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火災保険の見積で受け取る建築確認済証・登記事項証明書の写しを読み取り、構造・建築年・床面積を見積入力の項目にそろえて、構造級別の候補と確かめる点を出す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

火災保険の見積のために顧客から受け取る建築確認済証や登記事項証明書の写しを読み取り、構造・建築年月・床面積・所在地を見積入力の項目にそろえます。構造級別の候補と、判定の前に確かめる点を担当者に返します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Document AI
対象業界
不動産/保険/建設
対象部門
営業
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック
主な課題
入力作業が多い/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
75%
年間削減
540h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 顧客や紹介元から届いた写真・PDFを、顧客ごとのフォルダに保存する
  2. 書類が建築確認済証か、申請書の副本か、登記事項証明書かを見分ける
  3. 所在地、構造、建築年月(新築の日または確認の日)、床面積を読み、メモに書く
  4. 構成材料と、耐火・準耐火に関する記載から、構造級別を考える
  5. 判断に迷うものは、ベテランの担当者に聞くか、保険会社に照会する
  6. 保険会社の見積の画面に入力し、見積を作る
  7. 書類が足りなければ、顧客や紹介元に追加の書類を頼む
導入後(After)
  1. 人顧客や紹介元から届いた写真・PDFを、顧客ごとの受付フォルダに保存する
  2. 自動保存をきっかけに処理が動き、形式・サイズ・ページ数を確かめる
  3. 自動OCRが文字、キーと値、表と、画像の品質の点数を返す
  4. 自動生成AIが、書類の種類を見分け、所在地・構造・建築年月・床面積を根拠付きで取り出す
  5. 自動プログラムが、取り出した構成材料と耐火・準耐火の記載から、自社の規則で構造級別の候補を出す
  6. 自動書類どうしで値が違う項目と、候補を決めるのに足りない書類に印を付ける
  7. 自動見積入力の項目の案と、確かめる点の一覧、追加の書類の依頼文の下書きを出す
  8. 人担当者が、案と根拠を画像と見比べ、構造級別を決めて保険会社の見積の画面に入力する
  9. 人足りない書類があれば、下書きを直して顧客や紹介元に頼む
各工程の詳しい説明を読む
  1. 顧客や紹介元から届いた写真・PDFを、顧客ごとのフォルダに保存する
  2. 書類が建築確認済証か、申請書の副本か、登記事項証明書かを見分ける
  3. 所在地、構造、建築年月(新築の日または確認の日)、床面積を読み、メモに書く
  4. 構成材料と、耐火・準耐火に関する記載から、構造級別を考える
  5. 判断に迷うものは、ベテランの担当者に聞くか、保険会社に照会する
  6. 保険会社の見積の画面に入力し、見積を作る
  7. 書類が足りなければ、顧客や紹介元に追加の書類を頼む

(a)写真の書類は読みにくい。 斜めに撮られた写真、影の入った写真、綴じた冊子の一部だけの写真が届きます。床面積の小数点や建築年の元号を読み違えると、そのまま保険料に響きます。

(b)構造の読み方を誤る。 登記の「鉄骨造」は、耐火・準耐火に当たるかで構造級別が変わります。登記の文字だけで決めると、T構造に当たる建物をH構造で見積もる、またはその逆が起きます。 保険料が変わるので、後から直すと顧客への説明が要ります。

(c)どの値を使うかが担当者で違う。 床面積が登記と建築確認で違う、建築年が確認の日と新築の日で違う——どちらを見積に使うかの取り決めが、担当者の頭の中にあります。

(d)追加の書類を頼むのが遅れる。 構造を決めるのに足りない書類があると分かるのは、入力の途中です。顧客に頼み直すまでに日が空き、引き渡しの日に間に合わないことがあります。 顧客の側も、確認済証の綴りのどの頁を送ればよいかが分からず、同じ依頼を2回、3回とやり取りすることがあります。依頼の文面に、どの書類のどの記載が要るのかを具体的に書けていないためです。

