Media > AI活用ユースケース > 法務 > 商標の監視サービスから毎週届く類似商標のお知らせを、自社の登録商標と指定商品に照らして仕分け、異議申立てや情報提供を検討すべきものを知財担当へ回す

商標の監視サービスから毎週届く類似商標のお知らせを、自社の登録商標と指定商品に照らして仕分け、異議申立てや情報提供を検討すべきものを知財担当へ回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

監視サービスから毎週届く類似商標のお知らせを1件ずつ読み、自社の登録商標と指定商品の台帳に照らして「要検討」「経過観察」「対象外」に仕分けます。要検討のものは期限を付けて知財担当へ回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
EC/小売/製造/飲食
対象部門
法務/知財
対象業務
内容確認・チェック/分類・仕分け
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
判断支援/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
24h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
67%
年間削減
192h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 監視サービスからお知らせのメールが届く
  2. 担当者がメールを開き、一覧の1件ずつについて、出願された商標と区分・指定商品を読む
  3. 自社の台帳を開き、似た名前の自社の商標を探す
  4. その自社の商標の区分と指定商品を、お知らせの出願と見比べる
  5. 似ている、または気になると思ったものに印を付け、メモを書く
  6. 印を付けたものを、商標担当のもう1名と特許事務所に相談する
  7. 登録された商標なら異議申立ての期限を、出願中なら審査の状況を、手帳かスプレッドシートに書く
導入後(After)
  1. 自動監視サービスのお知らせのメールを、Zapier の受信用アドレスへ自動で転送する
  2. 自動メールの受信をきっかけに Zap が動き、本文の一覧を1件ずつの行に分ける
  3. 自動1件ごとに、ChatGPT が出願の商標・区分・指定商品・公報の種類と日付を取り出す
  4. 自動台帳から、区分が重なる自社の商標と監視の対象として登録した語を引き、ChatGPT に渡す
  5. 自動ChatGPT が、近い自社の商標と、近いと見た観点(称呼・外観・観念)、指定商品の重なりを根拠付きで返し、`要検討` / `経過観察` / `対象外` に仕分ける
  6. 自動公報の種類に応じて、異議申立ての期限の目安を日付の計算で出す
  7. 自動`要検討` は知財担当のチャンネルへ期限付きで通知し、すべての結果を仕分けの一覧に書く
  8. 人知財担当が `要検討` を期限の近い順に読み、特許事務所に相談するかを決める
  9. 人`経過観察` を週に1回まとめて流し見る
  10. 人仕分けを覆したものは、一覧に理由を書く
各工程の詳しい説明を読む
  1. 監視サービスからお知らせのメールが届く
  2. 担当者がメールを開き、一覧の1件ずつについて、出願された商標と区分・指定商品を読む
  3. 自社の台帳を開き、似た名前の自社の商標を探す
  4. その自社の商標の区分と指定商品を、お知らせの出願と見比べる
  5. 似ている、または気になると思ったものに印を付け、メモを書く
  6. 印を付けたものを、商標担当のもう1名と特許事務所に相談する
  7. 登録された商標なら異議申立ての期限を、出願中なら審査の状況を、手帳かスプレッドシートに書く

(a)期間がある手続きを、期間を見ずに読んでいる。 一覧は届いた順に並んでいるだけで、商標掲載公報の発行日が古いものと新しいものが混ざっています。 異議申立ての期間は発行の日から2か月なので、手の空いた日にまとめて読むと、期限の近いものから順に読むことになっていません。

(b)大半が無関係なのに、全部を同じ手間で読む。 区分と指定商品を読まないと無関係だと言い切れないので、台帳を開く手間が全件にかかります。

(c)「気になる」の基準が担当者の頭の中にある。 どの商標が重要で、どの区分なら放っておいてよいかは、長く担当している1名が知っています。その人が休むと、印の付き方が変わります。

(d)記録が残らず、同じ出願を何度も一から読む。 出願の段階で見たものが、登録されて公報に載るとまた届きます。前回の理由が残っていないと、同じ検討をやり直します。

