Media > AI活用ユースケース > 営業 > 保険の募集の面談の録音から、意向把握と比較説明の記録を作る

保険の募集の面談の録音から、意向把握と比較説明の記録を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

保険募集の面談の録音から文字起こしを取り、代理店の募集管理規程で定めた様式の項目ごとに、顧客の意向、提案した商品と比較した商品、説明した事項、次回の約束を記録の下書きにします。次回フォローの期限は台帳へ載せます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
対象業界
保険
対象部門
営業
対象業務
書類作成/記録・議事録作成
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
100h/月
AI導入後
32h/月
想定削減
68%
年間削減
816h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 面談中は手元のメモに要点を書く。録音があるものは録音も残す
  2. 面談の後、事務所に戻ってメモを見返す。聞き漏れがないか、録音の該当箇所を聞き直す
  3. 面談記録の様式を開き、意向・提示した商品・比較した商品・推奨理由・説明した事項を書く
  4. 次回の約束(資料の送付、見積りの再提示、次回の面談日)を、次回フォローの一覧に書き写す
  5. 面談記録を顧客管理システムに添付し、業務管理部の点検に回す
  6. 業務管理部が抜き取りで点検し、不足があれば募集人に差し戻す
導入後(After)
  1. 人面談の冒頭で、録音と記録作成のために録音することを顧客に伝え、了承を得る
  2. 【人/自動】 オンラインは Teams の文字起こし、来店と訪問はスマートフォンの録音を文字起こしのAPIに渡す
  3. 自動文字起こしを話者ごとに分け、募集人と顧客の発言を区別する
  4. 自動顧客の前回までの面談記録(当初の意向)を顧客管理システムから引く
  5. 自動募集管理規程の様式の項目ごとに、顧客の発言から意向を要約し、`recorded` / `not_asked` / `no_answer` / `unclear` を付ける
  6. 自動提示した商品、比較した商品、推奨理由、説明した事項を、発言の根拠付きで書き出す
  7. 自動次回の約束を、内容・期限・担当者に分けて取り出す
  8. 人募集人が下書きを開き、根拠の発言と照らして直す。`not_asked` の項目は次回に聞く事項として残す
  9. 人募集人が確認した記録だけを顧客管理システムに保存する
  10. 自動確認済みの記録から、次回の約束を次回フォローの台帳に載せる
  11. 人業務管理部が、`not_asked` の多い記録と推奨理由の欄が空の記録から点検する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 面談中は手元のメモに要点を書く。録音があるものは録音も残す
  2. 面談の後、事務所に戻ってメモを見返す。聞き漏れがないか、録音の該当箇所を聞き直す
  3. 面談記録の様式を開き、意向・提示した商品・比較した商品・推奨理由・説明した事項を書く
  4. 次回の約束(資料の送付、見積りの再提示、次回の面談日)を、次回フォローの一覧に書き写す
  5. 面談記録を顧客管理システムに添付し、業務管理部の点検に回す
  6. 業務管理部が抜き取りで点検し、不足があれば募集人に差し戻す

(a)記録を書くのが面談の翌日以降になる。 訪問が続く日は、事務所に戻るのが夕方以降です。記録は翌日か週末にまとめて書くことになり、メモだけでは思い出せない部分を、録音で聞き直すところから始まります。 1件あたりの時間の大半は、ここにかかっています。

(b)聞いていない項目が、記録から見えない。 保険料の希望を聞かなかった面談でも、提案した商品の保険料を「希望の範囲」の欄に書いてしまうことがあります。欄が埋まると、次の面談で改めて聞く理由がなくなります。 業務管理部の点検で「意向の欄が商品名で埋まっている」と指摘されるのは、この型です。

(c)推奨理由が書かれない。 乗合代理店では、複数の商品の中から絞り込んで提示した理由の説明が求められます。面談では口頭で話しているのに、記録を書く段階で省かれます。 話したのか話していないのかは、録音を聞かないと分かりません。

(d)次回の約束が一覧に載らない。 「来週中に見積りを送ります」と面談で約束しても、4番目の書き写しが後回しになると、約束は募集人の記憶にしか残りません。 見積りを送り忘れた顧客は、他の代理店で契約します。

