新しい技術の扱いを決めるときに、社内のノウハウ登録台帳と過去の「出願か秘匿か」の判断記録から似た技術を探し、当時の判断と理由を根拠付きで知財の担当に返す
新しい技術を出願するか、ノウハウとして秘匿するかを決めるときに、社内のノウハウ登録台帳と過去の判断記録から内容の近い技術を探します。当時の結論と理由を、閲覧を許された範囲だけ根拠の記録付きで知財の担当に返します。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- AIサービス
- Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
- 対象業界
- IT・SaaS/医療/製造
- 対象部門
- 知財/研究開発
- 対象業務
- 情報検索/比較検討
- 主な課題
- 判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
- AIで行う処理
- 検索(RAG)
- 主な効果
- 判断支援/属人化解消/検索時間短縮
- 導入難易度
- ★★★★☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- RAG・個別開発(大)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 依頼元が技術の扱いの検討票を出す
- 知財部の担当が検討票を読み、技術の要点と関係する製品をつかむ
- ノウハウ登録台帳を、製品名や工程の言葉で探す
- 判断記録を、同じ言葉や時期で探す
- それらしい登録票と判断票を開き、当時の結論と理由を読む
- 見つからなければ、知財部のベテランに「前にこういう技術を扱ったか」と聞く
- 見つけた記録の閲覧範囲を確かめ、検討メモに要点を書き写す
- 検討メモをもとに、依頼元と発明者に確かめる点を整理する
- 人依頼元が技術の扱いの検討票を出す
- 自動検討票の登録をきっかけに、技術の概要・関係する製品・工程を取り出す
- 自動担当者の権限で、言葉の一致と意味の近さを組み合わせてノウハウ登録と判断記録を探す
- 自動当たった記録ごとに、結論・理由・見直しの時期の段落をまとめる
- 自動まとめた段落を生成AIに渡し、今回の技術との共通点と違いを引用付きで並べさせる
- 自動結果を検討票に添えて、知財部の担当に返す
- 人担当が根拠の登録票と判断票を開き、理由が今回にも当てはまるかを確かめる
- 人依頼元と発明者に確かめる点を整理し、知財委員会の資料にする
各工程の詳しい説明を読む
- 依頼元が技術の扱いの検討票を出す
- 知財部の担当が検討票を読み、技術の要点と関係する製品をつかむ
- ノウハウ登録台帳を、製品名や工程の言葉で探す
- 判断記録を、同じ言葉や時期で探す
- それらしい登録票と判断票を開き、当時の結論と理由を読む
- 見つからなければ、知財部のベテランに「前にこういう技術を扱ったか」と聞く
- 見つけた記録の閲覧範囲を確かめ、検討メモに要点を書き写す
- 検討メモをもとに、依頼元と発明者に確かめる点を整理する
(a)言葉が合わない。 研究所の検討票は「低温焼成時の粒界制御」と書き、5年前の登録票は「焼結温度を下げたときの結晶粒の成長抑制」と書いています。同じ技術の話でも、言葉が一致しないので台帳の検索では出てきません。
(b)理由が判断票の奥にある。 判断票の結論は1行ですが、理由は知財委員会での議論のメモに埋もれています。「製品の断面を見れば分かるので出願」のような肝心の一文を、長いメモから読み当てるまで分かりません。
(c)知っているのがベテランだけ。 6番目は早くて確実ですが、判断の経緯を覚えているのは知財部で長く担当してきた2名だけです。その2名が異動すると、同じ技術について前回と違う判断が出る心配があります。
(d)閲覧範囲の確認が後回しになる。 7番目で閲覧範囲を確かめずに検討メモへ写すと、見られないはずの人が検討メモから極秘の登録の中身を知ることになります。急いでいる月ほど、この確認が抜けます。
- 【人】 依頼元が技術の扱いの検討票を出す
- 【自動】 検討票の登録をきっかけに、技術の概要・関係する製品・工程を取り出す
- 【自動】 担当者の権限で、言葉の一致と意味の近さを組み合わせてノウハウ登録と判断記録を探す
- 【自動】 当たった記録ごとに、結論・理由・見直しの時期の段落をまとめる
- 【自動】 まとめた段落を生成AIに渡し、今回の技術との共通点と違いを引用付きで並べさせる
- 【自動】 結果を検討票に添えて、知財部の担当に返す