  1. 【人】 顧客や紹介元から届いた写真・PDFを、顧客ごとの受付フォルダに保存する
  2. 【自動】 保存をきっかけに処理が動き、形式・サイズ・ページ数を確かめる
  3. 【自動】 OCRが文字、キーと値、表と、画像の品質の点数を返す
  4. 【自動】 生成AIが、書類の種類を見分け、所在地・構造・建築年月・床面積を根拠付きで取り出す
  5. 【自動】 プログラムが、取り出した構成材料と耐火・準耐火の記載から、自社の規則で構造級別の候補を出す
  6. 【自動】 書類どうしで値が違う項目と、候補を決めるのに足りない書類に印を付ける
  7. 【自動】 見積入力の項目の案と、確かめる点の一覧、追加の書類の依頼文の下書きを出す
  8. 【人】 担当者が、案と根拠を画像と見比べ、構造級別を決めて保険会社の見積の画面に入力する
  9. 【人】 足りない書類があれば、下書きを直して顧客や紹介元に頼む

8番目が、この設計の分かれ目です。 担当者は書類を読むのではなく、根拠の付いた案を画像と見比べて選びます。 構造級別は担当者が決め、迷うものは保険会社に照会します。

5番目を規則に置くのは、構造級別の判定基準が保険会社の取り決めだからです。 損害保険料率算出機構の区分は参考で、実際の判定は契約する保険会社の基準に従います。 規則を設定ファイルに持てば、保険会社ごとに切り替えられます。

02今回想定するシステム構成

構成図
顧客・紹介元から届く写真・PDF(確認済証、申請書の副本、登記事項証明書)
   ▼【トリガー】受付フォルダ(Cloud Storage)への保存
Cloud Run functions ── 形式・サイズ・ページ数の確認
   ▼
Google Document AI
   ├─ Form Parser(登記事項証明書・確認済証。キーと値、表)
   └─ Enterprise Document OCR(写真。画像の品質の点数、回転の補正)
   ▼
Claude API ── 書類の種類の見分けと、項目の取り出し(根拠付き)
   │   ① 所在地   ② 構成材料・屋根・階数   ③ 耐火・準耐火の記載
   │   ④ 建築年月(新築の日/確認の日)   ⑤ 床面積(各階・延べ)
   ▼
Cloud Run functions ── 構造級別の候補(自社の規則)、書類どうしの値の違い
   ▼
見積入力の項目の案 + 確かめる点 + 追加の書類の依頼文の下書き
   ▼
【担当者が構造級別を決め、保険会社の見積の画面に入力】
役割想定する製品代替候補
OCRGoogle Document AI(Form Parser と Enterprise Document OCR)Azure AI Document Intelligence
生成AIClaude API(書類の見分け、項目の取り出し、依頼文の下書き)Gemini API、OpenAI API
連携Cloud Run functions(起動、候補の規則、値の比較)Cloud Workflows
保管Cloud Storage(書類の画像と読み取り結果)―

保険会社の見積の画面には、この構成から書き込みません。 代理店向けの画面は保険会社のもので、入力は担当者が行います。この構成が出すのは入力の案までです。

読み取りは2つのプロセッサを使い分けます。 登記事項証明書と確認済証は印字された書類で、欄と値が並ぶ様式なので Form Parser のキーと値・表が効きます。 写真で届いたものは、Enterprise Document OCR の画像の品質の点数と回転の補正を使い、読めない写真を早く見分けます。品質の点数はページごとに、ぼやけ・小さすぎる文字・反射などの8つの観点で返ります。

処理する場所にも注意します。 Form Parser と OCR の対応地域は米国・欧州のマルチリージョンと、ムンバイ、シンガポール、シドニーなどで、日本のリージョンはありません。 登記事項証明書には所有者の氏名・住所や抵当権が載るので、第13章で扱います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

受付フォルダ(Cloud Storage)に書類が保存されたことを起点にします。 Cloud Run では、Eventarc を通じて、オブジェクトが作成・上書きされたとき(google.cloud.storage.object.v1.finalized)に関数を呼び出せます。

保存は、顧客ごとのフォルダ(見積の依頼番号)に、届いた順に入れます。1件の見積に、確認済証の写真が数枚、登記事項証明書のPDFが1つ、のように複数のファイルが届くので、依頼番号のフォルダの単位でまとめて処理します。

ファイルが届くたびに、その依頼番号の全書類を読み直します。 確認済証だけで「候補を決めるのに足りない」と出た後に、申請書の副本が届けば、同じ依頼の結果が更新され、印が消えます。 1件の見積が数日に分けて届くのは珍しくありません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
書類の画像・PDF建築確認済証、申請書の副本、登記事項証明書(表題部)受付フォルダ
読み取り結果文字、キーと値、表、画像の品質の点数Google Document AI
見積の依頼依頼番号、顧客名、物件の住所(依頼の時点で聞いたもの)、紹介元、引き渡しの予定日顧客の管理表
構造級別の規則構成材料と耐火・準耐火の記載の組み合わせから候補を出す規則(保険会社ごと)代理店が保険会社の資料を元に作る設定ファイル
値の選び方の取り決め床面積・建築年月で書類の値が違うときに、どれを使うか(保険会社ごと)同上

