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サーバー室・データセンターの巡回で撮ったラックの前面と背面の写真から、異常を示すランプ・配線の乱れ・ラベルの欠けを見分けて、巡回記録と対応の依頼を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

巡回で撮ったラックの前面と背面の写真から、機器ごとのランプの色・配線の乱れ・ラベルの欠けを見分けます。構成台帳と機種ごとのランプの意味に照らして、巡回記録の下書きと対応の依頼の案を作ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/医療/金融
対象部門
情報システム
対象業務
内容確認・チェック/記録・議事録作成
主な課題
入力作業が多い/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
画像認識
主な効果
入力漏れ削減/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
21h/月
想定削減
65%
年間削減
468h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当がデータセンターに入り、ラックの扉を開ける
  2. 前面のランプを上から順に見て、機器ごとの色を巡回記録の紙に書く
  3. 背面に回り、ランプ・ケーブルの差し込み・ラベルを見て、気になる点を書く
  4. 事務所に戻り、紙の記録をスプレッドシートの巡回記録に書き写す
  5. 前回の巡回記録と構成台帳を開き、色が変わった機器・台帳に無い機器を探す
  6. 異常と思われるものについて、機種のマニュアルでランプの意味を確かめる
  7. 対応が要るものをチケットに起票する
導入後(After)
  1. 人担当がラックの扉を開け、前面と背面を決めた枚数で撮る(ラックの上半分と下半分)
  2. 人現地で気づいた異音・におい・温度の異常があれば、タブレットにメモする
  3. 自動写真がフォルダに入ると n8n のワークフローが動き、構成台帳からそのラックの機器の並びを引く
  4. 自動Gemini API が、機器ごとの位置(U番号)、ランプの色、配線の乱れ、ラベルの有無を返す
  5. 自動ワークフローが、機種ごとのランプの意味の表と前回の記録に照らし、区分を付ける
  6. 自動巡回記録の下書きと、対応の依頼の案を作る
  7. 人担当が、「要対応」「確認が要る」の機器だけを写真で確かめ、下書きを確定する
  8. 人対応の依頼の案を確かめ、チケットに起票する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当がデータセンターに入り、ラックの扉を開ける
  2. 前面のランプを上から順に見て、機器ごとの色を巡回記録の紙に書く
  3. 背面に回り、ランプ・ケーブルの差し込み・ラベルを見て、気になる点を書く
  4. 事務所に戻り、紙の記録をスプレッドシートの巡回記録に書き写す
  5. 前回の巡回記録と構成台帳を開き、色が変わった機器・台帳に無い機器を探す
  6. 異常と思われるものについて、機種のマニュアルでランプの意味を確かめる
  7. 対応が要るものをチケットに起票する

(a)書き写しが多い。 1本のラックに20〜30台の機器があり、前面と背面で倍になります。「全部緑」でも、全部緑であることを書いています。 紙からスプレッドシートへの書き写しで、もう1回手間がかかります。

(b)ランプの意味が担当者の記憶に頼っている。 機種が多く、橙色が故障か通常かを覚えているのは古くからの担当だけです。新しい担当は、毎回マニュアルを開くか、迷って書かずに済ませます。

(c)前回からの変化を見落とす。 前回の記録と見比べるのは手間がかかるため、「昨日から橙色」と「先月から橙色」が区別されていません。 先月から放置されている異常が、毎日の記録に紛れます。

(d)物の状態は記録に残りにくい。 垂れたケーブル、はがれかけたラベル、ラックの中の段ボールは、気づいても「異常」ではないので書かれないことがあります。障害の後で写真を探しても、残っていません。

  1. 【人】 担当がラックの扉を開け、前面と背面を決めた枚数で撮る(ラックの上半分と下半分)
  2. 【人】 現地で気づいた異音・におい・温度の異常があれば、タブレットにメモする
  3. 【自動】 写真がフォルダに入ると n8n のワークフローが動き、構成台帳からそのラックの機器の並びを引く
  4. 【自動】 Gemini API が、機器ごとの位置(U番号)、ランプの色、配線の乱れ、ラベルの有無を返す
  5. 【自動】 ワークフローが、機種ごとのランプの意味の表と前回の記録に照らし、区分を付ける
  6. 【自動】 巡回記録の下書きと、対応の依頼の案を作る
  7. 【人】 担当が、「要対応」「確認が要る」の機器だけを写真で確かめ、下書きを確定する
  8. 【人】 対応の依頼の案を確かめ、チケットに起票する