- 【人】 担当が根拠の登録票と判断票を開き、理由が今回にも当てはまるかを確かめる
- 【人】 依頼元と発明者に確かめる点を整理し、知財委員会の資料にする
3番目が、この設計の分かれ目です。 検索は、仕組みの持ち主の権限ではなく、検討票を受けた担当者の権限で行います。 担当者が台帳で見られない登録は、検索結果にも出ません。生成AIに渡す段落も、その担当者が見られるものだけです。
7番目を人に残しているのも、意図してのことです。 過去の理由が今回にも当てはまるかは、技術の中身と、いまの競合の状況で変わります。「前回は秘匿」という結論だけを持ち出すと、事情が変わったのに同じ判断を繰り返すことになります。
02今回想定するシステム構成
技術の扱いの検討票(知財部の受付フォーム) ▼【トリガー】検討票の登録 AWS Lambda ── 技術の概要・製品・工程を取り出し、担当者の権限を引く ▼ Amazon OpenSearch Service(ノウハウ登録と判断記録の段落の索引) ├─ 閲覧の線引き:ドキュメントレベルセキュリティ(担当者のロールで絞る) ├─ 言葉の一致:match(Sudachi で語に分ける) ├─ 意味の近さ:neural(Amazon Titan Text Embeddings V2 のベクトル) └─ 組み合わせ:hybrid クエリと normalization-processor ▼ AWS Lambda ── 記録ごとに結論・理由・見直しの時期の段落をまとめる ▼ Claude API ── 検索結果のブロックで渡し、今回との共通点と違いを引用付きで並べる ▼ 検討票に添付して担当者へ返す
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 検索基盤 | Amazon OpenSearch Service(Sudachi、hybrid クエリ、ドキュメントレベルセキュリティ) | Azure AI Search、Vertex AI Search(Agent Search) |
| 埋め込み | Amazon Titan Text Embeddings V2(Amazon Bedrock) | Cohere Embed(Amazon Bedrock) |
| 生成AI | Claude API(検索結果のブロックを引用付きで並べる) | OpenAI API、Gemini API |
| 連携 | AWS Lambda(検討票の受け取り、権限の引き当て、検索、返却) | AWS Step Functions |
| 認証 | 既存の社内の認証基盤(部署とロールを渡す) | ― |
| 保管 | Amazon S3(索引に入れる前の登録票と判断票の写し、検索の記録) | ― |
ノウハウ登録台帳と判断記録は、新しく作るものではありません。 この構成は、それらの写しを段落に分けて索引に入れ、検索の結果を検討票に添えて返すだけです。台帳の登録や閲覧範囲を書き換えることはしません。
営業秘密が何を指すかは、運用の前提として押さえておきます。 不正競争防止法では、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定めています(第2条第6項)。「秘密として管理されている」が要件の一つである以上、検索の仕組みが台帳の閲覧範囲を崩せば、守りたいものの前提が揺らぎます。 この構成で閲覧の線引きを最初に置くのは、そのためです。
閲覧の線引きは、Amazon OpenSearch Service のきめ細かなアクセス制御で行います。 公式のドキュメントでは、ロールにインデックスのパターンとクエリを指定すると、そのロールに対応付けたユーザーはクエリに合う文書しか見られない(ドキュメントレベルセキュリティ)とされています。項目ごとに見せる・見せないを決めるフィールドレベルセキュリティと、値を匿名化するフィールドマスキングもあります。有効にするには、ドメインへの通信がすべて HTTPS で、保存時の暗号化とノード間の暗号化が有効である必要があり、一度有効にすると無効にできません。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
知財部の受付フォームに、技術の扱いの検討票が登録されたことを起点にします。 検討票は月に30件ほどで、届いた順に担当が決まります。担当が決まった時点で検索を動かし、担当者の権限で探します。 担当が決まる前に動かすと、誰の権限で探したのかが曖昧になります。
