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競合する中国企業の中国語の特許公報を毎月訳して要約し、請求項の要点と自社製品との関わりを知財担当の確認一覧にする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

競合する中国企業が公開した中国語の特許公報を毎月まとめて訳し、独立請求項を要素に分けて要約します。自社製品の構成の一覧と対応づけ、知財担当が先に読むべき公報を確認一覧の上に並べます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Power Automate
対象業界
製造
対象部門
知財/研究開発
対象業務
比較検討/要約
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/情報が見つからない
AIで行う処理
翻訳
主な効果
判断支援/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
70%
年間削減
672h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 月初に、知財担当が特許データベースで12社の新しい公報の一覧を書き出す
  2. 1件ずつ機械翻訳の訳文を開き、発明の名称と要約を読んで、関係がありそうかを判断する
  3. 関係がありそうなものは、請求項の訳文を読み、独立請求項を探す
  4. 独立請求項の要素を自分で書き出し、自社製品の構成の一覧と見比べる
  5. 訳文で範囲が分からないものは、中国語を読める担当者に原文の確認を頼む
  6. 結果を、公報ごとに「関係なし」「要注意」「要検討」の3つに分けて一覧に書く
  7. 「要検討」のものを月1回の会議で設計部門と弁理士に諮る
導入後(After)
  1. 人月初に、知財担当が特許データベースから12社の新しい公報のPDFを書き出し、ドライブの受け入れのフォルダに置く
  2. 自動毎朝のスクリプトが新しいファイルを見つけ、公報番号と出願人を一覧に登録する
  3. 自動AIが公報のPDFを読み、請求項を原文のまま取り出し、1項ずつ日本語に訳す。社内の中日用語集を当てる
  4. 自動AIが独立請求項を要素に分け、要素ごとに原文と訳を並べる
  5. 自動AIが要素ごとに、自社製品の構成の一覧のどれと似ているか、どれとも似ていないかを書き出す
  6. 自動要素の対応から、公報を「優先して読む」「念のため読む」「対応なし」に規則で並べる
  7. 自動要約(何の発明か、何が新しいと主張しているか)を別の欄に書く
  8. 人知財担当が「優先して読む」から順に、原文と訳を並べた請求項を読み、判断を書く
  9. 人中国語を読める担当者は、知財担当が印を付けた要素の原文だけを確かめる
  10. 人「要検討」のものを月1回の会議で設計部門と弁理士に諮る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 月初に、知財担当が特許データベースで12社の新しい公報の一覧を書き出す
  2. 1件ずつ機械翻訳の訳文を開き、発明の名称と要約を読んで、関係がありそうかを判断する
  3. 関係がありそうなものは、請求項の訳文を読み、独立請求項を探す
  4. 独立請求項の要素を自分で書き出し、自社製品の構成の一覧と見比べる
  5. 訳文で範囲が分からないものは、中国語を読める担当者に原文の確認を頼む
  6. 結果を、公報ごとに「関係なし」「要注意」「要検討」の3つに分けて一覧に書く
  7. 「要検討」のものを月1回の会議で設計部門と弁理士に諮る

(a)中国語を読める人に仕事が集まる。 原文の確認を頼まれる1名は、自分の担当の公報に加えて、他の2名の分の確認も受けます。 月末に頼まれたものが、翌月の会議に間に合わないことがあります。

(b)機械翻訳の訳文では範囲が読めない。 機械翻訳は、請求項の長い1文を読みやすく区切り直したり、技術用語を一般的な語に置き換えたりします。「…を含む」と「…からなる」の違いや、数値の範囲の端が、訳文で消えていることがあります。

(c)要素の書き出しが人によって違う。 独立請求項をどこで区切って要素とするかは、担当者ごとに違います。区切り方が違えば、自社製品との見比べの結果も変わります。

(d)全件を同じ深さで読む余裕がない。 120件を3名で読むと、1件あたりにかけられる時間は限られます。発明の名称だけで「関係なし」にしたものの中に、請求項を読めば関係のあるものが混ざっていても、気づく機会がありません。

