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税理士事務所の職員が書いた月次の会計レポートのコメントを、試算表の数値と表記ルールに照らして所長の確認の前に校正する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

職員が書いた顧問先への月次の会計レポートのコメントを、試算表の数値と事務所の表記ルールに照らして校正します。数字の食い違い、前月比と前年同月比の取り違え、言い過ぎの表現を、所長が読む前に一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
士業
対象部門
経理
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
60%
年間削減
288h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 職員が会計ソフトで月次の締めを行い、試算表を出す
  2. 職員が雛形にコメントを書く。多くは前月のコメントを複製して数字と文を書き換える
  3. 職員がレポートを確認の担当に回す
  4. 確認の担当が、コメントの数字を1つずつ試算表と見比べる
  5. 前月比と前年同月比を電卓で計算し直し、コメントの値と合っているかを確かめる
  6. 言い回しと表記を読み、言い過ぎや表記の揺れに赤を入れる
  7. 職員が直し、確認の担当がもう一度見てから顧問先へ出す
導入後(After)
  1. 人職員が月次の締めを行い、試算表を表の形で書き出して、コメントと一緒にレポートのフォルダへ保存する
  2. 自動保存をきっかけに処理が動き、試算表から当月・前月・前年同月の値と、前月比・前年同月比を計算する
  3. 自動ChatGPT がコメントから数値の記述を取り出し、科目・期間・指標・値・単位・増減の向きに分ける
  4. 自動取り出した記述を、計算した値と照らす。前月の値と一致するものには「前月の数字が残っている可能性」の印を付ける
  5. 自動ChatGPT が、表記ルールと言い過ぎの一覧に当たる箇所を拾い、直し方の案を付ける
  6. 自動指摘の一覧を作り、職員に返す
  7. 人職員が指摘を見て直す。数字の食い違いは、試算表の仕訳とコメントのどちらが誤りかを確かめる
  8. 人確認の担当が、直したレポートと指摘の一覧を読み、確定して顧問先へ出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 職員が会計ソフトで月次の締めを行い、試算表を出す
  2. 職員が雛形にコメントを書く。多くは前月のコメントを複製して数字と文を書き換える
  3. 職員がレポートを確認の担当に回す
  4. 確認の担当が、コメントの数字を1つずつ試算表と見比べる
  5. 前月比と前年同月比を電卓で計算し直し、コメントの値と合っているかを確かめる
  6. 言い回しと表記を読み、言い過ぎや表記の揺れに赤を入れる
  7. 職員が直し、確認の担当がもう一度見てから顧問先へ出す

(a)前月の数字が残る。 2番目で前月のコメントを複製して書き換えるので、書き換え忘れた数字が1つ残ります。 前月の数字は、もっともらしい値なので目で読んでも気づきにくいものです。

(b)前月比と前年同月比を取り違える。 季節で動く業種では、前月比と前年同月比で増減の向きが逆になります。「前年同月比で増加」と書くべきところを「前月比で増加」と書くと、意味がまったく変わります。 5番目の計算し直しが省かれた月に、この取り違えがそのまま出ます。

(c)書き方が職員ごとに違う。 「12.3%増」「12%アップ」「1割強の増加」。千円単位と円単位の混在。顧問先から見れば、担当が替わるたびにレポートの書き方が変わります。 6番目の赤入れは、確認の担当ごとに見るところが違います。

(d)言い過ぎに気づくのは確認の担当次第。 「この調子なら来期は確実に黒字です」のような一文は、職員の善意から出ます。確認の担当が忙しい月には、そのまま顧問先に届きます。

  1. 【人】 職員が月次の締めを行い、試算表を表の形で書き出して、コメントと一緒にレポートのフォルダへ保存する
  2. 【自動】 保存をきっかけに処理が動き、試算表から当月・前月・前年同月の値と、前月比・前年同月比を計算する
  3. 【自動】 ChatGPT がコメントから数値の記述を取り出し、科目・期間・指標・値・単位・増減の向きに分ける
  4. 【自動】 取り出した記述を、計算した値と照らす。前月の値と一致するものには「前月の数字が残っている可能性」の印を付ける
  5. 【自動】 ChatGPT が、表記ルールと言い過ぎの一覧に当たる箇所を拾い、直し方の案を付ける
  6. 【自動】 指摘の一覧を作り、職員に返す
  7. 【人】 職員が指摘を見て直す。数字の食い違いは、試算表の仕訳とコメントのどちらが誤りかを確かめる
  8. 【人】 確認の担当が、直したレポートと指摘の一覧を読み、確定して顧問先へ出す

