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自治体に国・都道府県から毎日届く通知・事務連絡を要約し、対象の事務・期限・求められている対応を一覧にして、担当課の候補を付けて回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

国・都道府県から毎日届く通知・事務連絡・照会を読み、対象の事務、回答や対応の期限、求められている対応を根拠の箇所付きで一覧にします。事務分掌の表から担当課の候補を付け、総務課の文書の担当が確かめて各課へ回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
介護/教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
分類・仕分け/要約
主な課題
人手が足りない/情報が見つからない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
要約
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
90h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
67%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 届いた通知を開き、文書管理システムで収受の番号を取る
  2. 鑑文と本文を読み、何の事務についての文書かを確かめる
  3. 回答や対応を求めているか、期限があるかを探す
  4. 事務分掌の表と過去の回付の記録を見て、回付先の課を決める
  5. 複数の課にまたがるものは、主となる課と関係する課を決め、課に問い合わせることもある
  6. 文書管理システムで回付し、期限のあるものは期限を書き添える
  7. 回付先の課から「うちではない」と戻ってきたものを、回付し直す
導入後(After)
  1. 人届いた通知を受け付け、収受の番号を取り、決まったフォルダに置く(これまでと同じ受け付け)
  2. 人AIに渡してよい文書かを、自団体の情報セキュリティポリシーの区分で確かめて印を付ける
  3. 自動1日3回の定時に処理が動き、印の付いた文書を読む
  4. 自動文書ごとに、文書の種類、対象の事務、求められている対応、期限を根拠の箇所付きで返す
  5. 自動事務分掌の表から担当課の候補を出し、過去の回付の記録と規則で照らす
  6. 自動期限の近い順、回答を求めるものを上にした一覧を作る
  7. 人文書の担当が一覧と原文を並べて確かめ、回付先を決めて文書管理システムで回付する
  8. 人担当課が一覧の要約と原文を読み、対応を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 届いた通知を開き、文書管理システムで収受の番号を取る
  2. 鑑文と本文を読み、何の事務についての文書かを確かめる
  3. 回答や対応を求めているか、期限があるかを探す
  4. 事務分掌の表と過去の回付の記録を見て、回付先の課を決める
  5. 複数の課にまたがるものは、主となる課と関係する課を決め、課に問い合わせることもある
  6. 文書管理システムで回付し、期限のあるものは期限を書き添える
  7. 回付先の課から「うちではない」と戻ってきたものを、回付し直す

(a)読んで回付先を決めるのに時間がかかる。 1件の文書に鑑文、本文、別紙、様式が付き、PDFで数十ページになることもあります。どの事務の話かを確かめるために、本文の中ほどまで読む必要がある文書が少なくありません。

(b)期限を見落とす。 期限は、鑑文の末尾、本文の「記」の後、別紙の様式の欄外など、文書によって書かれる場所が違います。都道府県の鑑文の期限と国の本文の期限が両方あると、遅いほうを書き添えてしまうことがあります。

(c)回付先が決まらない文書が溜まる。 新しい制度の通知や、複数の課にまたがる照会は、回付先を決めるのに課への問い合わせが要ります。問い合わせの返事を待つ間、文書は文書の担当の手元に残り、期限が近づきます。

(d)回付し直しが起きる。 7番目の「うちではない」は、月に数十件あります。回付し直すたびに、担当課の持ち時間が減ります。

  1. 【人】 届いた通知を受け付け、収受の番号を取り、決まったフォルダに置く(これまでと同じ受け付け)
  2. 【人】 AIに渡してよい文書かを、自団体の情報セキュリティポリシーの区分で確かめて印を付ける
  3. 【自動】 1日3回の定時に処理が動き、印の付いた文書を読む
  4. 【自動】 文書ごとに、文書の種類、対象の事務、求められている対応、期限を根拠の箇所付きで返す
  5. 【自動】 事務分掌の表から担当課の候補を出し、過去の回付の記録と規則で照らす
  6. 【自動】 期限の近い順、回答を求めるものを上にした一覧を作る
  7. 【人】 文書の担当が一覧と原文を並べて確かめ、回付先を決めて文書管理システムで回付する
  8. 【人】 担当課が一覧の要約と原文を読み、対応を決める

