売上分析は増減の要因から読む|AIに切り口を総当たりさせる

「前年より売上が8%増えたのに、何が効いたのかを会議で説明できない」「BIの画面で切り口を変えて眺めているうちに、月次の締めが終わってしまう」。経営企画や営業企画の担当者から、報告の時期が来るたびに聞こえてくる声です。説明に詰まるのは、担当者の腕の問題とは限りません。管理会計では、売上の差を「販売価格差異」と「販売数量差異」の足し算に割って読む方法が昔から決まっていて、品目の構成の違いまで分ける計算もあります。つまり売上分析は、グラフを並べて目立つ所を探す作業ではありません。本当は、増減を単価・数量・顧客数・構成の要因に割ってから、どれが効いたかを読む作業です。この記事では、BtoBの取引データを前提に、要因に割る順番、AIに切り口を総当たりさせる手順、説明のつかない残りの扱い、報告に採る切り口の選び方を整理します。
カメ先生売上分析というと、品目別や地域別のグラフを並べることだと思われがちなんだけど、本当は、増えた額と減った額を理由ごとの塊に割り直すことなんだ。
カメ子グラフを何枚並べても、なぜ増えたかまでは書いていない、ということですか。
カメ先生そう。単価が上がったのか、たくさん売れたのか、買う会社が増えたのか、高い品目の比率が上がったのか。割り方の候補が多いから、計算はAIに総当たりさせて、どれを原因と呼ぶかは人が決めるんだ。
カメ子計算することと、原因だと言い切ることは、別の仕事なんですね。
- 売上の前年差・予算差は、単価・数量・顧客数・構成の4つに割ってから読む。割る順番で各要因の額が変わるので、順番を先に決めて毎月固定する
- 顧客と品目と月の取引データを渡し、切り口ごとの計算・増減コメントの下書き・説明のつかない残りの提示をAIに総当たりさせる
- どの切り口を報告に採るか、一時要因の扱い、結論と打ち手は人が決める。AIの計算は元の表で検算してから使う
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売上分析は、増えた所探しではなく増減の割り直し
売上分析という言葉は広く使われ、店舗の日別の売上から、上場企業の決算の説明まで指します。この記事が扱うのは、BtoBの企業が自社の取引データで、月次や四半期の売上の増減を説明する場面です。データの単位は、どの顧客に、どの品目を、いつ、いくつ、いくらで売ったかという取引の1行で、レジの記録や来店した人の数は扱いません。
増えた所探しの分析では、品目別・地域別・担当者別に表を並べ、前年より伸びた列に印を付けます。これは「どこで」には答えますが、「なぜ」には答えません。同じ品目が伸びていても、値上げが効いたのか、数量が増えたのか、新しい顧客が付いたのかで、次の期にとる手はまったく違います。どこで増えたかと、なぜ増えたかは、別の問いです。
増減の割り直しは、売上の差額を理由ごとの塊に分け、足し算の形に並べ直す作業です。管理会計では予算と実績の差を「差異」と呼び、売上高の差異を販売価格差異と販売数量差異に分けます。この記事はこの考え方を前年との差にも当てはめ、さらに顧客数と構成の軸を足して、4つの要因で読みます。
隣り合う分析との線も先に引いておきます。継続して払われる契約の収益を、新規・拡大・縮小・解約の4つの動きに割る方法は、別の記事「ARRとMRRを4つの動きに分解する」で整理しています。本稿は契約の更新ではなく、取引全体の売上の増減を扱い、先の見通しの予測や、重点品目を大きい順に区分する話には入りません。
増減を割る4つの要因:単価・数量・顧客数・構成
1つ目の単価は、1単位あたりの売値です。値引きを差し引いた後の、実際に受け取った額で数えます。2つ目の数量は、売れた数です。売上高は単価と数量のかけ算なので、売上の差は、この2つのどちらがどれだけ動いたかに割ることができます。ここまでは管理会計の差異分析と同じです。
