AI翻訳に任せるか人が訳すか|品質で決める線引き

AI翻訳に任せるか人が訳すか|品質で決める線引き

「もう精度が上がったから、人の確認は要らないのでは」「とはいえ、全部を人に出したら予算が持たない」——翻訳の話になると、この2つが同時に机の上に出てきます。どちらも実感としては正しいのですが、前提が1つ抜けています。翻訳の品質は「精度」という一本の目盛りでは測りません。測っているのは、あらかじめ決めた仕様に訳文が合っているかどうかです。2024年に発行された国際規格でも、評価は案件の仕様への適合で行い、好みや文体上の選択では行わないと定められています。つまり「精度が上がったから監修は要らない」は成り立ちません。成り立たないのは機械の性能が足りないからではなく、仕様を書いていないから任せる範囲を決められないという理由です。この記事では、文書の種類ごとに「そのまま出す」「人が監修する」「人が訳し直す」をどう割り振るかを整理します。


カメ先生カメ先生

AI翻訳の話は機械の精度がどこまで上がったかという話だと思われがちだけれど、本当は『どの文書にどこまでの品質を求めるか』を決める話なんだ。


カメ子カメ子

機械の側ではなく、求める側を決めるということですか。


カメ先生カメ先生

そう。まったく同じ訳文でも、社内の共有用なら合格で、契約書なら不合格になる。合否は文書の使い道で決まるからね。


カメ子カメ子

精度が同じでも判定が変わるのは、少し不思議に思えます。


この記事のポイント
  • 品質は精度ではなく仕様との一致で測る。仕様を書かないと任せる範囲も合否も決められない
  • 割り振りは3段階。損害の大きさ、読み手、拘束力、更新頻度で文書ごとに決める
  • 機械が落とすのは決まった種類。訳抜け、書かれていないことの出力、単位、固有名詞から見る

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目次

精度が上がったことと、監修が要らないことは別の話

2024年に発行された翻訳の評価に関する国際規格は、この誤解をきれいに整理しています。評価の対象には、人が訳したもの、機械翻訳を人が直したもの、そしてまだ人が直していない機械翻訳の出力までが含まれます。ただし条件が付いています。「人の要素が常に関与していること」です。規格はわざわざ、AIの計算だけに依拠する自動の品質推定とは違うと書き分けています。

この規格は4年をかけて策定され、30か国以上から翻訳会社、個人の翻訳者、業界団体、欧州委員会や欧州議会が参加しました。誤りの重大度は軽微・重大・致命的の3段階に分けます。医療の文書では、数値の誤り1つが致命的に分類されうるという例も示されています。同じ誤りが、文書によって軽微にも致命的にもなる。ここが「精度何割」という言い方では表せない部分です。

では、なぜ精度が上がったように感じるのか。機械翻訳は読みやすさが先に上がり、正しさは後から追いつくという順番で改善してきました。日本語として自然な文が出てくるので、内容が正しいかどうかを確かめる気持ちが働きにくい。この非対称が「もう任せられる」という印象を作ります。読みやすさと正しさを別に測る習慣を作るのが、最初の一手です。

任せ方は3段階に分かれる

実務で使える段階は3つです。1つ目は、機械の出力をそのまま使う。2つ目は、機械の出力を人が直す。3つ目は、人が原文から訳し直す。真ん中の「人が直す」は、国際規格では2つに分かれていて、アジア太平洋機械翻訳協会が2025年7月に公表したガイドラインでも、この分け方をそのまま採用しています。

重い側は、専門の翻訳者による翻訳と同等の品質を目指すものと定義されています。ただしガイドラインは同時に、文書の種類や用途によって求められる仕様が異なるため、すべてに同じ基準を適用することはできないと断っています。軽い側は、速さを重視して作業項目の一部を省略または簡略化するものです。具体例として、正確性が担保されていれば表現の統一は求めない、用語集を参照しない、といった合意のしかたが挙げられています。