2番目が、この設計の入口です。 届く通知には、公表されている通知もあれば、個人に関わる照会や、取扱いに注意を要する文書もあります。AIに渡すかどうかを人が先に決め、渡さない文書はこれまでどおり読んで回します。 判断の基準は、自団体の情報セキュリティポリシーです。

7番目で、回付先を決めるのは人です。 AIの候補は事務分掌の表と文書の内容から出したもので、新しい制度や庁内の役割分担の変更は反映されていないことがあります。 文書の担当は候補と根拠を見て決め、候補と違う課に回したときは理由を残します。

02今回想定するシステム構成

構成図
国・都道府県 ── 通知・事務連絡・照会(メール、電子の文書)
   ▼ 文書の担当が受け付け、収受の番号を取る
【人】AIに渡してよい文書かの印
   ▼ 自団体で認められた経路で、処理用のフォルダへ
【トリガー】定時の実行(1日3回)
Python ── PDFの確認、文書の組(鑑文・本文・別紙)のまとめ
   ▼
Gemini API ── 文書の種類、対象の事務、求められている対応、期限(根拠の箇所付き)
   │           事務分掌の表から担当課の候補(最大3課)
   ▼
Python ── 過去の回付の記録との照合、期限の並べ替え、一覧の作成(規則)
   ▼
回付の一覧(表)
   ▼
【文書の担当が確認して回付】──▶ 文書管理システム ──▶ 担当課
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(文書の要約、期限と求められている対応の抽出、担当課の候補)Claude API、OpenAI API
連携Python(定時の実行、文書の組のまとめ、規則の照合、一覧の作成)Google Apps Script
保管共有フォルダ(処理用の文書、回付の一覧)既存の文書管理システムの添付

文書管理システムには、このプログラムから書き込みません。 回付は、文書の担当が一覧を見て文書管理システムで行います。このプログラムが作るのは一覧までです。

AIに渡す文書を置く場所と経路は、自団体のネットワークの構成によって変わります。 文書を受け付ける環境と、外部のAPIを呼べる環境が分かれている場合、文書を移す経路は自団体の情報セキュリティポリシーで認められたものに限ります。 この部分は、利用環境に応じた個別の設計が必要です。

文書を読む土台は、Gemini API の文書処理です。 PDFは50MBまたは1,000ページまで扱え、文字の情報だけでなく、表や図も画像として読みます。Gemini 3 のモデルでは、PDFに埋め込まれた文字は抽出してモデルに渡され、その文字の分のトークンは課金されないとされています。PDF以外のテキスト、Markdown、HTML、XML も渡せますが、表や書式は失われ、文字だけとして扱われます。

PDFの細かさは media_resolution で決めます。 公式のページは、PDFには medium を勧め、通常の文書では high にしても文字の読み取りはほとんど良くならないとしています。通知の大半は文字の文書なので、medium で足ります。

構造化出力は、いまの公式ページでは Interactions の書き方です。 /v1beta/interactions に、response_format として mime_type に application/json と schema を渡します。スキーマには enum、required、additionalProperties、日付の format などが使えますが、すべての JSON Schema の機能に対応しているわけではなく、大きすぎる・深すぎるスキーマは拒否されることがあるとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

1日3回の定時の実行を起点にします。 午前10時、午後1時、午後4時に、処理用のフォルダに置かれた印の付いた文書を拾います。届いた順に1件ずつ動かすのではなく、まとめて動かすのは、文書を移す経路が1日に数回の運用になっていることが多いためです。

午後4時の実行で、その日の回付をすべて終えられるようにします。 期限の近い照会は、その日のうちに担当課に届けば、担当課は翌朝から取りかかれます。午後4時以降に届いた文書は、翌朝10時の実行で拾います。

同じ文書の続報にも同じ処理を動かします。 「〇〇について(訂正)」「〇〇に関するQ&Aの追加」のように、前の通知に続く文書が届きます。件名と発出の番号から前の文書を探し、前の回付先を候補の先頭に置きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
通知の文書鑑文、本文、別紙、様式。発出の機関、日付、番号処理用のフォルダ(PDF)
収受の情報収受の番号、受け付けた日、届いた経路文書の担当が付けた印のファイル
事務分掌の表課ごとの所掌の事務(組織の規則の文言)と、その課がよく受ける通知の分野庁内の事務分掌の表
過去の回付の記録発出の機関・課、件名、回付先、回付し直しの有無文書管理システムから書き出したもの

