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仕入先の仕様書・カタログから商品ページの説明文・特長・サイズ表を作り、仕様書に無いことを書いていないかを点検する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

仕入先から届く仕様書・カタログを ChatGPT に渡し、商品ページの説明文・箇条書きの特長・サイズ表の下書きを作ります。あわせて、下書きの1文ずつに仕様書の根拠を付け、根拠の無い記載を掲載前に洗い出します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Zapier
対象業界
EC/商社/小売/製造
対象部門
マーケティング
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 仕入担当が仕入先から仕様書を受け取り、共有フォルダの商品ごとのフォルダに保存する
  2. EC運営課の担当者が仕様書を開き、商品名・素材・寸法・重さ・原産国・付属品・注意事項を読み取る
  3. 商品ページの説明文を書く。過去の似た商品のページを開き、言い回しを参考にする
  4. 箇条書きの特長を3〜5個書く
  5. 仕様書の寸法をサイズ表に打ち込む。色・サイズ違いがあれば、その数だけ行を作る
  6. 書き上げた文章とサイズ表を、仕様書と1行ずつ見比べる
  7. 管理画面に入力し、モールにも同じ内容を入れて公開する
導入後(After)
  1. 人仕入担当が仕様書を商品ごとのフォルダに保存し、商品マスタに「文章作成待ち」の印を付ける
  2. 人EC運営課の担当者が、仕様書と商品マスタの行と書き方の手引を ChatGPT に渡す
  3. 自動ChatGPT が仕様書の記載から項目を取り出し、「仕様書に記載なし」の項目を明示する
  4. 自動取り出した項目だけを材料に、説明文・特長・サイズ表の下書きを作る
  5. 自動下書きの1文ずつに、根拠にした仕様書の箇所を付ける。付けられない文には「根拠なし」の印を付ける
  6. 自動使ってはいけない表現の一覧に当たる語を洗い出す
  7. 人担当者が「根拠なし」の文と、「仕様書に記載なし」の項目と、サイズ表を確かめる
  8. 人言い回しを直し、管理画面とモールに入力して公開する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 仕入担当が仕入先から仕様書を受け取り、共有フォルダの商品ごとのフォルダに保存する
  2. EC運営課の担当者が仕様書を開き、商品名・素材・寸法・重さ・原産国・付属品・注意事項を読み取る
  3. 商品ページの説明文を書く。過去の似た商品のページを開き、言い回しを参考にする
  4. 箇条書きの特長を3〜5個書く
  5. 仕様書の寸法をサイズ表に打ち込む。色・サイズ違いがあれば、その数だけ行を作る
  6. 書き上げた文章とサイズ表を、仕様書と1行ずつ見比べる
  7. 管理画面に入力し、モールにも同じ内容を入れて公開する

(a)書き起こしに時間がかかる。 仕様書は作り手の言葉で書かれています。「PP製 本体 W300×D200×H150」を「軽くて扱いやすいポリプロピレン製の収納ボックス」に直すには、仕様書を読み、売り場の言葉を選び、見出しの順に並べる手間がかかります。ここが1点あたりの時間の半分を占めます。

(b)「盛った」表現が混ざる。 過去の似た商品のページを参考にすると、その商品にしか当てはまらない表現まで写ってきます。 前の商品が「撥水加工」だったので今回も書いてしまう、別メーカーの「抗菌」が残っている。書いた本人は似た商品だから同じだと思っているので、6番の見比べでも見落とします。

(c)サイズ表の写し間違い。 仕様書の「外寸」と「内寸」、「cm」と「mm」、色ごとに違う重さ。手で打ち込むと、どこかで1つずれます。サイズ表の誤りは、届いた商品が入らない・置けないという返品の理由に直結します。