段階の名前を覚えることに意味はありません。効くのは、段階ごとに「何を直して何を直さないか」を先に書き分けることです。同じガイドラインは、フルの側でもすべての項目が修正対象になるわけではなく、案件ごとに仕様をすり合わせる必要があると述べています。段階は入れ物で、中身は毎回決める。この理解が抜けると、見積りだけが軽くなって品質の話が消えます。

割り振りを決める5つの物差し

文書を目の前にして段階を選ぶとき、迷いを減らす物差しは5つです。順に当てていくと、たいてい3問目までで答えが出ます。

  1. 間違えたときの損害:金銭、安全、法的な責任のいずれかに直結するか。直結するなら人が訳し直す
  2. 読み手が誰か:社内の担当者か、顧客か、規制の当局か。外に出るほど段階を上げる
  3. 専門用語の密度:1段落に社内用語や業界用語が3つ以上出るか。多いほど用語集の参照が必須になる
  4. 法的な拘束力:署名や合意の対象になるか。なるなら機械の出力をそのまま出すことはできない
  5. 更新の頻度:月単位で変わるか。頻繁なら軽い監修で回し、代わりに用語集を厚くする

5つのうち、実務でいちばん効くのは1つ目と4つ目です。損害と拘束力の2問だけで、そのまま出してよい文書とそうでない文書はほぼ分かれます。残りの3つは、監修の重さと、用語集にどれだけ手をかけるかを決めるための物差しです。

逆に、物差しに入れないほうがよいものもあります。分量と納期です。「今週中に必要だから、そのまま出す」という決め方をすると、損害の大きい文書が軽い段階に流れます。ガイドラインも、優先する点によっては想定した品質を実現できず、機械翻訳を人が直すという進め方そのものが適さないケースもあると明記しています。間に合わないなら、出す範囲を狭めるほうが正しい対処です。

文書別の割り振り表

5つの物差しを当てた結果を、よく出てくる文書で表にします。自社の事情で上下することはありますが、出発点としては使えます。

文書の種類段階そう決める理由
海外からの受信メールの内容把握そのまま出す読み手が担当者本人で、誤りに気づいたら原文を見に戻れる
社内の情報共有メモや議事の共有そのまま出す外に出ず、拘束力もない。速さの価値が誤りの損害を上回る
社内規程や手順書の翻訳人が監修する社員が判断の根拠にする。用語の統一が必要になる
製品のマニュアルと画面の文言人が監修する更新頻度が高く、書式や表示の崩れが起きやすい
Webサイトの製品紹介ページ人が監修する外に出るが拘束力はない。言い回しは仕様で決める
広告の見出しと短い訴求文人が訳し直す流暢さと訴求が成果に直結し、直訳が使えない
契約書と利用規約人が訳し直す署名と合意の対象で、否定や範囲の取り違えが致命的になる
プレスリリースと開示文書人が訳し直す撤回できず、数値と固有名詞の誤りが記録として残る
安全や健康にかかわる説明人が訳し直す数値1つの誤りが致命的に分類される領域
特許の明細書人が訳し直す読みやすさより正確さを優先する必要がある

表の下2つは、ガイドラインが例示している優先順位をそのまま反映しています。特許の明細書では請求項を審査官に正しく理解してもらうため読みやすさよりも正確さを優先することがある一方、マーケティング文書では意思決定者に訴求したい内容を伝えることが目的なので流暢さを優先しうる、という書き分けです。同じ「品質が高い訳文」でも、方向が逆になります。

品質は好みではなく、仕様との一致で測る

段階を決めても、合否の判断が人によって揺れると運用が続きません。ここで効くのが、誤りの類型を先に共有しておくことです。国際規格の誤り分類はある評価の枠組みをもとに作られており、7つの大分類と34の小分類に整理されています。もとになった枠組みでは、7つの大分類の中に50を超える小分類があります。

7つの大分類を日本語にすると、用語、正確性、言語的な慣習、文体、仕向け先の慣習、想定読者への適切性、体裁と印付けです。誤訳と訳抜けは正確性を構成する要素として定義されています。この並びを共有しておくと、監修者が入れた赤字が「仕様に反しているから直した」のか「好みで直した」のかを分けられます。分けられないままだと、赤字の量が品質の指標にすり替わります。