  1. 【人】 面談の冒頭で、録音と記録作成のために録音することを顧客に伝え、了承を得る
  2. 【人/自動】 オンラインは Teams の文字起こし、来店と訪問はスマートフォンの録音を文字起こしのAPIに渡す
  3. 【自動】 文字起こしを話者ごとに分け、募集人と顧客の発言を区別する
  4. 【自動】 顧客の前回までの面談記録(当初の意向)を顧客管理システムから引く
  5. 【自動】 募集管理規程の様式の項目ごとに、顧客の発言から意向を要約し、recorded / not_asked / no_answer / unclear を付ける
  6. 【自動】 提示した商品、比較した商品、推奨理由、説明した事項を、発言の根拠付きで書き出す
  7. 【自動】 次回の約束を、内容・期限・担当者に分けて取り出す
  8. 【人】 募集人が下書きを開き、根拠の発言と照らして直す。not_asked の項目は次回に聞く事項として残す
  9. 【人】 募集人が確認した記録だけを顧客管理システムに保存する
  10. 【自動】 確認済みの記録から、次回の約束を次回フォローの台帳に載せる
  11. 【人】 業務管理部が、not_asked の多い記録と推奨理由の欄が空の記録から点検する

8番目が、この設計の分かれ目です。 下書きは募集人が確かめるまで記録になりません。AIが書いたものを、そのまま保存する経路を作りません。

11番目で点検の順番が変わります。 聞いていない項目の数と推奨理由の有無が分かるので、見るべき記録から先に見られます。

02今回想定するシステム構成

構成図
面談(来店・訪問・オンライン)
   │  冒頭で録音と記録作成を伝え、了承を得る
   ├── オンライン ─▶ Microsoft Teams の録画と文字起こし
   └── 来店・訪問 ─▶ スマートフォンの録音 ─▶ OpenAI API の音声文字起こし
   ▼
話者ごとに分けた文字起こし(募集人/顧客)
   ▼
顧客管理システム ── 前回までの記録(当初の意向・提示済みの商品)を引く
   ▼
ChatGPT(OpenAI API の Structured Outputs)
   │   募集管理規程の様式の項目ごとに
   │   ① 意向の各項目  ② 提示・比較した商品  ③ 推奨理由
   │   ④ 説明した事項  ⑤ 次回の約束
   │   を recorded / not_asked / no_answer / unclear 付きで返す
   ▼
【募集人が根拠の発言と照らして確認・修正】
   ├──▶ 顧客管理システムへ保存(確認済みのものだけ)
   └──▶ 次回フォローの台帳(SharePoint リスト)
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API の Structured Outputs)Claude API、Gemini API
連携Microsoft Teams の文字起こし(オンライン面談)、OpenAI API の音声文字起こし(来店・訪問の録音)各社のWeb会議ツールの文字起こし機能
録音会社支給のスマートフォンの録音アプリICレコーダー
保管SharePoint リスト(次回フォローの台帳)代理店の顧客管理システムのタスク機能

顧客管理システムと面談記録の様式は、新しく足すものではありません。 様式の項目をJSONの項目に写すのが最初の準備作業で、項目の正本はあくまで様式です。

処理の中心は、OpenAI API の Structured Outputs です。 渡したJSONスキーマに、モデルの応答が常に沿うようにする機能で、必須の項目を落とすことや、列挙した値にない値を作ることを心配しなくてよいとされています。この構成では、様式の全項目を必須にし、状態を4つの値の列挙で縛ります。項目を黙って飛ばすことも、中間の値を作ることもできない形にします。

スキーマの書き方には決まりがあります。 すべての項目を必須に並べ、定義にない項目の追加を認めない(additionalProperties を false にする)形です。値が無いことがある項目は、省略ではなく null を許す型で表します。「聞いていない」を、項目が消えることではなく値として残せるのは、この決まりのおかげです。