(d)見比べが続かない。 6番は丁寧にやると10分では終わりません。新商品が集中する月ほど省かれ、そういう月ほど誤りが多くなります。

  1. 【人】 仕入担当が仕様書を商品ごとのフォルダに保存し、商品マスタに「文章作成待ち」の印を付ける
  2. 【人】 EC運営課の担当者が、仕様書と商品マスタの行と書き方の手引を ChatGPT に渡す
  3. 【自動】 ChatGPT が仕様書の記載から項目を取り出し、「仕様書に記載なし」の項目を明示する
  4. 【自動】 取り出した項目だけを材料に、説明文・特長・サイズ表の下書きを作る
  5. 【自動】 下書きの1文ずつに、根拠にした仕様書の箇所を付ける。付けられない文には「根拠なし」の印を付ける
  6. 【自動】 使ってはいけない表現の一覧に当たる語を洗い出す
  7. 【人】 担当者が「根拠なし」の文と、「仕様書に記載なし」の項目と、サイズ表を確かめる
  8. 【人】 言い回しを直し、管理画面とモールに入力して公開する

7番目が、この設計の分かれ目です。人が見るのは、下書きの全文ではありません。 根拠が付いた文は流し読みで済ませ、根拠なしの印が付いた文と、サイズ表の数値だけに時間を使います。 全文を仕様書と見比べる設計にすると、30分は半分にもなりません。

3番目で「記載なし」を先に出させているのも、意図してのことです。 洗濯の可否、耐荷重、原産国が仕様書に無いとき、それを埋める作業をAIにさせず、仕入先に聞く項目の一覧にします。 書き手がもっともらしく埋めてしまうことが、第3章の(b)の出どころだからです。

02今回想定するシステム構成

構成図
仕入先の仕様書(PDF・画像・表計算・メール本文)
   │  商品ごとのフォルダに保存
   ▼
商品マスタ(スプレッドシート)── 「文章作成待ち」の印
   │
   ▼【人が仕様書と手引を渡す】
ChatGPT ── 決めた指示文で処理
   │   ① 項目の取り出し(記載なしを明示)
   │   ② 説明文・特長の下書き(1文ずつ根拠を付ける)
   │   ③ サイズ表(仕様書の数値をそのまま写す)
   │   ④ 使ってはいけない表現の洗い出し
   ▼
下書きと点検の表(文/根拠の箇所/根拠なし/要確認の理由)
   ▼
【人が根拠なしの文とサイズ表を確かめ、仕入先への確認を出す】
   ▼
ECサイトの管理画面・モールの出品画面に入力して公開
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(最小構成では ChatGPT の画面。半自動化では OpenAI API)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
連携Google Apps Script(半自動化の段階で、商品マスタから OpenAI API を呼ぶ)Make、Zapier
台帳Google スプレッドシート(商品マスタ、書き方の手引、点検結果)Microsoft 365 のオンラインの表計算

商品マスタは、新しく作るものではありません。 今の商品マスタに「文章作成待ち」「仕入先へ確認中」「公開済み」の状態の列を足し、書き方の手引と使ってはいけない表現の一覧を別のシートに置くのが最初の準備作業です。

最小構成では、ChatGPT の画面に仕様書を添付して、決めた指示文を貼るだけです。 開発はしません。業務の中身を決めるのは、指示文と、書き方の手引と、返させる表の列です。 この3つが決まれば、使う生成AIを Claude や Gemini に替えても同じ運用ができます。

仕様書がPDFのままでも渡せます。 OpenAI API のPDF入力では、gpt-4o 以降の画像を扱えるモデルならテキストとページの画像の両方を取り出してモデルに渡すとされています。仕様書の寸法は図面の中に書かれていることが多く、テキストだけでは寸法線と数値の対応が失われます。 ページの画像も渡ることが、この題材では効きます。ファイルは1つあたり50MBまで、1回のリクエストのファイルの合計も50MBまでです。

半自動化の段階では、商品マスタから Google Apps Script で OpenAI API を呼び、返させる表を Structured Outputs の JSON スキーマで固定します。 Structured Outputs は、指定した JSON スキーマに沿った応答を必ず生成する機能で、必須の項目の抜けや、決めていない値が入ることを防ぐとされています(第7章「出力形式」)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