質を決めるのは、下の2つです。 構造級別の規則が無ければ候補が出ません。値の選び方の取り決めが無ければ、書類どうしの値が違うたびに担当者が迷います。 この2つは、保険会社の資料を元に、代理店の中で一度文章にしてから設定ファイルにします。

Step3

データの取得方法を決める

登記事項証明書は、表題部だけを使います。 法務省の案内では、建物の表題部には所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積などが記録されます。甲区(所有権)と乙区(抵当権など)は見積に要らないので、読み取りの後に捨てます。

取るものどの書類のどこから何に使うか
所在・家屋番号登記の表題部所在地の確認(依頼の住所と照らす)
構造登記の表題部の「構造」構成材料(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)、屋根、階数
床面積登記の表題部(各階)各階の面積と合計
新築の日登記の表題部の「原因及びその日付」建築年月の候補
確認の日・確認番号建築確認済証建築年月の候補(確認の日で、完成の日ではない)
耐火・準耐火に関する記載申請書の副本など(様式は時期と機関で違うので頁を決め打ちしない)構造級別の候補を決める材料
延べ面積確認済証・申請書の副本床面積の候補

登記の構造の書き方は、不動産登記規則で決まっています。 構成材料(木造、土蔵造、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)、屋根の種類(かわらぶき、スレートぶき、亜鉛メッキ鋼板ぶき、草ぶき、陸屋根)、階数の組み合わせです。読み取った文字列をこの語彙に分けると、表記の揺れを規則で吸収できます。

確認済証には、申請書の副本が添えられます。 建築基準法施行規則では、確認済証は申請書の副本と添付図書を添えて交付するとされています。顧客の手元の綴りには副本が入っていることが多く、耐火・準耐火に関する記載はそちらを探します。 確認済証の1枚だけが届いたときは、副本の該当の頁を頼む依頼文を出します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式とサイズの確認 … PDF、JPEG、PNG などの形式で、同期の処理のファイルの上限を超えないかを見ます
  2. 画像の品質の確認 … Enterprise Document OCR の品質の点数が低い写真は、読み取りに進まず撮り直しを頼みます
  3. 向きの補正 … 斜めや横向きの写真は回転の補正を使います
  4. 書類の見分け … ページの文字から、確認済証・申請書の副本・登記事項証明書のどれかを見分けます
  5. 権利部の除去 … 登記事項証明書の甲区・乙区のページと行を、生成AIに渡す前に落とします
  6. 依頼の住所との照合の準備 … 依頼の時点で聞いた住所を、番地の表記をそろえて持ちます

2番目を最初に置くのは、読めない写真で時間を使わないためです。 床面積の小数点が影で消えた写真を読み取りに進めると、それらしい数字が出て、誤りに気づけません。 点数が低ければ、その場で撮り直しを頼みます。

5番目は、見積に要らない情報を外へ出さないためです。 所有者の氏名と住所、抵当権の債権額は、構造級別にも床面積にも関係しません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、書類の種類を見分け、項目を根拠付きで取り出すことだけです。

取り出す項目中身判断できないときの扱い
所在地登記の所在・地番、確認済証の建築場所書類どうしで違えば両方を返す
構成材料登記の構造から、構成材料の語を取り出す読めなければ unreadable
屋根・階数登記の構造から、屋根の種類と階数を取り出す読めなければ unreadable
耐火・準耐火の記載副本などに、耐火構造・準耐火構造・耐火建築物・準耐火建築物などの記載があるか、その文字列記載が見つからなければ not_found
建築年月登記の新築の日、確認済証の確認の日を、それぞれ別に元号の読み違いの疑いがあれば ambiguous
床面積登記の各階の面積、確認の書類の延べ面積を、それぞれ別に小数点が読めなければ unreadable

耐火・準耐火の記載が、この構成でいちばん大事な項目です。 構造級別の候補は、構成材料とこの記載の組み合わせで決まります。AIには「記載があるか」と「その文字列」だけを返させ、それが耐火構造に当たるかは判断させません。

