Media > AI活用ユースケース > 法務 > 商標出願の指定商品・役務の書き方を、類似商品・役務審査基準と過去の出願の表示に照らして出願前に校正し、不明確な表示と区分の誤りを挙げる

商標出願の指定商品・役務の書き方を、類似商品・役務審査基準と過去の出願の表示に照らして出願前に校正し、不明確な表示と区分の誤りを挙げる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

商標出願の前に、指定商品・指定役務の案を1項目ずつ類似商品・役務審査基準と事務所の過去の出願の表示に照らします。区分の誤り、不明確な表示の恐れ、類似群コードの付け漏れを挙げ、直し方の候補を添えた校正表にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
士業/小売/製造
対象部門
法務/知財
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
21h/月
想定削減
65%
年間削減
468h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 商標担当が、依頼者とのやり取りから指定商品・指定役務の案を作る
  2. 案の各項目について、基準の Excel 版で表示を検索し、区分と類似群コードを確かめる
  3. 基準に無い表示は、J-PlatPat の商品・役務名検索で、審査で採用された表示を探す
  4. それでも見つからない表示は、事務所の過去の出願から似た表示を探す
  5. 区分の誤り、不明確な表示の恐れ、類似群コードの付け漏れをメモにする
  6. 弁理士がメモと案を読み、直し方を決めて依頼者に確認する
導入後(After)
  1. 人商標担当が指定商品・指定役務の案を所定の様式で作り、案件管理システムの状態を「表示確認待ち」にする
  2. 自動校正のプログラムが案を読み、項目ごとに区切って表記を揃える
  3. 自動基準の参照表と完全一致する項目に、区分と類似群コードを付けて「基準どおり」とする
  4. 自動一致しない項目について、基準の参照表と過去の出願の表示から、似た表示の候補を集める
  5. 自動Claude API が、一致しない項目ごとに区分の誤り・不明確な表示の恐れを判定し、集めた候補の中から直し方を選ぶ
  6. 自動判定を規則でまとめ、校正表を作って案件に添付し、弁理士に知らせる
  7. 人弁理士が校正表を読み、直し方を決めて依頼者に確認する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 商標担当が、依頼者とのやり取りから指定商品・指定役務の案を作る
  2. 案の各項目について、基準の Excel 版で表示を検索し、区分と類似群コードを確かめる
  3. 基準に無い表示は、J-PlatPat の商品・役務名検索で、審査で採用された表示を探す
  4. それでも見つからない表示は、事務所の過去の出願から似た表示を探す
  5. 区分の誤り、不明確な表示の恐れ、類似群コードの付け漏れをメモにする
  6. 弁理士がメモと案を読み、直し方を決めて依頼者に確認する

(a)1項目ずつの検索に時間がかかる。 15項目の案なら15回、基準を検索します。基準どおりの表示ならすぐ終わりますが、案の半分近くは依頼者の言葉が残っていて、3番と4番まで進みます。

(b)基準に無い表示の扱いが、担当の経験頼み。 「この表示は過去に通った」「この書き方は不明確とされた」という知識は、ベテランの弁理士の記憶にあります。新しく入った商標担当は、それを知らずに案を作ります。

(c)区分の誤りが、拒絶理由の通知で初めて分かる。 用途が違うと区分が変わる商品があります。依頼者の言葉のまま区分を付けると、通知を受けてから補正することになります。

(d)版の違いを見落とす。 過去の出願を参考にするとき、その出願がどの版の基準で作られたかを確かめずに表示を写すと、今の版では区分が違う表示を持ち込みます。

  1. 【人】 商標担当が指定商品・指定役務の案を所定の様式で作り、案件管理システムの状態を「表示確認待ち」にする
  2. 【自動】 校正のプログラムが案を読み、項目ごとに区切って表記を揃える
  3. 【自動】 基準の参照表と完全一致する項目に、区分と類似群コードを付けて「基準どおり」とする
  4. 【自動】 一致しない項目について、基準の参照表と過去の出願の表示から、似た表示の候補を集める
  5. 【自動】 Claude API が、一致しない項目ごとに区分の誤り・不明確な表示の恐れを判定し、集めた候補の中から直し方を選ぶ
  6. 【自動】 判定を規則でまとめ、校正表を作って案件に添付し、弁理士に知らせる
  7. 【人】 弁理士が校正表を読み、直し方を決めて依頼者に確認する