商品マスタに「文章作成待ち」の印が付いたことを起点にします。 印を付けるのは、仕様書を保存した仕入担当です。最小構成では、EC運営課の担当者が印の付いた行を朝に一覧で見て、1点ずつ ChatGPT に渡します。

印を仕入担当に付けてもらうのは、仕様書がそろったことを確かめる人を決めるためです。 仕様書が一部しか届いていない状態で文章を作り始めると、後から届いた仕様書との食い違いを探す作業が生まれます。そろっていないものは「仕様書待ち」のまま止めます。

半自動化の段階では、Google Apps Script の時間主導のトリガーで1時間ごとに商品マスタを見て、印が付いた行を順に処理します。 処理が終わった行は「確認待ち」に変え、失敗した行は印を残したままにします。 印の残っている数が、そのまま未処理の数になります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
仕様書商品名、型番、素材、寸法(外寸・内寸)、重さ、原産国、付属品、注意事項、色・サイズの展開商品ごとのフォルダ(PDF・画像・表計算)
商品マスタの行自社の商品コード、販売価格、カテゴリ、色・サイズの展開、仕入先商品マスタ
書き方の手引見出しの順、文体、文字数の目安、単位と数字の書き方、カテゴリごとに必ず書く項目手引のシート
使ってはいけない表現根拠の資料が無いと書かない語(「抗菌」「防臭」「耐熱」など)と、自社で使わない誇張の語一覧のシート

質を決めるのは、下の2つです。 書き方の手引が無いと、ChatGPT は毎回違う順番と文体で書きます。使ってはいけない表現の一覧が無いと、仕様書に無くても一般的によく見る言い回しを入れてきます。 どちらも今は担当者の頭の中にあるもので、最初にシートに書き出します。

カテゴリごとに必ず書く項目は、手引の中で表にします。 収納用品なら外寸・内寸・耐荷重、布製品なら素材の組成と洗濯の可否、電気製品なら定格と付属品。この表があることで、「仕様書に記載なし」を項目として拾えます。 項目の一覧が無ければ、書かれていないことに気づく手がかりがありません。

Step3

データの取得方法を決める

最小構成では、担当者が仕様書のファイルを ChatGPT の画面に添付し、商品マスタの行と手引と一覧を指示文の後ろに貼ります。貼るものは毎回同じ並びにします。 並びが毎回違うと、出てくる表の質も毎回違います。

取るものどこから何に使うか
仕様書のファイル商品ごとのフォルダ項目の取り出しと、根拠の箇所の特定
商品マスタの1行商品マスタ色・サイズの展開の数と、自社の商品コード
手引のうち該当カテゴリの部分手引のシート見出しの順と、必ず書く項目
使ってはいけない表現の一覧一覧のシート下書きの中の該当する語の洗い出し

半自動化の段階では、Google Apps Script が商品マスタの行からフォルダを特定し、仕様書のPDFを読み込んで OpenAI API に送ります。手引は全カテゴリ分を毎回渡さず、その商品のカテゴリの部分だけを渡します。 関係の無いカテゴリの「必ず書く項目」まで渡すと、収納用品に洗濯の可否を書こうとします。

表計算の仕様書は、シートの中身を文字の表にしてから渡します。 色ごとの重さが列で並んでいる仕様書は多く、列と色の対応が崩れると、全色に同じ重さが載ります。 1色1行の形に直してから渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 仕様書がそろっているかの確認 … 商品マスタの色・サイズの展開の数と、仕様書に載っている展開の数を比べます。足りなければ「仕様書待ち」に戻します
  2. ファイルの形式の確認 … PDFと画像はそのまま渡し、表計算は1色1行の文字の表に直します。メール本文の仕様はテキストにしてフォルダに保存します
  3. ファイルの大きさの確認 … 1ファイル50MB、1回のリクエストの合計50MBが上限です。超えるカタログは、該当する商品のページだけを切り出します
  4. 複数の商品が載ったカタログの切り出し … 1冊のカタログに数十点が載っているときは、該当する型番のページだけにします
  5. 版の確認 … 同じ型番の仕様書が2つあるときは、新しい日付のものだけを渡し、古いものは別のフォルダへ移します
  6. 単位の確認 … 仕様書の寸法がmmかcmかを、表の見出しから拾って印を付けます

