法人研修の会社に届く問い合わせから、受講者層・人数・目的・時期をヒアリング票にそろえ、近い過去のプログラムの案と初回の返信の下書きを作る
法人研修の問い合わせフォームに届く相談を読み、受講者層・人数・目的・時期・形式をヒアリング票にそろえます。過去のプログラム集から近いものを選んで案にし、初回の返信の下書きまで作って営業担当に渡します。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Zapier
- 対象業界
- IT・SaaS/人材/教育
- 対象部門
- 営業
- 対象業務
- 問い合わせ対応/書類作成
- 主な課題
- 営業フォローが追いつかない/属人化している/書類作成に時間がかかる
- AIで行う処理
- 生成
- 主な効果
- 品質標準化/対応スピード向上/工数削減
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- ノーコード連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 営業担当が共有のGmailを開き、新しい問い合わせを読む
- 案件管理のスプレッドシートに、会社名、受講者層、人数、目的、時期を書き写す
- 過去のプログラム集を開き、条件が近いプログラムを探す
- 近いものが見つかれば、構成と実施例を返信に書く準備をする
- 書かれていない条件(人数、時期、予算、形式)を聞く質問を考える
- 初回の返信を書いて送る
- 自動問い合わせの通知のメールが共有のGmailに届くと、Zap が動く
- 【AI】 問い合わせの文面から、受講者層・人数・目的・時期・形式・予算などを取り出し、書かれていない項目を空のまま返す
- 自動取り出した結果の欠け方で分岐する(条件がそろっている/足りない/研修の相談ではない)
- 【AI】 条件がそろっているものは、過去のプログラム集から近いものを最大3つ選び、理由を付ける
- 自動案件管理のスプレッドシートに行を足し、ヒアリング票の書式からドキュメントを作る
- 【AI】 初回の返信の下書きを書く。足りない条件は質問として並べる
- 自動Gmail に返信の下書きを作り、担当の営業へ知らせる
- 人営業担当がヒアリング票と案を確かめ、下書きを直して送る
各工程の詳しい説明を読む
- 営業担当が共有のGmailを開き、新しい問い合わせを読む
- 案件管理のスプレッドシートに、会社名、受講者層、人数、目的、時期を書き写す
- 過去のプログラム集を開き、条件が近いプログラムを探す
- 近いものが見つかれば、構成と実施例を返信に書く準備をする
- 書かれていない条件(人数、時期、予算、形式)を聞く質問を考える
- 初回の返信を書いて送る
(a)初回の返信が遅れる。 1件30分かかるため、営業担当は外出の合間にまとめて処理します。問い合わせから返信までが1〜2営業日かかり、その間に他社がオンラインの面談を入れてしまうことがあります。
(b)実施例の選び方が担当者で違う。 同じ「中堅社員のリーダーシップ研修」の相談でも、ベテランは業界と人数から近い実施例を出し、新人は一般的な紹介にとどまります。返信の中身の差が、そのまま次の面談に進むかどうかの差になります。
(c)聞くべきことが漏れる。 問い合わせに書かれていない人数や形式を、返信で聞き忘れることがあります。面談の場で初めて「全国の拠点から200名、オンラインで」と分かり、案が最初からやり直しになります。
(d)ヒアリング票が埋まらない。 案件管理のスプレッドシートは列が決まっていますが、書き写す人によって、書かれていない項目を推測で埋めたり、空けたりしています。
- 【自動】 問い合わせの通知のメールが共有のGmailに届くと、Zap が動く
- 【AI】 問い合わせの文面から、受講者層・人数・目的・時期・形式・予算などを取り出し、書かれていない項目を空のまま返す
- 【自動】 取り出した結果の欠け方で分岐する(条件がそろっている/足りない/研修の相談ではない)
- 【AI】 条件がそろっているものは、過去のプログラム集から近いものを最大3つ選び、理由を付ける
- 【自動】 案件管理のスプレッドシートに行を足し、ヒアリング票の書式からドキュメントを作る
- 【AI】 初回の返信の下書きを書く。足りない条件は質問として並べる
- 【自動】 Gmail に返信の下書きを作り、担当の営業へ知らせる
- 【人】 営業担当がヒアリング票と案を確かめ、下書きを直して送る
2番目で書かれていない項目を空のまま返させるのは、意図してのことです。 空の項目が、そのまま6番目の質問になります。埋めてしまうと、聞くべきことが消えます。
8番目の送信は、すべて人が行います。 研修の内容や講師について、相手に約束することになるからです。
02今回想定するシステム構成