3番目が、この設計の分かれ目です。 基準と一致する項目はAIに見せません。照合のプログラムで足りる項目にAIの判断を入れると、判断の根拠が「AIがそう言った」になります。 一致した項目の根拠は、基準の行そのものです。

7番目を弁理士に残すのは、指定商品の選び方が権利の範囲を決めるからです。 直し方の候補が基準に載った表示でも、それで依頼者の使いたい商品が覆えるかは、依頼者の事業を知っている弁理士にしか判断できません。

02今回想定するシステム構成

構成図
指定商品・指定役務の案(所定の様式)
   ▼【トリガー】案件管理システムの状態が「表示確認待ち」
校正のプログラム(Python)
   ├──▶ 項目の区切り、表記の揃え
   ├──▶ 基準の参照表と完全一致 → 「基準どおり」(区分・類似群コード)
   ├──▶ 一致しない項目 → 参照表と過去の出願の表示から候補を集める
   ▼
Claude API ── 一致しない項目ごとの判定
   │   ① 区分の誤りの恐れ   ② 不明確な表示の恐れ
   │   ③ 候補の中からの直し方   ④ 類似群コード
   ▼
校正のプログラム ── 規則でまとめ、校正表(区分・判定・候補・根拠)
   ▼
【人】弁理士が直し方を決め、依頼者に確認
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(基準に無い表示の判定と、候補からの直し方の選択)OpenAI API、Gemini API
連携Python(案の読み込み、参照表との照合、候補の収集、校正表の作成)Google Apps Script
参照表類似商品・役務審査基準の Excel 版を取り込んだ表社内のデータベース
案件の管理事務所の案件管理システム共有フォルダと案件の一覧表

新しく作るのは、校正のプログラムと、3つの参照表です。 1つ目は類似商品・役務審査基準の参照表、2つ目は過去の出願の表示の一覧、3つ目は事務所が受けた拒絶理由の通知のうち、表示が不明確とされた表示の一覧です。

土台になるのは、特許庁が公表している類似商品・役務審査基準です。 類似関係にあると推定する商品・役務をグループにまとめ、各グループに検索のためのコードを付けたもので、審査官の統一的な基準として使われています。国際分類第13-2026版に対応したものが2026年1月1日から適用され、Excel 版がダウンロードできます。 2026年2月20日には正誤表が出て、訂正を反映した版に差し替えられています。参照表は、この Excel 版から作り、版と取り込んだ日を記録します。

類似群コードは、数字とアルファベットの組み合わせからなる5桁のコードです。 同じコードが付いた商品・役務は、原則として互いに類似すると推定されます。同じコードは同じ区分の中だけでなく、他の区分にも多くあります。 校正表では、区分とコードを並べて示し、弁理士が先行商標の調査に使える形にします。

判定の受け取り方は、Claude API の構造化出力です。 リクエストの output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを渡すと、返答がスキーマに沿ったJSONになります。判定の値を enum で固定できるので、規則によるまとめをプログラムで書けます。 ただし enum の文字列は大文字・小文字が保証されないとされているため、値は小文字の英字にし、比較は大文字・小文字を区別しない形にします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

案件管理システムで、案件の状態が「表示確認待ち」になったことを起点にします。 校正のプログラムが15分ごとに案件管理システムの一覧を見て、状態の変わった案件を拾います。依頼者と案を詰めている途中で動かさないよう、商標担当が状態を変えたときだけ動かします。