質を決めるのは、事務分掌の表です。 組織の規則の文言は「〇〇に関すること」と抽象的で、それだけでは国の通知の件名と結びつきません。各課に、よく受ける通知の分野(介護報酬、地方税の電子申告、選挙の執行など)を数行ずつ書き足してもらうと、候補の精度が上がります。

過去の回付の記録は、AIには渡しません。 記録は規則で照らすために使います。AIに過去の記録を見せると、似た件名の過去の回付先に寄せて答え、文書の中身を読まなくなることがあります。 中身から出した候補と、過去の記録からの候補を、後で規則で並べます。

Step3

データの取得方法を決める

処理用のフォルダから、収受の番号ごとにPDFをまとめて読みます。

取るものどこから何に使うか
鑑文・本文・別紙収受の番号ごとのPDF要約、期限、求められている対応
発出の機関と番号鑑文の冒頭(AIが返す)続報の照合、過去の記録の照合
事務分掌の表庁内の表担当課の候補
過去の回付の記録書き出したファイル規則での照合

鑑文と本文は、まとめて1回で渡します。 都道府県の鑑文が付いた国の通知は、鑑文と本文で期限が違うことがあります。別々に渡すと、どちらの期限が自団体にとっての期限かを比べられません。 1つの収受の番号のファイルを、鑑文が先になるよう並べて渡します。

別紙が多い文書は、本文までを先に渡します。 数百ページの別紙(Q&Aの集、様式集)が付く文書は、本文で対象の事務と期限が分かります。別紙は、本文に「別紙のとおり回答」とあるときだけ、様式の部分を足して渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … PDFであることを確かめます。Word や Excel で届いたものはPDFにします
  2. 大きさの確認 … 50MBまたは1,000ページを超えるものは、本文と別紙に分けます
  3. 文書の組のまとめ … 収受の番号ごとに、鑑文・本文・別紙を並べます
  4. 印の確認 … AIに渡してよいという印が付いていない文書は、処理から外します
  5. 続報の候補の検索 … 件名の「(訂正)」「(追加)」「(再周知)」と発出の番号から、前の文書を探します

4番目は、機械の側でも必ず確かめます。 印の付け忘れの文書がフォルダに入っても、処理しないようにします。渡してよいかの判断を、フォルダに置いたという事実で代えません。

Excel の様式は、PDFにする前に様式であることを記録します。 照会の回答の様式は Excel で届くことが多く、PDFにすると表として読めますが、回答の様式であるという情報は、ファイルの種類のほうが確かです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、文書ごとに、何の事務について、何を求めていて、いつまでかを、文書のどこに書いてあるかを添えて返すことです。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
文書の種類回答・資料の提出を求める照会、制度や運用を知らせる通知、参考の送付、訂正・追加、から選ぶ決められなければ unclear
対象の事務文書が扱う事務を、本文の言葉で1〜2文にまとめる本文に事務が書かれていなければ unclear
求められている対応回答、資料の提出、周知、事務の変更、対応なし、から選び、本文の文を引く「御了知」「参考まで」は none
期限期限の日付と、何の期限か(回答・提出・施行・申請など)、どの文書に書かれていたか書かれていなければ not_stated。推測しない
担当課の候補事務分掌の表から最大3課、それぞれ根拠の文表に当てはまる課が無ければ no_match

期限の行がいちばん大事です。 期限は、どの文書(鑑文か本文か別紙か)の何ページに、何の期限として書かれていたかを返させます。都道府県の鑑文の回答の期限と、国の本文の施行の日付は、どちらも日付ですが意味が違います。何の期限かを取り違えると、施行の日付を回答の期限として書き添えることになります。

求められている対応は、本文の文を引かせます。 「〇月〇日までに別紙様式により回答願います」「貴管内市町村に周知願います」のように、対応を求める文をそのまま返させると、文書の担当は要約ではなく原文の一文で確かめられます。

させないこと理由
通知の解釈(自団体に当てはまるか)担当課が制度を踏まえて判断する
対応の要否の決定「対応なし」と書かれていても、担当課が決める
期限の推測(「通常は2週間程度」など)書かれていない期限を作ると、期限の管理が崩れる
照会への回答の下書き回答は担当課が事実を確かめて作る
担当課の決定候補まで。回付先は文書の担当が決める