  1. 【人】 月初に、知財担当が特許データベースから12社の新しい公報のPDFを書き出し、ドライブの受け入れのフォルダに置く
  2. 【自動】 毎朝のスクリプトが新しいファイルを見つけ、公報番号と出願人を一覧に登録する
  3. 【自動】 AIが公報のPDFを読み、請求項を原文のまま取り出し、1項ずつ日本語に訳す。社内の中日用語集を当てる
  4. 【自動】 AIが独立請求項を要素に分け、要素ごとに原文と訳を並べる
  5. 【自動】 AIが要素ごとに、自社製品の構成の一覧のどれと似ているか、どれとも似ていないかを書き出す
  6. 【自動】 要素の対応から、公報を「優先して読む」「念のため読む」「対応なし」に規則で並べる
  7. 【自動】 要約(何の発明か、何が新しいと主張しているか)を別の欄に書く
  8. 【人】 知財担当が「優先して読む」から順に、原文と訳を並べた請求項を読み、判断を書く
  9. 【人】 中国語を読める担当者は、知財担当が印を付けた要素の原文だけを確かめる
  10. 【人】 「要検討」のものを月1回の会議で設計部門と弁理士に諮る

8番目が、この設計の分かれ目です。人が深く読むのは全件ではありません。 「対応なし」の公報は要約と要素の一覧を流し見て終わりにし、自社製品の構成と対応する要素のある公報にだけ時間を使います。 全件を同じ深さで読む運用のままでは、80.0時間はほとんど減りません。

9番目で、中国語を読める担当者に頼む範囲を「要素の原文」に絞っているのも意図してのことです。 公報1件の全文ではなく、範囲の判断に効く数語だけを確かめてもらいます。

02今回想定するシステム構成

構成図
特許データベース(12社の新しい公報の一覧とPDF)
   │  知財担当が月初に書き出す
   ▼
Google ドライブ(受け入れのフォルダ)
   ▼【トリガー】毎朝の時間主導型トリガー
Google Apps Script
   ├──▶ 新しいファイルを見つけ、公報番号・出願人を一覧に登録
   ├──▶ Files API に公報のPDFをアップロード
   ▼
Gemini API ── ①請求項の取り出しと1項ずつの翻訳(中日用語集を当てる)
   ▼
Gemini API ── ②独立請求項の要素分け(原文/訳を並べる)
   ▼
Gemini API ── ③要素ごとの自社製品の構成との対応 + 要約
   ▼
Google Apps Script ── 優先度を規則で決める(priority / check / none)
   ▼
確認一覧(Google スプレッドシート)
   ▼
【知財担当が priority から読む】── 原文の確認が要る要素だけ、中国語を読める担当へ
   ▼
月1回の会議(設計部門・弁理士)
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(請求項の翻訳、要素分け、自社製品の構成との対応づけ、要約)Claude API、OpenAI API
連携Google Apps Script(新しいファイルの検知、呼び出し、一覧への書き込み)Make、Power Automate
連携Google スプレッドシート(確認一覧、中日用語集、自社製品の構成の一覧)Microsoft Lists
保管Google ドライブ(公報のPDF)Microsoft OneDrive、SharePoint
公報の取得契約している特許データベースEPO の Open Patent Services(書誌の取得)

特許データベースとの自動の接続は、最初は作りません。 契約しているデータベースごとに書き出しの方法が違うためです。月初に人が書き出してフォルダに置く手順なら、データベースを替えても構成は変わりません。

新しい公報の一覧を自動で取りたい場合は、EPO の Open Patent Services(OPS)が候補になります。 EPO のデータに標準化された XML のインターフェースでアクセスできるウェブサービスで、データは EPO の書誌・世界の法的状態・全文・画像のデータベースから取られ、Espacenet と同じ情報源とされています。利用には登録と OAuth の認証の設定が要り、無償で使えるのは週4GBまで、それを超えると有償の契約になるとされています。中国の公報の全文がどこまで取れるかは、使う前に確かめてください。

公報のPDFは、Gemini API の文書の理解の機能で読みます。 PDFは50MBまたは1,000ページまで扱え、1ページはおよそ258トークンとして数えられます。Gemini 3 のモデルでは、PDFに埋め込まれた文字が取り出されてモデルに渡され、その文字の分はトークンとして課金されないとされています。中国の公報のPDFは文字が埋め込まれていることが多く、図面のページだけが画像として数えられます。

