

処理内容
不良区分の候補出し見本写真と照らして、どの区分に近いかを3つまで
不良部の位置の記述「製品の左上、フランジ部の縁」のような言葉での位置
見た目の所見「線状の傷が2本、長さは短辺の3分の1程度」
撮り直しの要否ピントが合っていない、不良部が写っていない場合に指摘

AIに不良の個数を数えさせません。 Claude は画像内の物体のおおよその数を答えられますが、特に小さい物体が多数ある場合、常に正確とは限りません。 個数は作業者が入力します。

発生工程の特定もAIにさせません。 AIが出すのは「不良部がどこにあるか」という観察です。そこから工程を推定するのは、過去実績の集計と工程の順番を使った従来の処理が行います。

Step6

指示内容を固定する

あなたは製造業の品質管理を支援する立場です。
不良品の写真を見て、社内の不良区分のどれに当たるかの候補を挙げてください。

【厳守事項】
- 不良かどうかの判定はしないでください。すでに人が不良と判断したものです。
  区分の候補を出すことだけが役割です。
- 候補は最大3つまで、確からしい順に挙げてください。
  1つに断定しないでください。
- 不良の個数を数えないでください。個数は作業者が入力します。
- 見本写真にない区分を新しく作らないでください。
  どれにも当てはまらない場合は "unclassified" を返し、
  その理由を reason に書いてください。
- 位置は、製品のどの部分かを言葉で書いてください
  (例:左上のフランジ部の縁)。座標は書かないでください。
- ピントが合っていない、不良部が写っていない場合は
  retake_needed を true にし、何を撮り直すべきかを書いてください。
- 見えていないことを推測で書かないでください
  (裏面の状態、内部の状態など)。

Image 1: 全体像
Image 2: 不良部の近接

【社内の不良区分と見本写真】
{defect_classes_with_samples}

【この品番の情報】
{product_info}

画像を先に、テキストを後に置いてください。 画像を先に置く形が、この用途では扱いやすくなります。

「座標を書かせない」のは意図的です。 Claude の座標や位置の出力は近似であり、そのまま使うものではありません。言葉での位置なら、作業者が読んで確かめられます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "candidates": [
    {
      "defect_class": "",
      "confidence": "high | medium | low",
      "reason": ""
    }
  ],
  "location_description": "",
  "observation": "",
  "retake_needed": false,
  "retake_reason": "",
  "unclassified": false
}

記録票は、後段の処理がこれと品番・ロット・数量を組み合わせて作ります。

{
  "product_no": "",
  "lot_no": "",
  "defect_class": "",
  "quantity": 0,
  "suspected_process": [
    { "process": "", "basis": "past_record | position | order", "count": 0 }
  ],
  "photo_urls": [],
  "recorded_by": "",
  "recorded_at": ""
}

suspected_processbasis(根拠)を持たせます。「過去60件中48件がこの工程」という根拠が見えれば、作業者が納得して選べます。 根拠のない候補は選ばれません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
SharePointPower Automate のコネクタ写真の保存と、トリガー
生産管理システムAPI または日次エクスポート工程の通過実績、不良記録の登録
タブレットブラウザの画面候補の表示と選択

生産管理システムへの登録は、作業者が候補を選んだ後に行います。 AIの候補をそのまま登録する構成にしません。品質記録は、後から対策の根拠になるものです。誤った区分が自動で積み上がると、集計そのものが信用できなくなります。

写真は品番・ロットで検索できる形で保管します。 ファイル名に「日付_品番_ロット_連番」を入れるか、ライブラリの列にメタデータとして持たせます。これをしないと、後から見返せません。

Step9

人が確認する

全件、作業者が区分を選びます。

理由は2つあります。1つは、品質記録が対策の根拠になるためです。誤った区分が積み上がると、対策の方向を誤ります。もう1つは、現場の人が自分で選んだ記録のほうが、後から参照されるためです。

確認を速くするための設計が重要です。

  • 候補を3つだけ、大きなボタンで表示する
  • 候補にない場合の「一覧から選ぶ」を1タップで開けるようにする
  • retake_needed が true なら、区分の選択より先に撮り直しを促す
  • 発生工程の候補に、根拠(過去実績の件数)を添える
  • 選んだ後、確認画面を挟まずに登録を完了させる