3つ目の顧客数は、数量をさらに「買った会社の数」と「1社あたりの数量」に割る軸です。BtoBでは、取引のある会社の数が数十から数千と限られ、1社の動きが全体に大きく響きます。買う会社が増えたのか、同じ会社がたくさん買ったのかで、営業の手の打ち方は逆になります。この軸では、顧客を新規・継続・離脱の3つに分けて数えます。
4つ目の構成は、品目や業種の比率です。品目ごとに単価が違うと、どの品目の値段も変えていないのに、安い品目の比率が上がっただけで、全体の平均の単価が下がります。この動きを単価の変化と混ぜると、「値下げをしていないのに単価が下がった」という説明のつかない報告になります。構成は、単価の中から切り出して別に置きます。
| 要因 | 何が動いたか | 割るのに要る列 | 次の手の例 |
|---|---|---|---|
| 単価 | 1単位あたりの売値(値引き後) | 数量、値引き後の金額 | 値上げの浸透の確認、値引きの基準の見直し |
| 数量 | 売れた数 | 数量、品目 | 在庫や納期、供給の制約の確認 |
| 顧客数 | 買った会社の数と1社あたりの数量 | 顧客コード、取引のあった月 | 新規の獲得、離脱の理由の聞き取り |
| 構成 | 品目・業種・販路の比率 | 品目区分、顧客の業種 | 売る品目の重み付け、販路ごとの方針 |
手順1:前年差と予算差を、同じ表から出す
最初に、何と比べるかを決めます。前年との差は市場や顧客の動きを映し、予算との差は計画の前提とのずれを映します。経営会議ではどちらも聞かれるので両方を出しますが、計算はどちらも同じ取引の表から行います。前年差は売上の帳票から、予算差は予算の表から別々に作ると、締めの基準の違いで数字が合わなくなるからです。
予算の持ち方で、割れる深さが決まる点にも注意します。予算が品目別の金額でしか作られていないと、予算差は単価と数量に割れません。顧客数の軸も、予算に顧客の数が入っていなければ割れません。予算差を4つの要因で読みたいなら、次の予算から、品目ごとの数量と単価の前提を残しておく必要があります。今期は前年差を4つで、予算差は割れる所までで出すのが現実的です。
期間の揃え方も、ここで決めます。締め日、営業日の数、売上を立てる基準(出荷した時点か、相手が受け取りを確かめた時点か)が前年と違うと、要因の分解より前に差が生まれます。季節や営業日の並びの影響を切り分ける方法は、別の記事「前年同月比だけでは判断できない」にまとめています。
最後に、全体の差額を1つの数字で確定させます。たとえば「前年比で4,000万円の増加」と決めたら、以後のどの分解も、塊の合計がこの数字と一致しなければなりません。この数字が、後でAIの計算を検算するときの基準になります。全体の差額が決まらないまま分解を始めると、どの数字も確かめようがありません。
手順2:単価と数量に割る。計算の順番で額が変わる
単価と数量への割り方は、管理会計の慣例に沿うと次のとおりです。価格の差は、今年と前年の単価の差に、今年の数量をかけたものです。数量の差は、前年の単価に、今年と前年の数量の差をかけたものです。この2つを足すと、売上の差額にぴったり一致します。比べる相手が予算なら、前年の数字を予算の数字に置き換えます。
例で確かめます。ある品目の前年は単価1,000円で1万個、売上1,000万円でした。今年は単価1,100円で9,500個、売上1,045万円です。差額は45万円の増加です。価格の差は、単価の差100円に今年の9,500個をかけて95万円の増加。数量の差は、前年の単価1,000円に数量の差のマイナス500個をかけて50万円の減少。足すと45万円の増加で、差額と合います。
ところが順番を逆にして、数量の差を今年の単価1,100円で、価格の差を前年の1万個で計算すると、数量の差は55万円の減少、価格の差は100万円の増加になります。合計は同じ45万円でも、要因ごとの額が5万円ずれます。この5万円は、単価の差と数量の差が重なった部分で、どちらの要因に入れるかは計算の決め方しだいです。