PDFは Files API で渡します。 大きなPDFや、同じ文書に何度も問い合わせる場合には Files API が案内されており、アップロードしたファイルは48時間で自動的に消えます。 1件の公報に3回の依頼を続けて送るので、アップロードは1回で済みます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎朝の時間主導型トリガーで、受け入れのフォルダに新しいファイルがあるかを見ます。 Google Apps Script のインストール型トリガーの時間主導型は、指定した時刻から1時間の幅のなかで動く時刻が決まるので、知財担当の始業より前の時間にします。

ファイルを置いたことを起点にしないのは、月初にまとめて100件以上を置くからです。 1件ずつ置いた瞬間に動かすと、スクリプトの1回の実行時間の中に収まらず、途中で止まった公報が残ります。毎朝、未処理のものから決まった件数ずつ処理し、数日で月の分を終える形にします。

処理済みかどうかは、一覧の状態の列で見ます。 「未処理」「処理中」「完了」「要人手」の4つで、「処理中」のまま翌朝になったものは、失敗として「未処理」に戻します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
公報のPDF書誌、要約、請求項、明細書、図面特許データベースから書き出し
公報の書誌公報番号、出願人、公開日、公報の種類(公開/登録)ファイル名と書き出しの一覧
中日用語集自社の技術分野の中国語の用語と、社内で使う日本語の訳自社で用意する一覧
自社製品の構成の一覧製品ごとの要素(材料、構造、寸法の範囲、工程)設計部門と作った一覧

質を決めるのは、下の2つです。 用語集が無いと、同じ中国語の用語が公報ごとに違う日本語になり、要素の対応づけで同じものを別のものとして扱います。 自社製品の構成の一覧が粗いと、対応づけは「どれも似ている」になります。

自社製品の構成の一覧は、請求項と同じ粒度で書きます。 「高信頼のコンデンサ」のような書き方では、請求項の要素と対応づけられません。「内部電極がニッケルを主成分とする」「誘電体層の厚さが1μm以下」のように、請求項の言い方に近づけて書きます。

Step3

データの取得方法を決める

PDFは、ドライブのファイルを読み込み、Files API にアップロードしてから依頼に添えます。 1件の公報について、①翻訳、②要素分け、③対応づけの3つの依頼を同じファイルで送ります。

取るものどこから何に使うか
公報のPDFドライブの受け入れのフォルダ3つの依頼の入力
公報番号と出願人ファイル名(書き出しの規則で付ける)一覧の行の特定
中日用語集スプレッドシート①の翻訳
自社製品の構成の一覧スプレッドシート(分野で絞る)③の対応づけ

自社製品の構成の一覧は、公報の分野で絞って渡します。 全製品の一覧を渡すと、遠い製品の要素まで「似ている」と書く候補が増えます。公報の国際特許分類と、製品ごとに持たせた分類の列を突き合わせ、関係しそうな製品の構成だけを渡します。 分類が合わないものは、全製品を渡したうえで「対応なし」になりやすいことを承知で処理します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイル名の確認 … 「公報番号_出願人.pdf」の形になっているかを確かめ、違えば「要人手」にします
  2. 大きさとページ数の確認 … 50MB、1,000ページの範囲に収まるかを確かめます
  3. 重複の確認 … 同じ発明の公開の公報と登録の公報が両方届いたら、一覧で2行を紐付けます。 登録の公報では、請求項が公開のときから変わっていることが多いからです
  4. 用語集の絞り込み … 公報の分野に関係する用語だけを取り出して渡します
  5. 製品の構成の一覧の絞り込み … 分類で関係しそうな製品だけにします
  6. ページの向きの確認 … 公式の案内でも、アップロードの前にページの向きを確かめるよう挙げられています。スキャンした公報で横向きのページがあれば直します
  7. 前月の処理の残りの確認 … 「要人手」のまま残っている公報があれば、その件数を知財担当へ知らせてから今月の分に入ります。残りに気づかないまま月が替わると、その公報は会議に一度も出ません

3番目を軽く見ないでください。 公開の公報で「対応なし」だった発明が、登録のときに請求項が補正されて、自社製品に近づいていることがあります。 紐付けておけば、登録の公報の行に「公開時からの請求項の変化」を並べて読めます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、請求項を1項ずつ原文と並べて訳すこと、独立請求項を要素に分けること、要素ごとに自社製品の構成との対応を書き出すことの3つです。