自社サイトの法人研修の問い合わせフォーム │ 送信内容が共有の Gmail に通知のメールとして届く ▼【トリガー】Gmail:New Email Matching Search(件名で絞る) Zapier(Zap) ▼ AI by Zapier(1回目:ヒアリング票の項目の取り出し) ▼ Paths(取り出した結果の欠け方で分岐) ├── A:受講者層と目的がある │ ▼ AI by Zapier(2回目:近い過去のプログラム。ナレッジ=プログラム集) │ ▼ Google Sheets ── 案件管理に行を足す │ ▼ Google Docs ── ヒアリング票の書式から作る │ ▼ AI by Zapier(3回目:返信の下書き)→ Gmail の下書き ├── B:受講者層か目的が無い → 質問だけの返信の下書き └── C:研修の相談ではない(営業の売り込み、講師の応募など)→ ラベルを付けて終わる ▼ 【営業担当が確かめ、直して送る】
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| ワークフロー | Zapier(Gmail、Paths、Google Sheets、Google Docs) | Make、Power Automate、n8n |
| 生成AI | AI by Zapier | ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini |
| 保管 | Google スプレッドシート(案件管理) | Airtable |
| 書類 | Google ドキュメント(ヒアリング票の書式、過去のプログラム集) | Microsoft Word |
問い合わせフォーム、案件管理のスプレッドシート、プログラム集は、今あるものを使います。 足すのは Zapier の Zap と、ヒアリング票の書式のドキュメントだけです。
土台になるのは、AI by Zapier です。 Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、返してほしい項目を、名前・型・説明つきの出力のフィールドとして定義できます。 定義したフィールドは、後の手順にそのまま差し込めます。使えるのは Professional・Team・Enterprise のプランで、モデルの段階によって使うタスクの数が変わります(Standard は1倍、Advanced は3倍、Premium は5倍で既定、自社のAIの契約をつなぐ Bring Your Own Key は1倍)。
過去のプログラム集は、AI by Zapier のナレッジのソースとして付けます。 1つの手順に最大20のソースを付けられ、Google ドキュメントにも対応しています。1つのソースは96,000語までとされているので、プログラム集は階層別・テーマ別に分けたまま、それぞれをソースにします。AI by Zapier は前の実行から学ばず、毎回ナレッジが初期化されるとされています。前回の問い合わせの中身が次の回に混ざらない代わりに、選び方の傾向はプログラム集の書き方でしか変えられません。
Zapier を選ぶ理由は、Gmail・スプレッドシート・ドキュメントが今の業務の道具だからです。 つなぎ先がすべて Zapier の標準の連携にあり、営業部の中で Zap を見て直せます。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
共有の Gmail に届く問い合わせの通知のメールを、New Email Matching Search で拾います。 検索の条件に、フォームの通知のメールの差出人と件名(「【法人研修のお問い合わせ】」など)を入れ、問い合わせ以外のメールでは動かないようにします。
Gmail のトリガーは、一定の間隔で新着を確かめる方式(Polling)です。 送信と同時には動きませんが、この構成の目的は、1〜2営業日かかっていた初回の返信を、その日のうちにすることです。数分の遅れは問題になりません。フォームの側から Webhook で送れる場合は、Webhooks by Zapier の Catch Hook に替えられます。
1件ごとに動かします。 夜や週末に届いた問い合わせも、その場で下書きまで作っておけば、営業は朝に確かめて送るだけになります。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | 会社名、担当者、連絡先、研修の種類の選択、自由記述 | 通知のメールの本文 |
| 過去のプログラム集 | プログラムごとの対象の層、人数の目安、日数と構成、ねらい、実施した業界、形式 | Google ドキュメント(ナレッジのソース) |
| 案件管理 | 会社名、過去の問い合わせ・受注の有無、担当の営業 | Google スプレッドシート |
| ヒアリング票の書式 | 受講者層、人数、目的、時期、形式、予算、日数、場所、決裁の流れの欄 | Google ドキュメント |
