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社会保険労務士事務所が作った顧問先の就業規則・賃金規程の改定案を、法改正の項目・条番号の参照・用語の定義で校正し、顧問先に渡す前の指摘一覧を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

顧問先の就業規則や賃金規程の改定案を、法改正の項目・条番号の参照・用語の定義の3つで校正します。指摘を根拠の文言付きで一覧にし、担当の社労士が顧問先に渡す前に直せるようにします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Python
対象業界
その他/士業
対象部門
人事
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当の社労士が、顧問先と相談した内容をもとに改定案を Word で作る
  2. 改定案と現行の規程を並べて印刷し、所長に読み合わせを頼む
  3. 所長が、改正項目の点検表のうち、その顧問先に関係する項目を拾う
  4. 改定案を頭から読み、項目が入っているか、条番号の参照が合っているか、用語がそろっているかを見る
  5. 気づいた点を、印刷した改定案に赤字で書き込む
  6. 担当の社労士が赤字を見て改定案を直し、顧問先に渡す
  7. 顧問先から質問が来て、直し漏れに気づくことがある
導入後(After)
  1. 人担当の社労士が、改定案と現行の規程を顧問先のフォルダの「校正待ち」に入れる
  2. 自動Python が Word の本文を書き出し、条・項・号の番号と見出し、「第N条」などの参照、定義の条の語を一覧にする
  3. 自動参照先の条が存在するか、規程どうしの参照先が存在するかを、規則で確かめる
  4. 自動顧問先の台帳(従業員数、雇用の区分、導入している制度)から、点検表のうち関係する改正項目を選ぶ
  5. 自動Claude API が、改正項目ごとの反映の有無、参照先の内容と参照する文の意図の食い違い、用語の揺れを読み、根拠の文言付きで指摘を返す
  6. 自動規則で拾った指摘と、Claude API の指摘を1つの一覧にまとめる
  7. 人担当の社労士が指摘を1つずつ見て、採るか採らないかを決め、改定案を直す
  8. 人所長は、採らなかった指摘と、改正項目の「反映なし」の指摘だけを見る
  9. 人担当の社労士が、直した改定案を顧問先に渡す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当の社労士が、顧問先と相談した内容をもとに改定案を Word で作る
  2. 改定案と現行の規程を並べて印刷し、所長に読み合わせを頼む
  3. 所長が、改正項目の点検表のうち、その顧問先に関係する項目を拾う
  4. 改定案を頭から読み、項目が入っているか、条番号の参照が合っているか、用語がそろっているかを見る
  5. 気づいた点を、印刷した改定案に赤字で書き込む
  6. 担当の社労士が赤字を見て改定案を直し、顧問先に渡す
  7. 顧問先から質問が来て、直し漏れに気づくことがある

(a)読み合わせが所長に集中している。 40本の改定案を1人で読むと、1本90分でも月60時間です。 所長は顧問先との面談や調査の立ち会いもあり、読み合わせが後回しになります。

(b)条番号のずれは目で追いきれない。 条を1つ足すと、それより後の条番号がすべてずれます。「第35条の規定にかかわらず」の35が、改定後は36でなければならないといったずれは、規程の中だけでなく、賃金規程から就業規則への参照でも起きます。

(c)用語の揺れは規程どうしの間で起きる。 就業規則で「従業員」と定義した語が、賃金規程では「社員」になっている。パートタイマーの定義が2つの規程で違う。1つの規程の中だけを読んでいると、気づきません。

(d)点検表の使い方が人によって違う。 点検表を見ながら読む人と、記憶で読む人がいます。記憶で読むと、施行の時期が分かれた改正の、後の時期の項目が漏れます。

  1. 【人】 担当の社労士が、改定案と現行の規程を顧問先のフォルダの「校正待ち」に入れる
  2. 【自動】 Python が Word の本文を書き出し、条・項・号の番号と見出し、「第N条」などの参照、定義の条の語を一覧にする
  3. 【自動】 参照先の条が存在するか、規程どうしの参照先が存在するかを、規則で確かめる
  4. 【自動】 顧問先の台帳(従業員数、雇用の区分、導入している制度)から、点検表のうち関係する改正項目を選ぶ
  5. 【自動】 Claude API が、改正項目ごとの反映の有無、参照先の内容と参照する文の意図の食い違い、用語の揺れを読み、根拠の文言付きで指摘を返す
  6. 【自動】 規則で拾った指摘と、Claude API の指摘を1つの一覧にまとめる
  7. 【人】 担当の社労士が指摘を1つずつ見て、採るか採らないかを決め、改定案を直す
  8. 【人】 所長は、採らなかった指摘と、改正項目の「反映なし」の指摘だけを見る
  9. 【人】 担当の社労士が、直した改定案を顧問先に渡す

