Media > AI活用ユースケース > 人事 > 面接官が書いた評価シートのコメントを、根拠の有無と聞いてはいけない事項で点検し、記入の不足を面接官へ戻す

面接官が書いた評価シートのコメントを、根拠の有無と聞いてはいけない事項で点検し、記入の不足を面接官へ戻す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

面接官が提出した評価シートのコメントを ChatGPT に読ませ、評価項目ごとに具体的な根拠が書かれているか、聞いてはいけない事項に触れていないかを判定します。不足のあるシートだけを、直す箇所を添えて面接官へ戻します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/人材/介護/小売
対象部門
人事/採用
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
判定
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 面接官が面接の後、Google フォームの評価シートに点数とコメントを入力して送信する
  2. 採用担当がスプレッドシートを開き、新しく入った行を1件ずつ読む
  3. 5つの評価項目のコメントに、候補者の発言や行動が書かれているかを見る
  4. 本籍、家族、宗教などに触れた記述がないかを見る
  5. 不足があれば、面接官へ直す箇所を書いたメールを送る
  6. 直ったシートと、不足の無かったシートを採用管理システムへ転記する
導入後(After)
  1. 人面接官が面接の後、Google フォームの評価シートを送信する
  2. 人採用担当が1日2回、スプレッドシートの新しい行を書き出し、ChatGPT に指示文とあわせて渡す
  3. 自動ChatGPT が、評価項目ごとに根拠の有無、点数との食い違い、配慮すべき事項への言及を判定して表で返す
  4. 自動ChatGPT が、不足のあるシートについて、直す箇所を並べた差し戻しの文面を作る
  5. 人採用担当が、配慮すべき事項に触れたと判定されたシートを最初に確かめる
  6. 人採用担当が、根拠の不足の判定を流し読み、差し戻しの文面を直して面接官へ送る
  7. 人面接官がシートを直して再送信する。直ったものと不足の無いものを採用管理システムへ転記する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 面接官が面接の後、Google フォームの評価シートに点数とコメントを入力して送信する
  2. 採用担当がスプレッドシートを開き、新しく入った行を1件ずつ読む
  3. 5つの評価項目のコメントに、候補者の発言や行動が書かれているかを見る
  4. 本籍、家族、宗教などに触れた記述がないかを見る
  5. 不足があれば、面接官へ直す箇所を書いたメールを送る
  6. 直ったシートと、不足の無かったシートを採用管理システムへ転記する

(a)見る観点が、担当者ごとに違う。 ある担当者は「熱意を感じた」を差し戻し、別の担当者はそのまま通します。同じ面接官が、担当者によって差し戻されたり通ったりします。 面接官の側は、何を書けばよいのかが分からないままです。

(b)配慮すべき事項の記述は、雑談の形で紛れ込む。 「地元が同じで話が弾んだ」「父親も同業とのことで理解がある」。面接官は評価のつもりで書いていないので、目立ちません。 読み流すと、その記述が評価の記録として残ります。

(c)点数とコメントの食い違いに気づかない。 点数は5なのにコメントには「説明がやや冗長」とだけ書かれている。点数の欄とコメントの欄を別々に見ていると、気づきません。 合否会議で点数だけが読まれ、コメントの中身が伝わりません。

(d)差し戻しの文面を毎回書いている。 どの項目の、何が足りないのかを面接官ごとに書くので、1件2分かかります。忙しい週は差し戻しを省き、そのまま合否会議に出します。 合否会議で根拠を聞き直すことになり、点検を省いた分の時間が、会議に出る全員の時間に移るだけです。

4つとも、点検する観点が紙に書かれていないことから起きています。 採用担当3名は同じ研修を受けていますが、「どこまで書いてあれば根拠と言えるか」は、それぞれの経験で決めています。AIに渡すために観点を書き出すこと自体が、この業務の最初の改善になります。

