マーケティングオペレーションとは?|AIを回す裏方の持ち場

マーケティングオペレーションとは?|AIを回す裏方の持ち場

「マーケティングオペレーションという役割をよく聞くが、MAの担当者と何が違うのか分からない」「MAにAIが載ったのだから、裏方の仕事はむしろ減るのではないか」。体制を見直しているマーケ責任者からは、こうした声が出ています。一方で、道具の数は増え続けています。マーケティングの道具の業界地図を毎年まとめているスコット・ブリンカー氏の2025年版では、掲載された製品は15,384にのぼり、2011年の約150から100倍に増えました。調査会社ガートナーの2023年の調査では、マーケ部門が持つ道具の機能のうち実際に使われている割合は33%で、前年の42%から下がったと報じられています。増えた道具を回す人がいなければ、AIの機能も同じように眠ります。マーケティングオペレーションは、道具の担当者の別名ではありません。本当は、施策を回す仕組みとAIの設定を、誰がどう変えてよいかを握る持ち場です。この記事では、その持ち場の中身と、AIを回すための権限・止める条件・体制の置き方を整理します。


カメ先生カメ先生

マーケティングオペレーションは、施策を考える人や実行する人の裏で、名簿やMA、配信の条件、数字の集め方を整えて回す役割なんだ。海外のマーケ組織では、ひとつの職能として置かれることが多いんだよ。


カメ子カメ子

MAにAIの機能が付けば、その裏方の仕事はAIが代わりにやってくれるのではないですか。


カメ先生カメ先生

作業の一部は代わってくれる。でもね、AIが文面を作ったりスコアを付けたりするほど、その設定を誰が変えてよくて、おかしいときに誰が止めるかを決める仕事が増えるんだ。


カメ子カメ子

増えるという仕事は、具体的にどんな持ち場に分かれるのでしょうか。


この記事のポイント
  • マーケティングオペレーションは、名簿・スコア・配信の条件・数字の集め方を整える裏方の持ち場。施策を考える役とも、情報システム部門とも違う
  • MAやCRMにAIが載ると、指示文や既定の設定、名簿の品質、止める条件の管理がこの持ち場に集まる
  • 点検の下書きはAIに任せてよい。設定を変える権限、配信を止める判断、スコアの基準の決定は人が握り、変更の履歴を残す

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目次

マーケティングオペレーションとは:施策を回す仕組みの持ち場

マーケティングオペレーションは、マーケティングの施策を支える人・手順・道具・データをまとめて整え、施策が毎回同じ質で回るようにする役割を指します。英語の略称で呼ばれることもあり、国内でも支援会社の解説が増えてきました。目に見える成果物を作る役ではなく、成果物が正しく届く仕組みを作る役です。

担う仕事は、大きく4つに分けて説明されることが多いです。マーケティングの道具の選定と管理、名簿や行動の記録といったデータの管理、施策の手順の設計と標準化、そして成果の測り方の整備です。どれも施策そのものではなく、施策を載せる土台に当たります。

支援会社のメンバーズの解説(2024年9月)は、この役割を、現場と情報システム部門の中間に立ち、事業側の要求を理解しながら運用の体制を作る専門の組織として説明しています。戦略を描いても実行に移らない「戦略と実行の分断」をつなぐ役割だ、という捉え方です。戦略の担当でも道具の担当でもなく、その間をつなぐ持ち場と考えると分かりやすいでしょう。

この記事では、マーケ部門の中の持ち場に範囲を絞ります。営業や顧客対応まで含めて部門をまたいだ収益の仕組みを整えるレベニューオペレーションの考え方もありますが、ここでは扱いません。MAと顧客の名簿、配信、スコア、そこに載ったAIの設定を、マーケ部門の中で誰が持つかに絞って進めます。

施策の担当・分析の担当・情報システム部門との境目

持ち場をはっきりさせるには、隣の役割との境目を先に引きます。よく重なるのは、メールや広告の施策を考えて実行する施策の担当、数字を読んで報告する分析の担当、社内の道具の契約と安全を見る情報システム部門です。境目が引かれていないと、名簿の汚れや配信の事故が「誰の仕事でもない」まま残ります。

