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ホテルの宴会・会議室の問い合わせフォームから人数・日時・用途・予算を拾い、プランと料金表に沿って見積の下書きと返信案を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

ホテルの宴会・会議室の問い合わせフォームに届く相談から、人数・日時・用途・予算を拾い、プランの候補を選びます。料金表で計算した見積の下書きと、提案の理由を添えた返信の文案を作り、宴会営業の担当に渡します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
宿泊/飲食
対象部門
営業
対象業務
問い合わせ対応/書類作成
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
63%
年間削減
600h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 問い合わせフォームの送信が、宴会営業の共有アドレスにメールで届く
  2. 担当者が相談を読み、人数・日時・用途・予算を拾う
  3. 予約台帳で、希望の日時に合う会場の空きを確かめる
  4. 料金表から合うプランを選び、単価×人数、室料、機材、サービス料、消費税を手で計算する
  5. 見積書の書式に数字を入れ、PDFにする
  6. 相談者への返信を書き、見積書を添えて送る
  7. 条件が足りない相談には、聞き返すメールを書いて送る
導入後(After)
  1. 自動問い合わせフォームの送信を Webhook で受け、Zapier の Zap が動く
  2. 自動AIが相談の文面から、日付・時間帯・人数・用途・予算・要望を取り出す
  3. 自動人数と日付がそろっているかで分岐する
  4. 自動そろっていれば、AIがプランの説明を参照して、候補を2つまで選び、選んだ理由を書く
  5. 自動料金表を引き、計算の手順で単価×人数、室料、サービス料、消費税を出す
  6. 自動見積書の書式に値を差し込んで、見積の下書きを作る
  7. 自動AIが、提案の理由と見積の金額を添えた返信の文案を作り、Gmail の下書きにする
  8. 自動そろっていなければ、聞き返す事項だけを並べた返信の下書きを作る
  9. 人担当が予約台帳で会場の空きを確かめ、見積と返信の下書きを直して送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 問い合わせフォームの送信が、宴会営業の共有アドレスにメールで届く
  2. 担当者が相談を読み、人数・日時・用途・予算を拾う
  3. 予約台帳で、希望の日時に合う会場の空きを確かめる
  4. 料金表から合うプランを選び、単価×人数、室料、機材、サービス料、消費税を手で計算する
  5. 見積書の書式に数字を入れ、PDFにする
  6. 相談者への返信を書き、見積書を添えて送る
  7. 条件が足りない相談には、聞き返すメールを書いて送る

(a)見積を組むのに時間がかかる。 料金表は十数種類のプランと会場ごとの室料、機材の一覧に分かれています。相談1件ごとにそれぞれの表を開いて数字を拾い、電卓で計算して書式に写すので、慣れた担当者でも20分前後かかります。

(b)初回の返信が遅れる。 宴会営業は、日中は下見の案内と打合せで席を外していることが多く、フォームの相談への返信は夕方にまとめて書くことになります。 相談者は複数の会場に同時に問い合わせていることが多く、最初に具体的な金額を返した会場が有利になります。

(c)提案するプランが担当者によって違う。 予算1人5,000円の懇親会に、ある担当は立食を、別の担当は着席を勧めます。どちらも間違いではありませんが、提案の理由が説明されないまま金額だけが届きます。 相談者は、なぜそのプランなのかが分かりません。

(d)条件の足りない相談の扱いが分かれる。 人数が書かれていない相談に、仮の人数で見積を作って返す担当と、まず聞き返す担当がいます。仮の人数の見積は、人数が変わったときに「最初の見積と違う」と言われる元になります。

  1. 【自動】 問い合わせフォームの送信を Webhook で受け、Zapier の Zap が動く
  2. 【自動】 AIが相談の文面から、日付・時間帯・人数・用途・予算・要望を取り出す
  3. 【自動】 人数と日付がそろっているかで分岐する
  4. 【自動】 そろっていれば、AIがプランの説明を参照して、候補を2つまで選び、選んだ理由を書く
  5. 【自動】 料金表を引き、計算の手順で単価×人数、室料、サービス料、消費税を出す
  6. 【自動】 見積書の書式に値を差し込んで、見積の下書きを作る
  7. 【自動】 AIが、提案の理由と見積の金額を添えた返信の文案を作り、Gmail の下書きにする
  8. 【自動】 そろっていなければ、聞き返す事項だけを並べた返信の下書きを作る
  9. 【人】 担当が予約台帳で会場の空きを確かめ、見積と返信の下書きを直して送る