4番目と5番目を軽く見ないでください。 カタログ1冊を丸ごと渡すと、隣のページの商品の素材や寸法を取り込みます。 古い仕様書が残っていると、改良前の重さで書きます。どちらも、出てきた文章を読んだだけでは気づけません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、仕様書の記載だけを材料に下書きを作ることと、その1文ずつに根拠の箇所を付けることです。

させることやり方判断できないときの扱い
項目の取り出し手引の「必ず書く項目」ごとに、仕様書の記載を写す記載が無ければ「仕様書に記載なし」
説明文の下書き取り出した項目だけを使い、手引の見出しの順と文体で書く項目が足りない見出しは書かずに空ける
特長の下書き仕様書から3〜5個を選び、1行ずつ根拠の箇所を付ける根拠が付かないものは「根拠なし」
サイズ表仕様書の数値と単位をそのまま写す。色・サイズの展開ごとに1行読めない数値は空欄にして「要確認」
表現の洗い出し一覧の語が下書きに含まれていないかを見る含まれていれば、該当する文と語を書き出す

右端の列が、この構成でいちばん大事なところです。 書けないところを空けたまま返させます。埋まった下書きより、空いた下書きのほうが、人の確認は速く終わります。

させないこと理由
仕様書に無い性能・効果の記載根拠の資料が無い表示になる。必要なら仕入先から資料をもらう
寸法の単位の換算・丸めmmをcmに直す、小数を丸めると、仕様書との照合ができなくなる
色ごとの数値の流用1色の重さを全色に書かない。色ごとの記載が無ければ空ける
他社品・過去の商品との比較比較の根拠を仕様書から確かめられない
表示が法令に照らして適切かの結論自社の担当者と、必要なら専門家が決めること

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「収納ボックス」と分かると、ChatGPT は一般的な収納ボックスの長所を知っているので、「湿気に強い」「積み重ねられる」を仕様書に無くても書きます。 たいていは本当にそうですが、その商品の仕様書に書かれていなければ、自社に根拠がありません。

Step6

指示内容を固定する

あなたはECサイトの商品登録の担当者です。
添付した仕様書の記載だけを材料に、商品ページの下書きを作ってください。
仕様書に書かれていないことは、一般的に正しいと思われることでも書かないでください。

【作るもの】
1. 項目の一覧 … 書き方の手引の「必ず書く項目」ごとに、仕様書の記載を写す
2. 説明文 … 手引の見出しの順と文体で、200〜300字
3. 特長 … 3〜5個の箇条書き
4. サイズ表 … 色・サイズの展開ごとに1行

【厳守事項】
- 説明文と特長は1文ずつに分け、それぞれに根拠にした仕様書の箇所
  (ページ、表の見出し、該当する文字列)を書いてください。
- 根拠の箇所を書けない文は、文を残したうえで「根拠なし」としてください。
  消したり、言い換えて根拠があるように見せたりしないでください。
- 必ず書く項目のうち、仕様書に記載が無いものは「仕様書に記載なし」と
  してください。推測で埋めないでください。
- サイズ表の数値と単位は、仕様書に書かれたとおりに写してください。
  mmをcmに直す、丸める、外寸と内寸を言い換えることをしないでください。
- 色・サイズの展開ごとに数値が違う場合は、展開ごとに写してください。
  1つの展開の数値を、ほかの展開に流用しないでください。
- 他の商品や他社品との比較を書かないでください。
- 【使ってはいけない表現】の語は使わないでください。仕様書にその語が
  あるときだけ使い、その文に根拠の箇所を書いてください。
- 表示が法令に照らして適切かどうかの判断は書かないでください。