役割主に持つものマーケティングオペレーションとの境目
施策の担当配信の企画・文面・対象の選び方条件を使う側。条件の作り方と名簿の品質はオペレーションが持つ
分析の担当数字の読み取り・報告・示唆数字を読む側。数字の集め方と定義の置き場はオペレーションが持つ
情報システム部門契約・認証・安全の基準会社全体の基準を持つ側。MAの中の権限の割り当てと日々の設定はオペレーションが持つ
マーケティングオペレーション名簿・スコア・配信の条件・AIの設定・変更の記録施策の中身には口を出さず、仕組みを変える手順と記録を持つ

表の境目は、会社ごとに動かしてかまいません。大事なのは、どちらが持つかを書いておくことです。たとえば、配信の対象を選ぶ条件を施策の担当が自分で作る会社もあります。その場合でも、条件を作る手順と、作った条件の一覧を誰が点検するかは、オペレーションの持ち場として残します。

営業部門との境目も1行で触れておきます。マーケが渡したリードを営業がどう受け取るかの取り決めは、インサイドセールスとの連携を扱った別の記事で整理しています。この記事では、渡す前のスコアと名簿をマーケの中で整える所までを扱います。

数字で見る、道具が増えても使われない理由

裏方の持ち場が求められる背景には、道具の増え方があります。スコット・ブリンカー氏の業界地図は、2025年5月の版で15,384の製品を49の区分に分けて載せました。前年の14,106から約9%増え、1年の間に2,489が加わり、1,211が買収や終了で消えています。道具は毎年入れ替わり、そのたびに設定と名簿の移し替えが起きます。

一方で、持っている道具が使いこなされていないことも示されています。調査会社ガートナーの2023年の調査では、マーケ部門が持つ道具の機能のうち使われている割合は33%で、2022年の42%から下がったと、米国の業界誌が伝えています。使われにくい理由としては、道具の組み合わせの複雑さ、顧客データの問題、融通の利かない管理の仕組みが挙げられていました。

この2つの数字から読み取れるのは、道具を選んで入れること以上に、入れた道具を回し続ける人と手順が足りていないということです。数字は海外の調査で、国内の会社にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、契約した機能の3分の1しか使われていない所に、AIの機能が上乗せされると考えると、裏方の手当てなしにAIが回るとは考えにくいでしょう。

  • 製品の数はスコット・ブリンカー氏の業界地図(2025年5月公開)による。掲載の基準で数は変わる
  • 使われている機能の割合は、ガートナーの2023年の調査を米国の業界誌が引いたもの(2024年4月の記事)
  • どちらも海外の調査で、国内の会社の実態をそのまま示すものではない

MAの担当が施策の担当を兼ねている会社では、道具とAIの機能が増えるほど、設定の変更は後回しになり、誰がいつ何を変えたかが追えなくなりがちです。MAがメール配信の道具で止まる原因の1つに体制の不在があることは、MAの活用の立て直しを扱った別の記事でも触れています。次の節から、AIが載ったときにこの持ち場に何が集まるかを見ていきます。

AIが載ると、この持ち場に集まる4つのもの

MAやCRMに生成AIの機能やエージェントが載ると、裏方の仕事は減るどころか、中身が変わります。文面の下書きや対象の候補出しをAIが担う分、手作業は減ります。その代わりに、AIがどう動くかを決める設定と、その設定を誰が変えてよいかの管理が加わります。

集まるものは大きく4つです。1つ目はAIに渡す指示文や既定の設定、2つ目はAIが読む名簿と行動の記録の品質、3つ目はスコアや配信の条件のうちAIが提案する部分の承認、4つ目はAIの動きがおかしいときに止める条件です。どれも施策を考える人の仕事ではなく、仕組みを持つ人の仕事です。

