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職員から届く業務システムへの要望と不具合の報告を、種類と緊急度で仕分けて、改修の検討一覧にまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

職員からフォームとメールで届く業務システムへの報告を、Copilot に読ませて種類と緊急度の候補で仕分けます。重複する要望を束ね、月に一度の改修の検討会に出す一覧の下書きまで作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
医療/教育/自治体
対象部門
情報システム
対象業務
分類・仕分け/台帳・マスタ管理
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
70%
年間削減
336h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 職員がフォームに入力するか、共有メールボックスにメールを送る
  2. 担当者がフォームの回答とメールを1件ずつ開き、どの業務システムの話かを読み取る
  3. 報告の種類(不具合/改修の要望/操作の質問/設定・権限の変更/データの修正)を決める
  4. 影響の範囲と期限を見て、緊急度を決める。急ぎのものは委託先と所管課へ電話する
  5. 過去の報告に同じものがないかを、受付の一覧をさかのぼって探す
  6. 受付の一覧(Excel)に、種類・緊急度・要旨・対応の担当を転記する
  7. 月末に、改修の要望だけを抜き出して検討一覧を作り、月次の検討会に出す
導入後(After)
  1. 人職員がフォームに入力するか、共有メールボックスにメールを送る。業務が止まっているときは、フォームではなく電話で連絡する
  2. 人担当者が、1日2回(10時と15時)、新しいメールの件名と本文を受付ブックの「メール受付」シートに貼り付ける
  3. 人担当者が、受付ブックの新しい行を書き出し、Copilot Chat に指示文とあわせて渡す
  4. 自動Copilot が、報告ごとに種類・緊急度の候補・対象システム・要旨・重複の候補・根拠を表で返す
  5. 人担当者が表を読み、緊急度の候補が A のものを最初に確かめ、委託先と所管課へ連絡する
  6. 人担当者が種類と緊急度を確定し、受付ブックの「仕分け」シートに貼り付ける
  7. 人月末に、改修の要望だけを書き出して Copilot Chat に渡す
  8. 自動Copilot が、同じ要望を束ね、システムごとの件数と要旨をまとめた検討一覧の下書きを返す
  9. 人担当者が下書きを確かめ、月次の検討会に出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 職員がフォームに入力するか、共有メールボックスにメールを送る
  2. 担当者がフォームの回答とメールを1件ずつ開き、どの業務システムの話かを読み取る
  3. 報告の種類(不具合/改修の要望/操作の質問/設定・権限の変更/データの修正)を決める
  4. 影響の範囲と期限を見て、緊急度を決める。急ぎのものは委託先と所管課へ電話する
  5. 過去の報告に同じものがないかを、受付の一覧をさかのぼって探す
  6. 受付の一覧(Excel)に、種類・緊急度・要旨・対応の担当を転記する
  7. 月末に、改修の要望だけを抜き出して検討一覧を作り、月次の検討会に出す

(a)種類と緊急度の付け方が、担当者ごとに違う。 「帳票の文言を変えてほしい」を、ある担当者は改修の要望とし、別の担当者は設定の変更とします。同じ報告が、誰が開いたかで違う山に入ります。 月末に一覧を見ても、要望の件数が実態を表しません。

(b)急ぎのものが、急ぎに見えない書き方で届く。 「税額の画面の表示がおかしい気がします」という一行が、実は納税通知書の発送前に見つかった計算の誤りだった、ということがあります。報告者は大ごとだと思っておらず、件名にも本文にも「至急」とは書きません。 見分けるには、報告の中身を読んで、どの業務のどの時期の話かを考える必要があります。