同じ案件で案が直されたら、もう一度動かします。 弁理士の指摘で案を直した商標担当が、状態を「表示確認待ち」に戻すと、新しい案で校正表を作り直します。前回の校正表は消さず、版を分けて残します。

参照表の更新は、別に年1回と随時で動かします。 基準の新しい版が公表されたとき、正誤表が出たときに、Excel 版から参照表を作り直します。更新した日以降の案件は新しい参照表で校正し、古い参照表で校正した案件を一覧にして知らせます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
指定商品・指定役務の案区分と、区分ごとの表示の並び案件に添付された所定の様式
依頼者のメモ依頼者が使いたい商品・役務の説明案件管理システム
基準の参照表区分、類似群コード、商品・役務の表示、備考、版類似商品・役務審査基準の Excel 版
過去の出願の表示案件番号、出願日、版、区分、表示、類似群コード、審査の結果案件管理システムの書き出し
不明確とされた表示の一覧表示、区分、拒絶理由の通知の要旨、補正後の表示事務所の記録

質を決めるのは、下の2つです。 過去の出願の表示は、登録になったものと、表示を理由に拒絶理由の通知を受けたものを分けて持ちます。 区別しないと、通知を受けた表示を「過去に使った表示」として候補に挙げてしまいます。

依頼者のメモを入れるのは、用途で区分が変わる商品があるためです。 表示だけでは、どの用途の商品かが分からないことがあります。依頼者が何に使う商品と説明しているかを、判定の材料にします。

Step3

データの取得方法を決める

案は所定の様式(区分の列と表示の列を持つ表)で作ってもらいます。 文書の中に文章で書かれた案を読ませると、区切りの位置を誤ります。様式を決めることが、この構成のいちばん最初の作業です。

取るものどこから何に使うか
案の区分と表示案件に添付された様式校正の対象
依頼者のメモ案件管理システム用途の判断の材料
基準の行参照表(表示の完全一致、似た表示の検索)基準どおりかの照合と候補
過去の表示過去の出願の一覧(似た表示の検索)候補と、審査の結果
不明確とされた表示事務所の記録注意すべき書き方の照合

似た表示の検索は、AIではなくプログラムで行います。 文字の重なりで、参照表と過去の表示から上位10件ずつを取ります。AIに基準全体を渡して探させると、基準に無い表示を「基準にある」と答えることがあります。 候補の行をプログラムで取り出し、AIにはその中から選ばせます。

基準の各区分の行は、区分ごとに固定の文書としてAIに渡し、プロンプトキャッシュを使います。 同じ区分の案件が続くと、同じ行を毎回送ることになるためです。キャッシュは5分が既定で、1時間に延ばす指定もでき、読み込みは通常の入力の1割の料金です。 変わらない部分を先に置き、案件ごとに変わる案を後ろに置きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 区切り … 表示の並びを、全角の空白、読点、改行で項目に分けます。括弧の中の区切りでは分けません
  2. 表記の揃え … 全角・半角、長音の記号、カタカナの小書きを揃えます。揃えた表記と元の表記の両方を持ちます
  3. 完全一致の照合 … 揃えた表記で参照表を引き、区分も一致すれば「基準どおり」とします
  4. 区分の違う一致 … 表示は参照表にあるが区分が違うものは、AIに見せずに「区分の誤り」として印を付けます
  5. 注意語の照合 … 事務所の不明確とされた表示の一覧と照らし、一致するものに印を付けます
  6. 候補の収集 … 一致しない項目ごとに、参照表と過去の表示から似た表示を上位10件ずつ取ります。過去の表示は、今の版の参照表に同じ表示があるものだけを残します

4番目をAIに見せないのは、根拠が参照表の行そのものだからです。 表示が基準のある区分に載っているのに、案では別の区分にしている、という事実はプログラムで言えます。