担当者が検討票に補足を書いたときにも、もう一度動かします。 研究所の検討票は「焼成条件の改良」のように短いことが多く、担当者が依頼元に聞いて「粒界に添加物を偏らせる」と書き足すと、当たる記録が変わります。 2回目以降は、前の結果を残したまま新しい結果を並べます。
索引の更新は別に動かします。 知財委員会で判断が決まり、判断票が確定したときに、その1件だけを索引に入れ直します。ノウハウの登録票も、登録や閲覧範囲の変更が承認されたときに入れ直します。閲覧範囲の変更は、検索に反映されるまでの間が最も危ないので、変更の承認と同時に入れ直します。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 検討票 | 技術の概要、関係する製品、工程、製品から分かるか(依頼元の見立て)、依頼元の部署 | 知財部の受付フォーム |
| ノウハウ登録票 | 登録番号、技術名、概要、関係する製品、管理区分(極秘・秘)、閲覧を許す部署、登録日 | ノウハウ登録台帳 |
| 判断記録 | 案件番号、結論(出願・秘匿・どちらもしない・保留)、判断の理由、判断日、見直しの時期、関係する登録番号や出願番号 | 知財委員会の判断票と議事 |
| 担当者の権限 | 部署、ロール、閲覧を許された管理区分 | 社内の認証基盤 |
質を決めるのは、判断記録の「理由」の書き方です。 「秘匿とする」の1行だけでは、今回にも当てはまるかを比べられません。判断票に「理由」の欄を置き、製品から分かるか、他社の実施を外から確かめられるか、技術の寿命はどれくらいかのように、何を根拠にしたかを書く決まりにします。
見直しの時期も必ず書かせます。 秘匿にした技術でも、数年たてば製品の分析で分かるようになることがあります。見直しの時期が過ぎた判断は、今回の参考にする前に「見直し前」と印を付けます。
データの取得方法を決める
判断記録は、知財委員会で確定したものだけを索引に入れます。 検討中の判断票には、あとで取り消された理由や、結論が変わる前の議論が残っています。確定の前は、検索の対象にしません。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 検討票の本文と補足 | 受付フォーム | 検索の言葉と意味の近さの元 |
| 登録票の段落 | ノウハウ登録台帳(承認済み) | 検索の対象と引用の元 |
| 判断票の段落 | 判断記録(確定済み) | 結論・理由・見直しの時期 |
| 閲覧の属性 | 登録票の管理区分と閲覧を許す部署 | 段落ごとに閲覧の属性として持たせる |
| 担当者のロール | 認証基盤 | 検索をその担当者の権限で行う |
閲覧の属性は、段落の1つずつに持たせます。 判断票には、関係する登録票の管理区分を引き継がせます。判断票だけが「秘」で、そこに書かれた技術の登録票が「極秘」というずれがあると、判断票の検索から極秘の中身が漏れます。 関係する登録票の中で最も厳しい区分を、判断票の区分にします。
線引きは、クエリの中ではなくロールに置きます。 公式のドキュメントでは、ドキュメントレベルセキュリティのクエリに ${user.name}、${user.roles}(バックエンドロールの一覧)、${attr.<種類>.<名前>}(ユーザーの属性) などの変数を使え、属性による制御では terms_set クエリと組み合わせ、索引側の属性の項目を keyword 型にする必要があるとされています。検索のプログラムが絞り込みを書き忘れても、ロールの側で絞られるので、線引きが1か所にまとまります。
AIへ渡す前に整形する
- 見出しで段落に分ける … 登録票は概要・関係する製品・管理の方法、判断票は結論・理由・見直しの時期で分け、段落ごとに種類を付けます
- 閲覧の属性を付ける … 段落ごとに管理区分と閲覧を許す部署を
keywordの項目に入れます - 埋め込みを作る … 段落の本文から、Amazon Titan Text Embeddings V2 でベクトルを作ります
- 人名を外す … 発明者や委員の個人名は、探すのに要りません。部署名に置き換えてから索引に入れます
- 言葉をそろえる … 製品の型番と社内の呼び名の対応表を作り、両方で当たるようにします
3番目は、段落ごとに作るのが前提です。 公式のドキュメントでは、Titan Text Embeddings V2 は最大8,192トークンまたは50,000文字を受け付け、出力は1,024次元(既定)、512、256から選べます。長い文書も受け付けますが、検索に使うときは段落や節のような論理的な単位に分けることが勧められています。 日本語は多言語対応の一覧に入っていますが、英語に最適化されたモデルで、多言語は「100以上の言語でプレビュー」とされています。索引を作る前に、自社の判断記録20件ほどで当たり方を確かめます。