させないこと理由
構造級別の決定保険会社の判定基準による。規則で候補を出し、担当者が決める
耐火性能の判断書類に書かれた文字列以外から、建物の性能を推し量らない
書類どうしの値の統一床面積と建築年月は、取り決めに沿って担当者が選ぶ
読めない数字の補完床面積や建築年を補うと、保険料がそのまま変わる
権利部の内容の要約見積に要らない。そもそも渡さない

2行目が、いちばん起きやすい失敗です。 「鉄骨造3階建」を見ると、AIは「鉄骨造なので準耐火の可能性が高い」と書きます。それは推測で、そう書かれた案を見た担当者は、副本を確かめずに進めてしまいます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは損害保険の代理店で、火災保険の見積の前に、
顧客から受け取った建物の書類を読む担当です。
OCRが返した読み取り結果だけを見てください。推測で埋めないでください。

【まず、ページごとに書類の種類を見分けてください】
confirmation(建築確認済証)/ application_copy(確認の申請書の副本)/
registry(登記事項証明書)/ other

【取り出す項目】
1. 所在地(登記の所在・地番、確認済証の建築場所を別々に)
2. 登記の構造(構成材料、屋根の種類、階数を分けて)
3. 耐火・準耐火に関する記載(書類に書かれた文字列のまま)
4. 建築年月(登記の新築の日、確認済証の確認の日を別々に)
5. 床面積(登記の各階の面積、確認の書類の延べ面積を別々に)

【status の選び方】
- ok ......... 値が読み取れている
- not_found .. その項目の記載が見つからない
- unreadable . 文字はあるが読み取れない(画像の品質の点数が低い場合を含む)
- ambiguous .. 候補が複数あり、1つに決められない
迷ったときに ok を選ばないでください。

【厳守事項】
- 構造級別(M・T・H など)を書かないでください。
- 構成材料や階数から、耐火・準耐火に当たるかを推し量らないでください。
  耐火・準耐火に関する記載は、書類に書かれた文字列だけを返してください。
  見つからなければ not_found にしてください。
- 書類どうしで値が違っても、どちらかに統一しないでください。
  書類ごとに別の行で返してください。
- 数字を補わないでください。小数点や桁が読めなければ unreadable にしてください。
- 元号と西暦を変換しないでください。書かれたとおりに返してください。
- 確認済証の確認の日を、建物が完成した日として扱わないでください。
- 登記事項証明書の甲区・乙区(所有者、抵当権など)の内容を返さないでください。
- evidence には、根拠にした文字列をそのまま写してください。

【読み取り結果】{ocr_result}
【ページごとの画像の品質の点数】{quality_scores}

「元号と西暦を変換しない」は、意図して書いています。 変換はプログラムで行えば誤りません。AIが変換すると、元号の境目の年で1年ずれることがあり、ずれた年は見た目では分かりません。

「確認の日を完成の日として扱わない」も同じです。 確認済証の日付は、工事の前に確認を受けた日です。建築年の欄にそのまま入れると、築年数が実際より古く見積もられることがあります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Claude API の構造化出力(output_config.format に json_schema)で形を守らせます。

{
  "request_id": "",
  "pages": [ { "file": "", "page": 1, "doc_type": "registry" } ],
  "values": [
    { "item": "structure_material | roof | floors | fire_resistance_note |
               built_date | confirmation_date | floor_area_by_floor |
               total_floor_area | location",
      "source_doc": "registry | confirmation | application_copy",
      "status": "ok | not_found | unreadable | ambiguous",
      "value": "", "evidence": "", "file": "", "page": 1 }
  ]
}

1つ目の理由は、構造級別の候補を規則で出せることです。 structure_material と fire_resistance_note の組み合わせを、保険会社ごとの規則の表に当てます。

構成材料耐火・準耐火の記載候補(例)確かめる点
鉄筋コンクリート造など耐火の記載あり、共同住宅M構造用途が共同住宅かを確かめる
鉄骨造など耐火・準耐火の記載ありT構造記載の頁を画像で確かめる
鉄骨造などnot_found決められない副本の該当の頁を頼む
木造準耐火の記載ありT構造記載の頁を画像で確かめる
木造not_foundH構造(暫定)副本があれば頼む。無ければ保険会社に照会

