Media > AI活用ユースケース > 総務 > 公園樹・街路樹の巡回で撮った写真から、枯れ枝・ぶら下がり枝・幹の空洞・キノコ・傾きなど倒木と落枝の兆候の候補を拾い、樹木医の診断と剪定に回す順番をつける

公園樹・街路樹の巡回で撮った写真から、枯れ枝・ぶら下がり枝・幹の空洞・キノコ・傾きなど倒木と落枝の兆候の候補を拾い、樹木医の診断と剪定に回す順番をつける

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

公園樹・街路樹の巡回で撮った写真から、枯れ枝・ぶら下がり枝・幹の空洞・キノコ・傾きなどの兆候の候補を拾います。樹木台帳の区域の重要度と前回の記録に照らし、樹木医の診断や剪定に回す順番の案と点検表の下書きを作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Power Automate
対象業界
不動産/建設/自治体
対象部門
総務
対象業務
内容確認・チェック/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
画像認識
主な効果
判断支援/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
63%
年間削減
600h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 巡回の担当が、地区の重点の区域の高木を1本ずつ撮り、気になる点を手帳にメモする
  2. 写真とメモを共有フォルダに入れる
  3. 職員が写真を1本ずつ開き、樹木台帳の番号と照らして、点検表の着眼点の欄に書き写す
  4. 前回の点検表を開き、前回と比べて変わった木を探す
  5. 経験のある職員が、気になる木の写真を見直し、樹木医の診断・剪定・経過観察に分ける
  6. 樹木医への依頼と、剪定の作業の指示を出す
導入後(After)
  1. 人巡回の担当が、決めた撮り方で1本ごとに写真を撮り、ファイル名に樹木の番号を付けて地区のフォルダに入れる
  2. 自動Make のシナリオが、フォルダに入った写真を拾い、樹木台帳から樹種・区域・前回の記録を引く
  3. 自動Gemini API が、着眼点ごとに兆候の候補・見えないもの・写真の上の位置を返す
  4. 自動シナリオが、兆候の種類と区域の重要度と前回からの変化から、順番の区分を付ける
  5. 自動点検表の下書きと、順番の案の一覧を作る
  6. 人職員が、「至急」「早め」の木と「見えない」が多い木だけ写真で確かめ、区分を確定する
  7. 人樹木医への依頼と、剪定や立入防止の指示を出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 巡回の担当が、地区の重点の区域の高木を1本ずつ撮り、気になる点を手帳にメモする
  2. 写真とメモを共有フォルダに入れる
  3. 職員が写真を1本ずつ開き、樹木台帳の番号と照らして、点検表の着眼点の欄に書き写す
  4. 前回の点検表を開き、前回と比べて変わった木を探す
  5. 経験のある職員が、気になる木の写真を見直し、樹木医の診断・剪定・経過観察に分ける
  6. 樹木医への依頼と、剪定の作業の指示を出す

(a)書き写しが多い。 1か月に1,200本の写真があり、「異状なし」の木も、異状なしであることを点検表に書いています。 手帳のメモと写真の対応を取り直す手間もかかります。

(b)順番の判断が経験者に頼っている。 どの兆候が危ないか、園路の上に枝が出ているか、同じ兆候でも場所によって急ぐかどうかが変わることを分かっているのは、経験のある職員だけです。その職員の異動が、毎年の心配の種になっています。

(c)前回からの変化を追えない。 前回の巡回は1年前で、写真は別のフォルダにあります。「去年から傾いていた」のか「今年傾いた」のかを確かめるのに、写真を探し直します。

(d)見えなかったことが記録に残らない。 葉が茂って樹冠の上が見えなかった木も、点検表では「異状なし」と同じ空欄になります。見えなかった木を、次の落葉期に見直す手がかりがありません。

