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社内の発明届を受け付けるたびに、先行技術調査の検索キーワード・同義語・特許分類の候補を作り、調査担当への依頼票にまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社内の発明届がフォームで届くたびに、内容を技術の要素に分け、先行技術調査に使う検索キーワード・同義語・特許分類の候補を作ります。結果を調査担当への依頼票にまとめ、調査の最初の1時間を短くします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/製造
対象部門
知財/研究開発
対象業務
情報検索/書類作成
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/属人化している
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 知財部の受付担当が、届いた発明届を台帳に登録し、調査担当を割り当てる
  2. 調査担当が発明届を読み、発明の構成を自分のメモで技術の要素に分ける
  3. 要素ごとに、届に書かれた語を書き出し、同義語・英語・上位と下位の概念を考える
  4. J-PlatPat の分類照会や過去の調査の記録を見て、特許分類の当たりを付ける
  5. 語と分類をメモにまとめ、商用のデータベースで検索式を組み始める
  6. 語が足りなければ、研究者に「この部品は他に何と呼ぶか」を問い合わせる
導入後(After)
  1. 人研究者が Google フォームで発明届を出す
  2. 自動フォームの回答をきっかけに Make のシナリオが動き、回答を台帳に登録する
  3. 自動発明届の6項目と、社内の用語集(社内の呼び名と一般の呼び名の対応)を Claude に渡す
  4. 自動Claude が技術の要素に分け、要素ごとの語・同義語・英語・上位と下位の概念、特許分類の候補と理由、研究者への確認事項を返す
  5. 自動結果を依頼票のひな形に差し込み、Google ドキュメントで依頼票を作る
  6. 自動台帳に依頼票のリンクを書き、割り当てた調査担当に Teams で知らせる
  7. 人調査担当が依頼票を開き、特許分類の候補を PMGS のコード照会で1つずつ確かめる
  8. 人語を足し引きし、要素の分け方を直して、検索式を組み始める
  9. 人確認事項のうち必要なものを、研究者に一度にまとめて問い合わせる
  10. 人調査が終わったら、実際に使った語と分類を台帳に書き戻す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 知財部の受付担当が、届いた発明届を台帳に登録し、調査担当を割り当てる
  2. 調査担当が発明届を読み、発明の構成を自分のメモで技術の要素に分ける
  3. 要素ごとに、届に書かれた語を書き出し、同義語・英語・上位と下位の概念を考える
  4. J-PlatPat の分類照会や過去の調査の記録を見て、特許分類の当たりを付ける
  5. 語と分類をメモにまとめ、商用のデータベースで検索式を組み始める
  6. 語が足りなければ、研究者に「この部品は他に何と呼ぶか」を問い合わせる

(a)白紙から考える時間が長い。 2番から4番は、発明届を何度も読み直しながら進めます。特に3番の同義語は、思いつく限りを並べる作業で、終わりが決まっていません。

(b)語の広げ方が人で違う。 ベテランは「この構成は○○業界では××と呼ばれる」という知識で語を広げます。新人は届に書かれた語の英訳までで止まり、検索の漏れが出ます。 漏れは出願の後、審査で拒絶理由の引用文献として初めて分かることがあります。

(c)分類の当たりが付かない。 分類の体系は細かく、慣れない技術分野だと、どの分類から見ればよいかを探すだけで時間がかかります。 分類照会のキーワード検索を何度も試し、出てきた記号の説明を読み比べます。

(d)研究者への問い合わせで止まる。 6番の問い合わせは返事に数日かかり、その間は調査が進みません。問い合わせの多くは「別の呼び方」で、最初に一覧で聞けば1回で済む内容です。

  1. 【人】 研究者が Google フォームで発明届を出す
  2. 【自動】 フォームの回答をきっかけに Make のシナリオが動き、回答を台帳に登録する
  3. 【自動】 発明届の6項目と、社内の用語集(社内の呼び名と一般の呼び名の対応)を Claude に渡す
  4. 【自動】 Claude が技術の要素に分け、要素ごとの語・同義語・英語・上位と下位の概念、特許分類の候補と理由、研究者への確認事項を返す
  5. 【自動】 結果を依頼票のひな形に差し込み、Google ドキュメントで依頼票を作る
  6. 【自動】 台帳に依頼票のリンクを書き、割り当てた調査担当に Teams で知らせる
  7. 【人】 調査担当が依頼票を開き、特許分類の候補を PMGS のコード照会で1つずつ確かめる
  8. 【人】 語を足し引きし、要素の分け方を直して、検索式を組み始める
  9. 【人】 確認事項のうち必要なものを、研究者に一度にまとめて問い合わせる
  10. 【人】 調査が終わったら、実際に使った語と分類を台帳に書き戻す