3行目が、いちばん起きやすい失敗です。 期限の書かれていない照会を渡すと、AIは「速やかに」を「1週間以内」のように具体的な日付に直しがちです。作られた日付は、一覧の上で本物の期限と見分けがつきません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは市役所の総務課で、国・都道府県から届いた文書を読み、
各課に回すための一覧を作る担当です。
渡された文書に書かれていることだけを整理してください。
書かれていないことを推測しないでください。

【文書】{documents}(鑑文が先、本文、別紙の順。ページ番号つき)
【事務分掌の表】{bunsho_table}(課名、所掌の事務、よく受ける通知の分野)

【返すこと】
- doc_type:inquiry(回答・資料の提出を求める)/notice(制度・運用の通知)/
  reference(参考の送付)/correction(訂正・追加)/unclear
- issuer:発出した機関と課、日付、番号(鑑文と本文で別に)
- subject:対象の事務を、本文の言葉で1〜2文
- actions:求められている対応ごとに、種類(answer/submit/inform_residents/
  change_procedure/none)と、本文の該当する文をそのまま quote に
- deadlines:期限ごとに、日付、何の期限か(answer/submit/effective/apply/other)、
  書かれていた文書(cover/main/annex)とページ、該当する文
- candidates:担当課の候補を最大3課、それぞれ根拠(事務分掌の表のどの文言と、
  文書のどの語が対応するか)

【厳守事項】
- 期限は、文書に日付として書かれているものだけを返す。
  「速やかに」「追って連絡」などは日付にせず、not_stated とし、その文を quote に入れる。
- 鑑文と本文で期限が違うときは、両方を返す。どちらが優先かを決めない。
- 施行日や適用日を、回答の期限として扱わない。
- 通知が自団体に当てはまるか、対応が必要かを判断しない。
- 照会への回答の内容を書かない。
- 事務分掌の表に当てはまる課が無いときは、無理に選ばず no_match にする。
- 個人の氏名や住所が文書にあっても、出力に書き写さない。

「鑑文と本文で期限が違うときは両方を返す」を明記しないと、片方だけを返します。 多くの場合は本文の期限を返し、都道府県の鑑文が数日前に設けた取りまとめの期限が落ちます。 自団体にとっての期限は鑑文のほうなので、ここを落とすと一覧が役に立ちません。

「施行日を回答の期限として扱わない」も同じです。 制度の改正の通知には施行の日付が大きく書かれ、AIはそれを期限として返しがちです。期限の種類を返させ、一覧では回答と提出の期限だけを期限の列に出します。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "receipt_no": "",
  "doc_type": "inquiry | notice | reference | correction | unclear",
  "issuer": { "cover": "", "main": "" },
  "subject": "",
  "actions": [ { "kind": "answer | submit | inform_residents | change_procedure | none", "quote": "" } ],
  "deadlines": [
    { "date": "2026-10-20", "kind": "answer | submit | effective | apply | other",
      "source": "cover | main | annex", "page": 1, "quote": "" }
  ],
  "candidates": [ { "section": "", "basis": "" } ]
}

スキーマでは doc_type・kind・source を enum にし、date に日付の format を指定します。deadlines が空の文書もそのまま受け取ります。

1つ目の理由は、自団体にとっての期限を規則で決められることです。 Python は deadlines のうち kind が answer と submit のものを選び、source が cover(鑑文)のものがあればそれを、無ければ本文のものを、一覧の期限の列に出します。 決め方が規則にあるので、AIの返し方が揺れても一覧の期限は揺れません。

規則一覧での扱い
回答・提出の期限があり、あと3開庁日以内一覧の先頭。「至急」の印
doc_type が inquiry なのに期限が not_stated「期限の確認」の印。文書の担当が原文を見る
候補の先頭と、過去の回付の記録の回付先が違う両方を並べ、「回付先の確認」の印
候補が no_match「回付先の確認」の印
correction で、前の文書が見つかった前の回付先を候補の先頭に置く

2行目が要です。 照会なのに期限が見つからないのは、期限が別紙の欄外や様式の中に書かれていることが多いためです。期限が無いと決めつけず、人が原文を探す印にします。

2つ目は、根拠の文で確認が速くなることです。 一覧には quote が並ぶので、文書の担当はPDFを開く前に、対応と期限が原文でどう書かれていたかを読めます。根拠のページ番号から、原文の該当箇所をすぐ開けます。

