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自治体の職員が起案する通知・依頼・回答の文書を、前例の文書と要綱・規則から下書きし、文書の形式と公用文の表記をそろえる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

職員が起案する通知・依頼・回答の文書について、宛先・用件・根拠・期日といった要旨を入れると、前例の文書と要綱・規則を根拠にした下書きを作ります。職員の作業は、前例を探して書き換えることから、根拠の付いた下書きを確かめて直すことに変わります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
その他/教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/教育コスト削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
150h/月
AI導入後
60h/月
想定削減
60%
年間削減
1,080h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 起案者が、起案する文書の用件と宛先を確かめる
  2. 文書管理システムで、前回か前年度の同じ文書を件名や日付で探す
  3. 見つからなければ、課内の職員に聞くか、共有フォルダを探す
  4. 要綱・規則を例規集で開き、根拠の条文と期日・提出物の決まりを確かめる
  5. 前例の文書をWordにコピーし、日付・宛先・期日・数字・制度名を書き換える
  6. 文書事務の手引を見ながら、形式と表記を直す
  7. 文書管理システムで起案し、係長・課長・庶務担当の決裁に回す
  8. 形式や表記の指摘があれば直して回し直す
導入後(After)
  1. 人起案者が、起案用のエージェントを Copilot で開き、要旨の型に沿って宛先・用件・根拠・期日を入れる
  2. 【AI】 エージェントが、課の前例集から近い前例の文書を挙げ、どれを型にするかを起案者に確かめる
  3. 人起案者が型にする前例を選ぶ
  4. 【AI】 要綱・規則と文書事務の手引を根拠に、本文の下書きと根拠の一覧を作る
  5. 【AI】 前例から書き換えた箇所と、前例のまま残した箇所を一覧にする
  6. 人起案者が下書きを Word に移し、根拠の一覧の条文を例規集で開いて確かめる
  7. 人起案者が内容を直し、必要に応じて Word の Copilot で言い回しを整える
  8. 人文書管理システムで起案し、決裁に回す
  9. 人庶務担当が形式と表記を見る。指摘した内容は、手引の追記の候補として記録する
  10. 自動決裁が済んだ文書のうち、課が前例として残すと決めたものを前例集のフォルダに入れる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 起案者が、起案する文書の用件と宛先を確かめる
  2. 文書管理システムで、前回か前年度の同じ文書を件名や日付で探す
  3. 見つからなければ、課内の職員に聞くか、共有フォルダを探す
  4. 要綱・規則を例規集で開き、根拠の条文と期日・提出物の決まりを確かめる
  5. 前例の文書をWordにコピーし、日付・宛先・期日・数字・制度名を書き換える
  6. 文書事務の手引を見ながら、形式と表記を直す
  7. 文書管理システムで起案し、係長・課長・庶務担当の決裁に回す
  8. 形式や表記の指摘があれば直して回し直す

(a)前例が見つからない。 件名が「〇〇について(通知)」「〇〇に関するお知らせ」「〇〇の実施について」とばらばらで、検索語が合わないと当たりません。異動して1年目の職員ほど、この作業に時間を使います。 前例が見つからないまま白紙から書くと、形式も表記も一から決めることになります。

(b)書き換え漏れが残る。 前例をコピーして書き換えると、前年度の日付、古い制度名、改正前の条文の番号が1か所だけ残ります。前例の文書に書かれていた根拠の条文が、その後の改正で番号ごとずれていることもあります。決裁の途中で見つかれば差し戻し、見つからなければそのまま施行されます。

(c)形式と表記の直しが往復する。 手引には決まりが書かれていますが、全部を覚えている職員はいません。庶務担当の指摘で直し、次の起案でまた同じ指摘を受ける、ということが繰り返されます。庶務担当の側も、同じ指摘を毎月何十回も書いています。

(d)書き方が担当によって違う。 同じ事業所あての通知でも、担当によって前置きの長さ、記書きの使い方、問い合わせ先の書き方が違います。受け取る事業所の側から見ると、同じ課から届く文書の形がそろっていません。