質を決めるのは、2行目の過去のプログラム集の書き方です。 プログラムごとに、対象の層、人数、形式、業界を同じ順番・同じ言葉で書きます。 「若手」「2〜3年目」「ジュニア層」が混ざっていると、AIは同じ層として扱えません。プログラム集の見出しを、ヒアリング票の項目と同じ言葉にそろえます。
案件管理は、同じ会社からの2回目の問い合わせを見分けるために引きます。 過去に受注した会社なら、前回のプログラムと担当の営業を返信の下書きに添えます。
データの取得方法を決める
| 取るもの | どこから | どう取るか |
|---|---|---|
| 問い合わせの本文 | 通知のメール | Gmail のトリガーの本文のフィールド |
| 近い過去のプログラム | プログラム集 | AI by Zapier のナレッジのソース |
| 同じ会社の過去の案件 | 案件管理 | Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row(会社名とメールのドメイン) |
| ヒアリング票 | 書式のドキュメント | Google Docs の Create Document From Template |
同じ会社の検索は、メールのドメインを先に、会社名を後にします。 Lookup Spreadsheet Row は、検索する列と値を指定し、2つ目の列と値の組を足して、両方に一致する行だけを返すように絞れます。見つからなかったときに、行を作る・続ける・止めるのどれにするかも決められます。この構成では「続ける」にし、新規の会社として扱います。
ヒアリング票は、書式のドキュメントの差し込み項目を置き換えて作ります。 差し込み項目は二重の波かっこで囲み、空白と記号を除いた名前にする必要があります。{{受講者層}} ではなく {{trainee_level}} のように半角の名前にしておくと、取り違えが起きません。書式は自社で作ったものだけが選べます。
AIへ渡す前に整形する
- 通知のメールの定型部分を外す … フォームの見出し、署名、自動の案内文を除き、会社名・担当者・選択肢・自由記述だけを渡します
- 選択肢と自由記述を分けて渡す … 「研修の種類」の選択肢と、自由記述の内容が食い違うことがあります。両方を別の項目として渡し、AIにはどちらに書かれていたかを残させます
- 会社名とドメインをそろえる … 「株式会社」の位置、全角・半角をそろえ、案件管理の検索に使います
- フリーメールを分ける … 法人のドメインでない問い合わせは、個人の受講の相談や、まだ社内で検討の前の相談であることが多いので、印を付けます
- 同じ問い合わせの重複を除く … フォームを二度送った場合、同じ会社・同じ本文の問い合わせが数分の間に届きます
2番目は、取り違えが起きやすい場所です。 選択肢で「新入社員研修」を選びながら、自由記述に「入社3年目の…」と書く相談があります。どちらを信じるかを AI に決めさせず、食い違いとして返させ、営業が初回の返信で確かめます。
AIに処理させる
AI by Zapier に、3つの手順で別々の仕事をさせます。
| 手順 | させること | 返すもの |
|---|---|---|
| 1回目 | 問い合わせからヒアリング票の項目を取り出す | 受講者層、人数、目的・課題、時期、形式、予算、日数、場所。書かれていない項目は空 |
| 2回目 | プログラム集から近いものを選ぶ | 最大3つのプログラム名、選んだ理由、問い合わせと違う点 |
| 3回目 | 初回の返信の下書きを書く | 件名と本文。足りない項目を質問として並べる |
2回目の「問い合わせと違う点」が、この構成の大事な出力です。 近いプログラムでも、人数が倍、形式が対面とオンラインで違う、ということがあります。違いを並べておけば、営業がそのまま返信や面談で「この点は調整します」と言えます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 書かれていない項目を埋める | 人数・時期・予算を推測すると、聞くべきことが消える |
| プログラム集に無いプログラムを作る | 実施したことの無い構成を、実施例として出してしまう |
| 料金を書く | 見積は人数・日数・講師で決まり、営業が出す |
| 講師の名前と日程を約束する | 講師の空きは、この構成からは見えない |
| 相手の会社のことを調べて書く | AI by Zapier はWebサイトを検索できない。知識で補うと誤る |
2行目がいちばん起きやすい失敗です。 近いものが見つからないと、生成AIは過去のプログラムを組み合わせて「3回構成のリーダーシップ研修」をそれらしく書きます。実施例として出すものは、プログラム集にあるものだけです。 近いものが無ければ「該当なし」と返させ、営業が設計の相談として返信します。
指示内容を固定する
1回目(ヒアリング票の項目の取り出し)の指示です。
あなたは法人研修の会社の営業で、Webのフォームから届いた問い合わせを
