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住民から届く「市長への手紙」と意見メールを担当課と種別に仕分けて、回答期限つきの受付台帳に載せる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

住民から届く「市長への手紙」や意見メールの本文を ChatGPT に読ませ、要望・苦情・提案・質問の種別と担当課の候補を付けさせます。結果は受付台帳に貼れる1行で返させ、回答期限は台帳の数式が計算します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
医療/教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
分類・仕分け/台帳・マスタ管理
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
25h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
60%
年間削減
180h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. フォームとメールで届いた声、打ち込まれた手紙の本文を、受付台帳に1件ずつ受付番号を付けて登録する
  2. 本文を読み、要望・苦情・提案・質問のどれかと、回付する課を決める。迷うものは係長に聞く
  3. 要旨を2〜3行で書き、台帳と回付票に写す
  4. 回答の要否と期限を、要綱の日数と暦を見て回付票に書く
  5. 回付票を庁内メールで担当課へ送る
  6. 担当課から回答案が届いたら、台帳に回答日を書く
導入後(After)
  1. 人届いた声を受付台帳に登録し、受付番号と受付日を付ける(今と同じ)
  2. 人本文から、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの個人を特定できる語句を ■ に置き換える
  3. 人ChatGPT の「広聴の仕分け」プロジェクトでチャットを開き、受付番号と本文を貼り付ける
  4. 【AI】 プロジェクトの指示と所管表に従って、種別、担当課の候補(第1・第2)、要旨、回答の要否、要注意の印、根拠の語句を、台帳に貼れる1行で返す
  5. 人候補と根拠を読み、回付する課を決める。迷うものだけ係長に聞く
  6. 人返ってきた1行を台帳に貼る。回答期限は台帳の数式が受付日と種別から計算する
  7. 人回付票を作って担当課へ送る。要注意の印があるものは、先に電話で知らせる
  8. 人毎週月曜日に、台帳を期限の近い順に並べ、未回答のものを担当課へ確認する
各工程の詳しい説明を読む
  1. フォームとメールで届いた声、打ち込まれた手紙の本文を、受付台帳に1件ずつ受付番号を付けて登録する
  2. 本文を読み、要望・苦情・提案・質問のどれかと、回付する課を決める。迷うものは係長に聞く
  3. 要旨を2〜3行で書き、台帳と回付票に写す
  4. 回答の要否と期限を、要綱の日数と暦を見て回付票に書く
  5. 回付票を庁内メールで担当課へ送る
  6. 担当課から回答案が届いたら、台帳に回答日を書く

(a)回付先の判断がベテランに頼っている。 2番目で迷う声が月に何十件もあり、係長が不在の日は回付が止まります。 判断の理由は残っていないので、異動の年に同じ迷いが繰り返されます。

(b)回付先を誤ると、1往復が無駄になる。 誤った課に回った声は、その課が「うちではない」と返してくるまで止まります。返ってきたときには期限の半分が過ぎていることがあります。

(c)期限が台帳に無い。 4番目で回付票には書いていますが、台帳に期限の列が無いので、期限の近い順に並べることができません。 毎週の確認は、回付日から日数を数えて目で探しています。

(d)1通に2つの話が入っている。 「通学路の街灯が暗い。ついでに公園のトイレも汚い」という声は、道路の課と公園の課にまたがります。1行に1つの課しか書けない台帳では、2つ目の話がどこにも回りません。

  1. 【人】 届いた声を受付台帳に登録し、受付番号と受付日を付ける(今と同じ)
  2. 【人】 本文から、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの個人を特定できる語句を ■ に置き換える
  3. 【人】 ChatGPT の「広聴の仕分け」プロジェクトでチャットを開き、受付番号と本文を貼り付ける
  4. 【AI】 プロジェクトの指示と所管表に従って、種別、担当課の候補(第1・第2)、要旨、回答の要否、要注意の印、根拠の語句を、台帳に貼れる1行で返す
  5. 【人】 候補と根拠を読み、回付する課を決める。迷うものだけ係長に聞く
  6. 【人】 返ってきた1行を台帳に貼る。回答期限は台帳の数式が受付日と種別から計算する
  7. 【人】 回付票を作って担当課へ送る。要注意の印があるものは、先に電話で知らせる
  8. 【人】 毎週月曜日に、台帳を期限の近い順に並べ、未回答のものを担当課へ確認する