(c)同じ要望が、別々に積み上がる。 休暇申請の画面について、3つの課から別の言い方で同じ要望が届くと、検討会では「1課からの要望」として3回出てきます。

(d)メールの報告は、転記のたびに中身が落ちる。 画面の写しに詳細があるメールは、担当者が写しを見て書き直すので、「どの画面の、どの操作で」が抜けます。

  1. 【人】 職員がフォームに入力するか、共有メールボックスにメールを送る。業務が止まっているときは、フォームではなく電話で連絡する
  2. 【人】 担当者が、1日2回(10時と15時)、新しいメールの件名と本文を受付ブックの「メール受付」シートに貼り付ける
  3. 【人】 担当者が、受付ブックの新しい行を書き出し、Copilot Chat に指示文とあわせて渡す
  4. 【自動】 Copilot が、報告ごとに種類・緊急度の候補・対象システム・要旨・重複の候補・根拠を表で返す
  5. 【人】 担当者が表を読み、緊急度の候補が A のものを最初に確かめ、委託先と所管課へ連絡する
  6. 【人】 担当者が種類と緊急度を確定し、受付ブックの「仕分け」シートに貼り付ける
  7. 【人】 月末に、改修の要望だけを書き出して Copilot Chat に渡す
  8. 【自動】 Copilot が、同じ要望を束ね、システムごとの件数と要旨をまとめた検討一覧の下書きを返す
  9. 【人】 担当者が下書きを確かめ、月次の検討会に出す

5番目と6番目が、この設計の分かれ目です。人は全件を読み直しません。 根拠の原文を読んで違和感がなければ確定し、違和感のあるものだけ原文を開きます。

1番目の電話の取り決めを、最初に決めてください。 この構成は1日2回しか動きません。窓口が止まっているときに、フォームへの入力を待つ理由はありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
職員
   ├── Microsoft Forms(業務システム要望・不具合報告)
   │      └──▶ 受付ブック「フォーム回答」シート(自動で同期)
   └── 共有メールボックス
          └──▶ 担当者が件名と本文を「メール受付」シートへ貼り付け
                         ▼【トリガー】1日2回、担当者が新しい行を書き出す
Microsoft Copilot Chat(ファイルのアップロード+指示文)
   │   種類/緊急度の候補/対象システム/要旨/重複の候補/根拠
   ▼
【人が確認】緊急度 A の候補を先に確かめ、委託先・所管課へ連絡
   ▼
受付ブック「仕分け」シート(確定した種類と緊急度)
   ▼【月末】改修の要望だけを書き出す
Microsoft Copilot Chat ── 同じ要望を束ねた検討一覧の下書き
   ▼
【人が確認】月次の検討会へ
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(Microsoft Copilot Chat へのファイルのアップロード)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
連携Power Automate(半自動化以降。フォームの回答とメールの取り込み)Make、n8n
報告の受付Microsoft Forms、Outlook の共有メールボックスGoogle フォーム、Gmail
受付ブックMicrosoft Excel(SharePoint 上のブック)SharePoint リスト、Google スプレッドシート

新しく足すものはありません。 Forms、Outlook、Excel はいまの受付で使っているものをそのまま使い、変えるのは受付ブックのシートの構成と、Copilot に渡す指示文だけです。

Copilot Chat(Basic)でも、この構成は動きます。 Microsoft Learn の概要では、Copilot Chat(Basic)は主に Web データを使うチャットで、組織のコンテンツを使うには、プロンプトの作成時にコピーして貼り付けるか、ファイルをアップロードするか、ファイルを選択するとされています。受付ブックの新しい行を書き出したファイルを渡す、という本記事のやり方はこの範囲に収まります。Microsoft Graph を通じた組織データの自動の参照は前提にしません。

Microsoft Entra アカウントでサインインさせてください。 同じページでは、Entra アカウントでサインインすると、Copilot Chat(Basic)も含めてエンタープライズ データ保護の対象になるとされています。

Forms の回答は、Excel のブックに同期されます。 Microsoft のサポートページでは、回答タブから「Excel で開く」を選ぶと、個人のフォームは OneDrive、グループのフォームは SharePoint Online にブックが保存され、開き直すたびに最新の回答が表示されるとされています。フォームはグループのフォームとして作り、ブックを課の SharePoint に置きます。

Excel の Copilot を使える環境なら、ブックを開いたまま頼めます。 サポートページでは、チャットのモードではブックを変更せずに分析情報を得られるとされていますが、Microsoft 365 Copilot のライセンスが前提です。本記事は Copilot Chat へのアップロードを基本にします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

1日2回、10時と15時に、担当者が受付ブックの新しい行を書き出すことを起点にします。 最小構成では自動では動かしません。報告は1日に12件ほどで、半日分をまとめて渡すほうが、同じ日に届いた同じ要望を1回の仕分けで束ねられます。 1件ずつ渡すと、重複に気づくのは月末になります。