7番目は省けません。 分類の候補は、AIが記号と理由を書いただけのものです。記号が実在するか、説明が理由と合っているかは、PMGS で引くまで分かりません。 確かめた記号には依頼票で印を付け、確かめていない記号では検索しません。

10番目が、この構成を育てます。 実際に使った語と分類を書き戻すと、AIの出したものと比べられます。毎回同じ種類の語が足されているなら、用語集か指示に足します。

02今回想定するシステム構成

構成図
発明届(Google フォーム:6項目+図の添付)
   ▼【トリガー】Google Forms:Watch Responses
Make のシナリオ
   ├──▶ Google Sheets(Add a Row)で発明届の台帳に登録
   ├──▶ Google Sheets(Search Rows)で社内の用語集を読む
   ▼
Claude API(Make an API Call で Messages API を呼ぶ)
   │   技術の要素への分解
   │   要素ごとの語・同義語・英語・上位と下位の概念
   │   特許分類の候補(記号・種類・理由)、研究者への確認事項
   │   構造化出力で決まった形のJSON
   ▼
Google Docs(Create a Document from a Template)で依頼票を作る
   ▼
Google Sheets(Update a Row)で台帳に依頼票のリンクを書く
   ▼
Microsoft Teams(Send a Message)で調査担当に知らせる
   ▼【人】分類の候補を PMGS で確かめ、語を直して検索式を組む
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakePower Automate、n8n、Zapier
生成AIClaude API(要素への分解、検索語と同義語、分類の候補)OpenAI API、Gemini API
台帳Google スプレッドシート(発明届の台帳、社内の用語集)Microsoft Lists
依頼票Google ドキュメント(依頼票のひな形)Microsoft Word のひな形
分類の確認J-PlatPat の特許・実用新案分類照会(PMGS)商用の特許データベースの分類表

新しく足すのは、Make のシナリオと、依頼票のひな形、社内の用語集のシートだけです。 発明届のフォームと台帳はいまのものを使います。最初の準備作業は、社内の用語集を作ることです。 研究者が使う社内の呼び名と、一般の呼び名・英語の対応を、過去の調査のメモから書き出します。

発明届を拾うのは、Make の Google Forms アプリです。 Response のグループに Watch Responses、List Responses、Get a Response があります。フォームの回答をそのまま拾い、台帳への登録と依頼票の作成を1本のシナリオで行います。 なお、Google の接続のアプリの公開状態が「テスト」のままだと、Make で毎週接続の再認証を求められるとされています。運用の前に公開状態を確かめます。

Claude は、Make の Anthropic Claude アプリから呼びます。 アプリには Create a Prompt と Make an API Call のモジュールがあり、接続には Anthropic のコンソールで作った API キーを使います。アプリの説明に構造化出力の設定が見当たらないため、Make an API Call で Messages API を直接呼び、output_config.format に JSON スキーマを渡します。 構造化出力は制約付きのデコードでスキーマに沿った応答を返すとされています。

依頼票は、Google Docs の Create a Document from a Template で作ります。 ひな形の文書をコピーし、{{要素1_語}} のようなタグを値に置き換えるモジュールです。Values の欄では、タグを {{}} を付けずに指定するとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

発明届のフォームの回答を起点にします。 Google Forms アプリの Watch Responses で新しい回答を拾います。発明届は月40件で、1日に数件の届き方です。スケジュールは15分ごとで足ります。 夜間にまとめて処理する形にすると、翌朝の割り当てまでに依頼票が間に合わないことがあります。

届の修正は別の扱いにします。 研究者がフォームの回答を編集した場合、同じ届が二度処理されることがあります。台帳に届の番号(受付日と通し番号)を持たせ、同じ番号の依頼票がすでにあれば作り直さず、調査担当に「届が修正された」とだけ知らせます。 作り直すと、調査担当がすでに書き込んだ確認の印が消えます。

