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日本語の求人票から海外の候補者向けの英語の求人票を作り、職種名・給与・勤務条件の表記を社内の用語集にそろえる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

日本語の求人票を渡すと、海外の候補者向けの英語の求人票を作り、職種名・給与・手当・勤務条件の語を社内の用語集の訳にそろえて返します。用語集に無い語の一覧と、日英の数字の対照表も付けます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/人材/宿泊/教育/製造
対象部門
人事/採用
対象業務
台帳・マスタ管理/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
30h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
73%
年間削減
264h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 採用担当が日本語の求人票を確定し、英語版の担当者に作成を依頼する
  2. 英語版の担当者が、日本語の求人票を機械翻訳にかける
  3. 訳された文を、過去の英語の求人票と見比べて直す。職種名や手当の訳は、記憶と過去の求人を頼りに選ぶ
  4. 給与の金額、勤務時間、休日の日数などの数字を、日本語の求人票と1つずつ見比べる
  5. 英語の求人の様式(会社紹介、仕事内容、応募資格、給与、勤務条件、福利厚生の順)に並べ替える
  6. 採用担当が確認し、求人サイトに載せる
導入後(After)
  1. 人採用担当が日本語の求人票を確定し、SharePoint の求人票のフォルダに置く
  2. 人採用担当が Copilot で英文求人の作成用のエージェントを開き、日本語の求人票のファイルを指定する
  3. 【AI】 エージェントが用語集と英文求人の様式を参照し、英語の求人票を作る
  4. 【AI】 同時に、用語集に無かった語の一覧と、日英の数字の対照表を返す
  5. 人採用担当が数字の対照表を日本語の求人票と照らし、用語集に無かった語の訳を決める
  6. 人決めた訳を用語集のリストに足す(次からはエージェントが使う)
  7. 人英語のレビュー担当(英語が得意な担当者)が全文を読み、求人サイトに載せる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 採用担当が日本語の求人票を確定し、英語版の担当者に作成を依頼する
  2. 英語版の担当者が、日本語の求人票を機械翻訳にかける
  3. 訳された文を、過去の英語の求人票と見比べて直す。職種名や手当の訳は、記憶と過去の求人を頼りに選ぶ
  4. 給与の金額、勤務時間、休日の日数などの数字を、日本語の求人票と1つずつ見比べる
  5. 英語の求人の様式(会社紹介、仕事内容、応募資格、給与、勤務条件、福利厚生の順)に並べ替える
  6. 採用担当が確認し、求人サイトに載せる

(a)訳が求人ごとに違う。 「固定残業代」は、ある求人では fixed overtime pay、別の求人では deemed overtime allowance と訳されています。どちらも間違いではありませんが、同じ会社の求人で違うと、候補者には別の制度に見えます。

(b)数字の写し間違いが起きる。 日本語の求人票では「月給35万円〜50万円(固定残業代45時間分 8万円〜11万円を含む)」のように1行に数字が詰まっています。英語にするときに並べ替えるので、範囲の上限と下限が入れ替わったり、時間の数字が抜けたりします。

(c)日本の制度を英語で説明する必要がある。 「賞与年2回」「交通費全額支給」「試用期間3か月(条件変更なし)」のような項目は、直訳では海外の候補者に伝わりません。どこまで補足するかが担当者の判断で、求人ごとに説明の量が違います。

(d)1人に頼っている。 用語の選び方は担当者の頭の中にあり、書き出したものがありません。 新しく来た担当者は、過去の求人を探して真似るしかありません。

  1. 【人】 採用担当が日本語の求人票を確定し、SharePoint の求人票のフォルダに置く
  2. 【人】 採用担当が Copilot で英文求人の作成用のエージェントを開き、日本語の求人票のファイルを指定する
  3. 【AI】 エージェントが用語集と英文求人の様式を参照し、英語の求人票を作る
  4. 【AI】 同時に、用語集に無かった語の一覧と、日英の数字の対照表を返す
  5. 【人】 採用担当が数字の対照表を日本語の求人票と照らし、用語集に無かった語の訳を決める
  6. 【人】 決めた訳を用語集のリストに足す(次からはエージェントが使う)
  7. 【人】 英語のレビュー担当(英語が得意な担当者)が全文を読み、求人サイトに載せる

