画面のキャプチャから社内システムの操作マニュアルを作る
手順どおりに操作しながら画面を連番で撮り、その画像をまとめて生成AIに渡して、「1. 画面左上の[受付]タブを選びます」「2. [患者番号]欄に番号を入力し、[検索]を押します」といった手順文の下書きを作らせる構成です。
- 利用ツール
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 対象業界
- 介護/医療/自治体/金融
- 対象部門
- 情報システム/総務
- 対象業務
- 書類作成/記録・議事録作成
- 主な課題
- 問い合わせが多い/属人化している/書類作成に時間がかかる
- AIで行う処理
- 画像認識
- 主な効果
- 品質標準化/属人化解消/工数削減/教育コスト削減
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 最小構成
- 費用感
- 既存ツールのみ(小)
- 人間の確認
- 必須
01導入前 / 導入後の業務フロー
- システムの改修連絡が届く、または新しい業務が始まる
- 情報システム課の担当者が、テスト環境で手順どおりに操作してみる
- 画面を1枚ずつキャプチャして、デスクトップに並べる
- Word を開き、既存の手順書の様式をコピーしてくる
- 画像を1枚ずつ貼り、位置を整え、矢印や枠を書き足す
- 画像を見ながら、「[受付]タブを選びます」という説明文を1つずつ打つ
- 見出しを付け、注意書きを足し、体裁を整える
- SharePoint へ置き、関係部署へ周知する
- 改修連絡が届く、または新しい業務が始まる
- 担当者がテスト環境で手順どおりに操作し、1手順につき1枚、連番で画面を撮る
- 人個人情報が写り込んでいないかを目で確かめる(テスト環境でも確認する)
- 自動画像の寸法を整え、連番を確認する
- 自動画像をまとめて生成AIに渡し、画面名・操作・ボタン名を読み取らせる
- 自動手順文、見出し、前提条件、つまずきやすい箇所の候補を返す
- 自動読み取れなかった画像を一覧にする
- 人担当者が手順どおりに操作しながら、文章が合っているかを確かめて直す
- 人業務上の判断や注意書きを足す
- 自動既存の様式に流し込み、SharePoint へ置く
各工程の詳しい説明を読む
- システムの改修連絡が届く、または新しい業務が始まる
- 情報システム課の担当者が、テスト環境で手順どおりに操作してみる
- 画面を1枚ずつキャプチャして、デスクトップに並べる
- Word を開き、既存の手順書の様式をコピーしてくる
- 画像を1枚ずつ貼り、位置を整え、矢印や枠を書き足す
- 画像を見ながら、「[受付]タブを選びます」という説明文を1つずつ打つ
- 見出しを付け、注意書きを足し、体裁を整える
- SharePoint へ置き、関係部署へ周知する
問題は4つあります。
(a)説明文を打つ時間が長い。 1本40分のうち、大半は画面に書いてある文字を見て打ち直す作業です。画面を見れば分かることを、目と手で写しています。
(b)改修のたびに全部作り直している。 画面が1つ変わっただけでも、前後の番号がずれるため、手順書を頭から直すことになります。結果として、改訂20本のほうが新規10本より負担になっています。
(c)後回しになり、手順書が無い期間が生まれる。 改修は月末に集中します。手順書が間に合わないと、その月は問い合わせが増えます。手順書を作らないことのつけを、電話で払っています。
(d)書ける人が限られる。 4名のうち、手順書を書けるのは2名です。文章の書き方と、どこでつまずくかを知っていることの両方が要るためです。
- 改修連絡が届く、または新しい業務が始まる
- 担当者がテスト環境で手順どおりに操作し、1手順につき1枚、連番で画面を撮る
- 【人】 個人情報が写り込んでいないかを目で確かめる(テスト環境でも確認する)
- 【自動】 画像の寸法を整え、連番を確認する
- 【自動】 画像をまとめて生成AIに渡し、画面名・操作・ボタン名を読み取らせる
- 【自動】 手順文、見出し、前提条件、つまずきやすい箇所の候補を返す
- 【自動】 読み取れなかった画像を一覧にする
- 【人】 担当者が手順どおりに操作しながら、文章が合っているかを確かめて直す
- 【人】 業務上の判断や注意書きを足す
- 【自動】 既存の様式に流し込み、SharePoint へ置く
自動化されるのは「画面の文字を読む」「手順文の形にする」「並べる」の3つです。残るのは、撮ることと、確かめることと、業務の知識を足すことです。
撮影の20分は減りません。 ここは人が操作しなければ始まらないためです。減るのは、その後の70分のほうです。
