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家賃の入金データから滞納を見つけ、滞納の段階に応じた督促文の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

家賃の入金データと家賃台帳から、期日を過ぎても入金の無い契約を毎日洗い出します。滞納の日数と月数で段階を決め、段階ごとのひな形に沿った督促文の下書きを入居者ごとに作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
不動産/金融
対象部門
経理
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
50h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
60%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 期日の翌営業日に、賃貸管理システムから未入金の一覧と未消込の入金の一覧を出す
  2. 未入金の一覧を1件ずつ見て、未消込の入金に当たりそうなものが無いかを名義と金額で探す
  3. 当たりそうなものがあれば、入居者に確認するか消込を直す
  4. 残ったものについて、過去の督促の記録を見て、今回が何回目の連絡かを確かめる
  5. 前回の文面をコピーして、金額・期日・物件名を書き換え、メールか書面で送る
  6. 送ったことを督促の記録(スプレッドシート)に書く
  7. 2か月以上続いているものは、上長に相談して連帯保証人や保証会社への連絡を決める
導入後(After)
  1. 自動毎朝、賃貸管理システムから出した未入金の一覧と未消込の入金の一覧を、スプレッドシートの決まったシートに取り込む
  2. 自動シートの数式が、延滞の日数・滞納の月数・過去の督促の回数から段階を決める
  3. 自動未消込の入金に同じ金額や似た名義があるもの、保証会社の保証があるものに保留の印を付ける
  4. 自動平日の朝9時に Zapier が動き、「下書き待ち」の行を読む
  5. 自動行ごとに段階で分岐し、段階ごとのひな形と台帳の値を Claude に渡して督促文の下書きを作る
  6. 自動メールで連絡する入居者は Gmail の下書きに、書面の入居者は印刷用の文書に入れる
  7. 自動行の状態を「下書き済み」に変え、下書きの場所を書き込む
  8. 人担当者が保留の行を見て、未消込の入金を確かめ、消込を直すか下書きに進めるかを決める
  9. 人下書きを読み、金額・期日・宛先を確かめて送る
  10. 人最後の段階の行は、上長と文面から決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 期日の翌営業日に、賃貸管理システムから未入金の一覧と未消込の入金の一覧を出す
  2. 未入金の一覧を1件ずつ見て、未消込の入金に当たりそうなものが無いかを名義と金額で探す
  3. 当たりそうなものがあれば、入居者に確認するか消込を直す
  4. 残ったものについて、過去の督促の記録を見て、今回が何回目の連絡かを確かめる
  5. 前回の文面をコピーして、金額・期日・物件名を書き換え、メールか書面で送る
  6. 送ったことを督促の記録(スプレッドシート)に書く
  7. 2か月以上続いているものは、上長に相談して連帯保証人や保証会社への連絡を決める

(a)払った人に督促してしまう。 2番目の照合は、カタカナの振込名義と契約者名を目で見比べる作業です。家族の名義や会社の名義で振り込まれると、同じ人だと気づけません。 督促を送ってから「先週振り込みました」と電話が来ます。

(b)連絡の時期が遅れる・漏れる。 4番目で過去の記録を確かめるのに時間がかかり、忙しい月は2回目の連絡が1週間遅れます。 逆に、記録の付け忘れで同じ段階の連絡が二度届くこともあります。

(c)文面が担当者ごとに違う。 前回の文面をコピーして書き換えるので、担当者によって言い方の強さが違います。 1回目の連絡で「法的な手続き」に触れてしまう文面が残っていたこともあります。