6番目の「今の版にあるものだけ」が、版の違いを持ち込まないための仕掛けです。 過去の出願で通った表示でも、今の版の基準で区分が変わっていれば、候補から外すか、今の区分を添えて出します。

2番目で元の表記を残すのは、校正表に依頼者の書いたとおりの表示を載せるためです。 揃えた表記だけを載せると、弁理士がどこを直したのかを依頼者に説明するときに、元の表示と見比べられません。照合には揃えた表記を使い、表示には元の表記を使います。

Step5

AIに処理させる

させるのは、基準と一致しない項目ごとに、次の4つを判定することだけです。

判定すること根拠にするもの判断できないとき
区分が合っているか候補の行の区分、依頼者のメモの用途uncertain
表示で商品・役務が特定できるか表示の語、注意語の一覧uncertain
直し方の候補集めた候補の行の中から選ぶ「候補なし」
類似群コード選んだ候補の行のコード空欄

右端の列で、判断できないときの行き先を決めておきます。 uncertain は、弁理士が見るべき項目という意味で、誤りという意味ではありません。 依頼者の商品が新しく、基準にまだ近い表示が無いことはよくあります。

させないこと理由
候補に無い表示を作る作った表示が、それ自体不明確な表示の候補になる
指定商品の追加・削除の提案権利の範囲の判断で、弁理士と依頼者が決める
類似群コードを推測で付ける候補の行に無いコードを付けない
「登録できる」「拒絶されない」と書く審査の結果の予測はしない
依頼者の商標の名前を見る校正には要らない。渡さない

1行目が、最も起きやすい失敗です。 「プロテインバー」の候補が見つからないとき、AIはそれらしい表示を自分で作ります。指示で禁じたうえで、出力の候補には参照表の行の番号か過去の案件番号を必ず付けさせ、番号の無い候補はプログラムで消します。

判定の型を3つ挙げます。 項目は説明のための架空の例で、実際の区分は参照表で確かめます。

案の項目の型AIの判定校正表での扱い
原材料や形態が表示から分からない食品の名前unclear。候補の行の中から、内容が特定できる表示を挙げる要修正。弁理士が依頼者の商品に合う表示を選ぶ
似た表示の候補の行が、案とは別の区分に載っているmismatch。その候補の行と区分を示す要修正。区分の付け直しを弁理士が判断する
内容は特定できるが、候補の行の表現と違うサービスuncertain要確認。基準の表示に寄せるかを弁理士が決める

2行目でも、区分の付け直しそのものはAIに決めさせません。 候補の行が別の区分に載っているという事実を示すところまでです。

Step6

指示内容を固定する

あなたは特許事務所の商標担当です。商標出願の指定商品・指定役務の案のうち、
類似商品・役務審査基準と一致しなかった項目を、1項目ずつ点検してください。

【点検すること】
1. class_check:案の区分が、候補の行と依頼者の説明から見て合っているか
   - ok ........ 候補の行の区分と一致し、用途とも合う
   - mismatch .. 候補の行では別の区分に載っている、または用途から別の区分と考えられる
   - uncertain . 判断できない
2. clarity_check:表示で商品・役務の内容が特定できるか
   - ok ........ 候補の行と同程度に特定できる
   - unclear ... 用途・材質・提供の内容が分からない、包括的すぎる、
                 注意語の一覧の表示と同じ書き方をしている
   - uncertain . 判断できない
3. suggestions:直し方の候補を、【候補の行】の中からだけ選ぶ。最大3つ。

【厳守事項】
- 直し方の候補は、【候補の行】に書かれた表示をそのまま写してください。
  表示を組み合わせたり、言葉を足したり、自分で作ったりしないでください。
  適切な候補が無ければ、suggestions を空にしてください。
- 各候補には、候補の行の source_id を必ず付けてください。
- 類似群コードは、選んだ候補の行に書かれたコードだけを入れてください。
- 迷ったときは ok を選ばず、uncertain にしてください。
- 指定商品を足すこと、減らすことは提案しないでください。
- 登録できるか、拒絶されるかについては書かないでください。
- reason には、判断の根拠を1〜2文で書いてください。