02今回想定するシステム構成
テスト環境で操作しながら、1手順1枚で連番キャプチャ │ ▼【人】個人情報の写り込みを確認・マスキング │ ▼ 画像の寸法を整える(各辺2000ピクセル以下) │ ▼ 20枚ずつのまとまりにして、順番のラベルを付ける │ 生成AI(画像入力) ├─ 画面名 / タブ / ボタン名 / 入力欄の読み取り ├─ 手順文の下書き ├─ 見出しと前提条件 └─ 読み取れなかった画像の一覧 │ ▼ 【人】手順どおりに操作しながら確認・修正 + 業務上の注意を追記 │ ▼ 既存の様式へ流し込み ── SharePoint へ公開
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 生成AI | Claude API(画像入力) | OpenAI API、Gemini API |
| 撮影 | Snipping Tool(画面録画・静止画) | Xbox Game Bar、Clipchamp |
| 様式・保管 | SharePoint | 社内Wiki、Google Drive |
| マスキング | 画像編集ツールの塗りつぶし | テスト用ダミーデータで回避する |
手順書の作成に特化したSaaSも存在します。 操作を記録して手順書の形にするところまでを製品として提供しているものがあります。月に何十本も作るなら、そちらのほうが安く速い可能性があります。 先に比較してください。この構成に価値があるのは、既存の様式を崩したくない場合、外部のサービスに社内システムの画面を渡せない場合、そしてまず手持ちの契約だけで試したい場合です。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
1本分のキャプチャが撮り終わったときが起点です。フォルダ監視でもスケジュールでもありません。人が操作しなければ画像が生まれないためです。
運用としては、指定のフォルダに システム名_機能名_001.png のような連番で置き、20枚単位でまとめて渡します。最小構成なら、生成AIのチャット画面に順番に貼るだけで足ります。
改修の連絡が来た時点で、変更のあった画面だけを撮り直す運用にすると、改訂の負担が大きく下がります。全部を撮り直さないでください。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| キャプチャ画像 | 1手順1枚。連番 | テスト環境での操作 |
| 対象の情報 | システム名、画面名、この手順で何を達成するのか | 担当者が入力 |
| 用語集 | 自組織での呼び方(「受付」「来院登録」など、画面の表記と現場の言い方の対応) | 情報システム課が作る |
| 既存の様式 | 見出しの立て方、注意書きの書き方、番号の振り方 | 既存の手順書 |
| 想定読者 | 新任の職員か、経験者か | 担当者が指定 |
データの取得方法を決める
撮影: Windows標準の Snipping Tool を使います。前述のとおり、ステップ記録ツールは非推奨になっており、Microsoftの案内では代替として Snipping Tool の画面録画が挙げられています。画面の一部を選んで録画し、確認してから共有できるとされています。録画してから必要なコマを静止画として切り出すやり方だと、撮り漏れが減ります。
画像の受け渡し: Claude API では、画像を base64 で埋め込む方法、URLで参照する方法、Files API にアップロードして file_id で参照する方法の3通りがあります。同じ画像を何度も使うなら、アップロードして参照するほうが、リクエストが小さくなります。
画像の制限: 公開ドキュメントに、次の制限が記載されています。実装前に必ず見てください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1リクエストあたりの枚数 | APIで最大600枚(コンテキストが20万トークンのモデルでは100枚)。claude.ai では1メッセージ20枚 |
| 1枚あたりのサイズ | Claude API を直接使う場合は10MB(base64) |
| 最大の寸法 | 8000×8000ピクセル |
| 対応形式 | JPEG、PNG、GIF、WebP |
| 21枚以上を1リクエストに含める場合 | 1枚あたりの寸法の制限が厳しくなる。各辺2000ピクセル以下にするか、20枚以下に抑える |