ヒアリング票に整理する担当です。
【取り出す項目】
受講者層(新入社員/若手/中堅/管理職/経営層/その他)、人数、
目的・課題、希望の時期、形式(対面/オンライン/未定)、予算、
日数・時間、場所、決裁の流れ
【厳守事項】
- 問い合わせに書かれていない項目は空にしてください。業界や会社の
規模から推測して埋めないでください。
- 書かれた言葉をそのまま value に入れ、受講者層だけは上の区分にも
当てはめてください。当てはめられないときは「その他」にしてください。
- 選択肢と自由記述で内容が食い違うときは、両方を書き、conflict に
食い違いの中身を書いてください。どちらが正しいかを決めないでください。
- 研修の相談ではない(売り込み、講師の応募、個人の受講)と判断した
ときは、inquiry_type にその種類を書き、項目を取り出さないでください。
【選択肢】{selected_type}
【自由記述】{free_text}
2回目(近い過去のプログラム)の指示です。 ナレッジのソースにプログラム集を付けたうえで、次のように書きます。
あなたは法人研修の会社の営業です。付けられたプログラム集だけを根拠に、
次の相談に近い過去のプログラムを最大3つ選んでください。
【近さの見方(上ほど重く見る)】
1. 受講者層が同じか 2. 目的・課題が近いか 3. 人数の規模が近いか
4. 形式(対面/オンライン)が同じか 5. 業界が近いか
【厳守事項】
- プログラム集に書かれているプログラムだけを選んでください。
組み合わせたり、新しい構成を作ったりしないでください。
- 近いものが無いときは program_name を「該当なし」にしてください。
- differences には、相談と違う点(人数、形式、日数など)を書いてください。
- 実施した会社の名前を書かないでください。
- 料金と講師の名前を書かないでください。
【相談の内容】{hearing_items}
近さの見方に順番を付けているのは、選び方を担当者の記憶から文書に移すためです。 ベテランの営業に「何を先に見ているか」を聞き、その順番を自社の物差しとして書き込みます。順番が決まっていないと、業界だけが同じで層の違う実施例が上に来ることがあります。
3回目(返信の下書き)の指示では、次の3つを必ず書かせます。 ①空の項目を、答えやすい質問として2〜4問に絞って並べる。②選んだ過去のプログラムは「近い実施例」として紹介し、内容の約束をしない。③料金と講師の日程には触れず、面談で相談すると書く。
「推測して埋めない」が、この指示の要です。 「従業員3,000名の製造業」と書かれていれば、生成AIは人数を「100名程度」と埋めがちです。それらしい数字が票に入ると、営業はそれを前提に案を考えます。 空にしておけば、その数字は返信の質問になり、相手の答えで決まります。
「どちらが正しいかを決めない」も同じ考えです。 選択肢の取り違えは、相手に聞けばすぐに分かります。AIが決めると、間違った層向けの実施例が返信に載ります。
出力形式を固定する
AI by Zapier の出力のフィールドとして、1回目は次の項目を定義します。
{
"inquiry_type": "training | sales_pitch | instructor_application | individual | other",
"company": "",
"trainee_level": "new_hire | junior | mid | manager | executive | other",
"trainee_level_text": "",
"headcount": "",
"purpose": "",
"timing": "",
"format": "onsite | online | undecided | ",
"budget": "",
"duration": "",
"location": "",
"conflict": "",
"missing": [""]
}
2回目は、プログラムごとに program_name、reason、differences の3つを、最大3組返させます。近いものが無ければ program_name を「該当なし」にします。
1つ目の理由は、missing を Paths の分岐の条件に使えることです。 受講者層と目的の両方が空でなければ A、どちらかが空なら B です。分岐を AI の判断ではなく、空の項目の有無という機械的な条件で決めます。
| 条件 | 分岐 | 返信の下書き |
|---|---|---|
inquiry_type が training で、trainee_level と purpose がある | A | 近い実施例+足りない項目の質問 |
inquiry_type が training で、どちらかが空 | B | 足りない項目の質問だけ |