文字起こしは2つの経路です。 オンラインの面談は Teams の文字起こしを使います。Teams では、会議の後にタイムスタンプと話者の帰属付きで文字起こしを見ることができ、文字起こしは会議のレコーディングとともに OneDrive と SharePoint に保存されます。来店と訪問の録音は、OpenAI API の音声文字起こしに渡します。話者を区別した出力(diarized_json 形式)を返すモデルがあり、話者、開始時刻、終了時刻の付いた区間で返ります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、面談の文字起こしがそろったことです。 オンラインは Teams の会議が終わり、文字起こしが保存された時点、来店と訪問は募集人が録音のファイルを所定の場所に置いた時点です。面談の当日のうちに下書きが出ることを目標にします。 翌日に回すと、募集人が面談の中身を覚えているうちに確かめる、という前提が崩れます。

Teams の文字起こしには前提があります。 文字起こしは開催者ごと・ユーザーごとのポリシー設定で、会議に文字起こしを含めるには開催者がこの設定をオンにしている必要があります。レコーディングや文字起こしを開始するユーザーも同様です。レコーディングが有効でも文字起こしがオフなら、トランスクリプトのファイルは保存されません。 面談を始める前に、募集人のアカウントの設定を業務管理部で確かめておきます。

録音の了承が取れなかった面談は、この仕組みに入れず、従来どおり手で記録を書きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
面談の文字起こし話者ごとの発言、発言の時刻Teams の文字起こし、または音声文字起こしのAPI
面談の基本情報顧客番号、面談日時、場所(来店・訪問・オンライン)、担当の募集人、録音の了承の有無募集人が入力する面談の登録
前回までの記録当初把握した意向、提示済みの商品、前回の次回の約束顧客管理システム
記録の様式募集管理規程で定めた項目の一覧と、各項目の書き方の決まり業務管理部が管理する様式の定義
取扱商品の一覧所属保険会社ごとの商品名と特約名の正式名称業務管理部が管理する一覧

質を決めるのは、下の2つです。 様式の定義が曖昧だと、AIは項目の意味を自分で解釈します。「優先する事項」の欄に何を書くのかを、様式の側で一文ずつ決めておきます。 商品名の一覧が無いと、文字起こしの誤変換がそのまま記録に残ります。

前回までの記録を渡すのは、意向の変化を見るためです。 監督指針では、最終的な顧客の意向が確定した段階で、その意向と当初把握した主な顧客の意向を比較し、相違している場合にはその相違点を確認する方法が例として示されています。AIには、当初の記録と今回の発言が食い違う項目を、並べて示すところまでさせます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
オンライン面談の文字起こしTeams のレコーディングとともに保存された文字起こし話者と時刻の付いた発言
来店・訪問の文字起こし音声文字起こしのAPIの応答(話者を区別した形式)同上
当初の意向と提示済みの商品顧客管理システムの前回の面談記録意向の変化の比較
様式の項目様式の定義ファイルJSONスキーマの項目と、指示に並べる項目

Teams の文字起こしを取り出す方法は、利用環境に応じた個別実装が必要です。 最初は、募集人が保存先から所定のフォルダに置く運用で足ります。

音声文字起こしのAPIに渡すファイルには条件があります。 形式は mp3、mp4、mpeg、mpga、m4a、wav、webm で、1ファイル25MBまでです。面談は1時間を超えることも多く、録音アプリの設定によってはこの上限を超えます。超える録音は、文の途中で切らないように分けて渡します。 途中で切ると、前後の文脈が失われて精度が落ちます。