【商品マスタの行】{master_row}
【書き方の手引(このカテゴリの部分)】{style_guide}
【使ってはいけない表現】{ng_words}

「一般的に正しいと思われることでも書かない」を冒頭に置かないと、根拠なしの文が増えます。 生成AIは商品の種類から長所を補うのが得意で、何も言わなければ親切のつもりで書き足します。禁じるのは、商品の種類から書き足すことそのものです。

「消したり、言い換えたりしない」も明記します。 根拠の付かない文を消せと言うと、根拠があるように見える言い回しに変えて残します。 文を残させて印を付けるほうが、人が見つけやすくなります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "product_code": "",
  "spec_file": "",
  "fields": [
    { "name": "外寸", "value": "", "source": "", "status": "found | not_in_spec | unreadable" }
  ],
  "description": [
    { "sentence": "", "source": "", "grounded": true }
  ],
  "features": [
    { "text": "", "source": "", "grounded": true }
  ],
  "size_table": [
    { "variant": "", "outer": "", "inner": "", "weight": "", "unit": "", "source": "" }
  ],
  "ng_word_hits": [
    { "word": "", "sentence": "", "in_spec": false }
  ],
  "questions_for_supplier": []
}

1つ目の理由は、根拠の有無を1文ずつの真偽で持てることです。 grounded が false の文だけを一覧で抜き出せば、人が確かめる範囲が決まります。 自由文の下書きでは、どの文に根拠があるのかを人がもう一度読み直すことになります。

2つ目は、fields の status から仕入先への質問が自動で組めることです。 not_in_spec の項目を並べたものが questions_for_supplier になり、仕入担当がそのまま仕入先へ送る問い合わせの下書きになります。

status意味次にすること
found仕様書に記載があり、写せた根拠の箇所を見て流し読み
not_in_spec仕様書に記載が無い仕入先へ確認する。確認が取れるまで商品ページに書かない
unreadable記載はあるが読み取れない仕様書の原本を人が見る

3つ目は、サイズ表を商品マスタの列に直接写せることです。 size_table は展開ごとの行になっているので、Google Apps Script で商品マスタの寸法の列へ書き出せます。unit を別の欄に持たせているのは、単位の換算を後段で人が決めるためです。

半自動化では、このJSONの形を Structured Outputs のスキーマで固定します。 必須の項目が抜けない、status に決めていない値が入らないことは仕組みで担保されます。ただし、source に書かれた箇所が本当に仕様書にあるかは別の話です。 そこは後段で、source の文字列が仕様書のテキストに含まれるかを Google Apps Script で照らします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
商品ごとのフォルダ読み取り(半自動化では Google Apps Script)仕様書のファイルを取り出す
商品マスタスプレッドシートの読み書き対象の行を読み、状態の列とサイズの列を更新する
ChatGPT/OpenAI API画面への添付(最小構成)/API呼び出し(半自動化)項目の取り出し、下書き、根拠の付与、表現の洗い出し
点検結果のシート書き出しgrounded が false の文と、not_in_spec の項目の一覧
ECサイト・モールの管理画面人が入力確認を終えた文章とサイズ表

ECサイトとモールの管理画面へは、この構成から書き込みません。 掲載するのは人が確認を終えたものだけで、根拠なしの文が残ったまま公開される経路を作らないためです。 管理画面への一括登録は、確認済みの行だけを対象にした別の手順にします。

商品マスタへの書き込みは、状態の列とサイズの列に限ります。 販売価格や在庫の列には触りません。

Step9

人が確認する

人が確かめるのは、次の3つです。 根拠の付いた文の言い回しは、読みやすさを直す程度に流し読みします。

  1. grounded が false の文 … 仕様書のどこかに書かれていて根拠の箇所を拾えなかっただけか、本当に仕様書に無いかを確かめます。無ければ消すか、仕入先に資料を求めます
  2. サイズ表の数値 … 仕様書の該当箇所と、1行ずつ数値と単位を見比べます。この確認だけは省きません
  3. not_in_spec の項目 … 仕入先へ確認するかを決めます。確認が取れるまで商品ページには書きません