図の添付は、この段階ではAIに渡しません。 図は依頼票にリンクで載せ、調査担当が見ます。文字の6項目だけで語と分類の候補は作れます。 図を読ませるのは、最小構成で効果を見てからで足ります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
発明届発明の名称、解決したい課題、発明の構成、従来の方法との違い、実施の例、関連する製品Google フォーム
届の付帯情報届の番号、研究者の部署、技術分野(研究者が選んだもの)、図のファイルのリンクGoogle フォーム
社内の用語集社内の呼び名、一般の呼び名、英語、関連する技術分野Google スプレッドシート
依頼票のひな形要素ごとの欄、分類の候補の欄、確認の印の欄、確認事項の欄Google ドキュメント

質を決めるのは社内の用語集です。 研究者は「Aユニット」「新型の保持具」のように、社内でしか通じない名前で書きます。AIはこの名前を一般の語に直せないので、用語集が無いと社内の呼び名がそのまま検索語の候補に入ります。 用語集は100語程度から始め、調査が終わるたびに足します。

「発明の構成」と「従来の方法との違い」が、要素に分ける材料です。 構成は発明が何でできているか、違いは何が新しいかです。検索の語は構成から、要素の重み付けは違いから取ります。

技術分野は、研究者の選んだものをそのまま渡します。 分類の候補を絞る手がかりになりますが、研究者の選んだ分野が調査の観点と合っていないこともあります。AIには「参考」として渡し、分野の外の分類も候補に出してよいとします。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
発明届の6項目と付帯情報Google フォームWatch Responses の出力をそのまま使う
社内の用語集Google スプレッドシートSearch Rows で、技術分野が一致する行と共通の行
同じ届の番号の有無発明届の台帳Search Rows で届の番号を引く
依頼票のひな形Google ドキュメントCreate a Document from a Template でひな形を指定

用語集は、全件ではなく技術分野で絞ってから渡します。 全件を渡すと、関係の無い分野の語が検索語の候補に混ざります。研究者の選んだ分野の行と、どの分野にも共通の行だけを渡します。 分野を選び間違えた届でも共通の行は効きます。

過去の調査で使った語は、この構成では渡しません。 似た発明の調査の記録を探して渡すのは、別の仕組み(UC-0510)の仕事です。混ぜると、前の調査の語に引っ張られて、今回の発明の新しい部分の語が出にくくなります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 空欄の確認 … 6項目のうち「発明の構成」が空、または50字未満なら、AIに渡さずに受付担当へ戻します。構成が書かれていない届からは、要素を作れません
  2. 社内の呼び名の印付け … 用語集にある社内の呼び名が届の中にあれば、その語に一般の呼び名を括弧で添えます。AIが社内の呼び名の意味を推測しないようにします
  3. 長さの確認 … 6項目の合計が長すぎる届は、実施の例を先頭の部分だけにします。語と分類に効くのは構成と違いで、実施の例は補助です
  4. 個人名の除去 … 研究者の氏名と部署は、AIに渡す文から外します。依頼票には台帳から差し込みます
  5. 届の番号の付与 … 台帳に登録したときの番号を、AIへの入力と依頼票の両方に入れます

2番目が効きます。 「Aユニット」とだけ書かれた届を渡すと、AIは「A」という文字から何かを推測して語を作ります。括弧で一般の呼び名を添えておけば、推測の余地がありません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、発明を要素に分けることと、要素ごとの語と分類の候補を作ることです。

させること中身
要素への分解発明の構成を3〜6個の技術の要素に分ける。新しい点を含む要素に印を付ける
要素ごとの語届に書かれた語、同義語、英語、上位の概念、下位の概念
特許分類の候補記号、分類の種類(IPC・FI・Fタームのテーマ)、その分類を候補にした理由
研究者への確認事項届からは決められないこと(別の呼び方、材料の範囲、用途の範囲)
届の不足調査に要るのに書かれていない情報

要素に「新しい点を含むか」の印を付けさせるのが要点です。 調査では、新しい点を含む要素の語を必ず検索式に入れ、そうでない要素は絞り込みに使います。印が無いと、どの要素を軸に組むかを調査担当が届を読み直して決めることになります。

させないこと理由
分類の記号を確定させる記号の実在と意味は PMGS で確かめるまで分からない
新規性・進歩性の見立て文献を読む前に言えることではない
検索式を完成させるデータベースごとに書き方が違い、件数を見て調整するもの
届に無い構成を足す発明の範囲が変わってしまう

