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留学生へ出す奨学金・寮・在留手続きのお知らせを、大学の用語集にそろえて多言語に訳し、日付と提出先を原文と照らしてから配る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

国際交流課が留学生へ出す奨学金・寮・在留手続きのお知らせを、学内の用語集にそろえて4言語に訳します。日付・金額・提出先は訳させずに後から差し込み、原文と同じであることをプログラムで照らしてから配ります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Power Automate/Python
対象業界
その他/教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 課の担当者が日本語のお知らせを書き、課長の確認を受ける
  2. 職員が英語に訳す
  3. 日本語の原文をアシスタント3名に送り、中国語・韓国語・ベトナム語に訳してもらう
  4. 戻ってきた訳文を、職員が原文と並べて、日付や金額の数字が同じかを目で見る
  5. 窓口の名前、奨学金の名前などの訳が、前に出したお知らせと同じかを過去のお知らせで探す
  6. 直す箇所があればアシスタントに戻し、直った訳文を受け取る
  7. 5言語の版をポータルに掲示し、対象の留学生にメールで送る
導入後(After)
  1. 人担当者が日本語のお知らせを書き、課長の確認を受けて、決まったフォルダに置く
  2. 自動原文から日付・時刻・金額・窓口・部屋番号・URL・制度の数字を見つけ、記号に置き換えた原文と、記号と値の一覧を作る
  3. 人担当者が記号の一覧を開き、置き換え漏れと誤った置き換えがないかを確かめる
  4. 自動記号に置き換えた原文と用語集の該当語を ChatGPT に渡し、4言語の訳文、逆訳、迷った箇所を返させる
  5. 自動訳文の記号の数と種類が原文と同じかを数え、言語ごとの書き方で値を差し込む
  6. 自動用語集の訳語が訳文に使われているかを照らし、使われていない語に印を付ける
  7. 人英語は職員が、他の3言語は逆訳と印の付いた箇所をアシスタントが確かめる
  8. 人5言語の版をポータルに掲示し、メールで送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 課の担当者が日本語のお知らせを書き、課長の確認を受ける
  2. 職員が英語に訳す
  3. 日本語の原文をアシスタント3名に送り、中国語・韓国語・ベトナム語に訳してもらう
  4. 戻ってきた訳文を、職員が原文と並べて、日付や金額の数字が同じかを目で見る
  5. 窓口の名前、奨学金の名前などの訳が、前に出したお知らせと同じかを過去のお知らせで探す
  6. 直す箇所があればアシスタントに戻し、直った訳文を受け取る
  7. 5言語の版をポータルに掲示し、対象の留学生にメールで送る

(a)4言語がそろうまで配れない。 アシスタントは授業の合間に訳すので、戻ってくるまで数日かかります。締切の近い奨学金の募集では、母語の版が締切の数日前にしか届かないことがあります。

(b)訳語が訳す人ごとに違う。 「国際交流課」「学生支援課」「保健管理センター」の訳が、アシスタントが替わるたびに変わります。留学生から「このお知らせの窓口と、先月の窓口は別の場所ですか」と聞かれます。

(c)日付と提出先の誤りが配った後に見つかる。 4番を目で行うので、曜日の訳し間違い、午前と午後の取り違え、部屋番号の写し間違いが残ります。見つかるのは、留学生が違う日に違う部屋へ来たときです。

(d)制度の説明が膨らむ。 在留手続きのお知らせでは、訳す人が気を利かせて原文にない補足を足すことがあります。善意の補足でも、課が確認していない条件が学生に伝わります。

  1. 【人】 担当者が日本語のお知らせを書き、課長の確認を受けて、決まったフォルダに置く
  2. 【自動】 原文から日付・時刻・金額・窓口・部屋番号・URL・制度の数字を見つけ、記号に置き換えた原文と、記号と値の一覧を作る
  3. 【人】 担当者が記号の一覧を開き、置き換え漏れと誤った置き換えがないかを確かめる
  4. 【自動】 記号に置き換えた原文と用語集の該当語を ChatGPT に渡し、4言語の訳文、逆訳、迷った箇所を返させる
  5. 【自動】 訳文の記号の数と種類が原文と同じかを数え、言語ごとの書き方で値を差し込む
  6. 【自動】 用語集の訳語が訳文に使われているかを照らし、使われていない語に印を付ける
  7. 【人】 英語は職員が、他の3言語は逆訳と印の付いた箇所をアシスタントが確かめる
  8. 【人】 5言語の版をポータルに掲示し、メールで送る