最後の行が実務上いちばん効きます。手順書1本は20ステップを超えることがあるので、20枚ずつに区切って渡す設計にしておくと、制限を気にせずに済みます。
AIへ渡す前に整形する
- 個人情報のマスキング … これが最優先です。第13章に詳しく書きますが、画面には患者名・職員名・口座・金額が写ります。 テスト環境でも、実データが入っていることがあります。塗りつぶすか、ダミーデータに置き換えます
- 寸法の調整 … 各辺2000ピクセル以下にリサイズします。制限を避ける目的と、費用を抑える目的の両方があります
- 連番の確認 … 抜けや重複があると、手順の順番が狂います。ファイル名の番号で機械的に確かめます
- 不要なコマの削除 … 画面録画から切り出すと、遷移の途中や読み込み中の画面が混ざります。落とします
- 順番のラベル付け … 公開ドキュメントでは、複数の画像を渡すときに、各画像の前に「Image 1:」のような短いラベルを付けることが推奨されています。後の指示で「3枚目の画面」と呼べるようになります
AIに処理させる
| 処理 | 内容 |
|---|---|
| 画面の読み取り | 画面名、タブ、ボタンの名称、入力欄の項目名、メッセージの文言を読む |
| 操作の推定 | 前の画像との差分から、何が押されたのかを推定する |
| 手順文の作成 | 「[受付]タブを選びます」の形で、1手順1文にまとめる |
| 見出しと前提条件 | 手順のまとまりに見出しを付け、必要な権限や事前準備を挙げる |
| つまずきやすい箇所の候補 | 似たボタンが並ぶ、必須項目が分かりにくい、といった箇所を挙げる |
| 読み取れない画像の報告 | 文字が小さい、ぼやけている画像を一覧にする |
させないことも決めます。
- 画面に写っていない機能の説明 … 「この画面では◯◯もできます」と書かせません。写っていないものは書かない
- 業務上の判断 … 「この場合は却下を選びます」は業務のルールです。人が足します
- 数値や項目の意味づけ … 画面の数字が何を表すかは、画面からは分かりません
- ボタン名の言い換え … 画面に「登録」とあれば「登録」です。「保存」に直させない
最後の1つは軽く見られがちですが、手順書の文言が画面と1文字でも違うと、読む人は止まります。
公開ドキュメントには、精度に関する注意も書かれています。低品質・回転した画像・200ピクセル未満の小さい画像では誤ることがあること、数を正確に数えられないことがあることが明記されています。だからこそ、全件を人が確かめます。
指示内容を固定する
あなたは社内システムの操作手順書を作る担当者です。
連番のキャプチャ画像を見て、手順文の下書きを作ってください。
【厳守事項】
- 画像に写っている文字だけを使ってください。
ボタン名・タブ名・項目名は、画面の表記をそのまま書いてください。
言い換えたり、省略したりしないでください。
- 画像に写っていない機能・画面・操作を書かないでください。
- 業務上の判断(どの選択肢を選ぶべきか、どういう場合に却下するか)は
書かないでください。judgment_needed に「人が補う箇所」として挙げてください。
- 画面の数値や項目の意味を説明しないでください。
- 文字が小さい、ぼやけている等で読み取れない画像は、推測で埋めず
unreadable にその画像番号と理由を入れてください。
- 前の画像との差分から操作を推定した場合は、
confidence を "low" にしてください。
【対象】
システム名: {system_name}
この手順で達成すること: {goal}
想定読者: {audience}
【用語集(画面の表記 → 現場での呼び方)】
{glossary}
【様式】
{format_rules}
【画像】
Image 1: ... Image 20:
「言い換えない」と「写っていないことを書かない」の2つが、この構成の要です。 画像から手順書を作らせると、それらしい一般的な説明が混ざります。混ざった時点で、その手順書は現物と一致しなくなります。
出力形式を固定する
{
"title": "",
"prerequisites": [],
"sections": [
{
"heading": "",
"steps": [
{
"image_no": 1,
"screen_name": "",
"action": "",
"ui_label": "",
"note": "",
"confidence": "high | low"
}
]
}
],
"judgment_needed": [],
"pitfalls": [],
"unreadable": [
{ "image_no": 0, "reason": "" }