①翻訳

見るもの訳し方
請求項の1文区切り直さず、1項を1つの訳にする
移行部の語「包括」は「含む」、「由……组成」は「からなる」のように、開いた書き方と閉じた書き方を訳し分ける
数値の範囲「以上」「以下」「大于」「小于」など、端を含むかどうかを原文のとおりに
用語集の語用語集の訳を使う。用語集に無い語は、訳の後に原文を括弧で残す
引用の関係「根据权利要求1所述的」のような従属の関係を、どの項に従属するかとして書き出す

②要素分け

独立請求項を、前提部分と、特徴部分の要素に分けます。要素ごとに原文と訳を並べ、どこで区切ったかを原文の位置で示します。 区切りに迷ったときは、細かく区切る側に倒します。

element_id区切りの例(訳)
1-pre誘電体層と内部電極とが交互に積層された積層体を備える積層セラミックコンデンサであって
1-a前記内部電極がニッケルを主成分として含み
1-b前記誘電体層の厚さが0.5μm以上1.0μm以下であり
1-c前記積層体の端面に2層の外部電極が形成されている

細かく区切るのは、対応づけを要素ごとに分けるためです。 1-b と 1-c を1つの要素にすると、厚さは自社製品に近いが外部電極の層の数が違う、という区別が消えます。1つの要素に1つの条件を目安にします。

③対応づけ

対応の種類中身
similar自社製品の構成の一覧に、同じか近い要素がある
different一覧に似た要素があるが、範囲や材料がはっきり違う
absent一覧に対応する要素が無い
unclear訳だけでは対応を決められない。原文の確認が要る
させないこと理由
侵害するかどうかの結論範囲の解釈は知財担当と弁理士が原文で行う
請求項の要約で訳を代える要約は範囲を変える。訳と要約は別の欄
用語集に無い語を推測で統一する原文を括弧で残し、人が用語集に足す
数値の範囲を丸める「1μm以下」を「約1μm」にしない
権利が有効かどうかの意見先行技術の調査は別の仕事
自社製品の構成を補う一覧に書かれていない構成を、製品名から推し量らない

最後の行がいちばん起きやすい失敗です。 製品名からその製品の一般的な構成を推し量り、一覧に無い要素まで similar にします。対応づけの相手は、一覧に書かれた要素だけです。

Step6

指示内容を固定する

①翻訳の指示

あなたは製造業の知財部門で、中国語の特許公報の請求項を日本語に訳す担当です。
添付の公報PDFから、請求項(权利要求书)を取り出し、1項ずつ訳してください。

【用語集(中国語 → 社内の日本語)】{glossary}

【厳守事項】
- 1項を1つの訳にしてください。区切り直したり、まとめたりしないでください。
- 「包括」「包含」は「含む」、「由……组成」は「からなる」と訳し分けてください。
- 数値と単位、範囲の端(以上・以下・超・未満)は原文のとおりにしてください。
- 用語集にある語は、用語集の訳を使ってください。
  用語集に無い技術用語は、訳の後に(原文)を残してください。
- 従属項は、どの項に従属するかを depends_on に書いてください。
- 訳せない箇所、読み取れない箇所は「〔判読不能〕」とし、推測で埋めないでください。
- 要約や解説を書かないでください。

③対応づけの指示

あなたは製造業の知財部門で、競合の特許の独立請求項の要素と、
自社製品の構成の一覧を突き合わせる担当です。

【独立請求項の要素(原文と訳)】{claim_elements}
【自社製品の構成の一覧】{product_features}

【要素ごとに付ける対応(match)】
similar / different / absent / unclear

【厳守事項】
- 対応づけの相手は、一覧に書かれた要素だけにしてください。
  製品名から一般的な構成を推し量らないでください。
- 訳だけでは範囲が決まらないときは unclear にし、
  確認が要る原文の語を check_terms に書いてください。
- 迷ったときに absent を選ばないでください。unclear にしてください。
- 侵害する・しない、権利が有効・無効についての意見を書かないでください。
- reason には、対応づけの根拠にした語を、請求項と一覧の両方から写してください。

「迷ったときに absent を選ばない」を入れるのは、見落としが absent の側に起きるからです。 absent の要素が1つでもあると、その公報は優先度が下がります。下げてよいのは、対応が無いと言い切れるときだけです。