  1. 【人】 起案者が、起案用のエージェントを Copilot で開き、要旨の型に沿って宛先・用件・根拠・期日を入れる
  2. 【AI】 エージェントが、課の前例集から近い前例の文書を挙げ、どれを型にするかを起案者に確かめる
  3. 【人】 起案者が型にする前例を選ぶ
  4. 【AI】 要綱・規則と文書事務の手引を根拠に、本文の下書きと根拠の一覧を作る
  5. 【AI】 前例から書き換えた箇所と、前例のまま残した箇所を一覧にする
  6. 【人】 起案者が下書きを Word に移し、根拠の一覧の条文を例規集で開いて確かめる
  7. 【人】 起案者が内容を直し、必要に応じて Word の Copilot で言い回しを整える
  8. 【人】 文書管理システムで起案し、決裁に回す
  9. 【人】 庶務担当が形式と表記を見る。指摘した内容は、手引の追記の候補として記録する
  10. 【自動】 決裁が済んだ文書のうち、課が前例として残すと決めたものを前例集のフォルダに入れる

6番目が、この設計の分かれ目です。 下書きの本文がどれだけ整っていても、根拠の条文が今の例規集と合っていなければ使えません。起案者が根拠の一覧から例規集を開いて確かめる手順を、省けない形で置きます。

5番目の「前例のまま残した箇所」の一覧は、第3章の(b)への手当てです。 日付や数字だけでなく、制度名や条文の番号を前例のまま残した箇所を挙げさせ、残してよいかを起案者が1つずつ決めます。

02今回想定するシステム構成

構成図
起案者(宛先・用件・根拠・期日の要旨)
   ▼【トリガー】起案者がエージェントを開いて要旨を入れる
Microsoft 365 Copilot(Agent Builder で作る起案用のエージェント)
   │   知識:① 課の前例集(SharePoint のフォルダ)
   │         ② 要綱・規則・事務の通知(SharePoint のフォルダ)
   │         ③ 文書事務の手引と表記の基準
   ├──▶ 近い前例の候補を挙げる → 起案者が選ぶ
   ▼
下書き(本文)+ 根拠の一覧 + 前例のまま残した箇所の一覧
   ▼【人が確かめて直す】
Word(Word の Copilot で言い回しを整える)
   ▼
文書管理システムで起案・決裁 ── 庶務担当の指摘を記録
   ▼
決裁済みの文書から、前例として残すものを前例集へ(Power Automate)
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft 365 Copilot(Agent Builder で作る起案用のエージェントと Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
連携Power Automate(前例集のフォルダへの登録と入れ替え)Make、n8n
保管SharePoint ドキュメントライブラリOneDrive
文書管理既存の文書管理システム-

新しく足すのは、起案用のエージェントと前例集のフォルダだけです。 文書管理システムには書き込みません。起案と決裁は今までどおり文書管理システムで行います。

起案用のエージェントは、Agent Builder で作ります。 Agent Builder は Microsoft 365 Copilot の宣言型エージェントを作る仕組みで、組織の基準に合わせた文章の指導をするエージェントが用途の例に挙がっています。SharePoint の内容などを専用の知識として指定でき、使う前や共有する前に試すことができます。

知識の上限が、前例集の作り方を決めます。 Agent Builder の公開資料によると、1つのエージェントに指定できる SharePoint のファイル・フォルダ・サイトは100ファイルまで、SharePoint のリストは1つまで、端末から埋め込むファイルは20ファイルまでとされています。課の決裁済みの文書を全部入れることはできません。 そこで、課ごとに「前例として残す文書」を100件の枠で選び、エージェントも課ごとに分けます。

知識の使い方にも注意が要ります。 「指定したソースのみを使用する」の設定は、指定した知識を優先させるもので、一般的なAIの知識を遮断するものではないとされています。より厳しく制御したい場合は Copilot Studio を使うよう案内されています。この構成では、指示文で「根拠の一覧に挙げられない文を書かない」と縛り、起案者が根拠を確かめる手順で補います。