7番目が、この設計の分かれ目です。 担当が写真を開くのは、区分が「要対応」「確認が要る」の機器だけです。「前回と同じ・正常」の機器は一覧で確かめます。全部の機器を写真で見直す設計にすると、①②の時間はほとんど減りません。

現地での確認は残します。 異音、におい、熱は写真に写りません。巡回の担当がラックの前に立つこと自体は変わらず、変わるのは記録の書き方です。

02今回想定するシステム構成

構成図
巡回の担当(タブレット)
   │  ラックごとに前面・背面を上下2枚ずつ撮影、ラックの番号のフォルダへ同期
   ▼【トリガー】n8n の Local File Trigger(社内のサーバー上)
n8n(社内のサーバーで動かす)
   ├── 構成台帳 ── ラックの機器の並び(U番号・機種・監視の有無)
   ├──▶ HTTP Request ノード
   ▼
Gemini API ── 機器ごとの U番号、ランプの色、配線の乱れ、ラベルの有無
   ▼
n8n ── 機種ごとのランプの意味の表、前回の記録と照合して区分を付ける
   ▼
巡回記録の下書き / 対応の依頼の案
   ▼
【担当が「要対応」「確認が要る」だけを写真で確かめる】
   └──▶ チケットの起票
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(機器ごとのランプの色・配線の乱れ・ラベルの有無の判定)Claude API、OpenAI API
連携n8n(社内のサーバーで動かす。写真の検知、呼び出し、照合、下書きの作成)Make、Power Automate
連携構成台帳とランプの意味の表(スプレッドシート)構成管理データベース
保管社内のファイルサーバー(ラックごとの写真のフォルダ)クラウドのストレージ
撮影巡回の担当のタブレットスマートフォン

n8n を社内のサーバーで動かすのは、写真の置き場所を社内に留めるためです。 写真が外へ出るのは、Gemini API に送るときだけです。写真の検知には Local File Trigger を使います。 ファイルやフォルダの追加・変更・削除を検知して動くノードで、自前で動かす n8n でだけ使え、n8n のクラウド版では使えません。 n8n 2.0 からは、信頼できない利用者がいる環境での危険を避けるため、既定で無効になっています。 使う場合は、運用の担当だけが触れるサーバーで有効にします。

Gemini API の呼び出しには、HTTP Request ノードを使います。 n8n には Google Gemini のノードがあり、Analyze Image などの操作がありますが、公式のページは、必要な操作がノードに無い場合は、作った認証情報で HTTP Request ノードを使うよう案内しています。 この構成ではスキーマを指定した構造化出力を使うため、HTTP Request ノードで Interactions の書き方の呼び出しを組みます。

写真を見る土台は、Gemini API の画像理解です。 対応する形式は PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF で、1回のリクエストに複数の画像を入れられます。 画像を直接入れる場合は、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでです。機器の位置は box_2d として [ymin, xmin, ymax, xmax] の形で、0から1000に正規化した座標で返せます。

小さなランプを見分けるための設定もあります。 Gemini 3 のモデルでは media_resolution で、1枚の画像に割り当てるトークンの上限を low(280)から ultra_high(2240)まで選べ、多くの画像の分析には high(1120)が勧められています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

写真がラックの番号のフォルダに入ったことを起点にします。 巡回の担当のタブレットから社内のファイルサーバーに写真が同期されると、Local File Trigger が検知してワークフローが動きます。監視するのは「写真の受け取り」の1つのフォルダだけにし、処理を終えた写真は別のフォルダに移します。

1本のラックの写真が4枚そろってから処理します。 前面と背面の上半分・下半分です。写真1枚ごとに動かすと、下半分の写真が無いまま「機器が見当たらない」と出ます。 ワークフローは写真の数を数え、4枚そろったラックから順に処理します。30分たってもそろわないラックは、「撮り漏れ」として下書きに出します。