とくに指示文と既定の設定は、これまでのMAにはなかった管理の対象です。配信の文面の調子、使ってはいけない言葉、参照してよい資料の範囲などが、AIの設定として書き込まれます。この設定を誰かが黙って書き換えると、翌日からの配信の文面がまとめて変わります。1行の設定の変更が、全ての配信に効くところが、手作業の時代と違う点です。

名簿の品質も、AIが入ると重みが増します。人が対象を選んでいた頃は、担当者が名簿を目で見て、おかしな行を外すことができました。AIが名簿から候補を選ぶ形になると、重複や古い連絡先、配信を止めてほしいと言われた人の記録の漏れが、そのまま候補に入ります。名簿を見張る役がいないと、AIは汚れた名簿を速く使うだけになります。

持ち場1:名簿とデータの品質を見張る

1つ目の持ち場は、名簿と行動の記録の品質を見張ることです。見る点は、同じ人が二重に登録されていないか、会社名や部署名の表記が揺れていないか、連絡先が古くなっていないか、配信を止めてほしいと言われた人が確実に除かれているか、です。

特に配信停止の記録は、漏れると法令の問題につながります。広告や宣伝のメールを送る場合、特定電子メール法では受信を拒否する連絡先を示すことなどが求められています。配信停止の記録は、MAとCRMと他の配信の道具の間で食い違いがないかを定期的に突き合わせます。

点検の作業は、AIに下書きさせやすい仕事です。名簿を書き出して渡し、重複の候補、表記の揺れの候補、長く反応のない連絡先の一覧を出させます。ただし、どの行を統合し、どの行を消すかは人が決めます。名寄せの誤りは、別の2人を1人にしてしまうので、統合の前に候補を目で確かめます。

点検の頻度と、点検の結果を誰に報告するかも持ち場の中で決めます。月に1回、重複の件数と配信停止の突き合わせの結果を1枚にまとめ、マーケ責任者に渡す形が一例です。件数の推移を残しておくと、名簿を取り込む元のどこから汚れが入っているかが見えてきます。

持ち場2:スコアと配信の条件を管理する

2つ目の持ち場は、リードのスコアと配信の条件の管理です。スコアは、見込み客の行動や属性に点数を付け、営業に渡す順番を決める仕組みです。配信の条件は、誰にどのメールをいつ送るかの決まりです。どちらも施策の担当が使うものですが、作り方と一覧は裏方が持ちます。

AIの機能が載ると、スコアの重み付けや配信の対象の候補をAIが提案する形が増えます。提案そのものは役に立ちます。ただし、スコアの基準を決めるのはAIではなく、営業と合意したマーケ責任者です。何点で営業に渡すか、どの行動を重く見るかは、営業の受け止め方と結び付いた決め事だからです。

AIの提案を採るときは、提案の根拠を書かせます。どの期間のどの行動の記録から、どの重みを変えたほうがよいと判断したのか、です。根拠が書かれていれば、裏方はそれを営業の実感と照らし合わせられます。根拠のない提案は、試す前に保留にします。

配信の条件は、一覧を1か所にまとめます。名前、作った人、作った日、対象の条件、最後に使った日を並べるだけでも、使われていない条件や、似た条件の重複が見つかります。使われなくなった条件を残しておくと、AIがそれを候補に使うことがあるので、止めた条件は止めたと書きます。

持ち場3:AIの設定と指示文を台帳にまとめる

3つ目の持ち場は、MAやCRMに載ったAIの設定と指示文を台帳にまとめることです。どの機能を有効にしているか、既定の文面の調子や禁止語をどう書いているか、AIが参照してよい資料はどれか、エージェントに任せている作業は何か、を1枚に並べます。

台帳が要るのは、AIの設定が道具のあちこちに散らばるからです。メールの画面、スコアの画面、チャットの画面、管理者の画面と、設定の場所は機能ごとに違います。設定の場所が散らばっていると、誰も全体を知らないまま、機能が1つずつ有効になっていきます。

台帳には、各設定の持ち主も書きます。文面の調子は施策の担当と広報、禁止語は広告の表現を確かめる担当、参照してよい資料は資料の持ち主、というように、中身を決める人は別にいます。裏方の役目は、中身を決めた人の承認を記録し、決めたとおりに設定されているかを確かめることです。