3番目が、この設計の分かれ目です。 記号への置き換えがうまくいけば、その後の値の誤りはまず起きません。逆に、置き換え漏れがあれば、その値はAIが訳すことになります。 担当者が見るのは訳文ではなく、原文のどの値が記号になったかの一覧です。

7番目でアシスタントが見る範囲が変わります。 これまでは訳すところから行っていましたが、これからは逆訳と印の付いた箇所を読むだけです。 訳す時間がなくなるので、母語の版が原文と同じ日にそろいます。

02今回想定するシステム構成

構成図
日本語のお知らせ(課長の確認済み)
   │  担当者が「翻訳待ち」フォルダへ
   ▼【トリガー】フォルダの定時の見回り(15分ごと)
Python
   │  日付・時刻・金額・窓口・部屋番号・URL・制度の数字を記号に置き換え
   │  記号と値の一覧を作る → 【担当者が一覧を確認】
   │  用語集から、原文に出てくる語だけを選ぶ
   ▼
ChatGPT(OpenAI API)── 言語ごとに
   │   ① 訳文(記号はそのまま)  ② 日本語への逆訳
   │   ③ 用語集の語をどう訳したか ④ 迷った箇所の申告
   ▼
Python ── 記号の数と種類の照合、値の差し込み、用語集の訳語の照合
   ▼
確認表(言語/段落/訳文/逆訳/印)と5言語の版
   ▼
【英語は職員、他の3言語はアシスタントが印の付いた箇所を確認】
   ▼
ポータルへの掲示とメールの送信(人が行う)
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API。最小構成では ChatGPT の画面)Claude、Microsoft Copilot、Gemini
連携Python(記号への置き換え、API の呼び出し、記号の照合と値の差し込み、確認表の作成)Google Apps Script、Power Automate
用語集共有フォルダの表(語、言語ごとの訳、使い方の注記)-
配信学内のポータルとメール(人が操作する)-

新しく足すのは、OpenAI API の利用と、短い Python のスクリプトです。 ポータルとメールはいまのまま使い、配るところは人が行います。 最初の準備作業は用語集で、窓口と部署の名前、建物と部屋、学内のシステムの名前、奨学金の名前、在留手続きの用語を並べ、言語ごとに課で決めた訳を書きます。

最小構成では、ChatGPT の画面に用語集と原文を貼って、決めた指示文で訳させるだけです。 記号への置き換えも、最初は担当者が手で行います。手で置き換えてみると、どの値を記号にすべきかの一覧が固まります。 それがそのまま、半自動化のスクリプトの置き換えの規則になります。

半自動化の段階では、返す形を OpenAI API の Structured Outputs の JSON スキーマで固定します。 指定した JSON スキーマに沿った応答を必ず生成するとされ、必須の項目の抜けや、決めていない列挙値が入ることを防ぎます。 段落ごとの訳文・逆訳・申告が同じ形で返るので、確認表に1行ずつ並べられます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

「翻訳待ち」フォルダに置かれた原文を、15分ごとの見回りで拾います。 置かれた原文は、課長の確認が済んだものだけという約束にします。確認前の原文を訳すと、原文が直ったときに4言語を全部やり直すことになります。

拾った原文は、まず記号への置き換えまで進めて止めます。 置き換えの一覧を担当者が確かめて「確認済み」にしたところで、訳す処理が動きます。訳す前に一度止めるのは、置き換え漏れを訳文の中で探すより、一覧で探すほうがはるかに速いからです。

締切が近いお知らせは、置く時に「急ぎ」の印を付けます。 急ぎの印があるものは見回りの順番を先にし、アシスタントへの確認の依頼にも印を付けます。奨学金の募集のように締切が決まっているものほど、母語の版を早く出す意味があります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
日本語の原文見出し、段落、表、リンク「翻訳待ち」フォルダの Word
用語集窓口と部署、建物と部屋、学内のシステム、奨学金、在留手続きの用語。言語ごとの訳と注記共有フォルダの表
書き方の決まり言語ごとの日付・曜日・時刻・金額の書き方課で決めた表
置き換えの規則記号にする値の種類と見つけ方スクリプトの設定
過去の確認の記録アシスタントと職員が直した語と直し方確認表の履歴