]
}
項目と型を決めて返させます。Claude API には、返す形を指定して構造化された出力を得るための仕組みがあります。この形で受け取れば、既存のWordの様式へ機械的に流し込めます。 自由文で受け取ると、毎回体裁を整え直すことになり、削減効果が消えます。
unreadable と judgment_needed は、担当者が最初に見る場所です。ここが空でも、全件を確認します。
システムへ連携する
出来上がった手順書は、既存の置き場へ公開します。
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| Word の様式へ流し込む | 既存の手順書の様式に、JSONから見出しと手順文を差し込む |
| SharePoint のページとして作る | 画像と本文をページに並べる。改訂履歴が残る |
| 社内Wiki | 検索性が高い。改訂の差分が見やすい |
手順書の置き場は変えないでください。 この構成が変えるのは作り方だけです。置き場を変えると、職員が探せなくなり、また電話がかかってきます。
改訂の場合は、変更のあった画面の番号だけを差し替える運用にします。全文を作り直すと、手直しした注意書きが消えます。
人が確認する
全件、人が確認します。段階的な自動化もしません。
理由は2つあります。第一に、手順書は、そのとおりに操作されるものだからです。誤った手順書は、誤った操作を全職員に配ることになります。第二に、画面の読み取りには誤りが残るためです。
確認の仕方が重要です。画面を見比べるのではなく、手順書のとおりに操作してください。
- 出来上がった手順書を印刷するか、別画面で開く
- テスト環境で、書いてあるとおりに1手順ずつ操作する
- 止まった箇所、迷った箇所に印を付ける
- 印の付いた箇所を直す
この「1回通す」を省くと、この構成は使えません。 画面と文章が一致していても、手順として成立していないことがあります。ボタンを押す前に別の条件を満たす必要があった、といった抜けは、操作してみないと分かりません。
所要時間は1本10分程度です。ここが、After の30分の内訳の大半になります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 文字が小さくて読めない | unreadable に入れさせ、撮り直す。拡大して撮るか、画面の一部だけを撮る |
| 画面に個人情報が写っていた | 処理前に止める。第13章のとおり、撮影の段階で防ぐ |
| 存在しないボタン名が書かれた | 「1回通す」確認で見つかる。プロンプトで言い換えを禁じたうえ、担当者が必ず操作する |
| 前後の画像から操作を推測して外した | confidence が low のものを優先して確認する |
| 画面が撮り漏れている | 手順の番号が飛ぶ。操作してみれば必ず気付く |
| モーダルや通知が重なって写った | 撮り直す。読み取りが不安定になる |
| ダークモードや画面の拡大率が統一されていない | 撮影の設定を決めておく。組織の標準の見え方で撮る |
| 21枚以上を一度に渡した | 20枚ずつに区切る。または各辺2000ピクセル以下にする |
| 改修で画面が変わったのに手順書が古いまま | 改修の連絡を起点に、変更画面だけを差し替える運用にする |
| 手順が長すぎて1本にまとまらない | 機能単位で分ける。30ステップを超えたら、手順書を分けるほうがよい |
記録を残す
- キャプチャ画像の原本(マスキング後のもの)
- 生成AIが返した下書き(人が直す前の状態)
- 人が直した箇所と、修正前後の文言
- 対象システムの名称とバージョン、撮影した日
- 確認者と確認日
「人が直した箇所」が精度の実測値になります。ボタン名はそのまま通るが、前提条件はほぼ全件が書き足されている、と分かれば、前提条件は最初から人が書くほうが速いと判断できます。
対象システムのバージョンと撮影日は、手順書そのものにも残してください。画面が変わったときに、どの手順書を直すべきかが分かります。
04実装レベルの3段階
最小構成の時点で、1本90分が35分程度になります。 説明文を打つ40分の大半が消えるためです。半自動化にすると30分程度まで下がりますが、そのために画像をまとめて投げる短いスクリプトが必要になります。月30本なら、そこまで作る価値があります。月5本なら、貼るだけで十分です。 本格構成の値打ちは時間ではありません。改訂20本の負担が下がることです。 変更画面だけを差し替えられれば、改訂は新規の3分の1で済みます。
05工数削減シミュレーション