「包括」と「由……组成」の訳し分けを明記しないと、どちらも「含む」や「で構成される」に寄ります。 前者はほかの要素があってもよい書き方、後者はそれだけからなる書き方で、自社製品に要素が1つ多いだけで、対応の結論が逆になります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Gemini API の構造化出力で match を列挙型にしたスキーマを渡します。公式の案内では、出力がJSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するようにとされているので、スクリプトで検証します。

{
  "pub_no": "",
  "applicant": "",
  "doc_type": "application | grant",
  "claims": [
    { "no": 1, "depends_on": null, "original": "", "ja": "" }
  ],
  "independent_elements": [
    { "claim_no": 1, "element_id": "1-a", "original": "", "ja": "",
      "match": "similar | different | absent | unclear",
      "product": "", "feature": "", "reason": "", "check_terms": [] }
  ],
  "summary_ja": "",
  "priority": "priority | check | none"
}

1つ目の理由は、match と priority を別の層に置けることです。 match はAIが埋め、priority はスクリプトが規則で決めます。

priority条件
priorityある独立請求項のすべての要素が similar か unclear
checkunclear が1つでもあり、absent と different が無い独立請求項がある
noneどの独立請求項にも absent か different が1つ以上ある

unclear を similar と同じ側に置いているのが要です。 判断できない要素を、対応しない要素として扱いません。

2つ目は、スクリプトで検証できることです。 claims の項の番号が1から抜けなく続いているか、depends_on が存在する項を指しているか、独立請求項(depends_on が無い項)のすべてに要素があるかを確かめます。項が抜けていれば「要人手」にし、priority を出しません。

3つ目は、original と ja を並べられることです。 確認一覧で原文と訳を左右に並べ、中国語を読める担当者は check_terms の語だけを原文で確かめます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google ドライブスクリプトから読む公報のPDFの受け入れ
Gemini API(Files API)スクリプトから呼ぶPDFのアップロードと3つの依頼
確認一覧スクリプトが書き込む公報ごとの行と、要素ごとの行の2枚のシート
中日用語集・製品の構成の一覧スクリプトが読む依頼に添える
特許データベース人が書き出す最初は自動の接続を作らない

確認一覧は、公報ごとのシートと、要素ごとのシートの2枚にします。 公報ごとのシートで優先度と要約を見て、要素ごとのシートで原文と訳と対応を読みます。要素ごとのシートを製品で絞り込めば、「この製品に関係する今月の要素」を設計部門に見せられます。

Step9

人が確認する

  1. priority から読む … 原文と訳を並べた独立請求項を読み、範囲を自分で判断します
  2. check_terms を確かめてもらう … 中国語を読める担当者に、その語の原文での意味だけを確かめてもらいます
  3. none を流し見る … 要約と、absent になった要素を見ます。absent の理由に納得できなければ check に上げます
  4. 判断を書く … 公報ごとに「関係なし」「要注意」「要検討」を書き、要素ごとの対応を直したら記録します
  5. 用語集を足す … 訳の後に原文が括弧で残った語を、用語集に足します

3番目を省かないでください。 none の公報は件数が多いので読み飛ばしたくなりますが、規則で下げたものを一度は人の目に通すことが、第3章の(d)への答えです。

4番目で対応を直した記録は、製品の構成の一覧を直す材料にします。 absent を similar に直すことが同じ製品で続くなら、一覧にその要素の書き方が足りていません。AIの指示を直す前に、一覧の側を直します。

目標は、120件をならして1件12分です。 priority の公報には30分以上かけ、none の公報は数分で流し見ます。priority が多すぎる月は、製品の構成の一覧が粗いか、用語集が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
ファイル名から公報番号が取れない「要人手」。書き出しの規則を確かめる
請求項の項の番号が抜けている「要人手」。priority を出さない
請求項のページが画像で読めない「〔判読不能〕」の箇所を一覧に出し、人が原文を見る
用語集に無い語が多い訳の後の原文を一覧に出し、用語集に足す
公開と登録の公報が両方ある2行を紐付け、請求項の変化を並べる
製品の分類が合わない全製品の一覧を渡して処理し、一覧に印を付ける
処理が途中で止まった翌朝「未処理」に戻して再処理する
中国語以外の公報が混ざる言語を確かめ、対象外として一覧に印を付ける

下から3行目は、分類の付け方の問題です。 公報の分類が自社の製品の分類と合わないのは、競合が自社の想定と違う分野の言い方で出願していることを示すかもしれません。対応づけの結果と一緒に見ます。

