データ分析は外注かAIで内製か|頼む前に分ける3つの仕事

データ分析は外注かAIで内製か|頼む前に分ける3つの仕事

「毎月の分析レポートを外部に頼んでいるが、対話型のAIに表を読ませたら似たものが半日で出てきた」「外注を減らせと言われたものの、社内で回せるのがどこまでなのか分からない」。マーケ責任者や経営企画の担当者から、こうした声を聞く機会が増えました。AIのデータ分析の機能で集計の手間が小さくなったのは確かなので、発注を見直したくなるのは自然な流れです。ただ、決めるべきは外注か内製かの二択ではありません。本当は、今まとめて頼んでいる分析の仕事を3つに割り、仕事ごとに頼み先を決めることです。この記事では、頼む前に分ける3つの仕事と、仕事ごとの頼み先の決め方を整理します。


カメ先生カメ先生

分析の外注は、集計も、問いの組み立ても、データの準備も、まとめて1つの見積もりに入っていることが多いんだ。AIが安くしたのは、そのうちの一部なんだよ。


カメ子カメ子

一部だけなのですか。レポートが丸ごと出てくるなら、全部を社内に戻せそうに見えますが。


カメ先生カメ先生

出てくるのは集計と図と、一次の読み取りまでだね。どの問いを立てるか、数字が統計として確かか、結論をどこまで言い切るかは、AIに任せられない。そこを誰が持つかで頼み先が変わるんだ。


カメ子カメ子

では3つに割ったあと、どれを外に残すかは、何を手がかりに見分ければよいのでしょう。


この記事のポイント
  • 分析の仕事は「集計と可視化・一次の読み取り」「問いの設計と統計の検算」「データの土台づくり」の3つに割ってから頼み先を決める
  • AIで社内に寄せやすいのは1つ目だけ。2つ目と3つ目は、社内に持てる人がいるかで外に頼むかが決まる
  • 外に頼む仕事にも、社内で検収の基準を持つ。問いの立て方・統計の検算・結論の言い切りはAIに任せない

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目次

外注か内製かを決める前に、分析の仕事を3つに割る

分析会社や広告代理店に頼んでいる「分析」の中身を見積書から書き出すと、たいてい性質の違う仕事が混ざっています。毎月の数字を集めて表とグラフにする仕事、何を確かめるために分析するのかを決めて結果が統計として確かかを確かめる仕事、そして分析の元になるデータを集めてつなぎ、使える形に整える仕事です。

この記事では、1つ目を「仕事1:集計と可視化・一次の読み取り」、2つ目を「仕事2:問いの設計と統計の検算」、3つ目を「仕事3:データの土台づくり」と呼びます。3つは求められる技能も、間違えたときの影響も違います。集計の誤りは表を見れば気づけることが多い一方、問いの立て方の誤りは、正しい集計のまま間違った結論へ進んでしまいます。

3つをまとめて1社に頼んでいると、どこに費用がかかっているのかが見えません。AIで安くなるのは主に仕事1なので、まとめたまま「AIがあるから外注をやめる」と決めると、仕事2と仕事3まで一緒に手放すことになります。割らずに決めると、安くなった部分と一緒に、社内に持つ人がいない仕事まで抜け落ちるのです。

この記事が扱うのは、分析の仕事を誰に頼むかの判断です。AIを使った分析の手順や、問いの立て方・データの渡し方そのものは、マーケのデータ分析にAIを活かす方法を扱った別の記事で整理しています。アンケートなど市場の調査を自前でやるか外部に頼むかも、調査の外注を扱った別の記事に譲ります。

AIが変えたのは、集計の手間の値段

対話型のAIには、表計算のファイルを渡すと、AIが計算の手順を書いて実行し、集計表やグラフを返す機能があります。以前なら担当者が関数を組み、グラフの体裁を整えるのに半日かけていた作業が、質問を何度か言い直すうちに形になります。

この変化で安くなったのは、決まった問いに対して、決まったデータから表と図を作る手間です。月次の問い合わせ数の推移、広告の媒体ごとの費用と成果の比較、展示会で集めた名刺の商談化の割合など、毎回同じ形で出すレポートの多くはこれに当たります。