9番目が、この設計の分かれ目です。 送るのは担当で、会場の空きの確定と値引きの判断は担当が行います。 AIとワークフローが作るのは、空きを確かめた担当がすぐ送れる状態の下書きまでです。

5番目の計算をAIに任せないのも、意図してのことです。 料金表の単価をワークフローが引き、決まった式で計算するので、同じ条件なら誰が受けても同じ金額になります。

02今回想定するシステム構成

構成図
自社サイトの宴会・会議の問い合わせフォーム
   │  送信時に Webhook で送る
   ▼【トリガー】Catch Hook
Zapier(Zap)
   ▼
AI by Zapier(1回目:条件の取り出し)
   │   日付・時間帯・人数・用途・予算・要望
   ▼
Paths(条件のそろい方で分岐)
   ├── A:人数と日付がそろっている
   │      ▼ AI by Zapier(2回目:プランの候補と理由。プランの説明を参照)
   │      ▼ Google Sheets ── 料金表を引く(単価・最少人数・室料)
   │      ▼ Formatter ── 金額の計算
   │      ▼ Google Docs ── 見積書の書式から下書きを作る
   │      ▼ AI by Zapier(3回目:返信の文案)→ Gmail の下書き
   ├── B:人数か日付が無い → 聞き返す事項だけの返信の下書き
   └── C:婚礼・宿泊を伴う団体 → 担当の課へ転送
   ▼
【担当が空きを確かめ、見積と返信を直して送る】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapier(Webhooks by Zapier、Paths、Formatter、Google Sheets、Google Docs、Gmail)Make、Power Automate、n8n
生成AIAI by Zapier(Analyze and Return Data)ChatGPT(OpenAI)、Claude、Gemini
保管Google スプレッドシート(プランと料金表、受付の一覧)Airtable
書類Google ドキュメント(見積書の書式)Microsoft Word

問い合わせフォーム、料金表、見積書の書式は、今あるものを使います。 足すのは Zapier の Zap と、料金表の側のプランごとの説明の列(向いている用途、時間、料理の内容)です。予約台帳には、この構成からは触れません。

土台になるのは、Zapier の AI by Zapier です。 Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具で、返してほしい項目を出力のフィールドとして定義できます。 1つの手順にナレッジのソースを最大20まで付けられるので、プランの説明をまとめた文書をソースにして、候補を選ぶときの根拠にします。使えるのは Professional・Team・Enterprise のプランで、モデルの段階によって使うタスクの数が変わります(Standard は1倍、Advanced は3倍、Premium は5倍。既定は Premium)。

金額の計算には Formatter の Spreadsheet-Style Formula を使います。 スプレッドシートと同じ形の式を Zap の中で書き、前の手順の値を差し込んで計算できます。比べる式なら結果は true か false で返ります。 これも Professional 以上の機能です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

問い合わせフォームの送信を、Webhooks by Zapier の Catch Hook で受けます。 フォームの送信先に Zapier が発行する URL を設定すると、送信のたびに中身が届き、Catch Hook がそれを項目ごとのフィールドに分けて次の手順へ渡します。Webhook のトリガーは Free プランでは使えず、Professional 以上が必要です。

共有アドレスに届く通知メールを起点にしない理由は、速さです。 Gmail のトリガーは一定の間隔で新着を確かめる方式(Polling)です。この構成の目的は初回の返信を早めることなので、送信と同時に動く Webhook を選びます。

1件ごとに動かします。 夜に届いた相談も、その場で下書きまで作っておけば、担当は朝いちばんに空きを確かめて送るだけになります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
相談の内容氏名、会社名・団体名、連絡先、第1・第2希望の日付、時間帯、人数、用途、予算、ご要望問い合わせフォーム(Webhook)
プランと料金表プランの記号、名前、1人あたりの単価、最少人数、飲み物の有無、提供の時間プランと料金表(Google スプレッドシート)
会場の室料会場ごとの収容人数(着席・立食・スクール形式)、時間あたりの室料同じスプレッドシートの別のシート
プランの説明向いている用途、料理の内容、時間の目安、注意点プランの説明の文書(AI by Zapier のナレッジのソース)
計算の決まりサービス料の率、消費税の率、端数の扱い同じスプレッドシートの設定のシート