  1. 【自動】 監視サービスのお知らせのメールを、Zapier の受信用アドレスへ自動で転送する
  2. 【自動】 メールの受信をきっかけに Zap が動き、本文の一覧を1件ずつの行に分ける
  3. 【自動】 1件ごとに、ChatGPT が出願の商標・区分・指定商品・公報の種類と日付を取り出す
  4. 【自動】 台帳から、区分が重なる自社の商標と監視の対象として登録した語を引き、ChatGPT に渡す
  5. 【自動】 ChatGPT が、近い自社の商標と、近いと見た観点(称呼・外観・観念)、指定商品の重なりを根拠付きで返し、要検討 / 経過観察 / 対象外 に仕分ける
  6. 【自動】 公報の種類に応じて、異議申立ての期限の目安を日付の計算で出す
  7. 【自動】 要検討 は知財担当のチャンネルへ期限付きで通知し、すべての結果を仕分けの一覧に書く
  8. 【人】 知財担当が 要検討 を期限の近い順に読み、特許事務所に相談するかを決める
  9. 【人】 経過観察 を週に1回まとめて流し見る
  10. 【人】 仕分けを覆したものは、一覧に理由を書く

8番目が、この設計の分かれ目です。 人が1件ずつ読むのは 要検討 だけで、その順番は期限の近い順に並んで届きます。 全件を同じ手間で読むのをやめ、手間をかける件を絞ります。

5番目でAIが出すのは仕分けの候補で、結論ではありません。 外したときの損失が大きいのは 対象外 の側なので、迷うものは 経過観察 に寄せます。

02今回想定するシステム構成

構成図
監視サービスのお知らせのメール(本文の一覧+公報の写しの添付)
   │  知財部の共有アドレスから自動転送
   ▼【トリガー】Email by Zapier の New Inbound Email
Zapier の Zap
   ├──▶ 本文の一覧を1件ずつの行に分ける(Looping by Zapier)
   ▼
ChatGPT(OpenAI)── Extract Structured Data
   │   出願の商標・区分・指定商品・公報の種類・日付を取り出す
   ▼
Zapier ── 台帳から区分が重なる自社の商標を引く
   ▼
ChatGPT(OpenAI)── 仕分け
   │   近い自社の商標/近いと見た観点/指定商品の重なり/根拠
   │   → 要検討 / 経過観察 / 対象外
   ▼
Zapier ── 期限の目安を計算(Formatter の Add/Subtract Time)
   ▼
Paths(仕分けごとに分岐)
   ├── 要検討 ──▶ 知財担当のチャンネルへ通知 + 一覧に記録
   ├── 経過観察 ─▶ 一覧に記録(週1回まとめて確認)
   └── 対象外 ──▶ 一覧に記録
   ▼
【知財担当が要検討を期限の近い順に読む】
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapierMake、n8n、Power Automate
生成AIChatGPT(OpenAI API。Zapier の ChatGPT(OpenAI)連携から呼ぶ)Claude API、Gemini API
台帳Google スプレッドシート(自社の登録商標と指定商品の台帳)Microsoft 365 のリスト、Notion
通知SlackMicrosoft Teams、メール

監視サービスと商標の台帳は、新しく足すものではありません。 台帳に重要度と監視の対象として登録した語の列を足すのが準備です。

メールを受ける入口は Email by Zapier です。 トリガーの「New Inbound Email」で、@zapiermail の受信用アドレスを自分で決めて作れます。 届いたメールがこのアドレスに着くと Zap が動きます。メールソフトの自動転送で、知財部の共有アドレスからこの受信用アドレスへ回します。自動転送を設定するときに、受信用アドレスの確認が求められることがあります。

この入口には3つの制約があります。 1つ目は、メールのサイズが添付を含めて10MB未満でなければならないこと。公報の写しを多く添付した週は超えることがあります。2つ目は、差出人のアドレスがないメールではトリガーが動かないこと。Google グループなどの配信リストからの自動通知は動かないとされています。3つ目は、Email by Zapier は外部のメール配信のサービスを経由しており、いつ Zap が動くかの保証はなく、遅れることがあるとされていることです。

