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自社アカウントに付くSNSのコメントとメッセージを仕分けて、炎上の兆しと返信が要るものを拾い上げる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

企業アカウントに付くコメントとメッセージを1件ずつ仕分け、返信が要るもの、担当部署へ回すもの、放っておいてよいものに分けます。同じ論点の批判が増え始めた投稿は、件数の集計から拾い上げて知らせます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
EC/小売/広告/飲食
対象部門
カスタマーサポート/マーケティング
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
人手が足りない/問い合わせが多い/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
120h/月
AI導入後
36h/月
想定削減
70%
年間削減
1,008h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当者が朝と夕方に、各アカウントの管理画面を開く
  2. 新しいコメントとメッセージを1件ずつ読む
  3. 対応ルール表に照らし、返信が要るか、広告主の窓口へ回すか、放っておくかを決める
  4. 対応が要るものを対応記録のスプレッドシートに書き写し、緊急度を付ける
  5. 急ぐものは、社内チャットで広告主の担当営業に知らせ、広告主へ連絡してもらう
  6. 同じ投稿に批判が続いていると感じたら、上長に相談する
  7. 返信が要るものは、ルール表の定型文を使って返信する
導入後(After)
  1. 自動Facebook ページのコメントとメッセージは、届いたときにシナリオが動く
  2. 自動Instagram のコメントは、15分ごとに最近の投稿のコメントを取りに行く
  3. 自動取得した書き込みから、処理済みのものと広告主自身の返信を除く
  4. 自動AIが1件ずつ、種類・論点・否定か肯定か・緊急度に仕分ける
  5. 自動仕分けの結果をデータストアにため、投稿ごと・論点ごとの件数を1時間単位で数える
  6. 自動安全に関わる申し出は、確からしさにかかわらず、すぐに担当者と広告主の担当営業へ知らせる
  7. 自動同じ論点の否定的な書き込みが基準を超えて増えた投稿は、「増加の知らせ」として上長へ知らせる
  8. 自動返信が要るもの、窓口へ回すものを、対応記録のスプレッドシートに書き込む
  9. 人担当者が対応記録を上から見て、仕分けを確かめ、返信や連絡を行う
  10. 人上長が増加の知らせを見て、広告主の広報へ連絡するかを決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当者が朝と夕方に、各アカウントの管理画面を開く
  2. 新しいコメントとメッセージを1件ずつ読む
  3. 対応ルール表に照らし、返信が要るか、広告主の窓口へ回すか、放っておくかを決める
  4. 対応が要るものを対応記録のスプレッドシートに書き写し、緊急度を付ける
  5. 急ぐものは、社内チャットで広告主の担当営業に知らせ、広告主へ連絡してもらう
  6. 同じ投稿に批判が続いていると感じたら、上長に相談する
  7. 返信が要るものは、ルール表の定型文を使って返信する

(a)読む回数が1日2回しかない。 朝に読んだ後、夕方までの8時間は誰も見ていません。健康被害の申し出が昼に書き込まれると、気づくのは夕方です。 広告主のルール表にある「1時間以内」は、いまの回し方では守れない日があります。

(b)埋もれる。 キャンペーンの投稿に「応募しました」が300件付いた中に、「この前買った商品に異物が入っていた」が1件混ざっていても、300件を読み進めるうちに流れていきます。 読む速さを上げるほど、1件ずつの注意は薄くなります。

(c)増え方に気づけない。 6番目の「批判が続いていると感じたら」は、担当者の感覚です。 同じ論点の書き込みが朝に3件、夕方に15件あっても、2回に分けて読むと、それぞれは「少しある」に見えます。件数を数えている人がいません。

(d)担当者によって仕分けが違う。 「値段が高い」は批判か、意見か、放っておいてよいか。ルール表に書かれていない書き込みは、担当者の判断で分かれます。 同じ広告主でも、担当が替わると対応記録の付け方が変わります。

