営業でAIを使う5つの場面|任せ方で成果が変わる

営業でAIを使う5つの場面|任せ方で成果が変わる

「営業にAIを入れたいのですが、どこから手を付ければいいのか分かりません」「議事録は任せられました。でも、それ以外の使いどころが見つからないままです」——導入から半年ほど経った営業部門で、この2つはほぼ同じ時期に出てきます。総務省が2025年7月に公表した令和7年版情報通信白書でも、生成AI導入の懸念として日本企業が最も多く挙げたのは「効果的な活用方法がわからない」で、回答515件のうち30.1%を占めました。つまり道具が足りないのではありません。本当は、営業のAI活用が1つの作業ではなく、任せてよい範囲の違う5つの作業だから、まとめて考えると入口が見えなくなるのです。この記事では、営業活動をAIが効く5つの場面に割り、場面ごとに任せてよい範囲と人が握る範囲、そして引き取り方の設計までを見ていきます。


カメ先生カメ先生

営業でAIを使うって、1つのまとまった仕事だと思われがちなんだけど、本当は場面ごとに別の作業なんだ。


カメ子カメ子

場面が変わると、任せられる範囲も変わるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。社内で止まる下書きと、相手にそのまま届く文面では、間違えたときの戻し方がまるで違うからね。


カメ子カメ子

同じ道具でも、置く場所で線の引き方を変える必要があるんですね。


この記事のポイント
  • 営業のAI活用は5つの場面に分かれる。分ける基準は社外に届くか、気づける人がいるか、やり直せるか
  • 効き目は道具の性能ではなく、今のやり方に対する上積みで決まる。実測では0から16.3%まで開いた
  • 設計の要は渡し方より引き取り方。引き取る理由と時期で、人が入っても効かない場合がある

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目次

「営業でAIを使う」は、5つの別々の作業を指している

営業の仕事は一本の流れに見えますが、AIを置く場所という観点で切ると5つに分かれます。商談前の事前調査、提案の下書き、商談中の記録、後追いの文面、案件の見立て。この5つは扱う材料が違い、間違えたときの跳ね返り方も違い、確認にかかる手間も違います。まとめて営業のAI活用と呼んだ瞬間に、任せてよい範囲の議論ができなくなります

5つを分ける基準は3つあります。1つ目は、出したものが社外の相手に直接届くかどうか。2つ目は、間違いに気づける人がその場にいるかどうか。3つ目は、やり直しが利くかどうか。事前調査の下調べは社内で止まり、提案を出す前に直せます。後追いの文面は相手の受信箱に入った時点で戻せません。同じ道具を使っていても、置く場所でリスクの重さが変わるということです。

日本企業の使い方は、この5つに均等には広がっていません。先の白書によると、何らかの業務で生成AIを使用中と答えた日本企業は55.2%(回答442件)で、米国90.6%、ドイツ90.3%、中国95.8%を大きく下回りました。用途別に見ると、日本で最も多いのは「メールや議事録、資料作成等の補助」で47.3%。使えていないのではなく、どの場面に置くかが決まっていない状態です。同じ調査では、生成AIを活用する方針を定めている日本企業は49.7%で、2023年度の42.7%から増えたものの、中小企業に限ると方針を明確に定めていないという回答が約半数を占めていました。以下では、初めて商談する1件を置いて、5つの場面を順に追っていきます。

効き目は場面ごとに違う。同じ道具で0から16.3%まで開いた

場面によって効き目が変わることは、実測されています。2025年10月に投稿され2026年6月に改訂された研究は、大手の通販事業者で7つの業務に生成AIを組み込み、それぞれ利用者を無作為に割り付けて比べました。結果は売上への効果が、検出できない水準から16.3%まで開いたというものです。同じ会社、近い時期、同じ系統の道具でも、置く場所で結果が変わりました。