3つ目は、この題材では問題になりません。 異議申立ての期間は2か月で、お知らせは週に1回です。時間に厳しい用途なら、公式は IMAP by Zapier の「New Email」を勧めています。

ChatGPT は、Zapier の ChatGPT(OpenAI)連携から呼びます。 使うには、OpenAI のアカウントと前払いの支払い設定、APIキーが要ります。連携には「Conversation」「Analyze Text」「Extract Structured Data」などのアクションがあり、本構成では「Extract Structured Data」を使います。

注意が1つあります。 同じ連携の Assistants API を使うアクションは非推奨となり、2026年8月26日で動かなくなるとされています。新しく組むときは、Assistants 系のアクションを使わないでください。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

監視サービスのお知らせのメールが、Zapier の受信用アドレスに届いたことを起点にします。 お知らせは毎週月曜日に届くので、結果も月曜日のうちにそろいます。定時実行にしない理由は、届く曜日が祝日などでずれることがあるためです。 メールの到着を起点にすれば、届いた日に動きます。

転送の元は、知財部の共有アドレスに置いたメールソフトの振り分けの規則です。差出人が監視サービスのアドレスで、件名に決まった語が入っているものだけを転送します。

お知らせの一覧は1通のメールにまとまって届くので、Zap の中で1件ずつに分けます。 Looping by Zapier の「Create Loop From Text」か「Create Loop From Line Items」を使い、ループの後ろの工程が、1件ごとに繰り返し動くようにします。 ループの各回は、Zap の実行履歴に別の実行として記録されます。

1通に何件入っていたかは、ループの前に一覧に書いておきます。 処理された件数と比べれば漏れが分かります。最後の回だけで動かしたい工程は、loop_iteration_is_last が真のときだけ通すフィルタを置きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
お知らせの本文出願・登録の一覧(商標、区分、指定商品、出願人、出願番号または登録番号、公報の種類と日付)監視サービスのメール
公報の写し添付ファイル。図形の商標の見た目監視サービスのメール
自社の商標の台帳自社の商標、区分、指定商品、登録番号、重要度、監視の対象として登録した語Google スプレッドシート
過去の仕分けの記録出願番号ごとの過去の仕分けと、人が書いた理由仕分けの一覧(同じスプレッドシートの別のシート)

質を決めるのは、台帳の「重要度」と「監視の対象として登録した語」の2列です。 重要度は、主力の商品のブランドか、終売した商品の名前かといった区別で、同じ程度の近さでも、主力のブランドなら 要検討 に寄せるために使います。監視の対象として登録した語は、監視サービスに伝えた語のことで、その語のどれに当たって届いたお知らせなのかを、AIに知らせるために持ちます。

過去の仕分けの記録は、同じ出願が二度届いたときのためです。 出願の段階で 経過観察 にしたものが、登録されて公報に載ると改めて届きます。出願番号で過去の記録を引けば、前回の理由を読んだうえで仕分けられます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
本文の一覧Email by Zapier のトリガーが返すメール本文1件ずつに分け、ChatGPT に渡す
添付の有無と件数同じくトリガーが返す添付の情報図形の商標が含まれるかの目印
区分が重なる自社の商標台帳のシートを区分で検索ChatGPT に渡す比較の相手
過去の仕分け仕分けの一覧を出願番号で検索二度目のお知らせかどうかの判定

台帳は全件を渡さず、区分が重なる商標だけを引いて渡します。 全件を渡すと関係のない比較が根拠に混ざります。区分の番号は機械的に照合できるので、AIを使わず検索で絞ります。

区分が1つも重ならないものも、捨てずにAIに渡します。 自社の主力のブランドと同じ名前の出願なら、区分が違っても検討が要ることがあるからです。その場合は、重要度が「主力」の商標だけを比較の相手にします。