【案の項目】{item}(案の区分:第{class}類)
【依頼者の説明】{client_note}
【候補の行】{candidates}
【注意語の一覧】{caution_terms}

「表示を組み合わせない」を明記しないと、2つの候補をつないだ表示を作ります。 「サプリメント」と「菓子」の候補から「サプリメント菓子」を作る、といった形です。組み合わせた表示は基準のどの行にも無く、それ自体が確かめ直しの対象になります。

「迷ったときは ok を選ばない」は、弁理士が見る範囲を決める指示です。 ok の項目は、弁理士が一覧で流し見るだけになります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "item_id": "",
  "original": "",
  "proposed_class": 0,
  "class_check": "ok | mismatch | uncertain",
  "clarity_check": "ok | unclear | uncertain",
  "suggestions": [
    { "text": "", "class": 0, "similar_group_code": "", "source_id": "" }
  ],
  "reason": ""
}

1つ目の理由は、AIの判定とプログラムの判定を同じ表に並べられることです。 前処理で「基準どおり」「区分の誤り」とした項目も、同じ形の行にして校正表に入れます。どの行がAIの判定かは、source_id と判定の出どころの列で分かるようにします。

2つ目は、校正表の判定を規則で決められることです。

校正表の判定条件
基準どおり前処理で参照表と完全一致
要修正class_check が mismatch、または clarity_check が unclear
要確認どちらかが uncertain、または suggestions が空
問題なし(参考表示)両方 ok で、候補の行が過去の登録の表示

3つ目は、source_id で根拠をたどれることです。 弁理士は、候補の表示が基準のどの行か、どの過去の案件かを、校正表から直接開けます。

校正表は、案件ごとに次のような形で弁理士に渡します。

【案件】T-2026-0912 第29類・第30類 参照表:13-2026版(2026-02-20 正誤反映)

【要修正】
 30類「プロテインバー」  clarity: unclear
   理由:原材料・形態が表示から特定できない
   候補:(参照表の行・過去の登録の表示から最大3つ。source_id 付き)

【要確認】
 29類「〇〇加工食品」  class: uncertain
   理由:依頼者の説明では菓子として売るとあり、区分の判断が要る
   候補:なし → J-PlatPat で確認

【基準どおり】 12項目(区分・類似群コードは別表)

見出しを判定ごとに分け、「要修正」と「要確認」を上に置きます。 「基準どおり」は件数だけを示し、区分とコードは別表にします。弁理士が上から読んで、時間をかけるべき項目から順に目に入る並びにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件管理システム一覧の読み取り、ファイルの添付状態の変わった案件を拾い、校正表を添付する
参照表・過去の表示プログラムからの読み取り照合と候補の収集
Claude APIAPI呼び出し(構造化出力、プロンプトキャッシュ)一致しない項目の判定
弁理士への連絡案件管理システムの通知校正表ができたことを知らせる

案件管理システムの指定商品の欄には書き込みません。 校正表を添付し、状態を「弁理士確認待ち」に変えるだけです。案を直すのは、弁理士の判断を受けた商標担当です。 書き込みを足すと、弁理士の見ていない表示が出願書類に入る経路ができます。

特許庁への出願のシステムとはつなぎません。 出願書類の作成と提出は、従来どおりの手順で人が行います。

Step9

人が確認する

校正表の全項目を、弁理士が判定ごとに見ます。

  1. 「要修正」を先に見る … 区分の誤りと不明確な表示です。候補の表示で、依頼者の使いたい商品が覆えるかを判断します
  2. 「要確認」を見る … 基準に近い表示が無い項目です。J-PlatPat の商品・役務名検索で、審査で採用された表示を弁理士が探します
  3. 「問題なし」と「基準どおり」を流し見る … 区分とコードの並びに違和感が無いかだけを見ます
  4. 直し方を決め、依頼者に確認する … 表示を変えると権利の範囲が変わることを、依頼者に説明します
  5. 判定を覆したら記録する … どの項目を、どう判断したかを残します