内訳を見ると差の理由が見えます。購入前の問い合わせ対応にAIを入れた実験(2023年9月から10月、対象44,614人)では売上が16.3%、転換率が21.7%上がりました。検索語の言い換え(2024年5月から6月、約185万人)は売上2.9%、商品説明文(2023年12月、約477万人)は売上2.1%の上昇。一方、広告の見出しを作らせた実験(2024年1月、約124万件の商品)は売上が4.5%下がっており、統計的に意味のある差ではありませんでした。

読むときに注意が要ります。これは消費者向けの通販での実験で、BtoBの対面営業ではありません。それでも構図は共通します。人手が回っていなかった場面ほど効き、すでに作り込まれていた場面ほど効かない。広告の見出しが効かなかった理由について著者らは、その用途に合わせた調整をしていなかったことを挙げています。道具の良し悪しではなく、今のやり方との差が効き目になるという読み方が、営業でもそのまま使えます。

効かなかった場面のほうが、多くを教える

結果を読むときは、効いた場面より効かなかった場面を先に見たほうが学べます。先の実験で唯一マイナスに振れたのは広告の見出しでした。ここは人が繰り返し磨いてきた領域で、しかも文字数と体裁の制約が強い。著者らはその用途に合わせた調整をしていなかったことを理由に挙げていますが、営業に置き換えるなら、短くて、型があって、すでに誰かが手を入れ続けている文ほど、上積みが出にくいということです。

逆に、目立たない場面で効いていました。同じ研究では、支払いの差し戻しに対する反論の作成で成功率が15%上がり、やりとりの翻訳では相手の満足度が5.2%上がっています。どちらも売上の報告には出てこない作業で、担当者が後回しにしがちな種類の仕事です。販促の通知文については転換率が3.0%上がった一方、売上への効果は統計的に意味のある差になりませんでした。

この並びから読めるのは、効きそうに見える場所と、実際に効く場所は一致しないということです。営業で言えば、失注した理由の整理、過去の提案から型を抜き出す作業、問い合わせへの一次返信。どれも成果の報告には直結しませんが、時間を食っていて、しかも誰も型を持っていません。目立つ場面から手を付けると、半年かけて上積みの小さい場所を触ることになります

分かれ目は、今のやり方に何を上積みできるか

先の研究は、効き目を決める考え方を1つの言葉で示しています。ある業務でAIが生む効果は、その業務の現状に対する上積み分で決まり、上積みの大きさは業務ごとに違う、というものです。営業に置き換えると分かりやすくなります。すでに型が固まっていて、担当者が短時間でこなせている作業に置いても、上積みは小さい。逆に、時間はかかるのに誰も型を持っていない作業には、上積みが出ます。

5つの場面をこの物差しで並べると順番が見えます。事前調査は1件あたりの時間が長く、担当者ごとに深さがばらつくので上積みが大きい。商談中の記録も、これまで手が回らず削られていた作業なので上積みが出ます。提案の下書きは、勝ちパターンの型がすでにある会社では上積みが小さく、型がない会社では大きい。同じ場面でも、自社の現状によって順番が入れ替わります。

だから最初に見るのは道具ではありません。その作業に今どれだけ時間がかかっていて、人によってどれくらい品質がばらついているかを書き出すところから始めます。時間が短くばらつきも小さい作業は、後回しでかまいません。この順番を飛ばして、営業支援の仕組みに付いている機能を端から使うと、効かない場所に確認の手間だけが増えます。

「事前に調べる」を任せるとき、結論まで書かせない

商談前の事前調査は、任せる範囲を最も広く取れる場面です。相手企業の公開情報を集めて並べる、業界で使われる言葉を拾う、過去のやりとりを時系列に並べる。ここまでは社内で止まる作業で、提案を出す前に気づける機会も残っています。ただし、集めることと、集めたものから結論を出すことは分けます