7番目と8番目が、この設計の分かれ目です。 指摘は見落としの候補で、正しい指摘か、顧問先と相談して意図的にそうしたものかは、担当の社労士しか知りません。 採らなかった理由を一言残せば、所長はそこだけを見れば足ります。

3番目を規則で行うのも、意図してのことです。 参照先が存在しないことは、文字を照らせば確実に分かります。確実に分かることを生成AIに読ませると、確実さが下がります。

02今回想定するシステム構成

構成図
改定案・現行の規程(Word)      顧問先の台帳        事務所の改正項目の点検表
   │                              │                    │
   ▼【トリガー】「校正待ち」フォルダへの保存
Python(連携)
   ├── 本文の書き出し、条・項・号と見出しの一覧
   ├── 「第N条」「前条」「賃金規程第N条」などの参照の一覧
   ├── 定義の条の語の一覧
   └── 参照先の存在の確認(規則)
   ▼
点検表から、顧問先に関係する改正項目を選ぶ
   ▼
Claude API ── ① 改正項目ごとの反映の有無
             ② 参照先の内容と参照する文の意図の食い違い
             ③ 用語の定義と使い方の揺れ(規程どうしを含む)
   ▼
指摘一覧(規則の指摘 + Claude の指摘、根拠の文言付き)
   ▼
【担当の社労士が採否を決めて直す → 所長は不採用と反映なしだけを見る】
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(改定案の校正と指摘の作成)OpenAI API、Gemini API
連携Python(Word の本文と条番号・参照・定義の語の書き出し、参照先の存在の確認)Word のマクロ
保管事務所のファイルサーバー(顧問先ごとのフォルダ)事務所で使っているクラウドのファイル共有

改定案のファイルには書き込みません。 この構成が出すのは指摘一覧までです。改定案を直すのは担当の社労士で、直した版が顧問先に渡る版になります。 自動で直すと、顧問先と相談して決めた言い回しまで変わります。

Word のファイルは、本文を書き出してから Claude API に渡します。 Claude の PDF の扱いを説明する公式のページでは、.docx のようなバイナリの形式はドキュメントのブロックでは扱えず、テキストか PDF に変換する必要があるとされています。条番号や参照を規則で調べるためにも、本文を書き出す段階は要ります。

参考にする厚生労働省の資料は、PDF のまま渡せます。 PDF は1回のリクエストで32MBまで、ページ数は600ページまで(コンテキストの長さが1M未満なら100ページまで)、パスワード付きのものは扱えないとされています。毎回同じ資料を渡すので、同じページで案内されているプロンプトキャッシュを使います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

担当の社労士が、改定案を顧問先のフォルダの「校正待ち」に保存したことを起点にします。 改定案ができあがるのは担当者ごとにばらばらで、決まった時刻にまとめて流すと、その日に顧問先へ渡したい改定案が翌日になります。 保存から数分で指摘一覧が同じフォルダに出る形にします。

入れるのは、改定案と現行の規程の組です。 現行の規程が無いと、用語の定義が改定で変わったのか、もともと揺れていたのかが分かりません。同じ顧問先のほかの規程(賃金規程や育児介護休業規程)も、同じフォルダにあれば一緒に読みます。 規程どうしの参照と用語を見るためです。

改定案を直して入れ直したら、もう一度動かします。 2回目以降は、前回の指摘のうち、まだ残っているものと、新しく出たものを分けて出します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
改定案Word の本文(条・項・号、見出し、別表)校正待ちのフォルダ
現行の規程施行中の版の Word の本文顧問先のフォルダ
同じ顧問先のほかの規程賃金規程、育児介護休業規程、退職金規程など顧問先のフォルダ
顧問先の台帳常時使用する労働者の数、雇用の区分(正社員、パートタイマー、契約社員)、導入している制度事務所の顧問先の台帳
改正項目の点検表法令、項目の名前、施行日、対象の規程、確かめる観点、規定例の該当箇所事務所の点検表
参考の資料厚生労働省の規定例、モデル就業規則の PDF事務所で保存した版