話者の区別には、募集人の声を先に登録しておけます。 話者を区別する形式では、2〜10秒の既知の話者の音声を最大4つまで参照として渡し、区間を特定の話者に対応づけられます。6名の募集人の短い音声を用意しておけば、募集人の名前で区間が返ります。 顧客側は登録しません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 了承の確認 … 面談の基本情報で録音の了承が「あり」になっていることを確かめます。「なし」または未入力なら、処理を止めて募集人に戻します
  2. 形式とサイズの確認 … 録音が対応形式であること、25MB以内であることを確かめます。超えるものは、無音の区間で分けます
  3. 用語の指定 … 文字起こしの際に、取扱商品と特約の正式名称を指示として渡します。音声文字起こしのAPIでは、指示を与えることで固有名詞や略語、専門用語の認識を改善できるとされています
  4. 話者の整理 … 募集人の発言と顧客の発言にラベルを付けます。顧客の同席者(配偶者など)がいれば、顧客側の話者として分けて残します
  5. 面談と関係のない部分の除去 … 冒頭の雑談や、移動中に録音が回り続けた区間を、時刻で切り落とします
  6. 健康に関する発言の印付け … 病歴や通院の話は、面談記録ではなく告知の手続きで扱います。該当する区間に印を付け、記録の下書きでは「健康状態の話題あり」とだけ書かせます
  7. 前回の記録の添付 … 顧客番号から前回までの記録を引き、当初の意向の項目だけを渡します

6番目は、渡す範囲を決める作業です。 様式に欄が無い情報を、AIに要約させる理由はありません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、様式の項目ごとに、顧客の発言から意向を要約し、根拠の発言と状態を付けることだけです。 項目は、募集管理規程の様式をそのまま並べます。

見るもの書き方判断できないときの扱い
保障の分野(死亡、医療、介護、老後資金など)顧客が言った分野を、顧客の言葉で要約話題に出ていなければ not_asked
貯蓄部分の要否顧客の発言だけから聞いたが答えなかったら no_answer
保障期間・保険料・保険金額の希望顧客が言った範囲をそのまま。金額は発言どおり募集人の提案額だけなら not_asked
優先する事項顧客が言った順序と言葉聞き取れなければ unclear
提示した商品と比較した商品募集人の発言から、商品名の一覧と照らして一覧に無い名前は unclear
推奨理由募集人が口頭で説明した理由を要約説明が無ければ not_asked
説明した事項様式に並んだ説明事項のうち、話したもの話していない事項は空欄にせず not_asked
次回の約束内容、期限、誰がするか期限が言われていなければ null

「意向」を書くのは顧客の発言からだけです。 意向の各項目には、根拠の発言がどちらの話者かを source に残します。顧客が自分から言ったものは customer_stated、募集人の言葉に顧客がうなずいただけのものは agent_led です。agent_led は意向として消さずに残し、そう書いたうえで募集人に判断を返します。

させないこと理由
聞いていない意向を推測で埋める年齢や家族構成から「たぶん医療保障」と書くと、聞き漏れが記録から消える
提案額を顧客の希望として書く募集人が言った保険料は、顧客の希望ではない
商品が意向に合っているかの判断適合性の判断は募集人と代理店の責任。AIに結論を書かせない
推奨理由を補って書く話していない理由を足すと、説明したことになってしまう
健康状態の要約様式に欄が無い。告知の手続きで扱う

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 監督指針には、性別や年齢などの顧客属性や生活環境から意向を推定する方法も例として挙げられていますが、その場合はどのような意向を推定して設計したかを説明することが考えられるとされています。推定するかどうかは募集人が決めることで、AIが黙って推定した値は、推定だったことが記録から分かりません。 そこでAIには推定をさせず、募集人が推定するときは自分で「推定」と明記して書き足します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは保険代理店の業務管理部で、保険募集の面談記録の下書きを作る立場です。
面談の文字起こしだけを根拠にして、指定の様式の項目を埋めてください。

【入力】
- 文字起こし:{transcript}(話者ラベル付き。「募集人」または「顧客」「顧客の同席者」)
- 前回までの記録:{previous_intent}
- 取扱商品の一覧:{product_list}
- 様式の項目と書き方:{form_definition}

【status の選び方】
- recorded ... 顧客の発言から、その項目の内容が分かる
- not_asked .. その項目について、面談で話題に出ていない
- no_answer .. 募集人が聞いたが、顧客が答えなかった、または「考えておく」と保留した
- unclear .... 話題には出ているが、文字起こしが途切れているなどで内容を確定できない
迷ったときに recorded を選ばないでください。