一方で、安くなっていないものもあります。どの数字を見れば経営の問いに答えられるのかを決める手間、出てきた差が偶然の揺れの範囲かどうかを確かめる手間、データが部署ごとに散らばっていて、そもそも1つの表にならない状態を直す手間です。これらはAIが計算してくれても、計算の前提を決める人がいなければ進みません。

AIが返す答えの確かめにも手間が残ります。計算を実行して答えるAIの答えは、計算の過程を読めば確かめられますが、読む人が要ります。この確かめ方は、コパイロットのアナリストで計算の過程を読む検算を扱った別の記事に詳しく書いています。集計の値段は下がっても、確かめる人の値段は下がっていないと考えておくと、発注を見直すときの見当違いが減ります。

仕事1:集計と可視化・一次の読み取りは、AIで社内に寄せる

仕事1は、3つの中でいちばん社内に寄せやすい仕事です。毎月同じ形のレポートなら、元のデータの出どころと、集計の条件と、出す表の形が決まっています。条件を文章で書いておけば、担当者が替わってもAIに同じ手順で表を作らせられます。

社内に寄せるときの目安は3つあります。元のデータを社内の人が自分で取り出せること、集計の条件を文章で書けること、出てきた表を前月の数字と見比べて違和感に気づける人がいることです。3つがそろっていれば、外に頼んでいた月次のレポートは、社内でAIを使って回せる見込みが高くなります。

一次の読み取り、つまり「先月より問い合わせが2割増えた」「この媒体だけ費用あたりの成果が落ちている」といった、表から読める事実の書き出しも、AIに下書きさせられます。ただし、下書きの一文ごとに、どの表のどの数字から言えるのかを添えさせます。根拠の数字を添えられない文は、報告に載せません。

社内に寄せる準備として、今まで外から届いていたレポートを1本選び、同じものを社内でAIを使って作ってみる方法があります。2か月ほど並べて作り、数字が一致するか、読み取りの差がどこに出るかを見ます。並べて作る期間を置かずに切り替えると、どちらの数字が正しいのかを確かめる手がかりがなくなります。

仕事1でも、外に残したほうがよい場面

仕事1なら何でも社内に寄せられるわけではありません。外に残す判断が合うのは、データを取り出すだけで専門の手間がかかる場合です。たとえば、複数の広告の管理画面や顧客管理の仕組みから毎月データを抜き出し、つなぎ合わせるまでを外部が自動の仕組みで回している場合、社内に戻すと抜き出しの作業が丸ごと担当者に乗ります。

集計の量が多く、頻度が高い場合も考えどころです。毎週、数十の商品や地域ごとに同じ表を作るような仕事は、AIに1回ずつ頼むより、集計の仕組みそのものを作ってしまうほうが確かです。毎回AIに頼む形では、頼むたびに答えが少しずつ揺れることがあるからです。仕組みを作るなら、それは仕事3の話になります。集計の仕組みを外部に作ってもらい、出てきた表の読み取りだけを社内でAIに手伝わせる、という分け方もとれます。

社外に見せる数字も慎重に扱います。投資家向けの資料や業界団体に出す数字、取引先との契約の条件にかかわる数字は、間違えたときの影響が大きくなります。社内でAIを使って作るとしても、第三者の目で確かめる工程を外に残しておく価値があります。

反対に、担当者が自分の施策を振り返るための小さな集計は、最初から外に頼む必要はありません。1回きりの問いに見積もりと発注の手間をかけるより、AIで手元で回したほうが早く、問いを変えながら試せます。社内で回す仕事と外に頼む仕事の境目は、間違えたときに誰が困るかで引くと分かりやすくなります。

仕事2:問いの設計と統計の検算は、持てる人がいるかで決まる

仕事2は、分析の価値の多くが決まる仕事です。「展示会をやめるべきか」という経営の問いを、「展示会経由の商談は、他の経路の商談と比べて受注に至る割合が低いか」という確かめられる問いに直す作業がこれに当たります。問いの直し方が違えば、同じデータから違う結論が出ます。