質を決めるのは、改正項目の点検表です。 たとえば令和6年改正の育児・介護休業法は、令和7年4月1日と令和7年10月1日の2段階で施行されています。都道府県の労働局の案内では、4月1日の施行に「所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大」「子の看護休暇の見直し」など、10月1日の施行に「柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化」「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化」が挙げられています。点検表は、この項目の単位で1行ずつ持ちます。 「育児・介護休業法の改正に対応しているか」という1行にすると、どちらかの段階が漏れても気づきません。

顧問先の台帳の「常時使用する労働者の数」も外せません。 労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成と届出を求めています。対象の顧問先かどうかで、届出の段取りの指摘を出すかが変わります。

Step3

データの取得方法を決める

Word の本文は、Python で段落ごとに書き出します。 条の見出し(「第15条(休職)」のような行)を拾い、条・項・号の番号と見出しの一覧を作ります。変更履歴の付いた改定案は、変更を反映した後の本文を書き出し、変更前の文は現行の規程の側から取ります。

取るものどこから何に使うか
条・項・号と見出しの一覧改定案と現行の規程の本文参照先の存在の確認、改定で動いた条の対応
参照の一覧本文の「第N条」「前条」「前項」「別表第N」「賃金規程第N条」参照先の存在の確認と、内容の食い違いの確認
定義の語定義の条(「この規則において〜とは」)用語の揺れの確認
関係する改正項目点検表と顧問先の台帳反映の有無の確認

参照の一覧は、参照している文と、参照先の条の本文を対にして持ちます。 Claude に渡すのはこの対だけで、規程の全文を毎回読ませるわけではありません。条の多い就業規則でも、1回に渡す量が抑えられます。

別表と様式も、本文と同じく書き出します。 手当の金額や支給の条件は別表に置かれていることが多く、本文が「別表第2に定める」と参照している先が、改定で別表第3に移っていることがあります。別表の番号と見出しも、条と同じ一覧に入れます。

現行の規程と改定案で、条の対応を作ります。 見出しが同じで番号だけが動いた条を対応させ、「現行の第35条(休職期間)が、改定案では第36条になった」という表を作ります。この表があれば、ほかの規程が古い番号を参照したままになっていることを規則で拾えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 本文の書き出し … 段落ごとに書き出し、全角と半角の数字、漢数字の条番号をそろえます
  2. 条の一覧と対応 … 条・項・号の番号と見出しを一覧にし、現行と改定案で見出しが同じ条を対応させます
  3. 参照の抽出 … 「第N条」「第N条第M項」「前条」「前項」「次条」「別表」と、ほかの規程の名前が付いた参照を拾い、参照先を番号で決めます
  4. 規則による確認 … 参照先が存在しないもの、ほかの規程の古い番号を参照しているものを、確定の指摘として一覧に入れます
  5. 定義の語の抽出 … 定義の条から語と定義の文を拾い、同じ顧問先のほかの規程の定義の条と並べます
  6. 関係する改正項目の選択 … 点検表のうち、施行日が現行の規程の施行日より後で、対象の規程が今回の改定案に当たるものを選びます

4番目で確定の指摘にしたものは、Claude に渡しません。 存在しない条の参照は、誰が読んでも誤りです。生成AIに渡すと「誤りのおそれがあります」と弱い言い方で返ってきて、担当者が軽く見ます。

6番目の選び方を、生成AIに任せないでください。 どの改正項目が関係するかは、施行日と規程の種類で決まります。規則で選んで、選んだ項目だけを渡します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、3つの観点での指摘と、その根拠の文言の書き出しだけです。

観点見るもの返すもの
① 改正項目点検表の項目ごとに、改定案に対応する条があるか、確かめる観点に沿って書かれているかreflected / partial / not_found、根拠の条と文言
② 参照の内容参照する文の意図と、参照先の条の内容が合っているか食い違いの有無、両方の文言
③ 用語定義した語が別の言い方で使われていないか、定義の無い語が定義のある語と同じ意味で使われていないか、規程どうしで定義が違わないか揺れの箇所と、定義の文