導入後 30件 × 30分 ÷ 60 = 15 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 社内システムの操作手順書を月10本以上作るか改訂している組織。画面を撮って手順を書く作業が、情報システム部門や総務の特定の担当者に集中していること。テスト環境または検証用のアカウントがあり、実データを写さずに画面を撮れること。既に生成AIを契約していること。
- 手順書が年に数本しか発生しない規模。使っているシステムがベンダー提供の操作マニュアルで足りている場合。画面の撮影そのものが禁止されている環境で、テスト環境も用意できない場合。手順書ではなく、動画で教えるほうが向いている操作(長い連続作業や、マウス操作の細かい軌跡が要るもの)が中心の場合。
07最小構成で試す方法
- 直近で作った手順書を1本選び、そのときのキャプチャ画像を用意する(10枚から20枚)
- 生成AIのチャット画面に、画像を順番に貼る
- 「画面に写っている文字だけを使って、1手順1文で手順書の下書きを作って。写っていないことは書かないで。読めない画像は『読めない』と言って」と指示する
- 出てきた下書きを、実際に公開した手順書と並べて比べる
この比較だけは必ずやってください。 見るべき点は3つです。
- ボタン名や項目名が、画面のとおりに書かれているか
- 写っていないことが書かれていないか
- 人が足した注意書きが、どれだけあるか
3つ目が重要です。人が足した注意書きが多いほど、この構成で減る時間は少なくなります。 逆に、公開した手順書のほとんどが画面の文字の書き写しだったなら、大きく減ります。
判断の目安は次のとおりです。
| 下書きの状態 | 判断 |
|---|---|
| 手直しが2割以下で済む | 自動化する価値がある |
| 2〜5割 | 撮り方(拡大率、1手順1枚)とプロンプトを整えてから測り直す |
| 5割以上 | 手順書の中身が、画面の説明ではなく業務の説明になっている。この構成は向かない |
費用はかかりません。手持ちの生成AIの契約だけで測れます。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 1枚に複数の操作が写っていて、手順が分けられない | 1手順1枚を徹底する。画面録画から切り出すと守りやすい |
| 文字が小さくて読み取れない | 画面全体ではなく、操作する部分を拡大して撮る。ブラウザの拡大率を上げてから撮る |
| ボタン名が言い換えられる | プロンプトで明確に禁じる。確認時に画面と1文字ずつ照合する |
| 写っていない機能の説明が混ざる | プロンプトで禁じる。「1回通す」確認で必ず見つかる |
| 画像を圧縮しすぎて文字が潰れる | 公開ドキュメントにも、強い圧縮が文字の読み取りを損なうという注意がある。PNGで撮り、リサイズはするが過度に圧縮しない |
| 21枚以上を一度に渡してエラーになる | 20枚ずつに区切る。または各辺2000ピクセル以下にする |
| 手直しが多くて、書いたほうが速い | 手順書の中身が業務の説明になっている可能性がある。画面の操作と業務の判断を、手順書の中で分けて書く様式にする |
| テスト環境が無く、本番の画面を撮ってしまう | 第13章のとおり、まずダミーデータの用意から始める。ここを飛ばさない |
| 改修のたびに全文を作り直している | 変更画面だけを差し替える運用にする。人が足した注意書きを消さない |
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 社内システムの画面そのもの。つまり、画面に表示されていたものすべてです。
この業務では、ここが最大の論点になります。
- 画面には実データが写る … 想定した医療法人の例で言えば、電子カルテの画面には患者の氏名・生年月日・病名が写ります。勤怠の画面には職員の氏名が、経費の画面には口座と金額が写ります。これを外部のサービスへ送ることは、その情報を外部へ渡すことです
- 対処は3段階で考える …
- 第1に、ダミーデータを用意する。 テスト環境に、実在しない患者・職員・取引先のデータを入れて撮ります。これがいちばん確実で、いちばん後から楽になります - 第2に、テスト環境でもマスキングする。 テスト環境に本番データの写しが入っていることは珍しくありません。撮ったあと、人の目で1枚ずつ見ます - 第3に、送る前に止める仕掛けを作る。 氏名や番号の並びを機械的に検出して警告する、承認者を1名置く、といった手当てです