規格が仕様への適合で判断すると定めているのは、評価者どうしの一致度を上げるためです。好みを排除すると、監修者が交代しても合否が変わらなくなります。属人的な品質から抜け出す道はここしかありません。逆に言えば、仕様を書いていない案件では、誰が監修しても結果は安定しません。

品質仕様書に、何を直して何を直さないと書くか

ガイドラインには、軽い監修の場合の作業項目の一覧が例として載っています。丸と罰の付き方を見ると、機械翻訳を人が直すという工程の性格がよく分かります。次の表は、その一例を実務向けに並べ直したものです。

誤りの種類軽い監修で直すか判断の目安
誤訳直す内容が変わるものは段階に関係なく直す
訳抜け直す行単位で突き合わせないと見つからない
書かれていないことの追加直す内容が増えているのは誤りとして扱う
原文がそのまま残っている直す見つけやすく、放置すると未完成に見える
文法の誤りと誤字直す読み手が意味を取り違える原因になる
数字と通貨の書式直す桁区切りと通貨の記号は誤ると損害に直結する
尺度と単位直す換算の有無で意味が変わるため対象から外せない
時間と日付の書式直す月と日の順序が国で違い、取り違えが起きる
句読点の用法直さない意味が変わらない範囲は対象外にして速さを取る
わかりにくい表現直さない読みやすさの改善は重い監修の担当範囲
用語の不統一直さない統一を求めるなら仕様に書き、用語集を渡す
固有名詞の調査直さない調べる作業は別の工程として発注する

表の右下4行が肝です。ガイドラインのサンプル集では、方針として記号の全角と半角、長音の有無(ユーザとユーザー)は直さない、読みやすさは直さない、人名や製品名の調査はしないと明記した例が示されています。つまり軽い監修に出した訳文で表記が揺れていても、それは事故ではなく仕様どおりです。ここを共有していないと、納品物を見た側が品質不良だと判断して差し戻します。

実務では、この表を案件ごとに1枚作ります。行は追加も削除もしてよいとガイドラインが明示しているので、自社に不要な行は消して構いません。大事なのは網羅ではなく、直さないと決めた項目が書いてあることです。直すものだけを書いた仕様書は、結局すべてを直させることになります。

機械が構造的に落とす5つの種類

どこを見るかを決めておくと、監修の時間が半分になります。日本語と英語の間で機械翻訳が落としやすいのは、次の5種類です。文法の間違いではなく、原文に情報が無い箇所を機械が埋めるときに起きる種類の誤りです。

1つ目は主語の補いです。日本語は主語を省くので、英語にするときに機械が主語を決めます。社内文書の「確認します」が、誰が確認するのかを取り違えて訳される。2つ目は否定の範囲です。「すべての機能が使えるわけではない」という文で、否定がどこまでかかるかを機械が誤ると、意味が反転します。反転した訳文は日本語としても英語としても自然に読めるため、突き合わせないと気づけません

3つ目は敬体の一貫性です。文書の途中で丁寧さの段階が変わり、契約の文書に会話調が混じります。4つ目は単位と数値の表記です。桁の区切り、通貨の記号、月と日の順序、尺度の換算。ガイドラインの一覧で数字や尺度や日付の書式が軽い監修でも修正対象になっているのは、機械が落としやすく、かつ誤ると損害が出る領域だからです。5つ目は固有名詞で、人名や製品名は正しい綴りを調べないと直りません。同じ一覧で固有名詞の調査が対象外に置かれているのは、その作業が別の工程だという意味です。

大きな言語モデルに任せると、増える失敗の型が変わる

機械翻訳の方式が変わったことで、失敗のしかたも変わりました。ガイドラインの付録には、方式ごとの特徴が整理されています。ニューラル方式については、文としての自然さが非常に高い一方で誤訳があった場合に気づかない可能性があると書かれています。さらに、入力文に書かれていないことを出力する現象が起きることもある、とされています。