(d)金額を書き間違える。 共益費や駐車場代を含むか、前月の残りを足すかを、文面を書き換えるたびに手で直しています。違う金額の督促は、それだけで信用を失います。

  1. 【自動】 毎朝、賃貸管理システムから出した未入金の一覧と未消込の入金の一覧を、スプレッドシートの決まったシートに取り込む
  2. 【自動】 シートの数式が、延滞の日数・滞納の月数・過去の督促の回数から段階を決める
  3. 【自動】 未消込の入金に同じ金額や似た名義があるもの、保証会社の保証があるものに保留の印を付ける
  4. 【自動】 平日の朝9時に Zapier が動き、「下書き待ち」の行を読む
  5. 【自動】 行ごとに段階で分岐し、段階ごとのひな形と台帳の値を Claude に渡して督促文の下書きを作る
  6. 【自動】 メールで連絡する入居者は Gmail の下書きに、書面の入居者は印刷用の文書に入れる
  7. 【自動】 行の状態を「下書き済み」に変え、下書きの場所を書き込む
  8. 【人】 担当者が保留の行を見て、未消込の入金を確かめ、消込を直すか下書きに進めるかを決める
  9. 【人】 下書きを読み、金額・期日・宛先を確かめて送る
  10. 【人】 最後の段階の行は、上長と文面から決める

3番目が、この設計の分かれ目です。 保留の印が付いた行には、下書きを作りません。払ったかもしれない人への督促は、下書きの段階でも作らないことで、送り間違いの入り口を閉じます。

2番目を数式にしているのも意図してのことです。 段階は日数と月数と回数で機械的に決まり、規則を変えるときはシートの数式を直すだけです。 AIに段階を考えさせると、文面の強さが入居者ごとに揺れます。

02今回想定するシステム構成

構成図
賃貸管理システム(未入金の一覧・未消込の入金の一覧を毎朝出力)
   ▼
Google スプレッドシート
   │  数式で段階を決める/保留の印を付ける
   ▼【トリガー】平日9時(Schedule by Zapier)
Zapier
   ├──▶ Google Sheets … 「下書き待ち」の行を読む
   ├──▶ Looping by Zapier … 1行ずつ回す
   ├──▶ Paths by Zapier … 段階で分岐
   │        段階1 確認のお願い/段階2 督促/段階3 最終の督促
   │        段階4 は下書きを作らず上長へ
   ├──▶ Claude … ひな形に沿った下書き
   ├──▶ Gmail … 下書きを作る(送信はしない)
   └──▶ Google Sheets … 状態と下書きの場所を書き戻す
   ▼
【人が保留と下書きを確認して送る】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Schedule、Looping、Paths)Make、Power Automate、n8n
生成AIClaude(Zapier の Anthropic 連携)ChatGPT(OpenAI)、Gemini API
集計Google スプレッドシート(段階の数式、保留の印、督促の記録)Microsoft Excel(オンライン)
メールGmail(下書きの作成)Microsoft Outlook
賃貸管理既存の賃貸管理システム各社の製品

起点は Schedule by Zapier です。 公式には、毎時・毎日・毎週・毎月の間隔で Zap を動かせ、毎日の設定では時刻と週末に動かすかを選べるとされています。この手順そのものはタスクの使用量に数えられません。 ただし時刻は正確には保証されず、予定の時刻から数分以内に動くとされています。時刻は Zapier のアカウントに設定したタイムゾーンで決まります。

行を読むのは Google Sheets の「Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)」です。 公式の説明では、列と値で探して最大500行を行の一覧(line items)として返します。 1日の「下書き待ち」は多くても100件台なので、1回で読めます。

1行ずつ回すのは Looping by Zapier です。 一覧の値ごとにアクションを繰り返す手順で、繰り返しの1回ずつがタスクとして数えられます。 無料のプランでは使えず、Professional 以上のプランで使えるとされています。

段階の分岐は Paths by Zapier です。 1つのグループに最大10本の分岐を置け、左から順に条件が評価されます。どの条件にも当たらないときに通る fallback の分岐を1つ指定できます。これも無料のプランでは使えません。

下書きは Gmail の「Create Draft」で作ります。 公式の説明では、送信せずに下書きのメールを作る手順です。「Send Email」は使いません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