6番目が、この設計の分かれ目です。 用語集に無い語が出るたびに訳を決めて足していくと、用語集が育ち、次の求人ではその語がそろった状態で出てきます。 最初の数か月は無い語が多くても、同じ会社の求人では使う語が限られているので、やがて足す語はほとんどなくなります。

7番目を残しているのも意図してのことです。 英語のレビュー担当は、一から訳す人から、仕上がった文を読む人に変わります。 1人に頼る状態は、作業の量の面で解消します。

02今回想定するシステム構成

構成図
日本語の求人票(Word、SharePoint の求人票のフォルダ)
   ▼【トリガー】採用担当がエージェントを開き、ファイルを指定
Microsoft 365 Copilot(Agent Builder で作る英文求人の作成用エージェント)
   │   知識:用語集(SharePoint のリスト)
   │         英文求人の様式と、確定済みの英文求人の例(SharePoint のファイル)
   ├──▶ 英語の求人票
   ├──▶ 用語集に無かった語の一覧
   └──▶ 日英の数字の対照表
   ▼【人が数字と訳語を確かめる】
用語集のリストに新しい訳を追加
   ▼
英語のレビュー担当が全文を読み、求人サイトと採用サイトに掲載
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft 365 Copilot(Agent Builder で作る英文求人の作成用エージェント)Claude、ChatGPT Enterprise、Gemini
保管SharePoint のリスト(用語集)とドキュメント ライブラリ(求人票・様式)OneDrive
文書の仕上げWord の Copilot(英語の求人票の文の調整)―
掲載既存の採用管理システム・求人サイト―

新しく足すのは、エージェントと用語集のリストだけです。 採用管理システムや求人サイトには何もつなぎません。載せる作業は、今までどおり人が行います。

エージェントは Agent Builder で作ります。 Agent Builder では、公開 Web サイト、SharePoint と OneDrive の内容、Teams のチャットと会議、Outlook のメール、端末からアップロードしたファイルなどを知識に指定できます。SharePoint のリストは1つのエージェントに1つまで、SharePoint のファイル・フォルダ・サイトは100ファイルまでとされています。この構成では、用語集のリストを1つと、様式と確定済みの英文求人の例をファイルで指定します。

用語集をリストで持つのは、育てていくためです。 端末からアップロードしたファイルは知識に埋め込まれ、用語集を直すたびにアップロードし直すことになります。リストなら、採用担当が1行足せば、エージェントがその訳を使うようになります。

ライセンスの違いを先に確かめます。 Microsoft のページでは、Microsoft 365 Copilot(Premium)は Microsoft Graph を通じて組織のデータを使えますが、Copilot Chat(Basic)と Microsoft 365 Copilot(Basic)は Microsoft Graph 経由で組織のデータを使えず、組織のデータを使うエージェントは従量課金とされています。採用グループの3名には Premium のライセンスを付ける前提で設計します。

日本語と英語は、どちらも Copilot が対応する言語です。 対応言語のページでは、テキストの質問と応答に対応する言語に日本語と英語(英国・米国)が挙がっています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

採用担当が日本語の求人票を確定したときに、エージェントを開くことを起点にします。 自動では動かしません。日本語の求人票は確定までに何度も直されるため、途中の版で英語版が作られると、どれが最新の英語版かが分からなくなります。

確定したら、求人票のファイル名の末尾に「確定」と版の日付を付けて、SharePoint の求人票のフォルダに置きます。エージェントに渡すのは、この「確定」のファイルだけというルールにします。