5番目が、この設計の分かれ目です。AIの候補をそのまま回付先にしません。 担当者は候補と根拠を読んで決めます。ただし、ゼロから考えるのではなく、2つの候補のどちらかを選ぶ作業になります。 ここで①の4分が縮みます。

6番目で期限を数式に置いているのも、意図してのことです。 種別が決まれば期限は機械的に決まり、AIに尋ねる必要がありません。 期限が台帳の列になるので、8番目で期限の近い順に並べられます。

02今回想定するシステム構成

構成図
住民の声(問い合わせフォーム・メール・打ち込まれた手紙)
   │
   ▼【人】受付台帳に登録(受付番号・受付日)
   │
   ▼【人】個人を特定できる語句を ■ に置き換える
   │
ChatGPT Business のプロジェクト「広聴の仕分け」
   │   プロジェクトの指示 + 所管表 + 種別の定義 + 過去の仕分け例
   │   種別・担当課の候補・要旨・回答の要否・要注意・根拠 を1行で返す
   ▼
【人が候補と根拠を確かめ、回付する課を決める】
   ▼
受付台帳に1行を貼る
   │   入力規則で、種別と課コードが一覧にない値を弾く
   │   数式で、回答期限 = 受付日 + 種別ごとの日数(土日・祝日を除く)
   ▼
回付票を庁内メールで担当課へ ──▶ 毎週、期限の近い順に未回答を確認
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(ChatGPT Business のプロジェクト機能)Microsoft Copilot、Gemini、Claude
台帳受付台帳(表計算ソフト。入力規則と数式を使う)既存の広聴システム
受付問い合わせフォーム、代表メールアドレス電子申請システムの問い合わせ様式
回付庁内メール庁内のグループウェア

新しく足すのは、ChatGPT のプロジェクト1つと、台帳の列と数式だけです。 受付も回付も今のままで、どこにもつなぎません。 つながっていないので、AIが誤った候補を返しても、人が貼らない限り台帳には入りません。

プロジェクトを選ぶのは、指示とファイルを毎回貼らずに済むからです。 プロジェクトは関連するチャット、ファイル、指示をまとめて持ち、プロジェクトの指示はそのプロジェクトの中だけに適用され、個人のカスタム指示より優先されるとされています。仕分けの決まりを指示に、所管表と種別の定義をファイルに置けば、2名のどちらが使っても同じ前提で仕分けられます。

ファイルは、Business のプランで1つのプロジェクトに40個まで置けます。 一度にアップロードできるのは10個までです。所管表、種別の定義、過去の仕分け例、出力の見本の4つなら十分に収まります。

プロジェクトは係の中で共有します。 Business では個人やワークスペースのグループを招待でき、招待される人には「編集」か「チャット」のどちらかの権限が付きます。 編集は指示の更新やファイルの追加・削除ができ、チャットはプロジェクトのチャットやファイルを見て使えるだけです。所管表を差し替える係長だけを編集にし、職員はチャットにします。

共有したプロジェクトは、自動的に「プロジェクト内だけの記憶」になります。 共有されたプロジェクトは、メンバー個人の記憶やプロジェクトの外の文脈にアクセスしないとされています。ほかの業務のチャットの内容が、住民の声の仕分けに混ざりません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

受付台帳に新しい声を登録したときです。 1件ずつ、登録した担当者がその場で仕分けまで済ませます。まとめて夕方に処理する運用にはしません。 期限は受付日から数えるので、仕分けが遅れた日数だけ担当課の持ち時間が減ります。

例外は、要注意の印が付いたものです。 生命や安全に関わる訴え、虐待や危険を思わせる記述があれば、仕分けの結果を待たずに担当課へ電話で知らせます。 AIが印を付けなかった場合でも、本文を貼る前に人が読んで気づいたものは同じ扱いです。