平日の朝9時に、Schedule by Zapier の「Every Day」で動かします。 週末に動かす設定は切ります。督促の下書きは担当者が出社してから確かめるもので、夜のうちに作っておいても、確かめる人がいなければ意味がありません。

賃貸管理システムからの取り込みは、その前に済ませておきます。 毎朝8時台に未入金の一覧と未消込の入金の一覧をCSVで出し、スプレッドシートの「取り込み」シートに貼ります。賃貸管理システムから直接データを取る仕組みは製品ごとに違うため、この構成では出力したCSVを入口にします。

9時の時点で取り込みが済んでいなければ動かさないよう、取り込みシートに日付のセルを置き、Zap の最初の条件で今日の日付かを確かめます。前日の一覧のまま下書きを作ると、昨日入金した人に督促が作られます。

祝日は別に止めます。 Schedule の設定で選べるのは週末に動かすかどうかで、祝日の扱いは確認した説明にはありませんでした。スプレッドシートに自社の休業日の一覧を置き、今日が休業日なら最初の条件で止めます。 休み明けの朝は、休みのあいだの入金を取り込んでから動かします。

時刻には数分の幅があります。 公式には、予定の時刻から数分以内に動くとされています。9時ちょうどに下書きがそろっている前提で担当者の段取りを組まないようにし、9時15分から確認を始める運用にします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
未入金の一覧契約番号、契約者名、物件名・部屋番号、請求の内訳(家賃・共益費・駐車場代)、未入金の額、期日賃貸管理システムのCSV
未消込の入金の一覧入金日、振込名義(カタカナ)、金額同上
督促の記録契約ごとの過去の連絡の日付・段階・手段スプレッドシート
契約の属性連絡手段(メール/書面)、メールアドレス、保証会社の有無、連帯保証人の有無賃貸管理システムのCSV
段階ごとのひな形段階1〜3の文面の骨組みと、必ず入れる文・入れてはいけない言葉自社で用意する文書

質を決めるのは、いちばん下のひな形です。 ひな形が無いまま「督促文を書いて」と頼むと、段階ごとの強さをAIが毎回考えることになります。 段階1は確認のお願い、段階2は期日を示したお支払いのお願い、段階3は連帯保証人への連絡の予定を伝えるもの、と骨組みを決めておきます。

メールアドレスは契約者本人のものだけを使います。 家族のアドレスや勤務先のアドレスに家賃の滞納を書いて送ると、滞納の事実を第三者に知らせることになります。

督促の記録は、1回の連絡を1行にします。 契約番号・日付・段階・手段・送った担当者・入居者からの返事のメモを持たせます。今回の滞納が始まった日の列も持たせ、それより前の記録は回数に数えません。前の滞納が解消した後の新しい滞納を、3回目の連絡と取り違えないためです。

Step3

データの取得方法を決める

段階と保留は、Zapier ではなくスプレッドシートの数式で決めます。

列決め方
延滞の日数今日の日付 - 期日
滞納の月数未入金の額 ÷ 月額の請求額(切り上げ)
過去の督促の回数督促の記録から、今回の滞納が始まってからの件数を数える
段階日数・月数・回数の組み合わせを、段階の表で引く
保留の印未消込の入金に同額があるか、振込名義の先頭の数文字が契約者名のカナと一致するか、保証会社の保証があるか
状態「下書き待ち」/「保留」/「上長へ」/「下書き済み」/「送付済み」

段階の表は、たとえば次のような形にします。 数字は例で、自社の規則と契約の条項に合わせて決めます。

延滞の日数滞納の月数過去の督促の回数段階
3日以上1か月分0回段階1
14日以上1か月分1回段階2
-2か月分2回まで段階3
-3か月分以上-段階4(上長へ)