ライセンスによって使い方が変わります。 Copilot Chat(Basic)と Microsoft 365 Copilot(Basic)は Microsoft Graph 経由で組織データを使えず、組織のデータを使うエージェントは従量課金とされています。Microsoft 365 Copilot(Premium)には、Web と組織のデータを使うエージェントへのアクセスが含まれます。60名のうち誰にどのライセンスを付けるかを、最初に決めます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起案者がエージェントを開いて要旨を入れたことを起点にします。 起案は職員が必要になったときに始めるもので、定時の一括処理にはなじみません。エージェントは Microsoft 365 Copilot のアプリと Teams のデスクトップ・Web から作れるとされ、職員は Copilot のアプリから課のエージェントを選んで使います。

要旨は、決まった型で入れてもらいます。 エージェントの最初の応答で型を示し、埋まっていない項目があれば聞き返させます。

項目例
文書の種類通知/依頼/照会への回答/案内
宛先市内の介護サービス事業所の管理者
用件処遇改善に関する計画書の提出の依頼
根拠〇〇市介護保険事業者指導要綱 第8条
期日・提出物11月14日まで。計画書と添付書類
問い合わせ先介護保険課 指導係

根拠の欄を空けたまま進ませません。 根拠が分からないときは「不明」と入れてもらい、エージェントには要綱・規則の中から候補を挙げさせます。候補はあくまで候補で、決めるのは起案者です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
起案の要旨文書の種類、宛先、用件、根拠、期日・提出物、問い合わせ先起案者の入力
課の前例集前例として残すと決めた決裁済みの文書(課ごとに100件まで)SharePoint の前例集フォルダ
要綱・規則・事務の通知課の事務に関係する要綱・規則・要領と、国や県からの事務の通知SharePoint の例規フォルダ
文書事務の手引文書の形式(文書番号、日付、宛名、発信者名、件名、本文、記書き)と表記の基準SharePoint の手引フォルダ
庶務担当の指摘の記録決裁の途中で指摘した形式・表記の誤りと、正しい書き方指摘の一覧

質を決めるのは、2つ目と4つ目です。 前例集に古い様式の文書が混ざっていれば、古い形式の下書きが出ます。手引に書かれていない団体の慣行は、エージェントには分かりません。慣行を手引に書き足すことが、下書きの質を上げる近道です。

表記の基準の土台には、「公用文作成の考え方」を置けます。 令和4年1月に文化審議会が建議したもので、昭和26年の「公用文作成の要領」の理念を生かしつつ見直し、政府内の公用文作成の手引として活用されることを目指したものとされています。団体の手引がこれに合わせて改められているかを、先に確かめてください。 改められていなければ、エージェントに渡すのは団体の手引のほうです。

Step3

データの取得方法を決める

前例集は、文書管理システムから決裁済みの文書を書き出して作ります。 書き出す前に、課の担当が「前例として残すもの」を選びます。選ぶ基準は、文書の種類ごとに最新の1〜2件、様式が新しいもの、宛先が団体や事業所で個人を含まないもの、の3つです。

取るものどこからどうするか
前例として残す決裁済みの文書文書管理システムの書き出しWord か PDF で前例集フォルダへ。ファイル名を「種類_用件_年度」にそろえる
要綱・規則・要領例規集課の事務に関係するものを、改正のたびに入れ替える
国や県からの事務の通知受けた通知の文書根拠として引くものだけを入れる
文書事務の手引総務課の手引手引の全文と、表記の基準の一覧

ファイル名をそろえるのは、エージェントが前例の候補を挙げるときの手がかりにするためです。 件名がばらばらでも、ファイル名に種類と用件が入っていれば当たりやすくなります。

SharePoint に新しく入れたファイルは、すぐには使われません。 公開資料では、アップロードしたファイルがエージェントの応答に含まれるまでに数分かかることがあり、準備中のあいだは「Preparing」と表示されるとされています。要綱・規則を改正の当日に入れ替えたときは、表示を見てから使います。