1行目がいちばん大事です。 AIは、分類の記号をもっともらしく作ります。記号の体系に沿った形をしているので、目で見ただけでは実在するか分かりません。 だから記号だけでなく、「その分類が何を扱うと考えたか」を理由として書かせ、PMGS で引いた説明と比べられるようにします。

Step6

指示内容を固定する

あなたは電子部品メーカーの知財部で、先行技術調査の準備をする調査担当の補助です。
発明届を読み、調査担当が検索式を組むための材料を作ってください。
検索そのものはしないでください。

【やること】
1. 「発明の構成」を3〜6個の技術の要素に分ける。
   「従来の方法との違い」に関わる要素には is_novel_point を true にする。
2. 要素ごとに、次の語を挙げる。
   - original:届に書かれた語(そのまま)
   - synonyms:同じものを指す別の言い方(日本語)
   - english:英語の言い方(複数可)
   - broader:上位の概念
   - narrower:下位の概念・具体例
3. 特許分類の候補を挙げる。記号ごとに、種類(IPC/FI/Fタームのテーマ)と、
   その分類が何を扱うと考えたかを reason に書く。
4. 届からは決められないことを、研究者への確認事項にする。
5. 調査に要るのに届に書かれていないことを missing_info に書く。

【厳守事項】
- 分類の記号は「候補」です。確信が持てない記号は挙げないでください。
  記号を挙げるときは、reason にその分類が扱う技術の内容を必ず書いてください。
  reason が書けない記号は挙げないでください。
- 括弧で一般の呼び名が添えられた語は、その一般の呼び名で考えてください。
  社内の呼び名の文字から意味を推測しないでください。
- 届に書かれていない構成を要素に足さないでください。
  足したほうがよいと思うものは、確認事項に書いてください。
- 新規性や進歩性についての意見を書かないでください。
- 検索式(AND・OR を組んだ式)は書かないでください。語の一覧までです。
- 届の情報が足りず要素に分けられない場合は、elements を空にし、
  missing_info に足りない情報を書いてください。

【届の番号】{disclosure_id}
【研究者が選んだ技術分野(参考)】{field}
【発明届】
発明の名称:{title}
解決したい課題:{problem}
発明の構成:{structure}
従来の方法との違い:{difference}
実施の例:{example}
関連する製品:{product}
【社内の用語集】{glossary}

「reason が書けない記号は挙げない」を明記するのは、記号の数を増やさないためです。 何も言わないと、AIは関連しそうな記号を10個、20個と並べます。確かめる手間は記号の数に比例するので、理由の付く記号だけに絞らせます。

「検索式は書かない」も意図してのことです。 式まで作らせると、調査担当はその式を直すところから始め、語の一覧を眺めて自分で組むより視野が狭くなります。 データベースごとに式の書き方も違います。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "disclosure_id": "",
  "elements": [
    {
      "element_name": "",
      "is_novel_point": true,
      "original": [""],
      "synonyms": [""],
      "english": [""],
      "broader": [""],
      "narrower": [""]
    }
  ],
  "classification_candidates": [
    { "code": "", "scheme": "IPC | FI | Fterm_theme", "reason": "", "related_elements": [""] }
  ],
  "questions_to_inventor": [""],
  "missing_info": [""]
}

1つ目の理由は、要素ごとに依頼票の欄へ差し込めることです。 elements の要素の数だけ依頼票の表の行が埋まり、調査担当は要素の間を AND、要素の中の語を OR で組むという形をそのまま使えます。

2つ目は、分類の候補を確かめる欄を作れることです。 classification_candidates の1つずつに、依頼票では「PMGS で確認した説明」と「確認の印」の空欄を並べます。AIの reason と、PMGS で引いた説明を横に並べて見比べます。

3つ目は、研究者への確認事項を1回で送れることです。 questions_to_inventor を依頼票の末尾にまとめておけば、調査担当が要るものだけを選んで、研究者に一度に問い合わせられます。

依頼票は次の形にします。

【先行技術調査 依頼票】届の番号:2026-1008-03 担当:(台帳から)

■ 技術の要素
| 要素 | 新しい点 | 届の語 | 同義語 | 英語 | 上位 | 下位 |
| 要素1 | ○ | … | … | … | … | … |

■ 特許分類の候補(PMGS で確認してから使う)
| 記号 | 種類 | AIの理由 | PMGSの説明 | 確認 |
| … | FI | … | (調査担当が記入) | □ |