どちらが正しいということはありません。大事なのは、社内で1つの順番に決め、毎月同じにすることです。順番が月ごとに変わると、先月は単価のおかげと言った増加が、今月は数量のおかげになり、説明の筋が崩れます。管理会計の教科書では、重なりの部分を価格の差に含める、つまり価格の差に今年の数量を使う決め方が一般的です。
- 価格の差と数量の差の計算は、管理会計の販売差異の分析(縦に単価、横に数量をとった面積の図で説明される方法)に基づいています
- 顧客数と構成の軸を足すときも、重なりの部分をどの要因に入れるかを先に決め、定義として書き残しておきます
手順3:数量を顧客数と1社あたりに割る
数量の差は、さらに「買った会社の数の差」と「1社あたりの数量の差」に割れます。考え方は単価と数量のときと同じで、数量は会社の数と1社あたりの数量のかけ算だからです。ただしBtoBでは、会社を同じ扱いで数えるより、新規・継続・離脱の3つに分けたほうが読みやすくなります。
継続は、前年と今年の両方で取引がある会社、新規は前年に取引がなく今年はある会社、離脱は前年にあって今年はない会社です。新規の売上は丸ごと増加、離脱した会社の前年の売上は丸ごと減少として置き、継続の会社だけを単価と数量に割ります。こうすると、「既存の顧客は減ったが、新規で取り返した」といった形が1つの表で見えます。
難しいのは境目の決め方です。何か月取引がなければ離脱と数えるか、年に1回しか買わない会社をどう扱うか、社名の変更やグループ会社の統合で顧客コードが変わった会社をどう結ぶか。これらは取引の実態を知っている人でないと決められません。新規と離脱の定義は人が決めて書き残し、AIにはその定義どおりに数えさせるのが分担です。
1社ごとに、どこに伸び代があるかを探す話は、別の記事「顧客単価が上がらない原因と対策」で扱っています。本稿は1社ずつの深掘りではなく、全体の増減を説明する所までにとどめます。
手順4:構成の変化を単価から切り出す
構成の動きを例で見ます。品目Aは単価1万円、品目Bは単価3万円で、前年はAとBが半分ずつ、合わせて2,000個売れたとします。今年はどちらの値段も変えず、合計の数も同じ2,000個でしたが、Aが7割、Bが3割になりました。売上は前年の4,000万円から3,200万円に減り、平均の単価は2万円から1万6,000円に下がっています。
この800万円の減少を単価の差として報告すると、「値下げしていないのに単価が下がった」という話になります。正しくは、品目ごとの単価の差はゼロで、減少の全部が構成の差です。構成の差の計算は、今年の合計の数量を前年の比率で配った場合の売上と、今年の実際の比率での売上を比べて出します。
構成の軸は品目だけではありません。業種、地域、販路、取引の規模の区分でも、同じ計算ができます。どの軸の構成を見るかで、出てくる説明が変わります。品目の構成で見ると「高い品目の比率が下がった」、業種の構成で見ると「単価の高い業種の顧客が減った」となり、どちらも数字としては正しいことがあります。
軸を増やすほど、細かい塊が増え、それぞれの額は小さくなります。全部を報告に載せると、何が効いたのかがかえって見えなくなります。構成の軸は、報告に載せるのは多くても2つまでと決め、候補の計算はAIに総当たりさせ、どれを載せるかは後の手順で人が選びます。
AIに渡す取引データの形を整える
AIに総当たりさせる前に、データの形を整えます。基本は、1行が1件の取引か、顧客と品目と月の組み合わせごとに集計した1行です。列には、年月、顧客コード、顧客の業種、品目コード、品目区分、数量、値引き後の金額を入れます。値引きの額と返品の印は、金額の列に混ぜず、別の列で持たせます。