大きな言語モデルについての記述はもっと踏み込んでいます。「そもそも翻訳のために作られたものではなく、たまたま翻訳の能力も備えているだけである」という位置づけから始まり、自然さはニューラル方式以上、長文を一度に扱える、文体の制御もある程度できるとしたうえで、起こりうる問題を4つ挙げています。1文が丸ごと訳文から抜ける、部分的に抜ける、原文を勝手に解釈して別の表現にする、書かれていないことを出力する

この4つに共通するのは、訳文だけを読んでいては発見できないことです。抜けた1文は、抜けたことによって不自然になりません。だから監修の手順は訳文を読むのではなく、原文と訳文を行単位で並べて数を合わせるところから始めます。抜けの有無を機械の自己申告で済ませないことも重要です。抜けを見落とした仕組みに、抜けの有無を尋ねても意味がありません。

用語集は、訳す語より訳さない語から作る

用語集の効果は、監修の重さを1段下げられるところにあります。用語の不統一が軽い監修の対象外に置かれるのは、統一の判断に時間がかかるからです。逆に言えば、判断済みの一覧を渡せば、対象外にする理由が消えます。ガイドラインも、出力の質が悪い場合の対策として訳文で使用されるべき用語集の指定と、機械翻訳の出力への適用を挙げています。

持つべき列は5つです。原語、採用する訳語、そのまま出す語、使ってはいけない訳語、決めた根拠と決定日。3つ目と4つ目が抜けている用語集をよく見かけますが、実務で事故を防ぐのは、この2列です。製品名や社内の呼称を訳してしまう事故は、そのまま出す語の一覧が無いために起きます。過去に却下した訳語を書いておかないと、担当が変わるたびに同じ訳語が復活します。

  • そのまま出す語には、製品名、社内の部署名、外部に公表している名称を入れる
  • 使ってはいけない訳語には、却下した理由を1行添える。理由がないと復活する
  • 表記の揺れを直したいなら、長音や送り仮名の方針を用語集ではなく仕様書に書く
  • 決定日を入れる。方針が変わった時点より前の訳文は、直さないと決めておく
  • 行数は増やしすぎない。参照されない用語集は、無いのと同じ扱いになる

なお、翻訳支援の道具を併用する場合は、過去の訳文を再利用する仕組みが働きます。ガイドラインの付録では、一致率が一般的には75%を上回る文には過去の訳文を使い、それ以外を機械翻訳で訳す組み合わせが示されています。用語集を整えると、この再利用の質も一緒に上がります。

直すのは訳文より先に、原文のほうが速い

監修の負荷が想定より高いとき、原因が訳文の側にないことがあります。ガイドラインは、原文の質が悪いために出力が悪くなり、作業の負荷が高くなる場合を1つの型として扱っています。この場合の対策として挙げられているのは4つです。原文で使われている用語の統一、主語と係り受けの関係の明確化、書式の修正、そして機械翻訳の使用自体の中止です。

4つ目が並んでいることには意味があります。原文が壊れている文書に機械翻訳をかけ、出力を人が直すという工程は、人が最初から訳すよりも遅くなることがある。この判断を工程の途中で下せるようにしておかないと、負荷だけが膨らみます。機械翻訳を使わないという選択が、手順書に書かれているかどうかを確かめてください

原文を直す効果は、同じ文書を複数の言語に出すときに大きくなります。原文の主語を1か所補えば、その効果は出力するすべての言語に及びます。訳文を5言語分直すのと、原文を1回直すのでは、手数が5倍違います。多言語で出す予定がある文書は、原文を書く段階で1文を短くし、社内用語を統一しておくほうが確実です。

監修者に何を渡すか

監修の結果が振れる原因の大半は、渡すものが足りていないことにあります。訳文だけを渡された監修者は、どこまで直すべきかを自分で決めるしかありません。結果として、全部を直す人と何も直さない人に分かれます。渡す順番を決めておくと、この振れが止まります。