巡回の担当がデータセンターから戻るころには、下書きができていることを目安にします。2拠点で45本なので、1本ずつ順に処理しても間に合います。 臨時の作業の後に撮った写真も同じフォルダに入れれば、同じ流れで記録に残ります。作業の前後で同じラックを撮っておくと、作業で何が変わったかを後から比べられます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
ラックの写真前面・背面の上下で4枚。撮影の時刻、拠点、ラックの番号ラックの番号のフォルダ
構成台帳ラックごとの機器の並び(U番号・機種・ホスト名・監視の有無・ラベルの有無)構成台帳
ランプの意味の表機種ごと・ランプの位置ごとの、色と状態の意味(通常/注意/故障)、常時点灯か点滅かランプの意味の表
前回の記録同じラックの前回の巡回の、機器ごとの結果巡回記録
現地のメモ異音・におい・熱など、写真に写らない気づきタブレットのメモ

質を決めるのは、ランプの意味の表です。 機種のマニュアルから、「前面の左のランプ、橙の常時点灯は電源の故障」のように、機種ごとに書き出します。この表が無いと、ランプの色が分かっても、それが異常かどうかが決まりません。 古くからの担当の記憶を、表に移す作業でもあります。

構成台帳には、U番号と「監視の有無」を持たせます。 監視に載っている機器のランプは、写真で異常が見えても、監視の通知と突き合わせてから扱います。 監視に載っていない機器は、写真がいちばん早い知らせになります。

ホスト名はAIに渡しません。 構成台帳から渡すのは、U番号と機種だけです。ホスト名は、AIの答えを台帳と照らした後に、ワークフローの側で付けます。

Step3

データの取得方法を決める

n8n のワークフローが、次の順に集めます。

取るものどこから何に使うか
4枚の写真写真の受け取りのフォルダ機器ごとの判定
拠点とラックの番号フォルダとファイルの名前台帳の引き当て
機器の並び(U番号・機種)構成台帳AIに渡す枠組み
ランプの意味ランプの意味の表区分の決定
前回の結果巡回記録変化の判定

AIには、「このラックのこのU番号に、この機種がある」という枠組みを渡します。 写真だけを見せて機器を数えさせると、ブランクパネルを機器と数えたり、2Uの機器を2台と数えたりします。台帳の並びを先に渡し、その並びに沿って答えさせます。

位置の手がかりは、ラックの柱のU番号です。 多くのラックは、柱に1Uごとの番号が印字されています。写真に柱が写るよう撮る決まりにし、AIにはU番号を読んで機器の位置を答えさせます。柱の番号が写らないラックは、上端と下端の機器を手がかりに並びを合わせます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 枚数と名前の確認 … 4枚がそろい、拠点・ラック・面・上下の記号が決まりどおりかを見ます
  2. 写りの確認 … ぶれ・ピンぼけ・扉のガラス越しの反射が強い写真は、「撮り直し」とします
  3. 向きの補正 … タブレットの縦横の向きの情報で、写真の向きを正しくします
  4. 上下の重なりの確認 … 上半分と下半分の写真に、同じU番号が重なって写っているかを見ます。重なりが無いと、境目の機器が抜けます
  5. 台帳の枠組みの作成 … そのラックの機器を、U番号の順に「U番号・機種・前面と背面のどちらにランプがあるか」の一覧にします
  6. 大きさの設定 … 小さなランプを見分けるため、media_resolution を high にし、それでも見分けられない機種は写真を寄って撮ります

2番目の反射は、サーバー室ならではの問題です。 ラックの扉のガラスや、機器の前面のつやのある板に照明が映ると、照明の映り込みが白いランプに見えます。 扉を開けて撮る決まりにし、斜めから撮って映り込みを避けます。

4番目を省くと、境目の1台が毎回抜けます。 上下の写真の境目にある機器は、どちらの写真にも半分しか写らないことがあります。重なりを持たせて撮る決まりにします。

Step5

AIに処理させる

させるのは、台帳の枠組みに沿って、機器ごとに次の4つを答えることだけです。

見るもの答え方判断できないときの扱い
機器の位置柱のU番号から読んだ上端と下端柱が写っていなければ u_unreadable
ランプの色ランプごとに green / amber / red / blue / off / unknown反射・角度で色が決まらなければ unknown
配線の乱れ抜けかけ・垂れ下がり・前面をふさぐケーブル。none / found / uncertain背面が暗く見えなければ not_visible
ラベルの有無機器の前面・背面のラベル。present / missing / not_visible小さく写り判断できなければ not_visible

ラベルは「有るか」だけを答えさせ、文字は読ませません。 ラベルにはホスト名や管理番号が書かれています。読ませれば台帳との照合はできますが、その文字を外部に送ることになります。 この構成では、有無だけを見て、照合は台帳の「ラベルの有無」の列で行います。