添付の公報の写しは、この段では読ませません。 図形の商標の見た目の比較は判断が割れやすく、人が画像を見たほうが早いためです。図形を含むものは 要確認_図形 の印を付けて人に回します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 転送元の確認 … 差出人が監視サービスのアドレスでないメールは、Zap の最初のフィルタで止めます
  2. 一覧の分割 … 本文の表を1件ずつの行に分けます。表の形が崩れていた週は、1件目の取り出しで気づけるように件数を記録します
  3. 表記の正規化 … 全角と半角、長音記号の揺れ、空白をそろえます。比較の前にそろえないと、同じ語が別の語として扱われます
  4. 出願番号での照合 … 過去の仕分けの一覧に同じ出願番号があれば、前回の仕分けと理由を添えます
  5. 区分での絞り込み … 区分が重なる自社の商標を台帳から引きます。重ならなければ、重要度が「主力」の商標だけを引きます
  6. 期限の計算の準備 … 公報の種類(出願の公開か、商標掲載公報か)と日付を、日付の形式にそろえます

3番目を軽く見ないでください。 「ー」と「-」の違いだけで、近い商標が引けなくなります。 正規化は Formatter のテキストの変換で行い、正規化の前の文字列も残します。

6番目の期限は、AIに計算させません。 日付の計算は Formatter の Date / Time の「Add/Subtract Time」で行います。式の欄に +2 months のように書けば、入力した日付に2か月を足した日付が返ります。 この機能は Professional 以上のプランで使えます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、1件のお知らせについて、比較の相手の自社の商標のうちどれに近いか、どの観点で近いか、指定商品のどこが重なるかを根拠付きで書き出し、3つのどれかに仕分けることです。

見るもの判定の仕方判断できないときの扱い
近い自社の商標比較の相手の中から、近いものを最大3件挙げる1件もなければ空の配列
近いと見た観点称呼(読み)・外観(見た目)・観念(意味)のどれで近いか図形を含むなら 要確認_図形
指定商品の重なりお知らせの指定商品と、自社の指定商品のうち重なりそうなもの指定商品の記載が省略されていれば 不明
出願人自社の取引先や関係会社でないか台帳に関係会社の一覧がなければ触れない
仕分け要検討 / 経過観察 / 対象外迷ったら 経過観察

称呼・外観・観念の3つに分けて書かせるのは、人が読むときの手がかりにするためです。 「読みが同じ」「綴りの1字違い」のように観点が書かれていれば、人はその点だけを確かめれば済みます。

仕分けの基準は、台帳の重要度と組み合わせて指示に書きます。

仕分け指示に書く条件
要検討近い自社の商標があり、かつ指定商品に重なりがある。または、自社の重要度が「主力」の商標と称呼が同じか非常に近い
経過観察近い自社の商標はあるが、指定商品の重なりがはっきりしない。または、判断に迷う
対象外近い自社の商標がなく、指定商品の重なりもない
させないこと理由
類否の結論を書く商標の類否は弁理士と知財担当の判断。AIは観点を並べるまで
異議申立てや情報提供を行うべきかを書く手続きを取るかは、費用と取引の関係を含めて人が決める
期限の日付の計算ワークフローの日付の計算で出す。AIの計算は外れることがある
指定商品の補完一覧で省略されているものを推測で埋めない
図形の商標の見た目の比較判断が割れやすい。人が画像を見る

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「似ていると思われるので異議申立てを推奨します」と書かせると、読む人はその結論から読み始め、根拠の確認が浅くなります。 結論の欄を作らないことで、人が自分で判断する形を保ちます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは食品・日用品メーカーの知財部で、商標の監視サービスから届いた
お知らせを仕分ける担当です。渡された情報だけを根拠にしてください。

【やること】
お知らせの1件(他社の出願または登録)について、比較の相手として渡す
自社の商標のうち近いものを最大3件挙げ、次の3つのどれかに仕分けます。
- 要検討 ..... 近い自社の商標があり、指定商品に重なりがある。
                または、重要度が「主力」の自社の商標と読みが同じか非常に近い
- 経過観察 ... 近い自社の商標はあるが、指定商品の重なりがはっきりしない。
                または、判断に迷う
- 対象外 ..... 近い自社の商標がなく、指定商品の重なりもない
迷ったときに対象外を選ばないでください。迷ったら経過観察です。

【近さの書き方】
- 近いと見た観点を、称呼(読み)・外観(見た目)・観念(意味)に分けて書く
- 各観点について、何と何がどう近いかを具体的に1文で書く
  例:「称呼:お知らせの『ルミナ』と自社の『ルミナス』は語頭3音が同じ」
- 指定商品の重なりは、お知らせの指定商品と自社の指定商品の語を
  そのまま写して並べる