確認画面を挟まないことが重要です。 現場の操作は1回でも少ないほうがよく、選択そのものが確認になっています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
写真がぶれている/不良部が写っていないretake_needed を返し、その場で撮り直させる。無理に判定しない
どの区分にも当てはまらないunclassified を返し、作業者に一覧から選ばせる。「その他」を自動で付けない
複数の不良が1枚に写っている候補を複数出し、作業者に「主たる不良」を選ばせる。分けて記録する必要があれば案内する
画像が10MBを超える送る前に縮小する。縮小で細部が失われないか、導入時に確認する
1リクエストの画像が20枚を超える見本写真を減らすか、すべて2000px以下にする。20枚超では1枚あたりの寸法制限が厳しくなる
同じ不良を二重に記録した品番・ロット・発見時刻が近いものを検出し、作業者に確認する
バーコードが読めない手入力に切り替える。読めないまま進めさせない
品番が生産管理システムにないその場でエラーを出す。仮の品番で登録させない
1回の実行で複数の写真がまとめて届くトリガーが複数の変更をまとめて拾う前提で、繰り返し処理を入れる
通信が切れて登録できない端末に一時保存し、回復後に送る。撮影した写真を失わせない
人が写り込んだ写真Claude は画像の中の人物を特定しません。写り込みを避ける撮影ルールを別途決める
Step11

記録を残す

  • 撮影した写真(全体像と近接)を、品番・ロットで検索できる形で
  • AIが出した候補と confidencereason
  • 作業者が選んだ区分と、AIの第1候補と一致したかどうか
  • 発生工程の候補と、その根拠
  • 撮り直しになった件数と理由

3つ目が精度の実測値になります。「第1候補がそのまま選ばれた割合」が7割を超えていれば、候補出しは役に立っています。 3割を切るようなら、見本写真か区分の定義を見直す合図です。

なお、Claude の画像アップロードは一時的なもので、APIリクエストの処理が終わると自動的に削除され、リクエストの期間を超えて保存されることはありません。写真の保管は自社側で行う必要があります。

04実装レベルの3段階

最小構成:タブレットで撮影し、写真とメモをSharePointに保存する / 記録の電子化のみ
半自動化:上記+不良区分の候補出し+記録票の下書き / 区分の判定と記入
本格構成:上記+発生工程の候補+生産管理システムへの自動登録+月次集計への反映 / 選択以外のすべて

最小構成だけでも、6分が4分程度になります。 紙に書いて後から入力する往復がなくなるためです。写真が残ることの価値も、この段階で得られます。 半自動化で4分から3分程度になります。 本格構成で2分程度になりますが、生産管理システムとの連携が必要です。 段階を踏むことを強くすすめます。 いきなり本格構成を作ると、現場が使わなかったときに何が原因か分かりません。まず写真を撮る運用が定着するかを見てください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  900件 × 6分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 900件 × 2分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
67%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 工程内不良が月500件以上発生し、不良区分ごとの集計を月次で行っている製造現場。不良の記録を紙の不良票や手入力で行っており、区分の付け方が担当者によってばらついている場合。傷・打痕・欠け・変色のように、見た目で区別できる不良が中心の場合。
向いていない
  1. 不良が月50件未満で、1件ずつ丁寧に見られる場合。不良の判定が寸法測定や電気特性の検査結果によるもので、外観では区別できない場合。すでに画像検査装置を導入しており、インラインで判定できている場合。

07最小構成で試す方法

  1. 過去の不良品の写真を30枚用意する(区分ごとに5〜6枚ずつ、偏らないように選ぶ)
  2. 不良区分の見本写真を、区分ごとに3枚ずつ用意する
  3. AIの画面に見本写真と判定したい写真を並べて貼り、「この写真がどの区分に当たるか、候補を3つまで挙げてください。不良かどうかの判定はしないでください」と指示する
  4. 第1候補が正解だった件数と、3候補のどれかに正解が含まれていた件数を数える

この30枚の検証だけは必ずやってください。 不良区分の見分けやすさは、製品と不良の性質に強く依存します。傷と打痕の区別が写真で付かないなら、その区分では役に立ちません。

判断の目安は次のとおりです。

3候補に正解が含まれる率判断
9割以上自動化する価値がある。全区分に適用する
7〜9割見分けやすい区分(欠け・変色など)に絞って始める
7割未満見本写真を増やすか、撮影の方法(角度・照明)を決めてから再測定する