10時は前日の夕方から朝までに届いた分、15時は午前中に届いた分です。 朝一番にしないのは、始業直後に届く「昨日から動かない」という報告を、職員が電話で先に伝えてくる時間を空けるためです。電話で受けた内容も、受付ブックに1行足してから同じ仕分けに入れます。 そうしないと、電話の報告だけが検討一覧から抜けます。

書き出す範囲は、受付ブックの「処理済み」列が空の行です。 仕分けを確定したら「処理済み」に日付を入れます。書き出しの範囲を日付で区切らないでください。 前日の15時の仕分けで確定しきれずに残った行が、日付で区切ると次の回から落ちます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
フォームの回答受付番号(回答のID)、所属課、報告者、対象システム(選択)、報告者が選んだ種類、発生日時、内容受付ブック「フォーム回答」シート
メールの報告受付番号(担当者が振る)、差出人の所属、件名、本文、受信日時受付ブック「メール受付」シート
システムの一覧システム名、略称と職員が使う呼び名、所管課、委託先、標準化の対象か受付ブック「システム一覧」シート
緊急度の基準A・B・C の定義と、A にあたる例受付ブック「基準」シート
未完了の報告過去90日の未完了の受付番号、対象システム、要旨受付ブック「仕分け」シート

質を決めるのは、下の3つです。 システムの一覧に呼び名がなければ、「給与のやつ」「庶務」「ぶんかん」が何のシステムか決まりません。職員は正式名称では書きません。 呼び名の列には、担当者がこれまで受けた報告で見た言い方をそのまま足していきます。

未完了の報告を渡すのは、重複の候補を出させるためです。 過去のすべてを渡すと量が増え、終わった話まで重複と判定されます。90日で未完了のものに絞ります。 同じ要望が半年前に「対応しない」で閉じていたかどうかは、担当者が確認する事項に回します。

「標準化の対象か」の列は、改修の進め方を分けるために持ちます。 標準化の対象の事務のシステムへの要望は、自団体の中だけで改修の可否を決められるとは限りません。扱いは委託先との契約と国の標準仕様によるので、情報政策課が決めることです。 Copilot には、この列を写して一覧に並べさせるだけにします。

Step3

データの取得方法を決める

フォームの回答は、何もしなくても受付ブックに入ります。 回答タブから「Excel で開く」で作ったブックは、開き直すたびに最新の回答が表示されます。担当者が書き出すときは、ブックを開き直してから行を選びます。

取るものどこからどう取るか
フォームの回答「フォーム回答」シート「処理済み」が空の行を選ぶ
メールの報告共有メールボックス件名と本文を「メール受付」シートに貼る
システムの一覧・基準「システム一覧」「基準」シート毎回同じものを渡す
未完了の報告「仕分け」シート過去90日で未完了の行だけを絞り込む

メールの貼り付けは、本文の全文を1つのセルに入れます。 要約して貼らないでください。担当者が要約した時点で、第3章の(d)と同じことが起きます。 画面の写しは貼りません。写しに書かれている内容は、担当者が本文のセルの末尾に「【写しの内容】」として一行で書き足します。

書き出しは、これら5つのシートを1つのファイルにまとめてから渡します。 別々のファイルで渡すと、Copilot がシステムの一覧を参照せずに対象システムを決めることがあります。ファイルの名前にも、書き出した日時を入れます。 後で仕分けの結果と入力を突き合わせるときに使います。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 受付番号をそろえる … フォームの回答は回答のIDに「F-」、メールは受信の日付と通し番号に「M-」を付けます。番号の無い行は渡しません
  2. 個人の情報を消す … 本文に住民の氏名、宛名番号、住所が書かれていたら、担当者が「〔住民情報〕」に置き換えます
  3. 署名を消す … メールの署名と、転送の履歴の引用部分を消します。報告者の所属は別の列にあるので、署名は要りません
  4. 一行だけの報告に印を付ける … 本文が30字に満たない行は「短文」の列に印を付けます
  5. 同じ報告者の続報をまとめる … 同じ人から同じ件名で届いた続報は、元の受付番号の行に追記します
  6. 件数を確かめる … 書き出した行の数を控えておき、Copilot の表の行数と合うかを見ます

2番目を省かないでください。 職員は、どの住民の画面でエラーが出たかを伝えるために、氏名や宛名番号をそのまま書いてきます。 仕分けにその情報は要りません。フォームの内容欄の説明にも「住民の氏名・番号は書かず、受付番号や日時で伝えてください」と書いておきます。