  1. 【人】 巡回の担当が、決めた撮り方で1本ごとに写真を撮り、ファイル名に樹木の番号を付けて地区のフォルダに入れる
  2. 【自動】 Make のシナリオが、フォルダに入った写真を拾い、樹木台帳から樹種・区域・前回の記録を引く
  3. 【自動】 Gemini API が、着眼点ごとに兆候の候補・見えないもの・写真の上の位置を返す
  4. 【自動】 シナリオが、兆候の種類と区域の重要度と前回からの変化から、順番の区分を付ける
  5. 【自動】 点検表の下書きと、順番の案の一覧を作る
  6. 【人】 職員が、「至急」「早め」の木と「見えない」が多い木だけ写真で確かめ、区分を確定する
  7. 【人】 樹木医への依頼と、剪定や立入防止の指示を出す

6番目が、この設計の分かれ目です。 職員が写真を開くのは、区分が「至急」「早め」の木と、見えない着眼点が多い木だけです。「兆候なし」の木は一覧で確かめます。全部の写真を見直す設計にすると、①②の時間はほとんど減りません。

現地での確認は、これまでどおり残します。 木を揺らして揺らぎを見る、幹を叩いて音を聞く、といった点検は写真ではできません。変わるのは、写真の書き写しと、順番を決める前の下ごしらえです。

02今回想定するシステム構成

構成図
巡回の担当(スマートフォン)
   │  1本ごとに全体と根元、気になる部分は寄って撮影。ファイル名に樹木の番号
   ▼ Google ドライブの地区のフォルダ
【トリガー】Make の Watch Files in a Folder
Make
   ├── Download a File ── 写真の取り出し
   ├── 樹木台帳 ── 樹種・区域の重要度・前回の記録
   ├──▶ Google Gemini AI の Make an API call
   ▼
Gemini API ── 着眼点ごとの兆候の候補・見えないもの・位置(box_2d)
   ▼
Make ── 兆候 × 区域の重要度 × 前回からの変化 → 順番の区分
   ▼
点検表の下書き / 順番の案の一覧
   ▼
【職員が「至急」「早め」と「見えない」が多い木を写真で確かめる】
   └──▶ 樹木医への依頼・剪定の指示
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(樹木の写真から着眼点ごとの兆候の候補を判定)Claude API、OpenAI API
連携Make(写真の検知、呼び出し、順番の規則、下書きの作成)Power Automate、Google Apps Script
連携Google スプレッドシート(樹木台帳、点検表、順番の案の一覧)Microsoft Lists
保管Google ドライブ(地区ごとの写真のフォルダ)庁内のファイルサーバー
撮影巡回の担当のスマートフォンタブレット

つなぎには Make を使います。 Google Drive のモジュールには、選んだフォルダにファイルが追加・変更されたときにシナリオを動かす Watch Files in a Folder と、ファイルを取り出す Download a File があります。Google Gemini AI のアプリには、Make an API call のモジュールがあり、この構成ではそれを使ってスキーマを指定した呼び出しを組みます。

写真を見る土台は、Gemini API の画像理解です。 対応する形式は PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF で、1回のリクエストに複数の画像を入れられます。 画像を直接入れる場合は、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでです。兆候の位置は box_2d として [ymin, xmin, ymax, xmax] の形で、0から1000に正規化した座標で返せます。この座標を、職員が写真のどこを見ればよいかの印に使います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

写真が地区のフォルダに入ったことを起点にします。 Make の Watch Files in a Folder が新しい写真を拾い、シナリオが動きます。巡回は昼間に行われ、写真はその日の夕方までにまとまって入るので、シナリオの実行の間隔は1時間ごとで足ります。

1本の木の写真がそろってから処理します。 決まりは「全体1枚+根元1枚、気になる部分は寄りを足す」です。ファイル名を「樹木の番号_撮影日_全体/根元/寄り」とし、同じ樹木の番号の全体と根元がそろった木から処理します。根元の写真が無い木は、「根元の写真が無い」として下書きに出します。

地区の巡回を終えた日を、巡回の担当が報告します。 その翌日に、台帳で重点にした木のうち、写真が1枚も入っていない木を一覧にします。撮り漏れは、点検の漏れです。点検の結果より先に、この一覧を職員に見せます。