  1. 【自動】 Facebook ページのコメントとメッセージは、届いたときにシナリオが動く
  2. 【自動】 Instagram のコメントは、15分ごとに最近の投稿のコメントを取りに行く
  3. 【自動】 取得した書き込みから、処理済みのものと広告主自身の返信を除く
  4. 【自動】 AIが1件ずつ、種類・論点・否定か肯定か・緊急度に仕分ける
  5. 【自動】 仕分けの結果をデータストアにため、投稿ごと・論点ごとの件数を1時間単位で数える
  6. 【自動】 安全に関わる申し出は、確からしさにかかわらず、すぐに担当者と広告主の担当営業へ知らせる
  7. 【自動】 同じ論点の否定的な書き込みが基準を超えて増えた投稿は、「増加の知らせ」として上長へ知らせる
  8. 【自動】 返信が要るもの、窓口へ回すものを、対応記録のスプレッドシートに書き込む
  9. 【人】 担当者が対応記録を上から見て、仕分けを確かめ、返信や連絡を行う
  10. 【人】 上長が増加の知らせを見て、広告主の広報へ連絡するかを決める

6番目と7番目を分けているのが、この設計の中心です。 6番目は1件で動き、7番目は件数で動きます。安全に関わる申し出は、増えるのを待ってはいけません。 一方の炎上の兆しは、1件では分かりません。

9番目で担当者が見るのは、仕分けの済んだ一覧です。 管理画面を開いて1件ずつ読む作業はなくなり、対応が要るものが上に、反応だけのものが下に並んだ一覧を確かめます。

02今回想定するシステム構成

構成図
Facebook ページ              Instagram(ビジネスアカウント)
  コメント・メッセージ           投稿のコメント
      │                             │
      ▼【トリガー】届いたとき         ▼【トリガー】15分ごと
Make ── 処理済み・自社の返信を除く
      ▼
Claude API ── 1件ずつ仕分ける
      │   ① 種類   ② 論点   ③ 否定・肯定   ④ 緊急度
      ▼
Make ── データストアにため、投稿×論点×1時間で件数を数える
      │
      ├──▶ 安全に関わる申し出 ── すぐに担当者と担当営業へ(Slack)
      ├──▶ 否定的な書き込みの増加 ── 上長へ(Slack)
      └──▶ 対応記録(スプレッドシート)へ書き込む
      ▼
【担当者が一覧を確認し、返信・連絡】
役割想定する製品代替候補
ワークフローMaken8n、Zapier、Power Automate
生成AIClaude API(Make の Anthropic Claude アプリから呼ぶ)OpenAI API、Gemini API
保管Make のデータストア(件数の集計用)Google スプレッドシート
対応記録Google スプレッドシートMicrosoft Excel、問い合わせ管理ツール
通知SlackMicrosoft Teams

SNSからの取り込みは、Make に用意されているアプリで組みます。 Facebook Pages アプリにはコメントを見張る「Watch Comments」のほか、コメントの一覧・取得・作成・編集・削除のモジュールがあります。Facebook Messenger アプリにはメッセージを受け取る「Watch messages」があり、トリガーには Facebook の開発者ポータルで確認用のトークンを設定した webhook が要ります。

Instagram は、Instagram for Business アプリを使います。 使うのは「List posts」で最近の投稿を取り、「List post comments」でそのコメントを取る組み合わせです。つなぐには、Instagram のアカウントとつながった Facebook ページの管理者と同等の権限と、ビジネスアカウントが要ります。クリエイターアカウントには対応していないとされています。

このアプリの一覧には、ダイレクトメッセージを扱うモジュールが見当たりません。 そのため本記事では、Instagram のメッセージは対象外とし、管理画面で読む運用を残します。取り込むなら、Instagram のAPIを直接呼ぶ個別の実装が要ります。X(旧Twitter)など他のSNSも、この記事では扱いません。

AIは、Make の Anthropic Claude アプリの「Create a Prompt」から呼びます。 決まった形のJSONで返させるための細かい指定が要るときは、同じアプリの「Make an API Call」でAPIを直接呼べます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

トリガーは、SNSごとに2種類を使い分けます。

経路動き方使うモジュール
Facebook ページのコメント届いたときFacebook Pages の Watch Comments
Facebook ページのメッセージ届いたときFacebook Messenger の Watch messages
Instagram のコメント15分ごとInstagram for Business の List posts → List post comments

Instagram のコメントを15分ごとにしているのは、コメントを見張るモジュールが一覧に無いためです。 Make のシナリオは、既定では15分ごとに動くとされており、最短の間隔は契約しているプランで決まります。 安全に関わる申し出を1時間以内に回すには、15分でも余裕があります。

届いたときに動くトリガーは、「データが届いたらすぐ」の実行になります。 この場合、1分あたりの実行回数に上限を設定でき、既定は100回とされています。上限を超えた分は順番待ちになり、少しずつ処理されるので、キャンペーンの直後に書き込みが集中しても取りこぼしません。