分ける理由ははっきりしています。AIは、確かな1行と、それらしいだけの1行を同じ調子で並べます。社名と役職と数字が整った形で並んだ下調べは、そのまま信じたくなる見た目をしています。だから任せる指示には事実を並べる作業だけを入れ、1行ごとに出所と時点を書かせます。出所が書けない行は、その場で消す。ここを機械的にしておくと、後の工程で疑う場所が絞れます。

人が握るのは、その情報を商談で使ってよいかの判断です。決算の数字は原典に当たり、担当者の異動は自社の記録と突き合わせ、業界の話は相手に確かめる形で聞く。下調べは材料であって、仮説ではありません。仮説を立てるところを渡してしまうと、間違った前提の上に商談が組み上がり、当日まで誰も気づけません。

「提案の下書き」を任せるとき、先に決める3つ

提案の下書きは、任せると速くなる一方で、崩れ方が見えにくい場面です。文章として整っているので、中身が薄くても違和感が出ません。ここで先に決めておくのは3つあります。載せてよい数字の出どころ、他社の事例の使い方、そして価格と納期に触れない範囲です。

数字については、自社の実績値と公開統計を区別します。任せて書かせると、この2つが同じ地の文に溶けて、どちらが自社の話なのか読み手には分かりません。他社の事例は、公開されているものだけを使い、社名を出せる範囲を先に一覧にしておきます。価格と納期は下書きに書かせない。この3つは、間違えると訂正では済まない項目だからです。

任せてよいのは、構成の案出し、言い回しの揃え、長さの調整、想定される質問の洗い出しです。判断を含まないのに時間がかかる作業なので、ここには上積みが出ます。出てきた下書きを読み返すときは、自社が実際にできることだけが書かれているかを最初に見ます。できないことが1行入ったまま先へ進むと、受注した後の工程がすべてやり直しになります。

「商談中の記録」を任せるとき、直後の10分が要る

商談中の記録は、これまで削られていた作業です。話しながら書くのは無理があり、後から思い出して書くと落ちる。ここを任せると、確かに記録は残るようになります。ただし、残った記録が判断に使える記録かどうかは別の話です

落ちるのは、その場の空気で伝わっていた部分です。誰が乗り気で誰が渋っていたか、価格の話をどの温度で切り出されたか、次に会う相手の名前が出たときにどんな理由が添えられていたか。文字にすると同じ重さで並びますが、次の一手を決めるのはこの差です。だから記録を任せたら、商談の直後に人が3行だけ足す運用にします。時間にして10分で足ります。

足す3行は決めておきます。今日いちばん引っかかった点、次に確かめること、社内で相談が要る点。この形に固定すると、記録が長くなっても読む側が迷いません。

  • 録音や自動での記録を使うなら、相手への説明と社内での取り扱いを先に決めておく
  • 記録の要約を、そのまま社内の報告として回さない。金額と約束事は人が抜き出して書き直す
  • 記録に書かれていないことを、書かれていたことにしない。曖昧な点は次回に確かめる項目へ送る

「後追いの文面」を任せるとき、相手に見えるという条件

後追いの文面は、5つの中で唯一、出したものが相手にそのまま届く場面です。だから線の引き方が他と違います。間違いが起きた時点で、取り消しが利きません。下書きを任せることと、送信まで任せることの間には、はっきりした段差があります。

段差の大きさを示す研究があります。2019年に学術誌で発表された実験は、6,200人を超える顧客を無作為に割り付け、決まった型の電話営業をAIか人が行いました。AIだと知らせない場合、AIは熟練の担当者と同等で、経験の浅い担当者の4倍の成果を出しました。ところが会話が始まる前にAIだと伝えると、購入率は79.7%を超えて下がりました。通話の長さも大きく短くなっています。

下がった理由は能力ではありません。著者らは、相手が「知識が乏しく共感がない」と受け取るためだと分析し、伝える時期を後ろにずらすと影響が和らぐことも示しました。やり取りの中身が同じでも、誰が話しているかで結果が変わるということです。2019年の研究で、対象は個人向けの構造化された電話営業ですから、BtoBのメールにそのまま当てはめる数字ではありません。それでも、下書きまでを任せ、送る前に人が読み、担当者の名前で送るという線は動かさないほうが安全です。