台風や大雨の後の臨時の巡回でも、同じフォルダに入れれば同じ流れで動きます。 臨時の巡回の写真は、ファイル名に「臨時」の印を付け、順番の案を通常の巡回より先に並べます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
樹木の写真全体・根元・寄り。樹木の番号、撮影日、撮った担当地区のフォルダ
樹木台帳樹木の番号、樹種、幹周り、位置、区域の種類(園路沿い・外周・入口・遊具の周り・通学路など)、景観木などの属性樹木台帳
前回の記録同じ木の前回の巡回の答え、確定した区分、樹木医の診断の結果、行った処置点検表
順番の規則兆候の種類 × 区域の重要度 × 前回からの変化で区分を決める表順番の規則の表

質を決めるのは、樹木台帳の「区域の種類」です。 国の公園の樹木の指針は、エントランス、園路沿い、広場、利用者の多い施設の周り、道路や民家に接している外周を、安全確保の重要度の高い区域として重点化することを挙げています。同じ枯れ枝でも、園路の真上と樹林の奥では急ぎ方が違います。 台帳にこの区分が無いと、順番が決まりません。

樹種は、AIに渡します。 街路樹のガイドラインには、画像を使う技術の留意点として対象の樹種が限られることが挙げられています。樹種を渡しておくと、落葉期に葉が無いことを「枯れている」と答える誤りを減らせます。 一方、前回の記録はAIに渡しません。前回「キノコあり」と渡せば、今回も見つけようとして、無いものを答えることがあります。

Step3

データの取得方法を決める

Make のシナリオが、次の順に集めます。

取るものどこから何に使うか
写真Download a FileAIに渡す
樹木の番号・撮影日ファイル名台帳の引き当て
樹種・区域の種類・属性樹木台帳AIへの補足と、区分の決定
前回の答えと確定した区分点検表前回からの変化の判定
区分の規則順番の規則の表区分の決定

AIに渡すのは、写真と樹種と撮影の月だけです。 撮影の月を渡すのは、落葉期か展葉期かで見えるものが変わるからです。国の公園の樹木の指針は、展葉期には枯損枝を見つけやすく、落葉期には幹や枝の空洞や腐朽を見つけやすいとしています。

写真は Download a File で取り出したものを base64 にして、Make an API call の本文に入れます。 1本あたり2〜3枚なので、リクエスト全体20MBの上限には通常届きません。本文の response_format に後で示す出力形式のスキーマを入れ、API キーは Make の接続の側に持たせて、シナリオの本文には書きません。

位置と区域は、AIに渡しません。 区域の重要度はシナリオが規則で使うもので、AIに「園路沿い」と渡すと、兆候を大きめに答えやすくなります。 写真の判定と区域の重みを分け、合わせるのはシナリオです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 枚数と名前の確認 … 全体と根元がそろい、樹木の番号が台帳にあるかを見ます
  2. 向きの補正 … 写真の向きの情報で、横倒しの写真を正しくします
  3. 写りの確認 … 逆光で樹冠が黒くつぶれた写真、ぶれた写真は「撮り直し」とします
  4. 人の写り込みの確認 … 公園の利用者が写っている写真は、AIに送らず撮り直しにします
  5. 大きさの調整 … 長辺が大きすぎる写真は縮めます。寄りの写真は、キノコや亀裂が潰れない大きさを残します
  6. 前回の答えの取り出し … 同じ木の前回の答えを、変化の判定のために取り出しておきます

4番目は、この題材で特に大事です。 公園には子どもを含む利用者がいます。巡回の担当には、利用者が木の近くにいるときは撮らずに待つか、その木を後回しにするよう決めます。写り込んだ写真は、AIに送りません。

3番目の逆光は、樹冠を見上げて撮ると必ず起きます。 枯れ枝は、空を背景にした黒い枝として写ると見分けにくくなります。撮る向きを太陽を背にする向きに決め、樹冠は少し離れて撮る決まりにします。