2番目を省かないでください。 サイズ表は、文章としておかしくないので、間違っていても読んだだけでは分かりません。 仕様書と数字を見比べる以外に見つける方法がありません。

判定を覆したら、点検結果のシートに残します。 根拠なしと出たが仕様書にあった、根拠ありと出たが仕様書と違った。この記録が、指示文と手引を直す材料になります。

目標は、120点をならして1点10分です。 根拠なしの文が毎回多い仕入先は、仕様書そのものが薄いことが多く、AIではなく仕入先への依頼で直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
仕様書が一部の色・サイズの分しか無い前処理で止め、「仕様書待ち」に戻す。ある分だけで書き始めない
ファイルが50MBを超える該当する商品のページだけを切り出して渡す
カタログに複数の商品が載っている型番で該当ページを切り出す。切り出せなければ人が範囲を指定する
寸法が図面の中にしか無く、読み取れないunreadable にして人が原本を見る。推測で埋めない
同じ型番の仕様書が2つある新しい日付のものだけを渡す。日付が無ければ仕入担当に確かめる
使ってはいけない表現が仕様書に書かれているin_spec を true にして人へ。仕入先の根拠資料を確かめてから使う
応答がJSONの形にならない、または拒否の応答が返る印を残して次の行へ進み、後で人が処理する
API が応答しない印を残す。状態を「確認待ち」に変えるのは成功したときだけ

上の4行が大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、仕様書の受け取り方の問題です。 仕入先に「色ごとの重さを書いた一覧をください」と頼むほうが、指示文を工夫するより効きます。

Step11

記録を残す

  • 渡した仕様書のファイル名と保存日時、版の日付
  • ChatGPT に渡した指示文、手引、使ってはいけない表現の一覧のそのときの版
  • 返ってきたJSONの全文
  • 人が直した後の文章とサイズ表、および直した箇所
  • grounded が false だった文と、その扱い(消した/仕様書にあった/資料を求めた)
  • 仕入先へ確認した項目と、回答の日付と内容

2つ目で手引の版を残すのは、手引が後から変わるためです。 使ってはいけない表現を足したとき、過去の商品ページのどれを見直せばよいかは、当時の版が残っていないと決まりません。

4つ目の「人が直した後の文章」は、掲載した表示の根拠になります。 掲載後に問い合わせや指摘を受けたとき、どの仕様書のどの記載をもとに書いたかを示せる状態にしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:仕様書を ChatGPT の画面に添付し、決めた指示文で下書きと根拠の表を作らせる / 1点ごとの下書きと根拠の付与
半自動化:上記+Google Apps Script で商品マスタから OpenAI API を呼び、結果を点検結果のシートに書き出す / 下書きの作成と、根拠なしの文の一覧化
本格構成:上記+根拠の箇所が仕様書に実在するかの照合、仕入先への質問の下書き、サイズ表の商品マスタへの書き出し / 下書きから確認対象の洗い出しまでの全体

最小構成でも、1点あたりの時間はかなり減ります。 書き起こしの15分がほぼ無くなるためです。ただし、仕様書を添付して指示文を貼る手作業が1点ずつ残ります。 月120点では、その手作業の時間が積み上がります。 半自動化で、添付と貼り付けの手作業が無くなります。 本記事の第10章の想定はこの段階で、人の作業は根拠なしの文とサイズ表の確認だけになります。 本格構成で足すのは、source の実在の照合と、仕入先への質問の下書きです。照合を足すと、「根拠ありと出たのに仕様書に無かった」という見落としが減ります。 段階を飛ばさないでください。 最小構成で1か月回すと、根拠なしの文が多い仕入先と、手引に足りない項目が先に分かります。手引を直してから半自動化に進むほうが、確認の時間が早く下がります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
10 分
現在  120件 × 30分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 120件 × 10分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価2,500円)
120万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 仕入先やメーカーから届く仕様書・カタログをもとに、自社のECサイトやモールに毎月数十〜数百点の新商品を登録している通販事業者・小売業。商品ページの文章を書く人と、仕様書を受け取る仕入担当が別で、掲載前の見比べが目視になっている場合。商品ページの書き方(見出しの順、表記のルール、使ってはいけない表現)を一枚の手引にまとめられる場合。
向いていない
  1. 登録する商品が月に数点で、1点ずつ時間をかけて書ける場合。仕入先から仕様書が届かず、現物を見て採寸・撮影しながら書くのが中心の場合(仕様書という根拠がないため、この構成の点検が働きません)。なお、表示が景品表示法や家庭用品品質表示法に照らして問題ないかの最終判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月登録した商品から10点を選ぶ(色・サイズの展開がある商品を3点以上入れる)
  2. その10点の仕様書と、実際に掲載した商品ページを用意する
  3. 書き方の手引と使ってはいけない表現の一覧を、まず手書きのメモの程度で作る
  4. 第7章の指示文を使い、仕様書を ChatGPT の画面に1点ずつ添付して下書きを作らせる
  5. 出てきた下書きと、実際に掲載したページを比べる