「案件の見立て」を任せるとき、点数を根拠にしない

案件の見立ては、受注の確からしさや次に動くべき案件をAIに並べさせる使い方です。ここは5つの中で、任せてはいけない範囲が最も広い場面になります。理由は単純で、出てくるものが点数や順位という形をしているからです。数字は根拠に見えますが、根拠そのものではありません。

点数の作られ方を見ると理由が分かります。過去の受注と失注から傾向を取るので、過去に取れていた形に近い案件が高く出ます。新しい業界、新しい買い方、体制が変わったばかりの相手は低く出る。点数が低いことは、見込みが薄いことではなく、過去に似た形がなかったことを意味する場合があります。ここを取り違えると、これから伸びる領域から順に手を引くことになります。

使い方を1つに絞るなら、順位を信じるのではなく、なぜその点数になったのかを言わせて、人が読むことです。挙がった理由が自分の見立てと食い違ったとき、そこに確かめる価値があります。逆に、理由を出せない仕組みが出した点数は、社内で話す材料にはできても、人を動かす判断の根拠にはしない。この線を先に決めておきます。

5つの場面の任せ方を、1枚にする

ここまでの線引きを1枚に並べます。表にすると、場面ごとに確認の重さが違うことが一目で分かります。重要なのは右端の列で、確認にかける手間を場面ごとに変えないと、全部が同じ重さになって、結局どこも確認されなくなります

場面任せてよい範囲人が握る範囲確認の重さ
商談前の事前調査公開情報の収集、時系列への整理、業界用語の抽出仮説の設定、数字の原典確認、使ってよい情報かの判断中(提案前に直せる)
提案の下書き構成案、言い回しの統一、長さの調整、想定質問の洗い出し数字の出どころ、事例の使用範囲、価格と納期中(社内で止まる)
商談中の記録発言の書き起こし、決定事項の抜き出し温度感の3行、金額と約束事の書き直し軽(直後に足すだけ)
後追いの文面下書き、送る候補の並べ替え送信の操作、名乗り、約束の記載重(戻せない)
案件の見立て候補の一覧化、理由の言語化順位の採否、手を引く判断重(判断そのもの)

この表をチームで共有すると、相談の量が減ります。判断に迷ったときに見るのは真ん中の2列で、やってよいかではなく、どこまでを任せてどこから人が持つかという形で聞けるようになるからです。表の中身は自社の失注や訂正の履歴を見ながら、半期に一度だけ見直せば足ります。

同じ場面でも、案件の重さで線は動く

5つで線を引いても、すべての案件に同じ線を当てると窮屈になります。実務では、案件の重さで確認の深さを変えます。重さを決める材料は3つで足ります。金額の大きさ、相手との取引が初めてかどうか、そして相手の中で決裁に関わる人の数です。

具体的に言うと、既存顧客への少額の追加提案なら、下書きの確認は担当者本人が読む1回で足ります。初めての相手で金額が大きい案件なら、下書きは別の人が読み、事前調査の出所も別の人が当たる。同じ道具を使っていても、確認の回数を変えるだけで事故の起き方が変わります

この段の分け方をチームで文章にしておくと、案件ごとの相談がさらに減ります。段は3つで十分です。本人の確認だけ、もう1人が読む、上長まで通す。境目になる金額と条件は、自社の失注や訂正の履歴から決めます。線を細かくするほど守られなくなるので、段は3つまでにします

人が戻る瞬間に、成果はほぼ決まる

任せた作業を人が引き取るとき、引き取り方で結果が変わります。2026年5月に投稿された研究は、大手通販の顧客対応で無作為化した実地実験を行い、AIが処理できる案件をAIに任せて担当者が見張る体制と、担当者がすべて自分で対応する体制を比べました。1件あたりの対応時間は短くなり、再度の問い合わせ率への影響は限定的だった一方、AIが担当した案件の評価は大きく下がりました