質を決めるのは、用語集です。 「国際交流課」を一度 International Affairs Office と決めれば、それ以後のすべてのお知らせで同じ名前が出ます。 第3章の(b)は、決まった訳が紙の上になかったことで起きていました。最初は課でよく使う100語ほどから始め、確認で直された語を足していきます。

在留手続きの用語は、出入国在留管理庁の多言語の案内で使われている言い方を確かめて決めます。 庁のページには多言語の切り替えがあり、学生が手続きで目にする言葉と、お知らせの言葉をそろえておくと、学生が庁のページを読むときに迷いません。

書き方の決まりは、言語ごとに1行ずつです。 例えば英語は「Tuesday, October 20, 2026, 10:00 a.m.」、中国語は「2026年10月20日(星期二)上午10:00」のように、課で1つに決めておきます。 差し込みはこの形で機械的に行います。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
段落と見出しの本文Word の原文訳す単位。段落に番号を振る
表のセルWord の中の表日程や持ち物の一覧。セルごとに訳す
リンクの文字と URLWord の中のリンクURL は記号にし、リンクの文字だけを訳す
用語集の該当語用語集の表原文に出てくる語だけを選んで渡す

原文は、Python で Word の段落・表・リンクを分けて取り出します。 段落ごとに番号を振り、以降の処理はすべてこの番号で結び付けます。訳文が同じ番号で返ってこなければ、段落の抜けとして検知できます。

OpenAI API にファイルをそのまま渡す方法もあります。 Responses API は文書のファイルを受け取れますが、PDF 以外のファイルはテキストだけが取り出されるとされ、表やリンクの構造が分かりにくくなります。記号への置き換えは原文の構造が分かっていないとできないので、取り出しはスクリプトで行い、AIには番号付きの段落を渡します。

用語集は、原文に出てくる語だけを選んで渡します。 全部を渡すと、関係のない語の訳が文に混ざることがあります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 段落の番号付け … 段落と表のセルに通し番号を振ります
  2. 日付と曜日の記号化 … 「10月20日(火)」「10/20」を {D1} に置き換え、値を 2026-10-20 の形で一覧に持ちます。曜日が暦と合わなければ、訳さずに担当者へ戻します
  3. 時刻の記号化 … 「午前10時」「10:00」を {T1} に置き換えます
  4. 金額と制度の数字の記号化 … 「月額48,000円」「1週28時間」「1日8時間」を {N1} に置き換えます。単位も記号の中に含めます
  5. 窓口と部屋の記号化 … 用語集の窓口・建物・部屋の語を {P1} に置き換えます。訳語は用語集から差し込みます
  6. URL とメールアドレスの記号化 … {U1} に置き換えます
  7. 置き換えの一覧の作成 … 記号、元の値、段落番号を並べ、担当者の確認に回します
  8. 長さの確認 … 長いお知らせは見出しの区切りで分けて渡します

置き換えの一覧は、担当者が確かめる形で次のように出します。

記号元の値段落種類差し込む値(英語の例)
{D1}10月20日(火)2日付Tuesday, October 20, 2026
{T1}午後5時2時刻5:00 p.m.
{N1}月額48,000円3金額JPY 48,000 per month
{P1}国際交流課(本館2階)4窓口用語集の訳
{U1}申請フォームのURL4URLそのまま

担当者は「元の値」の列を原文と見比べるだけです。 4言語の訳文を読む必要はなく、日本語の値が正しく拾われていれば、どの言語にも同じ値が入ります。

4番目の「制度の数字」を落とさないでください。 例えば出入国在留管理庁の案内では、「留学」の在留資格に係る資格外活動の包括許可は1週について28時間以内、教育機関の長期休業期間にあっては1日について8時間以内とされています。この「28」や「8」、「長期休業期間」の条件の数字は、訳し間違えたときに学生が受ける影響がいちばん大きい値です。 記号にして、原文の数字のまま差し込みます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、記号に置き換えた原文を用語集に沿って訳し、日本語への逆訳と、迷った箇所の申告を返すことです。

させること決まり判断できないときの扱い
段落ごとの訳文記号はそのまま残す。段落を足さない・まとめない訳しきれない文は uncertain に入れる
用語集の語の訳用語集の訳を必ず使い、どう訳したかを列挙する用語集にない学内の語は unknown_terms に入れ、日本語の読みを残す
日本語への逆訳訳文を日本語に戻す。記号もそのまま-
迷った箇所の申告期限か開始日か、対象者の範囲など、原文の読み方で迷った箇所迷ったときは申告し、どちらかに決めて訳さない