製品ごとのAIの機能の開き方や、料金の仕組みの細部は、製品を扱った別の記事で整理しています。ここで大事なのは、製品を問わず台帳の形を1つにしておくことです。道具を入れ替えても、台帳の形が同じなら引き継げるからです。

AIの設定の変更履歴を、人が読める形で残す

台帳と並んで欠かせないのが、変更の履歴です。AIの設定を、いつ、誰が、何から何へ変えたか、なぜ変えたかを残します。道具によっては管理者の画面に操作の記録が残りますが、記録の形式が読みにくかったり、保存の期間が限られていたりします。道具の記録とは別に、人が読める形の変更の記録を持つことを勧めます。

記録の形は、表1枚で足ります。日付、変えた人、承認した人、変えた設定、変える前、変えた後、理由、影響を見る日、の列です。影響を見る日を書いておくと、変えたまま放っておくことがなくなります。承認した人の欄が空いている行があれば、それだけで手順が守られていないと分かります。

変更の記録は、配信の事故が起きたときの手がかりになります。ある日から文面の調子が変わった、特定の層にだけ配信が増えた、といった異変があったとき、記録を読めば直前に何が変わったかが分かります。記録がなければ、原因を探すところから始まるので、事故の対応が遅れます。

AIに変更の記録を書かせる場合は、下書きまでにします。道具の操作の記録を渡して変更の要約を作らせるのは有効ですが、理由の欄は変えた本人が書きます。なぜ変えたかは、AIには分からないからです。書かれた要約が実際の設定と合っているかも、承認した人が確かめます。

権限:変える人・承認する人・見る人を分ける

AIの設定を誰でも変えられる状態は、裏方の持ち場を形だけにします。権限は、設定を変える人、変更を承認する人、見るだけの人の3つに分けます。変える人と承認する人を同じ人にしないのが基本です。少人数の部署でも、承認だけはマーケ責任者が持つ形にできます。

権限を分けるときは、道具の中の役割の設定と、社内の決まりの両方をそろえます。道具の中で誰でも変えられる設定になっていると、社内の決まりで禁じても守られません。反対に、道具で細かく制限しても、承認の手順が決まっていなければ、変える人が自分の判断で進めてしまいます。

外部の支援会社や運用代行に道具の権限を渡す場合は、渡す範囲と期間を決めます。契約が終わった後も権限が残っている、担当者が替わっても前の人の権限が残っている、といった状態は、変更の記録を読んでも誰が変えたか分からなくなる原因です。会社全体の認証の基準は情報システム部門と合わせます。

複数人でMAを運用するときのルールの項目、たとえば配信前の確認の手順やテスト配信の作法は、MAの運用ルールを扱った別の記事で一覧にしています。ここでは、そのルールを誰が持ち、AIの設定まで含めて権限を割り当てるのがこの持ち場だ、という位置付けを押さえておきます。

止める条件:配信を止める判断を誰が持つか

AIが配信の文面や対象を決める範囲が広がるほど、おかしいときに止める仕組みが要ります。止める条件とは、配信の停止を申し出る人が急に増えた、苦情が届いた、同じ人に短い間に何通も送られた、といった異変を、止める合図として先に決めておくことです。

この持ち場で大事なのは、条件の一覧よりも、止める判断を誰が持つかです。配信を止める判断はAIに任せず、決めた担当者が持つようにします。夜間や休日に異変が起きたとき、誰に連絡が行き、誰が止めてよいかを決めておきます。止める権限が責任者1人にしかないと、その人が休みの日に止められません。

止めた後に再開する判断も、同じ担当者が持ちます。原因が分からないまま再開すると、同じ事故が繰り返されます。再開の前に変更の記録を読み、直前の設定の変更を戻すかどうかを決めます。止めた日時、止めた理由、再開した日時を、変更の記録と同じ表に残します。