■ 研究者への確認事項(必要なものを選んで送る)
■ 届の不足
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google フォームMake の Watch Responses新しい発明届を拾う
発明届の台帳Google Sheets の Add a Row / Search Rows / Update a Row登録、同じ番号の確認、依頼票のリンクの書き込み
社内の用語集Google Sheets の Search Rows技術分野で絞って読む
Claude APIAnthropic Claude の Make an API Call要素・語・分類の候補を構造化出力で受ける
依頼票Google Docs の Create a Document from a Templateひな形をコピーしてタグを置き換える
Microsoft TeamsSend a Message割り当てた調査担当に依頼票のリンクを知らせる

商用の特許データベースと J-PlatPat には、シナリオからつなぎません。 検索は調査担当が行います。PMGS は、調査担当が分類の候補を確かめるために画面で使います。

依頼票は知財部の共有ドライブの、権限を絞ったフォルダに作ります。 Create a Document from a Template の新しい文書の保存先の欄で指定します。

Step9

人が確認する

依頼票は、調査担当が全件を確かめます。 自動で次の工程へ進むものはありません。

  1. 分類の候補を PMGS で引く … PMGS の「コード照会」では FI・Fターム・IPC の記号を入れて内容を確かめられます。AIの reason と説明が合っていれば確認の印を付け、合わなければ消します
  2. 分類を自分でも探す … PMGS の「キーワード検索」で、要素の語から分類を探します。AIの候補に無い分類が見つかったら足します
  3. 語を足し引きする … 用語集と自分の経験で語を足し、明らかに外れた語を消します
  4. 要素の分け方を直す … 新しい点の印が違っていれば直します
  5. 研究者に問い合わせる … 確認事項から要るものを選んで、一度に送ります

1番目と2番目を両方やるのが要点です。 AIの候補を確かめるだけだと、AIが挙げなかった分類はいつまでも見られません。 2番目のキーワード検索は、要素の語がすでに並んでいるので、白紙から探すより短く済みます。

ベテランの調査担当は、最初の1か月、新人の依頼票の確認の結果を見ます。 どの語を足し、どの分類を消したかを見れば、AIの出すものの癖と、新人の見落としの両方が分かります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
「発明の構成」が空か短すぎるAIに渡さず、受付担当から研究者へ書き直しを頼む
同じ届の番号がすでにある(回答の編集)依頼票を作り直さず、調査担当に修正を知らせる
要素に分けられなかった(elements が空)missing_info を受付担当へ回し、研究者に追記を頼む
分類の候補が0件依頼票はそのまま作り、調査担当が PMGS のキーワード検索から探す
構造化出力が返らない(refusal や上限で止まった)台帳に「自動作成失敗」と記録し、調査担当に従来の手順で始めてもらう
社内の呼び名が用語集に無い依頼票の確認事項に「この語の一般の呼び名」を足し、調査が終わったら用語集に足す
複数の発明が1つの届に入っている要素が7個以上になったら印を付け、調査担当が届の分け方を受付担当と相談する
Google の接続の再認証が切れたシナリオが止まる。公開状態を確かめ、再接続する

2行目を間違えると、調査担当の作業が消えます。 依頼票には確認の印と PMGS の説明が手で書き込まれています。届が直されても依頼票は上書きせず、変わった項目を知らせるだけにします。

構造化出力は、応答が refusal や max_tokens で止まったときにはスキーマに沿わないことがあるとされています。その場合は依頼票を作らず、従来の手順に戻します。

Step11

記録を残す

  • 発明届の台帳 … 届の番号、受付日時、調査担当、依頼票のリンク、作成の成否
  • AIの出力のJSON(全文) … 届の番号ごとに台帳の別のシートに残す
  • 依頼票(調査担当の記入を含む) … 確認の印、PMGS の説明、足した語と分類
  • 調査で実際に使った語と分類 … 調査が終わったら調査担当が台帳に書き戻す
  • 用語集の変更履歴 … いつ、誰が、どの届をきっかけに語を足したか

AIの出力と、実際に使った語と分類を並べて残すのが要点です。 毎月これを見比べると、AIの候補のうち確認で消された分類の割合と、調査担当が足した語の種類が分かります。 消される割合が高い技術分野は、指示か用語集を直します。

