DIKWモデルで見るAIの持ち場|知恵は誰が持つか

「データ基盤にお金をかけたのに、会議での決め方は前と変わっていない」「AIに分析させたら知見が何十個も出てきたが、どれを使えばいいのか分からない」。データ活用やAI推進を任された担当の方から、こうした声をよく聞きます。どちらの声の裏にも、データを集めてAIに渡せば、答えまで出てくるはずだという期待があります。しかし、AIが速く安く担えるようになったのは、データを情報に、情報を知識に変える下の2段です。本当は、知識を「何をする・何をやめる」という決定に変える一番上の段は、今もAIの持ち場ではありません。この記事では、データ・情報・知識・知恵の4段で考えるDIKWモデルを使って、社内のAI施策を段ごとに仕分け、AIに任せる段、人が承認する段、誤りが一番高くつく段、データ整備の投資を置く段を整理します。
カメ先生データからAIで答えを出す、とひとまとめに言われがちなんだけど、本当は途中にいくつかの段があるんだ。数字を集計する段、意味を読み取る段、そして何をするかを決める段。AIが一気に速くしたのは、下のほうの段なんだよ。
カメ子集計や要約はAIに任せられても、最後に決めるところは別だということですか。
カメ先生そう。しかも下の段で数字の定義を取り違えると、上の段ではもっと大きな間違いになって出てくる。だから、どの段を誰が持つかを先に決めておく必要があるんだ。
カメ子AIを入れる前に、自分たちの施策がどの段の仕事なのかを見分けるわけですね。
- DIKWモデルの4段のうち、生成AIが担い手を変えたのは「データを情報に」「情報を知識に」の下の2段で、「知識を知恵に」の段は人が持つ
- 下の段の誤り(定義の取り違え・欠け)は上の段で増幅されるため、データの定義と、AIが出した知見を元のデータまで遡る確認は人が持つ
- 社内のAI施策は、段ごとに担い手と承認者を表にして仕分け、予算の配分や施策をやめる判断はAIに決めさせない
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DIKWモデルの4段を一つの業務で並べる
DIKWモデルは、データ、情報、知識、知恵の4段を、それぞれの英語の頭文字で呼んだ枠組みです。下から順に積み上がる三角形の図で描かれることが多く、DIKWピラミッドとも呼ばれます。1980年代の終わりごろから経営学や情報学で使われてきた考え方で、各段の定義は論者によって少しずつ揺れがあります。本稿では、業務で仕分けに使える程度の定義に絞って扱います。
データは、記録されたままの事実です。配信ログの1行、問い合わせの1件、受注の1行がこれに当たります。情報は、データを目的に沿って集計・整理し、意味が読める形にしたものです。週次の集計表や、問い合わせの件数を種類別に並べた一覧がこれです。データと情報の違いは、よく用語の違いとして問われますが、業務で効いてくるのは、誰かが目的を決めて切り出したかどうかという点です。
知識は、複数の情報を関係づけて得た、繰り返し使える理解です。「この訴求は既存顧客には効くが、新規には効かない」といった知見がここに入ります。知恵は、知識をもとに、何をするか、何をやめるかを決める力です。どの施策に予算を寄せるか、どの取り組みを打ち切るかという決定がこれに当たります。上の段ほど、価値の選び方と責任が入り込んできます。
公的な資料がDIKWとAIを同じ棚に置き始めた
情報処理推進機構は、2027年度から始める予定の新しい試験制度について、2026年6月30日にシラバス案の公開を始め、9月30日にも更新しました。その中に、新設予定のデータマネジメント試験(仮称)のシラバス案(第0.1版)があります。この案は、大分類「データ・AIの利活用」のうち、データマネジメントの「目的と考え方」の用語例にDIKWモデルを挙げました。
注目したいのは、同じ大分類の中に「AI利活用」の項目があり、AIエージェントの欄に「自律性と人間の関与(最終承認,例外処理など)」が並んでいることです。データの段の考え方と、AIに任せる範囲と人が承認する場所の考え方が、一つの棚にまとめられています。データ活用とAI活用を別々の部署の話として扱わず、同じ流れの上で考える前提が、公的な資料にも表れてきたと読めます。
ただし、これは新設予定の試験のシラバス案であり、公開ページにも、内容は検討状況に基づくもので変更する可能性があると明記されています。案に載っているから社内の決まりにしなければならない、という性質のものではありません。本稿では、DIKWモデルとAIの持ち場を結びつけて考えるための手がかりとして、この案を一度だけ参照します。