Step5

AIに処理させる

させるのは、着眼点ごとに、次の答えを返すことだけです。

着眼点答え方判断できないときの扱い
枯れ枝found / none / not_visible / uncertain葉で隠れて見えなければ not_visible
ぶら下がり枝同上同上
不自然な傾斜同上。根元の地面の盛り上がり・亀裂も根元が写っていなければ not_visible
開口空洞同上。芯に達しているかは答えない幹が隠れていれば not_visible
キノコ同上。種類は答えない寄りの写真が無く小さければ uncertain
亀裂・樹皮の欠損同上同上
支柱・保護板の食い込み同上支柱が無ければ none
根上り・構造物への干渉同上根元が写っていなければ not_visible

found と uncertain のときは、写真の番号と box_2d を返させます。 職員は印の付いた位置を見るだけで済みます。

させないこと理由
健全度の判定(危険かどうか)公園管理者が判定基準を定めて行う
伐採・剪定の要否専門技術者の見解を踏まえて決める
空洞が芯に達しているか外から見えない。診断の仕事
キノコの種類の同定写真では確かめられない。腐朽力の強い種類の見分けは専門技術者
揺れの有無写真に写らない
写っている人についての記述点検に要らない

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 キノコの写真を見せると、AIは種類の名前を挙げます。腐朽力の強い種類と挙げれば順番が跳ね上がり、弱い種類と挙げれば下がります。 どちらも写真だけでは確かめられません。キノコは「ある」までにし、種類は樹木医が見ます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは、公園樹・街路樹の巡回で撮った写真から、点検の着眼点ごとに見えるものを書き出す立場です。
同じ木の写真を複数枚渡します。1枚目は木の全体、2枚目は根元、3枚目以降は気になる部分に寄った写真です。
写真に見えるものだけを答えてください。

【この木の情報】樹種:{species} 撮影の月:{month}

【着眼点】
deadwood(枯れ枝)、hanging_branch(ぶら下がり枝)、lean(不自然な傾斜、根元の地面の盛り上がりや亀裂)、
cavity(幹の開口空洞)、fungus(キノコ)、crack(幹の亀裂、樹皮の欠損)、
support_damage(支柱・保護板の食い込み)、root_conflict(根上り、舗装や構造物への干渉)

【着眼点ごとに答えること】
- status:found / none / not_visible / uncertain
- found と uncertain のときは、photo_no と box_2d と、見えたものを短く note に
迷ったときに none を選ばないでください。

【厳守事項】
- 葉や他の木に隠れて見えない部分は not_visible にしてください。見えない部分を none にしないでください。
- この木が危険かどうか、伐るべきか、剪定すべきかを書かないでください。
- 空洞が幹の芯まで達しているかを推測しないでください。見えている開口だけを答えてください。
- キノコの種類の名前を書かないでください。あるかどうかと位置だけを答えてください。
- 落葉期に葉が無いことを、枯れているとして扱わないでください。樹種と撮影の月を参考にしてください。
- 写真に写っている人について、何も書かないでください。

「見えない部分を none にしない」を明記しないと、AIは none を選びます。 写真に枯れ枝が写っていなければ、「枯れ枝なし」と答えるのが自然だからです。葉に隠れた樹冠の上の枯れ枝は、まさに見落としたくない兆候です。 not_visible を用意し、迷ったときにそれを選ばせます。

「落葉期に葉が無いことを枯れとして扱わない」は、冬の巡回のために入れています。 落葉した広葉樹の枝は、写真では枯れ枝とよく似て見えます。

Step7

出力形式を固定する

構造化出力で、木ごとに次の形のJSONを受け取ります。

{
  "tree_id": "K07-0412",
  "checks": [
    { "item": "deadwood | hanging_branch | lean | cavity | fungus | crack | support_damage | root_conflict",
      "status": "found | none | not_visible | uncertain",
      "photo_no": 1,
      "box_2d": [0, 0, 0, 0],
      "note": "" }
  ],
  "retake_needed": false
}