毎週月曜日の朝にも、もう一つの作業があります。 台帳を期限の近い順に並べ、未回答のものを確かめます。これはAIを使わない作業ですが、この構成の効果の半分はここにあります。

Step2

入力データを集める

データ中身置き場所
声の本文件名と本文。個人を特定できる語句を ■ に置き換えたものチャットに貼る
受付番号台帳の受付番号チャットに貼る
所管表課コード、課名、所管する事務の説明、よく届く声の例、所管しない事務の例プロジェクトのファイル
種別の定義要望・苦情・提案・質問・その他の定義と、迷いやすい例プロジェクトのファイル
過去の仕分け例迷いやすい声30件と、実際に回付した課、その理由(伏せ字にしたもの)プロジェクトのファイル
出力の見本台帳に貼る1行の列の並びと、記入例プロジェクトのファイル

質を決めるのは、所管表の「所管しない事務の例」の列です。 隣の課との境目を、次のように書きます。

課コード課名所管する事務所管しない事務の例
DR01道路課市道の補修、街灯、側溝、通学路の安全施設県道・国道(県の土木事務所)、公園の中の通路(公園緑地課)
PK01公園緑地課公園の遊具・トイレ・樹木、街路樹民有地の樹木(環境課)、学校の敷地内(教育総務課)
EN02環境課空き地の雑草、不法投棄、騒音空き家の建物の傷み(建築住宅課)

境目が書かれていない所管表では、AIも2年目の職員と同じところで迷います。 右端の列は、係長が「毎年聞かれる」と言う組み合わせから埋めます。

過去の仕分け例は、迷いやすいものだけを選びます。 簡単な声の例を何十件入れても、迷う声の仕分けはよくなりません。係長が「これは毎年聞かれる」と言うものから30件選びます。

受付日はチャットに貼りません。 期限の計算に使うのは台帳の受付日で、AIには日付を扱わせません。

Step3

データの取得方法を決める

取得は、すべて人の手で行います。 これが★1の構成の前提です。

取るものどこからどうするか
声の本文受付台帳の本文の列コピーし、個人を特定できる語句を置き換えてから貼る
受付番号受付台帳本文と一緒に貼る
所管表事務分掌から係長が作る表年度初めと組織改正のときに差し替える
返ってきた1行ChatGPT の応答コピーして台帳の該当行に貼る

本文の置き換えは、貼る前に必ず行います。 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、勤務先、学校名とクラス、病名と通院先などを ■ にします。公園や交差点のような場所は、担当課の判断に要るので残します。

(元の本文)
北町3丁目の山田です。娘が通う南小の4年2組の帰り道、
駅前通りの交差点の街灯が切れていて危ないです。090-xxxx-xxxx まで連絡ください。

(貼る本文)
■です。娘が通う■の帰り道、
駅前通りの交差点の街灯が切れていて危ないです。■まで連絡ください。

住所の「北町3丁目」は、この声では場所の手がかりではないので置き換えます。 一方で「駅前通りの交差点」は街灯の場所そのものなので残します。同じ地名でも、住んでいる場所か、直してほしい場所かで扱いが変わります。 どこまで残すかは、第13章のとおり庁内のルールで先に決めます。

所管表は、差し替えたら版を書き換えます。 ファイル名に「所管表_2026年10月版」のように年月を入れ、古い版はプロジェクトから削除します。新旧の2つが置かれていると、どちらを根拠にしたか分からなくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 個人を特定できる語句の置き換え … 上の表のとおり。置き換えた語句の種類は台帳に残さず、本文の列は元のまま残します
  2. 返信メールの引用の削除 … 以前のやり取りが引用されている場合は、新しく書かれた部分だけを貼ります。引用を残すと、前回の回付先に引っぱられます
  3. 長い手紙の扱い … 便箋数枚に及ぶ手紙は、そのまま貼って構いません。要旨はAIに書かせ、担当者が本文と見比べます
  4. 同じ人からの繰り返し … 台帳で同じ内容が繰り返し届いていると分かったものは、仕分けをせずに既存の受付番号にまとめるかを係長が決めます
  5. 外国語の声 … 日本語以外で書かれたものは、そのまま貼らず担当者が扱いを決めます