ラックの単位でも1つ答えさせます。 台帳に無い物(工具、段ボール、置かれた機器)が写っていれば foreign_object の印を付けます。置き忘れの工具は、次の作業で事故のもとになります。

させないこと理由
異常かどうかの判断機種ごとのランプの意味の表で決める
点滅かどうかの判断1枚の写真では決められない
ラベルの文字・画面の表示の読み取りホスト名や管理番号を外へ送らない
障害の原因の推定切り分けは担当のチームの仕事
台帳に無い機器の機種の推定台帳に無ければ「台帳外」とだけ記録する
Step6

指示内容を固定する

あなたはサーバー室の巡回の記録を補助する立場です。
同じラックの前面・背面の写真を、上半分と下半分で計4枚渡します。
渡す機器の一覧に沿って、機器ごとに見えるものだけを答えてください。

【機器の一覧】(U番号の下端から上端、機種、ランプのある面)
{rack_layout}

【答えること】
- position:柱に印字されたU番号から読んだ、機器の下端と上端
- lamps:ランプごとの色。green / amber / red / blue / off / unknown
- cable:抜けかけ・垂れ下がり・前面をふさぐケーブル。none / found / uncertain / not_visible
- label:機器のラベルが貼られているか。present / missing / not_visible
迷ったときに none や present を選ばないでください。

【厳守事項】
- ランプが異常か正常かを書かないでください。色だけを答えてください。
- ランプが消えて見えても、点滅の消えた瞬間かもしれません。off は「暗く見える」という意味で使い、
  止まっているとは書かないでください。
- 反射や照明の映り込みで色が決められないときは unknown にしてください。
- ラベルや画面の文字を読み取って答えないでください。
- 一覧に無い機器や物が写っていれば、foreign_object に位置と見た目を短く書いてください。
- 機器の一覧と写真の並びが合わないときは、layout_mismatch を true にしてください。
- found と missing のときは、写真の番号と box_2d を返してください。

「異常か正常かを書かない」を明記しないと、AIは書きます。 橙色のランプを見れば、多くの機種で警告の意味だと知っているからです。その推測が当たる機種と外れる機種があり、外れた記録が残ります。 意味の判断は表に寄せます。

「off は止まっているという意味ではない」も同じ理由です。 点滅のランプを「消灯」と記録し、それを「停止」と読む人が出ると、動いている機器の対応の依頼が飛びます。

Step7

出力形式を固定する

構造化出力で、ラックごとに次の形のJSONを受け取ります。

{
  "rack_id": "DC1-B07",
  "layout_mismatch": false,
  "devices": [
    { "u_bottom": 12, "u_top": 13,
      "side": "front | rear",
      "lamps": ["green | amber | red | blue | off | unknown"],
      "cable": "none | found | uncertain | not_visible",
      "label": "present | missing | not_visible",
      "photo_no": 1,
      "box_2d": [0, 0, 0, 0] }
  ],
  "foreign_object": [ { "photo_no": 3, "box_2d": [0, 0, 0, 0], "note": "" } ]
}

色や状態の値を enum にして、決めた値以外を返させません。 Gemini API の構造化出力では、enum と required が使えます。ただし、JSONとして正しくても値が正しいとは限らないため、アプリケーションの側で値を確かめるよう案内されています。 ワークフローで、返った機器の数とU番号が台帳と合うかを確かめ、合わない機器は「確認が要る」にします。

区分は、ワークフローが表と前回の記録から決めます。

区分条件
要対応表で「故障」の色、または cable が found、または foreign_object あり
注意表で「注意」の色、または label が missing
確認が要るunknown、not_visible、uncertain、layout_mismatch、または「常時点灯のはず」のランプが off
前回と同じ前回も同じ区分(前回から続く日数を付ける)
正常表で「通常」の色で、配線・ラベルにも候補が無い

「前回と同じ」に続く日数を付けるのが、変化を追う仕組みです。 「注意:12日目」と出れば、先月から放置された注意だと一目で分かります。

監視に載っている機器が「要対応」になったときは、監視の通知を確かめる手順を案に入れます。 監視が通知していないのに写真で故障の色なら、監視の設定の漏れか、写真の誤りのどちらかです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
ファイルサーバーLocal File Trigger とファイルの読み書き写真の検知・読み取り・移動
構成台帳・ランプの意味の表スプレッドシートの読み取り枠組みと区分の決定
Gemini APIHTTP Request ノード機器ごとの判定
巡回記録スプレッドシートへの書き込み下書きの列だけに書く
チケットの管理の仕組み担当が起票する対応の依頼の案を貼る