着眼点と状態を enum にして、決めた値以外を返させません。 Gemini API の構造化出力は、/v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定し、enum と required が使えます。ただし、JSONとして正しくても値が正しいとは限らないため、アプリケーションの側で値を確かめるよう案内されています。 シナリオで、8つの着眼点がすべて返っているか、found に box_2d があるかを確かめ、欠けていれば「確認が要る」にします。

区分は、シナリオが順番の規則の表から決めます。

区分条件の例
至急ぶら下がり枝が found。または重要度の高い区域で枯れ枝・傾斜が found
早め重要度の高い区域でキノコ・空洞・亀裂が found。または前回から新しく出た兆候
次回に注意重要度の低い区域の found、または uncertain
見えない重要な着眼点が not_visible(次の季節の巡回で見る項目として残す)
兆候なしすべて none

ぶら下がり枝を区域にかかわらず「至急」にしているのは、わずかな風でも落ちるおそれがあり、速やかに除去するものとされているからです。 規則の中身は、公園緑地課が樹木医と相談して決め、表として持ちます。AIの答えが同じでも、規則を変えれば順番が変わるようにしておきます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google ドライブWatch Files in a Folder、Download a File写真の検知と取り出し
樹木台帳・点検表Google スプレッドシートのモジュール台帳の読み取りと、下書きの列への書き込み
Gemini APIGoogle Gemini AI の Make an API call着眼点ごとの判定
順番の案の一覧Google スプレッドシート職員が確定する一覧

点検表には、下書きの列だけに書きます。 確定の列は職員が埋めます。樹木医への依頼や剪定の指示は、職員が確定した区分から出します。 シナリオから作業の指示を直接出すことはしません。

樹木台帳は読み取りだけです。 写真で「支柱が無い」と分かっても、台帳は書き換えません。台帳の直しは、現地を確かめた職員が行います。

Step9

人が確認する

すべての木で、職員の確定を通します。 写真を開く木は区分で絞ります。

  1. 「至急」を最初に見る … 印の付いた位置を写真で確かめ、必要なら当日のうちに現地の確認と立入防止を手配します
  2. 「早め」を見る … 樹木医の診断に回すかを決めます。予算の枠の中で、どの木から診てもらうかをここで決めます
  3. 「見えない」をまとめる … 次の季節の巡回で見る木の一覧に入れます
  4. 「次回に注意」と「兆候なし」は一覧で確定する … 下書きを流し見て、まとめて確定します

1番目を省かないでください。 「至急」は園路の上の枯れ枝やぶら下がり枝です。写真で確かめた時点で、現地の担当に連絡するまでを1つの手順にします。

目標は、1,200件をならして1本1.5分です。 「兆候なし」の木は一覧で数秒、「至急」「早め」の木は写真を開いて数分かかります。

確定した結果は、受託者にも返します。 職員が「撮り直し」や「見えない」にした木を地区ごとに数え、次の地区の巡回の前に、撮り方で直すところを受託者と確かめます。 受託者の担当が替わっても、撮り方がそろったまま続くようにするためです。

最初の2か月は、経験のある職員がこれまでどおり写真を見て、区分と並べます。 職員が気になると判断した木に、AIが兆候を出していたかを照らします。出していなかった木は、撮り方か着眼点の書き方を直す材料です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
全体か根元の写真が無い「写真の不足」として下書きに出す
樹木の番号が台帳に無い処理せず職員に知らせる。植え替えや番号の付け間違いを疑う
逆光・ぶれで見えない「撮り直し」。次の巡回の日に撮り直す
人が写っているAIに送らず「撮り直し」
葉が茂って樹冠の上が見えないnot_visible で「見えない」。落葉期の巡回で見る項目に入れる
地区の巡回で撮り漏れた木重点の木のうち写真の無い木を一覧に出す
台風の後の臨時の巡回「臨時」の印で、順番の案を先に並べる
地区の境目の木が二度撮られる同じ樹木の番号の写真は新しい日付のものを使い、古い写真は記録だけ残す
写真の木と台帳の樹種が合わないAIの答えは使い、区分は「確認が要る」。番号の付け間違いか、台帳の誤りかを職員が確かめる
Gemini API が応答しないその木は「未処理」。職員がこれまでどおり写真を見る