7番目が、この設計の分かれ目です。 指摘はまず職員に返ります。確認の担当に届く時点で、数字の食い違いと表記の揺れは直っています。 確認の担当は、言い回しと中身に時間を使えます。

職員にとっても、指摘が先に返ることには意味があります。 これまで赤入れは確認の担当から数日後に戻り、職員は何を誤ったかを覚えていませんでした。書いた直後に「前年同月比を前月比と書いている」と返れば、同じ誤りを翌月に繰り返しにくくなります。

4番目を処理の側に置いているのも意図してのことです。 AIは「何と書いてあるか」を取り出すだけで、それが正しいかは試算表から計算した値で決めます。 端数の扱いや単位を変えても、直すのは計算の側だけです。

02今回想定するシステム構成

構成図
試算表(会計ソフトから表の形で書き出し)+ コメント(文書)
   │  職員がレポートのフォルダへ保存
   ▼【トリガー】フォルダへの保存
集計の処理(Python)
   ├──▶ 当月・前月・前年同月の値、前月比・前年同月比を計算
   ▼
ChatGPT(OpenAI API)── コメントから数値の記述を取り出す
   │   科目/期間/指標/値/単位/増減の向き/引用
   ▼
集計の処理 ── 取り出した記述と計算した値を照合
   ▼
ChatGPT(OpenAI API)── 表記ルール・言い過ぎの一覧に当たる箇所と直し方の案
   ▼
指摘の一覧(数字の食い違い/前月の数字の残り/表記/言い過ぎ)
   ▼
【職員が直す】 → 【確認の担当が確定】 → 顧問先へ
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API。最小構成では ChatGPT の画面)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
集計Python(試算表からの比率の計算、記述との照合、指摘の一覧の作成)Google Apps Script
保管事務所のファイルサーバー(レポートのフォルダ、表記ルール、言い過ぎの一覧)-

会計ソフトには書き込みません。 試算表は書き出したものを読むだけです。新しく足すのは、集計の処理と、表記ルールと言い過ぎの一覧の2つの文書だけです。

コメントの数値の記述は、構造化出力で受け取ります。 OpenAI の Responses API で text.format に json_schema を指定し strict を true にすると、渡したスキーマどおりのJSONが返るとされています。取り出した記述が決まった形でそろうので、照合の処理がそのまま読めます。

照合に使う値は、試算表から自前で計算します。 会計ソフトによっては前月比を出す帳票もありますが、端数の丸め方が帳票ごとに違うことがあります。 コメントに書かれた値と同じ丸め方で計算し直すほうが、食い違いの判定がぶれません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

職員が、試算表とコメントをレポートのフォルダに保存したことを起点にします。 顧問先ごとのフォルダに「試算表」と「コメント」の2つのファイルがそろった時点で動かします。片方だけのときは動かしません。

締めの週にまとめて動かす形にはしません。職員が書き終えたその場で指摘が返れば、記憶が新しいうちに直せます。 翌週に返ると、職員はその顧問先の試算表を開き直すところから始めることになります。

指摘を直したコメントを保存し直すと、もう一度動きます。2回目以降は、前回の指摘が消えたかどうかも一覧に出します。 確認の担当は、最後の回の一覧だけを見ればよくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
試算表科目ごとの当月・前月・前年同月の金額(損益計算書と貸借対照表)会計ソフトの書き出し
コメント職員が書いた解説の文レポートのフォルダ
前月のコメント前月に顧問先へ出した確定版レポートのフォルダ
表記ルール比率の書き方、単位、科目名の書き方、数字の桁区切り事務所の表記の手引き
言い過ぎの一覧断定・保証・予言・指図の表現と、その理由と言い換えの例所長が作る一覧
科目名の一覧試算表の科目名と、コメントで使われうる呼び方事務所で作る

質を決めるのは、下の3つです。 表記ルールが文書になっていないと、AIに「適切な表記に」と頼むことになり、指摘が職員ごとではなくAIの気分ごとに揺れます。

言い過ぎの一覧は、表現と理由を組にして作ります。

区分表現の例理由言い換えの例
保証確実に節税になります税額の結果は保証できない節税につながる可能性があります。詳しくはご相談ください
予言来期は黒字化します将来の業績を断定できないこのまま推移すれば、来期は黒字に近づく見込みです
税務の断定税務調査で問題になりません調査の結果は事務所が決められない現時点の処理は、確認した範囲で問題は見当たりません
指図〇〇すべきです経営の判断は顧問先がする〇〇も選択肢の1つです
根拠なし業界全体が落ち込んでいるためです根拠を確かめていない理由づけ(理由を書くなら、確かめた事実だけにする)