②は、規則で拾えない参照の誤りを拾います。 たとえば「休職期間の満了は第36条による」の第36条が、改定後は「特別休暇」の条になっている場合です。番号は存在するので規則では拾えず、内容を読まないと分かりません。

③は、規程どうしの揺れに効きます。 就業規則で「パートタイマーとは、1週間の所定労働時間が正社員より短い者をいう」と定義し、賃金規程で「短時間社員」と書いている場合、同じ人を指しているのか、別の区分を作ったのかが文面から分かりません。 揺れを挙げ、どちらの意図かを担当者に決めてもらいます。

あわせて、労働基準法の定めに関わる箇所を、点検表の固定の項目として毎回見ます。 第89条が就業規則に記載を求める事項(始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払の方法、退職に関する事項など)が改定で消えていないか。第91条の減給の制裁の上限(1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が1賃金支払期の賃金の総額の10分の1)を超える数字が書かれていないか。

させないこと理由
改定案が法令に合っているかの結論社労士が判断し、顧問先に説明する事柄
労働条件の変更の提案顧問先と相談して決めたこと
モデル就業規則の文言への書き換え顧問先の規程を規定例に合わせる必要は無い
点検表に無い改正の指摘生成AIの知っている範囲の改正が混ざる
条文の書き直し直すのは担当の社労士

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 指示しないと、生成AIは知っている法改正を自分から挙げます。その改正が実際にあるのか、施行日がいつかを、担当者が毎回確かめることになります。 点検表に無い改正は、点検表を直して足すのが筋です。

Step6

指示内容を固定する

あなたは社会保険労務士事務所で、顧問先に渡す前の規程の改定案を校正する立場です。
渡された材料だけを見て、見落としの候補を指摘してください。
指摘は担当の社労士が採否を決めます。

【観点1:改正項目】
渡された改正項目ごとに、改定案のどの条が対応しているかを探し、
確かめる観点に沿って書かれているかを見てください。
- reflected ... 対応する条があり、観点に沿って書かれている
- partial ..... 対応する条はあるが、観点の一部が書かれていない
- not_found ... 対応する条が見つからない
迷ったときに reflected を選ばないでください。

【観点2:参照の内容】
参照する文と参照先の条の対ごとに、参照する文の意図と参照先の内容が
合っているかを見てください。合っているものは返さないでください。

【観点3:用語】
定義の語の一覧と本文を照らし、次のものを挙げてください。
- 定義した語が、同じ意味で別の言い方になっている箇所
- 同じ語の定義が、規程どうしで違う箇所

【厳守事項】
- 改定案が法令に適合している、適合していない、と書かないでください。
- 渡された改正項目に無い法改正を挙げないでください。
- 労働条件(日数、時間、金額、率)を変えるような修正の案を書かないでください。
- モデル就業規則や規定例の文言に合わせるための指摘をしないでください。
- quote には、根拠にした改定案の文言をそのまま写してください。
  要約したり、言い換えたりしないでください。
- 判断に必要な材料が無いときは needs_info に何が足りないかを書いてください。

【顧問先の区分】{client_profile}
【関係する改正項目】{amendment_items}
【改定案の本文(条ごと)】{draft_articles}
【参照の対】{reference_pairs}
【定義の語の一覧(規程ごと)】{definitions}

「渡された改正項目に無い法改正を挙げない」を明記しないと、ほぼ必ず挙げます。 改定案を読むうちに、生成AIは関係しそうな法令を思い出して書き足します。指摘一覧に確かめようのない改正が混ざると、担当者は指摘一覧全体を疑うようになります。

「労働条件を変える修正の案を書かない」も外せません。 用語の揺れを直す案のつもりで、「年10日」を「年5日」に直す案が出てくることがあります。規程の数字は顧問先と決めた労働条件です。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Claude API の構造化出力(output_config.format に type: "json_schema" を指定)で、この形に固定します。

{
  "client_id": "",
  "draft_file": "",
  "amendment_checks": [
    { "item_id": "", "status": "reflected | partial | not_found",
      "article": "", "quote": "", "missing_point": "" }
  ],
  "reference_findings": [
    { "from_article": "", "to_article": "", "from_quote": "", "to_heading": "", "issue": "" }
  ],
  "term_findings": [
    { "term": "", "defined_in": "", "variant": "", "article": "", "quote": "" }
  ],
  "needs_info": []
}