「未処理」と「見えない」を「兆候なし」に混ぜないでください。 混ぜると、見ていない木が見た木と同じ空欄になり、(d)の問題がそのまま残ります。

Step11

記録を残す

  • 木ごとの写真と、撮影日、撮った担当
  • AIの答え(着眼点ごとの状態・位置・メモ)
  • 区分と、そのとき使った順番の規則の版
  • 職員が直した区分と、確定した日
  • 樹木医の診断の結果と、行った処置(剪定、立入防止、伐採)
  • 「見えない」とした着眼点と、次に見る季節

点検表の下書きは、たとえば次の形にします。

【巡回の点検】K07 地区 2026-10-06(担当 ○○)
 K07-0412 ケヤキ 園路沿い   ぶら下がり枝 found(写真1 右上)→ 至急
 K07-0415 サクラ 外周       キノコ found(写真3 根元)前回なし → 早め
 K07-0420 クスノキ 広場     枯れ枝 not_visible(葉で隠れる)→ 見えない:落葉期に見る
 K07-0421 イチョウ 園路沿い すべて none → 兆候なし

国の公園の樹木の指針は、点検票などに写真や判定結果、措置の内容、次回の点検の時期を記録し、樹木の位置を示した図面と合わせることが望ましいとしています。 職員の異動に備えて記録を散逸させないことも重要とされています。この下書きと写真の対応が、そのまま異動の後の引き継ぎの材料になります。

04実装レベルの3段階

最小構成:写真と樹種を手でAIの画面に貼り、着眼点ごとに答えさせる / 1本ごとの書き写し
半自動化:上記+フォルダを起点に Make で呼び出し、答えを点検表の下書きに書き出す / 全部の木の書き写し
本格構成:上記+区域の重要度と前回からの変化で区分を付け、順番の案の一覧を作る / 書き写し・比較・順番の案まで

最小構成では1,200本をさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1本4分が2.5分程度になります。 書き写しは無くなりますが、前回との比較と順番の振り分けが手で残ります。 本格構成で1.5分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、②の比較と③の振り分けの下ごしらえが規則で行われるためです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の下書きを1か月見ると、「見えない」が多い樹種と、撮り方の合わない地区が分かります。そこを直してから区分を付けるほうが、職員が一覧を信用します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
1,200 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1.5 分
現在  1,200件 × 4分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 1,200件 × 1.5分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
50h
削減率
63%
年間削減時間
600h
年間金額換算(時間単価3,000円)
180万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 数百の公園と数万本の街路樹を管理し、職員や維持管理の受託者が地区を分けて毎月巡回している自治体。巡回の写真は集まっているが、点検表への書き写しと、どの木を先に樹木医に見てもらうかの判断が、経験のある職員に頼っている場合。樹木台帳があり、木ごとの番号・樹種・位置・区域を引ける場合。公園の指定管理者や、街路樹の維持管理を請け負う造園の会社にも当てはまります。
向いていない
  1. 管理する樹木が少なく、樹木医が全部を定期に診断できている場合。樹木台帳が無く、写真と木を結び付けられない場合。写真に公園の利用者が写り込むことを避けられない場合。なお、健全度の判定、伐採や剪定の要否の判断、機器を使った診断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 去年の巡回で、樹木医の診断に回した木と回さなかった木を、合わせて20本選ぶ
  2. その20本の写真(全体と根元、寄り)を用意する(人が写っていないもの)
  3. 手元の Gemini の画面に、1本分の写真と樹種・撮影の月を貼り付ける
  4. 「枯れ枝、ぶら下がり枝、傾斜、空洞、キノコ、亀裂、支柱の食い込み、根上りについて、写真に見えるか、見えないか、分からないかを答え、見える場合は場所を示してください。危ないかどうか、キノコの種類は書かないでください。葉で隠れて見えない部分は見えないと答えてください」と指示する
  5. 経験のある職員の見立てと、当時の樹木医の診断の結果と突き合わせる