Step11

記録を残す

  • 公報のPDFと、書き出した日・書き出した人
  • AIが返したJSONの全文(訳、要素、対応、要約)
  • そのとき使った用語集と、製品の構成の一覧の版
  • スクリプトが決めた priority と、その理由になった要素
  • 人が対応や優先度を直した記録 … どの要素を、どれに変えたか
  • 中国語を読める担当者が確かめた語と、その結果
  • 会議での判断と、その後の対応(設計の変更の検討、弁理士への相談)

3つ目で用語集と製品の構成の一覧の版を残すのは、どちらも毎月育つからです。 後から「なぜこの要素が absent だったか」を確かめるとき、当時の一覧に何が書かれていたかが分からないと、判断を遡れません。

04実装レベルの3段階

最小構成:公報を手でAIの画面に添え、訳・要素分け・対応づけをさせる / 1件ごとの訳と対応づけ
半自動化:上記+フォルダに置いた公報を毎朝スクリプトで処理し、訳と要素を一覧に書き出す / 訳と要素分けの一覧化
本格構成:上記+製品の構成との対応づけ、優先度の規則、公開と登録の紐付け、`check_terms` の一覧 / 月の公報の受け入れから、読む順の決定まで

半自動化で、1件40分が20分程度になります。 訳と要素の書き出しは自動になりますが、自社製品との見比べと、原文の確認の依頼が残ります。本格構成で12分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、原文の確認を頼む範囲が「公報1件」から「数語」に縮むからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、用語集に足りない語と、製品の構成の一覧の粗い箇所が先に分かります。そこを直してから対応づけを足すほうが、priority の空振りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  120件 × 40分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 120件 × 12分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
56h
削減率
70%
年間削減時間
672h
年間金額換算(時間単価4,000円)
269万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 中国に競合が多く、その企業の中国での出願を毎月見張っている製造業の知財部門。中国語を読める担当者が限られ、機械翻訳の訳文を読んで請求項の範囲を判断するのに時間がかかっている場合。自社製品の構成を要素の一覧として持っていて、請求項の要素と突き合わせる準備ができる場合。公報のPDFを、契約している特許データベースや公開の検索サービスから毎月まとめて落とせる場合。
向いていない
  1. 見張る中国の出願が月に数件で、担当者が原文で読める場合。中国の特許を、出願・権利化の手続きとして代理人と扱っており、見張りではなく手続きの翻訳が必要な場合。訳文をそのまま鑑定や警告への回答に使う必要がある場合。なお、侵害するかどうか、権利が有効かどうかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去1年の公報から、会議で「要検討」になったもの5件と、「関係なし」だったもの25件を選ぶ
  2. その30件について、当時どの要素を書き出し、どう判断したかを一覧から写す
  3. 公報のPDFと用語集を、手元のAIサービスの画面に1件ずつ添える
  4. 「請求項を1項ずつ原文と並べて訳し、独立請求項を要素に分けてください。この製品の構成の一覧と、要素ごとに似ている/違う/無い/分からない を付けてください。迷ったら分からないにしてください」と指示する
  5. 出てきた対応を、当時の判断と突き合わせる

30件は必ずやってください。 スクリプトを組む前に、「要検討になった5件が上に来るか」を確かめます。

出てきた内容判断
5件が上に来たスクリプトの連携に進む
「含む」と「からなる」を訳し分けなかった指示の書き方で直る。構成は有効
どの公報も「似ている」になった製品の構成の一覧が粗い。 一覧を請求項の粒度に書き直すのが先

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、製品の構成の一覧を請求項の言い方で書き直す必要があると分かったということです。 設計部門と1製品だけ書き直し、同じ30件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
請求項を読みやすく区切り直して訳す1項を1つの訳にと指示し、要約は別の欄にする
「含む」と「からなる」が同じ訳になる移行部の語の訳し分けを指示に書く
数値の範囲の端が変わる原文のとおりにと指示し、原文を並べて残す
製品名から構成を推し量って similar にする一覧に書かれた要素だけを相手にする
迷った要素が absent になり優先度が下がる迷ったら unclear。unclear は similar と同じ側
項が抜けたまま優先度が出る項の番号の連続をスクリプトで確かめる
どの公報も similar ばかりになる製品の構成の一覧を請求項の粒度に書き直す
用語の訳が公報ごとに違う用語集を当て、無い語は原文を残して足していく
登録の公報で請求項が変わったのに気づかない公開と登録の公報を紐付けて並べる
訳文を鑑定や警告への回答に使う訳は社内の検討用。 正式な判断は原文と専門家で