埋め込みのモデルは、OpenSearch の ML コネクタで呼びます。 公式のドキュメントでは、OpenSearch Service から Amazon Bedrock などへつなぐときはIAM ロールを用意し、きめ細かなアクセス制御を使っている場合は ml_full_access のロールにそのIAMロールを対応付ける手順が示されています。モデルを意味検索に使うときは、登録のときに model_config を入れ、embedding_dimension をモデルの出力の次元に合わせます。
AIに処理させる
検索そのものは OpenSearch が行います。 言葉の一致と意味の近さを1つの問い合わせで組み合わせます。
{
"_source": { "excludes": ["embedding"] },
"query": {
"hybrid": {
"queries": [
{ "match": { "text": "{検討票の概要と補足}" } },
{ "neural": { "embedding": { "query_text": "{検討票の概要と補足}", "model_id": "{埋め込みのモデル}", "k": 50 } } }
]
}
}
}
2つの点数は、検索パイプラインでそろえて足し合わせます。 公式のドキュメントでは、hybrid クエリは検索時に動く検索パイプラインを必要とし、normalization-processor が各クエリの点数を共通の尺度に直してから組み合わせるとされています。例では正規化に min_max、組み合わせに arithmetic_mean を使い、weights で各クエリの重みを割合で指定しています。
| 設定 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 正規化 | min_max | 言葉の一致と意味の近さの点数を同じ幅にそろえる |
| 組み合わせ | arithmetic_mean | そろえた点数を平均する |
| 重み | 言葉 0.3、意味 0.7 | 言い回しの違う古い記録を拾うため、意味の近さを重く置く |
意味の近さを重く置くのは、第3章の(a)のためです。 「粒界制御」と「結晶粒の成長抑制」は、言葉では当たらなくても意味では近くなります。言葉の一致は、型番や材料名がそのまま一致する記録を確実に拾う受け皿にします。
閲覧の線引きは、この問い合わせには書きません。 担当者の権限で問い合わせると、ドキュメントレベルセキュリティがロールのクエリで絞ります。問い合わせの側で絞ると、絞り忘れた1回で極秘の記録が出ます。
生成AIにさせるのは、当たった記録ごとに4つの見出しで並べることだけです。
| 見出し | 中身 |
|---|---|
| 当時の結論 | 出願・秘匿・どちらもしない・保留と、判断日 |
| 判断の理由 | 理由の段落から、何を根拠にしたかを1〜2文で |
| 今回との共通点と違い | 検討票の技術と、記録の技術の重なりとずれ |
| 見直しの時期 | 記録に書かれた見直しの時期と、それが過ぎているか |
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 今回の結論の提案 | 決めるのは知財の担当と知財委員会 |
| 理由の補い | 記録に書かれていない理由を作らない |
| 極秘・秘の区分の判断 | 区分は台帳の側で決まっている |
| 渡していない記録への言及 | 担当者が見られない記録の存在を匂わせない |
4行目が、この構成の線引きです。 生成AIは「ほかにも関連する極秘の登録があるかもしれません」と書きがちで、それ自体が、見られない記録があることを知らせてしまいます。 渡した記録の外には触れさせません。
指示内容を固定する
あなたは知財部で、新しい技術を出願するか秘匿するかを検討する担当のために、
過去の判断記録を整理する立場です。
渡した検索結果(ノウハウの登録票と判断票の段落)だけを根拠にしてください。
【今回の検討票】技術の概要:{summary}/関係する製品:{products}/工程:{process}
【担当者の補足】{notes}
【今日の日付】{today}
【やること】
当たった記録ごとに、次の4つを短く書いてください。
1. 当時の結論:結論と判断日
2. 判断の理由:理由の段落から、何を根拠にしたか
3. 今回との共通点と違い:今回の技術と、記録の技術の重なりとずれ