表は上の行から順に見て、当てはまる最も重い段階を取ります。 回数だけが進んで日数が足りない、といった組み合わせでも段階が1つに決まるようにしておきます。

Zapier は、状態が「下書き待ち」の行だけを読みます。 Google Sheets の「Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)」で状態の列を「下書き待ち」で探し、行の一覧として受け取ります。

保留の印は、疑わしいものを広めに拾います。 同額の未消込の入金が1件でもあれば保留にします。保留が多すぎても人が見れば済みますが、少なすぎると払った人に督促が作られます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 取り込みの日付の確認 … 取り込みシートの日付が今日でなければ、Zap を止めて担当者に知らせます
  2. 重複の除外 … 同じ契約が一覧に二重に出ていれば、1行にまとめます
  3. 内訳の整形 … 家賃・共益費・駐車場代を「内訳の文字列」として1つのセルにまとめ、そのまま差し込めるようにします
  4. 金額の表記 … 3桁区切りと「円」を付けた文字列にします。AIに数字を渡して書式を整えさせません
  5. 期日の表記 … 「2026年10月27日」のような決まった書式の文字列にします
  6. 宛名の確認 … 契約者名が法人のときは、宛名を「御中」の形にする列を用意します
  7. 同じ日の二重作成の防止 … 督促の記録に今日の日付の行があれば、「下書き待ち」から外します

4番目と5番目を前処理で済ませるのは、AIに金額と日付を触らせないためです。 数字のまま渡すと、生成AIは「約8万円」と丸めたり、内訳を足し直したりします。文字列として差し込む値にしておけば、写すだけになります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、決まった段階のひな形に沿って、差し込む値を入れた文面を書くことだけです。

段階目安文面の骨組みAIに書かせるか
段階1期日から数日、1か月分入金の確認のお願い。入れ違いへのお詫び書かせる
段階2期日から2週間、または2回目未入金の額と内訳、お支払いの期日、連絡先書かせる
段階32か月分、または3回目期日までに入金が無い場合、連帯保証人・保証会社へ連絡する予定であること書かせる(上長の確認が必須)
段階43か月分以上契約の解除や法的な手続きに関わる書かせない。上長へ

段階の目安の数字は例です。 自社の規則と契約の条項に合わせて段階の表を作ります。

AIに任せるのは、文の言い回しと、入居者ごとの事情を反映した一文だけです。 たとえば、前回の連絡で「月末に払う」と返事があった入居者には「先日ご連絡いただいた件」と一文を入れる、という調整です。その事情は督促の記録のメモ欄から渡します。

させないこと理由
段階の判断規則で決める。文面の強さが揺れる
金額・期日の計算や書き換え台帳の値をそのまま写す
遅延損害金の計算と記載契約の条項と自社の方針で決める。載せるなら人が書く
段階にない強い言葉「法的措置」「退去」「強制」などは段階1〜3に入れない
滞納の理由の推測「お忘れかと存じます」以上の推測を書かない

4行目がいちばん気をつける点です。 生成AIは「督促」と聞くと、支払いを促す強い表現を足しがちです。入れてはいけない言葉は、ひな形とプロンプトの両方に一覧で書きます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは賃貸住宅の管理会社の経理担当で、家賃が未入金の入居者へ送る連絡文の下書きを作ります。
下書きは担当者が確認してから送ります。

【今回の段階】{stage}
【段階のひな形】{template}
【差し込む値】
- 宛名:{addressee}
- 物件名・部屋番号:{property}
- 未入金の額:{amount_text}
- 内訳:{breakdown_text}
- 元の期日:{due_date_text}
- お支払いのお願いの期日:{pay_by_text}
- 連絡先:{contact}
【前回までの連絡の要約】{history_note}