1番目を省かないでください。 省いた1件が、そのまま外部のサービスに渡ります。手間を減らすために置き換えを後回しにする運用は、最初から作りません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、1件の声について6つの項目を埋めることだけです。

見るものさせること判断できないときの扱い
論点1通の中の論点を分ける。2つまで3つ以上あれば、主な2つと「ほかに論点あり」の印
種別要望・苦情・提案・質問・その他から1つ選ぶ決められなければ「その他」
担当課の候補所管表の課コードから、第1候補と第2候補を選ぶ当てはまる課が無ければ空欄
要旨住民が求めていることを1〜2文で書く本文に無いことを書かない
回答の要否本文に回答を求める記述があるか書かれていなければ「記載なし」
要注意生命・安全、虐待や危険の訴え、強い苦情の繰り返し迷ったら印を付ける

根拠の語句も一緒に書かせます。 種別と第1候補を選んだ理由になった本文の語句を、そのまま写させます。担当者は根拠を読めば、本文を全部読み直さなくても候補の良し悪しが分かります。

種別の定義は、プロジェクトのファイルに次の形で置きます。 種別で回答期限が変わるので、ここが揺れると期限も揺れます。

種別定義迷いやすい例と決め方
要望市に何かをしてほしいと求めるもの「暗くて危ない」だけでも、直してほしい趣旨なら要望
苦情市の対応や職員の言動への不満施設の汚れへの不満は、対応を責める趣旨なら苦情
提案市の施策について新しい案を示すもの「こうすればよい」と具体的な案があれば提案
質問制度や手続き、市の考えを尋ねるもの答えが分かれば済むものは質問
その他お礼、感想、市の事務ではないもの回答を求めていなければ「その他」でもよい
させないこと理由
回付先の決定所管の判断は市の責任。候補を出すまでにする
回答期限の計算台帳の数式で出す。AIに日付を書かせない
回答文の作成回答は担当課が事実を確かめて作る
所管表に無い課の提案組織に無い課に回すと、誰も受け取らない
投稿者の推測誰が書いたか、どんな人かを推測させない

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 指示で禁じないと、要旨のあとに「回答期限の目安:○月○日」と親切に書き足してきます。台帳の数式と違う日付が並ぶと、どちらが正しいのかを毎回確かめることになります。

Step6

指示内容を固定する

次の文を、プロジェクトの指示に置きます。 チャットに貼るのは受付番号と本文だけです。

あなたは市役所の広聴係で、住民から届いた声を担当課へ回す前に仕分ける担当です。
貼り付けられた本文と、このプロジェクトのファイルだけを根拠に答えてください。

【使うファイル】
- 所管表(最新の版だけを使う):課コード、所管する事務、所管しない事務の例
- 種別の定義:要望/苦情/提案/質問/その他
- 過去の仕分け例:迷いやすい声と、実際の回付先と理由

【すること】
1. 本文の論点を分けてください。2つまでとし、3つ以上あれば主な2つを選び、
   「ほかに論点あり」と書いてください。
2. 論点ごとに、種別を1つ選んでください。
3. 論点ごとに、所管表の課コードから第1候補と第2候補を選んでください。
   「所管しない事務の例」に当たる課は選ばないでください。
4. 論点ごとに、住民が求めていることを1〜2文の要旨にしてください。
5. 回答を求める記述があるかを「希望あり/記載なし」で書いてください。
6. 生命・安全に関わる訴え、虐待や危険を思わせる記述、強い苦情の繰り返しが
   あれば、要注意に「あり」と書いてください。迷ったら「あり」にしてください。
7. 種別と第1候補を選んだ根拠になった本文の語句を、そのまま写してください。

【厳守事項】
- 課コードは所管表にあるものだけを使ってください。表に無い課を作らないでください。
  当てはまる課が無いときは、候補を空欄にしてください。
- 回答期限や日付を書かないでください。期限は台帳で計算します。
- 回答の内容や、市としての結論を書かないでください。
- 本文に無いことを要旨に書かないでください。
- 「■」の部分を推測して埋めないでください。投稿者が誰かを推測しないでください。
- 答えは、下の書式の行だけにしてください。説明や前置きを付けないでください。