6番目は、取りこぼしを見つけるための手順です。 報告の数が多い回ほど、表の途中で出力が止まることがあります。入力の行数と出力の行数が合わなければ、足りない受付番号だけを渡し直します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、報告ごとに決まった6つの列を埋め、その根拠になった原文を写すことだけです。

列何を決めるか判断できないときの扱い
種類不具合/改修の要望/操作の質問/設定・権限の変更/データの修正/その他2つ以上に当たるなら両方を書き、「要確認」
緊急度の候補A(今日中)/B(今月中)/C(検討会で扱う)/判断不能期限も影響も書かれていなければ「判断不能」
対象システムシステムの一覧のシステム名一覧の呼び名に無ければ「不明」
要旨何が、どの操作で、どうなるか(40字以内)書かれていない部分は「(記載なし)」
重複の候補未完了の報告と今回の報告のうち、同じ内容の受付番号似ているだけなら書かない
根拠種類と緊急度の判断に使った原文の一部原文のとおり写す

緊急度の候補は、「基準」シートの定義に当てはめて決めさせます。 本記事で想定する基準は次のとおりです。

緊急度当てはめる条件
A窓口の業務が止まっている/住民に誤った通知や金額が出る恐れがある/法定の期限や発送日が迫っている/個人情報が見えてはいけない人に見えている
B業務は続けられるが回避の手間がかかる/特定の課だけで起きている不具合
C改修の要望、帳票・様式の追加、使い勝手の改善

Aの条件に「住民」「金額」「期限」「見えてはいけない」が並んでいるのは、第3章の(b)のためです。 報告者が大ごとだと思っていない報告を拾うには、書き方の強さではなく、書かれている中身が条件に当たるかで見させます。

させないこと理由
緊急度の確定確定は担当者。候補と根拠を並べるだけにする
改修するかどうか、優先の順番予算と委託先の契約に関わる。検討会で決める
原因の推定報告の文面から原因は分からない。委託先の調査を待つ
報告者への回答文回答は担当者が書く。この構成は仕分けまで
書かれていない情報の補完「どの画面か」が無ければ、無いと書く

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「帳票が出ない」に「プリンタの設定の問題と考えられます」と書き添えると、担当者はそれを読んで委託先への連絡を後回しにします。 原因を書く列を最初から作らないことで、書かせない形にしています。

Step6

指示内容を固定する

あなたは市役所の情報政策課で、職員から届いた業務システムへの報告を
仕分ける担当です。添付のファイルだけを見て判断してください。

【添付のファイルのシート】
- フォーム回答、メール受付 … 今回仕分ける報告
- システム一覧 … システム名、呼び名、所管課、委託先、標準化の対象か
- 基準 … 緊急度 A・B・C の定義
- 仕分け … 過去90日の未完了の報告(重複の確認にだけ使う)

【やること】
今回仕分ける報告の1行ごとに、次の列を埋めた表を作ってください。
受付番号|種類|緊急度の候補|対象システム|標準化の対象か|要旨|
重複の候補|根拠|確認事項

【列の決め方】
- 種類は、不具合/改修の要望/操作の質問/設定・権限の変更/
  データの修正/その他 から選ぶ。2つに当たるときは両方を書き、
  確認事項に「種類を要確認」と書く。
- 緊急度の候補は、基準シートの定義に当てはめて A/B/C/判断不能
  から選ぶ。報告者が「至急」と書いているかどうかではなく、
  書かれている中身が定義に当たるかで決める。
- A にしたときは、定義のどの条件に当たったかを確認事項に書く。
- 対象システムは、システム一覧の呼び名と照らして決める。
  一覧に無い呼び名なら「不明」とし、確認事項にその呼び名を書く。
- 標準化の対象かは、システム一覧の列をそのまま写す。
- 要旨は40字以内で、何が、どの操作で、どうなるかを書く。
  書かれていない部分は「(記載なし)」とする。
- 重複の候補は、今回の報告どうし、または仕分けシートの報告と
  同じ内容のときだけ受付番号を書く。似ているだけなら書かない。
- 根拠には、種類と緊急度の判断に使った原文の一部をそのまま写す。