前例集の入れ替えは Power Automate で行います。 決裁済みの文書を課の担当が「前例に残す」と印を付けたら、前例集フォルダに入れ、同じ種類の古いものを退避フォルダへ移します。100件の枠を超えないように、入れたら1件出す形にします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 個人情報を含む文書を前例集に入れない … 宛先が個人の文書、本文に個人の氏名や事情がある文書は選びません。前例として要るものは、氏名と事情を伏せた写しを作って入れます
  2. 古い様式の文書を外す … 文書の形式が改められる前の文書は前例集から外します
  3. 要綱・規則を最新に保つ … 改正があったら、例規フォルダのファイルを入れ替えます。改正前のものは別フォルダに移し、エージェントの知識から外します
  4. ファイル名をそろえる … 「種類_用件_年度」の形にし、件名のばらつきを吸収します
  5. パスワード付きのファイルを入れない … 埋め込むファイルのうち、パスワードで保護されたものは使えないとされています
  6. Excel の一覧は1シートにまとめる … 一覧を知識にする場合、データが1つのブックの1シートにあるときに最もよく答えるとされています
  7. 手引に慣行を書き足す … 庶務担当の指摘の記録から、手引に無い決まりを拾って追記します

3番目を省くと、この構成は逆効果になります。 改正前の条文が知識に残っていると、整った文章で古い根拠を引いた下書きが出ます。人の手で書き換えたときより気づきにくくなります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、要旨と前例と根拠から下書きを組み立て、どこを何に基づいて書いたかを一覧にすることです。

させること中身
前例の候補を挙げる要旨の種類と用件に近い前例を3件まで挙げ、違いを1行ずつ書く
本文の下書き選ばれた前例の形式に沿い、要旨の内容で本文と記書きを作る
根拠の一覧本文の文ごとに、根拠にした前例・要綱・規則・手引の箇所を挙げる
前例のまま残した箇所日付、数字、制度名、条文の番号、部署名のうち、前例から変えていない箇所
表記の点検手引の表記の基準に照らして、下書きの中で基準と違う書き方を挙げる
聞き返し要旨に足りない項目、根拠が見つからない項目

3つ目と4つ目が、この構成でいちばん大事な出力です。 本文の下書きだけなら、前例をコピーして書き換えるのと大きくは変わりません。根拠と、変えていない箇所が一覧で見えることで、起案者の確認が「全文を読み直す」から「一覧を見て確かめる」に変わります。

させないこと理由
根拠の無い文を書く要綱・規則に無い義務や期日を作らない
期日や数字を決める要旨に書かれた値だけを使う。書かれていなければ空欄にする
条文の番号を補う知識の中に見つからない条文を、それらしい番号で書かない
施行してよいかの判断起案者と決裁権者が決める
文書番号を振る文書管理システムが振る

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 前例に「10月31日まで」と書かれていると、要旨の期日が空欄のときに、それをそのまま使います。前例の期日を引き継ぐことを、はっきり禁じます。

Step6

指示内容を固定する

エージェントの指示(Agent Builder の「指示」の欄に書くもの)の例です。

あなたは〇〇市の職員が起案する通知・依頼・回答の文書の下書きを作る役割です。
知識として与えられた「前例集」「例規」「文書事務の手引」だけを根拠にしてください。

【進め方】
1. 職員に、次の要旨を聞いてください。足りない項目は聞き返してください。
   文書の種類/宛先/用件/根拠/期日・提出物/問い合わせ先
2. 前例集から、種類と用件の近い前例を3件まで挙げ、
   それぞれ要旨との違いを1行で書き、どれを型にするか聞いてください。
3. 選ばれた前例の形式に沿って、本文と記書きの下書きを作ってください。
4. 下書きのあとに、次の3つの一覧を付けてください。
   (1) 根拠の一覧:本文の文ごとに、根拠にした資料名と箇所(条・項・号、手引の章)
   (2) 前例のまま残した箇所:日付、数字、制度名、条文の番号、部署名のうち、
       前例から変えていないもの
   (3) 表記の点検:手引の表記の基準と違う書き方と、基準による書き方