4. 見直しの時期:記録に書かれた時期と、今日の日付から見て過ぎているか
【厳守事項】
- 検索結果に書かれていないことを書かないでください。
理由が書かれていなければ「理由の記載なし」としてください。
- 今回の技術を出願すべきか秘匿すべきかを書かないでください。
- 渡した検索結果のほかに関連する記録があるかどうかに触れないでください。
- 管理区分(極秘・秘)を判断したり、変えるよう勧めたりしないでください。
- 人名を書かないでください。部署名で書いてください。
- 近くない記録は、無理に関連付けず「関連が薄い」と書いてください。
- 全体で、最も近い記録から順に5件までにしてください。
「理由の記載なし」を明記しないと、結論から理由を作ります。 「秘匿」と書かれた判断票を渡すと、生成AIは秘匿にする一般的な理由をもっともらしく書き足し、それが当時の判断の理由として読まれます。 書かれていないことは、書かれていないと返させます。
「ほかの記録に触れない」は、閲覧の線引きを文章の側でも守るためです。 検索の段階で絞っていても、生成AIの一言で線引きの外の存在が伝わることがあります。
出力形式を固定する
生成AIへは、検索結果のブロックで渡します。 公式のドキュメントでは、search_result のブロックに source・title・content を入れると、自社の文書を引用付きで答えます。 source に登録番号か案件番号、title に技術名と判断日、content に段落を1つずつのテキストブロックで入れます。引用は search_result_location の形で返り、cited_text は引用したブロックの全文です。引用はテキストブロックの単位で付き、引用の設定はリクエストの中のすべての検索結果でそろえる必要があります。
返った文章と引用から、検討票に添える前に次の形に組み立てます。
{
"request_id": "",
"searched_as": { "user_department": "", "roles": [] },
"matches": [
{
"record_id": "",
"record_type": "knowhow | decision",
"title": "",
"decided_on": "",
"conclusion": "patent | secret | neither | pending",
"reason": { "text": "", "cited_text": "" },
"common_points": "",
"differences": "",
"review_due": "",
"review_overdue": false
}
],
"no_match": false
}
1つ目の理由は、searched_as で誰の権限で探したかを残せることです。 同じ検討票でも、担当者が変われば当たる記録が変わります。「この結果は誰の目に見える範囲か」を、結果と一緒に持たせます。
2つ目は、review_overdue を見出しにできることです。 見直しの時期が過ぎた判断は、結果の先頭に「見直し前の判断を含む」と出します。過ぎた判断の理由は、いまは当てはまらないかもしれません。
3つ目は、conclusion を記録の値から入れることです。 結論は判断票の項目にそのまま入っているので、生成AIの文章からではなく、索引の値から入れます。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 受付フォーム | 登録と補足の通知 | 検討票の登録と担当の決定を受ける |
| 社内の認証基盤 | 読み取り | 担当者の部署とロールを引く |
| Amazon OpenSearch Service | 担当者の権限での検索 | hybrid クエリで探す |
| Amazon Bedrock | ML コネクタ | 検討票の文の埋め込みを作る |
| Claude API | API呼び出し | 検索結果のブロックで並べる |
| 受付フォーム | 添付の書き込み | 結果を検討票に添える |
台帳と判断記録へは書き込みません。 見直しの時期が過ぎた判断が見つかっても、見直すかどうかは知財委員会が決めます。
ロールの対応付けは、台帳の閲覧範囲と同じ表から作ります。 公式のドキュメントでは、複数のロールのドキュメントレベルセキュリティのクエリは OR で組み合わされ、またドキュメントレベルセキュリティは読み取りだけを制限し、書き込みは制限しないとされています。担当者のロールは検索だけの権限にし、書き込みの権限を持たせません。