質を決めるのは、プランの説明の文書です。 単価の表だけを渡すと、AIは予算に収まる最も高いプランを選びがちです。「立食は会話が中心の懇親会向き」「会席は法要のあとの会食向き」といった、担当者が頭の中で使っている選び方を文に起こしておきます。 ここを書くことが、(c) の担当者による違いをそろえる作業そのものです。

計算の決まりは、設定のシートに1か所だけ置きます。 サービス料の率や端数の扱いを Zap の式に直接書くと、変わったときに直す場所が分からなくなります。

Step3

データの取得方法を決める

料金表を引くのは、Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row の手順です。検索する列(Lookup Column)にプランの記号の列を指定し、AIが選んだ記号で行を探します。見つからなかったときの動きは設定で決められます。 行を作る設定にはせず、見つからなかったことを次の手順へ渡します。

取るものどこから何に使うか
プランの単価と最少人数料金表をプランの記号で検索金額の計算と、人数が最少に届くかの確認
会場の室料と収容人数室料のシートを会場の記号で検索室料の計算と、人数が収まるかの確認
サービス料と消費税の率設定のシート計算の式に差し込む
プランの説明AI by Zapier のナレッジのソース候補を選ぶ根拠

会場の検索には、補助の検索列を使います。 1つ目の列に形式(着席・立食・スクール形式)、2つ目の列に人数の区分を指定すれば、2つの条件で1行を引けます。会場はAIに選ばせず、人数と形式で決まる表から引きます。 立食40名なら収容人数が40名以上の会場のうち最も小さいもの、という決め方を表にしておきます。会場の選び方をAIに任せると、空いていそうな広い会場を選んで室料が上がります。

候補が2つあるので、料金表の検索と計算の手順は候補ごとに2組並べます。 1組目は candidates の1つ目の記号で、2組目は2つ目の記号で引きます。2つ目が空のときは、2組目の手前に Filter を置いて止めます。繰り返しの手順でまとめないのは、その後ろの見積書と返信の手順まで2回動いてしまうからです。 見積書は候補2つを1通に並べる書式にし、差し込み項目も {{plan1_total}} {{plan2_total}} のように分けておきます。

AIが選んだプランの記号が料金表に無かったときは、見積を作りません。 AIが記号を作ってしまった場合で、担当へ回す印を付けます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 人数の幅をそろえる … 「30〜40名」は上限の40名で計算し、幅があったことを記録します
  2. 予算の書き方をそろえる … 「1人5,000円」「総額20万円」を、1人あたりと総額の両方に直します
  3. 日付の確かめ … 過去の日付や、受け付けている期間より先の日付は、見積を作らずに担当へ回します
  4. 曜日と日付の食い違い … 「10月18日(金)」の曜日が合わないときは、どちらが正しいかを聞き返す事項にします
  5. 婚礼・宿泊を伴う団体の振り分け … 用途が婚礼、または宿泊を伴う団体の相談は、担当の課へ転送します
  6. 重複の確認 … 同じ連絡先から24時間以内に同じ内容が届いていれば、二度目は下書きを作りません

1番目で上限を取るのは、見積が後から上がるのを避けるためです。 下限の30名で出すと、当日40名になったときに「最初の見積より高い」と受け取られます。上限で出して、少なければ下がるほうが、相談者への説明が軽くなります。

4番目は見落とされやすい項目です。 曜日と日付の食い違いは、相談者の書き間違いのことがほとんどで、どちらを信じて空きを確かめるかで結果が変わります。

Step5

AIに処理させる

AI by Zapier の手順を3回に分け、それぞれ1つの仕事だけをさせます。

回させること返すもの
1回目相談の文面から条件を取り出す日付、時間帯、人数(下限・上限)、用途、予算、要望、書かれていない項目の一覧
2回目プランの説明を参照して候補を2つまで選ぶプランの記号、選んだ理由、予算との関係
3回目見積の金額と提案の理由を添えた返信の文案を作る件名、本文

3回に分けるのは、どこで誤ったかを見分けるためです。 1回にまとめると、人数の読み違いでプランの選び方が変わったのか、プランの選び方そのものが違ったのかが分かりません。