【厳守事項】
- 根拠の一覧に資料名と箇所を挙げられない文は、本文に書かないでください。
- 期日、金額、件数、日付は、職員が要旨に書いた値だけを使ってください。
  要旨に無いときは「〔要確認〕」と書き、前例の値を使わないでください。
- 条文の番号は、例規の中に見つかったものだけを書いてください。
  見つからないときは「〔根拠の条文を確認〕」と書いてください。
- 例規に改正前と改正後の両方が見つかったときは、両方を挙げて職員に確かめてください。
- 宛先が個人の場合や、本文に個人の氏名・事情が要る場合は、下書きを作らず、
  その旨を職員に伝えてください。
- 文書番号の欄は空けてください。
- 文書を施行してよいか、内容が適法かについては書かないでください。
- 表記は文書事務の手引に従い、手引に無いものは前例の書き方に合わせてください。

「前例の値を使わない」を明記しないと、前例の期日が下書きに残ります。 要旨の期日が空のとき、モデルは前例にある期日を「それらしい値」として使います。〔要確認〕の印を残すほうが、起案者には親切です。

「改正前と改正後の両方が見つかったとき」の一文は、前処理の3番目が漏れたときの保険です。 例規フォルダに古いファイルが残っていても、両方を挙げさせれば起案者が気づけます。

Word に移したあとは、Word の Copilot で言い回しを整えられます。 公開資料では、Copilot に作りたい内容を伝えて下書きを作り、残す・破棄する・作り直す・追加の指示で直す、を選べるとされ、「/」を入力して特定のファイルを参照先に選べるとされています。ここでは、前文を短くする、記書きの項目を並べ替える、のような直しに使い、根拠や数字は変えさせません。

Step7

出力形式を固定する

エージェントの出力は、Word に貼れる本文と、3つの表で受け取ります。

〇〇第  号
令和〇年〇月〇日

市内介護サービス事業所 管理者 様

〇〇市長 〇〇 〇〇

〇〇に関する計画書の提出について(依頼)

(本文)

記

1 提出書類 …
2 提出期限 〔要確認〕
3 提出先  …

問い合わせ先 介護保険課 指導係
本文の文根拠にした資料箇所
計画書を提出してください〇〇市介護保険事業者指導要綱第8条第1項
様式は別紙のとおり前例:依頼_計画書提出_R6記の1
前例のまま残した箇所前例の記載確認
提出先の係名指導係起案者が確かめる
根拠の条文第8条第1項例規集で確かめる

1つ目の理由は、本文と根拠を分けて読めることです。 決裁の途中で根拠を聞かれたら、表のその行を示せば足ります。本文に根拠を埋め込むと、施行する文書から消す手間が増えます。

2つ目は、「前例のまま残した箇所」が確認の順番になることです。 起案者は表の上から確かめていけばよく、全文を読み直して書き換え漏れを探す必要がありません。

3つ目は、表記の点検の表を庶務担当も使えることです。 起案者が表記の表を直してから回せば、庶務担当が同じ指摘を書く回数が減ります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
SharePoint の前例集・例規・手引エージェントの知識根拠として読む
Word起案者が貼り付ける本文を整え、Word の Copilot で言い回しを直す
文書管理システム起案者が起案する起案・決裁・保存は今までどおり
前例集フォルダPower Automate決裁済みで前例に残すものを入れ、古いものを退避

文書管理システムへは書き込みません。 下書きをそのまま起案に回す経路を作ると、起案者の確認が飛ばされます。Word で確かめた本文を、起案者が自分で起案画面に入れます。

エージェントの共有には、権限の手当てが要ります。 公開資料では、SharePoint のファイルやフォルダの自動の共有は特定のセキュリティグループと共有する場合にだけ対応しており、それ以外はエージェントが使うファイルとフォルダの権限を手で更新する必要があるとされています。課ごとのセキュリティグループを作り、エージェントと前例集フォルダの両方をそのグループに共有します。

Teams のグループチャットや1対1のチャットでは、Agent Builder で作ったエージェントを使えないともされています。課のチャネルで呼び出す運用は組めないので、職員には Copilot のアプリから使ってもらいます。