STEP1
原文と訳文を、行単位で並べたものを渡す

並べるのは抜けを見つけるためです。訳文だけでは、1文が丸ごと抜けていても不自然になりません。行の数が合っているかを最初に確認できる形にします。

STEP2
品質仕様書を渡す

直す項目と直さない項目の一覧です。直さない項目が書いてあることが重要で、これがないと監修者は読みやすさの改善まで踏み込みます。

STEP3
用語集と、そのまま出す語の一覧を渡す

訳語を選ぶ判断を監修者に委ねないための材料です。載っていない用語が出てきたら、勝手に決めずに質問として戻す運びも決めておきます。

STEP4
サンプル集を渡す

この程度まで直す、という実例です。ガイドラインは、継続的な案件では過去の作業をもとにサンプル集を作ると、どの項目をどこまで直すかの明確なイメージを持ってもらえるとしています。

初回の案件では、サンプル集の代わりに先行して少量だけ作業する方法が示されています。受託する側が先に少量を仕上げて委託する側に提示し、目標とする品質基準に食い違いがないかを確認する。全量を仕上げてから基準がずれていたと分かるのが、最も高くつく失敗です。少量の先行は、数日の遅れで数週間の手戻りを防ぎます。

品質が悪いときは、3つの由来に切り分ける

納品物の質が低いとき、監修者の力量に原因を求めるのは早すぎます。ガイドラインは問題の由来を3つに分けています。原文の質に起因するもの、機械翻訳の出力の質に起因するもの、そして作業者に起因するものです。この順に確かめると、対策が的を外しません。

作業者に原因があると見えた場合でも、確かめる項目が並んでいます。要求仕様に不明瞭な点はないか、要求仕様に照らして作業者の許容量を超えた発注がされていないか、適正な単価で依頼されているか、作業指示に不明瞭な点はなかったか、道具や環境に問題はなかったか。最初に見るのが仕様の不明瞭さで、力量の話は後ろに置かれています。順番が逆になると、人を替えても同じ結果が出ます。

対策は短期と恒久に分けます。短期は、原因を踏まえて再作業の内容を合意すること。依頼の時点で含まれていなかった要求仕様については、追加の作業として扱うとされています。恒久は、工程そのものを再設計し、次の案件で洗い出した項目が是正されているかどうかを確認するところまでを1組にすることです。確認の工程を入れないと、再設計したという記録だけが残ります。

持ち出しの条件を、着手より前に決める

最後に、実務でいちばん事故が起きる箇所です。翻訳にかける文書には、契約の条件、価格、顧客の名前、未公表の計画が入ります。ガイドラインは、機械翻訳の処理を始める前に合意しておく項目として、情報の扱いを3つ挙げています。入力したデータを提供事業者が再利用するかどうか、機械翻訳が実行される国や地域、提供事業者側がデータを保持するかどうかとその期間です。

この3つを決めていない状態で、担当者が手元の窓口に文書を貼るのが、最も多い持ち出しの型です。防ぐ方法は単純で、文書の種類ごとに、使ってよい窓口を紐づけた一覧を1枚作ることです。社内の共有メモはこの窓口、顧客名が入るものはこちら、契約書は翻訳にかけずに人へ、という形で3行あれば足ります。

同じ章では、実現可能性についても3点が挙げられています。サービスと対象分野の相性、機械翻訳を使うことで効率化が図れるかどうか、対象の言語に対応しているかどうか。効率化が図れるかどうかを、着手の前に確かめる項目として置いている点が実務的です。英語と日本語では成り立つ組み合わせが、言語が変わると成り立たないことがあります。組み合わせごとに、少量で試してから決めてください。

やりがちな失敗

相談を受けていて繰り返し出てくる型を並べます。どれも機械の性能ではなく、決めていないことが原因です。

  • 読んで違和感がなければ合格にする:読みやすさが先に上がるので、抜けと取り違えが素通りする
  • 直す項目だけを書いた仕様書を渡す:直さない項目が無いため、監修者が全文に手を入れて費用が膨らむ
  • 訳文だけを監修者に渡す:行を突き合わせられないので、1文丸ごとの抜けが最後まで残る
  • 納期を理由に段階を下げる:損害の大きい文書が軽い工程に流れ、事故の確率だけが上がる
  • 用語集に採用する訳語しか書かない:そのまま出す語と却下した訳語が無く、担当交代で振り出しに戻る
  • 品質不良の原因を作業者に求める:仕様の不明瞭さと発注量を先に見ないため、人を替えても再発する