表の値は例です。 実際の規則は、契約する保険会社の判定基準で作ります。

2つ目は、書類どうしの値の違いを残せることです。 床面積が登記と確認の書類で違えば、両方が values に並びます。取り決めに沿って、どちらを見積に使うかをプログラムが選び、選んだ理由を添えます。 登記の床面積は、不動産登記規則で、区分建物以外は壁その他の区画の中心線、区分建物は内側線で囲まれた部分とされ、測り方の違いで値が違うことは異常ではありません。

3つ目は、evidence と頁で確認が速くなることです。 担当者は、候補の根拠になった記載の頁だけを開けば済みます。

元号の変換は、このJSONを受け取った後にプログラムが行います。 built_date の value は「令和3年5月12日」のように書かれたまま入り、プログラムが西暦に直して築年数を計算します。元号が改まった年の日付は、変換表で月日まで見て直します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Cloud StorageEventarc で Cloud Run functions を起動書類の保存を検知する
Google Document AIAPI呼び出し印字の書類は Form Parser、写真は Enterprise Document OCR を併用
Claude APIAPI呼び出し書類の見分けと項目の取り出し、依頼文の下書き
顧客の管理表読み取りと書き出し依頼の住所を引き、入力の案と確かめる点を書く
保険会社の見積の画面つながない入力は担当者が行う

顧客の管理表には、依頼番号ごとに「所在地/構造級別の候補/建築年月/床面積/使った書類/確かめる点/依頼した書類」の列を書き出します。担当者はこの1行を見ながら見積の画面に入力し、決めた構造級別を同じ行に書き戻します。

見積の画面につながないのは、そこが保険会社の仕組みだからです。 代理店が自動で書き込む経路は無く、作るべきでもありません。担当者が案を見て入力することが、構造級別を人が決める仕組みそのものです。

Step9

人が確認する

担当者は、全件で構造級別を決めます。 この構成は候補と根拠を出すだけで、決める工程は省きません。

  1. 画像の品質で止まったものを先に見る … 撮り直しの依頼を送ります
  2. 確かめる点の付いた項目を見る … 耐火・準耐火の記載の頁、元号の読み違いの疑い、書類どうしの値の違いを画像で確かめます
  3. 構造級別を決める … 規則の候補と根拠を見て決めます。迷うものは保険会社に照会します。 区分建物は、一棟の建物の構造と専有部分の記載を見比べます
  4. 見積の画面に入力する … 決めた値を入力します

目標は、300件をならして1件3分です。 書類がそろっていて記載が明瞭な物件は1〜2分、副本を頼む物件や照会する物件は5分を超えます。照会する物件が増える月は、規則の表に足りない組み合わせがあります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
写真の品質の点数が低い読み取りに進まず、撮り直しを頼む
書類が1枚もそろっていない(パンフレットだけ等)other として担当者へ。必要な書類の案内を出す
確認済証だけで副本が無い構造級別が決められない物件は、副本の該当の頁を頼む
登記の構造が規則の語彙に当たらない「これに準じて定める」とされる書き方。ambiguous で担当者へ
依頼の住所と書類の所在地が違う地番と住居表示の違いのことが多い。両方を並べて担当者へ
書類どうしで床面積が大きく違う増築や附属建物の有無を疑う。担当者が書類を見る
区分建物(マンション)の登記一棟の建物と専有部分の両方の構造が載る。両方を返し担当者へ
処理が失敗する受付フォルダに残し、処理済みへ移すのは成功時だけ

4行目は、珍しくありません。 不動産登記規則は、区分に当たらない建物はこれに準じて定めるとしています。語彙に当たらない書き方を無理に当てはめず、そのまま担当者に見せます。

Step11

記録を残す

  • 受け取った書類の画像・PDFと、受け取った日時・経路
  • Document AI の結果のJSON(権利部を除いたもの)と、画像の品質の点数
  • Claude API の出力(values)と、規則が出した候補
  • 使った規則の表と取り決めの版
  • 担当者が決めた構造級別と、照会した場合の保険会社の回答
  • 追加の書類を頼んだ日時と、届いた日時

5つ目は、規則の表を育てる材料になります。 保険会社に照会して決まった組み合わせは、次から規則の表で候補が出るように1行足します。

04実装レベルの3段階

最小構成:伏せ字の写しを手でAIの画面に貼り、項目を取り出させる / 項目の取り出しの確かめ
半自動化:上記+受付フォルダを起点にOCRとAPIで読み、規則で候補と確かめる点を出す / 読み取りから入力の案と候補まで
本格構成:上記+紹介元の住宅会社から書類が直接届く経路と、追加の書類の依頼の管理までつなぐ / 受付から書類の追いかけまで