改訂のときも同じです。日本語の求人票の給与や勤務条件が変わったら、改訂した日本語版をそのまま渡し、英語版を全文作り直します。 変わった箇所だけを直すと、日英で古い表現が混ざります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
日本語の求人票職種名、仕事内容、応募資格、給与、勤務地、勤務時間、休日、福利厚生、選考の流れSharePoint の求人票のフォルダ(Word)
用語集日本語の語、英語の訳、区分(職種名/雇用形態/給与/手当/勤務条件/福利厚生/選考)、補足の説明文、使ってはいけない訳SharePoint のリスト
英文求人の様式見出しの順序と、各見出しに書く内容SharePoint のファイル
確定済みの英文求人の例過去に載せた英語の求人票のうち、レビューを通ったもの数件SharePoint のファイル

質を決めるのは、用語集の「補足の説明文」と「使ってはいけない訳」の列です。 「固定残業代」の訳を fixed overtime pay と決めるだけでは足りず、「月○時間分を含む。超えた分は別に支払う」という説明を英語で添えることまでを用語集に書きます。日本の制度は、訳語だけでは海外の候補者に伝わらないからです。

用語集のリストの行は、たとえば次のようになります。 訳語そのものは各社で決めるもので、ここに挙げたのは列の使い方の例です。

日本語の語英語の訳区分補足の説明文使ってはいけない訳
固定残業代fixed overtime pay給与Included in the monthly salary for up to the stated hours. Overtime beyond that is paid separately.deemed overtime allowance
試用期間probation period雇用形態Working conditions do not change during the period.(条件が変わらない場合のみ)trial employment
交通費支給commuting allowance手当(上限の有無は求人票の記載に従う)transportation fee
フレックスタイム制flextime system勤務条件求人票にコアタイムがあれば、その時間を必ず書くfree working hours

補足の説明文の中に「求人票の記載に従う」と書いている行が大事です。 上限の金額やコアタイムは求人ごとに違うので、用語集には書けません。用語集が決めるのは訳と説明の型だけで、値は必ず日本語の求人票から取る、という分担をここで示しておきます。

「使ってはいけない訳」は、過去に混ざっていた訳を書きます。 deemed overtime allowance を使わないと決めたら、その訳をこの列に入れます。エージェントが過去の求人の例からその訳を拾うのを防ぎます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう渡すか
日本語の求人票求人票のフォルダ採用担当がエージェントとのチャットで、ファイルを指定する
用語集SharePoint のリストエージェントの知識に、リストの URL で指定しておく
様式と英文求人の例SharePoint のファイルエージェントの知識に、ファイルで指定しておく

リストは、リストそのものの URL で知識に指定します。 Microsoft のページでは、SharePoint のサイトを選んでもそのサイトのリストは含まれず、リストを知識にするには個別のリストを選ぶ必要があり、絞り込みやグループ化したビューではなく、リストへの直接のリンクを使うとされています。

リストの大きさには上限があります。 知識に指定したリストは最大20,000項目、生のテキストで50MBまでで、超えると切り詰められ、応答にそのことが示されるとされています。用語集なら数百行で収まります。また、リストの添付ファイルの列は索引されず、応答の根拠に使われないとされているので、補足の説明は添付ではなく列に書きます。

新しく足した語がすぐに使われるとは限りません。 SharePoint や OneDrive に新しく置いた内容は、エージェントの応答に含まれるまで数分かかることがあり、知識の欄に「Preparing」と表示されるとされています。用語集に足した直後に同じ語の求人を作るときは、数分おいてからにします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 確定の版かを確かめる … ファイル名に「確定」と日付があるものだけを渡します
  2. 社内向けのメモを消す … 日本語の求人票に「※社内メモ:上限は部長決裁で55万まで可」のような書き込みが残っていることがあります。渡す前に消します
  3. 表を文に直さない … 給与や勤務時間が表になっていれば、表のまま渡します。並べ替えは英文の様式に合わせてエージェントが行います
  4. 用語集の重複を消す … 同じ日本語の語に2つの訳が登録されていると、エージェントがどちらを使うか決まりません。月に一度、リストを日本語の語で並べて重複を確かめます
  5. 確定済みの英文求人の例を入れ替える … 用語集を変えたら、古い訳の入った例を知識から外します