  1. 【人】 面接官が面接の後、Google フォームの評価シートを送信する
  2. 【人】 採用担当が1日2回、スプレッドシートの新しい行を書き出し、ChatGPT に指示文とあわせて渡す
  3. 【自動】 ChatGPT が、評価項目ごとに根拠の有無、点数との食い違い、配慮すべき事項への言及を判定して表で返す
  4. 【自動】 ChatGPT が、不足のあるシートについて、直す箇所を並べた差し戻しの文面を作る
  5. 【人】 採用担当が、配慮すべき事項に触れたと判定されたシートを最初に確かめる
  6. 【人】 採用担当が、根拠の不足の判定を流し読み、差し戻しの文面を直して面接官へ送る
  7. 【人】 面接官がシートを直して再送信する。直ったものと不足の無いものを採用管理システムへ転記する

5番目は、必ず人が原文を読みます。 配慮すべき事項への言及は、候補者が自分から話したのか、面接官が聞いたのかで、その後の対応が変わります。 それは評価シートからは分かりません。採用担当が面接官に確かめます。

6番目で人が見るのは、判定と根拠の抜き出しです。 全件の原文を読み直す運用にすると、40.0時間はほとんど減りません。

02今回想定するシステム構成

構成図
面接官
   ▼ 評価シートを送信
Google フォーム ──▶ Google スプレッドシート(回答のシート)
   ▼【トリガー】1日2回、採用担当が新しい行を書き出す
ChatGPT(指示文+評価シート+評価項目の定義+配慮すべき事項の一覧)
   │   ① 評価項目ごとの根拠の有無   ② 点数とコメントの食い違い
   │   ③ 配慮すべき事項への言及     ④ 差し戻しの文面
   ▼
【人が確認】配慮すべき事項の言及を先に、根拠の不足を次に
   ▼
面接官へ差し戻し(Gmail)──▶ 直して再送信
   ▼
採用管理システムへ転記
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(最小構成は ChatGPT の画面、半自動化以降は OpenAI API の Structured Outputs)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
連携Google Apps Script(半自動化以降。送信時に点検を呼び、結果を書き戻す)Power Automate、Make
評価シートGoogle フォーム、Google スプレッドシートMicrosoft Forms
差し戻しGmailMicrosoft Outlook、社内チャット

新しく足すものはありません。 フォームとスプレッドシートはいまの評価シートをそのまま使い、変えるのは、評価項目の定義を1枚のシートに書き出すことと、ChatGPT に渡す指示文を決めることだけです。

評価シートの回答は、スプレッドシートに自動で入ります。 Google のヘルプでは、フォームの「回答」タブから回答の送信先を選ぶと、新しいスプレッドシートか既存のスプレッドシートに回答が保存され、データが自動的にテーブル形式になるとされています。1回の送信が1行になるので、書き出しの単位もそのまま1件です。

半自動化で使うのは、OpenAI API の Structured Outputs です。 公式ドキュメントでは、モデルが供給された JSON Schema に準拠した応答を生成することを保証し、必須キーの省略や無効な enum 値の生成を防ぐとされています。strict: true でスキーマへの完全な準拠を求め、additionalProperties: false で定義外のフィールドを防ぎます。判定の値を enum で縛れることが、この業務では効きます。 「根拠あり」「印象のみ」「記入なし」の3つ以外の言い方で返ってくると、後段で数えられません。

入力したデータの扱いは、先に確かめてください。 API については、公式ドキュメントで送られたデータは明示的にオプトインしない限りモデルの学習や改善に使われないとされ、不正利用の監視のログは最大30日保持されるとされています。ChatGPT の画面で使う場合は、契約しているプランの条件を確かめます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

1日2回、11時と17時に、採用担当がスプレッドシートの新しい行を書き出すことを起点にします。 最小構成では自動では動かしません。面接は午前と午後に集中するので、午前の面接の分を昼に、午後の面接の分を夕方に点検すれば、面接官が覚えているその日のうちに差し戻せます。

差し戻しは、面接の当日か翌日までに届かないと意味がありません。 3日後に「課題解決の根拠を書き足してください」と言われても、面接官は候補者の発言を覚えていません。週に一度まとめて点検する運用にはしないでください。 1日2回が、手間と記憶の両方から見た落としどころです。