逆訳を付けるのは、アシスタントがいない時期にも確認できるようにするためです。 中国語・韓国語・ベトナム語を職員が読めなくても、逆訳を原文と並べれば、意味が変わった段落は見つけられます。 逆訳は確認の補助で、訳の正しさを保証するものではありません。

させないこと理由
記号を値に戻す・書き換える値の差し込みはプログラムが行う
原文にない補足(制度の説明、注意書き)課が確認していない条件が学生に伝わる
条件の言い換え「〜以内」を「〜程度」、「〜まで」を「〜ごろ」にしない
用語集と違う訳語への言い換え毎月訳語が変わると、同じ窓口だと分からない
段落の要約・省略どこが省かれたか確認する人に見えない

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 在留期間の更新のお知らせを訳させると、「更新の申請は期限の3か月前から可能です」のような、原文にない一般的な説明を足すことがあります。 正しい内容であっても、課が出したお知らせの中に、課が確かめていない説明が入ることになります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは大学の国際交流課で、留学生へ出すお知らせの翻訳を補助する立場です。
日本語の原文を {target_language} に訳し、指定のJSONの形で返してください。

【記号について】
原文には {D1} {T1} {N1} {P1} {U1} のような記号が入っています。
日付・時刻・金額や制度の数字・窓口や部屋・URL を表す記号です。
- 記号は、原文と同じ記号を、同じ数だけ、そのまま訳文に残してください。
- 記号の前後の語順は、その言語として自然になるように動かしてかまいません。
- 記号の中身を推測して書き足したり、数字に置き換えたりしないでください。
- 記号に付く助詞の意味(「{D1}まで」は期限、「{D1}から」は開始、
  「{D1}に」はその日)を、訳文でも区別してください。

【訳文の決まり】
- 段落番号ごとに訳し、番号を変えない、段落を足さない・まとめないでください。
- 用語集にある語は、必ず用語集の訳を使ってください。
- 用語集にない学内の語(行事名、学内の呼び名)は直訳せず、
  unknown_terms に入れ、訳文には日本語の読みを残してください。
- 学生が何を、いつまでに、どこへ出すのかが分かる文を優先してください。

【厳守事項】
- 原文に書かれていない説明、注意、補足を足さないでください。
  在留手続きや奨学金の制度について一般に知られている内容でも、
  原文になければ書かないでください。
- 「以内」「まで」「必ず」「できません」などの条件や否定の語を、
  弱めたり強めたりしないでください。
- 原文の読み方で迷った箇所は、どちらかに決めずに uncertain に書いてください。
- 訳文が正しいかどうかの評価は書かないでください。

【逆訳】
訳文を日本語に戻した文を、段落ごとに back_translation に入れてください。
記号はそのまま残してください。

【原文(段落番号と記号つき)】{paragraphs}
【この原文に出てくる用語集の語】{glossary}
【訳す言語】{target_language}

「一般に知られている内容でも、原文になければ書かない」まで書かないと足されます。 生成AIは在留手続きの一般的な知識を持っていて、親切のつもりで書き加えます。 制度は変わることがあり、AIの知識が今の制度と合っている保証はありません。

「記号に付く助詞の意味を区別する」も、記号にしたからこそ要る指示です。 値を記号にすると、「まで」と「から」の違いを支えるのは前後の語だけになります。期限と開始を取り違えた訳は、値が正しくても学生を締切に遅れさせます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Structured Outputs で JSON スキーマを指定し、すべての項目を required に並べ、additionalProperties を false にします。

{
  "notice_id": "",
  "target_language": "en | zh-CN | ko | vi",
  "paragraphs": [
    {
      "para_no": 1,
      "translation": "",
      "back_translation": "",
      "placeholders": ["{D1}", "{P1}"]
    }
  ],
  "glossary_used": [
    { "term": "", "rendered_as": "" }
  ],
  "unknown_terms": [""],
  "uncertain": [
    { "para_no": 0, "reason": "" }
  ]
}

1つ目の理由は、placeholders で記号の照合ができることです。 Python が訳文の中の記号を数え、原文の段落の記号と種類も数も一致するかを確かめます。AIの申告と、訳文の中を数えた結果の両方を見ます。1つでも合わない段落は、値を差し込まずに確認表で赤くします。