検算は、出てきた差が意味のある差かを確かめる作業です。件数が少ないのに割合だけで比べていないか、時期の違いで条件がそろっていないか、たまたま大きな取引が1件入っただけではないか。AIは計算を正確に実行しても、計算に使う前提が妥当かまでは保証しません。前提を疑う人が要ります。

この仕事を社内で持てるかは、道具ではなく人で決まります。総務省の令和7年版情報通信白書(2025年公表)では、AI・データ解析の専門家が在籍していると答えた日本企業は20.6%で、他国の企業の約65〜80%を大きく下回っています。専門家がいない会社が多いことは、仕事2を外に頼む理由として今も残っています。

社内に専門家がいなくても、仕事2の一部は社内に持てます。問いの設計のうち、経営の問いを書き出し、何が分かれば判断が変わるかを決めるところまでは、事業を知っている人のほうが得意です。外に頼むのは、その問いを統計として確かめられる形に直す部分と、検算の部分に絞れます。

仕事2を外に頼むとき、社内に残すもの

仕事2を外に頼むときにいちばん避けたいのは、問いごと渡してしまうことです。「データを渡すので、何か示唆をください」という頼み方では、分析の方向を外部が決めることになります。返ってくる示唆は筋が通っていても、自社の判断に使えるとは限りません。

渡す前に、社内で次の3点を書いておきます。何を決めるための分析か、どんな結果なら判断が変わるか、結果をいつ誰が使うかです。この3点が書けていれば、外部は問いを確かめられる形に直す作業に集中できます。書けないなら、分析を頼む前に社内の議論が足りていないということです。

検算の結果は、手順つきで受け取ります。どのデータを除いたか、どの期間で比べたか、どの差を意味がないと判断したかを文書で出してもらいます。結論だけを受け取ると、次の分析で前提が変わっても気づけません。手順の文書は、次に社内でAIを使って同じ分析をするときの手引きにもなります。

結論の言い切りは社内に残します。外部の分析者が「この施策は効果があった」と書いても、それを経営の判断として採るかどうかは社内の責任者が決めます。分析の結論と、判断の結論は別のものです。報告の場で2つを分けて話せると、外部の分析者も無理に言い切らずに済みます。

仕事3:データの土台づくりは、作るのは外でも持ち主は社内

仕事3は、広告の管理画面、顧客管理の仕組み、名刺の記録、アクセス解析などに散らばったデータを集め、つなぎ、同じ言葉で数えられる形に整える仕事です。この土台がないと、仕事1をAIで回そうとしても、毎回データを手で集める作業から始まります。

土台づくりは専門の技能が要り、一度作れば長く使う仕事です。社内に作れる人がいない会社では、外に頼むのが現実的です。ただし、作ってもらったあとに誰がその土台の持ち主になるかは、社内で決めます。持ち主が決まっていない土台は、元の管理画面の仕様が変わったときに、壊れたまま放置されます。

持ち主の仕事は、技術の作業ではありません。どのデータがどこから来ているかを把握し、数え方を変えるときに承認し、壊れたときに外部へ直しを頼む窓口になることです。データの持ち主を中央に置くか部門に置くかの考え方は、データメッシュを扱った別の記事で整理しています。

AIに渡す前のデータの整え方や、AIに分析を頼むときに渡す前提の書き方も、仕事3に近い話です。これらは、AIの分析のためのデータ整備と、前提の渡し方を扱った別の記事に譲ります。この記事では、土台を作る仕事を外に頼むかどうかと、作ったあとの持ち主を社内に置くことだけを扱います。

仕事ごとの頼み先の早見表

3つの仕事について、AIで社内に寄せやすい条件、外に頼むのが合う条件、どちらの場合も社内に残すものを表にまとめます。自社の今の発注を当てはめるときの下敷きとして使ってください。