最小構成では件数がさばけません。 伏せ字の写しを作る手間が1件ごとにかかり、規則の表も使えません。AIが記載を見つけられるかを確かめるための段階です。 本記事が想定するのは半自動化です。 書類の保存と、見積の画面への入力は担当者が行います。構造級別を決める工程を人が持つ限り、この段階で十分に効きます。 本格構成は、紹介元との取り決めが要ります。 住宅会社から確認済証と副本の写しを直接受け取れれば、副本が無くて候補が決められない物件が減ります。 技術より、紹介元への依頼の仕方が先です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  300件 × 12分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 300件 × 3分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
45h
削減率
75%
年間削減時間
540h
年間金額換算(時間単価3,000円)
162万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 住宅会社や不動産会社からの紹介で、新築・購入した住宅の火災保険の見積を月に数百件作る損害保険の代理店。顧客から建築確認済証や登記事項証明書の写しを写真やPDFで受け取り、構造・建築年・床面積を担当者が読んで保険会社の見積の画面に入力している場合。木造か鉄骨造か、耐火・準耐火に当たるかの読み方が担当者によって違い、構造級別の誤りで見積をやり直すことがある場合。
向いていない
  1. 見積の件数が月に数十件で、目視で足りる場合。マンションの区分所有の物件が大半で、管理会社から構造の資料がまとまって届く場合。なお、構造級別の最終的な判定は保険会社の判定基準によるもので、この構成は候補を出すだけです。建物の耐火性能そのものを判断するものではなく、判断に迷う物件は保険会社に照会してください。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に見積を作った物件から20件を選ぶ(木造でT構造になった物件、鉄骨造でH構造になった物件を入れる)
  2. その20件について、当時の構造級別と、決めた根拠を集める
  3. 書類の権利部と顧客の氏名を伏せた写しを、手元のAIサービスの画面に1件ずつ貼り付ける
  4. 「この書類から、登記の構造(構成材料・屋根・階数)、耐火・準耐火に関する記載の文字列、建築年月、床面積を、書類ごとに別々に取り出してください。構造級別は書かないでください。耐火かどうかを推し量らないでください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の判断の根拠と突き合わせる

20件の選び方が大事です。 構成材料だけで決まる物件ばかりだと、耐火・準耐火の記載を探す力が確かめられません。

出てきた内容判断
当時の根拠と同じ記載が見つかったOCRとの連携に進む
構造級別を書いた、耐火を推し量った指示の書き方で直る。構成は有効
副本の記載が見つからない届いた書類に副本が無いことが多い。依頼の段階で頼む書類を見直す
写真の数字が読めない撮り方の案内が先。 AIの問題ではない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
登記の「木造」だけでH構造と決めてしまう準耐火の記載を探すまで決めない。 記載が無ければ暫定とし、確かめる点を出す
AIが耐火性能を推し量る記載の文字列だけを返させる。構造級別も書かせない
確認の日を建築年に入れる新築の日と確認の日を別の項目にする
元号の読み違いで築年数がずれる変換はプログラムで行い、元号の境目の年は ambiguous にする
床面積が書類で違い、担当者が迷う測り方の違いは異常ではない。 取り決めに沿って選び、理由を添える
写真の小数点が読めない品質の点数で止め、撮り直しを頼む
権利部の情報まで外へ出る生成AIに渡す前に甲区・乙区を落とす
規則の表が保険会社ごとに違う保険会社ごとの表にし、版を付ける
確認済証の1枚だけが届く副本の該当の頁を頼む依頼文を、受け取った日に出す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、登記の構成材料だけで構造級別を決めてしまうという同じ形をしています。耐火・準耐火の記載を探す手間を省くと、この構成を入れた意味がなくなります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 物件の所在地と家屋番号、建物の構造と面積、そして登記事項証明書の権利部に載る所有者の氏名・住所と抵当権の内容です。