2つ目は、glossary_used で訳語の照合ができることです。 用語集の訳が訳文の中にそのまま含まれているかを確かめ、含まれていない語に印を付けます。 アシスタントはその印の箇所だけを読めば足ります。

3つ目は、uncertain と unknown_terms で人に聞くべきことがまとまることです。 迷った箇所は原文の側の書き方の問題であることが多く、担当者が原文を1文直すだけで4言語の迷いが消えます。 用語集にない語は、決めて用語集に足します。

確認表は次の形にします。

【確認表:2026-10 奨学金募集のお知らせ/ベトナム語】
段落 | 原文 | 訳文(値を差し込んだもの) | 逆訳 | 印
1    | …   | …                         | …   |
2    | …   | …                         | …   | 記号の数が合わない
3    | …   | …                         | …   | 用語集の訳語が使われていない
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
「翻訳待ち」フォルダ定時の見回り課長の確認が済んだ原文を拾う
用語集・書き方の決まり共有フォルダの表を読む該当語の選び出しと、値の差し込みの書き方
OpenAI APIAPI呼び出し(Structured Outputs)言語ごとの訳文・逆訳・申告
確認表と5言語の版共有フォルダへ書き出す職員とアシスタントの確認
ポータル・メール人が操作する確認が済んだ版を掲示し、送る

ポータルとメールへは自動で出しません。 確認が済む前の訳文が学生に届くと、取り消しのお知らせを5言語で出し直すことになります。 配るのは人の操作に残します。

用語集は、確認の結果から人が足します。 unknown_terms に出た語を、課で訳を決めて用語集に足します。AIが出した訳をそのまま用語集に入れることはしません。

Step9

人が確認する

人が見るのは、置き換えの一覧と、確認表の印の付いた箇所です。

  1. 置き換えの一覧を見る(担当者) … 記号にすべき値が漏れていないか、記号にしてはいけない語を記号にしていないかを確かめます
  2. 英語の訳文を読む(職員) … 英語は職員が全文を読みます
  3. 他の3言語の印と逆訳を読む(アシスタント) … 記号の数が合わない段落、用語集の訳語が使われていない語、逆訳で意味が変わっている段落を見ます
  4. uncertain を原文の担当者へ返す … 原文を直すか、そのままでよいかを決めます
  5. 直した語を記録する … どの言語の、どの語を、どう直したかを残します

1番目に時間を使ってください。 置き換えの一覧は1本あたり十数行で、数分で見られます。 ここで漏れを止めれば、第3章の(c)はほとんど起きません。

3番目は、アシスタントがいない時期の扱いを決めておきます。 学期の境目でアシスタントが入れ替わるときは、逆訳だけで確認して出すか、英語版だけを先に出すかを課長が決めます。 決めないまま出すと、確認されていない訳が当たり前になります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
原文の日付と曜日が暦と合わない訳さずに原文の担当者へ戻す
訳文の記号の数・種類が原文と合わないその段落は値を差し込まず、確認表で赤くする。再度訳させるか人が直す
用語集にない窓口や部屋が出た記号にできないので、置き換えの一覧で担当者に知らせ、用語集に足す
uncertain が出た原文の担当者に返し、原文を直すかを決める
原文に学生の氏名や学籍番号が入っている訳す前に止める。お知らせに個人の情報を入れない
応答が refusal で返るその段落を人が訳す
逆訳で否定や条件が消えている印を付け、その言語の確認者に必ず見せる
締切が近く確認者がいない課長が英語版の先出しを判断する

上から2行目までが、この構成で守るべき線です。 値が合わないものは差し込まずに止める、を例外なく守れば、誤った日付や提出先が配られることはありません。

Step11

記録を残す

  • 原文、置き換えの一覧、担当者が確認した日時
  • 言語ごとの訳文・逆訳・申告(返ってきたJSONの全文)
  • 記号の照合と用語集の照合の結果
  • 職員とアシスタントが直した箇所と、直した理由
  • 配った版(5言語)と、掲示・送信の日時
  • 用語集の変更の履歴

4つ目は、用語集と指示文を育てる材料です。 同じ語が何度も直されていれば、用語集の訳を見直します。同じ型の直し(補足を足す、条件を弱める)が続けば、指示文の厳守事項に足します。