2番目が、AIに任せられない部分です。 基準にも事務所の過去の表示にも無い商品は、審査で採用された表示を探すか、商品の内容を具体的に書き下すかを、弁理士が決めます。

5番目の記録は、AIの判定の質を見る材料になります。 弁理士が unclear を ok に覆すことが多い区分は、候補の拾い方か注意語の一覧に問題があります。覆した理由を1行で残してもらうと、月に1回の見直しで直す場所が分かります。

目標は、90件をならして1件14分です。 基準どおりの項目が多い案件は数分で終わり、新しい商品の多い案件は2番目に時間がかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
案が所定の様式でない校正せず、商標担当に様式での作り直しを依頼する
区分の書かれていない項目参照表で区分を引き、候補として出す。「要確認」にする
1つの案件の項目が100を超える区分ごとに分けて送る
候補が1件も集まらないAIに見せず「要確認」にする
AIの候補に source_id が無いその候補をプログラムで消す
参照表の更新の前後をまたぐ案件新しい参照表で校正し直し、前の校正表との差を示す
英語の表示で出す外国の出願この構成の対象外。弁理士が個別に扱う
Claude API が応答しない状態を「表示確認待ち」のまま残し、次の回で再試行する
返ったJSONの判定の値が想定外大文字・小文字を区別せずに比べ、それでも合わなければ「要確認」にする
同じ表示が案の中に2回ある重複として印を付け、弁理士に知らせる

上から6行目は、毎年1月に必ず起きます。 新しい版の基準が適用される前に作った案を、適用後に出願することがあるためです。前の校正表との差を示すと、版の変更で区分が変わった項目だけを弁理士が見られます。

Step11

記録を残す

  • 案のファイルと、校正に使った案の版
  • 校正に使った参照表の版と取り込んだ日
  • 項目ごとの判定(前処理の結果とAIの出力の両方)と、集めた候補の行
  • 弁理士が決めた直し方と、判定を覆した記録
  • 出願後の審査の結果(表示を理由とする拒絶理由の通知の有無)

2つ目の参照表の版が、後から最も必要になる記録です。 拒絶理由の通知を受けたときに、校正の時点でどの版の基準を見ていたかが分からないと、校正の誤りか、版の変更かを切り分けられません。

最後の行は、不明確とされた表示の一覧を育てる材料になります。 通知を受けた表示と補正後の表示を一覧に足すと、次の案件の前処理で印が付きます。

04実装レベルの3段階

最小構成:項目と候補を手でAIの画面に貼り、判定させる / 1項目ごとの判定
半自動化:上記+プログラムで参照表との照合と候補の収集を自動にし、校正表を作る / 照合、候補の収集、判定、校正表
本格構成:上記+案件管理システムの状態を起点に動かし、参照表の版の管理と、審査の結果の取り込みまで行う / 校正の全体と、版の管理、注意語の一覧の更新