  1. 権利部を外へ出さない … 見積に要るのは表題部だけです。読み取りの後、生成AIに渡す前に甲区・乙区を落とし、保管する結果からも消します
  2. 処理する場所を確かめる … Form Parser と OCR に日本のリージョンはありません。顧客の書類を国外のリージョンで処理してよいかを、代理店の個人情報の取り扱いの規程と、委託元の保険会社の求めに照らして先に確かめます
  3. 構造級別を自動で決めない … 候補を出すのは規則で、決めるのは担当者です。保険料に直結するので、迷うものは保険会社に照会します
  4. この構成は、建物の耐火性能を判断しません … 書類に書かれた記載を取り出すだけです。記載が無いことは、その建物が耐火・準耐火でないことを意味しません
  5. 保管期間を決める … 見積が契約にならなかった顧客の書類を、いつ消すかを先に決めます

誤りが起きた場合のリスクは、構造級別を誤って見積もることと、顧客の書類から要らない情報を外に出すことの2つです。 前者は推し量りで起き、後者は権利部をそのまま渡すと起きます。どちらも「渡さない」「書かせない」で防げます。

10まず何から始めるか

1週目:規則の表の下書きを作る

ベテランの担当者2名に、構成材料と耐火・準耐火の記載の組み合わせで、どの構造級別にしてきたかを聞き取り、表にします。保険会社の判定の資料と照らし、合わないところに印を付けます。

2週目:20件で試す

木造でT構造、鉄骨造でH構造になった物件を含む20件を選び、権利部と氏名を伏せた写しで項目を取り出させます。構造級別を書いていないか、耐火を推し量っていないかを最優先で見ます。

3週目:値の選び方を決める

床面積と建築年月で書類の値が違うときに、どちらを見積に使うかを、保険会社ごとに決めて文章にします。あわせて、処理する場所についての規程の確認を始めます。

4週目:受付フォルダから読み取りまでをつなぐ

Cloud Storage、Cloud Run functions、Document AI をつなぎ、画像の品質の点数で撮り直しを頼むところまで作ります。この時点では候補を出さず、取り出した項目だけを見ます。

2か月目: 規則の表で候補と確かめる点を出し、照会した物件の数を毎週数えます。3か月目以降: 照会の結果を規則の表に足しながら、1件12分が何分になったかを実測します。照会する物件の数が落ち着いた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
損害保険料率算出機構が火災保険の参考純率を算出し、建物の構造や所在地によるリスクの差異に応じた区分を設けていること(コンクリート造マンション、鉄骨造の戸建て、木造の建物などの例)。参考純率は使用義務のない参考数値で、実際の保険料とは異なること損害保険料率算出機構: 火災保険参考純率2026-10-07
建物構造の種類が、M構造(耐火構造の共同住宅)、T構造(M構造以外の耐火構造の建物、準耐火構造の建物)、H構造(M・T構造以外、木造等)であること。契約条件に都道府県、構造、築年数などがあること損害保険料率算出機構: 火災保険参考純率 改定のご案内(2023年6月)2026-10-07
登記記録が表題部と権利部に分かれ、建物の表題部に所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積などが記録されること。甲区に所有権、乙区に抵当権など所有権以外の権利が記録されること法務省: 不動産登記2026-10-07
建物の構造を構成材料・屋根の種類・階数で区分し、区分に当たらないものはこれに準じて定めること(第114条)。床面積を各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物は内側線)で囲まれた部分の水平投影面積で定めること(第115条)e-Gov法令API: 不動産登記規則2026-10-07
確認済証の交付は、確認済証に申請書の副本と添付図書・添付書類を添えて行うこと(第2条)e-Gov法令API: 建築基準法施行規則2026-10-07
Form Parser がキーと値のペア、表、チェックボックス、一般的なエンティティを取り出すことGoogle Cloud: Form Parser2026-10-07
Enterprise Document OCR が画像の品質の点数(ぼやけ、小さすぎる文字、反射などの8つの観点)と回転の補正を持つことGoogle Cloud: Enterprise Document OCR2026-10-07
Form Parser と OCR の対応地域に日本のリージョンが無いことGoogle Cloud: Regional and multi-regional support2026-10-07
Cloud Run が Eventarc で Cloud Storage のイベント(google.cloud.storage.object.v1.finalized)から呼び出せることGoogle Cloud: Create triggers from Cloud Storage events2026-10-07
構造化出力を output_config.format に json_schema を指定して受け取れることClaude Docs: Structured outputs2026-10-07

構造級別の判定は、契約する保険会社の判定基準によります。 本記事は損害保険料率算出機構の資料と法令で確認できた範囲と、書類の読み取りと候補の提示までを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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