比べるときは、文章の上手さではなく次の3つを見ます。

出てきた内容判断
根拠なしの印が、実際に仕様書に無い文に付いている点検として使える。 半自動化に進む
掲載したページにあった表現に、根拠なしの印が付いた掲載済みのページに根拠の無い表示があった。 構成の効果そのもの
サイズ表が仕様書と違う前処理(単位・展開ごとの行)か指示文の問題。直してからやり直す

2行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、今の目視で落ちていたものが1つ見えたということです。 その表現が本当に根拠を持つのかを仕入先に確かめ、掲載済みのページも直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
仕様書に無い長所が書き足される商品の種類から書き足すことを禁じる。 根拠なしの印を付けさせて残させる
根拠なしの文が言い換えで消える「消さない・言い換えない」を指示に書く
source に書かれた箇所が仕様書に無いStructured Outputs は形を守るだけ。文字列が仕様書にあるかを後段で照らす
サイズ表の単位が換算される単位の換算と丸めを禁じ、unit を別の欄に持たせる
1色の重さが全色に載る表計算の仕様書を1色1行に直してから渡す
隣のページの商品の値が混ざるカタログは該当ページだけを切り出す
古い仕様書で書かれる同じ型番の仕様書は新しい版だけを渡す
書き方が毎回違う手引の見出しの順と文体を渡す。手引の無い状態で始めない
記載なしの項目を推測で埋める「必ず書く項目」の表を渡し、not_in_spec で返させる
下書きがそのまま公開される管理画面へは書き込まない。公開は人が行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、生成AIが「より良い商品ページ」を作ろうとして起きます。根拠の付かない文を残させて印を付ける、という形にしてあるかどうかで、点検として使えるかが決まります。

3行目は、半自動化に進んだときに効いてきます。 JSONの形がそろうと、中身まで正しいように見えます。形の保証と中身の保証は別物で、中身は仕様書の文字列と照らすまで分かりません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 仕入先の仕様書、仕入の条件が書かれていることのある見積書・カタログ、自社の商品マスタ(販売価格、発売前の商品)です。客の個人情報は含みません。

  1. 発売前の商品の情報を外部へ渡すことを、仕入先との取り決めで確かめる … 仕様書には発売前の型番や仕入価格が書かれていることがあります。仕入先との秘密保持の取り決めで、生成AIのサービスに渡してよいかを先に確かめます
  2. 契約するサービスの条件で、入力の扱いを確かめる … OpenAI API に送ったデータは、2023年3月1日以降、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習や改善に使われないとされています。不正利用の監視のためのログは最大30日保持されます。ChatGPT の画面を使う場合は、契約しているプランの条件で確かめてください
  3. 渡すのは文章作成に必要な範囲に限る … 仕入価格や掛け率の書かれたページは、切り出しの段階で除きます。商品マスタも、販売価格以外の仕入の列は渡しません
  4. 表示の適否はこの構成で判断しない … 消費者庁の説明では、優良誤認表示は故意でなく誤った表示でも規制の対象とされています。根拠なしの印は、表示の適否の判断ではなく根拠の資料が仕様書に無いことの事実だけを示します
  5. 品質の表示が決まっている品目に注意する … 家庭用品品質表示法は、繊維製品・合成樹脂加工品・電気機械器具・雑貨工業品の4つの区分について、事業者が表示すべき事項と表示の方法を定めています。 該当する品目の「必ず書く項目」は、手引の表に入れてください
  6. 公開は人が行う … 下書きを管理画面へ自動で書き込まないでください。誤った表示が公開されたときの責任は、AIではなく掲載した事業者にあります