発明届とAIの出力は、未公開の発明そのものです。 台帳と依頼票のフォルダは、知財部と担当の研究者だけが見られる権限にします。

04実装レベルの3段階

最小構成:発明届を手でAIの画面に貼り、要素・語・分類の候補を作らせる / 語と分類の候補の作成
半自動化:上記+フォームの回答から Make が依頼票を作り、台帳に登録して調査担当に知らせる / 受付から依頼票までの全体
本格構成:上記+調査で実際に使った語と分類を台帳に書き戻し、用語集を育て、AIの候補の採用率を月次で集計する / 候補の精度の追跡と用語集の更新

最小構成では、届の受付と依頼票の作成が手作業のまま残ります。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件60分が15分になり、本記事の想定はこの段階です。 残るのは、分類の候補を PMGS で確かめる時間と、語を直す時間です。本格構成は、用語集が100語を超え、採用率を見て指示を直す余裕ができてからで足ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  40件 × 60分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 40件 × 15分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価5,000円)
180万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 研究開発の部門から月に数十件の発明届が知財部に届き、出願の前に先行技術調査をしている製造業・IT企業。調査の最初の段階で、発明届を読んで検索の語と特許分類を考える作業に1件1時間近くかかっている場合。語の選び方と分類の当たりの付け方がベテランの調査担当に偏っていて、新人の調査の抜けが多い場合。発明届をフォームで受け付けていて、Make と Google ドキュメントを使える場合。
向いていない
  1. 発明届が月に数件で、調査担当が読んで足りる場合。先行技術調査をすべて外部の調査会社に任せていて、社内で検索の語を考えていない場合。未公開の発明の内容を社外のAIのサービスに送ることを、社内の規程で認められない場合。なお、出願するかどうか、どの文献を先行技術とみなすか、新規性・進歩性の見立ては、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 調査が終わっている過去の発明届から10件を選ぶ(技術分野の違うものを混ぜる)
  2. 10件それぞれについて、調査担当が実際に使った語と分類を書き出しておく
  3. 発明届の6項目を、社内の呼び名を一般の呼び名に直したうえで、社内で利用が認められた生成AIのサービスに貼り付ける
  4. 第7章の指示で、要素・語・分類の候補を作らせる
  5. 出てきた分類の候補を PMGS で1つずつ引き、実在するか、説明が理由と合うかを確かめる
  6. 語と分類を、2番の実際に使ったものと突き合わせる
出てきた内容判断
実際に使った語の多くが出て、分類の候補の多くが PMGS の説明と合ったMake のシナリオに進む
語は出たが、分類の候補に説明の合わない記号が多い分類は PMGS のキーワード検索を主にし、AIの候補は参考にとどめる運用で進む
社内の呼び名のせいで語が外れた用語集が先。呼び名の対応を書き出してからやり直す

2行目は珍しくありません。 その場合でも、要素への分解と語の一覧だけで②の25分の大半が短くなります。分類の候補を使わない形で始めても、この構成の効果の多くは残ります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
実在しない分類の記号が依頼票に載る理由を必ず書かせ、PMGS で確かめた記号にだけ印を付ける
分類の候補が多すぎて確かめきれない理由の書けない記号を挙げさせない
社内の呼び名から語を推測する用語集の一般の呼び名を括弧で添える
前の調査の語に引っ張られる過去の調査の語は渡さない(別の仕組みで探す)
届が直されて依頼票が上書きされる同じ届の番号なら作り直さず知らせるだけ
依頼票の表の行数が合わない要素の数に応じた差し込み方をひな形で決めておく
AIの候補を確かめるだけになるPMGS のキーワード検索で自分でも探す
用語集が育たない調査が終わったら使った語を台帳に書き戻す
Google の接続が毎週切れるアプリの公開状態を確かめる
未公開の発明を送ってよいか決まっていない始める前に知財部・法務・情報システム部で決める

上の2行が、この構成の信頼を決めます。 確かめていない分類で検索した調査は、範囲が外れていても結果の件数だけ見るとそれらしく見えます。 確認の印の無い記号では検索しない、という決まりを依頼票に書いておきます。