広告運用の仕事を4段に並べると、持ち場が見える
法人向けの広告運用を例に、4段を並べてみます。データの段は、媒体から出てくる配信ログと、問い合わせフォームの送信記録です。情報の段は、それを週ごと・訴求ごとに集計した表で、表示回数、クリック数、問い合わせ数、獲得単価が並びます。ここまでは、どの会社でも毎週作っている資料で、まだ何も決めていない段です。
知識の段は、集計表を何週分も見比べて得られる理解です。「導入事例を前に出した訴求は、従業員数の多い企業からの問い合わせを集めやすい」「価格を前に出した訴求は件数が増えるが、商談に進む割合は下がる」。こうした知見は、表の数字そのものではなく、複数の表と商談の記録を関係づけて初めて出てきます。
知恵の段は、その知識を使って決めることです。来期の予算を事例訴求に寄せるのか、件数を取りにいく訴求を続けるのか、ある媒体をやめるのか。同じ知識からでも、会社が何を優先するかによって決定は変わります。商談の数を増やしたい時期と、大口の顧客を取りたい時期では、正しい答えが入れ替わるからです。
情シスの仕事でも、同じ4段が並ぶ
社内の情報システム部門でも、同じ並びが見えます。データの段は、問い合わせ窓口の受付記録と、各システムの稼働ログです。情報の段は、問い合わせを種類別・システム別に集計した月次の表や、障害の発生件数の推移です。ここも、多くの部門で定例の報告として作られています。
知識の段は、「経費精算の問い合わせの多くは、月末の締めの前に入力画面の同じ項目で起きている」「あるシステムの障害は、特定の連携処理の時間帯に集中している」といった理解です。問い合わせの文面と稼働ログ、締めの日程という別々の情報をつないで、初めて言えることです。
知恵の段は、その知識を受けて、入力画面を直すのか、手引きを作り直すのか、システムの更改を前倒しするのかを決めることです。更改には予算と現場の負担が伴い、ほかの案件を後ろに回す判断も含みます。どの部門の不便を先に解くかは、技術ではなく優先順位の問題であり、この段を持つのは部門の責任者です。
生成AIで担い手が変わったのは、下の2段
データを情報にする段は、以前から集計ツールや表計算で機械化が進んでいました。生成AIが加わって変わったのは、文章や会話の記録のように、表にしにくいデータも情報にできるようになった点です。問い合わせの文面を種類別に振り分ける、商談の記録から論点を抜き出す、長い報告書を要約する。これまで人が読んで手で分けていた仕事が、短い時間で回るようになりました。
情報を知識にする段でも、AIの手が届く範囲が広がりました。社内の文書を検索して答える仕組み(RAG)を使えば、過去の提案書や議事録、集計表を横断して「似た状況で何が起きたか」をまとめさせられます。先のシラバス案も、生成AIの活用目的の用語例に「RAGによる知識連携」を挙げています。複数の情報を関係づけて説明の下書きを作る作業は、AIが速く安く担える仕事になりました。
ただし、この段でAIが出すのは知識の候補であって、確かめられた知識ではありません。関係づけがもっともらしく見えても、元の集計の条件が違うものを並べていたり、たまたま重なった時期の動きを因果のように書いていたりすることがあります。下の2段で担い手が変わったことと、そこでの確認が要らなくなったことは、別の話です。
AIの知見が大量に出て使えない理由
冒頭の「知見が何十個も出てきたが、どれを使えばいいのか分からない」という声は、段の取り違えから生まれます。AIに集計表を渡して「示唆を出して」と頼むと、AIは情報を知識の候補に変える仕事をします。出てくるのは、事実として読める観察と、仮説にとどまる推測が混ざった一覧です。これを知恵の段の材料として、そのまま会議に持ち込んでしまうのです。
知識の段で必要なのは、候補を絞ることです。絞り方の基準は二つあります。一つは、元のデータまで遡れるかどうかです。どの期間の、どの集計の、どの数字から言えるのかを示せない知見は、社内に流しません。もう一つは、その知見が決定を変えるかどうかです。正しくても、どの選択肢を選んでも結論が変わらない知見は、会議の時間を使う理由がありません。
AIに知見を出させるときは、出典と集計の条件を一緒に書かせ、観察と推測を分けて並べさせます。そのうえで、どの知見を採るかを決めるのは人です。AIに知見の優先順位まで付けさせないことが大切です。優先順位は、何を目指しているかという知恵の段の問いに直結しており、AIはその前提を持っていないからです。