取りに行く投稿は、直近14日分に絞ります。 古い投稿に付くコメントは少なく、毎回全投稿を取りに行くと実行の回数が無駄に増えます。14日より古い投稿に付いたコメントは、週に1回まとめて取りに行きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
書き込み本文、書き込んだアカウントの表示名、日時、コメントかメッセージか、返信先Facebook ページ/Instagram
投稿投稿の本文、投稿日時、キャンペーンかどうかFacebook ページ/Instagram
広告主の対応ルール表種類ごとの対応(返信する/窓口へ回す/放っておく)、連絡先、急ぐ基準スプレッドシート
論点の一覧広告主ごとに、いま出ている論点の名前(例:「値上げ」「配送の遅れ」「成分表示」)スプレッドシート
同じアカウントの過去の書き込み同じ人が以前に書き込んだ内容と、その対応対応記録

質を決めるのは、下の3つです。 対応ルール表が無いと、仕分けても次に何をするかが決まりません。論点の一覧が無いと、同じ話題の書き込みをAIが毎回違う言葉で名付け、件数が数えられなくなります。

論点の一覧は、固定ではなく育てていきます。 AIが一覧のどれにも当たらないと判断した書き込みは「新しい論点の候補」として出し、担当者が一覧に足すかを決めます。 一覧に無い言葉でAIが勝手に論点を作ることは許しません。

投稿の本文も渡します。 「これはひどい」は、新商品の告知への書き込みなら批判ですが、「ひどい雨の日の特別セール」という投稿への書き込みなら、投稿の言葉をなぞっただけかもしれません。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどう取るか注意すること
Facebook ページのコメントWatch Commentsページの接続に Facebook アカウントが要る
Facebook ページのメッセージWatch messages開発者ポータルで確認用のトークンを付けた webhook を設定する
Instagram の投稿List postsビジネスアカウントに限る
Instagram のコメントList post comments投稿ごとに取る。前回取った時刻より後のものに絞る
返信の連なりList comment replies返信の中にも申し出が書かれることがある

Facebook Messenger アプリには注意点があります。 開発者でないアカウントに対しては、アプリが正式に公開されるまで応答しないとされています。検証のあいだは、開発者の役割を持つアカウントから送って確かめます。

返信の連なりも取ります。 広告主の定型の返信に対して、「その対応では困ります」と続けて書かれることがあります。親のコメントだけを取っていると、いちばん怒っている書き込みを見落とします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 処理済みを除く … コメントのIDをデータストアに持ち、すでに仕分けたものは渡しません
  2. 自社の返信を除く … 広告主のアカウント自身の書き込みは仕分けの対象から外します
  3. 絵文字だけ・スタンプだけの書き込みをまとめる … 本文が絵文字だけのものは、AIに渡さず「反応」に入れます
  4. 明らかな宣伝の書き込みを分ける … 同じ文面が複数の投稿に貼られているものは、件数を数えて「宣伝・スパムの候補」に入れます
  5. 個人情報らしき文字列に印を付ける … 電話番号・メールアドレスの形の文字列があれば印を付けます(例外処理を参照)
  6. 投稿の本文と、同じアカウントの過去の書き込みを添える … 直近3件までにします

3番目と4番目で、AIに渡す件数が大きく減ります。 キャンペーンの投稿に付く書き込みの多くは、絵文字や「応募しました」だけです。全部をAIに渡す必要はありません。 ただし、「応募しました」に続けて苦情が書かれていることがあるので、文字の書き込みは短くてもAIに渡します。除くのは、本文が絵文字だけのものに限ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、1件ずつに4つの印を付けることです。

付ける印選ぶ値判断できないときの扱い
種類安全に関わる申し出/商品・サービスの問い合わせ/注文・配送の苦情/キャンペーンの問い合わせ/意見・批判/権利に関わる指摘/反応/宣伝・スパムの候補迷えば needs_review
論点論点の一覧のどれか。当たらなければ「新しい論点の候補」一覧に無い言葉で作らない
向き否定的/中立/肯定的皮肉か本気か分からなければ unclear
緊急度対応ルール表の基準に当たるかどうか基準に書かれていなければ normal