【書式】論点ごとに1行。項目の区切りはタブ。コードブロックの中に書く。
受付番号-枝番	種別	第1候補	第2候補	要旨	回答	要注意	根拠

「所管しない事務の例に当たる課は選ばない」を明記しないと、境目の声で第1候補に入れてきます。 「県道の穴」は道路の課の説明に「道路」とあるので、何も言わなければ道路の課を選びます。所管表の書き方と指示の書き方の両方で、境目を守ります。

「説明や前置きを付けない」も大事です。 何も言わなければ「以下のとおり仕分けました」と書き出し、末尾に補足を付けます。台帳に貼る行に余計な文が混ざると、列がずれます。

Step7

出力形式を固定する

ChatGPT からは、次のようなタブ区切りの行で受け取ります。 1通に論点が2つあれば2行になり、受付番号に枝番が付きます。

R08-0412-1	要望	DR01	PK01	通学路の街灯が暗く、夜間の安全のため増設してほしい	希望あり	なし	「通学路の街灯が暗い」
R08-0412-2	苦情	PK01	EN02	公園のトイレが汚れており、清掃の頻度を上げてほしい	希望あり	なし	「公園のトイレも汚い」

JSON ではなくタブ区切りにするのは、台帳にそのまま貼るためです。 表計算ソフトにタブ区切りの行を貼ると、1項目ずつ列に分かれて入ります。API を使わない★1の構成では、人が貼る形に合わせるのがいちばん手間がかかりません。

ただし、チャットの画面では書式が守られる保証がありません。 API の構造化出力のように、決めた形以外を返せなくする仕組みはここにはありません。だから、検査を台帳の側に置きます。

台帳の列中身台帳の側の検査
受付番号-枝番AIが返す台帳の受付番号と一致するか
種別AIが返す入力規則のプルダウン。5つ以外の値は弾く
第1候補・第2候補AIが返す(候補)入力規則で所管表の課コードの一覧以外を弾く
要旨・回答・要注意・根拠AIが返す要注意が「あり」なら行に色を付ける
回付先人が決めて入れる空欄のままなら回付票を作らない
回答期限数式で出す受付日と種別から計算する
回答日担当課の回答を受けて人が入れる空欄で期限を過ぎたら色を付ける

回付先の列を、AIの候補の列と分けているのが要です。 候補をそのまま回付先にすると、誰が決めたのかが台帳から消えます。人が入れた回付先と第1候補が違う行は、後で所管表を直す材料になります。

回答期限の数式は、受付日と種別ごとの日数の表から作ります。 要綱の定めを表にして台帳の別のシートに置き、休日を除いて数える関数で受付日に足します。 祝日と年末年始の閉庁日は、休日の一覧として同じシートに持ちます。

種別回答の希望期限までの日数(例)
質問希望あり10開庁日
要望・苦情・提案希望あり20開庁日
いずれも記載なし期限なし(回付はする)
その他-期限なし

日数そのものは自団体の要綱で決めてください。 表の値を変えれば、台帳のすべての行の期限が同じ規則で付け直されます。要綱の改正を、AIの指示を書き換えずに反映できるのも、期限を数式に置く理由です。

Step8

システムへ連携する

どこにも自動ではつなぎません。 つなぎ目はすべて人の「コピーして貼る」です。

つなぎ目方式内容
受付台帳 → ChatGPT人がコピーして貼る置き換えた本文と受付番号
ChatGPT → 受付台帳人がコピーして貼る仕分けの1行(論点ごと)
受付台帳 → 担当課回付票を庁内メールで送る回付先・要旨・回答期限
担当課 → 受付台帳回答案のメールを受けて人が入れる回答日

つながないことには理由があります。 月150件なら1件の貼り付けは十数秒で、つなぐための開発の手間に見合いません。 そして、つながっていない構成は、AIが返した内容を人が見ないまま台帳に入る経路がありません。