【厳守事項】
- ひな形の骨組みと順番を変えないでください。
- 差し込む値は、書かれている文字列をそのまま写してください。
  金額を丸めたり、足し直したり、書式を変えたりしないでください。
- 遅延損害金、利息、手数料について書かないでください。
- 次の言葉は使わないでください:{banned_words}
- 滞納の理由を推測しないでください。
- 最後に必ず「本状と行き違いでお支払いいただいている場合は、ご容赦ください。」を入れてください。
- 前回までの連絡の要約に入居者からの返事があれば、それに触れる一文を1つだけ入れてください。
  要約に無いことは書かないでください。
- 件名と本文を分けて返してください。

【返す形】
{"subject": "", "body": "", "used_values": {"amount_text": "", "due_date_text": "", "pay_by_text": ""}}

used_values を返させるのは、写した値を機械で確かめるためです。 Zapier の次の手順で、used_values の金額と期日が差し込んだ値と1文字も違わないかを比べ、違えば下書きを作らずに「上長へ」に回します。 本文の中の金額を人が読み比べるより確実です。

「行き違いの場合はご容赦ください」を必ず入れさせるのは、保留の印で拾えなかった入金のためです。 名義も金額も違う入金は、どの規則でも拾えません。最後の1文が、その取りこぼしへの備えです。

Step7

出力形式を固定する

次の形で受け取り、Zapier の手順で使います。

{
  "subject": "【ご確認のお願い】10月分賃料のお支払いについて",
  "body": "",
  "used_values": {
    "amount_text": "82,000円",
    "due_date_text": "2026年9月27日",
    "pay_by_text": "2026年10月10日"
  }
}

1つ目の理由は、件名と本文を Gmail の下書きの別々の欄に入れられることです。 「Create Draft」は宛先・件名・本文を別に受け取るので、本文の中から件名を切り出す手順が要りません。

2つ目は、used_values で写し間違いを止められることです。

比べるもの一致したとき違ったとき
amount_text と差し込んだ金額下書きを作る下書きを作らず「上長へ」
due_date_text と差し込んだ期日同上同上
本文に banned_words が含まれるか含まれなければ下書きを作る含まれれば「上長へ」

3つ目は、書面で送る入居者にも同じ出力を使えることです。 body をひな形の文書に差し込めば、印刷用の書面になります。

Step8

システムへ連携する

手順Zapier のアプリ内容
起点Schedule by Zapier平日9時に動かす
行の取得Google Sheets(Lookup Spreadsheet Rows (Advanced))「下書き待ち」の行を最大500行まで行の一覧で受け取る
繰り返しLooping by Zapier行ごとに以下を繰り返す
分岐Paths by Zapier段階1・2・3で分け、fallback の分岐は「上長へ」
下書きAnthropic (Claude) の「Send Message」ひな形と差し込む値を渡して文面を受け取る
検査Filter by Zapierused_values と禁止の言葉を確かめる
メールGmail の「Create Draft」メールで連絡する入居者の下書きを作る
書き戻しGoogle Sheets(Update Spreadsheet Row)状態を「下書き済み」にし、下書きの場所を書く

fallback の分岐を「上長へ」にしておきます。 段階の列が空だった、想定外の値が入っていた、というときにどの分岐にも当たらなかった行が黙って消えないようにします。

タスクの数は、1行あたりの手順の数で見積もります。 繰り返しの中に分岐・下書き・検査・Gmail・書き戻しが入るので、1行で数タスクになり、月300件なら千件単位になります。プランを選ぶ前に、先月の件数で数えておきます。

賃貸管理システムには書き込みません。 消込の修正は、保留の行を見た担当者が賃貸管理システムで行います。送付済みへの変更も、担当者が送ってから行います。

Step9

人が確認する

  1. 保留の行を先に見る … 未消込の入金を賃貸管理システムで確かめ、その契約の入金なら消込を直します。違えば状態を「下書き待ち」に戻し、翌朝の下書きに回します
  2. 下書きの宛先を確かめる … 契約者本人のアドレスかを見ます
  3. 金額と期日を確かめる … 賃貸管理システムの画面と見比べます。自動の検査を通っていても、最初の3か月は全件を見ます
  4. 段階3は上長が読む … 連帯保証人・保証会社への連絡の予定を伝える文面は、上長の確認を経て送ります
  5. 送ったら記録する … 督促の記録に日付・段階・手段を書き、状態を「送付済み」にします