3つ目は、一覧を課ごとに並べ替えられることです。 回付の後、担当課は自分の課の行だけを見れば、届いた文書の要約と期限を一覧で確かめられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
処理用のフォルダPython で読み取り印の付いた文書のPDF、印のファイル
Gemini APIPython から呼び出し文書ごとの要約、対応、期限、候補
事務分掌の表Python で読み取り候補を出すための表
過去の回付の記録Python で読み取り規則での照合
回付の一覧Python で書き出し文書の担当が確かめる一覧(表)

文書管理システムとはつなぎません。 回付と期限の書き添えは、文書の担当が一覧を見て文書管理システムで行います。一覧を文書を受け付ける環境に戻す経路も、自団体で認められたものに限ります。

担当課への知らせは、文書管理システムの回付に任せます。 このプログラムから担当課へメールを送ると、文書管理システムの回付と別の経路ができ、どちらが正式な回付か分からなくなります。 一覧の要約と期限は、回付の際に文書の担当が書き添える欄に写します。

Step9

人が確認する

一覧は全件を文書の担当が確かめます。 回付先と期限は、担当課の仕事の出発点になるためです。

  1. 「至急」と「期限の確認」の印を先に見る … 期限の近い照会と、期限が見つからなかった照会です。原文の該当ページを開いて期限を確かめます
  2. 回付先を決める … 候補と根拠、過去の回付先を見て決めます。候補と違う課に回したときは理由を残します
  3. 要約と対応を流し読みする … 根拠の文と食い違っていないかを見ます
  4. 文書管理システムで回付し、期限を書き添える

目標は、1件をならして4分です。 印の無い文書は一覧を見て1〜2分で回付でき、印の付いた文書は原文を開いて10分前後かかります。それを大きく超える月は、事務分掌の表が古いか、新しい制度の通知が続いています。

担当課の側でも、要約ではなく原文で判断します。 一覧の要約は、どの文書が自分の課に来たかを早く知るためのものです。対応の要否と回答の内容は、原文と、必要なら発出元への問い合わせで決めます。 要約だけで回答を作ると、別紙の条件を落とします。

2番目で残した理由を、月に1回見直します。 同じ分野の通知で候補が外れ続けているなら、事務分掌の表のその課の「よく受ける通知の分野」を書き足します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
AIに渡してよいという印が無い処理しない。これまでどおり文書の担当が読む
PDFが50MBまたは1,000ページを超える本文と別紙に分け、本文を先に処理する
スキャンした画像のPDFで文字が読みにくい要約は出すが、期限と根拠の文は「原文で確認」の印を付ける
鑑文だけで本文が添付されていない鑑文の範囲で一覧を作り、「本文なし」の印を付ける
照会なのに期限が見つからない「期限の確認」の印。期限を作らない
候補が no_match文書の担当が決め、決めた課を事務分掌の表の見直しの材料にする
Gemini API が応答しない・形が崩れる一覧に「未処理」と出し、文書の担当がこれまでどおり読む。次の定時の実行で再試行する

3行目は、紙で届いた文書をスキャンしたものです。 画像のPDFも読めますが、日付の数字の読み違いは、期限の誤りにそのまま直結します。 期限と根拠の文に限って原文の確認を求め、要約は参考として使います。

5行目は、期限が無いのではなく、見つからないことが多いと考えます。 照会の期限は、様式の欄外や「記」の後の小さな文字に書かれていることがあります。期限を作らずに人へ回すことで、見落としではなく確認の作業として扱えます。

Step11

記録を残す

  • 処理した文書の収受の番号と、AIに渡してよいという印を付けた人
  • 文書ごとのJSONの全文と、呼び出した日時、使ったモデルの名前
  • 一覧の期限の列に出した期限と、その決め方(鑑文か本文か)
  • 文書の担当が決めた回付先と、候補と違ったときの理由
  • 回付し直しの記録

1つ目で印を付けた人を残すのは、AIに渡した判断の記録だからです。 どの文書を外部のサービスで処理したかを後から説明できるようにします。

4つ目と5つ目は、事務分掌の表を育てる材料です。 回付し直しが続く分野が分かれば、表の書き足すべき行が分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:文書と事務分掌の表をAIの画面に貼り、種類・期限・候補を返させる / 1件ごとの読み取りの確認
半自動化:上記+定時に Python で文書を読み、要約と期限と候補を一覧に書く / 文書の読み取りと一覧化
本格構成:上記+期限の決め方の規則、過去の回付の記録との照合、続報の照合、至急の並べ替え / 文書の受け付けから回付の一覧まで