科目名の一覧が要るのは、コメントでは「人件費」「お給料」と書き、試算表では「給料手当」「法定福利費」に分かれているからです。 呼び方と科目の対応を決めておかないと、照合の相手が見つかりません。

Step3

データの取得方法を決める

試算表は、会計ソフトの書き出しの機能で表の形のファイルにします。月次の締めのあとに必ず書き出す手順を、職員の締めの作業に1行足します。

取るものどこから何に使うか
当月・前月・前年同月の金額試算表の書き出し前月比・前年同月比の計算
コメントの文文書ファイルから文字だけを取り出す数値の記述の取り出し、表記と言い回しの点検
前月の確定版のコメント前月のフォルダ前月の数字が残っていないかの照合
表記ルール・言い過ぎの一覧・科目名の一覧事務所のファイルサーバーAIへの指示に入れる

コメントの文書から文字を取り出すときは、表の部分を外します。 レポートの雛形には数表が貼られていることが多く、それを文として渡すと、表の数字をコメントの記述として取り出してしまいます。 職員が書いた解説の段落だけを渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイルのそろいを確かめる … 試算表とコメントの両方がそろっているかを見ます
  2. 試算表の月を確かめる … 書き出した試算表の対象月が、レポートの月と合っているかを見ます。前月の試算表を置き間違えると、すべての照合が狂います
  3. 比率を計算する … 科目ごとに前月比と前年同月比を、事務所の丸め方(小数1桁、四捨五入)で計算します
  4. 科目の対応表を当てる … 「人件費」のような呼び方を、試算表の複数の科目の合計として計算しておきます
  5. 前月の確定版から数字を集める … 前月のコメントに書かれた数字を一覧にしておきます
  6. 顧問先の名前を記号に置き換える … AIへ渡す文では、顧問先名と人名を記号にします

2番目を軽く見ないでください。 書き出しのファイル名が毎月同じだと、前月のファイルを上書きし損ねたまま処理が動きます。 試算表の中に書かれた対象期間を読み、レポートの月と合わなければ止めます。

6番目は、守秘のための処理です。 照合に顧問先の名前は要りません。AIへ渡すのは、記号に置き換えたコメントの文と、表記と言い過ぎの一覧だけです。 試算表の金額そのものはAIに渡さず、照合は自前の処理で行います。

Step5

AIに処理させる

ChatGPT にさせることは2つです。 コメントから数値の記述を取り出すことと、表記ルール・言い過ぎの一覧に当たる箇所を拾って直し方の案を付けることです。

数値の記述の取り出し

取り出すもの取り出し方判断できないときの扱い
科目科目名の一覧の呼び方に当たるもの当たらなければ unmatched
期間当月、前月、前年同月、累計書かれていなければ unspecified
指標金額、前月比、前年同月比、構成比書かれていなければ unspecified
値と単位書かれた数字と単位をそのまま「1割強」のような書き方は approx
増減の向き増、減、横ばい書かれていなければ空
引用記述のある文をそのまま-

期間と指標が unspecified の記述を拾うのが、この取り出しの目的の1つです。 「売上は12.3%増えました」とだけ書かれていると、顧問先は前月比なのか前年同月比なのか分かりません。照合の前に、書き方そのものの不足として指摘します。

表記と言い回しの点検

見るもの見方
表記ルール比率の書き方、単位、桁区切り、科目名の書き方が手引きどおりか
言い過ぎ一覧の区分(保証・予言・税務の断定・指図・根拠なし)に当たるか
直し方の案一覧の言い換えの例をもとに、1文ずつ案を出す
させないこと理由
数字が正しいかの判断試算表から計算した値で、処理の側が決める
正しい数字への書き換えコメントと仕訳のどちらが誤りかは人が確かめる
一覧に無い表現の言い過ぎ判定指摘の基準が揺れる。気づいた点は別欄に「参考」として出す
税務上の取扱いの当否所長が判断する内容
文章全体の書き直し職員の文を残し、指摘した箇所だけを直す