AIに運転を任せる前に確かめる項目、たとえば行動の記録が後から追えるか、送ってはいけない相手の一覧が最新かといった点検は、MAの運転をAIに任せる条件を扱った別の記事でまとめています。この記事の持ち場としては、止める条件を誰が書き、誰が止めるかを1枚にしておくことまでを受け持ちます。

AIに下書きさせる点検と、任せない判断

ここまでの持ち場の中には、AIに下書きさせられる作業が多く含まれます。名簿の重複の候補出し、使われていない配信の条件の洗い出し、スコアの重みの見直しの案、変更の記録の要約、止める合図に近い異変の知らせの下書きです。これらをAIに任せると、裏方の手作業は確かに減ります。

一方で、任せない判断もはっきりさせます。設定を変える権限の割り当て、配信を止めるかどうか、スコアの基準の決定、名簿のどの行を消すかです。AIの下書きは、判断する人の手元に根拠つきで届くところまでにします。次のような運用になっていたら、持ち場の線が崩れています。

  • AIが提案したスコアの重みが、承認の記録なしに反映されている
  • AIの設定を変えた理由の欄が、AIの書いた要約で埋まっている
  • 配信の異変をAIが見つけたら、そのまま自動で配信を止め、再開もAIが決めている
  • 名簿の統合をAIの候補どおりに一括で実行し、統合前の記録を残していない
  • 外部の担当者が、社内の承認なしにAIの指示文を書き換えられる

AIの下書きを使う回数が増えるほど、下書きをそのまま通したくなります。月に1回は、通した下書きの中から数件を抜き出し、根拠と実際の設定が合っているかを確かめます。抜き取りの確認を記録しておくと、下書きの質が落ちたときに早く気づけます。

体制の置き方1:専任を置くか、兼務にするか

持ち場が決まったら、誰が持つかを決めます。選び方は大きく3つで、専任を置く、施策の担当や分析の担当が兼ねる、外部の運用代行に出す、です。どれが合うかは、道具の数と配信の量と、AIの機能をどこまで有効にしているかで変わります。

専任を置く価値が大きいのは、MAとCRMのほかに複数の配信の道具があり、AIの機能やエージェントを複数有効にしている場合です。設定の場所が多いほど、台帳と変更の記録を毎日見る人が要ります。専任は、施策の数ではなく、設定の場所の数で考えると判断しやすくなります。

兼務にする場合は、持ち場の仕事を時間で区切ります。週に半日を裏方の仕事に充てる、月初めに名簿の点検をする、といった形です。区切りがないと、目の前の施策の締め切りに押されて、点検と記録が後回しになります。兼務の人が施策の担当なら、自分の施策の設定を自分で承認しないように、承認は別の人にします。

どの形でも、持ち場の責任者はマーケ部門の中に置きます。情報システム部門に任せたくなる場面もありますが、配信の条件やスコアの基準は、マーケの施策と切り離せない決め事です。道具の安全は情報システム部門、道具の中の決め事はマーケ部門と分けておくと、責任の所在がぶれません。

体制の置き方2:運用代行に出すとき手元に残すもの

MAの運用代行に裏方の仕事を出す会社もあります。人を採るより早く始められ、道具に詳しい人の手を借りられる利点があります。ただし、出すのは作業であって、持ち場の決め事ではありません。何を出して、何を手元に残すかを契約の前に書き出します。

出しやすいのは、配信の設定の作業、名簿の取り込みと点検の作業、定例の報告の集計です。手元に残すのは、スコアの基準、配信を止める判断、AIの設定を変える承認、台帳と変更の記録の持ち主の立場です。代行の担当者がAIの設定を変える場合も、承認は社内の人が行います。

契約の終わり方も先に決めます。台帳、変更の記録、配信の条件の一覧、スコアの設定の説明が、代行の会社の手元だけにある状態は避けます。契約が終わる前に、これらを社内が読める形で受け取ることを契約に書いておきます。代行の会社が替わっても、台帳の形が同じなら次の会社に引き継げます。