さらに、人が引き取ったときの効き目が、引き取る理由によって違いました。AIの手に負えない技術的な行き詰まりで引き継いだ場合は、人が入ることで品質が保たれました。ところが相手が不満を示したことで引き継いだ場合は、人が入っても効きにくかった。理由も測られています。感情的な引き継ぎでは、担当者が送るメッセージが少なく、やりとりに占める割合も小さく、聞き出す姿勢も弱くなっていました。

もう1つ、引き取る時期の影響が出ています。早い段階で人が入るほど、その後の関与の高さが保たれました。営業に置き換えると、後追いの文面が返ってこないまま何往復も自動で続いてから人が出る形が、いちばん効きにくい形になります。引き取る条件と、引き取る時期を先に決めておく。決めていないと、こじれてから人が出ることになり、人が出た効果まで消えます。なお、この実験ではAIが担当しない案件のほうに良い波及が出ました。担当者の注意がそちらに回ったためで、任せる場面を選ぶ意味はここにもあります。

人が確認する範囲を先に決める進め方

ここまでの内容を、着手できる形に落とします。全部の場面を同時に始めないことが要点です。1つの場面で線が引けるようになってから次に進むほうが、結果的に早く進みます

STEP1
始める場面を1つだけ決める

5つのうち、時間がかかっていて品質のばらつきが大きい場面を1つ選びます。多くの営業部門では事前調査か商談中の記録が該当します。

STEP2
今かかっている時間とばらつきを書き出す

1件あたりの所要時間と、担当者による深さの差を、10件ほどの実績から書き出します。ここが上積みの見積もりになります。

STEP3
任せる範囲と人が握る範囲を1行ずつ書く

やってよいことの側から書きます。禁止事項の一覧にすると、書かれていない作業の扱いが人によって変わります。

STEP4
社外に届く経路を閉じる

送信、提出、公開の操作は人が行う設定にします。下書きの生成と送信の権限を、道具の設定の段階で分けておきます。

STEP5
引き取る条件と時期を決めて、2週間だけ試す

どの状態になったら人が出るかと、何往復目までに出るかを決めます。期間を区切ると、続けるかどうかの話し合いが具体的になります。

2週間の試行が終わったら、書いた線のうち守られなかったものを探します。守られなかった線は、厳しすぎたか、書き方が曖昧だったかのどちらかです。守られなかった線を責めるのではなく、書き直す前提で始めます。最初から正しい線が引けることはありません。

5つの外側にある、任せてはいけない作業

5つの場面に入らない作業もあります。これらは下書きであっても任せないと決めておくほうが、判断の速度が上がります。境目が曖昧なまま運用すると、忙しいときほど線を越えます。

  • 値引きの可否と条件を決めさせる。相手に届いた時点で会社の意思表示になる
  • 納期や体制の約束を書かせる。実行できるかを知っているのは現場だけ
  • 断りの連絡文を、人が読まずに送る。関係が終わる場面ほど文面の細部が効く
  • 取引の可否や与信に関わる判断を点数に任せる。理由が出せない仕組みなら根拠にならない
  • 相手企業の内部事情を推測させて、それを事実として資料に書く

逆に、境目が近くても任せてよい作業もあります。判断を含まず、間違えても社内で止まり、やり直しが利くものです。

  • 過去の商談記録から、同じ質問が出た回数を数えさせる
  • 自社の資料の中から、相手の業種に近い事例を探させる
  • 長い議事録から、次に確かめる項目だけを抜き出させる
  • 提案書の言い回しを、社内で決めた言葉づかいに揃えさせる

冒頭の1件を、5つの場面に通してみる

初めて商談する製造業の会社を1件、置いてみます。窓口は情報システム部門で、社内の問い合わせ対応を軽くしたいという相談でした。事前調査では、公開されている決算の資料と採用情報から、拠点数と直近の組織変更を並べさせました。ここで人が握ったのは、拠点数を原典で確かめることと、組織変更の理由を推測させないことの2点です。推測は当日に相手へ聞く質問に変えました。