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 AIに「数字を直してください」と頼むと、計算した値で書き換えてしまい、仕訳の誤りが見つかる機会を消します。 コメントの数字が違っているとき、本当に誤っているのは試算表の側であることもあります。

Step6

指示内容を固定する

数値の記述の取り出しには、次の指示を使います。

あなたは税理士事務所で、職員が書いた月次の会計レポートのコメントを
校正する前段の担当です。コメントの文から、数値の記述を取り出してください。
数字が正しいかどうかは判断しないでください。

【取り出す記述】
- 金額、比率、増減に触れている文の、その部分すべて
- 1つの文に複数の記述があれば、分けて取り出してください

【分け方】
- account ... 下の科目名の一覧の「呼び方」に当たる語。当たらなければ unmatched
- period .... current / prev_month / prev_year_month / ytd / unspecified
- metric .... amount / mom_ratio / yoy_ratio / share / unspecified
- value ..... 書かれた数字をそのまま。計算や換算をしないでください
- unit ...... 円 / 千円 / 百万円 / % / 割 など、書かれた単位
- approx .... 「約」「1割強」「ほぼ」などの書き方なら true
- direction . up / down / flat / none
- quote ..... 記述のある文をそのまま写す

【厳守事項】
- 期間や指標が書かれていないときに、文脈から補わないでください。unspecified にしてください。
- 数字を計算し直したり、正しい値を書いたりしないでください。
- 表や数表から取った数字は入れないでください。渡したのは解説の文だけです。

【科目名の一覧】{account_aliases}
【コメント】{comment_text}

「文脈から補わない」を書かないと、AIは「前の文で前月比の話をしているから、これも前月比だろう」と埋めます。 その補いが正しくても、顧問先にとって書き方があいまいだという事実は残ります。 補わずに unspecified として出させ、職員に書き足してもらいます。

表記と言い回しの点検には、別の指示を使います。中心は次の4行です。

- 表記ルール {style_rules} と言い過ぎの一覧 {overstatement_list} に当たる箇所だけを挙げてください。
- 挙げるときは、当たった規則のIDと、該当する文をそのまま写してください。
- 直し方の案は、一覧の言い換えの例をもとに、その文だけを書き直してください。数字は変えないでください。
- 一覧に無いが気になった表現は、note に「参考」として書き、指摘には入れないでください。
Step7

出力形式を固定する

数値の記述は、次の形のJSONで受け取ります。

{
  "claims": [
    { "claim_id": "C01", "account": "", "period": "current | prev_month | prev_year_month | ytd | unspecified",
      "metric": "amount | mom_ratio | yoy_ratio | share | unspecified",
      "value": "", "unit": "", "approx": false,
      "direction": "up | down | flat | none", "quote": "" }
  ]
}

集計の処理は、取り出した記述ごとに計算した値と照らし、次の区分を付けます。

check条件
ok値・単位・向きが計算した値と合う(事務所の丸め方の範囲で)
value_mismatch値が合わない
direction_mismatch増減の向きが逆
basis_swap前月比として書かれた値が、前年同月比の計算値と合う(またはその逆)
stale当月の値として書かれた数字が、前月の確定版のコメントの数字と一致する
unit_mismatch単位を取り違えると合う(千円と円など)
unspecified期間か指標が書かれていない
unmatched科目が一覧に当たらない

照合の結果は、たとえば次のように並びます(値は説明のための例です)。

引用取り出した記述計算した値check
売上高は前月比12.3%の増加となりました売上高/当月/前月比/12.3%/増前月比 -4.1%、前年同月比 +12.3%basis_swap
販管費は8,420千円でした販管費/当月/金額/8,420千円当月 8,960千円、前月 8,420千円stale
人件費は前年同月比で減少しています人件費/前年同月比/減前年同月比 +2.8%direction_mismatch
粗利は約1割増えました粗利/unspecified/unspecified/1割/増前月比 +9.6%、前年同月比 +14.0%unspecified

1行目は、値そのものは正しいのに意味が違う例です。 12.3%という数字は試算表のどこかに確かにあり、目で照らすと「合っている」と読んでしまいます。どの比率の値かまで照らして初めて、前年同月比を前月比と書いた取り違えだと分かります。