仕事AIで社内に寄せやすい条件外に頼むのが合う条件社内に必ず残すもの
仕事1:集計と可視化・一次の読み取り元のデータを社内で取り出せる。集計の条件を文章で書けるデータの抜き出しに専門の手間がかかる。社外に出す数字前月との見比べ。読み取りの根拠の確認
仕事2:問いの設計と統計の検算事業を知る人が問いを書ける。統計を確かめられる人がいる検算できる人が社内にいない。結論の影響が大きい何を決めるための分析か。結論の言い切り
仕事3:データの土台づくり社内に作れる人がいて、保守まで持てる作れる人がいない。長く使う仕組みにしたい土台の持ち主。数え方を変えるときの承認

表の右端の列は、頼み先がどちらでも変わりません。社内に残すものを持てないうちは、外に頼んでも内製しても、分析は判断に使えないという点が、この表のいちばん大事なところです。

表を当てはめると、多くの会社では「仕事1は社内に寄せ、仕事2の検算と仕事3の構築は外に残す」という組み合わせに落ち着きます。ただ、これは出発点です。社内に確かめられる人が育てば仕事2を戻し、土台が安定すれば保守を社内に移す、というように組み合わせは動きます。

早見表は、年に1回ほど見直します。AIの機能が変われば仕事1の範囲は広がりますし、担当者の異動で仕事2を持てる人がいなくなることもあります。見直しのときは、表の条件の列を今の自社に当てはめ直すだけで、頼み先を変えるべき仕事が見えてきます。

頼み先を決める5つの手順

早見表を使って、実際に頼み先を決める順番です。順番を決めておくと、発注の見直しが担当者の勘に左右されにくくなります。

STEP1
今の発注を3つの仕事に割る

今の見積書と納品物を並べ、各作業が仕事1・2・3のどれに当たるかを書き出す。混ざっている作業は、分けられる単位まで割る。

STEP2
仕事ごとに社内の担い手を書く

仕事ごとに、社内で持てる人の名前を書く。名前を書けない仕事は、外に頼む候補として残す。

STEP3
仕事1を並べて作ってみる

外から届くレポートを1本選び、社内でAIを使って同じものを2か月並べて作る。数字の一致と読み取りの差を記録する。

STEP4
外に残す仕事の頼み方を書き直す

仕事2と仕事3の頼み方を、何を決める分析か・検算の手順の文書・土台の持ち主の窓口が入る形に書き直す。

STEP5
検収の基準を決めて発注の条件に入れる

受け取るときに確かめる項目を社内で決め、発注の条件に入れる。基準の中身は後の節で述べる。

手順1がいちばん手間のかかるところです。見積書に「分析一式」としか書かれていない場合は、外部に作業の内訳を出してもらいます。内訳を出せない発注先は、どの作業にどれだけの手間がかかっているかを自分でも把握していないことがあり、切り分けの話し合いの手がかりにもなります。

手順3の並べて作る期間は、外部との関係を壊さないためにも役立ちます。いきなり発注を減らすと伝えるより、「月次の集計は社内で試すので、その分を検算と土台の保守に振りたい」と伝えるほうが、発注先も体制を組み直せます。

手順の中でAIに任せられるのは、見積書の作業の書き出しや、並べて作ったレポートの数字の突き合わせの下書きまでです。どの仕事を外に残すかの判断は、発注の責任者が決めます。AIは、社内に誰がいて、誰が異動する予定かを知りません。

社内に分析の人がいるかで、組み合わせは変わる

頼み先の組み合わせは、社内の顔ぶれで大きく変わります。分析を専門にする人が社内に1人いる会社では、その人が仕事2を持ち、仕事1をAIで現場に広げ、仕事3の構築だけを外に頼む形がとれます。専門の人の時間を、集計ではなく検算と問いの設計に使えるからです。

専門の人がいない会社では、仕事2を外に頼む前提で考えます。そのうえで、社内のマーケ担当者の中から、検算の結果を読んで質問できる人を1人決めておきます。自分で検算できなくても、外部の検算の手順を読んで「この期間を除いたのはなぜか」と聞ける人がいれば、丸投げにはなりません。