つまずきやすいのは、数量のない行です。運賃、手数料、まとめて行った値引き、期末の調整のように、金額だけがあって数量が0か空の行は、単価を計算すると割り算ができなかったり、とても大きな値になったりします。こうした行は、分解の前に別の区分に分けておき、残りの塊として最後に並べます。
顧客名や担当者名をそのまま渡してよいかは、社内のAIの扱いの決まりで判断します。分解に必要なのは顧客を見分けることだけなので、多くの場合は顧客コードと業種があれば足ります。名前を外したデータで計算させ、結果を人の手元で名前に戻すやり方なら、渡す情報を減らせます。
- 比べる2つの期間の取引が、同じ締めの基準でそろっている
- 値引き後の金額と数量が、同じ行に入っている
- 値引きの額と返品の印が、金額とは別の列にある
- 数量のない行(運賃・手数料・まとめた値引き)に印が付いている
- 顧客コードが、社名の変更や統合の後も同じ会社を指している
- 全体の差額が1つの数字で確定している
手順5:AIに切り口を総当たりさせる
総当たりとは、4つの要因と、品目・顧客・業種・地域・担当といった軸のすべての組み合わせで分解を計算し、寄与の大きい順に並べることです。人が手で回すと、思いついた2つか3つの切り口で止まりますが、AIなら数十の表を短い時間で作れます。ここが、売上分析でAIがもっとも役に立つ所です。
指示には、計算の決め方を全部書きます。AIに任せるのは計算であって、決め方ではないからです。最低限、次の項目を入れます。
- 比べる2つの期間と、全体の差額の数字
- 単価と数量の計算の順番(価格の差は今年の数量で計算する、など)
- 新規・継続・離脱の定義(何か月取引がなければ離脱か)
- 構成を見る軸の候補と、数量のない行の扱い
- 出してほしい表の形と、塊の合計が全体の差額と一致するかの確認
- 計算は推測でなく表の上で実際に行い、各数字に計算のしかたを添えること
あわせて、増減コメントの下書きを頼みます。切り口ごとに、寄与の大きい塊を3つずつ、額と根拠になった行の範囲を添えて文にさせます。理由の言葉を付けてよいのは、データに書かれている事実だけと指示します。「値上げが浸透したため」とAIが書いても、値上げの時期がデータに無ければ、それは推測です。推測の理由は書かせず、人が営業に確かめる欄として空けておきます。
AIの分解で起きやすい誤り
AIの分解は速い一方で、見た目の整った表に誤りが紛れます。とくに多いのは、決め方を指示しなかった所で、AIがその場で別の決め方を選んでしまう形です。表の数字だけを見ても気づきにくいので、典型を知っておきます。
- 単価と数量が重なった部分を、ある表では価格の差に、別の表では数量の差に入れている
- 重なった部分を両方の要因に入れ、塊の合計が全体の差額より大きくなっている
- 新規と継続の境目があいまいで、同じ会社が両方に数えられている
- 値引きや返品の行を数量の減少として数え、数量の差を大きく見せている
- 数量のない行を除いたことを書かず、塊の合計が全体の差額と合わない
重なりの部分の置き場の誤りは、切り口ごとに別々の計算をさせたときに起きやすくなります。品目別の表と顧客別の表で決め方が違うと、同じ増加が別の要因として報告されます。指示の中で順番を1回決め、すべての表で同じ順番を使うよう、最初に念を押しておくのが防ぎ方です。
値引きと返品の混入は、データの側の問題でもあります。返品をマイナスの数量で記録している会社では、AIはそれを売れた数の減少と読みます。返品を数量の差に含めるのか、別の塊として出すのかは、人が決めて指示に書きます。どちらを選んでも、毎月同じにすることが大事です。
AIの計算は、元の表で検算してから使う
AIの表を報告に使う前に、元の取引の表で検算します。全部を計算し直す必要はありません。合計と、いくつかの抜き取りと、向きの確認で、大きな誤りはほぼ見つかります。検算は、AIを使う人とは別の人が行うと、思い込みに引きずられにくくなります。