人が確認する
- 根拠の確認(担当者) … 結果の引用から登録票と判断票を開き、理由の段落を確かめます
- 今回との違いの確認(担当者) … 「今回との違い」に書かれた点を、依頼元に聞いて確かめます
- 見直し前の判断の扱い(担当者) … 見直しの時期が過ぎた判断は、理由がいまも当てはまるかを別に確かめます
- 当たり外れの記録(担当者) … 検討が終わったら、結果の記録が役に立ったかを印で残します
目安は、1件あたり20分です。 根拠の記録を2〜3件開き、理由の段落を読み、検討票と比べる時間です。全部の候補を読む必要はありません。
担当者が見られない記録を、別の担当者に頼んで見せてもらう運用は作りません。 必要なら、台帳の正規の手続きで事業部の了解を取ります。検索の結果を他人の権限で取り直すと、線引きを置いた意味がなくなります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 近い記録が1件も無い | 「近い記録なし」と返す。無理に並べない |
| 担当者のロールが引けない | 検索をしない。仕組みの権限で代わりに探さない |
| 判断票に理由の欄が無い(古い様式) | 議事の段落を「理由の候補」として印を付ける |
| 判断票と登録票の管理区分が食い違う | 厳しいほうの区分で索引に入れ、台帳の担当に知らせる |
| 埋め込みの呼び出しが失敗する | 言葉の一致だけで探し、「意味の近さを使っていない」と添える |
| 生成AIの応答が失敗する | 当たった記録の題名と番号だけを先に返す |
| 閲覧範囲の変更が承認された | その登録票と関係する判断票を、すぐに入れ直す |
2行目が、この構成でいちばん大事な止め方です。 ロールが引けないときに、仕組みの持ち主の権限で代わりに探すと、その1回だけ線引きの外の記録が担当者に届きます。 引けなければ止めます。
記録を残す
- 受け取った検討票と補足、担当者と担当が決まった時刻
- 検索に使った担当者のロール、返した記録の番号と点数
- 生成AIに渡した段落の番号と、返った文章と引用
- 担当者が付けた当たり外れの印
- 閲覧範囲の変更と、索引に反映した時刻
検索の記録は、それ自体を極秘の扱いにします。 どの技術を検討しているかと、どの記録に当たったかが分かるからです。記録を見られるのは知財部の管理者だけにします。
最後の行は、線引きが崩れていないかを確かめる材料です。 閲覧範囲の変更が承認されてから索引に反映されるまでの時間を、毎月数えます。
04実装レベルの3段階
半自動化で、1件60分が35分程度になります。 記録は探しやすくなりますが、担当者が検索の画面を開くこと、理由の段落を読み取ること、検討メモに写すことが残ります。本格構成で20分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月回すと、理由の欄が無い判断票と、判断票と登録票で管理区分が食い違う記録が分かります。そこを直してから生成AIを足すほうが、線引きの崩れを防げます。
05工数削減シミュレーション
導入後 30件 × 20分 ÷ 60 = 10 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 研究所と工場を持つ部品・素材・装置のメーカーで、製造条件や配合などの技術をノウハウとして台帳に登録する運用が数年続き、登録と「出願か秘匿か」の判断記録が数百件たまっている知財部門。判断の理由を覚えているのが一部のベテランだけで、似た技術が来るたびに過去の記録を探し直している場合。台帳の閲覧範囲を部署や区分ごとに分けて管理しており、検索の仕組みにも同じ線引きを持ち込みたい場合。
- ノウハウの登録台帳や判断記録がまだ無く、出願するかどうかを毎回口頭で決めている場合(探す元がありません)。判断記録に結論だけが書かれ、理由が残っていない場合(先に記録の様式をそろえるのが先です)。秘匿する技術を社外のクラウドで扱うことが社内の規程で認められていない場合。なお、出願するか秘匿するかは知財の担当と発明者・事業部門が決め、この構成はそれを代わりに行いません。
07最小構成で試す方法
- 先月までに届いた検討票から10件を選ぶ
- それぞれについて、知財部のベテランが「前にこれと近い技術を扱った」と挙げる判断記録を、閲覧を許された範囲から20件ずつ選ぶ
- 手元のAIサービスの画面に、検討票の概要と、20件の判断票の結論・理由・見直しの時期の段落を貼り付ける