inquiry_type が training 以外 | C | 作らない(ラベルを付ける) |
2つ目は、ヒアリング票と案件管理に同じ項目名で入れられることです。 差し込み項目の名前と出力のフィールドの名前をそろえておけば、ヒアリング票と案件管理のスプレッドシートの列が、いつも同じ中身になります。 第3章の(d)は、ここで解けます。
3つ目は、conflict で食い違いを営業に見せられることです。 下書きの冒頭に「選択肢と自由記述で受講者層が違います」と注記を出し、送る前に必ず目に入るようにします。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 共有の Gmail | Gmail のトリガー(New Email Matching Search) | 問い合わせの通知のメールを拾う |
| AI by Zapier | Zap の手順(3回) | 取り出し、実施例の選定、返信の下書き |
| 案件管理 | Google Sheets(Lookup Spreadsheet Row、行の追加) | 過去の案件を引き、新しい行を足す |
| ヒアリング票 | Google Docs(Create Document From Template) | 書式から作る |
| 返信 | Gmail(Create Draft) | 下書きを作る。送らない |
Gmail のアクションは Create Draft までにします。 Send Email のアクションもありますが、この構成では使いません。研修の内容に触れる返信を、人が読まずに送ることになるからです。
Paths は、Professional 以上のプランで使えます。 1つのグループに最大10の分岐を置け、分岐は左から右へ1つずつ評価されて動きます。どの条件にも当たらなかったときのために、最後に Fallback の分岐を置き、営業に「分類できなかった問い合わせ」として知らせます。
人が確認する
conflictがあるものを先に見る … 選択肢と自由記述の食い違いは、返信の質問に入っているかを確かめます- ヒアリング票を確かめる … 書かれていない項目が空のままか、推測で埋まっていないかを見ます
- 近い実施例を確かめる … プログラム集にあるものか、
differencesが正しいかを見ます。出したくない実施例(取引先の名前が出るものなど)を外します - 下書きを直して送る … 料金、講師、日程に触れていないかを見て送ります
- 案件管理に担当を入れる … 送った時刻も記録します
3番目で取引先の名前に気をつけてください。 プログラム集に実施した会社の名前が書かれていると、近い実施例として他社の名前が返信に載ることがあります。 プログラム集の側で、会社名を業界と規模に置き換えておくのが確実です。
目標は、1件をならして10分です。 ヒアリング票と実施例の確認に5分、下書きを直して送るのに5分という見込みです。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 研修の相談ではない | C の分岐。ラベルを付け、下書きを作らない |
| 近いプログラムが無い | 「該当なし」として、設計の相談の返信の下書きを作る |
| 自由記述が空で、選択肢だけ | B の分岐。受講者層と目的を聞く質問の下書きを作る |
| 同じ会社から短い間に2通 | 2通目は1通目の案件の行に追記し、下書きを作らない |
| 既存の取引先からの相談 | 案件管理の担当の営業に直接知らせ、前回のプログラムを添える |
| AI の出力が空や形式違い | 下書きを作らず、営業に元のメールを知らせる |
| 英語の問い合わせ | 取り出しは同じ項目で行い、返信の下書きは英語で作る |
| 自由記述に添付の資料(研修の要件の文書)があると書かれている | 本文だけで取り出し、missing に「添付の資料の確認」を加えて営業に回す |
| 受講者層が複数(新入社員と管理職の両方など) | 層ごとに分けず trainee_level を other にし、trainee_level_text にそのまま書く。実施例は層ごとに営業が選ぶ |
上から2行目を出せることが、この構成の信頼につながります。 無理に近いものを出すより、「実施例はありませんが、設計からご相談できます」と返すほうが、面談に進みやすい相談もあります。
記録を残す
- 問い合わせのメールと、受け取った時刻
- 1回目から3回目の出力(ヒアリング票の項目、選んだ実施例、下書き)
- 営業が直した後の返信と、送った時刻
- 分岐(A/B/C)と、Fallback に落ちたもの
- 面談に進んだかどうか
3つ目の、直した後の返信が改善の材料になります。 下書きと送った返信を並べ、どこを毎回直しているかを月に一度見ると、指示とプログラム集のどこを直せばよいかが分かります。Zapier の実行の履歴と案件管理に、同じ問い合わせの番号を残します。
04実装レベルの3段階