【厳守事項】
- 商標が似ている・似ていないの結論を書かないでください。
- 異議申立てや情報提供をすべきかどうかを書かないでください。
- 期限の日付を計算しないでください。
- 指定商品が「ほか」「等」で省略されているときは、省略された部分を
  推測で補わず、overlap_goods に「不明(一覧で省略)」と書いてください。
- 商標に図形が含まれると書かれているときは、見た目の比較をせず、
  flags に「要確認_図形」を入れてください。
- 渡されていない自社の商標を、知識から持ち出さないでください。
- 過去の仕分けが渡されたときは、その理由を読み、
  今回変えるならその理由を change_reason に書いてください。
- お知らせでないもの(広告、請求、連絡)が渡されたときは、
  仕分けをせず document_type に種類を書いてください。

【お知らせの1件】{notice_item}
【比較の相手(自社の商標)】{own_marks}
【過去の仕分け】{past_triage}

「迷ったら経過観察」を明記しないと、対象外に寄ります。 出力を短く済ませようとして、はっきりしないものを対象外に入れがちです。外したときの損失は、対象外に入れて誰も読まなかった1件がいちばん大きいので、迷いの行き先を指示で決めておきます。

「渡されていない自社の商標を持ち出さない」は、有名な他社のブランドに似た出願で効きます。 書かないと、AIはそちらとの比較を書き始めます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Extract Structured Data のアクションで、この形を出力の項目として決めておきます。

{
  "document_type": "watch_notice",
  "notice": {
    "application_no": "",
    "registration_no": "",
    "mark_text": "",
    "has_figure": false,
    "classes": [],
    "goods": "",
    "applicant": "",
    "gazette_type": "application_published | registration_gazette",
    "gazette_date": ""
  },
  "matches": [
    { "own_mark": "", "own_reg_no": "",
      "aspects": { "pronunciation": "", "appearance": "", "concept": "" },
      "overlap_goods": "" }
  ],
  "triage": "要検討 | 経過観察 | 対象外",
  "flags": [],
  "change_reason": ""
}

1つ目の理由は、仕分けと根拠を別の欄に置けることです。 triage は Paths の分岐の条件にそのまま使え、根拠は matches に観点ごとに入ります。

2つ目は、gazette_type と gazette_date で期限の計算を機械に渡せることです。 registration_gazette なら、Formatter で gazette_date に2か月を足した日を異議申立ての期限の目安として出します。application_published なら、期限の欄は空にして「登録前」と書きます。 出願中の段階では、登録されるまでのあいだが情報提供を検討できる期間です。

gazette_type一覧に書く期限の欄
registration_gazette発行日+2か月(異議申立ての期限の目安。正確な期限は特許事務所に確認)
application_published「登録前」(情報提供を検討できる段階)
不明空欄で flags に「公報の種類不明」

3つ目は、flags で人に回す理由を残せることです。 flags が空でないものは、仕分けにかかわらず 経過観察 以上として扱う規則を Zap の側に置きます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
知財部の共有アドレスメールソフトの自動転送監視サービスのお知らせだけを転送する
Email by ZapierZapier のトリガー受信用アドレスへの到着で Zap を動かす
ChatGPT(OpenAI)Zapier の連携のアクション項目の取り出しと仕分け
Google スプレッドシートZapier の連携台帳の検索、仕分けの一覧への書き込み
SlackZapier の連携要検討 を知財担当のチャンネルへ通知

分岐は Paths で作ります。 Paths は、条件に合ったときだけその枝の工程が動く仕組みで、1つの分岐に最大10本の枝を置けます。 本構成で使うのは 要検討 / 経過観察 / 対象外 の3本です。どの条件にも当たらなかったときに動く枝(フォールバック)を1本だけ指定できるので、triage が想定外の値だったときはそこで人に回します。

Paths は Zap の最後の工程に置く必要があります。 分岐の後に共通の工程を足すことはできないので、一覧への書き込みは各枝の中にそれぞれ置きます。 Paths は Professional 以上のプランで使え、Free では使えません。