知恵の段をAIに渡せない3つの理由
一つ目は、知恵の段には価値の選び方が入ることです。売上を優先するのか、利益率を優先するのか、既存顧客との関係を優先するのか。どれも正しい方針になりえるため、データからは決まりません。AIに決めさせると、学習した一般論か、指示文に紛れ込んだ前提のどちらかで選ばれてしまいます。
二つ目は、責任の置き場所です。予算を寄せた施策が外れたとき、なぜそう決めたのかを説明するのは決めた人です。AIが勧めたから、という説明では、次に同じ判断をするときに何を直せばよいかが分かりません。決めた人と理由を記録に残せる形にしておかないと、組織に判断の経験がたまりません。
三つ目は、やめる判断が苦手なことです。AIに改善案を求めると、足し算の案が多く返ってきます。しかし知恵の段の重要な仕事の一つは、続けている施策をやめることです。やめれば担当者の仕事や取引先との関係にも影響が出ます。影響を受ける人の事情を知ったうえで線を引く仕事は、組織の中にいる人にしかできません。
下の段の誤りは、上の段で増幅される
4段の考え方が実務で一番効いてくるのは、誤りの流れ方を見るときです。データの段で「問い合わせ」の定義が部署ごとに違っていた場合を考えます。営業部は資料請求を含めて数え、マーケ部は含めずに数えている。この違いに気づかないまま集計すると、情報の段の表は、どちらの部署の数字とも合わない混ぜ物になります。
その表をAIに渡して知見を出させると、混ぜ物の数字から「この媒体は問い合わせが伸びている」という知識の候補が生まれます。それを根拠に来期の予算を寄せれば、知恵の段の決定が外れます。データの段では1行の定義違いだったものが、上の段に進むたびに、一つの表、一つの結論、一つの予算配分へと影響の大きさを変えていくのです。
シラバス案も、データマネジメントの不備によって生じるリスクとして、データの品質低下やサイロ化と並べて、意思決定の遅れと意思決定の精度の低下を挙げています。生成AIで上の段への流れが速くなったぶん、下の段の誤りが決定に届くまでの時間も短くなったと考えておくべきです。
どの段の誤りが一番高くつくかは、業務ごとに人が決める
誤りは上で増幅されると書きましたが、どの段の誤りが一番高くつくかは業務によって変わります。月次の報告のように、数字がそのまま社外や経営に出ていく業務では、データの段の誤りが最も高くつきます。訂正の手間に加えて、数字そのものへの信頼を失うからです。
一方、施策の方向を決める業務では、知識の段の誤りが重くなります。たまたま重なった動きを因果と取り違えた知見は、数字の誤りより見つけにくく、外れた施策が何か月も続いてから気づくことになります。知恵の段の誤りは、やり直しが利くかどうかで重さが変わります。小さく試して戻せる決定と、契約や人員配置のように戻しにくい決定では、承認の重さを変えるべきです。
この重み付けを、AIに一律の基準で付けさせるのは避けます。どの誤りがどれだけ痛いかは、取引先との関係や社内の事情に左右されるからです。重み付けは業務の責任者が決め、仕分け表の一列として書き残すのが現実的です。後で見直すときに、なぜその段に確認を厚くしたのかが分かります。
社内のAI施策を4段に仕分ける手順
ここからは、社内で動いている、または検討中のAI施策を4段に仕分ける手順です。施策の名前ではなく、その施策が何を受け取り、何を出しているかで段を決めるのがこつです。「AIによる分析の自動化」といった名前の施策でも、中身を見ると集計の自動化だったり、提案の下書きだったりします。
手順の三つ目が、この仕分けの山場です。AIが推奨案を出すこと自体は悪くありません。推奨案を選択肢の一つとして扱い、選んだ人と理由が残る形になっているかを確かめます。データに付ける定義や持ち主の書き方は、データカタログの準備を扱った別の記事で詳しく整理しています。
段ごとの担い手と承認者の早見表
仕分けの結果を一枚にまとめると、次のような表になります。自社の業務に合わせて、承認者の欄を具体的な役職名に置き換えて使ってください。
| 段 | 業務での例 | AIに任せる範囲 | 人が持つこと | 承認する人の例 |
|---|---|---|---|---|
| データ | 配信ログ、問い合わせの受付記録、稼働ログ | 形式の整え、重複の洗い出しの下書き | 項目の定義、持ち主、取ってよいかの判断 | データの持ち主(業務部門の責任者) |
| 情報 | 週次の集計表、種類別の問い合わせ件数 | 集計、分類、要約、表の作成 | 集計の条件が定義と合っているかの確認 | 集計を使う部門の担当者 |