- 「今回の技術に近い記録を5件まで選び、当時の結論と理由、今回との共通点と違いを書き出してください。理由が書かれていなければ記載なしとし、今回どうすべきかは書かないでください」と指示する
- ベテランが挙げた記録と比べる
最小構成で確かめたいのは、判断記録の中身で理由が取り出せるかです。 探すのはまだ人が選んだ20件の中だけです。極秘の記録は、この段階では使いません。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| ベテランが挙げた記録と理由が出た | 索引と閲覧の線引きの仕組みに進む |
| 理由を一般論で補って書いた | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 判断票に理由が書かれておらず並べられない | 判断票の様式を直すのが先。 AIの問題ではない |
3行目が出ることは珍しくありません。 判断票に「理由」の欄を足すだけで、次の知財委員会から変わります。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 仕組みの権限で探し、担当者が見られない記録が出る | 担当者の権限で問い合わせ、ドキュメントレベルセキュリティで絞る |
| 判断票の区分が登録票より緩く、判断票から中身が漏れる | 関係する登録票の最も厳しい区分を引き継がせる |
閲覧の属性の項目が text 型で、意図しない一致が起きる | 属性の項目は keyword 型にする |
| 言い回しの違う古い記録が当たらない | 意味の近さを hybrid クエリで組み合わせる |
| 長い判断票をそのまま埋め込み、当たり方がぼやける | 段落に分けてから埋め込む |
| 結論から理由を作って書く | 「理由の記載なし」と返させる |
| 生成AIが見られない記録の存在を匂わせる | 渡した記録の外に触れさせない |
| 見直しの時期を過ぎた判断をそのまま参考にする | review_overdue を見出しにする |
| 担当者のロールに書き込みの権限がある | ドキュメントレベルセキュリティは読み取りだけを制限する。検索だけの権限にする |
| ロールが引けないときに代わりの権限で探す | 引けなければ止める |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、検索の仕組みが台帳と別の線引きで動いてしまうことから来ています。線引きをロールの1か所に置き、台帳の閲覧範囲と同じ表から作るかどうかで、運用に乗るかが決まります。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: ノウハウの登録票、出願か秘匿かの判断記録、検討中の新しい技術の概要です。どれも営業秘密そのものか、その所在を示す情報です。
- 閲覧の線引きを台帳と同じにする … 検索の結果に、台帳で見られない記録を出さないことが最優先です。ロールの対応付けは台帳の閲覧範囲の表から作り、変更は同時に反映します
- 生成AIに渡す範囲を絞る … 渡すのは担当者が見られる記録の、上位の段落だけです。極秘の記録を外部の生成AIに渡すかは、社内の規程で先に決めます。 渡さないと決めた区分は、検索の結果だけを返し、生成AIの整理を省きます
- 生成AIと埋め込みの入力の扱いを確かめる … APIの利用条件とデータの保持を、社内の基準で確かめてから使います
- 検索の記録を極秘として扱う … どの技術を検討しているかが分かる記録です。見られる人を知財部の管理者に限ります
- 判断を代替させない … 結果は過去の記録の整理までです。出願するか秘匿するかは、知財の担当と知財委員会が決めます
誤りが起きた場合のリスクは、見られないはずの記録が検索から漏れることと、事情の変わった過去の判断をそのまま繰り返すことの2つです。 前者はロールでの線引きと「引けなければ止める」で、後者は理由と見直しの時期を並べて人が確かめることで防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:判断票に2つの欄を足す
判断票に、「理由」と「見直しの時期」の欄を足します。理由には、製品から分かるか、他社の実施を外から確かめられるか、技術の寿命はどれくらいか、のように何を根拠にしたかを書く決まりにします。
2週目:10件で試す
先月までの検討票10件について、ベテランが挙げた判断記録20件ずつを手元のAIサービスに貼り、結論と理由を並べさせます。理由を一般論で補っていないかを最優先で見ます。 極秘の記録はまだ使いません。
3週目:閲覧の線引きを設計する