下から4行目は、AIの候補が当たり始めると起きます。 候補がよく当たるほど、調査担当は自分で探さなくなります。ベテランの確認の結果を月に1回見て、AIが挙げなかった分類が足されているかを見ます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 出願前の未公開の発明の内容、研究者の所属と氏名、関連する製品の名前です。

  1. 未公開の発明を社外に送ってよいかを先に決める … 発明届は出願前の技術そのものです。Claude API に送ってよいか、送るならどの項目までかを、知財部・法務・情報システム部で決めてから始めてください。 API の利用規約と、送ったデータの保持・利用の扱いを契約の前に確かめます
  2. 送る項目を絞る … 研究者の氏名と部署は送りません。関連する製品の名前も、社外に出ていない製品なら一般の呼び名に置き換えます
  3. 依頼票と台帳の権限を絞る … 知財部と担当の研究者だけが見られるフォルダとシートにします。Make の接続も、知財部の管理するアカウントで作ります
  4. AIの出力を判断の根拠にしない … 分類の候補は確かめるまで候補です。出願の要否や新規性の見立てを、依頼票の内容だけで決めないでください
  5. ログの保存先も同じ扱いにする … AIの出力のJSONは、届の内容を言い換えたものです。届と同じ権限で保管し、Make の実行の履歴に残る内容も確かめます

誤りが起きた場合のリスクは、未公開の発明の内容が意図しない範囲に出ることと、確かめていない分類で調査して先行文献を見落とすことの2つです。 前者は送る範囲と権限で、後者は PMGS での確認と自分での探索で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:送ってよい範囲を決め、用語集を作り始める

知財部・法務・情報システム部で、発明届のどの項目を Claude API に送ってよいかを決めます。並行して、過去の調査のメモから社内の呼び名と一般の呼び名の対応を書き出し、まず100語の用語集にします。

2週目:過去の10件で試す

調査が終わった発明届10件で、第7章の指示を試します。分類の候補を PMGS で全部引き、実在と説明の一致を数えます。 ここで分類の候補を使うかどうかを決めます。

3週目:依頼票のひな形を作る

要素の表、分類の候補と確認の印、確認事項の欄を持つひな形を Google ドキュメントで作ります。調査担当3名に見せ、欄の並びを決めます。

4週目:フォームから依頼票までをつなぐ

Make で、フォームの回答から依頼票の作成と Teams への通知までを作ります。最初の2週間は、依頼票と従来のメモを並べて作り、どちらで調査を始めたかを調査担当に記録してもらいます。

2か月目: 依頼票から調査を始める形に切り替え、実際に使った語と分類の書き戻しを始めます。3か月目以降: 1件あたりの時間を実測し、分類の候補の採用率を技術分野ごとに数えます。採用率の低い分野の用語集と指示を直し、新人の依頼票の手直しが減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Google Forms のアプリに Watch Responses、List Responses、Get a Response があること。接続のアプリの公開状態が Testing だと毎週再認証が要ることMake: Google Forms2026-10-08
Anthropic Claude のアプリに Create a Prompt と Make an API Call があり、接続に API キーを使うことMake: Anthropic Claude2026-10-08
構造化出力を output_config.format に type: "json_schema" で渡し、制約付きのデコードでスキーマに沿った応答が返ること。refusal や max_tokens で止まったときはスキーマに沿わないことがあることClaude Docs: Structured outputs2026-10-08
Google Docs のモジュールに Create a Document from a Template があり、ひな形をコピーしてタグを置き換えること。Values の欄ではタグを {{}} を付けずに指定すること。新しい文書の保存先を指定できることMake: Google Docs modules2026-10-08
Google Sheets のモジュールに Add a Row、Search Rows、Update a Row があることMake: Google Sheets modules2026-10-08
Microsoft Teams のアプリに Send a Message があり、Microsoft のビジネス用のアカウントが要ることMake: Microsoft Teams2026-10-08
IPC が世界共通の特許分類で、FI と Fターム が日本の特許庁の独自の分類であること。J-PlatPat の PMGS の「コード照会」で FI/ファセット・Fターム・IPC の記号から内容を照会でき、「キーワード検索」でキーワードから分類を探せること国立国会図書館 リサーチ・ナビ: 特許分類(IPC、FI、Fターム)の調べ方2026-10-08

分類の記号が何を扱うかは、必ず J-PlatPat の PMGS で確かめてください。 本記事は、AIが作った分類の候補を確かめずに使う運用を想定していません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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