| 知識 | 「事例訴求は大きい企業に効く」等の知見 | 関係づけ、説明の下書き、候補の列挙 | 元のデータまで遡れるかの確認、採る知見の選択 | 分析の責任者 |
| 知恵 | 来期の予算配分、施策の打ち切り | 選択肢と根拠の整理まで | 何をする・やめるかの決定と理由の記録 | 予算と結果に責任を持つ役職者 |
表で見ると、AIに任せる範囲は上の段に行くほど狭くなり、人が持つことは上の段ほど重くなります。注意したいのは、データの段にも人が持つことが残っている点です。定義と持ち主を決める作業は、一番下の段にある人の仕事です。ここをAIに丸ごと任せると、整っているように見えるが誰も意味を説明できない表ができあがります。
データの段には、もう一つ人が持つことがあります。そのデータをAIに渡してよいかの判断です。先のシラバス案は、目標とする技能の一つに、機密情報、個人に関する情報、契約上利用制限のある情報をAIに入力することによる情報漏えいを避けるため、組織内のAI利用の決まりを守ることを挙げています。配信ログや問い合わせの記録には、取引先の名前や担当者の連絡先が混ざりがちです。渡してよい項目と渡さない項目を、データの持ち主が先に決めておくと、情報の段の作業をAIに任せやすくなります。
知恵の段の承認は、理由を先に書く形にする
知恵の段で人が承認するといっても、AIの推奨案に判を押すだけなら、実質的にはAIが決めているのと変わりません。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)は、AIへの過度な信頼や依存を「自動化バイアス」と呼び、注意を促しています。
同じガイドラインは、対策の例として、AIの評価や判断を人間が承認する際には、承認する理由や根拠を人間自身が独自に考えてから承認することなどが提案されていると紹介しています。知恵の段の承認にそのまま使える考え方です。
実務に落とすなら、承認の記録の様式を変えます。AIの推奨案を見る前に、承認する人が「自分ならどうするか」と「その理由」を一行で書き、そのあとで推奨案と見比べて決める順番にします。推奨案と違う決定をした場合こそ、理由を残すようにすると、次の判断の材料になります。手間は増えますが、知恵の段だけに絞れば負担は限られます。
下の段の誤りを上に流さないための確認の項目
知識の段に上がってきたAIの知見を採る前に、何を確かめればよいのでしょうか。先のシラバス案は、目標とする技能の一つに、AIを活用した分析結果を意思決定に使う前にその妥当性を確認することを挙げ、確認の例を示しています。社内の確認項目を作るときの出発点として、そのまま使えます。
- 利用データの範囲:どの部署・どの媒体のデータが入っていて、何が入っていないか
- 対象期間:比べている期間がそろっているか、季節の山や施策の切り替えを挟んでいないか
- 集計条件:「問い合わせ」「商談」などの数え方が、データの定義と合っているか
- 利用項目:知見の根拠になった項目は何か、別の項目で言い換えられていないか
- 分析前提:AIに渡した指示文に、結論を誘導する前提が紛れ込んでいないか
- 出力結果の整合性:同じ数字が、表と文章とで食い違っていないか
この確認は、AIに自己点検させて済ませないことが大切です。AIに「この分析に問題はないか」と聞いても、渡した範囲の中でしか答えられません。データの範囲や集計の条件が定義と合っているかは、データの持ち主に聞かないと分からないことが多いからです。確認した人の名前を、知見の一覧に一列足して残します。
データ整備の投資をどの段に置くか
冒頭の「データ基盤にお金をかけたのに、決め方が変わらない」という声も、4段で見ると原因が見えやすくなります。データ基盤への投資は、主にデータの段と情報の段を強くするものです。データを集めて置き、集計できる状態にする。ここまで整っても、知識の段と知恵の段の仕組みが変わらなければ、会議の決め方は変わりません。
逆に、生成AIの導入が進んでいる会社では、知識の段の道具ばかりが増え、データの段の整備が後回しになっていることがあります。知見を出す仕組みは次々に試されるのに、数字の定義は部署ごとにばらばらのまま。上の段の道具を足すほど、下の段の誤りを速く広く運ぶことになります。