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「訳が範囲を変えてしまう」という同じ形をしています。訳を読みやすくするほど範囲がずれるので、原文と並べて残す設計にしてあるかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 競合の特許公報(公開の情報)と、自社製品の構成の一覧(材料・寸法・工程などの社外秘の情報)です。

  1. 自社製品の構成の一覧を外部へ渡す範囲を決める … 公報は公開の情報ですが、対応づけに渡す製品の構成は社外秘です。利用する生成AIのサービスの、入力の扱いの条件を確かめてから渡してください。 分野で絞って、関係する製品の分だけを渡します
  2. 対応づけの結果を社外に出さない … 「この競合の請求項と自社製品のこの構成が似ている」という一覧は、それ自体が慎重に扱うべき社内の検討資料です。 閲覧できる人を知財部と関係する設計の担当に限ります
  3. この構成は侵害や有効性の判断を代替しません … 出すのは要素の対応の候補までで、範囲の解釈と結論は、知財担当と弁理士が原文で行います
  4. 訳を正式な訳として使わない … 鑑定、警告への回答、訴訟の資料には、専門の翻訳者や代理人による訳を使ってください
  5. 用語集と製品の構成の一覧の版を管理する … どちらも判断の根拠になるので、誰がいつ何を変えたかを残します

誤りが起きた場合のリスクは、関係のある公報を優先度の低い側に落とすことと、訳が範囲を変えて判断を誤らせることの2つです。 前者は迷った要素を absent にすると起き、後者は訳を区切り直したり言い換えたりすると起きます。どちらも設計の側で防げるので、そこだけは守ります。

10まず何から始めるか

1週目:製品の構成の一覧を1製品だけ書き直す

競合の出願が最も多い分野の製品を1つ選び、構成の一覧を請求項の言い方で書き直します。 設計部門と一緒に、材料・構造・寸法の範囲・工程を要素として並べます。

2週目:30件で試す

過去の公報30件で、訳と要素分けと対応づけを手元のAIサービスで試します。会議で「要検討」になった5件が上に来るか、「含む」と「からなる」を訳し分けているかを最優先で見ます。

3週目:用語集を作る

30件の訳で、訳の後に原文が括弧で残った語を拾い、中日用語集の最初の版にします。 あわせて、公報のファイル名の付け方と、受け入れのフォルダを決めます。

4週目:フォルダから訳と要素の一覧までをつなぐ

Google Apps Script で、受け入れのフォルダの公報を毎朝処理し、訳と要素を一覧に書き出すところまで作ります。この時点では対応づけを出さず、訳と要素分けが正しいかだけを見ます。

2か月目: 製品の構成との対応づけと優先度の規則を足し、priority と check の数を毎週数えます。3か月目以降: ほかの製品の構成の一覧を書き直して広げ、1件40分が何分になったかを実測します。中国語を読める担当者への確認が数語の単位になり、月の公報がすべて会議の前に読まれた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
PDFを50MBまたは1,000ページまで扱えること。1ページがおよそ258トークンとして数えられること。Gemini 3 のモデルでは、PDFに埋め込まれた文字が取り出されてモデルに渡され、その文字の分は課金されないこと。大きなPDFや繰り返しの問い合わせには Files API が案内されていること。アップロードの前にページの向きを確かめるよう案内されていることGemini API: Document understanding2026-10-06
構造化出力で列挙型や必須の項目を指定でき、出力がJSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-06
Files API のファイルが48時間で自動的に消えることGemini API: Files API2026-10-06
インストール型トリガーに時間主導型があり、指定した時刻から1時間の幅のなかで動く時刻が決まることGoogle Apps Script: Installable triggers2026-10-06
OPS が EPO のデータに標準化された XML のインターフェースでアクセスできるウェブサービスであること。データが書誌・世界の法的状態・全文・画像のデータベースから取られ、Espacenet と同じ情報源であること。登録と OAuth の認証が要り、無償の利用が週4GBまでで、超えると有償の契約になることEPO: Open Patent Services (OPS)2026-10-06

侵害や有効性の判断、訳の正式な利用については、弁理士などの専門家と確かめてください。 本記事は上の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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