安全に関わる申し出の定義は、広く取ります。 体調の悪化、けが、異物、アレルギー、発火・発煙、子どもの誤飲。書き込んだ本人のことでなくても、「家族が」「友人が」も含めます。 この種類に当たる可能性が少しでもあれば、この種類として印を付けさせます。

させないこと理由
炎上するかどうかの判定1件からは分からない。件数の増え方は機械が数える
返信の文面の作成何を言うかは広告主の方針と、その時の状況で決まる
非表示・削除の提案書き込みを隠すかは人が決める。隠したこと自体が批判を呼ぶことがある
書き込んだ人の属性の推測年齢・性別・所属を推測して付けない
事実かどうかの判断「異物が入っていた」が本当かは、窓口が確かめる

最後の行を守らないと、安全に関わる申し出が落ちます。 「写真が無いので本当かどうか分からない」とAIが判断して緊急度を下げると、本当だったときに、窓口へ回すのが遅れます。 事実かどうかにかかわらず、申し出があったこと自体を拾います。

Step6

指示内容を固定する

あなたは企業のSNSアカウントの運用担当の補助として、投稿に付いた
コメントとメッセージを仕分ける立場です。
渡す書き込みと投稿だけを見て仕分けてください。推測で補わないでください。

【やること】
書き込み1件ごとに、次の4つを選んでください。
1. category(種類)
   safety ........ 体調の悪化、けが、異物、アレルギー、発火・発煙、誤飲など、
                   身体や安全に関わる申し出。本人以外(家族・友人)のことも含む
   product_q ..... 商品・サービスについての質問
   order_issue ... 注文・配送・返品についての苦情や問い合わせ
   campaign_q .... キャンペーン・懸賞についての質問
   opinion ....... 意見・批判(価格、表現、企業の姿勢など)
   rights ........ 著作権・肖像・表示についての指摘
   reaction ...... 感想・あいさつなど、対応の要らない反応
   spam .......... 宣伝・なりすましの疑い
2. topic(論点)… 論点の一覧から1つ選んでください。
   当たるものが無ければ "new_candidate" とし、topic_note に10字以内で
   内容を書いてください。一覧に無い名前を topic に入れないでください。
3. sentiment(向き)… negative / neutral / positive / unclear
4. urgent(緊急度)… 対応ルール表の急ぐ基準に当たれば true

【厳守事項】
- safety に当たる可能性が少しでもあれば、safety を選んでください。
  迷ったときに safety 以外を選ばないでください。
- 申し出が事実かどうかを判断しないでください。写真や証拠が無いことを
  理由に、種類や緊急度を下げないでください。
- この書き込みで炎上するかどうかを判断しないでください。
- 返信の文面を書かないでください。非表示や削除を勧めないでください。
- 書き込んだ人の年齢・性別・所属を推測しないでください。
- 皮肉か本気か分からない書き込みは、sentiment を unclear にしてください。
- 投稿の本文の言葉をなぞっただけの書き込みを、批判として扱わないでください。
- reason に、選んだ根拠になった書き込みの中の言葉をそのまま写してください。

【投稿の本文】{post_text}
【論点の一覧】{topics}
【対応ルール表の急ぐ基準】{urgent_rules}
【同じアカウントの過去の書き込み】{history}
【仕分ける書き込み】{comments}

「迷ったら safety」を2か所に書いているのは、見落としの向きを片側に寄せるためです。 safety を多めに付ける分には、担当者が外すだけで済みます。付け損ねた1件は、夕方まで誰も見ません。

「炎上するかどうかを判断しない」を明記しないと、AIは1件ごとに「炎上の可能性:高」のような印を付けたがります。 その印は件数と結びつかず、同じ書き込みでも、その日の他の書き込みしだいで意味が変わります。 判断を件数の側に置くために、AIからは外します。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 1回の呼び出しで、同じ投稿に付いた書き込みを最大20件まとめて渡し、その数だけ要素を返させます。

{
  "post_id": "",
  "results": [
    {
      "comment_id": "",
      "category": "safety | product_q | order_issue | campaign_q | opinion | rights | reaction | spam",
      "topic": "",
      "topic_note": "",
      "sentiment": "negative | neutral | positive | unclear",
      "urgent": false,
      "reason": "",
      "needs_review": false
    }
  ]
}

1つ目の理由は、件数を数えられることです。 topic と sentiment が決まった値で入るので、Make の側で投稿×論点×1時間ごとに、否定的な書き込みの件数を足していけます。