2番目を軽く見ないでください。 社内メモが残ったまま英語にされると、交渉の上限の金額が候補者向けの求人に載ります。 日本語の求人票の段階で、メモを書く場所を本文と分ける様式にしておくのが確実です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、日本語の求人票の英訳と、用語集との照合と、数字の対照表の作成の3つです。

させること中身
英訳様式の見出しの順に並べ、日本語の求人票の内容を英語にする
用語の照合職種名・雇用形態・給与・手当・勤務条件・福利厚生の語を、用語集の訳にそろえる。補足の説明文があれば添える
用語集に無い語の書き出し用語集に無かった語と、仮に使った訳を一覧にする
数字の対照表日本語の求人票に出てくる金額・時間・日数・期間を、英語の求人票での表記と並べる

4つ目の数字の対照表が、人の確認を速くする仕掛けです。 英語の求人票を頭から読んで数字を探すより、「35万円 → JPY 350,000」「45時間 → 45 hours」のように並んだ表を見るほうが、写し間違いがはるかに見つけやすいからです。

させないこと理由
日本語の求人票に無い情報を足す「リモート可」「ビザの支援あり」などを推測で書くと、条件の約束になる
金額を外国の通貨に換算する為替で変わる。表記は円のままにし、通貨記号の書き方だけを決める
年収と月給を換算する賞与の扱いで値が変わる。日本語の求人票の書き方のまま訳す
用語集の訳を言い換えるそろえることが目的。より自然な訳を思いついても使わない
魅力的に書き換える求人の内容を変えることになる。誇張の表現は人が判断する

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 海外の候補者向けだと分かると、AIは気を利かせてvisa sponsorship available や relocation support のような、よくある項目を足します。 日本語の求人票に書かれていなければ、その会社は約束していません。

Step6

指示内容を固定する

エージェントの「指示」に、次の内容を書いておきます。採用担当は、ファイルを指定して「この求人票の英語版を作ってください」と頼むだけです。

あなたは人事部採用グループで、確定した日本語の求人票から
海外の候補者向けの英語の求人票を作る担当です。

【作るもの】
1. 英語の求人票(見出しは英文求人の様式の順)
2. 用語集に無かった語の一覧(日本語の語/仮の訳/区分)
3. 数字の対照表(日本語の表記/英語の表記/見出し)

【守ること】
- 日本語の求人票に書かれている内容だけを訳してください。
  書かれていない条件(在宅勤務、ビザの支援、転居の支援など)を足さないでください。
- 職種名、雇用形態、給与、手当、勤務条件、福利厚生、選考の語は、
  用語集の「英語の訳」を必ず使ってください。言い換えないでください。
- 用語集に「補足の説明文」がある語は、その説明文を添えてください。
- 用語集の「使ってはいけない訳」は使わないでください。
- 用語集に無い語は、仮の訳を使い、一覧に必ず挙げてください。
- 金額は円のまま「JPY 350,000」の形で書いてください。
  外国の通貨に換算しないでください。月給と年収を換算しないでください。
- 金額、時間、日数、期間は、日本語の求人票の数字を1つも省かずに
  数字の対照表に並べてください。範囲は下限と上限の順を変えないでください。
- 日本語の求人票の意味が二通りに読める箇所は、訳さずに
  一覧の最後に「確認が必要な箇所」として挙げてください。
- 表現を魅力的に書き換えないでください。