最小構成では件数がさばけません。 1件ずつ貼るので、月450件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件12分が7分程度になります。 要約と期限は一覧で出ますが、どちらの期限を書き添えるかの判断と、過去の回付先との見比べが残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、候補の外れやすい分野と、期限の見つかりにくい発出元が分かります。そこを事務分掌の表と別紙の渡し方で直してから規則を足すほうが、印の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
450 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  450件 × 12分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 450件 × 4分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
67%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 国の各省庁や都道府県から届く通知・事務連絡・照会を、総務課の文書の担当が受け付けて各課に回している市町村。1日に数十件が届き、読んで担当課を決めるまでに時間がかかる場合。都道府県経由の照会で回答の期限を見落としたり、どの課の事務か分からない通知が文書の担当の手元に溜まったりする場合。教育委員会や一部事務組合で、同じように上位の機関からの通知を受けて回している場合にも当てはまります。
向いていない
  1. 届く通知が月に数十件で、文書の担当が読んで回しても負担にならない場合。通知を各課が直接受け取っていて、文書の担当を経由しない場合。インターネットにつながる環境で文書を扱うことが、自団体の情報セキュリティポリシーで認められていない場合。なお、通知の解釈、対応の要否の決定、回答の内容の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた通知から30件を選ぶ(照会、鑑文と本文で期限が違うもの、回付し直しになったものを入れる)
  2. 公表されている通知だけを使い、個人に関わる照会は使わない
  3. 庁内で使ってよいと認められた生成AIの画面に、文書と事務分掌の表を貼る
  4. 第7章の指示で、種類・対象の事務・対応・期限・候補を返させる
  5. 当時の回付先と、書き添えた期限と比べる

比べるのは、要約の上手さではありません。 見るのは、鑑文と本文の期限を両方返したか、施行日を期限にしていないか、期限を作っていないか、の3つです。

出てきた内容判断
期限を両方返し、当時の回付先が候補に入った定時の実行と一覧の作成に進む
期限を推測で作った・施行日を期限にした指示の書き方で直る。構成は有効
候補が外れる事務分掌の表の書き足しで直る
期限が別紙にあって見つからない別紙の渡し方を見直す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「速やかに」を日付に直す書かれていない期限は not_stated。その文を quote に入れさせる
都道府県の鑑文の期限が落ちる鑑文と本文を1回で渡し、両方の期限を返させる
施行日を回答の期限にする期限の種類を返させ、一覧には回答と提出の期限だけを出す
過去の回付先に寄せて答える過去の記録はAIに渡さず、規則で並べる
事務分掌の表の文言が抽象的で候補が外れる各課に、よく受ける通知の分野を書き足してもらう
渡してはいけない文書が処理される人が付けた印を、機械の側でも必ず確かめる
別紙の欄外の期限が見つからない照会で期限が無いときは「期限の確認」の印にする
個人の氏名が一覧に書き写される出力に書き写さないと指示し、一覧の列を決めておく
一覧の戻し方が決まらず運用が止まる文書を移す経路と一覧を戻す経路を、最初に情報政策の担当と決める

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも期限の扱いで、期限は「書いてあるとおりに、どこに書いてあったかと一緒に」取ると決めれば防げます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 国・都道府県からの通知・事務連絡・照会の文書と、事務分掌の表です。大半は公表される文書ですが、照会の中には個人や事業者に関わる情報、公表前の情報が含まれることがあります。