本記事の想定は本格構成です。 月90件を扱う事務所では、参照表の版の管理を人が覚えておくのが難しく、毎年1月の切り替えで校正の基準がずれます。 半自動化で、照合と候補の収集の時間が減ります。 本格構成で、版の切り替えと、審査の結果を注意語の一覧に戻す仕組みが加わります。審査の結果を戻すところまで作ると、事務所の経験が一覧として残り、新しい商標担当も同じ注意を受けられます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
90 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
14 分
現在  90件 × 40分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 90件 × 14分 ÷ 60 = 21 時間/月
月間削減時間
39h
削減率
65%
年間削減時間
468h
年間金額換算(時間単価6,000円)
281万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 商標の出願を月に数十件以上扱う特許事務所・法律事務所、または社内で商標の出願を行う企業の知財部門。指定商品・指定役務の案を依頼者や事業部門と詰めた後、出願の前に弁理士や商標担当が1項目ずつ類似商品・役務審査基準と照らしている場合。表示が不明確とされた拒絶理由の通知を受けた経験があり、その記録を残している場合。
向いていない
  1. 商標の出願が月に数件で、担当の弁理士が全項目を丁寧に確かめられる場合。指定商品・指定役務を、類似商品・役務審査基準に載っている表示だけから選ぶ運用が徹底できている場合。なお、どの商品・役務を指定するかという権利範囲の判断と、表示が明確かどうかの最終的な判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に表示を理由とする拒絶理由の通知を受けた案件から5件、通知を受けなかった案件から10件を選ぶ
  2. それぞれの案のうち、基準と一致しなかった項目を書き出す
  3. 項目ごとに、基準の Excel 版から似た表示を手で10件ほど拾う
  4. 手元のAIサービスの画面に、項目と依頼者の説明と拾った表示を貼り付け、「この表示が区分に合っているか、内容が特定できるかを判定し、直し方の候補を貼り付けた表示の中からだけ選んでください。表示を作らないでください」と指示する
  5. 結果を、実際の審査の結果と並べる

15件は必ずやってください。 プログラムを組む前に、「通知を受けた表示に印が付くか」と「候補に無い表示を作らないか」を確かめます。

出てきた内容判断
通知を受けた表示に unclear か mismatch が付くプログラムの組み立てに進む
候補に無い表示を作る指示と、番号の無い候補を消す仕掛けで直る。構成は有効
通知を受けなかった表示にも多く印が付く候補の拾い方を見直す。 似た表示が拾えていないことが多い

3行目が出たら、手で拾った10件の候補を見直してください。 似た表示が候補に入っていないと、AIは比べる相手が無く、迷って unclear か uncertain を付けます。AIの問題ではなく、候補の集め方の問題です。 本格構成でプログラムに任せる拾い方を、ここで決めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
候補に無い表示を作る候補の行からだけ選ばせ、source_id の無い候補を消す
2つの候補をつないだ表示を作る組み合わせを指示で禁じる
基準どおりの項目にまで指摘が付く完全一致の項目をAIに見せない
過去の表示から、今の版で区分の違う表示を持ち込む今の版の参照表にある表示だけを候補に残す
拒絶理由の通知を受けた表示を候補にする過去の表示を審査の結果で分けて持つ
正誤表の訂正が参照表に入っていない正誤表が出たら参照表を作り直し、版と日を記録する
類似群コードを推測で付ける候補の行のコードだけを使う
用途で区分が変わる商品を誤る依頼者の説明を入力に入れ、判断できなければ uncertain
案の区切りを誤る所定の様式で作ってもらう。括弧の中で分けない
enum の値の大文字・小文字がずれる値を小文字の英字にし、大文字・小文字を区別せずに比べる
弁理士の見ていない表示が出願に入る案件管理システムの指定商品の欄に書き込まない

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIに判断させる範囲を、基準で言えないところだけに絞れているかで決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 出願前の指定商品・指定役務の案と、依頼者の事業の説明です。出願前の情報は、依頼者がどの商品を出すかという未公表の事業の計画そのものです。

  1. AIに渡す範囲を、項目と候補と用途の説明までに限る … 依頼者の名前、商標そのもの、出願の予定日は渡しません。校正に要らない情報を外へ出しません
  2. 利用するサービスのデータの扱いを確かめる … 生成AIのAPIに送った内容がどう扱われるかを、利用規約とデータの取り扱いの条件で確かめ、依頼者との守秘の約束と矛盾しないことを確かめておきます
  3. この構成は弁理士の判断を代替しない … どの商品・役務を指定するか、表示が明確かの最終的な判断は弁理士が行います。校正表が出すのは、基準と照らした事実と、候補の中からの提案だけです
  4. 校正表をそのまま依頼者に送らない … 校正表は事務所の中の作業の記録です。依頼者には、弁理士が決めた直し方を説明します
  5. 参照表の出どころと版を明記する … 参照表が特許庁の公表した基準のどの版から作られたかを、校正表に必ず載せます