「書かれていない条件を足さない」に具体例を書いているのは、例が無いと足すからです。 「書かれていない情報を足さない」とだけ書くと、ビザの支援のような求人によくある項目を「一般的な情報」として足します。 足しやすいものを名指しで禁じます。

「範囲の下限と上限の順を変えない」は、第3章の(b)への対処です。 英語の求人では範囲を「up to」で書く慣習があり、下限が落ちることがあります。

Step7

出力形式を固定する

エージェントには、4つの部分を見出しで分けて返させます。 Word に貼って仕上げる英語の求人票と、人が確かめるための3つの一覧です。

【English Job Posting】
(様式の見出し順の英語の求人票)

【Terms not in glossary】
| 日本語の語 | 仮の訳 | 区分 |

【Number check】
| 見出し | 日本語の表記 | 英語の表記 |
| Compensation | 月給35万円〜50万円 | JPY 350,000 – 500,000 per month |
| Compensation | 固定残業代45時間分 | fixed overtime pay for 45 hours |

【Points to confirm】
- (二通りに読める箇所)

1つ目の理由は、人の確認を分担できることです。 数字の対照表は採用担当が日本語の求人票と照らし、英語の求人票の文は英語のレビュー担当が読みます。2人が同じ英文を頭から読む必要がありません。

2つ目は、用語集に足す語がそのまま分かることです。 「Terms not in glossary」の表の行を、採用担当が訳を決めて用語集のリストに写します。表の列を用語集のリストの列と同じ並びにしておくと、写すのが速くなります。

3つ目は、「Points to confirm」で、日本語の求人票の側の曖昧さが見つかることです。 「月給35万円〜(経験による)」の「経験による」が、上限なしなのか、面談で決めるのかが分からない、といった箇所です。英語にしようとして初めて分かる曖昧さは、日本語の求人票の側で直します。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
求人票のフォルダエージェントとのチャットでファイルを指定日本語の求人票を渡す
用語集のリストエージェントの知識(リストの URL)訳語と補足の説明文を参照する
様式と英文求人の例エージェントの知識(SharePoint のファイル)見出しの順と書き方を参照する
Word採用担当が貼り付け、Word の Copilot で文を整える英語の求人票を仕上げる
求人サイト・採用サイト人が掲載自動ではつながない

Word の Copilot は、仕上げにだけ使います。 Word の Copilot では、選んだ文の書き換え、トーンの調整、文を簡潔にすることができ、「Chat only」を選べば文書を変えずにチャットで答えさせることもできます。英語のレビュー担当が「この段落は長すぎないか」と聞くような使い方です。用語集の語を含む文は書き換えさせません。 書き換えると、そろえた訳が崩れます。

採用管理システムや求人サイトには、何も書き込みません。 掲載は人が行います。この構成が出すのは、掲載前の英語の求人票までです。

Step9

人が確認する

全件を人が確認します。 求人票は候補者への条件の提示で、誤りは内定の後の食い違いになります。

  1. 数字の対照表を日本語の求人票と照らす … 採用担当が行います。表の行数と日本語の求人票の数字の数が合っているかも数えます
  2. 「Points to confirm」を日本語の求人票の担当と解消する … 曖昧な箇所は日本語の側を直してから、英語を作り直します
  3. 用語集に無い語の訳を決めて足す … 区分ごとに、採用グループで決めた人が判断します
  4. 英語のレビュー担当が全文を読む … 文として自然か、日本の制度の説明が伝わるかを見ます
  5. 足された条件が無いかを見る … 日本語の求人票に無い条件が英語に入っていないかを、見出しごとに確かめます

5番目を省かないでください。 指示で禁じていても、関係する見出し(福利厚生など)に一般的な項目が混ざることがあります。 英語の求人票の福利厚生の箇条の数と、日本語の求人票の福利厚生の項目の数を比べるだけでも見つかります。