チケットは、担当が確かめてから起票します。 案をそのまま自動で起票すると、写真の誤りで他のチームを動かしてしまいます。 起票の後の対応は、これまでどおりチケットの流れで進めます。

構成台帳は読み取りだけです。 台帳に無い機器が写っても、台帳には書き足しません。台帳を直すのは、作業の記録を確かめた担当です。 台帳外の機器は、無断の設置か、台帳の更新漏れかを確かめる材料になります。

Step9

人が確認する

すべてのラックで、担当の確定を通します。 写真を開く機器は区分で絞ります。

  1. 「要対応」を最初に見る … 写真で確かめ、監視の通知と突き合わせ、チケットに起票します
  2. 「確認が要る」を片付ける … unknown が続く機器は撮り方を変え、layout_mismatch は台帳を確かめます
  3. 「注意」の日数を見る … 続く日数の長いものから、担当のチームに確かめます
  4. 「前回と同じ・正常」は一覧で確定する … 下書きを流し見て、まとめて確定します

目標は、900件をならして1本1.4分です。 「正常」が並ぶラックは一覧で数十秒、「要対応」「確認が要る」があるラックは写真を開いて数分かかります。

最初の1か月は、これまでの手書きの記録と並べて動かします。 担当が見つけた異常に、AIが色や候補を出していたかを照らします。出していなかった機器は、撮り方かランプの意味の表を直す材料です。 逆に、担当が「正常」に直した機器も数えます。同じ機種で直しが続くなら、表の色の書き方か、撮る角度のどちらかがずれています。 新しい担当が確定するときは、最初の2週間だけ古くからの担当が下書きを一緒に見ます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
4枚がそろわない30分で「撮り漏れ」として下書きに出す
反射・ぶれで写りが悪い「撮り直し」。同じラックで続けば撮る位置を決め直す
機器の並びが台帳と合わないlayout_mismatch で「確認が要る」。台帳の更新漏れを確かめる
台帳外の機器・物が写るforeign_object で「要対応」。作業の記録と突き合わせる
ランプの意味の表に無い機種色だけを記録し「確認が要る」。表に足す
Gemini API が応答しないそのラックは「未処理」。担当がこれまでどおり記録する
Local File Trigger が止まる受け取りのフォルダに写真が残る。残った数を毎朝見る
作業でラックの中が変わった日作業の予定と照らし、変わった機器は「前回と同じ」の日数をやり直す

下の3行で、「機械が見ていない」状態を見えるようにしておきます。 未処理のラックを「正常」と混ぜると、その日の巡回記録が無いのと同じになります。

Step11

記録を残す

  • ラックごとの4枚の写真と、撮影の時刻、撮った担当
  • 機器ごとのAIの答え(位置、ランプの色、配線、ラベル、box_2d)
  • 区分と、そのとき使ったランプの意味の表の版
  • 担当が直した内容と、確定した区分
  • 起票したチケットの番号
  • 機器ごとの「注意」「要対応」が続いた日数

巡回記録の下書きは、たとえば次の形にします。

【巡回記録の下書き】DC1 2026-10-08 09:20 撮影(担当 A)
 B07  U12-13 管理用スイッチ(監視なし)  前面 amber → 注意:12日目
      U20    PDU(監視なし)            背面 ケーブルの垂れ下がり → 要対応
      U31    テープ装置                 前面 unknown → 確認が要る(映り込み)
 B08  すべて 前回と同じ・正常
 B09  layout_mismatch → 確認が要る(U05-06 が台帳に無い)

ホスト名は、ワークフローが台帳から付けて社内の記録にだけ書きます。 AIの答えに含まれていないので、写真と一緒に外へ出ることはありません。

写真は、障害のときに遡る記録として決めた期間残します。 「障害の3日前に、この機器の背面のケーブルが垂れていたか」を写真で確かめられます。写真の保存先は社内のファイルサーバーで、外部には残しません。