試すときも、会社や庁内で使ってよいと決めた有料の枠で行います。

出てきた内容判断
樹木医に回した木で兆候が出ている順番の規則の作成に進む
見えない部分を「なし」と答える指示の書き方で直る。構成は有効
逆光や遠すぎて何も答えられない撮り方が先。 AIの問題ではない

3行目は、樹冠を撮った写真でよく出ます。 写真で見えない樹冠は、現地の巡回でも見えにくい樹冠です。撮る位置と向きを決め直すと、現地の点検の見方もそろいます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
見えない部分を「兆候なし」と答えるnot_visible を用意し、迷ったらそれを選ばせる
落葉した枝を枯れ枝と答える樹種と撮影の月を渡し、指示で禁じる
キノコの種類を挙げて順番が揺れる種類は書かせない。見分けは樹木医
空洞の深さを推測する見えている開口だけを答えさせる
逆光で樹冠がつぶれる太陽を背にして、少し離れて撮る決まりにする
人が写った写真を送ってしまう撮らずに待つ決まりと、写り込みの撮り直し
区域の重要度が台帳に無い重点の区域から台帳に区分を足す
前回の答えを渡して、無い兆候を答える前回の記録はAIに渡さず、比較はシナリオで行う
「見えない」が次の季節に忘れられる次に見る季節を記録し、その季節の巡回の一覧に入れる
区分から作業の指示を自動で出す指示は職員が確定してから出す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、見えないものや季節の変化を「兆候なし」「枯れ」と言い切ることから起きます。見えないものを見えないと答えさせ、季節の情報を渡しておけば、樹種が増えても規則は変わりません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 公園と街路の樹木の写真、樹木台帳、点検表、巡回の担当の名前です。写真には、公園の利用者、とくに子どもや、街路の通行人・住宅が写り込むおそれがあります。

  1. 人を写さない、写った写真を送らない … 利用者がいるときは撮らない決まりを巡回の仕様に入れ、写り込んだ写真はAIに送りません。AIへの指示でも、人について何も書かせません
  2. 規約の年齢の条件を確かめる … Gemini API の規約は18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または18歳未満が利用しうるサービスでの利用を禁じています。 この構成を使うのは職員と巡回の担当だけで、住民に公開する仕組みではありません。住民からの通報の窓口などに広げる場合は、改めて規約を確かめてください
  3. 有料の枠で使う … 無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあるとされています。有料の枠では、プロンプトや応答を製品の改善に使わず、禁止事項の違反を見つけるために限った期間だけ記録するとされています
  4. 保存される場所を確かめる … 有料の枠でも、内容はどの国でも一時的に保存・キャッシュされうるとされています。庁内の情報セキュリティの方針で扱える情報かを先に確かめます
  5. 健全度の判定と伐採の判断をAIに寄せない … 国の公園の樹木の指針は、健全度の判定は公園管理者が判定基準を定めて行い、伐採の要否など重要な判断は専門技術者の見解を踏まえることが望ましいとしています。この構成が出すのは、写真に見えた兆候の候補と順番の案までです
  6. 管理の責任は公園管理者に残る … 指針は、指定管理者が管理する公園でも、樹木の管理に瑕疵があれば設置者が賠償責任を負うことに留意するとしています。AIの答えを理由に点検の手順を省かないでください

誤りが起きた場合のリスクは、危ない兆候を見落とすことと、見えなかった木を見たことにしてしまうことの2つです。 前者は not_visible を none に混ぜると起き、後者は「未処理」を「兆候なし」に混ぜると起きます。どちらも、見えないことを記録に残すことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:樹木台帳に区域の種類をそろえる

重点にする区域(園路沿い、外周、入口、遊具の周り、通学路の街路樹)を決め、次に巡回する地区の木から台帳に区分を足します。

2週目:20本で試す

去年の巡回の写真から20本を選び、手元の Gemini の画面で着眼点ごとに答えさせます。経験のある職員の見立てと樹木医の診断の結果と突き合わせ、見えない部分を「なし」と答えていないかを最優先で見ます。