- 撮影そのものが禁止されている場合がある … 保安上の理由で画面の撮影が禁じられている環境があります。まず、自組織の規程を確認してください
- 外部AIへの入力可否 … 画面には、業務システムの構成や項目名も写ります。入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。医療・自治体・金融では、扱うデータの区分によって、利用できるサービスが規程で限定されていることがあります
- 画像の保管 … 公開ドキュメントには、Claude APIへ送った画像はリクエストの処理を超えて保存されず、処理後に削除されること、アップロードされた画像をモデルの学習に使用しないことが記載されています。ただし、自組織の側に残るキャプチャ画像の置き場と権限は、自分たちで決める必要があります
- 自動実行してよい範囲 … 手順書の公開は、必ず人の確認を通します。確認を通していない手順書を職員へ配らないでください
誤りが起きた場合のリスクは、個人情報を外部へ送ってしまうこと、誤った手順書に従った誤操作です。前者は取り返しがつきません。だからこそ、ダミーデータの用意を最初にやります。
10まず何から始めるか
1週目:既存の1本で比べる
直近で作った手順書1本のキャプチャを使い、第8章の手順で下書きを作らせます。公開した手順書と並べて、手直しの量を測ってください。 ここで5割を超えるなら、この構成より先に、手順書の様式を見直すほうが効きます。
2週目:ダミーデータを用意する
テスト環境に、実在しないデータを入れます。手間はかかりますが、1回やれば以後ずっと使えます。 この週をやり切れるかどうかで、この構成が続くかどうかが決まります。
3〜4週目:撮り方を決める
1手順1枚、拡大率、どこまで画面を入れるか、ファイル名の付け方。この4つを決めて、新規の手順書を3本作ります。担当者2名で試し、撮り方の食い違いを潰します。
2か月目以降: 手ごたえがあれば、画像をまとめて渡すスクリプトと、様式への流し込みを作ります。改訂の差し替え運用は最後です。 新規の作成が安定してから手を付けてください。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
Claude API で画像を base64・URL・Files API の file_id の3通りで渡せること。1リクエストの上限がAPIで600枚(コンテキスト20万トークンのモデルは100枚)、claude.ai は1メッセージ20枚であること。1枚10MB・8000×8000ピクセルまで、JPEG/PNG/GIF/WebP に対応すること。21枚以上では1枚あたりの寸法制限が厳しくなり、各辺2000ピクセル以下にするか20枚以下に抑える必要があること。画像が28×28ピクセルのパッチ単位で処理され、トークン数が縦横のパッチ数の積で決まること。複数画像には「Image 1:」のようなラベルを付けることが推奨されていること。強い圧縮が文字の読み取りを損なうこと。低品質・回転・200ピクセル未満の画像で誤ることがあり、数を正確に数えられない場合があること。送信した画像がリクエストの処理後に削除され、学習に使用されないこと | Claude Docs: Vision | 2026-09-11 |
| ステップ記録ツール(Steps Recorder)が非推奨となり、2024年2月のWindows 11の更新でツール内に告知が表示されるようになったこと。将来のバージョンで削除が予定されていること。代替として Snipping Tool の画面録画、Xbox Game Bar、Clipchamp が案内されていること。Snipping Tool では画面の一部を選んで録画し、確認してから共有できること | Microsoft サポート: Steps Recorder deprecation | 2026-09-11 |
| Claude API で、返す項目と型を指定した構造化出力が利用できること | Claude Docs: Structured outputs | 2026-09-11 |
Wordの様式への流し込みや、SharePoint・社内Wikiへの公開方法は、利用環境に応じた個別実装が必要です。 画面の撮影可否、および外部AIサービスへ送れるデータの区分については、自組織の情報管理規程を確認してください。医療・自治体・金融では、規程で利用できるサービスが限定されていることがあります。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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