【厳守事項】
- 顧客の意向の項目は、顧客(または同席者)の発言だけを根拠にしてください。
- 記載がなければ「不明」とし、status を not_asked にしてください。
  年齢、家族構成、職業などから推測して埋めないでください。
- 募集人が言った保険料や保険金額を、顧客の希望として書かないでください。
  顧客が自分で金額を言っていなければ not_asked です。
- 募集人の問いかけに顧客が「はい」「そうですね」と答えただけの場合は、
  source を agent_led にしてください。customer_stated にしないでください。
- 推奨理由は、募集人が実際に口にした理由だけを要約してください。
  理由を補ったり、一般的な推奨理由を足したりしないでください。
- 商品名は取扱商品の一覧の正式名称に合わせてください。
  一覧に無い名前は、聞こえたとおりに書き、status を unclear にしてください。
- 商品が顧客の意向に合っているか、どの商品がよいかは書かないでください。
- 病歴、通院、服薬など健康状態に関する話は要約せず、
  health_topic_mentioned を true にするだけにしてください。
- 前回までの記録と今回の発言が食い違う項目は、intent_changes に両方を並べてください。
  どちらが正しいかは判断しないでください。
- evidence には、根拠にした発言の時刻と、発言をそのまま短く写してください。
- 次回の約束で期限が言われていなければ、due_date は null にしてください。
  「来週中」のような言い方は、そのまま due_text に写してください。

「提案額を希望として書かない」を独立させているのは、いちばん混ざりやすいからです。 面談で金額を口にするのはたいてい募集人で、何も言わなければその金額を「保険料の希望」に入れます。第3章の(b)の失敗の再現です。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Structured Outputs のスキーマで、全項目を必須、状態を列挙にしておきます。

{
  "interview_id": "",
  "customer_id": "",
  "recording_consent": true,
  "intent": [
    { "item": "coverage_area",
      "status": "recorded | not_asked | no_answer | unclear",
      "summary": "", "source": "customer_stated | agent_led | null",
      "evidence": [ { "time": "", "quote": "" } ] }
  ],
  "intent_changes": [
    { "item": "", "previous": "", "current": "", "evidence": "" }
  ],
  "products": {
    "presented": [ { "name": "", "insurer": "", "status": "" } ],
    "compared": [ { "name": "", "insurer": "", "status": "" } ],
    "reason": { "status": "", "summary": "", "evidence": [] }
  },
  "explained_items": [ { "item": "", "status": "" } ],
  "next_actions": [
    { "action": "", "owner": "agent | customer",
      "due_date": null, "due_text": "" }
  ],
  "health_topic_mentioned": false
}

intent には、様式の意向の欄と同じ数の要素を並べます。item は coverage_area / savings_need / period_premium_amount / priority です。

1つ目の理由は、not_asked が項目として残ることです。 項目が消えるのではなく、状態として残るので、次の面談で聞く事項の一覧が、この値から機械的に作れます。 業務管理部の点検でも、not_asked の数で記録を並べ替えられます。

2つ目は、due_date と due_text を分けたことです。 「来週中」を日付に直すのは、AIではなく募集人です。AIが勝手に日付を決めると、募集人が約束していない期限が台帳に載ります。

応答の拒否にも備えます。 Structured Outputs では、安全上の理由でモデルが応じなかった場合、応答に refusal という項目が付き、プログラムで検知できるとされています。検知したら下書きを作らず、募集人に手で書いてもらいます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft Teams保存された文字起こしの取り出しオンライン面談の発言
OpenAI API(音声文字起こし)API呼び出し来店・訪問の録音の文字起こし
顧客管理システム前回記録の読み取り当初の意向と提示済みの商品
ChatGPT(OpenAI API)API呼び出し(Structured Outputs)様式に沿った記録の下書き
次回フォローの台帳SharePoint リストへの追加確認済みの記録の次回の約束