【厳守事項】
- 記載がなければ「不明」または「(記載なし)」とし、推測で埋めない。
- 原因を推測して書かない。「〜の設定の問題と考えられる」も書かない。
- 改修すべきか、どの順番で対応すべきかを書かない。
- 報告者への回答文を書かない。
- 住民の氏名・番号・住所らしきものが残っていたら、その行の確認事項に
  「住民情報の消し忘れ」と書き、要旨と根拠には写さない。
- 表の行数は、今回仕分ける報告の行数と同じにする。
  判断できない行も省かず、判断不能として残す。

「至急と書いているかではなく、中身が定義に当たるかで」を明記しないと、書き方で決めます。 何も言わなければ、「至急」「大至急」の言葉が強い報告から A にし、淡々と書かれた計算の誤りを C にします。 禁じるのは、報告者の語気を根拠にする判断そのものです。

「似ているだけなら書かない」を入れるのも、同じく必要です。 重複の候補を書かせると、同じシステムの報告をすべて重複とします。束ねすぎると、検討会で別々の要望が1件に見えます。 束ねるのは、同じ画面の同じ操作についての報告だけにします。

Step7

出力形式を固定する

次の列の表で受け取ります。 Copilot Chat の回答を、受付ブックの「仕分け」シートに列を合わせて貼り付けます。

受付番号種類緊急度の候補対象システム標準化の対象か要旨重複の候補根拠確認事項
F-1284不具合A税(個人住民税)対象税額の確認画面で、控除の反映前の額が表示される-「通知の発送前の確認で見つけました」基準の「誤った金額が出る恐れ」に該当
M-0925-03改修の要望C庶務事務対象外休暇申請の画面で、時間単位の残りが見えないF-1270「残りの時間が分からず毎回聞かれます」-
M-0925-04不明判断不能不明-(記載なし)-「いつもの件です」短文。報告者に確認

表にする1つ目の理由は、貼り付けてそのまま受付ブックの行になることです。 列の順番を指示文で固定しておけば、担当者は貼り付けた後に列を並べ替える必要がありません。 自由文で返させると、受付番号ごとに書き出し直す手間が残ります。

2つ目は、確定の作業を「列を直す」だけにできることです。 担当者は、緊急度の候補の隣に「緊急度(確定)」の列を置き、候補を確かめて値を入れます。候補の列は書き換えません。 候補と確定が違った行を月末に数えると、基準の書き方のどこが弱いかが分かります。

3つ目は、根拠の列で確認が速くなることです。 報告の原文を開く前に、Copilot が何を読んでその種類と緊急度にしたかが一覧で読めます。根拠が要旨と合っていなければ、その行だけ原文を開きます。

月末の検討一覧は、別の表で受け取ります。

対象システム要望の要旨件数要望した課受付番号標準化の対象か
庶務事務休暇申請の画面で、時間単位の残りを表示する3市民課、保育課、道路課F-1270、M-0925-03、F-1291対象外

この表には、順位の列を作りません。 並びは対象システムの名前の順にします。件数の多い順に並べると、それだけで優先の順番のように読まれます。 順番は検討会で決めることなので、一覧の側では決めません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft Forms回答のブックへの同期回答が「フォーム回答」シートに入る
共有メールボックス担当者の貼り付け件名と本文を「メール受付」シートに入れる
Microsoft Copilot Chatファイルのアップロード仕分けの表と、月末の検討一覧の下書きを返す
受付ブック担当者の貼り付け「仕分け」シートに結果と確定の値を入れる
委託先・所管課既存のメールと電話緊急度 A の確定後に担当者が連絡する

委託先への連絡は自動にしません。 仕分けが出すのは候補までで、委託先に「至急」で連絡するかどうかは、担当者が確定してから決めます。 連絡のメールを Copilot に下書きさせることはできますが、この構成の範囲には入れていません。

受付ブックへの書き込みも、担当者の貼り付けだけです。 Copilot にブックを直接書き換えさせないでください。フォームの回答のシートは職員が入力した原本で、仕分けのシートは確定の記録です。 どちらも、AIが書き換えた跡が混ざると後から確かめられなくなります。