2つ目は、知らせの経路を機械で決められることです。 category が safety なら、他の値に関係なくすぐに知らせます。urgent が true なら、対応記録の上に並べます。経路の規則はシナリオの側にあり、AIの出力を読み替えるだけです。

増加の知らせの基準は、たとえば次のように置きます。

条件知らせる先
category が safetyすぐに担当者と広告主の担当営業
同じ投稿・同じ論点の negative が、直近1時間で10件以上、かつ前の1時間の3倍以上上長
rights当日中に担当者
new_candidate が同じ topic_note で5件以上担当者(論点の一覧に足すかを決める)

数字は広告主ごとに変えます。 フォロワーの多いアカウントでは10件は少なく、少ないアカウントでは多すぎます。最初の1か月は知らせずに件数だけを記録し、ふだんの幅を見てから基準を決めます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Facebook ページFacebook Pages アプリコメントを見張る
Facebook ページのメッセージFacebook Messenger アプリメッセージを受け取る
InstagramInstagram for Business アプリ最近の投稿とそのコメントを取る
Claude APIAnthropic Claude アプリ仕分けの結果をJSONで返す
データストアMake の機能処理済みのIDと、件数の集計を持つ
対応記録Google Sheets アプリ対応が要るものを書き込む
SlackSlack アプリ安全に関わる申し出と増加を知らせる

SNSへは書き込みません。 Facebook Pages アプリにはコメントの作成や削除のモジュールもありますが、この構成では使いません。 返信も削除も人が管理画面で行います。シナリオに書き込みの権限を持たせないことが、誤った自動返信を防ぐいちばん確実な方法です。

Step9

人が確認する

  1. safety の知らせを受けたら、すぐに書き込みを開く … 広告主のルール表に従って、窓口へ回すか、返信で連絡先を案内するかを決めます
  2. 増加の知らせを受けたら、投稿を開いて書き込みを読む … 上長が、広告主の広報へ連絡するかを決めます
  3. 対応記録を上から確かめる … urgent と needs_review が上に並んでいます。仕分けが違っていたら直します
  4. reaction と spam は件数だけ見る … 1件ずつは開きません
  5. new_candidate をまとめて見る … 論点の一覧に足すかを決めます

1番目と2番目は、ルール表にある時間の中で行います。 この構成で早くなるのは気づくまでで、気づいた後の判断の速さは人の体制で決まります。

目標は、ならして1件0.6分です。 対応が要るものが全体の1割強という想定で、反応だけの書き込みを1件ずつ開かなくなることが、時間が減る理由のほとんどです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
書き込みに電話番号や住所が書かれている印を付けて担当者へ。非表示にするかは人が決める
外国語の書き込みそのまま仕分けさせ、reason に原文を写させる。判断に迷えば needs_review
画像だけのコメント本文が無ければ「反応」にせず needs_review。画像に苦情が写っていることがある
同じ人が短時間に何度も書き込む1件ずつ仕分けるが、件数の集計では同じアカウントを1件と数える
SNS側の接続が切れる取り込みが止まる。最後に取り込んだ時刻から一定時間たっても新しい書き込みが無ければ知らせる
AIの応答が返らない書き込みを未処理のまま残し、次の回に再び渡す
返ってきた件数が渡した件数と違うその回の結果を使わず、担当者に知らせる
Instagram のメッセージで苦情が来るこの構成の対象外。管理画面で読む運用を残す

3行目の画像だけのコメントは、「反応」に入れたくなります。 しかし、壊れた商品の写真や、届いた箱の写真だけが投稿されることがあります。本文が無いことを「対応が要らない」と読み替えないでください。

5行目は必ず仕組みにします。 接続が切れても、エラーではなく「新しい書き込みが0件」に見えることがあります。書き込みが無いのか、取れていないのかを区別できないと、静かな日だと思っているあいだに見落としが起きます。

Step11

記録を残す

  • 取り込んだ書き込みの本文、日時、書き込んだアカウント、コメントかメッセージか
  • AIへ渡した入力と、返ってきたJSONの全文
  • 担当者が仕分けを直した記録 … どの印を、どれからどれへ
  • 送った知らせと、それを受けて誰が何をしたか
  • 投稿×論点×1時間ごとの件数
  • 論点の一覧の変更の履歴

件数の記録は、基準を見直す材料になります。 増加の知らせが出たのに何も起きなかった回、出なかったのに後で問題になった回を並べると、基準が厳しすぎるのか緩すぎるのかが分かります。