  1. AIに渡す文書を、自団体の情報セキュリティポリシーで決める … 総務省のガイドブックの改訂の概要は、入力した要機密情報を学習させない仕組みが重要であるとし、情報セキュリティポリシーのガイドラインでの機密性の分類に応じて、利用可能なパブリッククラウドサービスの範囲を示したとしています。どの文書を渡してよいかを、文書の担当が1件ずつ印で決めます
  2. 有料の利用条件で使う … 規約では、有料のサービスでは送った内容を製品の改善に使わないとされています。無償の枠では使いません
  3. 出力を人が確かめる … 同じ概要は、生成AIの利用目的に応じて求められる正確性の水準が異なることを意識し、生成物を人が確認するルールを設定するとしています。回付先と期限は、文書の担当が原文で確かめます
  4. 通知の解釈と対応の判断を代替させない … 通知が自団体に当てはまるか、照会にどう回答するかは、担当課が決めることです
  5. 職員向けの利用ガイドラインに沿わせる … ガイドブックは、職員向けの生成AI利用ガイドラインのひな形を別添で示しています。この構成の利用範囲(渡してよい文書、確認の手順)を、自団体のガイドラインに書き込みます
  6. 利用者の年齢の条件を確かめる … 規約は、APIの利用者が18歳以上であることを求めています。使うのは文書の担当の職員に限ります

誤りが起きた場合のリスクは、期限を落とす・作ることと、渡してはいけない文書を外部に送ることの2つです。 前者は期限を推測させると起き、後者は渡してよいかの判断を省くと起きます。どちらも、期限は書いてあるとおりに取り、渡すかは人が先に決める設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:渡してよい文書の区分と経路を決める

情報政策の担当と、どの文書をAIに渡してよいか、文書をどの経路で移し、一覧をどう戻すかを決めます。ここが決まらないうちは、次に進みません。

2週目:30件で試す

先月の公表されている通知から30件を選び、生成AIの画面で種類・期限・候補を返させます。鑑文と本文の期限を両方返しているか、期限を作っていないかを最優先で見ます。

3週目:事務分掌の表を書き足す

各課に、よく受ける通知の分野を数行ずつ書き足してもらいます。回付し直しの多かった分野から先に頼みます。

4週目:定時の実行と一覧を作る

Python で1日3回、印の付いた文書を読み、一覧に書き出すところまで作ります。この時点では規則を入れず、文書の担当が一覧と原文を見比べます。

2か月目: 期限の決め方の規則、過去の回付の記録との照合、続報の照合を足します。「期限の確認」と「回付先の確認」の印の数を毎週数えます。3か月目以降: 1件12分が何分になったかを実測します。候補と違う課に回した理由を見て事務分掌の表を直し、照会の期限の見落としが無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
地方自治法第245条の4で、各大臣または都道府県知事その他の都道府県の執行機関が、普通地方公共団体に対し、事務の運営その他の事項について技術的な助言もしくは勧告をし、またはそのため等に必要な資料の提出を求めることができること(法令APIで条文を取得して確認)e-Gov 法令API: 地方自治法2026-10-08
総務省が令和7年12月16日に「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」の第4版を公表し、生成AIシステムの利用ガイドラインのひな形を別添としたこと総務省: 報道資料(自治体におけるAI活用・導入ガイドブックの改訂)2026-10-08
改訂の概要として、生成物を人が確認するルールを設定すること、入力した要機密情報を学習させない仕組み(オプトアウトの徹底)が重要であること、情報セキュリティポリシーのガイドラインでの機密性情報の分類に応じた利用可能なパブリッククラウドサービスの範囲を示したこと、職員向け生成AI利用ガイドラインのひな形を示したこと(PDFの原文を取得して確認)総務省: 自治体におけるAI活用・導入ガイドブックの改訂について(概要)2026-10-08
PDFを50MBまたは1,000ページまで扱えること。Gemini 3 のモデルではPDFに埋め込まれた文字が抽出されて渡され、その分のトークンは課金されないこと。テキスト・Markdown・HTML・XML は文字だけとして扱われ、表や書式が失われること。例が Interactions API で書かれていることGemini API: Document understanding2026-10-08
media_resolution で、PDFには medium が勧められ、通常の文書では high にしても文字の読み取りがほとんど良くならないとされていることGemini API: Media resolution2026-10-08
構造化出力が /v1beta/interactions で response_format に mime_type と schema を渡す形であること。enum・required・additionalProperties・日付の format などが使えること。大きすぎる・深すぎるスキーマは拒否されうることGemini API: Structured output2026-10-08
利用者は18歳以上であること。無償のサービスでは送った内容が製品の改善に使われ人が読むことがあり、機密・個人の情報を送らないこと。有料のサービスでは製品の改善に使わないことGemini API: Additional Terms of Service2026-10-08

どの文書をAIに渡してよいかは、自団体の情報セキュリティポリシーと情報政策の担当の判断に従ってください。 本記事は公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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