書き出す範囲は、「点検済み」列が空の行です。 点検を終えたら日付を入れます。面接官が直して再送信した行は、新しい行として入ります。 再送信の行には、フォームの設問「元の受付番号」に番号を入れてもらい、同じ候補者の古い行と並べて確かめます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
評価シート受付番号、面接日、面接官、候補者の受付番号、選考段階、5項目の点数とコメント、総合所見回答のシート
評価項目の定義項目名、何を見る項目か、点数ごとの目安、根拠の例「評価項目」シート
配慮すべき事項の一覧厚生労働省が示す事項と、自社で足した事項。それぞれの言い換えの例「配慮事項」シート
差し戻しの文面の型冒頭と結びの定型、項目ごとの指摘の書き方「文面」シート

質を決めるのは、下の3つです。 評価項目の定義に「根拠の例」が無ければ、ChatGPT は何を根拠とみなすかを自分で決めます。「対人理解」の根拠は、相手の立場に立った具体的な行動の話、と書いておけば、判定がその言葉に寄ります。

「評価項目」シートは、次のような形で書きます。

評価項目何を見るか根拠として通す例印象として差し戻す例
対人理解相手の立場や事情をくんで行動できるか派遣先の担当者が交代した際、前任者の申し送りを自分で整理して新任者に渡したと話した「人の気持ちが分かる方」
課題解決問題の原因を分け、手を打てるか欠勤の多い職場で、曜日ごとの欠勤を数えて配置を組み替えたと話した「論理的に考えられる方」
主体性指示を待たずに動いた経験があるか誰も担当していなかった問い合わせの一覧を自分で作り、週次で共有したと話した「積極的な印象」
伝える力面接での説明が相手に伝わるか前職の業務の流れを、質問される前に順を追って3分で説明した「話しやすい」
仕事への動機この仕事を選ぶ理由が本人の経験とつながっているか自分が派遣で働いた際に担当者の対応で続けられた経験を、志望の理由として話した「熱意を感じた」

右の2列が判定の物差しになります。 例が1つだけだと、その例に似ているかどうかで判定するようになるので、慣れてきたら各列に2つ以上の例を並べます。 例は過去の評価シートから採り、候補者を特定できる固有名詞は消しておきます。

配慮すべき事項の一覧は、言い換えまで書きます。 厚生労働省の一覧は「本籍・出生地に関すること」と書かれていますが、評価シートには「地元」「実家」「出身」と書かれます。言葉の一覧ではなく、どんな書き方で出てくるかの例を並べます。

候補者の氏名は渡しません。 評価シートには候補者の受付番号だけを入れる様式にします。点検に氏名は要らず、採用管理システムの番号で後から突き合わせられます。

Step3

データの取得方法を決める

回答のシートは、フォームの送信のたびに自動で1行増えます。 採用担当は、書き出しのたびにシートを開いて「点検済み」が空の行を絞り込みます。

取るものどこからどう取るか
評価シート回答のシート「点検済み」が空の行を選び、CSV で書き出す
評価項目の定義「評価項目」シート毎回同じものを渡す
配慮すべき事項の一覧「配慮事項」シート毎回同じものを渡す
差し戻しの文面の型「文面」シート毎回同じものを渡す

4つを1つのファイルにまとめてから渡します。 別々に渡すと、定義を参照せずに判定することがあります。選考段階ごとに評価項目が違う場合は、段階ごとに書き出しを分けます。 一次と二次を混ぜて渡すと、二次にしかない項目を一次のシートで「記入なし」と判定します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 候補者の氏名が書かれていないかを見る … コメントの中に氏名が書かれていたら「〔候補者〕」に置き換えます
  2. 受付番号をそろえる … 番号の無い行は渡しません
  3. 再送信の行を分ける … 「元の受付番号」がある行は、前回の点検結果と並べて渡します
  4. 選考段階で分ける … 一次と二次を別のファイルにします
  5. 件数を控える … 書き出した行の数を控えて、返ってきた表の行数と突き合わせます

1番目は、様式を受付番号だけにしていても省きません。 面接官は、候補者の話を書くときに「〇〇さんは」と名前で書き始めることがあります。名前が1つ残っていれば、その回の書き出しは渡し直しです。