Step9

人が確認する

担当者が見るのは、仕分けの表の全行ですが、読み方は行によって変えます。

  1. 緊急度の候補が A の行を最初に見る … 確認事項に書かれた条件と、根拠の原文を読みます。当たっていれば、すぐに委託先と所管課へ電話します
  2. 「判断不能」と「不明」の行を見る … 多くは短文の報告です。報告者に電話かチャットで確かめ、受付ブックに追記してから次の回に回します
  3. 重複の候補がある行を見る … 元の受付番号の要旨と並べ、同じ画面の同じ操作かを確かめます
  4. 残りの行は根拠と要旨だけを流し読む … 違和感のある行だけ原文を開きます
  5. 候補と確定が違ったら、その理由を一言書く … 「基準の B と C の境目」「呼び名が一覧に無い」など

1番目で、候補が B や C の行の中に A があるかどうかも見ます。 候補に A が一つも無い回でも、税・福祉・国民健康保険の行だけは根拠を読みます。 通知の発送の時期にあたる月は、とくにです。

月末の検討一覧は、担当者3名で読み合わせてから出します。 束ね方が正しいか、束ねるべきものが漏れていないかを確かめます。束ね方を決めるのは担当者で、Copilot の下書きは出発点です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
表の行数が入力の行数と合わない足りない受付番号だけを渡し直す。合うまで「処理済み」を入れない
対象システムが「不明」呼び名を確かめ、分かったらシステム一覧の呼び名の列に足す
本文が一行だけで判断できない「判断不能」のまま報告者に確かめ、追記してから次の回へ
住民情報の消し忘れの指摘が出たその回の書き出しファイルを削除し、消してから渡し直す
1つの報告に複数の話が書かれている担当者が行を分け、受付番号に枝番を付けて渡し直す
同じ報告がフォームとメールの両方で届くメール側の行に元の受付番号を書き、仕分けは1回にする
緊急度 A が候補に出たが担当者が不在情報政策課の当番表のとおりに電話で引き継ぐ。翌日に回さない
Copilot が応答しない・途中で止まる手作業の仕分けに戻す。受付ブックの「処理済み」が空のまま残る

2行目と3行目が大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、報告の書き方とシステムの呼び名の問題です。

4行目は、起きたら必ずその場で処理します。 消し忘れた住民情報が、書き出したファイルとチャットの履歴の両方に残るからです。書き出しファイルを削除し、そのチャットは使わずに新しいチャットで渡し直します。

Step11

記録を残す

  • フォームの回答とメールの報告の原文(受付ブックの「フォーム回答」「メール受付」シート)
  • 書き出したファイルと、そのときの日時(ファイル名に入れる)
  • Copilot が返した表(「仕分け」シートの候補の列)
  • 担当者が確定した種類と緊急度、確定した人と日時
  • 候補と確定が違った行と、その理由の一言
  • 月末の検討一覧の下書きと、検討会に出した版

4つ目と5つ目が、この構成を直していく材料です。 候補と確定が違う行が、同じ基準の同じ境目に集まっていれば、「基準」シートの定義を書き直します。 指示文をいじるより先に、基準の言葉を直すほうが効きます。

確定した人を残すのは、判断の揺れを見るためです。 3名のうち1名だけが B を C に直し続けていれば、基準の読み方がそろっていないということです。 第3章の(a)が、仕分けの後にも残っていないかを確かめます。

04実装レベルの3段階

最小構成:受付ブックの新しい行を書き出して Copilot Chat に渡し、表を貼り付ける / 1件ずつの種類・緊急度・重複の仕分け
半自動化:上記+Power Automate でフォームの回答とメールを受付ブックの行に自動で入れる / 受付ブックへの取り込み
本格構成:上記+仕分けまでをフローで回し、緊急度 A の候補を Teams で当番へ知らせる / 取り込みから仕分けと通知まで