担当者が直した記録は、プロンプトを直す材料です。 opinion を order_issue に直すことが多いなら、苦情と意見の境目の書き方を変えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:書き込みを手で書き写してAIの画面に貼り、仕分けさせる / 1件ずつの仕分け
半自動化:上記+Make で Facebook と Instagram の書き込みを取り込み、仕分けて対応記録に書き込み、安全に関わる申し出を知らせる / 取り込みから知らせまで
本格構成:上記+件数の集計による増加の知らせ、Instagram のメッセージの取り込み(個別の実装)、広告主の問い合わせ管理ツールへの登録 / 気づくまでのほぼすべて

最小構成では件数がさばけません。 確かめるための段階です。半自動化で、担当者が管理画面を開いて読む作業がなくなります。 本記事の想定はこの段階で、増加の知らせは基準を決めるための記録を取りながら足していきます。 本格構成の Instagram のメッセージは、個別の実装になります。 Make のアプリの一覧に無いため、APIを直接呼ぶ必要があり、権限の審査も含めて手間がかかります。まずはコメントの仕分けを回し、メッセージの件数が多い広告主から検討します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
3,600 件
1件あたり現在時間
2 分
1件あたり導入後時間
0.6 分
現在  3,600件 × 2分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 3,600件 × 0.6分 ÷ 60 = 36 時間/月
月間削減時間
84h
削減率
70%
年間削減時間
1,008h
年間金額換算(時間単価3,000円)
302万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 企業のSNSアカウントの運用を代行する広告代理店や、自社でInstagramとFacebookのアカウントを複数運用している小売・EC・飲食の企業。投稿ごとのコメントとメッセージが月に数千件あり、担当者が目で読んで返信の要否を決めている場合。商品の不具合や健康被害の申し出が、コメント欄に埋もれて気づくのが遅れたことがある場合。批判の書き込みが増え始めたことに、件数が膨らんでから気づいている場合。
向いていない
  1. コメントとメッセージが月に数十件で、担当者が全件を読んで足りる場合。SNS上の言及を広く集めて分析するソーシャルリスニングのツールをすでに運用しており、自社アカウントへの書き込みもその中で仕分けられている場合。なお、書き込みに返信するか、非表示にするか、公式に見解を出すかは、この構成では決めません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月、広告主のお客様窓口へ回した書き込みがあった投稿を5本選ぶ
  2. その投稿に付いたコメントを管理画面から書き写し、スプレッドシートに1行1件で並べる
  3. 手元のAIサービスに、投稿の本文と、書き込みを20件ずつ貼り付ける
  4. 「この書き込みを、身体や安全に関わる申し出、商品の質問、注文の苦情、キャンペーンの質問、意見・批判、権利の指摘、反応、宣伝に分けてください。安全に関わる可能性が少しでもあれば安全に関わる申し出にしてください。返信は書かないでください」と指示する
  5. 出てきた仕分けを、当時の対応記録と突き合わせる

窓口へ回した書き込みが、必ず safety か苦情に入っているかを最初に見てください。

出てきた内容判断
当時窓口へ回した書き込みが、すべて拾われたMake での取り込みに進む
当時見落としていた申し出が拾われた構成は有効。 当時の見落としが1つ分かった
意見と苦情の境目がぶれる対応ルール表の書き方を先に直す
安全に関わる申し出を落とした指示の定義を広げる。直るまで次に進まない

最後の行が出たら、そこで止まってください。 この構成の価値は、ほとんどがこの1種類を落とさないことにあります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
安全に関わる申し出が「意見」に入る迷ったら safety を明記し、本人以外のことも含める
証拠が無いことを理由に緊急度が下がる事実かどうかを判断させない
AIが1件ごとに炎上の可能性を付ける判定を外し、件数の集計に置く
論点の名前が毎回違い、件数が数えられない論点の一覧から選ばせ、一覧に無い言葉を使わせない
画像だけのコメントが「反応」に入る本文が無いものは needs_review
返信の連なりの中の苦情を見落とすList comment replies で返信も取る
接続が切れても「0件」に見える最後に取り込んだ時刻を見張る
Messenger のトリガーが検証中に応答しない正式に公開するまでは、開発者の役割を持つアカウントで試す
Instagram のメッセージが取り込めないアプリの一覧に無い。対象外として運用を残す
増加の基準がどの広告主にも同じフォロワー数で変える。最初の1か月は記録だけ取る
自動で返信・非表示にしたくなる書き込みの権限を持たせない