規則で拾った指摘(参照先が存在しない、ほかの規程の古い番号の参照)は、このJSONとは別に Python が作り、指摘一覧の先頭に「確定」として並べます。

1つ目の理由は、指摘の種類ごとに採否を記録できることです。 指摘一覧は表にして、担当者が行ごとに「採る/採らない/顧問先と決めた」を選びます。採らなかった指摘の理由が、所長の見る材料になります。

2つ目は、quote で担当者がすぐ確かめられることです。 改定案の文言がそのまま写っているので、Word の検索で該当箇所に飛べます。 受け取った後に、quote が改定案の本文に本当に含まれているかを Python で確かめ、含まれていない指摘は「引用の不一致」として印を付けます。

3つ目は、status で改正項目の扱いが毎回そろうことです。 構造化出力では文字数の制約が使えず、additionalProperties は false にする必要があるとされています。長すぎる missing_point は受け取った後に Python で印を付けます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
顧問先のフォルダフォルダの見張り(読み取り)改定案、現行の規程、ほかの規程
顧問先の台帳読み取りのみ労働者の数、雇用の区分、導入している制度
改正項目の点検表読み取りのみ項目、施行日、対象の規程、観点
Claude APIAPI呼び出し3つの観点の指摘
指摘一覧顧問先のフォルダへの書き込み表とJSON

顧問先の台帳と点検表には書き込みません。 点検表を直すのは所長で、新しい法改正が施行される前に、項目を1行ずつ足します。 足した日を点検表に書き、指摘一覧の冒頭にその日付を出します。

Step9

人が確認する

担当の社労士は、指摘一覧のすべての行を見ます。

  1. 確定の指摘を先に直す … 参照先が存在しない、古い番号を参照している、の行は、そのまま直します
  2. 改正項目の not_found と partial を見る … 顧問先の制度として対象外なのか、書き漏れなのかを決めます。対象外なら理由を書きます
  3. 参照の内容と用語の指摘を見る … 顧問先と相談して意図的にそうした箇所は「顧問先と決めた」を選びます
  4. 改定案を直し、入れ直す … 2回目の指摘一覧で、残っているものが無いかを見ます

所長は、採らなかった指摘と、改正項目の not_found だけを見ます。 全部を読み合わせていた時間が、判断の要る行だけに縮みます。

2番目を省かないでください。 not_found は、改定案に書かれていないという事実です。顧問先に必要ない制度なのか、書き漏れなのかで、顧問先への説明が変わります。

目標は、1本をならして30分です。 確定の指摘を直すのに数分、改正項目と参照・用語の指摘の採否に15分前後、入れ直した後の確かめと採否の理由の記入に10分前後です。指摘の多い改定案ほど時間がかかりますが、その分だけ顧問先に渡る前に直ったということです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
現行の規程が紙だけで残っている文字を取り出せないので、Word で打ち直すまで用語の観点を止める
条の見出しの形が独特で拾えない条の一覧が空になる。その顧問先の見出しの形を規則に足す
改定案に変更履歴が残っている変更を反映した後の本文を書き出す。反映し忘れの履歴があれば知らせる
参考の PDF にパスワードがある扱えない。事務所で保存するときに外した版を使う
常時10人未満の顧問先届出の段取りの指摘を出さない。規程の中身の観点はそのまま
点検表の最終更新が古い指摘一覧の冒頭に最終更新日を出し、所長に知らせる
quote が本文に見つからない「引用の不一致」の印を付け、担当者が原文で確かめる
Claude API が応答しない規則で拾った確定の指摘だけを出し、残りは後で動かし直す
構造化出力が途中で切れる出力の上限に達している。条の数で分けて2回に分けて渡す

1行目と2行目は、古くからの顧問先で必ず起きます。 条の見出しの書き方は、作った時代と作った人で違います。規則を顧問先ごとに足していくと、半年ほどで大半の顧問先を拾えるようになります。

Step11

記録を残す

  • 改定案と現行の規程の、校正に使った版
  • 点検表のそのときの版と、選んだ改正項目
  • 規則で拾った指摘と、Claude API の指摘の全文
  • 担当者が選んだ採否と理由、所長の確認の記録
  • 顧問先に渡した版のファイル名と日付