1番目を省かないでください。 保留の行は、払った人かもしれない行です。1件の誤った督促は、その入居者との次の更新まで残ります。

段階3で上長が見るのは3つです。 連帯保証人や保証会社への連絡の予定が、契約の条項と合っているか。お支払いのお願いの期日が短すぎないか。入居者からの返事や分割の相談が記録にあるのに、段階3に進んでいないかです。3つ目に当たれば、段階を止めて担当者が電話で話します。

目標は、300件をならして1件4分です。 保留の無い段階1の下書きは読んで送るだけで短く、保留の行と段階3は長くかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
取り込みの日付が今日でないZap を止め、担当者に知らせる
行が500行を超える「下書き待ち」を段階ごとに分けて読む
段階の列が空、または想定外の値fallback の分岐で「上長へ」
used_values が差し込んだ値と違う下書きを作らず「上長へ」
禁止の言葉が本文に入った同上
メールアドレスが無い書面の側に回す
入居者から分割で払う申し出がある督促の記録のメモに書き、段階を止める列に印を付ける
保証会社の保証がある保留にし、保証会社への連絡の手順に回す
口座振替の結果がまだ届いていない振替の結果の日付より前は「下書き待ち」にしない
退去の手続き中・解約の精算中督促ではなく精算の手順に回す。段階の表の対象から外す
入居者が亡くなった、連絡がつかない下書きを作らず「上長へ」。相続人や連帯保証人への連絡は人が決める
Anthropic の手順が失敗する行を「下書き待ち」のまま残し、翌朝に再実行

上から3行目までは、仕組みの外側の問題です。 取り込みと段階の表が正しく整っていれば起きません。最初の1か月は、取り込みの手順を毎朝同じ人が行うと安定します。

Step11

記録を残す

  • 毎朝取り込んだ未入金の一覧と未消込の入金の一覧(日付ごとのシート)
  • 行ごとの段階・保留の印と、そのときの段階の表の版
  • Claude に渡したひな形と差し込む値、返ってきた subject ・ body ・ used_values
  • used_values と禁止の言葉の検査の結果
  • 人が下書きを直した記録 … どの文をどう直したか
  • 送った日付・段階・手段と、送った担当者

5つ目は、ひな形を直す材料になります。 毎回同じ文が直されているなら、プロンプトではなくひな形の側を直します。

4つ目と5つ目は、入居者からの問い合わせへの答えにもなります。 「そんな連絡は受け取っていない」と言われたとき、いつ、どの段階の文面を、どの手段で送ったかを1行で示せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:ひな形と値を手で Claude の画面に貼り、下書きを作らせる / 1件ごとの文面の作成
半自動化:上記+スプレッドシートの数式で段階と保留を決め、担当者が一覧を見ながら下書きを作る / 段階の見極めと、保留の洗い出し
本格構成:上記+ Zapier で毎朝「下書き待ち」を読み、段階で分岐して Gmail の下書きまで作る / 下書きまでのほぼ全体