確認する人を分けるのは、見落としの種類が違うからです。 採用担当は日本語の求人票の中身を知っているので、数字や条件の違いに気づけます。英語のレビュー担当は、英語として不自然な箇所や、海外の候補者に誤解される言い回しに気づけます。1人が両方を見ると、どちらかが手薄になります。

目標は、1件16分です。 数字の照合に5分、用語集に無い語の判断と足す作業に6分、英語のレビューに5分という想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
用語集の語が使われていない知識の準備が終わっていない可能性。数分おいて作り直す。 続くならリストの URL の指定を確かめる
同じ語に2つの訳が登録されているどちらを使うか決まらない。リストの重複を消す
数字の対照表に行が足りない英語の求人票から数字が落ちている。落ちた数字を足して作り直す
日本語の求人票に無い条件が足されている削除して、指示の禁止の例に足す
求人票が長く、後半の訳が粗い長い文書は前半だけに注目されることがある。見出しごとに分けて渡す
ファイルを知識に入れたのに使われないRestricted SharePoint Search が有効だと SharePoint を知識にできない。情報システムに確かめる
ライセンスが Basic の担当者が使えない組織のデータを使うエージェントは従量課金。ライセンスの付け方を先に決める
候補者の国の言葉(英語以外)の求人が要るこの構成の範囲外。用語集を言語ごとに作るところから始める

上から5行目は、Microsoft のページにある注意です。 文書が長いと、作業によっては Copilot が文書の冒頭に注目し、それより後を無視することがあるとされ、長い文書は分けて渡すよう案内されています。求人票は通常短いですが、仕事内容を詳しく書いた求人票では起こりえます。

Step11

記録を残す

  • 渡した日本語の求人票の版(ファイル名の日付)と、作った英語の求人票の版を対にして保存する
  • 数字の対照表と、採用担当が照合した日付
  • 「Terms not in glossary」の表と、そのうち用語集に足した語
  • 用語集のリストの変更履歴 … 誰が、いつ、どの語の訳を足したか・変えたか
  • 英語のレビュー担当が直した箇所
  • 掲載した日と、掲載先

4つ目の変更履歴は、SharePoint のリストのバージョン履歴で残せます。 訳を変えた後に、古い訳のまま載っている求人を探して直すためにも使います。

レビュー担当が直した箇所は、用語集を見直す材料になります。 同じ語を毎回直しているなら、用語集の訳か補足の説明文を変えるべきだということです。

04実装レベルの3段階

最小構成:Copilot Chat に用語集と日本語の求人票を貼り、英語の求人票を作る / 1件ごとの英訳と用語の照合
半自動化:上記+Agent Builder でエージェントを作り、用語集のリストと様式を知識にする / 用語集を毎回貼らずに、そろった訳で作る
本格構成:上記+日本語の求人票の確定をきっかけに、Power Automate で英語版の作成を担当者に依頼し、掲載の状況を管理表に残す / 依頼と進み具合の管理

本記事の想定は半自動化です。 1件60分が16分になる見込みは、この段階を前提にしています。 最小構成と半自動化の差は、用語集を毎回貼るかどうかです。 貼る方式では、用語集が古い版のまま貼られることがあり、誰がいつ貼ったかで訳が変わります。 リストを知識にすれば、全員が同じ最新の用語集を使います。 本格構成は、件数が増えてからで構いません。 月30件なら、採用担当がエージェントを開くだけで足ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
60 分
1件あたり導入後時間
16 分
現在  30件 × 60分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 30件 × 16分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
22h
削減率
73%
年間削減時間
264h
年間金額換算(時間単価3,500円)
92万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 海外の候補者や日本に住む外国籍の候補者を継続して募集しており、日本語の求人票の新規作成と改訂が毎月数十件ある企業。英語の求人票を採用担当が機械翻訳と手直しで作っていて、同じ職種名や手当の訳が求人ごとに違っている場合。Microsoft 365 を使っており、Microsoft 365 Copilot のライセンスを採用担当に付けられる場合。
向いていない
  1. 英語の求人票が年に数件しかない場合。英語の求人を人材紹介会社や現地の採用代行にすべて任せている場合。求人票そのものを英語で先に作り、日本語版を後から作る運用の場合(向きが逆なので、用語集の作り方から変わります)。給与や勤務条件の表記が国ごとの法令の決まりに従う必要がある海外法人の求人(この構成は日本の求人票の英訳を前提にしています)。