投資の置き場所を決めるときは、仕分け表で「誤りが一番高くつく段」に印が付いた業務から順に、その段の手当てを優先します。月次の報告が重い業務ならデータの定義と持ち主を、施策の方向を決める業務なら知見を遡って確かめる体制を、決定が戻しにくい業務なら承認の記録の様式を先に整えます。どこに予算を置くか自体が知恵の段の決定なので、AIの提案は材料にとどめ、責任者が決めます。
仕分けがずれやすい施策の型
実際に仕分けを進めると、段の判定がずれやすい施策がいくつか出てきます。名前や見た目が下の段の仕事に見えても、中身が知恵の段に踏み込んでいるものです。
- 「自動レポート」が結論の一文まで書いている:集計は情報の段だが、末尾の「来月は〇〇を強化すべき」は知恵の段の出力になっている
- 予算の自動配分が既定でオンになっている:広告の配分をAIに任せる設定は、知恵の段の一部を渡している。上限と見直しの周期を人が決めていない
- 社内検索の答えがそのまま手順書に載る:文書を横断した説明は知識の候補なのに、確かめないまま社内の決まりとして扱われる
- 知見の一覧に優先度の列がある:AIが付けた優先度が、そのまま会議の議題の順番になっている
- データの定義をAIに推測させている:項目名から意味を推し量らせた定義が、持ち主の確認なしに使われている
どの型も、AIが出力すること自体を止める必要はありません。止めるべきは、段を一つ上がるときに人の確認が抜けていることです。結論の一文はレポートから外して「選択肢」の欄に移す、配分の自動化には上限を付ける、といった形で、人が持つ場所を戻します。
仕分けを見直す周期と、見直すきっかけ
一度作った仕分けは、放っておくとずれていきます。製品の更新で、集計しかしなかった機能が推奨案まで出すようになることがあるからです。四半期に一度、仕分け表と実際の出力を見比べる時間を取り、次のきっかけがあったときは臨時に見直します。
- 使っている製品の更新で、出力に推奨案・優先順位・自動の実行が加わった
- AIに渡すデータの範囲を広げた、または新しい部署のデータを加えた
- データの定義や持ち主が変わった、担当者が異動した
- 知恵の段の決定が外れ、原因がどの段にあったかを振り返ることになった
- AIエージェントのように、AIが自分で次の操作を進める仕組みを入れた
最後の項目は特に重要です。AIが自分で操作を進める仕組みは、情報や知識の段の仕事を超えて、実行まで進めます。シラバス案がAIエージェントの欄に最終承認と例外処理を並べたのも、この点に関わります。どの操作の前に人の承認を挟むかを、仕分け表に書き足してから使い始めてください。
見直しの材料として欠かせないのが、知恵の段で決めたことの結果です。シラバス案は、意思決定の後に、取り組みの実績を目標値と比べ、差とその要因を整理する技能も挙げています。予算を寄せた施策が狙いどおりだったか、外れたならどの段の誤りが原因だったかを振り返ると、その結果は新しい情報と知識として下の段に戻ってきます。決定の結果を記録してデータの段に戻す流れまで含めて、4段を一回りさせる設計にしておくと、仕分け表は使うたびに確かになっていきます。
- DIKWモデルとAI利活用の項目の位置づけ、データマネジメントの不備によるリスクの例、AIによる分析結果の確認の例は、情報処理推進機構「新試験制度のシラバス案について」(2026年6月30日公開、9月30日更新)で公開された、データマネジメント試験(仮称)シラバス案(第0.1版)に基づきます。案は変更される可能性があります
- 自動化バイアスと、承認する理由を独自に考えてから承認する対策の例は、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月31日公表)に基づきます
- 広告運用と情報システム部門の4段の例は、仕分けの考え方を示すための説明用の例です
まとめ
DIKWモデルで社内のAI施策を見ると、生成AIが担い手を変えたのは、データを情報に、情報を知識に変える下の2段だと分かります。知識を知恵に変える段、つまり何をするか、何をやめるか、どこに予算を置くかを決める段は、価値の選び方と責任を伴うため、人が持ちます。下の段の誤りは上の段で増幅されるので、データの定義と持ち主を決める作業も人の持ち場に残ります。
施策は名前ではなく入力と出力で段に仕分け、段ごとに担い手と承認者を表にします。AIが出した知見は元のデータまで遡れるものだけを採り、知恵の段の承認は理由を先に書く形にします。どの段の誤りが一番高くつくかは業務の責任者が決め、製品の更新やデータの範囲が変わったときに仕分けを見直してください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