2行目は、前月のコメントを複製したときの書き換え忘れです。 8,420千円は前月の販管費そのもので、前月の確定版の数字と一致することが、書き換え忘れの強い手がかりになります。

basis_swap と stale が、この照合でいちばん効く区分です。 どちらも目で読むと気づきにくく、計算した値と並べて初めて「取り違え」と分かる食い違いです。 値が合わないとだけ言われるより、どう取り違えたかまで分かれば、職員は1分で直せます。

表記と言い回しの指摘は、次の形で受け取ります。

{
  "style_issues": [
    { "rule_id": "", "kind": "style | overstatement", "quote": "", "suggestion": "" }
  ],
  "note": ""
}

rule_id を必須にしているのは、指摘の根拠を一覧の規則に縛るためです。 規則のIDが付かない指摘は出せない形にしておくと、AIの好みによる赤入れが一覧に混ざりません。 すべての項目を required にし、additionalProperties を false にしたスキーマで渡します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
レポートのフォルダファイルの監視試算表とコメントがそろったことを検知する
会計ソフト書き出したファイルを読む書き込みはしない
OpenAI APIResponses API(構造化出力)数値の記述の取り出し、表記と言い回しの点検
指摘の一覧顧問先のフォルダに表として保存職員と確認の担当が読む
Teams通知職員へ、指摘の一覧ができたことを知らせる

コメントの文書を自動で書き換えません。 直し方の案は一覧に並べるだけで、直すのは職員です。 自動で書き換えると、職員は自分の文のどこが直されたかを読まなくなり、同じ癖が翌月も出ます。

Step9

人が確認する

職員が先に指摘を見て直し、確認の担当は直したあとのレポートを読みます。

  1. 職員は value_mismatch・basis_swap・stale を最初に直す … 数字の食い違いは、試算表の仕訳を先に疑い、それから文を直します
  2. 職員は unspecified に期間と指標を書き足す
  3. 職員は言い過ぎの指摘を見て、案を参考に書き直す … 案をそのまま使う必要はありません
  4. 確認の担当は、最後の回の指摘の一覧と、直したレポートを読む … 一覧に残っている指摘があれば、その理由を職員に聞きます
  5. 確認の担当が確定し、顧問先へ出す

4番目で、確認の担当がコメント全体を読むことはやめません。 この構成で減るのは、数字を探して照らす時間と、表記に赤を入れる時間です。助言の中身が顧問先に合っているかは、所長の目で見ます。

目標は、160件をならして1件6分です。 数字の照合が済んでいるので、確認の担当は言い回しと中身だけを読みます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
試算表の対象月がレポートの月と合わない処理を止め、職員に書き出し直しを依頼する
試算表かコメントの片方しかない動かさない。そろうまで待つ
科目が一覧に当たらない(unmatched)照合せずに一覧に出す。新しい呼び方なら科目名の一覧に足す
前年同月の試算表が無い(新規の顧問先)前年同月比の記述は照合できない旨を出す
「1割強」のような書き方(approx)計算した値と範囲で照らし、外れるときだけ指摘する
数値の記述が1つも取り出せない取り出しの失敗か、数字を書かないコメントかを職員に確かめる
応答が拒否や途中切れで返ったもう一度動かす。2回続けば手作業の確認に戻す

上の2行が、運用の初めに最も多く出ます。 どちらもAIの問題ではなく、書き出しのファイルの置き方の問題です。 ファイル名に対象月を入れる決まりにすると、ほぼ無くなります。

Step11

記録を残す

  • 試算表の書き出しファイルと、計算した比率の表
  • 取り出した数値の記述と、照合の結果(check)
  • 表記と言い回しの指摘と、職員が直したか、直さなかったか
  • 確認の担当が確定した版と、確定した日時・担当
  • 職員ごと・区分ごとの指摘の件数の推移

直さなかった指摘を残すのは、一覧を直すためです。 職員が直さず確認の担当もそれを認めた指摘は、規則のほうが厳しすぎる可能性があります。 月に1回、表記ルールと言い過ぎの一覧を見直す材料にします。

最後の行は、職員の育成に使います。 stale が続く職員には、前月のコメントを複製する書き方そのものを見直してもらいます。評価のためではなく、書き方の癖を本人に見せるための集計です。

04実装レベルの3段階

最小構成:ChatGPT の画面にコメントを貼り、数値の記述と表記の指摘を出させ、試算表との照合は人が行う / 記述の取り出しと表記の点検
半自動化:上記+フォルダへの保存をきっかけに、試算表から比率を計算し、取り出した記述と自動で照合して指摘の一覧を作る / 取り出し、照合、表記の点検、一覧の作成
本格構成:上記+会計ソフトから試算表を自動で取り込み、確定の記録をレポートの管理とつなぐ / 書き出しの手作業と、確定の記録