配った版は、学生からの問い合わせに答えるために残します。 「このお知らせにはこう書いてあった」と言われたとき、どの言語の、どの版を配ったかを示せるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:記号を手で置き換え、ChatGPT の画面で訳させ、手で値を差し込む / 訳文の下書き
半自動化:上記+記号への置き換え、API での翻訳、記号と用語集の照合、値の差し込み、確認表をスクリプトで行う / 置き換えから確認表まで
本格構成:上記+原文の改定に合わせた差分の訳し直しと、ポータルへの掲示の下書きの作成 / 改定の追随と掲示の準備

最小構成では、手作業の置き換えに時間がかかります。 1本ずつ試すための段階です。 半自動化で、1件120分が40分になり、この段階が本記事の想定です。 英語を訳す時間、アシスタントとのやり取り、数字と日付の目視の照合がなくなり、職員の時間は置き換えの一覧の確認と、英語の全文と印の付いた箇所の確認に移ります。 本格構成は、同じお知らせを改定して出し直すことが多い場合に進みます。 締切の延長や会場の変更で原文を直したとき、直した段落だけを訳し直す仕組みです。毎月の本数が増えてから検討します。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1学期回すと、用語集に足りない語と、置き換えの規則に漏れのある値の型が先に分かります。そこを埋めてから差分の訳し直しに進むほうが、改定のたびに確認する箇所が少なくなります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
40 分
現在  30件 × 120分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 30件 × 40分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,500円)
168万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 留学生が数百名在籍し、国際交流課(国際センター)が奨学金・寮・在留手続き・健康診断などのお知らせを毎月数十本出していて、英語は職員が訳し、その他の言語は留学生のアシスタントや外部の翻訳に頼っている大学・短期大学・専門学校。窓口の名前、学内のシステムの名前、奨学金の名前などの訳を一覧にまとめられ、各言語の訳を確かめられる職員か協力者がいる場合。
向いていない
  1. 留学生が数名で、英語の案内だけで足りる場合。お知らせが年に数本で、その都度外部の翻訳に出せば足りる場合。訳を確かめられる人がいない言語だけを扱う場合(その言語は、やさしい日本語の版で運用してください)。なお、個々の留学生の在留資格や奨学金の受給資格を判断する用途は、この構成では扱いません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月出したお知らせから5本を選ぶ(うち1本は、在留手続きの注意を含むもの)
  2. 日付・時刻・金額・窓口・URL を、手で {D1} などの記号に置き換える
  3. ChatGPT の画面に、用語集と記号に置き換えた原文と第7章の指示文を貼り、ベトナム語に訳させる
  4. 訳文の記号の数を数え、値を手で差し込む
  5. 先月アシスタントが訳した版と並べ、アシスタントに読み比べてもらう

在留手続きの1本は必ず入れてください。 原文にない説明を足すかどうかが、いちばん確かめたい点だからです。

出てきた内容判断
記号がそのまま残り、アシスタントの版と意味が同じスクリプトでの置き換えに進む
原文にない補足を足した指示の書き方で直る。構成は有効
記号が消えた、数字に書き換えた指示を強め、照合を必ず入れる

記号を手で置き換えてみると、どの値を記号にすべきかが分かります。 その一覧が、半自動化のスクリプトの規則になります。

読み比べはアシスタントに頼みますが、「どちらが良い訳か」は聞きません。 聞くのは、意味が違う段落があるか、窓口や制度の語が学生に通じる言い方かの2点だけです。訳の好みの差を数え始めると、試す期間が終わりません。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
置き換え漏れの値をAIが訳して間違える置き換えの一覧を訳す前に人が見る
訳文から記号が消える・数字に書き換わる記号の数と種類を照合し、合わない段落は差し込まない
「まで」と「から」が訳文で入れ替わる指示で区別を求め、逆訳で確かめる
在留手続きの一般的な説明を足す原文にない補足を禁じ、確認の観点に入れる
用語集にない学内の語を直訳するunknown_terms に出させ、課で訳を決めて足す
曜日の誤った原文がそのまま訳される記号化のときに暦と照らし、合わなければ戻す
用語集を全部渡して関係のない訳語が混ざる原文に出てくる語だけを渡す
アシスタントの交代で確認が止まる逆訳での確認と英語版の先出しの判断を決めておく
原文に学生の個人の情報が入るお知らせに入れない決まりにし、入っていたら止める
確認前に自動で配信する配るのは人の操作に残す
メールの件名だけ訳し忘れる件名も段落の1つとして番号を振り、同じ処理で訳す
言語ごとの日付の書き方が版ごとにぶれる書き方の決まりを1行ずつ決め、差し込みはプログラムで行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 記号にした値は安全で、記号にしなかった値と、記号を落とした訳文だけが危ないという構造です。一覧の確認と記号の照合の2つで挟みます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 学生全体へ出すお知らせの原文と、学内の用語集です。個々の学生の氏名・学籍番号・在留カードの情報は扱いません。