半自動化に進む理由は、メールの貼り付けの手間です。 半自動化は、Forms と Outlook のコネクタで組めます。 Microsoft Forms のコネクタには「新しい応答が送信されたとき」のトリガーと「応答の詳細を取得する」のアクションがあり、トリガーが返す応答IDで回答の中身を取り出します。 ただし、グループのフォームはドロップダウンに出ず、フォームIDを手で入れる必要があるとされています。 共有メールボックスには「共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)」のトリガーがあります。 既知の制限として、フル アクセスが無いと動かないこと、フォルダーの移動で古いメールでも動くことがあることが挙げられているので、受付番号で重複を弾きます。 本格構成で仕分けまでをフローに入れるには、フローから呼べる生成AIの部品が別に要ります。 どれを使えるかは組織の契約によるので、環境で確かめてから設計してください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
10 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  240件 × 10分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 240件 × 3分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
28h
削減率
70%
年間削減時間
336h
年間金額換算(時間単価3,000円)
101万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 職員数が千人から数千人規模の市区町村で、情報政策課の数名が、各課から届く業務システムへの要望・不具合・操作の質問を受け付けている場合。報告がフォームとメールに分かれて届き、種類と緊急度の付け方が担当者ごとに違う場合。同じ要望が複数の課から別々に届き、改修の検討の場で件数としてまとまっていない場合。Microsoft 365 を使っており、職員が Microsoft Entra アカウントで Copilot Chat にサインインできる場合。教育委員会の学務システムや、公立病院の院内システムの受付も同じ形で扱えます。
向いていない
  1. 報告が月に数十件で、担当者1名がすべての経緯を覚えていられる場合。報告の大半が電話と窓口での立ち話で、文字として残っていない場合。業務システムの保守をすべて委託先のヘルプデスクが受けており、情報政策課が報告の中身を持たない場合。なお、どの要望を改修するか、どの順番で予算を付けるかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた報告から30件を選ぶ(うち数件は、当時急ぎで対応したものを入れる)
  2. その30件について、当時の担当者が付けた種類と緊急度を受付の一覧から抜き出す
  3. 30件の原文から住民情報を消し、システムの一覧と緊急度の基準を1枚にまとめる
  4. Copilot Chat にファイルをアップロードし、第7章の指示文で仕分けさせる
  5. 出てきた種類と緊急度の候補を、当時の担当者の判断と突き合わせる

30件は必ずやってください。 「この基準で当時の急ぎを拾えるか」を先に確かめます。

出てきた内容判断
当時急ぎで対応した報告が A の候補に出た受付ブックの組み替えに進む
急ぎの報告が B や C になった基準の A の条件の書き方で直る。構成は有効
対象システムの「不明」が多いシステムの一覧の呼び名が先。 AIの問題ではない

2行目は珍しくありません。 当時の担当者が何を見て急ぎと判断したかが、基準に書かれていなかったということです。その言葉を A の条件に足して、同じ30件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「至急」の言葉が強い報告から A になる語気ではなく、基準の条件に当たるかで決めさせる。 指示文に明記する
淡々と書かれた計算の誤りが C になるA の条件に「住民に誤った金額」「発送日」を具体的に書く
対象システムが「不明」だらけになる職員が使う呼び名をシステムの一覧に足す。正式名称だけでは決まらない
同じシステムの報告がすべて重複になる「似ているだけなら書かない」を入れる。 束ねるのは同じ画面の同じ操作だけ
表の途中で出力が止まる入力と出力の行数を突き合わせる。足りない受付番号だけ渡し直す
原因の推測が書き添えられる原因の列を作らず、指示文で禁じる
住民の氏名や宛名番号が残ったまま渡る前処理で消し、フォームの説明にも書かない旨を入れる
業務が止まっているのにフォームで報告される止まっているときは電話、を最初に周知する
検討一覧が優先順位表のように読まれる順位の列を作らず、並びはシステム名の順にする
受付ブックが担当者の OneDrive にあるグループのフォームにし、ブックを課の SharePoint に置く

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「報告者がどう書いたか」に引きずられることから出ています。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 職員の所属と氏名、業務システムの画面や操作の内容、報告の本文に紛れ込む住民の氏名・宛名番号・住所、そして委託先の名前と契約に関わる事情です。

  1. 住民の情報を渡さない … 仕分けに住民の情報は要りません。前処理で消し、指示文でも消し忘れを指摘させます。 消し忘れが見つかったら、その回の書き出しファイルを削除して渡し直します
  2. Microsoft Entra アカウントでサインインして使う … エンタープライズ データ保護の対象になるのは、Entra アカウントでサインインしたときです。個人用のアカウントで開かせない運用を、情報政策課から周知します
  3. 使える端末とネットワークを先に確かめる … 自治体のネットワークは業務の系統ごとに分けられていることが多く、受付ブックがある端末から Copilot Chat に届くとは限りません。 情報セキュリティポリシーに沿って、どの端末で書き出しとアップロードを行うかを決めてください
  4. 緊急度の確定と委託先への連絡を自動にしない … 候補は候補です。A を見落とすリスクと、A でないものを委託先に至急で送るリスクの両方を、担当者の確定で止めます
  5. この構成は改修の判断を代替しない … どの要望を改修するか、標準化の対象のシステムへの要望をどう扱うかは、情報政策課が決めることです
  6. 受付ブックの閲覧の範囲を絞る … 各課の業務の事情が並ぶので、閲覧は情報政策課と委託先の窓口までにします