Paths とフィルタの工程は、タスクの使用量に数えられません。 数えられるのは、動いた枝の中のアクションだけです。

特許事務所への連絡はつなぎません。 要検討 のものを特許事務所に相談するかは、知財担当が読んで決めます。相談のメールを自動で送ると、検討の要らない件まで費用のかかる依頼になります。

Step9

人が確認する

人が1件ずつ読むのは 要検討 だけです。 経過観察 は週に1回、一覧で流し見ます。対象外 は月に1回、件数と出願人の傾向だけを見ます。

  1. 要検討 を期限の近い順に読む … 通知に期限の目安が付いているので、近いものから開きます。matches の観点の欄を読み、公報の写しで商標と指定商品を確かめます
  2. 特許事務所に相談するかを決める … 相談するものは、知財担当が事務所へ連絡します。正確な期限は事務所に確認します
  3. 経過観察 を週に1回流し見る … 気になるものは 要検討 に上げます
  4. 仕分けを覆したら記録する … どれを、どちらに変えたか、なぜかを一覧に書きます

2番目の「正確な期限は事務所に確認」を省かないでください。 一覧の期限は発行日に2か月を足した目安で、実際の期限と食い違うことがあります。

目標は、240件をならして1件2分です。 要検討 が多すぎる月は、台帳の重要度の付け方が粗いか、比較の相手を絞れていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
メールが10MBを超えて届かない添付を含めて10MB未満でないと受けられない。監視サービスに添付を分けて送ってもらうか、本文だけを転送する
差出人がないメール・配信リスト経由の自動通知トリガーが動かない。監視サービスの送信元を個人宛ての形に変えてもらう
本文の表の形が変わった分割の件数が記録と合わない。その週は人が一覧を読み、分割の設定を直す
指定商品が省略されているoverlap_goods に「不明(一覧で省略)」。公報の写しで人が確かめる
図形を含む商標要確認_図形 を付けて 経過観察 以上に
公報の種類が分からない期限の欄を空にし、flags に「公報の種類不明」
triage が想定外の値Paths のフォールバックの枝で人に回す
ChatGPT の呼び出しが失敗するその1件を「未処理」として一覧に書き、翌日に人が手で仕分ける

上から3行目が、運用でいちばん気づきにくい失敗です。 監視サービスが一覧の書式を変えると、エラーにならずに1件目だけが処理されて残りが落ちることがあります。 トリガーの直後に件数を記録しておくのは、このためです。

Step11

記録を残す

  • 受け取ったメールの本文と、添付の有無・件数
  • 1件ごとの notice(出願番号、商標、区分、指定商品、公報の種類と日付)
  • ChatGPT が返したJSONの全文(matches、triage、flags)
  • そのとき比較の相手として渡した自社の商標の一覧
  • 人が仕分けを覆した記録(どれを、どちらに、なぜ)
  • 特許事務所に相談したかと、その結果(異議申立て・情報提供を行ったか、見送ったか)

4つ目で「そのとき渡した比較の相手」を残すのは、台帳が後から変わるためです。 新しく商標を登録したり重要度を付け直したりすると、同じお知らせでも比較の相手が変わります。 当時なぜ 対象外 になったのかを後から確かめるには、そのときの相手が要ります。

最後の行は、要検討 のうち実際に相談したものの割合を見る材料になります。 指示の条件が厳しすぎるか緩すぎるかが分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:お知らせの1件と比較の相手を、手で ChatGPT の画面に貼る / 1件ごとの仕分けの候補と観点の書き出し
半自動化:上記+Zapier でメールの到着から分割・台帳の検索・仕分け・一覧への書き込み・通知まで / 仕分けの全体と、期限の目安の計算
本格構成:上記+過去の仕分けの照合、事務所への相談の記録との連動、月次の精度の集計 / 二度目のお知らせの扱いと、仕分けの基準の見直し