本記事の想定は半自動化です。 確認の担当の時間から、数字を探して照らす時間と、表記の赤入れの時間が消えます。 半自動化で残る手作業は、試算表の書き出しと保存だけです。 職員の締めの手順に1行足すだけで、照合の相手がそろいます。 指摘を受けて直す作業は、これまでの赤入れを受けて直す作業と同じで、増えません。 本格構成の自動取り込みは、会計ソフトに応じた個別実装になります。 書き出しの手作業は1件1分ほどで、照合の効果に比べれば小さいため、急ぐ必要はありません。 段階を飛ばさないでください。 最小構成で数値の記述が漏れなく取れることを確かめないまま照合をつなぐと、取り出しで漏れた記述は照合もされず、指摘の一覧に何も出ません。 「指摘なし」が安心ではなく見落としになります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
160 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  160件 × 15分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 160件 × 6分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
24h
削減率
60%
年間削減時間
288h
年間金額換算(時間単価5,000円)
144万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 顧問先ごとに月次の試算表と、職員が書いたコメント付きの会計レポートを毎月渡している税理士事務所・会計事務所。所長や副所長がレポートを1件ずつ読み、数字の食い違いと言い回しを直してから出しており、締めの時期に確認が集中している場合。会計ソフトから試算表を表の形で書き出せる場合。
向いていない
  1. 顧問先が少なく、所長が試算表を見ながら読んでも負担にならない場合。月次のレポートにコメントを付けておらず、数表だけを渡している場合。コメントの中身が経営の助言や税務の判断に踏み込むもので、校正ではなく内容の当否を所長が見る必要がある場合。なお、税務上の取扱いの当否や、顧問先への助言の内容の判断はこの構成では行いません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月顧問先に出したレポートから10件を選ぶ(確認の担当が赤を入れたものを必ず入れる)
  2. 顧問先名と人名を記号に置き換え、コメントの解説の段落だけを取り出す
  3. ChatGPT の画面に、第7章の取り出しの指示とコメントを貼り付け、数値の記述を表にさせる
  4. 表の値を、試算表から電卓で計算した値と見比べる
  5. 表記ルールと言い過ぎの一覧を貼り、同じコメントの指摘を出させて、当時の赤入れと見比べる

10件は必ずやってください。 仕組みを作る前に、「数値の記述を漏れなく取り出せるか」と「当時の赤入れと同じところを拾えるか」を確かめます。

出てきた内容判断
数値の記述が漏れなく取れ、当時の赤入れと同じ箇所が出た集計の処理と照合に進む
期間や指標を文脈から補った指示の書き方で直る。構成は有効
一覧に無い表現まで言い過ぎとして挙げた規則のIDを必須にし、それ以外は参考の欄に分ける

2行目が出ることは珍しくありません。 AIは読みやすさのために補います。補わせないことを、指示の最初のほうに書くと多くは直ります。

10件の中に、当時見逃した食い違いが見つかることもあります。 それは失敗ではなく、目で照らす確認がどこで抜けていたかが1つ分かったということです。 見つかった食い違いの型(前月比と前年同月比の取り違え、書き換え忘れなど)を数えておくと、照合の区分のどれから作るかの優先順位になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
期間や指標をAIが文脈から補う補わずに unspecified で出させ、職員に書き足させる
AIが数字を正しい値に書き換える書き換えを禁じる。仕訳の誤りを見つける機会が消える
数表の数字を記述として取り出す解説の段落だけを渡す
前月の試算表で照合してしまう試算表の中の対象期間を読み、合わなければ止める
丸め方が違って食い違いになる事務所の丸め方で計算し直す。approx は範囲で照らす
「人件費」が科目に当たらない呼び方と科目の対応を一覧にし、合計で計算しておく
言い過ぎの指摘が揺れる規則のIDを必須にし、一覧に無いものは参考の欄へ
コメントを自動で書き換える案を並べるだけにする。 直すのは職員
顧問先名をAIに渡す記号に置き換えてから渡す
「指摘なし」を安心と読む取り出した記述の件数を一覧に出し、0件なら取り出しを疑う
前年同月が無い顧問先で前年同月比を照合する新規の顧問先は前年同月比の記述を照合の対象から外し、その旨を一覧に出す
決算月の翌月に前月比が大きく振れる決算整理の影響と分かっている科目は、一覧に注記を付けて確認の担当へ