させないこと理由
金額の計算料金表を引いた計算の手順が行う。AIが作った金額は料金表と合わないことがある
会場の空きの判断予約台帳を見て担当が確かめる
値引き・特典の提示担当と上長が決めること
アレルギーへの対応の約束調理場が確かめること。返信には「担当よりご確認します」とだけ書く
書かれていない人数・日付の推測見積を作らず、聞き返す

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 返信の文案を書かせると、AIは「概算で1名様あたり約6,000円」のように自分で計算した金額を書き足します。3回目の手順には、ワークフローが計算した金額だけを差し込み、それ以外の数字を書かないよう指示します。

Step6

指示内容を固定する

2回目(プランの候補)の指示の例です。

あなたはホテルの宴会営業で、問い合わせに最初の提案をする立場です。
次の条件と、ナレッジのプランの説明だけを根拠に、プランの候補を選んでください。

【相談の条件】
日付:{date} 時間帯:{time_slot} 人数:{guests_max}名(下限 {guests_min}名)
用途:{purpose} 予算:1人あたり {budget_per_person} 円(総額 {budget_total} 円)
ご要望:{requests}

【選び方】
- 候補は2つまで。plan_code にはナレッジに書かれたプランの記号だけを入れてください。
- 人数がプランの最少人数に届かないものは選ばないでください。
- 予算が書かれている場合は、予算に収まるものを1つ目にしてください。
  予算を超えるものを2つ目に入れる場合は、超える理由を reason に書いてください。
- reason には、用途とご要望のどの部分に合わせたかを、相談者に伝わる言葉で書いてください。

【厳守事項】
- 金額を計算しないでください。金額を書かないでください。
- ナレッジに無いプランの記号を作らないでください。合うものが無ければ plan_code を空にしてください。
- 会場の空きについて書かないでください。
- 値引き、特典、サービスの追加を提案しないでください。
- アレルギーや食事の制限への対応を約束しないでください。
  ご要望に書かれていれば needs_kitchen_check を true にしてください。
- 婚礼、または宿泊を伴う相談と判断した場合は、候補を選ばず out_of_scope を true にしてください。

「ナレッジに無い記号を作らない」を明記しないと、それらしい記号が返ります。 記号が料金表に無ければ検索が空振りするので害は小さいのですが、空振りの件数が増えると、担当が手で組み直す件が増えます。

3回目(返信の文案)の指示では、差し込む金額を {quote_total} のような変数で渡し、「この金額以外の数字を書かない」と書きます。 返信の文案に必ず入れる3つの文、「空き状況を確認のうえ改めてご連絡します」「金額はご人数により変わります」「お料理の制限は担当よりご確認します」も、指示の中で固定の文として渡します。

Step7

出力形式を固定する

2回目の手順の出力フィールドを、次の形で定義します。

{
  "out_of_scope": false,
  "candidates": [
    { "plan_code": "BF-B", "reason": "", "within_budget": true }
  ],
  "needs_kitchen_check": false,
  "note_for_staff": ""
}

1つ目の理由は、plan_code で料金表を引けることです。 AIの出力は記号と理由までで、金額はその記号で引いた単価から計算します。 理由の文はそのまま返信の文案に使います。

2つ目は、within_budget で予算との関係が一目で分かることです。 担当は、予算を超える候補を入れた理由を reason で確かめてから送ります。

計算の手順(Formatter)が出す値は、見積書の書式の差し込み項目に合わせます。

項目式の考え方
料理・飲み物プランの単価 × 人数(上限)
室料会場の時間あたりの室料 × 利用時間
機材要望に書かれた機材の料金の合計
サービス料(料理・飲み物+室料)× 設定のシートの率
消費税小計 × 設定のシートの率。端数は設定のシートの決まりで
合計小計+消費税

3回目の手順が作る返信の下書きは、次のような形になります(金額はワークフローが差し込んだもの)。

件名:ご宴会のお見積り(11月20日 懇親会 40名様)

〇〇株式会社 〇〇様

このたびはお問い合わせをいただき、ありがとうございます。
11月20日(木)18時30分からの懇親会、40名様でのご相談として、
次のプランをご提案いたします。

【ご提案1】立食ビュッフェ(飲み放題付き)
ご要望の「部署をまたいで話しやすい会に」に合わせ、席を固定しない立食を
1つ目にいたしました。ご予算の1名様5,000円の範囲に収まります。
お見積り合計:{quote_total_1}(サービス料・消費税込み)