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIに「危ないかどうか」を1件で決めさせようとして起きます。1件で決めるもの(安全)と、件数で決めるもの(増加)を分けてあるかどうかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: SNSの利用者の書き込み、表示名、アカウント、ときには書き込みに含まれる電話番号・住所・注文番号・体調についての記述です。

  1. 健康に関わる記述を扱うことを前提にする … 体調やアレルギーの記述は、慎重に扱うべき情報です。AIへ渡す範囲と保存の期間を、広告主と取り決めておきます
  2. 学習に使われない設定と契約で使う … AIのAPIの利用条件を確かめ、入力が学習に使われない形で使います
  3. 書き込んだ人の属性を推測しない … 年齢・性別・所属を推測して記録に残しません
  4. SNSへの書き込みを自動にしない … 返信・非表示・削除はすべて人が行います。非表示にしたこと自体が批判を呼ぶことがあります
  5. 広告主の対応方針を代行の側で決めない … 公式な見解を出すか、どの窓口へ回すかは広告主が決めます。運用代行の範囲を契約で確かめておきます
  6. 対応記録の閲覧範囲を広告主ごとに分ける … 12社分の書き込みが1つの記録に混ざらないよう、シートを分けます

誤りが起きた場合のリスクは、安全に関わる申し出を見落とすことと、増え方に気づかないことの2つです。 前者は「迷ったら safety」で、後者は件数の集計で守ります。どちらもAIの判断の精度ではなく、設計の置き場所で守っています。

10まず何から始めるか

1週目:対応ルール表をそろえる

広告主3社を選び、安全に関わる申し出の範囲、誰に何分以内に回すか、批判が続いたときの連絡先を対応ルール表に書き込みます。書かれていない広告主とは、この機会に決めます。

2週目:5本の投稿で試す

窓口へ回した書き込みがあった投稿5本のコメントを、手元のAIサービスで仕分けます。安全に関わる申し出が1件も落ちていないことを最優先で確かめます。

3週目:論点の一覧を作る

3社について、いま出ている論点を10個前後書き出します。2週目の仕分けで出た「新しい論点の候補」も参考にします。

4週目:Facebook のコメントから取り込む

Make で Facebook Pages の Watch Comments から、仕分けと対応記録への書き込みまでを作ります。安全に関わる申し出の知らせもここで入れます。 Instagram はその次です。

2か月目: Instagram のコメントの取り込みと、件数の集計を足します。増加の知らせはまだ送らず、1か月分の件数を記録します。 3か月目以降: 記録した件数から広告主ごとの基準を決め、増加の知らせを始めます。担当者が管理画面を開いて読む回数がゼロになり、知らせを受けてから動く形に変わった時点で、この構成は運用に乗ったと言えます。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-29/最終更新:2026-09-29
確認した内容情報源確認日
Instagram for Business アプリに Watch events、List posts、List post comments、List comment replies、Create a comment、Create a reply などのモジュールがあること。つなぐには Instagram のアカウントとつながった Facebook ページの管理者と同等の権限とビジネスアカウントが要り、クリエイターアカウントは対象外であること。一覧にダイレクトメッセージのモジュールが無いことMake Apps: Instagram for Business2026-09-29
Facebook Pages アプリに Watch Comments、List Comments、Get a Comment、Create a Comment、Edit a comment、Delete a Comment があることMake Apps: Facebook Pages2026-09-29
Facebook Messenger アプリに Watch messages と Send a Message があり、トリガーには開発者ポータルで確認用のトークンを設定した webhook が要ること。開発者でないアカウントには正式公開まで応答しないことMake Apps: Facebook Messenger2026-09-29
Anthropic Claude アプリに Create a Prompt と Make an API Call などのモジュールがあり、API キーで接続することMake Apps: Anthropic Claude2026-09-29
シナリオが既定で15分ごとに動き、最短の間隔はプランで決まること。届いたときに動くトリガーでは1分あたりの実行回数の上限(既定100回)を設定でき、超えた分は順番待ちになることMake Help: Schedule a scenario2026-09-29

SNSの利用者の書き込みを外部のAIに渡してよいか、健康に関わる記述をどう扱うかは、広告主との契約と自社の規程で確かめてください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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