本記事の想定は半自動化です。 1件30分が10分になり、営業の手元に残るのは確認と送信だけです。本格構成で日程の調整まで自動にすると、講師と営業の予定の管理が別の仕組みとして要ります。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を2か月回し、営業が下書きのどこを直しているかを見てから、次に何を自動にするかを決めます。
05工数削減シミュレーション
導入後 120件 × 10分 ÷ 60 = 20 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 新入社員・中堅・管理職向けの階層別研修や、営業・リーダーシップ・ITなどのテーマ別研修を企業に提供している研修会社や、研修事業を持つ人材会社・IT企業。Webサイトの問い合わせフォームに月に百件前後の相談が届き、営業担当が1件ずつ読んで、過去の実施例を探し、返信を書いている場合。過去のプログラムの内容が文書にまとまっているが、どれを案に出すかが担当者の記憶に頼っている場合。Zapier の有料プランと Gmail・Google のスプレッドシート・ドキュメントを使える場合。
- 問い合わせが月に十数件で、営業担当が一つずつ丁寧に返しても負担にならない場合。研修が毎回完全な受注生産で、過去のプログラムを案として出すことがない場合。過去のプログラムの内容が文書に残っていない場合(先に整理が要ります)。なお、講師の空き、見積の金額、研修の内容の約束は、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 過去3か月の問い合わせから20件を選ぶ(条件のそろったもの、一文だけのもの、選択肢と自由記述が食い違うものを混ぜる)
- プログラム集の階層別の1冊を、生成AIの画面にファイルとして渡す
- 問い合わせを1件ずつ貼り、「ヒアリング票の項目を取り出し、書かれていない項目は空にしてください。プログラム集から近いものを最大3つ選び、理由と違う点を書いてください。推測で埋めず、プログラム集に無いものを作らないでください」と指示する
- 出てきた結果を、当時の営業の返信と比べる
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の営業と同じ実施例が出た | Zap を組む段階に進む |
| 人数や時期を推測で埋めた | 指示の書き方で直る。空を許す指示を足す |
| 近い実施例がばらばら | プログラム集の書き方がそろっていない。 見出しの言葉をそろえるのが先 |
3行目が出たら、Zap を組む前にプログラム集を直します。 対象の層、人数、形式、業界の書き方をそろえるだけで、選ばれる実施例は大きく変わります。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 人数や時期が推測で埋まる | 空を許す指示を書き、missing を出力に持たせる |
| プログラム集に無い構成を実施例にする | 「該当なし」を許し、営業が確かめる |
| 実施例に他社の名前が載る | プログラム集の会社名を業界と規模に置き換える |
| 選択肢と自由記述の食い違いを AI が決める | conflict に書かせ、返信の質問にする |
| 返信が自動で送られる | Create Draft までにする |
| 問い合わせ以外のメールで Zap が動く | 検索の条件に差出人と件名を入れる |
| AI のタスクの消費が多い | 手順ごとにモデルの段階を分ける |
| ヒアリング票の差し込みが空になる | 差し込み項目の名前から空白と記号を除き、手で打ち直す |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「書かれていないことを AI が書く」問題です。空のままにすること、無いものを作らないことを、指示と出力の形で守ってください。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 問い合わせた企業の名前、担当者の氏名と連絡先、研修の目的として書かれた社内の課題(「管理職の離職が多い」など)、過去のプログラム集(実施した企業の情報を含む)です。
- AIに渡す範囲を絞る … 取り出しに要るのは選択肢と自由記述です。担当者の電話番号は渡さず、返信の宛先はワークフローが付けます
- 相談の中身を外部の生成AIへ渡してよいかを先に決める … 研修の相談には、相手の会社の人事の課題が書かれていることがあります。AI by Zapier のモデルの提供元と利用条件を確かめてください
- 過去の取引先の情報を外に出さない … プログラム集をナレッジにする前に、実施した会社の名前を業界と規模に置き換えます
- 返信は人が送る … 研修の内容、講師、料金について、AI の下書きのまま約束しないようにします