最小構成では、照合と段階の見極めが手作業のまま残ります。 文面の質を確かめるための段階です。 半自動化で、1件10分が6分程度になります。 照合の候補と段階は数式で出ますが、文面の作成と記録が手作業で残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 半自動化の段階で、保留の条件を育ててください。 1か月回すと、どういう振込名義が契約者と結びつかないかが見えてきます。保留の条件を足してから本格構成に進むほうが、払った人への下書きが減ります。 たとえば、会社の名義で家賃を払う入居者や、親の名義で振り込まれる学生の契約は、契約ごとに「振込名義の別名」の列を持たせると、次の月から保留で拾えるようになります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  300件 × 10分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 300件 × 4分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
60%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,000円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 賃貸住宅を数千戸管理し、家賃の入金を管理会社で受けている賃貸管理会社。毎月数百件の未入金があり、入金の確認と督促の連絡を経理の担当者が1件ずつ書いている場合。督促の文面と送る時期が担当者ごとに違い、同じ入居者に同じ段階の連絡が二度届く、あるいは届かないことがある場合。
向いていない
  1. 家賃の収納と督促をすべて家賃保証会社に任せており、管理会社から督促の連絡をしない場合。未入金が月に数件で、個別に電話で足りる場合。明け渡しの請求や法的な手続きに進むかどうかの判断を自動化したい場合(この構成は下書きまでで、その判断は代替しません)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の未入金の一覧から30件を選ぶ(段階1・2・3がそれぞれ入るようにする)
  2. 段階ごとのひな形を、今使っている文面から1つずつ作る
  3. 手元の Claude の画面に、ひな形と差し込む値(金額・期日・物件名を黒塗りした仮の値でよい)を貼り、下書きを作らせる
  4. 出てきた下書きを、当時実際に送った文面と並べて読む
  5. 差し込んだ金額と期日が1文字も変わっていないかを確かめる

5番目を必ずやってください。 生成AIに金額を写させると、丸めや書式の変更が起きることがあります。それが起きるかどうかで、used_values の検査の重みが分かります。

出てきた内容判断
ひな形どおりで、値も変わっていないスプレッドシートと Zapier の連携に進む
金額を丸めた、書式を変えた指示の書き方と used_values の検査で止められる。構成は有効
段階1に強い言葉が入った禁止の言葉の一覧を足す
担当者ごとの文面の違いが大きく、ひな形が作れないひな形を決めることが先。 AIの問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
払った人に督促の下書きが作られる未消込の入金に同額や似た名義があれば保留にし、下書きを作らない
前日の一覧のまま下書きが作られる取り込みの日付を最初の条件で確かめる
金額が丸められる・書式が変わる金額を文字列で渡し、used_values で1文字ずつ比べる
段階1に強い言葉が入る禁止の言葉の一覧をひな形とプロンプトの両方に書き、本文を検査する
段階の列が空の行が消えるPaths の fallback の分岐を「上長へ」にする
同じ日に二度下書きが作られる督促の記録に今日の行があれば外す
家族や勤務先のアドレスに送られる契約者本人のアドレスだけを使う列を持つ
タスクの数が想定より多いLooping の繰り返しの1回ずつが数えられる。件数から見積もる
Looping や Paths が設定できない無料のプランでは使えない。プランを確かめる
下書きが自動で送られる「Send Email」を使わず「Create Draft」にする

上の3行が、入居者との関係を守れるかを決めます。 どれも「事実と違う督促を送る」という同じ失敗です。払ったかもしれない人を保留にし、値をAIに触らせないかどうかで、誤った督促の数が決まります。

プランの2行は、組み始めてから気づくことが多い点です。 無料のプランで試作を始め、繰り返しと分岐の手順を置こうとした段階で止まります。試作の前にプランを決め、先月の件数でタスクの数を数えておいてください。 足りなければ、段階1だけを Zapier に載せ、段階2と3を半自動化のまま残す形でも始められます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 入居者の氏名、物件名・部屋番号、未入金の額、連絡先、過去の督促の記録。家賃の滞納は、入居者にとって知られたくない情報です。