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらもAIが「気を利かせて」埋めることから起きます。埋めさせずに空として出させるかどうかで、校正として使えるかが決まります。

最後の行も、早めに効いてきます。 照合は取り出した記述に対してしか行われません。記述の件数を一覧の最初に出しておくと、取り出しの漏れに確認の担当が気づけます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧問先の試算表(売上、利益、人件費などの月次の数字)と、職員が書いたコメントです。どちらも顧問先の経営の秘密です。

  1. 守秘義務の範囲で設計する … 税理士法は、税理士と事務所の使用人に、業務で知り得た秘密を正当な理由なく漏らさない義務を課しています。AIへ渡すのは、顧問先名と人名を記号に置き換えたコメントの文だけにし、試算表の数字は渡しません
  2. API の設定を確かめる … 公式の説明では、API に送ったデータは明示的に同意しない限りモデルの学習に使われず、不正利用の監視のためのログは最大30日保持されるとされています。事務所としてこの扱いで足りるかを、所長が判断してから使います
  3. 確定は税理士が行う … 税理士法は、使用人を使うときに業務の適正な遂行に欠けるところのないよう監督する義務を税理士に課しています。この構成は確認の前段を軽くするもので、確認そのものを置き換えません
  4. 言い過ぎの一覧は所長が決める … どの表現を顧問先に書かせないかは、事務所の方針です。AIに基準を作らせません
  5. 自動で書き換えない … 直し方の案は一覧に並べるだけにし、顧問先に出る文は人が書いたものだけにします
  6. 指摘の集計を評価に使わない … 職員ごとの指摘の件数は、書き方の癖を本人に見せるためのものです
  7. 記録の置き場所を事務所の中に限る … 取り出した記述と照合の結果には、記号に置き換える前の顧問先の数字が並びます。指摘の一覧は顧問先のフォルダに置き、事務所の外の共有の場所には出しません

誤りが起きた場合のリスクは、食い違いを見逃して顧問先に誤った数字を伝えることと、正しい数字を誤りとして直させることの2つです。 前者は取り出しの漏れで起き、後者はAIに照合をさせると起きます。取り出しの件数を見せ、照合を計算の側に置くことで、両方を防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:表記ルールと言い過ぎの一覧を作る

事務所の表記の手引きを1枚にまとめ、過去3か月の赤入れから、言い過ぎとして直した表現を拾い集めます。 区分・表現・理由・言い換えの例を組にして、所長が確定します。

2週目:10件で試す

先月のレポートから10件を選び、ChatGPT の画面で数値の記述を取り出させます。期間や指標を補っていないか、数表の数字を拾っていないかを最優先で見ます。

3週目:試算表の書き出しの手順を決める

会計ソフトから試算表を書き出す手順と、ファイル名に対象月を入れる決まりを、職員の締めの作業に足します。科目名の一覧も作ります。

4週目:照合の処理をつなぐ

フォルダへの保存をきっかけに、比率の計算、記述の取り出し、照合、指摘の一覧の作成までをつなぎます。この時点では表記と言い回しの点検を外し、数字の照合だけで1か月回します。

2か月目: 表記と言い回しの点検を足し、職員が先に直す流れにします。区分ごとの指摘の件数を毎週数えます。3か月目以降: 確認の担当の1件あたりの時間を実測し、直されなかった指摘から一覧を見直します。確認の担当が数字を探す時間がなくなったことを確かめた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
税理士は信用又は品位を害するような行為をしてはならないこと(第37条)。税理士は正当な理由なく業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと(第38条)。税理士は使用人その他の従業者を業務の適正な遂行に欠けるところのないよう監督しなければならないこと(第41条の2)。使用人その他の従業者も業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと(第54条)e-Gov 法令API: 税理士法2026-10-08
text.format に json_schema を指定し strict を true にすると、スキーマどおりのJSONが返ること。拒否や途中切れの応答を受け取った側で確かめる必要があることOpenAI: Structured model outputs2026-10-08
API に送ったデータは、明示的に同意しない限りモデルの学習に使われないこと。不正利用の監視のためのログが最大30日保持されることOpenAI: Data controls in the OpenAI platform2026-10-08

どの表現を顧問先に書かせないか、AIに顧問先のデータを渡してよいかは、所長税理士が判断してください。 本記事は公式のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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