6つのうち、最初の型が入口になっています。合否の基準を「違和感がないか」に置いた時点で、残りの5つが順番に起きます。基準を仕様との一致に置き換えることが、他の5つを同時に塞ぐ手になります。

よくある質問

機械にかけた後、日本語として読んで問題なければ合格でよいですか

それだけでは足りません。読みやすさは先に上がる一方、原文の1文が丸ごと抜けていても文としては自然に読めます。合否は、原文と行単位で突き合わせたうえで、仕様で直すと決めた項目に違反していないかで判断してください。

軽い監修と重い監修では、費用はどれくらい違いますか

公表された相場を一律に示すことはできません。差が生まれるのは作業項目の数だからです。直す項目を10個に絞るのか、文体と用語の統一まで含めるのかで工数が変わります。見積りを比べるときは金額ではなく、直す項目の一覧を並べて比べてください。

原文を書くときに気をつければ、監修を軽くできますか

できます。効くのは、1文を短くする、主語を省かない、社内用語をそろえる、数値と日付の書式をそろえるの4つです。複数の言語に出す予定があるなら、原文を1回直す効果が言語の数だけ効きます。

用語集がまだ無い場合は、どこから作ればよいですか

そのまま出す語から作ってください。製品名、部署名、外部に公表している名称を並べるだけで、訳してはいけないものを訳す事故が止まります。訳語を1つずつ決めていく作業は、案件が動き始めてからでも間に合います。

英語から日本語と、日本語から英語で、判断は変わりますか

変わります。日本語から英語に出す場合は、機械が主語や単数と複数を決める場面が増えるため、確かめる箇所が増えます。同じ段階の名前を使っていても中身は別なので、方向ごとに仕様を分けて書いてください。

まとめ

AI翻訳をどこまで任せるかは、機械の精度で決まりません。2024年発行の国際規格が示しているのは、品質は案件の仕様への適合で測り、好みや文体上の選択では測らないという考え方です。その規格は、人が直していない機械翻訳の出力までを評価の対象に含めつつ、人の要素が常に関与していることを条件にしています。任せ方は3段階で、そのまま出す、人が監修する、人が訳し直すに分かれます。割り振りは、間違えたときの損害、読み手が誰か、専門用語の密度、法的な拘束力、更新の頻度の5つで決められますが、実務では損害と拘束力の2問でほぼ分かれます。段階を決めた後にやることは、直す項目と直さない項目を1枚に書くことです。アジア太平洋機械翻訳協会が2025年7月に公表したガイドラインでは、軽い監修の例として、記号の全角と半角、長音の有無、読みやすさ、人名や製品名の調査を対象外にした一覧が示されています。機械が落としやすいのは、主語の補い、否定の範囲、敬体の一貫性、単位と数値の表記、固有名詞の5種類。大きな言語モデルでは、1文丸ごとの抜け、部分的な抜け、勝手な解釈、書かれていないことの出力が起こりうると同じガイドラインが指摘しています。だから監修は訳文を読むことから始めず、原文と行単位で並べて数を合わせるところから始めます。負荷が高いときは訳文より先に原文を疑い、用語の統一と主語の明確化、書式の修正で足りなければ、機械翻訳を使わない判断も手順に入れておく。持ち出しについては、入力したデータの再利用、実行される国や地域、保持の有無と期間の3点を着手前に合意し、文書の種類ごとに使ってよい窓口を紐づけた一覧を1枚作ってください。まずは自部門で翻訳している文書を10種類書き出し、損害と拘束力の2問だけを当ててみてください。そのまま出してよいものと、そうでないものの線がその場で引けます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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