【ご提案2】着席の会席(飲み放題付き)
ご年配の方が多い場合に向けた、着席のプランです。ご予算を超えます。
お見積り合計:{quote_total_2}(サービス料・消費税込み)

会場の空き状況を確認のうえ、改めてご連絡いたします。
金額はご人数により変わります。
お料理の制限につきましては、担当よりご確認いたします。

1件の返信に提案は2つまでにしています。 3つ以上並べると、相談者がどれを選べばよいか迷い、比べるための質問が返ってきて、やり取りが1往復増えます。 2つ目を予算の外に置くときは、超える理由を1文で添えます。

見積書の書式の差し込み項目は、{{plan_name}} のように二重の波かっこで囲みます。 Google Docs の Create Document From Template は、空白と記号を含まない名前でないと差し込みを認識しないとされているので、{{料理 小計}} のような名前は使わず、英字の名前にそろえます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
問い合わせフォームWebhooks by Zapier(Catch Hook)送信のたびに相談を受け取る
プランと料金表Google Sheets(Lookup Spreadsheet Row)単価・最少人数・室料・率を引く
AI by ZapierZap の手順(3回)条件の取り出し、候補の選択、返信の文案
FormatterSpreadsheet-Style Formula金額の計算
見積書の書式Google Docs(Create Document From Template)見積の下書きを作る
返信Gmail(Create Draft)相談者あての返信の下書きを作る

返信は Create Draft で下書きにし、送信はしません。 下書きには見積の下書きへのリンクを本文に入れ、担当が空きを確かめて内容を直し、PDFにしてから添付して送ります。 送る前に人の目が入らない形にすると、空いていない日の見積が届きます。

Google の高度な保護機能(Advanced Protection Program)を有効にしているアカウントでは、Zapier の Gmail は使えません。 宴会営業の共有アドレスの設定を先に確かめます。

Step9

人が確認する

  1. 会場の空きを確かめる … 予約台帳で第1・第2希望の日時を見て、空いていなければ日付の案を書き足します
  2. プランの候補と理由を読む … 用途に合っているかを確かめ、合わなければ候補を差し替えて計算をやり直します
  3. 金額を見る … 人数の幅、室料の時間、機材の有無を相談の文面と見比べます
  4. 固定の3つの文が入っているかを見る … 空き、人数による変動、料理の制限
  5. 送る … 見積をPDFにして添付し、担当の名前で送ります

1番目を省かないでください。 空きの確認はこの構成が唯一自動にしていない手順で、ここを飛ばすと、返信の早さがそのまま取り消しの連絡の早さになります。

目標は、150件をならして1件12分です。 条件のそろった相談は空きを見て下書きを読み、送るまでで10分前後、候補の差し替えや聞き返しが要る相談はそれより長くかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
人数か日付が書かれていない見積を作らず、聞き返す事項だけの返信の下書きにする
人数がどのプランの最少人数にも届かない候補なし。少人数向けの会議室プランの案内を担当が書く
人数がどの会場の収容人数も超える候補なし。担当へ回す
AIが料金表に無い記号を返した検索が空振り。見積を作らず担当へ
婚礼・宿泊を伴う団体out_of_scope。担当の課へ転送する
料理の制限が書かれているneeds_kitchen_check。返信には確認する旨だけを書く
曜日と日付が合わない聞き返す事項に入れる
同じ相談が二度届く24時間以内の同じ内容は下書きを作らない
AI by Zapier が応答しない下書きを作らず、相談をそのまま担当へ通知する

上から2行目と3行目は、料金表の作り方で減らせます。 少人数向けと大人数向けのプランを表に足せば、候補なしで担当へ回る件の多くが、下書きまで進むようになります。

Step11

記録を残す

  • 相談の全文と、受け取った日時
  • 1回目の手順が取り出した条件と、書かれていなかった項目
  • 2回目の手順が選んだプランの記号と理由
  • 計算に使った単価・室料・率と、計算の結果
  • 担当が直した内容(候補の差し替え、金額の修正)と、送った日時
  • その相談が予約に進んだか(後日、担当が受付の一覧に記入)