誤りが起きた場合のリスクは、根拠の無い性能を表示することと、寸法を誤って表示することの2つです。 前者は根拠なしの文を消さずに残させることで、後者はサイズ表の見比べを省かないことで防ぎます。どちらも人の確認の工程に置いてあり、そこだけは省かないでください。

10まず何から始めるか

1週目:書き方の手引と、使ってはいけない表現の一覧を作る

EC運営課の3名で、商品ページの見出しの順、文体、単位の書き方を1枚にまとめます。カテゴリごとに「必ず書く項目」の表を作り、根拠の資料が無いと書かない語を一覧にします。家庭用品品質表示法の対象になる品目は、ここで表示事項を確かめておきます。

2週目:10点で試す

先月登録した10点の仕様書を ChatGPT に添付し、第7章の指示文で下書きを作らせます。掲載済みのページと比べ、根拠なしの印がどこに付いたかを最優先で見ます。 掲載済みのページに根拠の無い表現が見つかったら、そのページも直します。

3週目:仕入先への依頼の文面を決める

not_in_spec が多かった項目を集め、仕入先に「次から仕様書に入れてほしい項目」として依頼する文面を仕入担当と作ります。色ごとの重さ、内寸、洗濯の可否が多くなるはずです。

4週目:月の新商品のうち半分をこの方法で書く

商品マスタに状態の列を足し、「文章作成待ち」から「公開済み」までを回します。1点あたりの時間と、根拠なしの文の件数を記録します。

2か月目: Google Apps Script で商品マスタから OpenAI API を呼び、Structured Outputs で結果を点検結果のシートに書き出します。3か月目以降: source の文字列が仕様書にあるかの照合と、仕入先への質問の下書きを足し、1点30分が何分になったかを実測します。根拠なしの文が多い仕入先が減り、サイズ表の見比べで直す箇所が月に数件になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Structured Outputs が指定した JSON スキーマに沿った応答を必ず生成し、必須の項目の抜けや決めていない列挙値の混入を防ぐこと。JSON モードではスキーマへの準拠が保証されないこと。安全上の拒否は refusal として判別できることOpenAI: Structured Outputs2026-10-06
画像を扱えるモデル(gpt-4o 以降)では、PDFからテキストとページの画像の両方を取り出してモデルに渡すこと。ファイル1つあたり50MB、1回のリクエストの合計50MBが上限であること。Base64、ファイルID、URL で渡せることOpenAI: File inputs(PDF)2026-10-06
2023年3月1日以降、API に送ったデータは明示的に共有を選ばない限りモデルの学習や改善に使われないこと。不正利用の監視のログが最大30日保持されることOpenAI: Data controls in the OpenAI platform2026-10-06
優良誤認表示が、実際のものよりも著しく優良であると示す表示などであり、故意でなく誤った表示でも規制の対象となること。消費者庁が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められること消費者庁: 優良誤認表示について2026-10-06
家庭用品品質表示法が、繊維製品・合成樹脂加工品・電気機械器具・雑貨工業品の4区分について、事業者が表示すべき事項と表示方法を定めていること消費者庁: 家庭用品品質表示法2026-10-06

表示が法令に照らして適切かは、自社の担当者と、必要に応じて専門家が判断してください。 本記事は消費者庁と OpenAI の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。ChatGPT の画面の入力の扱いは、契約しているプランの条件で確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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