顧客管理システムへは、AIの出力を直接書き込みません。 募集人が確認を終えたときだけ、確認の画面から保存します。台帳への追加も確認済みの記録からだけ行います。

Step9

人が確認する

募集人は、全件の下書きを確かめます。 ただし、読むのは文字起こし全体ではなく、各項目の evidence です。

  1. agent_led の項目を先に見る … 顧客の同意として扱ってよいかを決めます。扱わないなら not_asked に直し、次回に聞く事項に回します
  2. not_asked と no_answer を確かめる … 本当に聞いていないのか、文字起こしが拾えていないだけかを見ます。聞いたのに拾えていなければ、録音の該当時刻を聞いて直します
  3. 推奨理由を確かめる … 話したとおりの要約か、足りない理由を補っていないかを見ます
  4. 次回の約束の期限を決める … due_text を日付にし、台帳に載せる約束を選びます
  5. 推定して書き足すものがあれば明記する … 推定したことを本人が書きます

2番目を省かないでください。 聞いていないものを聞いたことにするのは、この仕組みが防ぎたかった失敗そのものです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
録音の了承が無い、または未入力処理を止め、募集人に手で記録を書いてもらう
録音が25MBを超える文の途中で切らないように分けて渡す
Teams の文字起こしが保存されていない文字起こしがオフだった可能性。録画だけでは取れないので、手で記録を書く
話者が区別できない顧客と募集人が混ざる。意向の項目をすべて unclear にして人へ
顧客の同席者が意向を話した同席者の発言として残し、顧客本人の意向かは募集人が決める
商品名が一覧に無いunclear。新商品なら一覧を更新する
モデルが応答を拒否したrefusal を検知して下書きを作らない

上から4行目までは、AIではなく録音と文字起こしの準備の問題です。 面談の始めに了承を取り、録音が回っていることを確かめる手順を決めるほうが効きます。

Step11

記録を残す

  • 録音の了承の記録(面談日時、了承の有無、伝えた内容)
  • 文字起こしの全文と、話者の区別の結果
  • AIに渡した様式の版と、指示の版
  • AIが返したJSONの全文と、募集人が確認・修正した後の記録
  • 募集人が直した項目の差分 … どの項目を、どの状態からどの状態に変えたか
  • 次回の約束と、台帳に載せた日、完了した日

様式の版を残すのは、様式が変わるためです。 どの版で作った記録かが分からないと、not_asked が本当に聞いていないのか、当時は項目が無かったのかが区別できません。

差分の記録は、指示を直す材料になります。 recorded を not_asked に直す件数が多いなら、AIが推測で埋めています。 毎月数えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:文字起こしを手で生成AIの画面に貼り、様式の項目を埋めさせる / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+OpenAI API の Structured Outputs で様式の全項目を状態付きで返し、確認の画面に並べる / 下書きと、聞いていない項目の一覧
本格構成:上記+録音の文字起こし、前回記録との比較、次回フォローの台帳への追加までつなぐ / 面談後の記録作成と期限管理の全体

最小構成では件数がさばけません。 月240件を1件ずつ貼り付けるのは続きません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件25分が十数分になります。 文字起こしを渡す作業と台帳への書き写しが残ります。本記事の工数の想定は、この段階の後半、下書きと台帳への追加までがつながった状態です。 差が大きいのは、録音の聞き直しが根拠の発言を読むことに置き換わるからです。 本格構成に進む前に、半自動化で1か月分の not_asked を数えてください。 抜けやすい項目が分かれば、面談の進め方のほうを直せます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
25 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  240件 × 25分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 240件 × 8分 ÷ 60 = 32 時間/月
月間削減時間
68h
削減率
68%
年間削減時間
816h
年間金額換算(時間単価3,000円)
245万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店で、募集人が面談のたびに意向把握と比較説明の記録を手で書いている場合。募集管理規程で記録の様式と項目が決まっているのに、募集人によって書く粒度が違う場合。面談の後の記録が週末にまとめ書きになり、次回の約束が台帳に載らないまま抜けている場合。オンライン面談の文字起こしか、対面面談の録音が取れる場合。
向いていない
  1. 面談の件数が月に十数件で、手書きで足りる場合。顧客から録音の了承を得る運用が作れない場合。代理店の募集管理規程に記録の様式が無く、何を書けば足りるかが決まっていない場合(先に様式を決める必要があります)。記録を顧客に交付する意向確認書面そのものとして自動で作りたい場合(この構成は社内の記録の下書きまでです)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の面談から、録音の了承を得ている10件を選ぶ(うち数件は、業務管理部の点検で指摘を受けた記録を入れる)
  2. その10件の文字起こしを用意する。オンラインは Teams の文字起こし、対面は録音アプリの文字起こし機能を使う
  3. 顧客名と連絡先を伏せた文字起こしを、手元の生成AIの画面に貼り付ける
  4. 募集管理規程の様式の項目を並べ、「顧客の発言だけから項目を埋めてください。話題に出ていない項目は『聞いていない』と書いてください。募集人が言った金額を顧客の希望として書かないでください」と指示する
  5. 出てきた下書きを、当時の募集人が書いた記録と並べて見比べる