誤りが起きた場合のリスクは、不明確な表示や区分の誤りを見落として出願することと、基準に無い表示を正しいものとして依頼者に提案することの2つです。 前者は迷ったら uncertain に倒すことで、後者は候補の行からしか選ばせないことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:案の様式を決め、参照表を作る

区分の列と表示の列を持つ案の様式を決めます。あわせて、類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版対応〕の Excel 版から参照表を作り、版と取り込んだ日を記録します。

2週目:過去の表示を書き出す

過去3年分の出願の指定商品を、版と審査の結果を付けて書き出します。表示を理由とする拒絶理由の通知を受けたものは、補正後の表示と並べて「不明確とされた表示の一覧」にします。

3週目:15件で試す

通知を受けた案件5件と受けなかった案件10件で、手元のAIサービスに判定させます。候補に無い表示を作っていないかを最優先で見ます。

4週目:照合と候補の収集を作る

照合のプログラムで、完全一致の項目を通し、一致しない項目の候補を集めるところまで作ります。この時点では、AIに見せる前の候補の一覧を弁理士に見てもらい、拾い方を直します。

2か月目: Claude API の判定と校正表の作成を足し、弁理士が判定を覆した割合を数えます。3か月目以降: 案件管理システムとつなぎ、審査の結果を不明確とされた表示の一覧に戻す仕組みを作ります。次の1月に新しい版の基準への切り替えを、参照表の作り直しだけで終えられた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
類似商品・役務審査基準が、類似関係にあると推定する商品・役務をグループにまとめ検索のためのコードを付けたもので、審査官の統一的基準として用いられること。国際分類第13-2026版対応のものが令和8年1月1日から適用されること。Excel 版があること。令和8年2月20日に正誤表が出て訂正が反映されたこと特許庁: 類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版対応〕2026-10-07
類似群コードが数字とアルファベットの組み合わせからなる5桁のコードであること。同じコードの商品・役務は原則として類似と推定されること。同じコードが他の区分にも多く存在すること。J-PlatPat の商品・役務名検索で、類似商品・役務審査基準や審査において採用された商品・役務名を検索できること特許庁: 日本における「類似群コード」について2026-10-07
商標登録出願は商品・役務を指定して行い、その指定は政令で定める区分に従わなければならないこと(第6条)。その要件を満たさないときは拒絶の査定をすること(第15条第3号)。拒絶の査定の前に拒絶の理由を通知すること(第15条の2)e-Gov 法令API: 商標法2026-10-07
ニース分類が商標の登録のための商品・役務の国際分類であること。NCL(13-2026) が2026年1月1日に発効したこと。新しい版が3年ごとに、2013年からは毎年新しい版が発行されることWIPO: Nice Classification2026-10-07
output_config.format に type: "json_schema" を指定すると返答がスキーマに沿ったJSONになること。enum が使えること。enum の大文字・小文字が保証されず、大文字・小文字を区別せずに比べるよう推奨されていることClaude Docs: Structured outputs2026-10-07
プロンプトキャッシュの既定の有効期間が5分で1時間の指定もできること。読み込みが通常の入力の1割の料金であること(一部のモデルを除く)。変わらない部分を先に置くよう推奨されていることClaude Docs: Prompt caching2026-10-07

どの表示が明確かの最終的な判断と、指定商品・指定役務の選び方は、弁理士が行ってください。 本記事は特許庁・WIPO・e-Gov・Anthropic の公開している情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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