07最小構成で試す方法

  1. 過去の英語の求人票から、レビューを通った5件を選ぶ
  2. その5件で使われている職種名・給与・手当・勤務条件の訳を書き出し、最初の用語集を30語ほどで作る
  3. 日本語の求人票を3件選び、Copilot Chat に用語集と一緒に渡す
  4. 「用語集の訳を必ず使い、無い語は一覧に挙げ、数字の対照表を付けて、英語の求人票を作ってください。書かれていない条件を足さないでください」と指示する
  5. 当時の英語の求人票と並べ、訳のそろい方と数字の正しさを見る

用語集は完全でなくて構いません。 30語でも、手当と勤務条件の主な語が入っていれば効果が分かります。

出てきた内容判断
用語集の訳がそろい、数字の対照表が日本語版と合うエージェントを作る段階に進む
用語集の訳を言い換えている指示の書き方で直る。構成は有効
書かれていない条件が足されている禁止する項目を名指しで指示に足す
「Terms not in glossary」がとても長い用語集が足りない。 AIの問題ではない

4行目が出たら、それがこの試行の収穫です。 一覧に挙がった語が、これまで担当者の頭の中で決めていた訳です。その語を用語集に足すことが、属人化を解く作業そのものになります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
書かれていない条件(ビザの支援など)が足される足しやすい項目を名指しで禁じる。 福利厚生の項目の数を比べる
用語集の訳が言い換えられる「言い換えない」を明記し、レビューで見つけたら指示を強める
範囲の下限が落ちる(up to だけになる)数字の対照表で下限と上限を並べさせる
用語集に足した語がすぐ使われない知識の準備に数分かかる。作り直す前に待つ
サイトを知識にしたのにリストが使われないサイトにはリストが含まれない。 リストの URL を直接指定する
補足の説明をリストの添付に入れて使われない添付の列は索引されない。列に書く
社内メモの金額が英語の求人票に載る渡す前にメモを消す。様式でメモの場所を分ける
古い訳の入った過去の求人を例にして、古い訳が戻る用語集を変えたら、知識の例を入れ替える
月給を年収に換算して書く換算を禁じ、日本語の求人票の書き方のまま訳す
ライセンスが Basic の担当者がエージェントを使えない従量課金か Premium かを先に決める

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「AIが気を利かせる」ことから起きます。求人票では、気の利いた補足が条件の約束になります。 指示で禁じ、人の確認で見つける、の両方で守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 職種の内容、給与の範囲、勤務条件、福利厚生、選考の流れです。候補者の個人情報は扱いません。

  1. 候補者の情報をエージェントに渡さない … このエージェントは求人票を作るためのもので、応募書類や面接の記録を知識に入れないことにします。求人票の作成と選考を同じエージェントで行うと、見える範囲が広がります
  2. 社内向けの情報を渡さない … 給与の交渉の上限、採用の予算、ポジションを空けた理由などは、日本語の求人票に混ざっていれば消してから渡します
  3. 端末から埋め込むファイルに注意する … Agent Builder では、端末からアップロードしたファイルについて、エージェントにアクセスできる利用者は誰でもその情報にアクセスできるとされ、Microsoft Purview の情報バリアも埋め込みファイルには対応していないとされています。用語集と様式は、SharePoint に置いて知識に指定するほうを選びます
  4. エージェントを共有する範囲を採用グループに限る … 用語集そのものは秘密ではありませんが、確定済みの英文求人の例には掲載前のものが混ざることがあります
  5. 英語の求人票を掲載する判断は人が行う … 掲載は候補者への条件の提示です。AIの出力をそのまま載せる経路は作りません
  6. 用語集の訳を労務の担当と決める … 手当や制度の訳は、雇用契約書や就業規則の英訳と食い違うと、どちらが正しい条件かという争いの種になります