4つ目を残すのは、料金表を改定したときのためです。 改定の前に出した見積の問い合わせが来たとき、どの単価で計算したかが残っていないと説明ができません。

見積の下書きの文書は、相談ごとに1つのフォルダへ作り、ファイル名に受付の日付と団体名を入れます。 担当が送るときにPDFにしたものも同じフォルダに置けば、下書きと送った版の違いを後から見比べられます。

最後の行は、プランの説明を直す材料になります。 AIが選んだ候補のままで予約に進んだ割合と、差し替えた候補で進んだ割合を比べ、差し替えの多いプランから説明の文を直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:相談を手でAIの画面に貼り、プランの候補と理由を出させる / 1件ごとの候補の選択
半自動化:上記+Zapier でフォームの送信から計算・見積の下書き・返信の下書きまで動かす / 条件の取り出しから下書きまで
本格構成:上記+予約台帳と連携して空きを引き、返信の文案に空いている日時の候補を入れる / 空きの確認の下準備まで

最小構成では、見積の計算と書式への転記が残ります。 1件32分のうち、短くなるのはプランを選ぶ時間だけです。 半自動化で1件12分になり、この段階が本記事の想定です。 計算と転記と返信の文面が自動になり、残るのは空きの確認と下書きの確かめです。本格構成では空きの確認の下準備まで進められますが、予約台帳の製品が外部とつながる仕組みを持っているかで、作り込みの量が大きく変わります。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の3か月で、候補を差し替えた件の傾向と、候補なしで回った件の型が分かります。料金表とプランの説明を整えてから先へ進みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
32 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  150件 × 32分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 150件 × 12分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
50h
削減率
63%
年間削減時間
600h
年間金額換算(時間単価2,800円)
168万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 宴会場と会議室を持つシティホテル・ビジネスホテル・旅館で、法人の会議、懇親会、研修、同窓会、法要の会食などの相談をWebのフォームで月に百件以上受けている場合。料理と飲み物のプラン、室料、機材の料金が表で決まっており、見積をその表から手で組み立てている場合。問い合わせへの初回の返信に半日から1日かかり、その間に他の会場に決められてしまうことがある場合。Zapier の有料プランと Google のスプレッドシート・ドキュメントを使える場合。
向いていない
  1. 宴会の大半が婚礼で、相談の初回から対面の打合せになる場合。プランの料金が決まっておらず、毎回個別に原価から組み立てている場合。相談の件数が月に数十件以下の場合。なお、会場の空きの確定、値引きの判断、料理のアレルギーへの対応の可否は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた相談から20件を選ぶ(人数が書かれていなかったものと、予算が厳しかったものを入れる)
  2. 氏名・会社名・連絡先を伏せる
  3. 手元のAIサービスの画面に、プランの説明の文書と第7章の指示、相談を1件ずつ貼り付ける
  4. 出てきた候補と理由を、当時担当が提案したプランと並べる
  5. 候補が違ったものについて、どちらの提案がよかったかを課内で話し合う

金額はこの段階では計算させません。 確かめたいのは、プランの説明の文書だけで、担当者と同じ選び方ができるかです。

出てきた内容判断
当時の提案とほぼ同じ候補が出たZapier の Zap を組む段階に進む
予算に収まる最も高いプランばかり選ぶプランの説明に、用途との合い方が書かれていない。説明の文を足す
金額を書き足した指示の「書かない」を強める
課内でも提案が割れた(c) の問題が見えた。 選び方を先にそろえる

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
返信の文案にAIが計算した金額が載る金額は変数で差し込み、「それ以外の数字を書かない」と指示する
空いていない日の見積が届く返信は下書きまで。空きの確認を担当の手順として残す
予算に収まる最も高いプランばかり選ぶプランの説明に、用途との合い方を書く
人数の幅の下限で計算して、後で上がる上限で計算し、幅があったことを記録する
書式の差し込みが効かない差し込み項目の名前から空白と記号を除き、二重の波かっこで囲む
料金表に無い記号で検索が空振りする指示で禁じ、空振りは担当へ回す
サービス料の率が式の中に散らばる設定のシートに1か所だけ置く
料理の制限への対応を約束してしまう指示で禁じ、返信には確認する旨の固定の文を入れる
AI by Zapier の段階を既定のままにしている3回使うので、手順ごとに足りる段階を選ぶ
婚礼の相談まで見積を作る1回目の手順で振り分け、担当の課へ転送する