台帳の閲覧範囲の表から、ドキュメントレベルセキュリティのロールを作ります。判断票と登録票で管理区分が食い違う記録を数えます。 食い違いは厳しいほうにそろえます。
4週目:「秘」の記録だけで索引を作る
「秘」の登録票と判断票を段落に分け、埋め込みを作り、hybrid クエリで探せるようにします。この時点では極秘の記録を入れず、担当者ごとに当たる範囲が台帳と一致するかを確かめます。
2か月目: 極秘の記録を入れ、受付フォームを起点に検索して、生成AIの整理を足します。3か月目以降: 当たり外れの印を見て hybrid の重みを直し、1件60分が何分になったかを実測します。ベテランに聞かなくても、前回の判断と理由を根拠付きで説明できるようになった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| 営業秘密が「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義されていること(第2条第6項) | e-Gov 法令API: 不正競争防止法 | 2026-10-09 |
| きめ細かなアクセス制御でインデックス・文書・項目の単位の制御ができること。ロールにインデックスのパターンとクエリを指定し、対応付けたユーザーはクエリに合う文書しか見られないこと。フィールドレベルセキュリティとフィールドマスキングがあること。HTTPS・保存時の暗号化・ノード間の暗号化が必要で、一度有効にすると無効にできないこと | Amazon OpenSearch Service: Fine-grained access control | 2026-10-09 |
ドキュメントレベルセキュリティが読み取りの操作で取り出せる文書を決め、書き込みは制限しないこと。${user.name}・${user.roles}・${attr.<種類>.<名前>} の変数が使えること。属性による制御で terms_set と組み合わせ、属性の項目を keyword 型にすること。複数のロールのクエリが OR で組み合わされること | OpenSearch Documentation: Document-level security | 2026-10-09 |
hybrid クエリが検索パイプラインを必要とすること。normalization-processor が各クエリの点数を共通の尺度に直して組み合わせること。min_max と arithmetic_mean、weights で重みを指定できること | OpenSearch Documentation: Hybrid search | 2026-10-09 |
| Titan Text Embeddings V2 が最大8,192トークンまたは50,000文字を受け付け、出力が1,024(既定)・512・256次元であること。検索では段落や節に分けることが勧められていること。英語に最適化され、多言語は100以上の言語でプレビューとされ、日本語が一覧にあること | Amazon Bedrock: Amazon Titan Text Embeddings models | 2026-10-09 |
OpenSearch Service から Amazon Bedrock などへ ML コネクタでつなぐときに IAM ロールが要ること。きめ細かなアクセス制御では ml_full_access のロールに対応付けること。意味検索に使うときは model_config と embedding_dimension を登録時に入れること | Amazon OpenSearch Service: ML connectors for AWS services | 2026-10-09 |
search_result のブロック(source・title・content)で自社の文書を引用付きで答えること。引用が search_result_location で返り、cited_text が引用したブロックの全文であること。引用がテキストブロックの単位で付き、引用の設定をすべての検索結果でそろえる必要があること | Claude Docs: Search results | 2026-10-09 |
出願するか秘匿するかの判断と、営業秘密の管理の方法は、自社の規程と知財の専門家の判断に従ってください。 本記事は公開仕様と法令の条文で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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