撮影方法を決めてから測ることも大切です。 同じ不良でも、斜めから撮るか真上から撮るかで結果が変わります。現場で使う撮り方に合わせた写真で測ってください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
照明や角度がばらばらで、判定が安定しない撮影の方法を決め、タブレットの画面に見本を表示する。それでも安定しない区分は対象から外す
JPEGを強く圧縮して、細かい傷が消える圧縮の設定を決めたら、実際に送った画像を目で見て確かめる
高解像度のまま送り、費用が膨らむ⌈幅/28⌉ × ⌈高さ/28⌉ でトークン数が決まる。必要な解像度を実測して縮小する
見本写真を毎回送り直して遅いFiles APIにアップロードし、file_id で参照する
見本写真を含めて20枚を超え、寸法制限に当たる見本を減らすか、すべての画像を2000px以下にする
AIに個数を数えさせて合わない個数は作業者が入力する。 数えさせない
「その他」が自動で付いて集計が使えないunclassified を返させ、作業者に一覧から選ばせる
非推奨のトリガーを使って動かない「フォルダーにファイルが作成されたとき」は非推奨。「ファイルの作成時 (プロパティのみ)」を使う
連続撮影で写真を取りこぼすトリガーが複数の変更をまとめて拾う前提で、繰り返し処理を入れる
現場が使わない操作を撮影・読み取り・選択の3回に抑える。確認画面を挟まない
写真が後から探せない品番・ロットを含むファイル名か、ライブラリのメタデータで持つ

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 不良品の写真、品番、ロット、工程の通過実績。自社製品の形状と、不良の発生状況が含まれます。

  1. 外部AIへの入力可否 … 不良品の写真には、製品の形状がそのまま写ります。開発中の製品や、顧客から支給された部品が対象に含まれる場合は、顧客との秘密保持契約を確認してください
  2. 顧客支給品の扱い … 受託加工では、顧客の図面に基づく製品を扱います。その写真を外部サービスに渡すことが契約上許されるかを、営業と品質保証で確認します
  3. 人の写り込み … 現場で撮影すると、背景に作業者が写ることがあります。Claude は画像の中の人物を特定しませんが、写り込みを避ける撮影ルールを決めてください
  4. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  5. アクセス権限 … 不良の記録は、顧客への報告に使われることがあります。閲覧できる範囲を品質保証部と製造部に限定します
  6. 自動実行してよい範囲 … 区分の選択は人が行います。AIの第1候補を自動で登録する構成にしないでください。 品質記録は対策の根拠であり、誤った区分が積み上がると集計そのものが使えなくなります

誤りが起きた場合のリスクは、誤った不良区分が集計に入り、対策の方向を誤ることです。直接の損害は出にくいものの、気づかないまま数か月が過ぎることがあり、そのほうが損害は大きくなります。 第1候補の採用率を継続的に測ってください。

10まず何から始めるか

1週目:30枚で候補出しの精度を測る

過去の不良品の写真30枚と、区分ごとの見本写真を用意し、3候補に正解が含まれる率を測ります。同時に、撮影の方法(角度・照明・距離)を決めてください。 測定に使う写真は、現場で実際に撮る方法に合わせます。

2週目:写真記録だけを現場に入れる

AIはまだ使わず、タブレットで写真を撮ってSharePointに保存する運用を1ラインで始めます。ここで現場が使うかどうかが分かります。 使われないなら、原因は操作の多さです。AIを足しても解決しません。

3〜4週目:候補出しを足す

撮影した写真から不良区分の候補を出し、タブレットに表示します。作業者が選んだ結果と第1候補の一致率を記録します。1ラインで1か月、6分が何分になるかを実測します。

2か月目以降: 一致率が7割を超えていたら、発生工程の候補と生産管理システムへの登録を足します。並行して、「その他」の割合が減っているかを月次集計で確認してください。そこが減らないなら、この構成の主目的は達成されていません。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-22/最終更新:2026-09-22
確認した内容情報源確認日
Claude の画像入力が JPEG・PNG・GIF・WebP に対応すること。1枚あたり10MB(base64)、最大寸法8000×8000 px が上限であること。21枚以上の画像を含むリクエストでは1枚あたりの寸法制限が厳しくなり、各辺2000px以下にするか20枚以下に抑える必要があること。トークン数が ⌈幅/28⌉ × ⌈高さ/28⌉ で計算されること。Files API に上げて file_id で参照できること。物体の個数は常に正確とは限らないこと。画像内の人物は特定しないこと。アップロードした画像は処理後に自動的に削除されることAnthropic: Vision2026-09-22
Power Automate の SharePoint コネクタに「ファイルの作成時 (プロパティのみ)」トリガーがあること。「フォルダーにファイルが作成されたとき」は非推奨で、推奨される代替が「ファイルの作成時 (プロパティのみ)」であること。トリガーがライブラリの変更を定期的にチェックする作りで、1回の実行で複数の変更をまとめて拾う場合があることMicrosoft Learn: SharePoint コネクタ2026-09-22

生産管理システムへの不良記録の登録方式(API / CSV取込 / 画面入力)は製品によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 顧客支給品の写真を外部サービスへ入力することの可否についても、個別の取引契約を確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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