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも相談者に誤った約束をしてしまう形で現れます。金額は料金表から、空きは担当から、という分け方を崩さないでください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 相談者の氏名・会社名・連絡先、宴会の日時と人数と予算、要望の中に書かれる参加者の食事の制限やアレルギー、法要であれば故人の名前です。あわせて、ホテルの料金表とプランの原価に近い情報も扱います。

  1. AIに渡す範囲を、提案に必要な項目までに限る … 候補を選ぶのに、氏名と連絡先は要りません。2回目と3回目の手順には、条件と要望だけを渡します
  2. 返信を自動で送らない … 出すのは下書きまでです。空きと金額の誤りは、ホテルの信用に直接ひびきます
  3. アレルギーへの対応を約束しない … 対応できるかは調理場が決めることです。この構成は、要望に書かれていたという事実を担当に知らせるだけです
  4. 値引きの判断をAIに委ねない … 予算を超える相談への対応は、担当と上長が決めます
  5. 利用するサービスのデータの扱いを確かめる … Zapier と AI by Zapier について、入力したデータの扱いと保存の期間を確かめ、社内の規程に沿って使えるかを判断してください
  6. 料金表の社外秘の列をナレッジに入れない … ナレッジのソースに渡すのはプランの説明だけにし、原価や仕入れの列は渡しません

誤りが起きた場合のリスクは、空いていない日の見積を送ることと、料金表と違う金額を送ることの2つです。 前者は担当の空き確認で、後者は計算をAIに任せないことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:プランの説明を文にする

課内の担当者が、プランをどういう相談に勧めているかを書き出し、プランごとに「向いている用途」「向いていない用途」「注意点」を数行ずつにまとめます。

2週目:20件で試す

先月の相談から20件を選び、伏せたうえで手元のAIサービスに候補を選ばせます。当時の提案と比べ、予算に収まる最も高いプランばかり選んでいないかを見ます。

3週目:料金表と書式を整える

プランの記号、最少人数、会場の収容人数、サービス料と消費税の率、端数の扱いを1つのスプレッドシートにまとめます。見積書の書式の差し込み項目を、英字の名前に直します。

4週目:フォームから見積の下書きまでをつなぐ

Zapier で Catch Hook、AI by Zapier、料金表の検索、Formatter の計算、見積書の下書きまでを組みます。この時点では返信の下書きを作らず、見積の下書きの金額を担当が手で計算したものと突き合わせます。

2か月目: 返信の下書きを足し、担当が直した内容を毎週見ます。3か月目以降: 差し替えの多いプランから説明の文を直します。初回の返信が相談の翌朝までに出せるようになり、確認の時間が1件12分前後で安定した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
AI by Zapier が Zap に生成AIの手順を足す組み込みの道具であること。Professional・Team・Enterprise で使えること。Standard(1倍)・Advanced(3倍)・Premium(5倍、既定)の段階があること。出力フィールドを定義できること。1つの手順にナレッジのソースを最大20まで付けられることZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-07
Catch Hook が本文を解析してフィールドに分けること。Webhook のトリガーが Free プランで使えないことZapier: Trigger Zaps from webhooks2026-10-07
Lookup Spreadsheet Row で検索列と値を指定して行を探せること。見つからないときの動きを決められることZapier: Find and update spreadsheet rows in Google Sheets2026-10-07
Formatter の Spreadsheet-Style Formula で、前の手順の値を差し込んだ式を計算できること。比べる式の結果が true/false で返ること。Professional 以上で使えることZapier: Use spreadsheet-style formulas in Zaps2026-10-07
Google Docs の Create Document From Template が、書式の差し込み項目を置き換えて新しい文書を作ること。差し込み項目は二重の波かっこで囲み、空白と記号を除く必要があることZapier: How to get started with Google Docs on Zapier2026-10-07
Gmail の Create Draft などのアクションと、新着メールのトリガーが Polling であること。Advanced Protection Program が有効なアカウントでは使えないことZapier: How to get started with Gmail on Zapier2026-10-07
Looping by Zapier では、繰り返しの手順より後の手順がすべて回数分動くことZapier: Looping by Zapier2026-10-07

会場の空き、値引き、料理の制限への対応は、ホテルの担当と調理場が判断してください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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