情報システムの部署がある会社は、仕事3を社内で持てる可能性があります。ただ、情報システムの部署はマーケのデータの数え方までは知らないことが多いので、土台を作る人と、数え方を決める人を分けておきます。情報システムの部署の仕事を外に委ねる範囲は、情シスの外部委託を扱った別の記事で整理しています。

人を育てて仕事2を社内に戻す計画を立てる場合も、最初から全部を戻す必要はありません。まず外部の検算の手順を社内の担当者が読み、次に簡単な比較を自分で確かめ、最後に問いの設計から任せる、という段階を踏みます。マーケの仕事全般を社内に戻す進め方は、内製化を扱った別の記事に譲ります。

外に頼む仕事にも、検収の基準を社内で持つ

外に頼む仕事を残すなら、受け取るときの基準を社内で持ちます。基準がないと、納品物が届いた時点で「分析が終わった」ことになり、中身を確かめる人がいなくなります。AIで外部の作業が速くなった分、納品物の量が増え、確かめない習慣がつきやすくなっている面もあります。

検収の基準は、仕事ごとに分けて書きます。仕事1なら、前月の数字と一致しているか、集計の条件が文書どおりか。仕事2なら、何を決めるための分析かに答えているか、除いたデータと理由が書かれているか。仕事3なら、データの出どころと更新の頻度が一覧になっているか、壊れたときの連絡先が決まっているかです。

外部がAIを使って作業する場合も増えています。これ自体は悪いことではありませんが、AIをどの作業に使い、誰が確かめたかを納品物に書いてもらうようにします。AIの下書きを人が確かめずに納めた分析は、社内でAIに作らせたものと、確かめの深さが変わりません。

検収の基準は、発注の前に外部と共有します。受け取ってから基準を持ち出すと、追加の作業として費用の話になりがちです。基準を発注の条件に入れておけば、確かめる作業も見積もりの中に入ります。基準の文書は、社内でAIを使って回す仕事1の確かめにも、そのまま使えます。

個人データを含むデータを外に渡すときの決まり

顧客の名前や連絡先、商談の記録など、個人データを含むデータを分析のために外部に渡す場合は、個人情報保護法の委託の決まりが関わります。個人情報保護委員会のよくある質問では、委託に伴って個人データを提供する場合は本人の同意なく提供できる一方、委託先の監督が求められると説明されています(法第25条・第27条第5項第1号)。

実務では、委託の契約を結び、委託先での取り扱いの状況を把握することが前提になります。分析会社が別の会社に再び委託する場合や、分析に外部のAIのサービスを使う場合に、データがどこまで渡るのかも、契約の前に確かめておきます。

社内でAIを使って分析する場合も、個人データの扱いは同じように考えます。社内の担当者が、会社として使ってよいと決めていないAIのサービスに顧客の一覧を読ませれば、外部に渡したのと変わらない状況になり得ます。使ってよいサービスと、入れてよいデータの範囲は、会社の決まりで先に決めておきます。

分析に、個人を特定できる情報が要らないことも多くあります。媒体ごとの件数や割合を見るだけなら、名前や連絡先の列を消し、社内の番号に置き換えてから渡せば足ります。渡すデータを減らせば、委託先の監督で確かめる範囲も小さくなります。

  • ここで挙げた法律の扱いは、個人情報保護委員会のよくある質問の説明の範囲です。個別の契約や、海外のサービスを使う場合の扱いは、法務の担当者に確かめてください。
  • データから消した列と置き換えの方法は、記録に残しておきます。後で元のデータと照らし合わせる必要が出たときの手がかりになります。

費用は、見積もりを仕事ごとに割ってから比べる

外注と内製の費用を比べるとき、外注の見積もりの総額と、AIの利用料だけを並べると判断を誤ります。社内で回す場合の費用には、AIの利用料のほかに、担当者が集計の条件を書き、結果を確かめる時間が入ります。

比べるときは、見積もりを3つの仕事に割ったうえで、仕事ごとに社内で回した場合の時間を見積もります。仕事1は、並べて作った期間の記録から時間を出せます。仕事2と仕事3は、社内で回すなら人を育てる時間や採る費用まで入れて比べます。そうしないと、社内のほうが安く見えるだけの比較になります。