誤りが起きた場合のリスクは、急ぎの報告を C にして放置することと、同じ要望を束ね損ねることの2つです。 前者は A の条件に当たる業務の行を必ず読むことで、後者は月末の読み合わせで止めます。

10まず何から始めるか

1週目:システムの一覧に呼び名の列を足す

受付ブックに「システム一覧」シートを作り、約60のシステムについてシステム名、所管課、委託先、標準化の対象か、職員が使う呼び名を並べます。呼び名は、過去3か月の受付の一覧から拾います。報告の多い上位20のシステムから埋めます。

2週目:緊急度の基準を書く

担当者3名で、過去に急ぎで対応した報告を持ち寄り、なぜ急ぎと判断したかを言葉にして「基準」シートに書きます。電話で受ける場合の取り決めも各課へ周知します。

3週目:30件で試す

先月の報告から30件を Copilot Chat に渡し、当時急ぎで対応したものが A の候補に出るかを最優先で見ます。

4週目:受付ブックで回し始める

フォームをグループのフォームにし、受付ブックを課の SharePoint に置きます。1日2回の書き出しと貼り付けを始め、「緊急度(確定)」の列を担当者が埋めます。 この時点では、月末の検討一覧はまだ作りません。

2か月目: 候補と確定が違った行を数え、基準を直します。月末の検討一覧の下書きを作らせ、担当者3名で読み合わせてから検討会に出します。3か月目以降: メールの割合を見て、半自動化に進むかを決めます。1件10分が何分になったかを実測し、「不明」と「判断不能」の行が1割を切った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-30/最終更新:2026-10-01
確認した内容情報源確認日
Copilot Chat(Basic)が主に Web データを使い、組織のコンテンツはプロンプトの作成時にコピーして貼り付ける・ファイルをアップロードする・ファイルを選択する方法で使うこと。Copilot Chat(Basic)は Word や Excel の Copilot にアクセスできず、Microsoft Graph 経由の組織データを使えないこと。Microsoft Entra アカウントでサインインすると Copilot Chat(Basic)を含めてエンタープライズ データ保護の対象になることMicrosoft Learn: Microsoft Copilot とは?2026-09-30
Forms の回答タブから「Excel で開く」を選ぶと、個人のフォームは OneDrive、グループのフォームは SharePoint Online にブックが保存されること。開き直すたびに最新の回答が表示されることMicrosoft サポート: Microsoft Forms と Excel ブック2026-09-30
Excel の Copilot に編集・計画・チャットの3つのモードがあり、チャットのモードではブックを変更せずに分析情報を得られること。Microsoft 365 Copilot のライセンスを前提としていることMicrosoft サポート: Excel の Copilot の使用を開始する2026-09-30
Microsoft Forms コネクタに「新しい応答が送信されたとき」のトリガーと「応答の詳細を取得する」のアクションがあり、トリガーの応答IDで回答の中身を取り出すこと。グループのフォームはドロップダウンに出ず、フォームIDを手で入れる必要があること。コネクタが組織のアカウントでのみ機能することMicrosoft Learn: Microsoft Forms コネクタ2026-09-30
「共有メールボックスに新しいメールが届いたとき (V2)」のトリガーが、フル アクセスが無いと機能しないこと。フォルダーの移動で古いメールでもフローが動くことがあり、設計上のものとされていることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-09-30
地方公共団体情報システムの標準化の対象として20の事務が指定されていること。原則として2025年度までに標準準拠システムへの移行を目指すとされていることデジタル庁: 地方公共団体情報システムの標準化2026-09-30

Copilot で使える機能は、ライセンスとテナントの構成によって変わります。 導入前に自社の環境で確かめてください。標準化の対象のシステムへの要望の扱いは、委託先との契約と国の資料で確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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