最小構成は、台帳で仕分けられるかを確かめるための段階です。 月240件はさばけません。 半自動化で、1件6分が2分になり、この段階が本記事の想定です。 台帳を開いて見比べる②の作業と、期限を書き写す③の作業がなくなります。残るのは、要検討 の根拠を確かめる時間です。 本格構成で足すのは、時間の削減より記録の質です。 半自動化を3か月回してから進むのが目安です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  240件 × 6分 ÷ 60 = 24 時間/月
導入後 240件 × 2分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
16h
削減率
67%
年間削減時間
192h
年間金額換算(時間単価4,000円)
77万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社の登録商標が数十件以上あり、特許事務所や調査会社の商標の監視(ウォッチ)サービスから類似商標の出願・登録のお知らせを毎週受け取っている製造業・小売業・飲食業など。お知らせの件数が多く、知財担当が1件ずつ読んで仕分ける時間が取れず、異議申立ての期間を過ぎてから気づくことがある場合。自社の登録商標と指定商品の一覧を台帳として持っている場合。
向いていない
  1. 監視の対象が数件で、お知らせが月に数件しか届かない場合。監視サービスの側ですでに類似度の評価と対応の要否の意見まで付けて届いている場合。異議申立てや情報提供を行うかの判断そのものを機械に任せたい場合(この構成は判断の材料を並べるところまでで、類否や手続きの判断は弁理士と知財担当が行います)。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月分のお知らせのメールから、40件を選ぶ(うち数件は、実際に事務所へ相談したものを入れる)
  2. その40件について、当時の担当者がどう仕分けたか、なぜそうしたかを聞き取る
  3. 台帳から区分が重なる自社の商標を手で抜き出し、ChatGPT の画面にお知らせの1件と一緒に貼り付ける
  4. 「この出願について、自社の商標のどれに近いかを称呼・外観・観念に分けて書き、要検討・経過観察・対象外に仕分けてください。類否の結論は書かないでください。迷ったら経過観察にしてください」と指示する
  5. 出てきた仕分けを、当時の担当者の仕分けと突き合わせる

40件は必ずやってください。 Zap を組む前に、台帳の情報だけで仕分けの候補が出せるのかを確かめます。

出てきた内容判断
実際に相談した件が 要検討 に入ったZapier での連携に進む
相談した件が 対象外 に入った台帳の重要度か比較の相手の絞り方を見直す。この状態で自動化しない
観点の書き方がばらばら指示の書き方で直る。構成は有効

2行目が出たら、原因はたいてい台帳にあります。 AIの指示より先に台帳を直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
迷ったものが 対象外 に入る「迷ったら経過観察」を指示に明記する
AIが類否の結論を書く結論の欄を作らず、指示でも禁じる
表記の揺れで近い商標が引けない比較の前に正規化する。正規化前の文字列も残す
監視サービスの書式が変わり、件数が落ちるトリガー直後に件数を記録し、処理件数と比べる
メールが10MBを超える添付を分けて送ってもらうか、本文だけを転送する
期限の目安を正式な期限として扱う正確な期限は特許事務所に確認する
台帳の重要度が付いていない全件が同じ重みで比べられ、要検討 が多すぎる
Assistants 系のアクションで組む2026年8月26日で動かなくなる。 使わない
図形の商標をAIに比べさせる判断が割れる。要確認_図形 で人へ

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIが結論を出しすぎることから出ています。迷いの行き先と、書かせない欄を指示で決めておくかどうかで、運用に乗るかが決まります。

期限の目安の扱いも早く効いてきます。 一覧に日付が並ぶと正式な期限に見えてきます。目安は読む順番のためのものだと、最初に担当者の間で決めてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 他社の出願・登録の情報(公開されたもの)、自社の商標の台帳、そして自社の商標ごとの重要度と、知財担当が書いた検討のメモです。