10件は必ずやってください。 仕組みを組む前に、「聞いていない」が正しく残るかを確かめます。

出てきた内容判断
当時の記録に無かった「聞いていない」項目が出た構成は有効。 聞き漏れが見えるようになる
聞いていない項目を推測で埋めた指示の書き方で直る。項目ごとの状態を選ばせる形にする
誰の発言か分からず、意向が混ざった話者の区別が先。 録音の置き方と文字起こしの設定を見直す

1行目が出ることは珍しくありません。 これまで埋まっていた欄の一部が、実は聞いていなかったと分かったということです。業務管理部と見てください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
聞いていない意向を推測で埋める全項目を必須にして状態を選ばせる。推測を禁じる一文を指示に入れる
募集人の提案額が顧客の希望になる意向は顧客の発言だけから。金額の話者を必ず確かめる
うなずいただけで意向になるsource を設け、agent_led として分ける
推奨理由が補われる口にした理由だけを要約させる。募集人が確認で必ず読む
話者が混ざる募集人の声を参照として登録する。録音機の置き方を決める
長い面談の録音が渡せない25MBの上限。文の途中で切らずに分ける
Teams の文字起こしが無い文字起こしがオフだと保存されない。募集人のポリシーを先に確認
特約名が誤変換される取扱商品と特約の正式名称を、文字起こしの指示として渡す
様式を変えたのにスキーマが古い様式とスキーマを同じ日に変える。 記録に様式の版を残す
「来週中」を勝手に日付にするdue_text に写し、日付は募集人が決める

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、欄を埋めたくなる力から出ています。状態を値として持たせ、埋めないことを正しい出力にしておくかどうかで、運用に乗るかが決まります。

下の2行も早く効いてきます。 様式の版が混ざると not_asked の数を比べられず、期限をAIが決めると約束していない期限が台帳に載ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の氏名と連絡先、家族構成、収入と資産、加入中の保険、そして面談の中で話題に出うる健康状態です。面談の録音そのものも含みます。

  1. 録音と記録作成を顧客に伝え、了承を得る … 面談の冒頭で、録音すること、記録の下書きを作るために使うこと、保存のしかたを伝えます。了承の有無を記録の最初の項目にし、了承が無い面談は仕組みに入れません。 監督指針でも、顧客の意向に関する情報の収集にあたっては、個人情報の保護に関する法律(利用目的の明示や第三者提供に係る同意等)などの関係法令等を遵守する必要があるとされています
  2. 記録は募集人が確認してから保存する … AIの下書きは記録ではありません。確認の画面を通らない保存の経路を作らないでください
  3. AIに商品の適合性の判断をさせない … どの商品が顧客の意向に合うか、推奨してよいかは、募集人と代理店が判断し責任を持つことです。この構成が出すのは、面談で話されたことの要約と、話されなかったことの一覧だけです
  4. 健康状態を要約させない … 告知の手続きで扱う情報です。記録の下書きには話題の有無だけを残し、録音と文字起こしの保存期間と閲覧できる人を、自社の規程で絞ります
  5. 外部のAIサービスに渡す範囲を決める … 顧客名や連絡先は、処理に必要なければ番号に置き換えて渡せます。どのサービスに何を渡してよいかは、所属保険会社との委託契約と自社の規程を確かめてから決めます
  6. 意向確認書面の代わりにしない … 顧客に交付する意向確認書面は、所属保険会社の定める様式と手順で作ります。この構成の下書きは社内の記録で、交付する書面を自動で作るものではありません