誤りが起きた場合のリスクは、書かれていない条件を約束することと、給与や勤務時間の数字を誤ることの2つです。 前者は足された条件の確認で、後者は数字の対照表で止める設計にしてあります。

10まず何から始めるか

1週目:用語集の最初の版を作る

過去の英語の求人票から、レビューを通ったものを5件選び、職種名・給与・手当・勤務条件・福利厚生の訳を書き出します。同じ語に複数の訳があれば、どれに統一するかを採用グループで決めます。 30語ほどで始めます。

2週目:3件で試す

Copilot Chat に用語集と日本語の求人票を渡し、英語の求人票と数字の対照表を作らせます。当時の英語版と並べ、訳のそろい方と、足された条件が無いかを見ます。

3週目:用語集をリストにし、エージェントを作る

用語集を SharePoint のリストに移し、補足の説明文と使ってはいけない訳の列を足します。Agent Builder でエージェントを作り、リストの URL と様式のファイルを知識に指定します。

4週目:その月の求人で使う

その月に作る英語の求人票を、すべてエージェントで作ります。「Terms not in glossary」に挙がった語を毎回用語集に足します。

2か月目以降: 英語のレビュー担当が直した箇所を集め、用語集と指示を直します。「Terms not in glossary」がほとんど空になり、英語が得意な担当者がいなくても英語の求人を出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
Microsoft 365 Copilot(Premium)が Microsoft Graph を通じて組織のデータを使えること。Copilot Chat(Basic)と Microsoft 365 Copilot(Basic)は Microsoft Graph 経由で組織のデータを使えず、組織のデータを使うエージェントは従量課金であること。Word の Copilot で文書の下書き・書き換え・要約ができることMicrosoft Learn: Microsoft Copilot とは?2026-10-07
Agent Builder で指定できる知識の種類と上限(SharePoint のリストは1つ、SharePoint のファイル等は100ファイル、埋め込みファイルは20ファイル)。サイトを選んでもリストは含まれず、リストへの直接のリンクで指定すること。リストは最大20,000項目・50MBで、添付ファイルの列は索引されないこと。新しい内容が Preparing の状態になること。Restricted SharePoint Search が有効だと SharePoint を知識にできないこと。埋め込みファイルの情報はエージェントにアクセスできる誰もが見られ、情報バリアが対応しないこと。翻訳のような依頼は一般の知識で答えることMicrosoft Learn: Add knowledge sources to an agent in Agent Builder2026-10-07
Word の Copilot で、プロンプトや参照したファイルから下書きを作り、選んだ文の書き換え・トーンの調整・簡潔化ができ、「Chat only」で文書を変えずにチャットで答えさせられること。Copilot の対応言語が Word の画面の言語より少ないことMicrosoft Support: Welcome to Copilot in Word2026-10-07
作業の種類によっては Copilot が文書の冒頭に注目し、それより後を無視することがあること。LLM がファイルの冒頭と末尾の内容を優先しがちなこと。長い文書は分けて渡すよう案内されていることMicrosoft Support: Keep it short and sweet(Copilot に渡す文書の長さ)2026-10-07
Copilot がテキストの質問と応答に対応する言語に、日本語と英語(英国・米国)が含まれることMicrosoft Support: Supported languages for Microsoft Copilot2026-10-07

求人の条件の書き方そのもの(何を明示すべきか)は、日本語の求人票の段階で国内の決まりに沿って確かめておいてください。 本記事は Microsoft の公開ドキュメントで確認できた範囲の仕様だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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