Step9

人が確認する

すべての下書きを、起案者が確かめてから起案します。 施行する文書は団体の名で外に出るもので、自動で確定させる場面はありません。

  1. 根拠の一覧の条文を例規集で開く … 番号と内容が今の例規と合っているかを見ます。エージェントの知識ではなく、例規集の正本で確かめます
  2. 前例のまま残した箇所を1つずつ決める … 残すか、今回の内容に書き換えるかを決めます
  3. 〔要確認〕と〔根拠の条文を確認〕を埋める … 埋まらないものは起案しません
  4. 表記の点検の表を見て直す … 手引と違う書き方を直します
  5. 決裁に回す … 係長・課長・庶務担当の決裁は今までどおりです

1番目を省かないでください。 知識の中の要綱が改正前のものだった場合、エージェントは整った文章で古い条文を引きます。下書きが整っているほど、確かめる気持ちが薄れます。

目標は、1件あたり12分です。 要旨の入力に3分、根拠と残した箇所の確認と修正に7分、表記の最終確認に2分という想定です。

係長の決裁でも、根拠の一覧を見てもらいます。 起案に一覧を添えておけば、係長は本文を読む前に根拠の条文と〔要確認〕が残っていないかを確かめられます。起案者1人の確認に頼らず、決裁の1段目でもう一度だけ同じ一覧を見る形にします。

Step10

例外に対処する

起きること対応
近い前例が見つからないエージェントに手引の形式だけで下書きを作らせ、根拠の一覧を必ず確かめる
根拠の条文が見つからない〔根拠の条文を確認〕のまま、起案者が例規集で探す
改正前と改正後の両方が出る改正後を使い、例規フォルダから改正前を外す
宛先が個人の文書エージェントを使わず、従来どおり起案する
要旨の期日・数字が空〔要確認〕のまま残し、起案しない
新しく入れたファイルが使われない準備中の表示を確かめ、表示が消えてから使う
前例集が100件の枠を超える同じ種類の古いものから退避する
他の課の要綱が根拠になるその課の例規を一時的に知識へ足すのではなく、起案者が例規集で確かめて要旨の根拠欄に書く
国や県の通知を受けて急ぎの文書を出す受けた通知を要旨に添え、根拠の一覧に通知の箇所を挙げさせる

上の3行が、始めた直後にいちばん多く起きます。 どれも前例集と例規フォルダの整え方の問題です。最初の数か月は、エージェントの精度より、フォルダの中身を見直すほうが効きます。

Step11

記録を残す

  • 施行した文書は、今までどおり文書管理システムに保存します
  • エージェントの出力(下書きと3つの表)を、起案の参考資料として起案に添えるかどうかを課で決めます
  • 庶務担当の指摘の記録 … 指摘した形式・表記の誤り、正しい書き方、起案した課
  • 前例集の入れ替えの記録 … 入れた文書、退避した文書、日付、入れた人
  • 例規フォルダの入れ替えの記録 … 改正の施行日と、入れ替えた日
  • エージェントの指示の版 … 指示を変えた日と、変えた理由

3つ目の指摘の記録が、この構成を育てる材料です。 同じ指摘が月に何度も出ていれば、手引に書き足すか、エージェントの指示に足します。指摘が減ったかどうかで、構成が効いているかが分かります。

5つ目の記録は、古い根拠を引いた下書きが出たときに、原因を追うために残します。 入れ替えた日が改正の施行日より遅ければ、その間の下書きを見直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:前例と例規と手引を Copilot Chat にアップロードし、要旨から下書きを作る / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+Agent Builder で課ごとの起案用のエージェントを作り、前例集・例規・手引を SharePoint の知識として持たせる / 前例の候補出し、下書き、根拠と残した箇所の一覧
本格構成:上記+Power Automate で前例集を自動で入れ替え、庶務担当の指摘の記録から手引とエージェントの指示を毎月見直す / 前例集の維持と、指摘の減少の追跡