04実装レベルの3段階

最小構成:写真と機器の並びを手でAIの画面に貼り、色と候補を答えさせる / 1本ごとの書き写し
半自動化:上記+写真の同期を起点に n8n で呼び出し、答えを一覧に書き出す / 全ラックの書き写しと一覧化
本格構成:上記+ランプの意味の表と前回の記録で区分と日数を付け、巡回記録の下書きと依頼の案を作る / 記録・照合・依頼の案まで

最小構成では45本をさばけません。 確かめるための段階です。 半自動化で、1本4分が2.5分程度になります。 書き写しは無くなりますが、ランプの意味の確認と前回との照合が手で残ります。 本格構成で1.4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、②の照合が表と前回の記録で自動になるためです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、unknown の多い機種と、撮り方の合わないラックが分かります。そこを直してから区分を付けるほうが、担当が下書きを信用します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1.4 分
現在  900件 × 4分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 900件 × 1.4分 ÷ 60 = 21 時間/月
月間削減時間
39h
削減率
65%
年間削減時間
468h
年間金額換算(時間単価3,200円)
150万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社のサーバー室や、データセンターに借りたラックを持ち、運用の担当が毎日巡回してランプと配線を目で見て、巡回記録を手で書いている会社。監視の仕組みに載っていない機器(古いスイッチ、PDU、テープ装置、パッチパネル)が残っている場合。巡回の担当によって記録の細かさが違い、前回からの変化を追えていない場合。金融機関や病院の情報システム部門にも当てはまります。
向いていない
  1. すべての機器が監視の仕組みに載り、異常が自動で通知されている場合。データセンターの事業者の規則で、ラックの撮影が認められていない場合。ラックが数本で、巡回の担当が全部の状態を覚えていられる場合。なお、機器の障害の切り分け、交換や設定の変更、監視の仕組みそのものは、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 監視に載っていない機器が多いラックを5本選ぶ
  2. 前面と背面を、柱のU番号が写るように上下2枚ずつ撮る
  3. 構成台帳から、その5本の機器の並び(U番号と機種)を書き出す
  4. 手元の Gemini の画面に、1本分の4枚と機器の並びを貼り付ける
  5. 「機器の並びに沿って、機器ごとのランプの色、抜けかけや垂れたケーブル、ラベルの有無を答えてください。異常かどうかは書かないでください。色が分からないものは分からないと答えてください」と指示する
  6. 担当がその日に書いた巡回記録と突き合わせる

写真に写るラベルの文字を、試す段階でも気にしてください。 手元の画面で試すときも、有料の枠で、会社が使ってよいと決めた環境で行います。

出てきた内容判断
機器の位置とランプの色が巡回記録と合うランプの意味の表の作成に進む
位置がずれる柱のU番号が写っていない。撮り方が先
小さなランプの色を unknown にする寄って撮るか、media_resolution を上げる

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが「異常」と言い切る色だけを答えさせ、意味は表で決める
点滅を「消灯」として停止と読むoff は「暗く見える」とし、常時点灯のはずのときだけ確認に回す
照明の映り込みを白いランプと見る扉を開けて斜めから撮る。決まらなければ unknown
ブランクパネルを機器と数える台帳の並びを先に渡し、それに沿って答えさせる
上下の境目の機器が抜ける上下の写真に重なりを持たせて撮る
位置がずれる柱のU番号が写るように撮る
ラベルの文字を外へ送ってしまう有無だけを答えさせ、文字は読ませない
監視の通知と写真がぶつかる監視の有無を台帳に持たせ、突き合わせを手順に入れる
Local File Trigger が動かない既定で無効。自前の n8n で有効にする。受け取りのフォルダの残数を毎朝見る
撮影が禁止されているデータセンターの事業者の規則を先に確かめる
案のまま自動で起票する起票は担当が確かめてから行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「色を見る」と「意味を決める」を混ぜることから起きます。色はAI、意味は表、と分けておけば、機種が増えても表を足すだけで済みます。

下の行の「撮影の禁止」は、最初に確かめてください。 データセンターの事業者によっては、ラックの撮影に申請や許可が要ったり、共用の場所の撮影を禁じていたりします。 構成を作り込んでから撮れないと分かると、すべてが無駄になります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: ラックの中の機器の写真、構成台帳(機器の並び・機種・ホスト名)、巡回記録です。機器の配置と構成は、攻撃の手がかりになりうる情報です。