3週目:撮り方と順番の規則を決める

受託者と、撮る枚数・向き・ファイル名の決まりを決めます。樹木医と相談して、兆候 × 区域 × 前回からの変化の規則の表を作ります。

4週目:フォルダから下書きまでをつなぐ

Make で、Watch Files in a Folder から Make an API call までをつなぎ、点検表の下書きに書き出すところまで作ります。 区分はまだ付けず、職員の見立てと並べます。

2か月目: 規則で区分を付け、順番の案の一覧を出します。3か月目以降: 1本4分が何分になったかを実測し、「見えない」が多い樹種の撮り方を直します。異動してきた職員が、一覧を見て樹木医に回す木を経験のある職員と同じ順番で選べるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
点検・診断に日常点検・定期点検・診断・災害対策点検があること。エントランス・園路沿い・広場・利用者の多い施設の周り・道路や民家に接する外周などを重点化すること。展葉期には枯損枝を、落葉期には幹や枝の空洞や腐朽を見つけやすいこと。健全度の判定は公園管理者が判定基準を定めて行い、伐採の要否など重要な判断は専門技術者の見解を踏まえることが望ましいこと。点検票に写真・判定結果・措置・次回の点検時期を記録し、樹木の位置を示した図面と合わせること。委託の際は範囲・方法を仕様書で明らかにすること。指定管理者が管理する公園でも設置者が賠償責任を負うことに留意すること国土交通省: 都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案)(平成29年9月)2026-10-08
点検項目として、枯れ枝、ぶら下がり枝(かかり枝)、樹幹の不自然な傾斜、亀裂、キノコ、開口空洞、支柱の食い込み、舗装部の根上がりなどが挙げられていること。ぶら下がり枝はわずかな風でも落下するおそれがあり、速やかに除去するとされていること。開口空洞は芯に達しているかで区分して評価すること国土交通省: 都市公園の樹木の点検・診断に関する指針(案) 参考資料(平成29年版)2026-10-08
同指針の参考資料が令和8年3月30日に改定されたとして出典に挙げられていること千葉市: 公園の樹木に関するページ2026-10-08
平成30年〜令和4年に年平均約5,200本の倒木、令和3年4月〜令和6年11月に801件(うち人身事故33件)の事故が確認されたこと。定期巡回の着眼点(キノコ、腐朽・空洞、亀裂、樹体の揺れ、支柱・保護板の食い込み、根上り、構造物への干渉)。異常ありの項目は写真撮影を必須とするチェックリストの例。画像を用いた点検・診断の技術(AI等を含む)の留意点として、対象樹種が限られること、結果は撮影した範囲と画像で把握できる異状に限られること(樹体の激しい揺れは把握できない)国土交通省 道路局: 街路樹点検の実施促進のためのガイドライン(令和8年3月)2026-10-08
対応する画像の形式が PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF であること。画像を直接入れる場合、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでであること。1回のリクエストに複数の画像を入れられること。位置を box_2d として [ymin, xmin, ymax, xmax] の0〜1000の座標で返すことGemini API: Image understanding2026-10-08
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定すること。enum と required が使えること。JSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-08
18歳以上の利用を条件とし、18歳未満を対象とする、または利用しうるサービスでの利用を禁じていること。無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあること。有料の枠では製品の改善に使わず、禁止事項の違反を見つけるために限った期間だけ記録すること。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-08
Make の Google Gemini AI のアプリに Make an API call のモジュールがあることMake: Google Gemini AI2026-10-08
Make の Google Drive のアプリに、選んだフォルダにファイルが追加・変更されたときに動く Watch Files in a Folder と、Download a File のモジュールがあることMake: Google Drive modules2026-10-08

公園の樹木の指針の参考資料は令和8年3月30日に改定されたとされています。 本記事は平成29年版の本文と参考資料で確認できた範囲を扱っています。判定基準や点検項目は、最新版と自治体のマニュアルで確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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