誤りが起きた場合のリスクは、聞いていない意向が聞いたことになることと、話していない推奨理由が話したことになることの2つです。 どちらも記録を見た人に、募集が適切に行われたと誤解させます。AIに埋めさせないという一点を、設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:様式の項目を一文ずつ定義する

業務管理部と募集人の代表で、募集管理規程の様式の各項目に何が書かれていれば足りるかを一文ずつ決めます。「優先する事項」「推奨理由」のように書き方が人によって違う項目から始めます。あわせて、録音の了承を取るときの文言を決めます。

2週目:10件で試す

了承を得ている過去の面談10件の文字起こしを、手元の生成AIの画面に貼り、様式に沿って書かせます。当時の記録と並べ、聞いていない項目を推測で埋めていないか、募集人の提案額が希望になっていないかを最優先で見ます。

3週目:録音と文字起こしの環境をそろえる

募集人6名の Teams の文字起こしのポリシーを確かめ、スマートフォンの録音アプリの設定と置き方を決めます。取扱商品と特約の正式名称の一覧を作り、文字起こしの指示に使えるようにします。

4週目:様式をJSONスキーマに写す

様式の項目を必須の項目として並べ、状態を4つの値の列挙にします。この時点では台帳につながず、下書きを確認の画面に並べるところまでにします。

2か月目: 確認済みの記録から次回フォローの台帳への追加をつなぎ、期限の近い約束から見られるようにします。3か月目以降: 前回記録との比較を足し、1件25分が何分になったかを実測します。募集人が直した差分を毎月数え、推測で埋める件数が減ったところで、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-29/最終更新:2026-09-29
確認した内容情報源確認日
保険会社又は保険募集人が、法第294条の2の規定に基づき、顧客の意向を把握し、これに沿った提案、内容の説明、意向と契約内容の合致を顧客が確認する機会の提供を行うこと。最終的な意向と当初の意向を比較し相違点を確認する方法、顧客属性等から意向を推定する方法(推定した意向を説明する)が例示されていること。意向の対象として保障の分野、貯蓄部分の要否、保障期間・保険料・保険金額の希望、優先する事項が挙げられていること。帳票等を保存する措置と、個人情報の保護に関する法律等の遵守に留意すること。二以上の所属保険会社等を有する保険募集人が提示・推奨理由を分かりやすく説明すること金融庁: 保険会社向けの総合的な監督指針(II-4 業務の適切性)2026-09-29
Structured Outputs が、渡したJSONスキーマに応答が常に沿うようにし、必須の項目の欠落や列挙にない値の生成を心配しなくてよいとされること。安全上の理由による拒否が refusal の項目で検知できること。全項目を必須にし、additionalProperties を false にすること。値が無いことがある項目を null を許す型で表すことOpenAI: Structured Outputs2026-09-29
対応形式(mp3、mp4、mpeg、mpga、m4a、wav、webm)と25MBの上限、長い録音は文の途中で切らずに分けること。話者を区別する diarized_json 形式が話者・開始時刻・終了時刻付きの区間を返し、2〜10秒の既知の話者の音声を最大4つまで参照にできること。指示によって固有名詞や専門用語の認識を改善できることOpenAI: Speech to text2026-09-29
Teams の文字起こしが開催者ごと・ユーザーごとのポリシー設定で、開催者と開始するユーザーの設定がオンである必要があること。会議の後にタイムスタンプと話者の帰属付きで文字起こしを見られること。文字起こしがレコーディングとともに OneDrive と SharePoint に保存されること。レコーディングが有効でも文字起こしがオフならトランスクリプトのファイルが保存されないこと。対応言語に日本語が含まれることMicrosoft Learn: Teams 会議の文字起こしとキャプションを管理する2026-09-29

面談記録の様式、記録すべき項目、保存期間は、代理店の募集管理規程と所属保険会社の定めによって異なります。 本記事は金融庁の監督指針のページで確認日時点に確認できた範囲だけを扱っています。改正されることがあるため、運用の前に最新の内容を確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0282)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次