最小構成では、毎回ファイルをアップロードする手間が残ります。 確かめるための段階です。 半自動化で、1件30分が12分になり、この段階が本記事の想定です。 前例を探す時間がほぼ無くなり、確認が一覧を見る作業に変わります。 本格構成は、前例集と手引を育てる段階です。 決裁のたびに前例集が新しくなり、指摘の記録から手引が書き足されます。エージェントの下書きの質は、この2つで決まります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
60 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  300件 × 30分 ÷ 60 = 150 時間/月
導入後 300件 × 12分 ÷ 60 = 60 時間/月
月間削減時間
90h
削減率
60%
年間削減時間
1,080h
年間金額換算(時間単価3,000円)
324万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 事業者・関係団体・他の自治体あての通知、依頼、照会への回答を、課ごとに毎月数十件から数百件起案している市区町村や一部事務組合、教育委員会。前例の文書を探して書き換える起案が多く、文書の形式や表記の直しが決裁の途中で何度も入っている場合。Microsoft 365 を職員が使える環境があり、前例の文書と要綱・規則を SharePoint に置ける場合。
向いていない
  1. 起案の多くが定型の様式への記入で済み、文書管理システムの様式機能で足りている場合。住民個人あての通知が中心で、氏名や個別の事情を含まない前例をそろえられない場合。情報セキュリティポリシーの上で、文書の下書きに生成AIを使える端末や環境が用意されていない場合。なお、文書の内容が要綱・規則に照らして正しいか、施行してよいかの判断は、起案者と決裁権者に残ります。

07最小構成で試す方法

  1. 1つの課で、先月起案した通知・依頼・回答の文書から10件を選ぶ(うち数件は、決裁の途中で形式や表記の差し戻しがあったものを入れる)
  2. その10件の前例と、根拠の要綱・規則と、文書事務の手引を Copilot Chat にアップロードする
  3. 10件それぞれについて、第7章の要旨の型で要旨を書き、下書きと3つの表を作らせる
  4. 下書きを、実際に施行した文書と、差し戻しの指摘の内容と突き合わせる
  5. 根拠の一覧の条文が、例規集の正本と合っているかを確かめる

差し戻しがあった文書を必ず入れてください。 差し戻しの理由になった表記が、下書きで最初から直っているかどうかが、この構成が効くかどうかの答えです。

出てきた内容判断
差し戻しの指摘が最初から直っていたエージェントの作成と前例集の整備に進む
前例の期日がそのまま残った指示文で直る。構成は有効
手引に無い慣行で差し戻された箇所が直らない手引の書き足しが先。 AIの問題ではない

3行目が出たら、その慣行を手引に1行足してから、同じ10件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
前例の期日や数字が下書きに残る要旨に無い値は〔要確認〕と書かせる
改正前の条文を引く例規フォルダから改正前を外す。両方あれば両方を挙げさせる
根拠の無い義務が本文に入る根拠の一覧に挙げられない文を書かせない
決裁済みの文書を全部入れようとする知識は100ファイルまで。 課ごとに前例を選ぶ
「指定したソースのみ」で一般知識が止まると思う優先させる設定で、遮断はしない。 指示と人の確認で補う
新しく入れた要綱が使われない準備中の表示が消えるまで待つ
他の職員がエージェントの知識を開けないセキュリティグループで共有する。 それ以外は権限を手で更新する
課のチャネルでエージェントを呼べないグループチャットでは使えない。Copilot のアプリから使う
個人あての文書の前例が入る前例集には団体・事業所あてのものだけを入れる
手引に無い慣行が直らない庶務担当の指摘から手引に書き足す
下書きをそのまま起案に回す文書管理システムへの経路を作らない。起案者が確かめて入れる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、前例や古い資料に書かれていた値が「それらしい値」として使われることから起きます。空欄を空欄のまま残させる指示と、資料を最新に保つ手順の両方が要ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 決裁済みの文書、要綱・規則・事務の通知、文書事務の手引、起案の要旨です。前例の中には、事業所名や団体名、照会への回答の内容が含まれます。