検算で誤りが見つかったときは、その表だけを直すのではなく、指示のどこに決め方の抜けがあったかを探します。誤りの多くは、AIの計算の腕ではなく、指示に書かれていなかった決め方から生まれます。抜けを指示のひな形に書き足せば、翌月は同じ誤りが出にくくなります。
手順6:説明のつかない残りを、消さずに書く
要因に割っても、どの塊にも入らない額が残ることがあります。中身は、数量のない行、データの欠け、締めのずれ、顧客コードが結べなかった取引などです。この残りを「その他」に混ぜたり、どれかの要因に寄せたりすると、分解の表はきれいになりますが、何が分かっていないかが見えなくなります。
残りは1行として表に出し、額と、全体の差額に占める割合を書きます。そのうえで、中身の候補を並べます。説明のつかない残りを書いた報告は、書かない報告より信頼されることが多いものです。何が分かっていて何が分かっていないかの線が、読む人に見えるからです。
残りが大きいときは、分解の前提が間違っているしるしです。たとえば、全体の差額の1割を超える残りが出たら、数量のない行の扱いか、新規と離脱の境目か、締めの基準を見直す、という目安を社内で決めておきます。目安の水準は会社ごとに違ってよく、大事なのは毎月同じ目安で見ることです。
AIには、残りの中身の候補を挙げさせるところまで任せます。「数量が空の行が何件で合計いくら」「前年にあって今年に無い顧客コードのうち、似た社名がある会社がいくつ」といった事実の洗い出しは得意です。ただし、どの候補が本当の理由かは、元の帳票や営業の話で確かめるまで決めさせません。
一時要因の扱いは、人が決めて注記する
一時要因とは、毎期くり返さない理由で生じた増減です。BtoBでは、1回きりの大口の案件、顧客の都合による注文の前倒しや後ろ倒し、価格改定の前の駆け込み、災害や欠品による出荷の止まりなどが典型です。これらが分解の表に混ざると、来期も続く動きと、今期だけの動きの区別が付かなくなります。
扱いの基本は、分解の外で注記することです。一時要因を含めた数字と、除いた数字を並べ、除いた額とその理由を書きます。一時要因を黙って除いた数字だけを出すと、後で数字が合わないと指摘されたときに説明できません。両方を並べておけば、読む人が自分で判断できます。
何を一時要因とみなすかは、人が決めます。AIはデータから「この顧客のこの月だけ、ふだんの何倍もの注文がある」と指摘することはできますが、それが1回きりなのか、新しい取引の始まりなのかは分かりません。一時か継続かの見立ては営業の情報が要るので、AIに判断させないと決めておきます。
判断の基準も文章で残します。「1件で全体の差額の何割を超える案件は個別に確認する」「前倒しは翌期の数字が確定した時点で見直す」などです。基準が書かれていないと、担当者が変わるたびに一時要因の範囲が変わり、期をまたいだ比較ができなくなります。
手順7:報告に採る切り口を選ぶ
総当たりの結果は、数十の表になります。全部を経営会議に出すことはできないので、採る切り口を選びます。選ぶ基準は3つです。額が大きいこと、次の打ち手につながること、そして前の月から同じ向きの動きが続いていることです。額が大きくても、手の打ちようがない塊は、報告では注記にとどめます。
もう1つ、分解の結果を「原因」と呼ぶときの注意があります。分解は、差額を要因に割り振った計算であって、何が何を引き起こしたかを示すものではありません。たとえば単価の差が増加になっていても、それが値上げの結果なのか、もともと高い値段で買う会社の注文が増えた結果なのかは、計算だけでは決まりません。計算の結果を原因と言い換えるのは、人の仕事です。
原因と呼ぶ前に、裏付けを集めます。単価の動きなら値上げの実施日と対象の顧客、顧客数の動きなら新規の獲得の経路と離脱の理由、構成の動きなら営業の重点品目の変更、といった具合です。裏付けのない塊は、報告では「要因として大きいが、理由は確認中」と書きます。