提案の下書きは、構成案と想定質問だけを任せました。導入の期間と費用の欄は空にしたまま出し、社内で埋めています。商談中の記録は自動で残し、終わった直後に3行を足しました。引っかかった点は「既存の仕組みと二重になるのではないか」という発言で、これは要約からは落ちていた1行でした。この3行があったので、次の提案の骨格が変わりました

後追いの文面は下書きまでを任せ、送る前に読み直して、二重になる懸念への回答を先頭に置き換えました。案件の見立てでは、この案件は低い点数が出ています。過去に似た形の受注がなかったためで、理由を読んで採らないことにしました。5つのうち、人が握った判断は4か所だけです。残りは任せています。この配分が、任せ方の設計そのものになります。

よくある質問

5つの場面のうち、どれから始めるのがよいですか

自社で時間がかかっていて、担当者による差が大きい場面から始めます。多くの営業部門では事前調査か商談中の記録が該当します。逆に、勝ちパターンの資料がすでに整っている会社では、提案の下書きから始めても上積みが小さく、手応えが出ません。順番は他社の事例ではなく、自社の所要時間の実績から決めてください。

営業支援の仕組みに付いているAIの機能は、そのまま使ってよいですか

機能ごとに、この記事の5つのどれに当たるかを当てはめてから決めます。同じ画面の中に、社内で止まる機能と相手に直接届く機能が並んでいることがあり、まとめて有効にすると線が引けません。特に、自動で送信するところまで含む機能は、既定で止めておき、必要な案件だけ個別に開けるほうが安全です。

相手にAIを使っていると伝えるべきですか

会社として先に方針を決めておくのが現実的です。先に触れた2019年の研究では、会話の前にAIだと伝えると購入率が大きく下がりました。ただしこれは、AIが相手と直接やり取りする場面の話です。下書きを人が読んで名前で送る形なら、書いたのは担当者本人ですから、状況が違います。相手と直接やり取りさせる場面を作るなら、伝え方と時期まで含めて設計してください。

担当者ごとに使い方がばらつきます。どこまで揃えるべきですか

揃えるのは、人が握る範囲のほうだけで十分です。任せる側のやり方まで細かく決めると、道具が変わるたびに書き直しが必要になります。出所を書かせる、価格と納期は書かせない、送信は人が行う。この3つのような、破ると戻せない項目だけを共通の決まりにして、残りは各自の工夫に任せるほうが続きます。

まとめ

営業でAIを使うという言い方は、5つの別々の作業を1つに束ねてしまっています。商談前の事前調査、提案の下書き、商談中の記録、後追いの文面、案件の見立て。分ける基準は、社外に直接届くか、間違いに気づける人がその場にいるか、やり直しが利くか、の3つです。この3つで切ると、任せてよい範囲がそれぞれ違うことが見えます。

効き目は道具の性能では決まりません。実測では、同じ会社の7つの業務に同じ系統の道具を入れても、売上への効果は検出できない水準から16.3%まで開きました。決めていたのは、今のやり方に対してどれだけ上積みできるかです。だから最初にやることは道具選びではなく、その作業に今どれだけ時間がかかり、どれくらいばらついているかを書き出すことになります。

設計の要は、渡し方より引き取り方にあります。2026年の実地実験では、人が引き取っても効かない引き取り方があり、早い段階で入るかどうかで結果が分かれました。だから引き取る条件と時期を先に決める。そして、AIに判断させない範囲を書き出し、根拠を言葉で出させ、人が確認する範囲を場面ごとに変える。冒頭に置いた1件でも、人が握った判断は4か所だけでした。任せ方を場面ごとに設計できるかどうかが、営業でAIが効くかどうかの分かれ目になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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