件数が増えて貼り付けが負担になったら、それが次の段階へ進む合図です。 第9章の半自動化のとおり、台帳から本文を取り出して結果を書き戻す連携を足します。

Step9

人が確認する

全件を人が確かめます。 ただし、確かめる中身は「本文を読んで一から考える」ではなく、「候補と根拠を読んで、どちらかを選ぶ」です。

  1. 要注意の印を最初に見る … 「あり」なら、仕分けの続きより先に担当課へ電話します
  2. 根拠を読んで第1候補を確かめる … 根拠の語句と所管表の説明が合っていれば、第1候補を回付先に入れます
  3. 第1候補と第2候補で迷ったら係長に聞く … 迷った理由を台帳の備考に1行残します
  4. 候補が空欄のものは所管を調べる … 決めた課と理由を、次の所管表の改訂で「よく届く声の例」に足します
  5. 要旨を本文と見比べる … 本文に無いことが書かれていないかを見ます。長い手紙は特に見ます

3番目と4番目の記録が、この構成を育てます。 毎月、迷った声と空欄だった声を数件ずつ過去の仕分け例に足すと、同じ迷いが翌月は候補に出てきます。 係長の判断が、異動しても残る形になります。

目標は、150件をならして1件4分です。 第1候補をそのまま採る声が7割前後という想定で、それより低い月は、所管表の境目の書き方が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
候補が空欄担当者が所管を調べる。決めた課を所管表の例に書き足す
所管表に無い課コードが返る入力規則で弾かれる。貼らずにチャットで「所管表にあるコードだけで」と指示し直す
説明や前置きが付いて列がずれる行だけを貼り直す。続くなら指示の文を見直す
回答期限らしい日付が書かれている貼らずに削る。期限は数式の列だけ
論点が3つ以上主な2つを台帳に載せ、残りは係長が扱いを決める
市の事務ではない声(国・県・民間の事業)種別「その他」で、回付先に「庁外」と書き、案内先を係長が決める
要注意の訴えを含む仕分けを後にして、先に担当課へ電話
所管表の版が切り替わる古い版のファイルを削除する。切り替え前に回付した声は回付先を変えない
ChatGPT が使えない今までどおり人が仕分け、台帳に「AI未使用」と残す。期限の数式はそのまま動く

最後の行が、この構成の強さです。 AIが止まっても、期限の計算と週ごとの確認は台帳の側に残っているので止まりません。

Step11

記録を残す

  • 受付台帳の行(受付番号、受付日、AIの候補、根拠、人が決めた回付先、回答期限、回答日)
  • 第1候補と回付先が違った行の印と、迷った理由の1行
  • 所管表と過去の仕分け例の版と差し替えた日
  • プロジェクトの指示の文の版と変えた日
  • 要注意の印が付いた声と、担当課へ知らせた日時

2つ目の記録は、毎月の所管表の見直しに使います。 同じ2つの課のあいだで候補と回付先が食い違う行が続くなら、その境目を所管表に書き足します。

チャットの履歴は、記録の本体にしません。 記録の本体は台帳です。プロジェクトを削除するとチャットと指示、プロジェクトにだけ置いたファイルは元に戻せない形で消えるとされているので、所管表と仕分け例の原本は、庁内のフォルダにも置きます。

04実装レベルの3段階

最小構成:ChatGPT のプロジェクトに本文を貼り、返ってきた1行を台帳に貼る。期限は台帳の数式 / 1件ごとの種別と担当課の候補、要旨
半自動化:上記+台帳から本文を取り出して生成AIの API を呼び、結果を台帳の列に書き戻す / 貼り付けの手間と、書式のずれ
本格構成:上記+個人を特定できる語句の自動の置き換え、要注意の即時の通知、期限前と期限超過の毎朝の一覧の送信 / 回付の準備と、期限の見張り