  1. 滞納を第三者に知らせない … 連絡は契約者本人にだけ送ります。家族や勤務先のアドレス、共用部の掲示などで滞納が分かる形にしないでください
  2. 生成AIに渡す値を絞る … 渡すのは宛名・物件名・金額・期日・前回までの連絡の要約だけです。入居者の勤務先や、滞納の理由に関わる事情は渡しません
  3. 送信を自動にしない … Gmail の下書きまでで止め、送るのは担当者です
  4. 最後の段階をAIに書かせない … 契約の解除や法的な手続きに関わる連絡は、上長と、必要に応じて法律の専門家が文面から決めます
  5. 督促の方法を社内で決めておく … 連絡の時間帯、回数、手段を自社の規則として定め、AIの下書きがその範囲を超えないようにひな形に反映します
  6. 記録を残す期間を決める … 督促の記録と下書きの履歴は、滞納が解消した後もしばらく必要です。いつまで残し、いつ消すかを個人情報の取り扱いの定めに合わせて決めます
  7. 生成AIの利用の条件を確かめる … Zapier と生成AIの製品の利用の条件で、入力した内容がどう扱われるかを確かめてから、本番のデータを流します

誤りが起きた場合のリスクは、払った人に督促することと、督促すべき人に連絡が漏れることの2つです。 前者は保留を置かないと起き、後者は段階の列が空の行が消えると起きます。保留と fallback の分岐で、両方を防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:段階の表とひな形を決める

今使っている督促の文面を集め、段階1〜3のひな形を1つずつに絞ります。何日遅れたら、何回目で、どの段階かを表にし、上長の確認を受けます。入れてはいけない言葉の一覧もここで作ります。

2週目:30件で試す

先月の30件で、手元の Claude に下書きを作らせます。金額と期日が1文字も変わっていないかを最優先で見ます。

3週目:スプレッドシートを作る

取り込みのシート、段階の数式、保留の印、督促の記録のシートを作ります。先月の一覧を取り込み、保留になった行が本当に払った人だったかを確かめます。

4週目:Zapier でつなぐ

Schedule、Google Sheets、Looping、Paths、Anthropic、Gmail の「Create Draft」をつなぎます。最初は段階1だけで動かし、段階2と3は手作業のまま残します。

2か月目: 段階2と3の分岐を足し、used_values と禁止の言葉の検査を入れます。3か月目以降: 1件10分が何分になったかを実測し、保留の行が払った人だった割合を見ます。保留の条件と段階の表が落ち着き、担当者が下書きをほとんど直さなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-29/最終更新:2026-09-29
確認した内容情報源確認日
Schedule by Zapier で毎時・毎日・毎週・毎月の間隔を選べること。毎日の設定で時刻と週末の実行を選べること。タスクの使用量に数えられないこと。Zapier のアカウントのタイムゾーンで動くこと。予定の時刻から数分以内に動くとされ、正確な時刻は保証されないことZapier: Schedule Zap workflows to run at specific intervals2026-09-29
Looping by Zapier が一覧の値ごとにアクションを繰り返すこと。行の一覧(line items)から回せること。繰り返しの1回ずつがタスクとして数えられること。無料のプランでは使えず、Professional・Team・Enterprise のプランで使えることZapier: Looping by Zapier2026-09-29
Paths by Zapier が条件で処理を分けること。1つのグループに最大10本、入れ子は3段までであること。左から順に評価されること。fallback の分岐を1つ指定できること。無料のプランでは使えないことZapier: Paths2026-09-29
Google Sheets の「Lookup Spreadsheet Rows (Advanced)」が列と値で探して最大500行を行の一覧として返すこと。「Update Spreadsheet Row」で行を更新できることZapier: Google Sheets integrations2026-09-29
Gmail の「Create Draft」が送信せずに下書きのメールを作ること。宛先・件名・本文などを受け取ること。「Send Email」が別の手順であることZapier: Gmail integrations2026-09-29
Anthropic (Claude) の連携に「Send Message」があり、システムプロンプトやモデルを指定できることZapier: Anthropic (Claude) integrations2026-09-29

督促の段階、連絡の方法、契約の解除などに関わる判断は、自社の規則と、必要に応じて法律の専門家の確認に基づいて行ってください。 本記事は Zapier の公式の情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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