  1. お知らせに個人の情報を入れない … 個別の学生への連絡を同じ仕組みで訳すと、氏名や在留期限が外部のAIに渡ります。 この構成は全体へのお知らせだけに使い、個別の連絡には使わないと決めます
  2. API のデータの扱いを確かめる … OpenAI API に送ったデータは、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習や改善に使われないとされ、不正利用の監視のためのログは最大30日保持されるとされています。学内の情報システムの部署と、この扱いでよいかを先に確かめてください
  3. 制度の説明は課が責任を持つ … 在留手続きや奨学金の条件は、原文を書いた課の責任で出すものです。 訳文に原文と違う条件が入らないよう、補足の禁止と逆訳の確認を外さないでください
  4. 公的な案内へのリンクを添える … 在留手続きのお知らせには、出入国在留管理庁の該当するページへのリンクを原文の段階で入れておきます。詳しい条件は庁の案内で確かめてもらう形にします
  5. 確認されていない訳を配らない … 確認者がいない言語の扱いは、課長が判断して記録します
  6. 訳文であることを明示する … 母語の版の冒頭に「この案内は日本語の原文を訳したものです。内容に違いがある場合は日本語の原文が優先します」と、その言語で書いておきます。学生が迷ったときに原文へ戻れる道を残します
  7. アシスタントの確認にも決まりを作る … アシスタントは学生でもあります。確認を頼む範囲は全体へのお知らせだけにし、個別の学生の情報が入ったものを見せないと決めておきます

誤りが起きた場合のリスクは、学生が締切や提出先を誤ることと、制度の条件を誤って理解することの2つです。 前者は記号化で、後者は補足の禁止と逆訳で防ぎます。どちらも留学生の在学と在留に直接ひびくので、そこだけは設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:用語集を作る

過去3か月のお知らせから、窓口と部署、建物と部屋、学内のシステム、奨学金、在留手続きの用語を抜き出し、100語ほどの用語集を作ります。英語の訳は課で決め、他の3言語はアシスタントに決めてもらいます。

2週目:5本で試す

先月のお知らせから5本を選び、記号に手で置き換えて ChatGPT の画面で訳させます。記号が残っているか、原文にない補足を足していないかを最優先で見ます。

3週目:書き方の決まりと置き換えの規則を決める

言語ごとの日付・曜日・時刻・金額の書き方を1行ずつ決めます。2週目に手で置き換えた値の種類を並べ、記号にする値の一覧を作ります。 これが置き換えの規則になります。

4週目:置き換えと照合をつなぐ

Python で Word を読み、記号に置き換えて一覧を作るところまで作ります。この時点ではAIを呼ばず、置き換えの一覧が手作業と同じになるかだけを見ます。

2か月目: OpenAI API で訳文と逆訳を返させ、記号と用語集の照合を入れて確認表を作ります。3か月目以降: アシスタントの確認の時間と、1本120分が何分になったかを実測します。用語集の追加が月に数語に落ち着き、記号の照合で止まる段落がほとんどなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
「留学」の在留資格に係る資格外活動の包括許可が、1週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては1日について8時間以内)の活動を対象とすること。包括許可の範囲外の活動は個別許可となること。ページに多言語の切り替えがあること出入国在留管理庁:「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について2026-10-07
Structured Outputs が指定した JSON スキーマに沿った応答を必ず生成し、必須の項目の抜けや決めていない列挙値の混入を防ぐこと。すべての項目を required にし、additionalProperties を false にすること。安全上の拒否が refusal として判別できることOpenAI: Structured Outputs2026-10-07
Responses API が文書などのファイルを受け取れること。PDF 以外のファイルはテキストだけが取り出されることOpenAI: File inputs2026-10-07
API に送ったデータが、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習や改善に使われないこと。不正利用の監視のログが最大30日保持されることOpenAI: Data controls in the OpenAI platform2026-10-07

在留手続きと奨学金の条件は、出入国在留管理庁と各奨学金の実施団体の最新の案内で確かめてください。 本記事は出入国在留管理庁と OpenAI の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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