  1. 個人情報を含む文書を知識に入れない … 宛先が個人の文書、本文に個人の事情がある文書は前例集に入れません。埋め込んだファイルの内容は、エージェントを使える人なら誰でも見られるとされています
  2. 使える端末と環境を先に確かめる … 団体の情報セキュリティポリシーで、どの端末から Microsoft 365 Copilot を使えるかを確かめてから始めます
  3. 共有の範囲を課のグループに絞る … エージェントと前例集フォルダを、課ごとのセキュリティグループに共有します。エージェントは既存の権限と秘密度ラベルを尊重するとされています
  4. 施行の判断をAIに任せない … 文書の内容が要綱・規則に照らして正しいか、施行してよいかは、起案者と決裁権者が決めます。エージェントが出すのは下書きと根拠の候補だけです
  5. 根拠の正本は例規集に置く … エージェントの知識は写しです。確かめるのは、いつも例規集の正本です
  6. 企業向けのデータ保護の範囲で使う … Microsoft Entra アカウントでサインインした Copilot は、エンタープライズ データ保護の対象とされています。個人のアカウントで使わないよう周知します

誤りが起きた場合のリスクは、古い根拠や誤った期日のまま文書が施行されることです。 受け取った事業所はその文書に従って動くので、後から訂正の通知を出すことになります。根拠の一覧と〔要確認〕の印、起案者が正本で確かめる手順の3つで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:対象の課と文書の種類を決める

起案の多い課を1つ選び、前例を下敷きにする文書の種類(通知・依頼・回答・案内)を洗い出します。あわせて、団体の情報セキュリティポリシーの上で使える端末と環境を確かめます。

2週目:10件で試す

先月の文書から10件を選び、前例・要綱・手引を Copilot Chat にアップロードして下書きを作らせます。差し戻しのあった文書の指摘が、最初から直っているかを最優先で見ます。

3週目:前例集を選ぶ

課の中で、文書の種類ごとに型にする前例を選び、100件の枠に収めます。ファイル名を「種類_用件_年度」にそろえ、個人を含む文書は外します。

4週目:エージェントを作る

Agent Builder で課のエージェントを作り、前例集・例規・手引の3つのフォルダを知識に指定し、第7章の指示を入れます。課のセキュリティグループで共有し、2〜3名で使い始めます。

2か月目: 課の全員に広げ、庶務担当の指摘の記録を付け始めます。1件30分が何分になったかを実測します。3か月目以降: Power Automate で前例集の入れ替えを自動にし、指摘の記録から手引とエージェントの指示を毎月見直します。庶務担当の形式と表記の指摘が目に見えて減った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Basic のライセンスは Microsoft Graph 経由で組織データを使えず、組織のデータを使うエージェントが従量課金であること。Premium に Web と組織のデータを使うエージェントへのアクセスが含まれること。Entra アカウントでのサインイン時にエンタープライズ データ保護の対象となることMicrosoft Learn: Microsoft Copilot とは?2026-10-06
Agent Builder が宣言型エージェントを作る仕組みで、組織の基準に合わせた文章の指導が用途の例であること。SharePoint の内容を知識に指定でき、試してから共有できること。Microsoft 365 Copilot のアプリと Teams から作れること。SharePoint の自動共有はセキュリティグループのときだけで、それ以外は権限を手で更新すること。Teams のグループチャットと1対1のチャットで使えないことMicrosoft Learn: Agent Builder overview2026-10-06
知識の上限(SharePoint 100ファイル、リスト1つ、埋め込み20ファイル)。新しいファイルが準備中と表示され数分かかること。既存の権限と秘密度ラベルを尊重すること。Excel は1シートにあるときに最もよく答えること。パスワード付きのファイルが使えないこと。埋め込んだファイルの内容をエージェントを使える人が見られること。「指定したソースのみを使用する」が優先させる設定で一般知識を遮断しないことMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-06
Word の Copilot で下書きを作り、残す・破棄する・作り直す・追加の指示で直すを選べること。「/」で特定のファイルを参照先に選べることMicrosoft Support: Draft and add content with Copilot in Word2026-10-06
「公用文作成の考え方」が令和4年1月7日に文化審議会から建議され、昭和26年の「公用文作成の要領」の理念を生かしつつ見直し、政府内の公用文作成の手引として活用されることを目指したものであること文化庁: 「公用文作成の考え方」について(建議)2026-10-06

文書の形式と表記の基準は、各団体の文書事務の手引に従ってください。 本記事は Microsoft と文化庁の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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