- ナレッジのソースを整理する … 1つの手順に付けられるのは20までです。古いプログラム集を外すのを忘れると、もう提供していない研修が実施例に出ます
誤りが起きた場合のリスクは、推測で埋めた条件で案を出すことと、他社の情報を含む実施例を返信に載せることの2つです。 前者は空を許さない指示で起き、後者はプログラム集の整理の不足で起きます。
10まず何から始めるか
1週目:プログラム集の見出しをそろえる
階層別・テーマ別のプログラム集で、対象の層、人数、日数と構成、形式、業界の書き方をそろえ、実施した会社の名前を業界と規模に置き換えます。
2週目:20件で試す
第8章の手順で、過去の問い合わせ20件を整理させ、推測で埋めていないかと、プログラム集に無いものを作っていないかを見ます。
3週目:ヒアリング票の書式と Zap を作る
ヒアリング票の書式を作り、Gmail のトリガーから1回目の取り出しと案件管理への記録までを組みます。返信の下書きはまだ作らず、取り出しの結果だけを営業が見ます。
4週目:実施例と返信の下書きを足す
2回目と3回目の手順を足し、Paths で分岐させます。営業が下書きのどこを直しているかを毎週見ます。
2か月目以降: 問い合わせから初回の返信までの時間と、面談に進んだ割合を毎月並べます。初回の返信がその日のうちに出るようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| AI by Zapier が Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具であること。Professional・Team・Enterprise で使えること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、既定)・Bring Your Own Key(1倍)の段階があること。出力フィールドを名前・型・説明で定義し、後の手順に差し込めること。ナレッジのソースを最大20まで付けられ、Google ドキュメントに対応し、1つのソースが96,000語まで、ファイルが100MBまでであること。前の実行から学ばず、毎回ナレッジが初期化されること。Webサイトを検索できないこと | Zapier: Use AI by Zapier to analyze and return data | 2026-10-07 |
| Gmail の New Email Matching Search などのトリガーが Polling であること。Create Draft、Reply to Email、Add Label to Email などのアクションがあること。Advanced Protection Program が有効だと接続できないこと | Zapier: How to get started with Gmail on Zapier | 2026-10-07 |
| Webhooks by Zapier の Catch Hook が受け取った内容をフィールドに分けて後の手順に渡すこと。Free プランでは使えないこと | Zapier: Trigger Zaps from webhooks | 2026-10-07 |
| Paths が Professional・Team・Enterprise で使えること。1つのグループに最大10の分岐、入れ子は3つまでであること。Custom rules・Always run・Fallback の規則があること。分岐が左から右へ1つずつ動くこと | Zapier: Add branching logic to Zap workflows with Paths | 2026-10-07 |
| Lookup Spreadsheet Row で検索する列と値を指定し、2つ目の列と値の組で絞れること。見つからないときに行を作る・続ける・止めるを選べること。複数の行は Lookup Spreadsheet Rows (Advanced) で最大500行まで取れること | Zapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets | 2026-10-07 |
| Google Docs の Create Document From Template で、差し込み項目を二重の波かっこで囲み、空白と記号を除く必要があること。自分で作った書式だけが選べること。貼り付けた項目に見えない書式が残ると認識されないことがあること | Zapier: How to get started with Google Docs on Zapier | 2026-10-07 |
研修の内容、講師、料金は、ヒアリングの後に営業と講師が決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
自社の業務に使えるAI活用候補を整理します
このユースケース(UC-0776)についてのご相談はこちらから。