本記事の想定は最小構成です。 月150件、2名の係なら、貼り付けの手間より、つなぐための開発と保守の手間のほうが大きくなります。 半自動化に進む目安は、件数が月に数百件を超えたときです。 貼り付けの時間が1件あたりの確認の時間に近づいたら、API で台帳と結ぶ構成を考えます。その形は UC-0293 で扱っています。 段階を飛ばさないでください。 最小構成を数か月回すと、所管表の境目と過去の仕分け例が育ちます。それが育っていない状態でつないでも、誤った候補が速く出るだけです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  150件 × 10分 ÷ 60 = 25 時間/月
導入後 150件 × 4分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
15h
削減率
60%
年間削減時間
180h
年間金額換算(時間単価3,000円)
54万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 「市長への手紙」や意見メール、問い合わせフォームで住民の声を受け付け、広聴の担当者1〜2名が1通ずつ読んで担当課を決めている市町村。月に百数十件が届き、回付先の判断がベテランの経験に頼っている場合。回答の期限を台帳で追えておらず、担当課からの回答が遅れていることに後から気づく場合。業務向けの生成AIサービスの契約はあるが、システム開発の予算や人手は無い場合。教育委員会や公立病院で、利用者の声を受け付けている部署。
向いていない
  1. 届く声が月に数十件で、担当者が読めば足りる場合。受付から回付・回答までを管理する広聴システムがすでにあり、分類と期限の管理が回っている場合。月に数百件が届き、1件ずつ画面に貼り付ける運用では追いつかない場合(API で台帳と連携する構成が向きます)。庁内のルールで生成AIサービスに住民の声を入力できない場合。なお、どの課が所管するか、どう回答するかの決定は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた声から30件を選ぶ(係長が「迷った」と覚えているものを10件以上入れる)
  2. 30件の本文を、個人を特定できる語句を ■ にして用意する
  3. ChatGPT のプロジェクトを作り、所管表と種別の定義をファイルとして置き、第7章の指示を貼る
  4. 30件を1件ずつ貼り、返ってきた1行を試しの表に貼る
  5. 第1候補と、当時実際に回付した課を突き合わせる

30件は必ずやってください。 台帳に列を足す前に、「所管表とこの指示で、どこまで候補が当たるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
第1候補か第2候補に、当時の回付先が入った台帳の列と数式の準備に進む
所管表に無い課を出した、期限を書いた指示の書き方で直る。構成は有効
境目の2課を取り違える所管表の「所管しない事務の例」が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、2年目の職員が迷っていた理由が1つ分かったということです。 その境目を所管表に書き足して、同じ30件をもう一度試してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
回答期限らしい日付を書き足す指示で禁じ、期限は台帳の数式だけにする
候補がそのまま回付先になる回付先の列を候補の列と分け、人が入れる
所管表に無い課コードが返る入力規則で弾く。指示にも「表に無い課を作らない」と書く
境目の2課を取り違える両方の課に「所管しない事務の例」を書く
前置きや補足が付いて列がずれる「書式の行だけ」と指示し、行だけを貼る
1通の2つ目の論点が漏れる論点ごとに1行、枝番を付けさせる
引用に引っぱられて前回と同じ課になる返信メールの引用を外してから貼る
所管表の新旧が両方置かれているファイル名に版を入れ、古い版を削除する
置き換えを後回しにして本文をそのまま貼る置き換えを貼る前の手順として固定する
職員ごとに別のプロジェクトで仕分ける1つのプロジェクトを係で共有し、指示を1つにする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIの出力をそのまま台帳の大事な列に入れてしまうことから起きます。期限と回付先という、漏れと誤りが住民に直接ひびく2つの列を、AIの外に置けているかで決まります。

下の2行も早く効いてきます。 置き換えの後回しは、一度でも起きれば運用そのものを止める理由になります。職員ごとのプロジェクトは、仕分けの基準が人によって分かれる、という元の問題に戻ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 住民が書いた要望・苦情・提案・質問の本文です。本文には、氏名や住所のほか、家族の事情、病気、近所とのもめごとが書かれることがあります。