代行に出していても、社内に最低1人、台帳と変更の記録を読める人を置きます。読める人がいなければ、代行の会社の報告の正しさを確かめられないからです。その人は、毎月の報告と変更の記録を突き合わせ、承認していない変更がないかを見ます。

持ち場を立ち上げる5つの手順

持ち場をゼロから作るときは、次の順番で進めると手戻りが少なくなります。いきなり専任を採るより、まず今の設定と権限の現状を書き出すところから始めます。

STEP1
道具と設定の場所を書き出す

MA・CRM・配信の道具ごとに、有効にしているAIの機能と、設定の場所を一覧にする。書き出しの下書きはAIに任せてよい。

STEP2
権限の現状を確かめる

誰がどの設定を変えられるかを道具の画面で確かめ、変える人・承認する人・見る人に分け直す。割り当ては人が決める。

STEP3
台帳と変更の記録の形を決める

台帳の列と変更の記録の列を決め、今日の設定を最初の行として書く。

STEP4
止める条件と、止める人を決める

止める合図になる異変と、止める判断を持つ人、連絡の順番を1枚に書く。

STEP5
持ち場の担い手を決める

専任・兼務・運用代行のどれにするかを、設定の場所の数と配信の量で決め、手元に残す判断を書き出す。

5つの手順のうち、最初の2つは書き出しと確かめの作業なので、担当者だけで進められます。ところが、手順3以降は決める人が要るため、責任者の予定が取れずに止まりがちです。手順4の止める人だけは、担い手が決まる前でも仮に決めておくと、その間の事故に備えられます。

立ち上げた後は、四半期に1回、台帳と実際の設定を突き合わせます。道具の更新で新しいAIの機能が加わっていないか、使っていない機能が有効のまま残っていないかを確かめます。道具の提供元が出す更新の告知を読む役も、この持ち場に含めておくと、知らないうちに機能が増えることを防げます。

よくある質問

Q. MAの担当者とマーケティングオペレーションは、同じ人のことですか。

同じ人が兼ねることはありますが、役割としては別です。MAの担当者は道具を操作して施策を実行する役、マーケティングオペレーションは道具の設定と名簿と記録を整え、誰が何を変えてよいかを握る役です。1人で兼ねる場合も、承認だけは別の人に持たせます。

Q. 少人数のマーケ部門でも、この持ち場は要りますか。

専任は要らなくても、持ち場の仕事は要ります。台帳と変更の記録と止める人の3つだけでも決めておくと、AIの機能を有効にしたときの事故を防ぎやすくなります。作業の時間は、週に数時間から始められます。

Q. AIの設定の変更は、どのくらいの間隔で見直せばよいですか。

変えたときに影響を見る日を記録に書き、その日に必ず見直します。それとは別に、四半期に1回は台帳と実際の設定を突き合わせます。道具に大きな更新があった月は、その都度確かめます。

Q. 運用代行の会社にAIの設定まで任せてもよいですか。

設定の作業は任せられますが、設定を変える承認は社内に残します。台帳と変更の記録は、社内の人が読める場所に置くことを契約に書いておきます。

Q. どのAIの機能から有効にすればよいですか。

製品を問わず、台帳に書けて、止める条件と止める人を決められる機能から開きます。止め方の決まらない機能は、便利そうでも後回しにします。製品ごとの機能の開き方や料金の仕組みは、製品を扱った別の記事を参照してください。

まとめ

マーケティングオペレーションは、名簿・スコア・配信の条件・数字の集め方を整え、施策が毎回同じ質で回るようにする裏方の持ち場です。道具は毎年入れ替わり、持っている機能の多くが使われないまま、そこにAIの機能が載ってきました。AIが載ると、指示文と既定の設定、名簿の品質、AIの提案の承認、止める条件の管理がこの持ち場に集まります。点検の下書きはAIに任せ、設定を変える権限、配信を止める判断、スコアの基準の決定は人が握る。台帳と、人が読める変更の記録を持ち、専任・兼務・運用代行のどの形でも決め事は社内に残す。この線を引いておけば、AIの機能を眠らせず、事故が起きても止めて戻せる運用にできます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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