4行目の採否の記録は、点検表を直す材料になります。 同じ改正項目で partial を「対象外」として退ける行が続けば、確かめる観点の書き方が広すぎるということです。所長が観点を直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:改定案のテキストを手元のAIサービスに貼り、参照と用語と改正項目を見させる / 指摘が拾えるかの確認
半自動化:上記+Python で条の一覧と参照の一覧を作り、参照先の存在を規則で確かめる / 条番号の参照の照合
本格構成:上記+フォルダへの保存で動き、点検表から改正項目を選び、Claude API の指摘と合わせた一覧を出す / 校正の全体と、所長の確認の絞り込み

半自動化だけでも、②の30分の大半は消えます。 参照先の存在の照合は、規則で確実に拾えるからです。ただし、参照先の内容の食い違いと用語の揺れは、まだ人が読みます。 本格構成で1本30分になり、この段階が本記事の想定です。 違いは、改正項目が点検表から毎回同じように選ばれ、所長が見る行が絞られることです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で数か月、条の一覧を作り続けると、拾えない見出しの形の顧問先が分かります。そこを直してから Claude API に渡すほうが、指摘の取り違えが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  40件 × 90分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 40件 × 30分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価5,000円)
240万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 顧問先が100社を超え、就業規則・賃金規程・育児介護休業規程などの改定案を毎月数十本つくる社会保険労務士事務所。改定案の読み合わせを所長や先輩の社労士が1人で受け持っていて、確認が追いつかない場合。法改正への対応の確認項目を、事務所の点検表として持っている(または作れる)場合。改定案を Word で作っていて、本文を書き出せる場合。
向いていない
  1. 顧問先が少なく、改定案が月に数本の事務所。改定案の大半が紙で届き、本文を文字として取り出せない場合。顧問先ごとに規程の作り方がまったく違い、事務所としての点検表が作れない場合。なお、改定の内容が法令に合っているかの判断、顧問先への助言、労働条件をどう変えるかの提案は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月に顧問先へ渡した改定案のうち、後から直し漏れが見つかったものを3本選ぶ
  2. 3本の改定案と現行の規程を、それぞれ本文のテキストにする
  3. 手元のAIサービスに貼り、「条番号の参照で、参照先の内容が合っていない箇所と、定義した語が別の言い方で使われている箇所を、改定案の文言をそのまま引用して挙げてください。法令に合っているかは書かないでください」と頼む
  4. 関係する改正項目を点検表から2つ選んで貼り、「この項目に対応する条があるかを、条番号と文言で示してください」と頼む
  5. 出てきた指摘を、後から見つかった直し漏れと比べる

30分ほどで終わります。 確かめたいのは、後から見つかった直し漏れを、渡す前に拾えたかです。

出てきた内容判断
後から見つかった直し漏れが指摘に入っていたPython で書き出しと規則の確認を作る段階に進む
指摘はあるが、知っている改正を勝手に挙げてくる指示の書き方で直る。点検表の項目だけを渡す形にする
条番号を取り違えた指摘が多い本文のテキストの作り方が先。 条ごとに区切って渡す

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、条番号と見出しを機械で拾う段階が要ることが分かったということです。手元のAIサービスに貼るときは、顧問先の会社名と、手当の金額などを伏せた版にします。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
知らない法改正の指摘が混ざる点検表の項目だけを渡し、指示で禁じる
存在しない条の参照が「おそれ」で返る規則で確定の指摘にし、生成AIに渡さない
not_found が対象外の制度で出続ける顧問先の台帳に導入している制度を書き、選ぶ段階で外す
施行の後の段階の項目が漏れる点検表を段階ごとの項目に分ける
条の一覧が空になる見出しの形が独特。顧問先ごとに規則を足す
労働条件を変える修正の案が出る指示で禁じ、数字の変わる案を受け取った後に検知する
規定例の文言に合わせる指摘が多い指示で禁じる。顧問先の規程を規定例に合わせる必要は無い
quote が改定案に無い「引用の不一致」の印を付ける
変更履歴の残った改定案を読む反映した後の本文を書き出す
点検表が古いまま動く指摘一覧の冒頭に最終更新日を出す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、生成AIに任せる範囲を広げすぎたところから出ています。確実に分かることは規則で、判断が要ることだけを生成AIで、という分け方を守れば、指摘一覧は信用されます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧問先の就業規則・賃金規程の全文、手当の金額や計算の方法、従業員の数と雇用の区分。賃金の体系は、顧問先にとって外に出したくない情報です。