分析会社の費用は、仕事の範囲と頻度で大きく変わり、公開された統一の相場はありません。相場の数字を探すより、自社の見積もりを仕事ごとに割り、複数の会社に同じ割り方で見積もりを出してもらうほうが比べやすくなります。割り方をそろえれば、どの会社がどの仕事を得意としているかも見えてきます。

費用の比較もAIに下書きさせられますが、比べる項目を決めるのは発注の責任者です。AIが出した比較表は、社内の担当者の時間の見積もりが楽観的になりやすい点に気をつけます。担当者が他の仕事と掛け持ちする場合の時間は、本人に確かめてから入れます。

頼み先を変えるときによくある失敗

分析の頼み先を見直すときに、よく見かける失敗を挙げます。どれも、仕事を割る前に結論を出したときに起きやすいものです。

  • AIで月次レポートが作れたので、分析の外注を一度に全部やめる
  • 外部に「データを渡すので示唆をください」と、問いごと渡す
  • 外部が作った集計の仕組みの持ち主を決めず、担当者の異動で誰も直せなくなる
  • 外部の見積もりの総額と、AIの利用料だけを並べて安いほうを選ぶ
  • AIが書いた読み取りを、根拠の数字を確かめずに経営会議の資料に載せる
  • 外部の納品物を検収の基準なしで受け取り、次の発注でも同じ形を続ける

どの失敗も、仕事を割らずに決めたことと、社内に残すものを決めなかったことから起きています。外注を続けるか減らすかより先に、何を社内に残すかを決めると、ほとんどは防げます。

失敗に気づいたら、手順1に戻って今の分担を書き出し直します。すでに外注をやめてしまった場合も、仕事2の検算だけを単発で外に頼む形で立て直せることがあります。

見直しの結果は、次の発注の前に社内で共有します。誰がどの仕事を持ち、外にはどの仕事を頼んでいるかが1枚にまとまっていれば、担当者が替わっても同じ失敗を繰り返さずに済みます。

AIに任せる仕事と、人が決める3つ

最後に、AIをどこまで使い、どこから人が決めるかを整理します。AIに任せてよいのは、集計と可視化、表から読める事実の書き出し、見積書の作業の洗い出し、納品物の数字の突き合わせの下書きです。いずれも、根拠の表と数字を添えさせることを条件にします。

人が決めるのは3つです。1つ目は問いの立て方で、何を決めるための分析かは事業の責任者が書きます。2つ目は統計の検算で、差が意味のある差かは、社内か外部の確かめられる人が見ます。3つ目は結論の言い切りで、分析の結果を判断として採るかは責任者が決めます。

この3つは、頼み先がどこであっても変わりません。外に頼んでも、社内でAIを使っても、3つを誰が持つかを先に決めておきます。人が確認する範囲を先に決めておけば、AIの機能が変わって仕事1の範囲が広がっても、分担を一から考え直す必要はありません。

分析をAIで進める会社が増えるほど、確かめる人の価値は上がります。外に頼むにせよ社内に置くにせよ、確かめる人への費用は削らずに残し、浮いた集計の費用を、確かめる仕事に振り向けるのが、AIの時代の分析の頼み方です。

まとめ

データ分析を外注するかAIで内製するかは、二択で決める問いではありません。今の発注を、集計と可視化・一次の読み取り、問いの設計と統計の検算、データの土台づくりの3つの仕事に割り、仕事ごとに頼み先を決めます。AIで社内に寄せやすいのは集計と可視化で、並べて作る期間を置いてから切り替えます。問いの設計と検算、土台づくりは、社内に持てる人がいるかで外に頼むかが決まり、外に頼む場合も、何を決めるための分析か、検収の基準、土台の持ち主は社内に残します。問いの立て方・統計の検算・結論の言い切りはAIに任せず、人が決める。この分担を先に決めておけば、AIで浮いた費用を、確かめる仕事に回せます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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