採らなかった切り口も、控えに残しておきます。翌月にその切り口が大きく動いたとき、前月の数字と比べられるからです。報告に載せる表と、控えに残す表を分けて保存すると、総当たりで作った表が無駄になりません。
経営会議に出す1枚の形
経営会議に出すのは、1枚に収めます。上から、全体の差額、要因ごとの塊、説明のつかない残り、一時要因の注記、結論と打ち手、の順に並べます。読む人がまず全体の数字を見て、次にその内訳、最後に何をするかを読む流れです。各欄に何を書くかを、先に決めておきます。
| 欄 | 書くこと | 誰が書くか |
|---|---|---|
| 全体の差額 | 前年差と予算差の額と率 | 担当者(AIの計算を検算済み) |
| 要因ごとの塊 | 採った切り口で上位の塊と額 | AIの下書きを担当者が選ぶ |
| 説明のつかない残り | 額、全体に占める割合、中身の候補 | AIが候補を出し、担当者が確認 |
| 一時要因 | 含めた数字と除いた数字、理由 | 担当者が営業に確かめて書く |
| 結論と打ち手 | 何が効いたかの見立てと、次にすること | 責任者 |
この表のとおり、AIが関わるのは上の3つの欄の下書きまでです。結論と打ち手の欄は、責任者が書きます。分解の数字がそろっていても、どこに手を打つかは、予算、人手、顧客との関係といった、データの外の事情で決まるからです。結論の欄をAIの文章で埋めないことを、報告の決まりにしておきます。
増減コメントの文体も揃えます。「何が、いくら、どちらの向きに動いたか」を1文で書き、理由は裏付けがある場合だけ添えます。AIの下書きは形容の言葉が多くなりがちなので、額と向きだけが残るように削ってから載せます。
よくある質問
Q. 表計算ソフトだけでも、この分解はできますか。
できます。単価と数量の分解は、2つの期間の単価と数量を並べた列があれば、数式で計算できます。AIを使う利点は、切り口を総当たりする手間を省けることと、増減コメントの下書きを作れることです。最初の数か月は表計算で手順を固め、決め方が定まってからAIに任せると、指示に書くべき項目がはっきりします。
Q. 先月と今月で、同じ増加の説明が食い違ってしまいます。
計算の順番か、新規と離脱の定義が月ごとに変わっていないかを確かめます。また、前の月の数字が後から修正された場合、前月の分解をやり直すかどうかも決めておきます。修正をさかのぼって反映するなら、報告にその旨を書き添えます。
Q. 売上ではなく利益で分解すべきではありませんか。
目的によります。管理会計では、構成の差を、売上ではなく1単位あたりの利益で計算する方法も使われます。どの品目の比率が変わると利益にどれだけ響くかを見たいなら、利益で分解するほうが筋が通ります。まず売上で分解の手順を固め、原価のデータがそろってから利益に広げる順番が進めやすいでしょう。
Q. 取引先が数十社しかない会社でも、意味がありますか。
あります。むしろ会社の数が少ないほど、1社の新規や離脱が全体に大きく響くので、顧客数の軸がはっきり効きます。ただし構成の軸は塊が小さくなりすぎることがあるので、品目区分を粗くするなど、塊の数を減らして見ます。
まとめ
売上分析は、伸びた所を探す作業ではなく、増減を単価・数量・顧客数・構成に割ってから読む作業です。比べる相手を決めて全体の差額を確定させ、計算の順番と新規・離脱の定義を人が決めて書き残します。そのうえで、取引データを整えてAIに切り口を総当たりさせ、増減コメントの下書きと説明のつかない残りを出させます。AIの表は元の表で検算し、残りは消さずに書き、一時要因は含めた数字と除いた数字を並べて注記します。どの切り口を報告に採るか、計算の結果を原因と呼ぶか、結論と打ち手は、裏付けを集めたうえで人が決めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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