  1. 外部へ渡す範囲を、比較に必要な項目までに限る … ChatGPT に渡すのは、お知らせの1件と、区分が重なる自社の商標の名前・区分・指定商品までです。重要度は仕分けの条件に要る範囲で「主力」かどうかだけを渡し、検討のメモや事務所とのやり取りは渡しません
  2. APIへ送ったデータの扱いを確かめる … OpenAI は、API経由で送られたデータを、明示的に共有を選ばない限り学習や改善に使わないとされています。組織の設定でデータの共有を有効にしていないかを、最初に確かめます
  3. この構成は類否や手続きの判断を代替しません … 商標が似ているか、異議申立てや情報提供を行うかは、弁理士と知財担当が決めることです。 この構成が出すのは、どの観点で近いかを並べた仕分けの候補だけです
  4. 特許事務所への連絡を自動で送らない … 相談するかは人が決めます。依頼の自動送信は費用を生むので作りません
  5. 受信用アドレスを社外に知られないようにする … @zapiermail のアドレスにメールを送れば、誰でも Zap を動かせます。最初のフィルタで差出人を監視サービスに限り、それ以外は止めます

誤りが起きた場合のリスクは、検討すべき出願を 対象外 に入れることと、期限の目安を正式な期限と取り違えることの2つです。

10まず何から始めるか

1週目:台帳に2つの列を足す

商標の台帳に、重要度(主力/通常/終売)の列と、監視の対象として登録した語の列を足します。150件すべてを一度に埋める必要はありません。売上の大きい商品のブランドから30件を埋めます。 お知らせで問題になるのは、ほとんどがこの範囲です。

2週目:40件で試す

過去3か月分のお知らせから40件を選び、手元の ChatGPT に貼り付けて仕分けさせます。実際に事務所へ相談した件が 対象外 に入っていないかを最優先で見ます。

3週目:仕分けの条件を決める

どの条件なら 要検討 にするのかを、商標担当の2名と特許事務所で決めます。 あわせて、お知らせの内容を外部のサービスへ渡してよいかを事務所との契約で確かめます。

4週目:メールの到着から一覧への書き込みまでをつなぐ

Zapier で受信用アドレスを作り、分割、ChatGPT の呼び出し、台帳の検索、一覧への書き込みまでを作ります。この時点では通知を出さず、一覧だけを見ます。

2か月目: Paths の分岐と 要検討 の通知、期限の目安の計算を足します。要検討 の件数を毎週数えます。3か月目以降: 過去の仕分けとの照合を足し、1件6分が何分になったかを実測します。事務所へ相談した件と 要検討 の重なりを見て、仕分けの条件を直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
「New Inbound Email」で @zapiermail の受信用アドレスを決められること。10MB未満であること。差出人のないメールや配信リストでは動かないこと。動く時刻の保証がないこと。IMAP by Zapier が勧められていること。自動転送で確認が求められることがあることZapier Help: Trigger Zap workflows from new emails2026-10-06
「Create Loop From Text」「Create Loop From Line Items」があること。後ろの工程が回ごとに動き別の実行として記録されること。loop_iteration_is_last のフィルタ。Free では使えないことZapier Help: Loop your Zap actions2026-10-06
アカウント・前払いの支払い設定・APIキーが要ること。「Extract Structured Data」などのアクション。API経由のデータは共有を選ばない限り学習に使われないこと。Assistants API のアクションが2026年8月26日で動かなくなることZapier Help: How to get started with ChatGPT (OpenAI) on Zapier2026-10-06
Professional 以上で使えること。分岐ごとに最大10本の枝。フォールバックの枝。タスクに数えられないこと。最後の工程で、後に共通の工程を置けないことZapier Help: Add branching logic to Zap workflows with Paths2026-10-06
Formatter の Date / Time の「Add/Subtract Time」で、+1 month -2 days のような式で日・月・年などを足し引きできること。Professional 以上で使えることZapier Help: Add or subtract dates and times in Zap workflows2026-10-06
商標登録の異議申立ては、どなたでも、商標掲載公報の発行の日から2月以内に限りできること日本弁理士会 関西会: 他人の登録商標に対して、異議申し立てをすることは可能ですか2026-10-06
出願中の商標について、登録されるまでのあいだに刊行物等提出書で情報を提供できること。異議申立てが商標掲載公報の発行の日から二月以内であること金原商標登録事務所: 情報提供・異議申立2026-10-06

異議申立てや情報提供を行うか、正確な期限がいつかは、特許事務所と自社の知財担当で確かめてください。 本記事は上記のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0538)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次