  1. 外部へ渡す範囲を絞る … 生成AIに渡すのは、条ごとの本文、参照の対、定義の語、関係する改正項目です。顧問先の会社名は仮の番号に置き換えて渡します
  2. 法令への適合の判断をさせない … 適合しているかは社労士が判断し、顧問先に説明します。指摘一覧に適合・不適合の語が入っていないかを、受け取った後に確かめます
  3. 顧問先との契約と同意を確かめる … 顧問先の規程を外部のサービスで処理することが、顧問契約や事務所の個人情報の取扱いの定めの範囲に入っているかを、運用を始める前に確かめます
  4. 点検表の責任者を決める … 改正項目を足すのは所長と決め、足した日と出典を点検表に書きます
  5. 採否の記録を残す … 担当者の採否と所長の確認を残し、顧問先に渡した版がどの指摘を経たものかを説明できるようにします

誤りが起きた場合のリスクは、改正項目の漏れを見逃して顧問先に渡すことと、誤った指摘で顧問先と決めた文言を変えてしまうことの2つです。 前者は点検表の項目を段階ごとに持つことで、後者は担当の社労士が採否を決めることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:点検表を書き直す

改正項目の点検表を、施行の段階ごと・項目ごとの1行に分けます。令和6年改正の育児・介護休業法なら、4月1日の施行と10月1日の施行の項目を別の行にします。

2週目:直し漏れのあった3本で試す

後から直し漏れが見つかった改定案3本を、手元のAIサービスに貼って指摘させます。その直し漏れを拾えたかを最優先で見ます。

3週目:条の一覧と参照の照合を作る

Python で Word の本文を書き出し、条・項・号の一覧と参照の一覧を作り、参照先が存在しないものを拾うところまで作ります。

4週目:顧問先の台帳を整える

顧問先ごとに、常時使用する労働者の数、雇用の区分、導入している制度を台帳に書きます。改正項目を選ぶ規則の材料になります。

2か月目: Claude API で3つの観点の指摘を出し、規則の指摘と1つの一覧にまとめます。3か月目以降: 採否の記録から点検表の観点を直し、所長の確認を不採用と not_found に絞ります。所長が全文を読み合わせなくても、顧問先に渡した後の差し替えが出なくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
労働基準法第89条が常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成と届出を求め、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払の方法、退職に関する事項などを記載事項とすること。第90条の意見の聴取、第91条の減給の制裁の上限(1回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が1賃金支払期の賃金の総額の10分の1)、第92条で就業規則が法令や労働協約に反してはならないことe-Gov 法令API: 労働基準法 第9章2026-10-07
育児・介護休業法が改正され、令和7年4月1日から段階的に施行されること(令和7年4月1日施行、令和7年10月1日施行)。育児・介護休業等に関する規則の規定例(詳細版・簡易版)が更新されたこと厚生労働省: 育児・介護休業法について2026-10-07
令和6年改正育児・介護休業法の施行項目として、令和7年4月1日施行の「所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大」「子の看護休暇の見直し」など、令和7年10月1日施行の「柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化」「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務化」が挙げられていること長崎労働局: 育児・介護休業法について2026-10-07
モデル就業規則の最新が令和7年12月版で、各事業場の実情に応じた就業規則を作成・届出するための規程例と解説であること厚生労働省: モデル就業規則について2026-10-07
構造化出力で output_config.format に type: "json_schema" を指定できること。文字数の制約が使えず、additionalProperties は false にする必要があることClaude Docs: Structured outputs2026-10-07
PDF が1回のリクエストで32MB、600ページ(コンテキストが1M未満なら100ページ)まで扱え、パスワード付きのものは扱えないこと。.docx などのバイナリの形式はドキュメントのブロックで扱えず、テキストか PDF に変換する必要があること。繰り返しの分析にプロンプトキャッシュを使えることClaude Docs: PDF support2026-10-07

改定の内容が法令に合っているか、顧問先にどう説明するかは、担当の社会保険労務士が判断してください。 本記事は公的な資料と製品の公開ドキュメントで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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