  1. 個人情報を含むプロンプトを入力するなら、必要最小限であることを確かめる … 個人情報保護委員会は、行政機関等(地方公共団体の機関を含む)が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、利用目的のための必要最小限の利用又は提供であることを十分に確認するよう注意喚起しています。担当課の判断に要らない氏名や連絡先は、貼る前に置き換えます
  2. 入力した情報が機械学習に使われないことを確かめる … 同じ注意喚起は、保有個人情報が応答の出力以外の目的で扱われる場合に法の規定に違反する可能性があるとして、事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。OpenAI のヘルプでは、ChatGPT Business のワークスペースの内容は、既定で学習に使われないとされています。契約と設定を庁内で確かめてください
  3. 庁内の生成AIの利用ルールに沿わせる … 総務省は「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」を令和7年12月16日に公表し、生成AIシステム利用ガイドラインのひな形を別添として加えています。置き換える語句の範囲や、使ってよい端末を、自団体のガイドラインで先に決めます
  4. プロジェクトの共有の範囲を絞る … 共有は係の中だけにし、リンクでの共有を使いません。ワークスペースのオーナーは、プロジェクトを作成・共有できる人を役割ごとに制御できるとされています
  5. 回付先と回答はAIに決めさせない … どの課が所管するか、どう答えるかは市の責任です。この構成が出すのは候補と要旨までです
  6. 要注意の判断をAIに任せきりにしない … 印が付かなかった声でも、人が読んで気づいたものは同じように扱います

誤りが起きた場合のリスクは、誤った課に回して回答が遅れることと、期限を過ぎた声に気づかないことの2つです。 前者は候補をそのまま回付先にすると起き、後者は期限をAIに書かせると起きます。どちらも、大事な列をAIの外に置くことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:所管表を作る

事務分掌から、課コード、課名、所管する事務、所管しない事務の例の4列の所管表を作ります。約30課を一度に仕上げる必要はありません。声が多く届く上位10課と、境目で迷いやすい課から書きます。

2週目:30件で試す

先月の声から30件を選び、置き換えたうえでプロジェクトで仕分けさせます。第1候補か第2候補に当時の回付先が入るか、期限や前置きを書き足していないかを最優先で見ます。

3週目:台帳に列と数式を足す

要綱の回答期限の定めを、種別ごとの日数の表にします。 台帳に、AIの候補の列、人が入れる回付先の列、期限の数式の列を足し、種別と課コードに入力規則を付けます。あわせて、置き換える語句の範囲を庁内のガイドラインに照らして決めます。

4週目:届いた声から使い始める

新しく届いた声を、登録したその場で仕分けます。毎週月曜日に、台帳を期限の近い順に並べて未回答を確かめる作業を始めます。

2か月目: 第1候補と回付先が違った行と迷った理由を数え、所管表の境目と過去の仕分け例に書き足します。3か月目以降: 1件10分が何分になったかを実測します。期限を過ぎてから気づく声がなくなり、2年目の職員が係長に聞く回数が減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-01/最終更新:2026-10-02
確認した内容情報源確認日
プロジェクトが関連するチャット・ファイル・指示をまとめて持つこと。プロジェクトの指示がそのプロジェクトの中だけに適用され、個人のカスタム指示より優先されること。Business のプロジェクトにファイルを40個まで置け、一度にアップロードできるのは10個までであること。Business では個人やワークスペースのグループを招待でき、招待される人に編集かチャットの権限が付くこと。共有したプロジェクトが自動的にプロジェクト内だけの記憶になり、メンバー個人の記憶やプロジェクトの外の文脈にアクセスしないこと。ワークスペースのオーナーがプロジェクトの作成・共有を役割ごとに制御できること。プロジェクトを削除するとチャット・指示・プロジェクトにだけ置いたファイルが元に戻せない形で消えること。Business のワークスペースの内容が既定で学習に使われないことOpenAI Help Center: Projects in ChatGPT2026-10-01
行政機関等(地方公共団体の機関を含む)が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、利用目的のための必要最小限の利用又は提供であることを十分に確認すること。保有個人情報が応答の出力以外の目的で扱われる場合に法の規定に違反する可能性があり、事業者が機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること(令和5年6月2日)個人情報保護委員会: 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等2026-10-01
「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」が令和7年12月16日に公表され、生成AIの利用方法や利活用事例、留意事項が追加されたこと。別添として生成AIシステム利用ガイドラインのひな形が加えられたこと総務省: 「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」の公表2026-10-01

回答期限の日数、置き換える語句の範囲、どの課が所管するかは、自団体の要綱・ガイドライン・事務分掌に基づいて決めてください。 本記事は OpenAI、個人情報保護委員会、総務省の資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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