  1. 外へ送るものを絞る … Gemini API に送るのは、写真と、U番号と機種の並びだけです。ホスト名・IPアドレス・管理番号は送りません。 ラベルの文字も読ませません
  2. 有料の枠で使う … Gemini API の規約では、無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあるとされ、機密や個人の情報を送らないよう求めています。 有料の枠では、プロンプトや応答を製品の改善に使わず、禁止事項の違反を見つけるために限った期間だけ記録するとされています
  3. 保存される場所を確かめる … 有料の枠でも、内容はどの国でも一時的に保存・キャッシュされうるとされています。顧客との契約やセキュリティの方針で、設備の写真を国外に出せない場合は、この構成は使えません。 先に方針を確かめてください
  4. n8n を運用の担当だけが触れる場所で動かす … Local File Trigger は、信頼できない利用者がいる環境での危険から既定で無効です。有効にするサーバーと、そこに触れる人を限ります
  5. データセンターの規則に従う … 撮影の許可、写真の持ち出し、タブレットの持ち込みは、事業者の規則に従います
  6. 障害の判断をAIに寄せない … AIの答えは巡回記録の下書きです。切り分けと対応は、監視の通知と担当のチームで行います

誤りが起きた場合のリスクは、故障の色を見逃すことと、誤った依頼で他のチームを動かすことの2つです。 前者は unknown を「正常」に混ぜると起き、後者は色の意味をAIに決めさせると起きます。見えないものを見えないと答えさせ、意味を表に寄せることで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:撮影の許可と撮り方を決める

データセンターの事業者に、ラックの撮影の条件を確かめます。柱のU番号が写り、上下に重なりを持たせた撮り方を決め、5本で試し撮りします。

2週目:5本で試す

手元の Gemini の画面で、5本分の写真と機器の並びから色と候補を答えさせ、その日の巡回記録と突き合わせます。 位置のずれと unknown の多さを最優先で見ます。

3週目:ランプの意味の表を作る

監視に載っていない機種から、マニュアルを見てランプの位置・色・点灯か点滅か・意味を書き出します。古くからの担当に確かめてもらいます。

4週目:写真の同期から一覧までをつなぐ

社内のサーバーで n8n を動かし、Local File Trigger から HTTP Request ノードまでをつなぎ、機器ごとの答えを一覧に書き出すところまで作ります。 区分はまだ付けず、手書きの記録と並べて答え合わせをします。

2か月目: ランプの意味の表と前回の記録で区分と日数を付け、巡回記録の下書きと依頼の案を出します。3か月目以降: 1本4分が何分になったかを実測し、unknown の多い機種の撮り方を直します。新しい担当でも古くからの担当と同じ細かさで巡回記録が残るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
対応する画像の形式が PNG、JPEG、WEBP、HEIC、HEIF であること。画像を直接入れる場合、指示などと合わせたリクエスト全体が20MBまでであること。1回のリクエストに複数の画像を入れられること。物体の位置を box_2d として [ymin, xmin, ymax, xmax] の0〜1000の座標で返すこと。例が /v1beta/interactions を使っていることGemini API: Image understanding2026-10-08
media_resolution で画像1枚に割り当てるトークンの上限を low(280)・medium(560)・high(1120)・ultra_high(2240)から選べること。Gemini 3 のモデルで使えること。多くの画像の分析に high が勧められていることGemini API: Media resolution2026-10-08
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れて指定すること。enum と required が使えること。JSONとして正しくても値はアプリケーションの側で検証するよう案内されていることGemini API: Structured output2026-10-08
無料の枠では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあり、機密や個人の情報を送らないよう求めていること。有料の枠では製品の改善に使わず、禁止事項の違反を見つけるために限った期間だけ記録すること。どの国でも一時的に保存・キャッシュされうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-08
n8n の Google Gemini のノードに Analyze Image などの操作があること。必要な操作がノードに無い場合は、作った認証情報で HTTP Request ノードを使うよう案内していることn8n Docs: Google Gemini node2026-10-08
Local File Trigger がファイルやフォルダの追加・変更・削除を検知して動くこと。自前で動かす n8n でだけ使え、n8n のクラウド版では使えないこと。n8n 2.0 から、信頼できない利用者がいる環境での危険を避けるため既定で無効であることn8n Docs: Local File Trigger node2026-10-08

機種ごとのランプの意味は、各機器のメーカーのマニュアルで確かめてください。 本記事は上の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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