3番目は、同じ指摘を繰り返さないためです。 前回「課題解決の根拠が無い」と戻したシートが直ってきたら、その項目が直ったかを先に見ます。 前回の点検結果を渡さないと、別の項目の細かい点を新しく指摘して、面接官を何度も往復させます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、評価項目ごとに3つの判定をし、判定に使った原文を抜き出すことです。

判定値判断できないときの扱い
根拠の有無根拠あり/印象のみ/記入なし印象と行動が混ざるなら「根拠あり」にせず「印象のみ」
点数との食い違い一致/食い違いの疑い点数の目安と記述の向きが逆なら「食い違いの疑い」
配慮すべき事項への言及なし/あり(事項名)事項に当たるか迷ったら「あり」にし、確認事項に書く

「根拠あり」の基準は、候補者の発言か行動が、いつ・何を・どうしたの形で1つ以上書かれていることです。 「前職で営業成績が良かったと話した」は、何をどうしたかが無いので「印象のみ」です。基準を厳しめに置くのは、差し戻しが空振りしても面接官が一行書き足すだけで済み、通してしまうと合否会議で聞き直しになるからです。

配慮すべき事項は、迷ったら「あり」にします。 見落とすほうが、拾いすぎるより重いからです。拾いすぎたものは採用担当が外します。

させないこと理由
コメントの書き直し・根拠の補完根拠を書けるのは面接官だけ。補えば事実の記録でなくなる
点数の修正の提案点数を付けるのは面接官。食い違いを示すだけにする
候補者の合否や適性の評価この構成は記入の点検まで
就職差別にあたるかの結論採用担当と面接官に確かめてから、人事が判断する
面接官への評価や注意の文言差し戻しは記入の不足の指摘だけにする

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「どう書けばよいかの例」を求めると、ChatGPT は候補者がいかにも話しそうな発言を作って例にします。面接官がそれをそのまま写すと、面接で出ていない発言が記録に残ります。 差し戻しの文面には、何が足りないかだけを書き、例文を入れません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは人事部の採用担当として、面接官が提出した評価シートの
記入を点検します。添付のファイルに書かれたことだけで判定してください。

【添付のファイル】
- 評価シート … 今回点検する行
- 評価項目 … 項目ごとの定義、点数の目安、根拠の例
- 配慮事項 … 採用選考で把握すべきでない事項と、その言い換えの例
- 文面 … 差し戻しの文面の型

【やること】
評価シートの1行ごと、評価項目ごとに、次を判定してください。
1. evidence … 根拠あり/印象のみ/記入なし
   根拠ありは、候補者の発言か行動が「いつ・何を・どうした」の形で
   1つ以上書かれているときだけ。形容詞や印象だけなら印象のみ。
2. score_match … 一致/食い違いの疑い
   評価項目シートの点数の目安と、コメントの向きを比べる。
3. sensitive … なし/あり
   配慮事項シートの事項や言い換えに当たる記述があれば、あり。
   迷ったときは、ありにして confirm に理由を書く。
判定ごとに、根拠にしたコメントの原文をそのまま quote に写してください。

【厳守事項】
- コメントを書き直さない。書かれていない根拠を補わない。
- 差し戻しの文面に、候補者の発言の例や、書き方の例文を入れない。
  何が足りないかだけを書く。
- 点数を直す提案をしない。
- 候補者の合否、適性、人柄を評価しない。
- sensitive があっても、就職差別にあたるかどうかを書かない。
  事項名と原文の抜き出しだけを返す。
- 面接官の書き方を評価する言葉(不十分、不適切など)を使わない。
- 記載がない項目は「記入なし」とし、推測で埋めない。
- 前回の点検結果が添付されている行は、前回指摘した項目が
  直ったかを先に判定し、新しい指摘は前回の指摘に関わるものだけにする。
- 出力の行数は、評価シートの行数と同じにする。

「差し戻しの文面に例文を入れない」は、明記しないと必ず入ります。 親切に書こうとして、「例:前職で〜と話した、のように書くと伝わります」と添えます。その例が、面接で本当に出た発言と混ざるのが問題です。 禁じるのは、面接の場にいなかったAIが発言を作ることそのものです。

「迷ったときはあり」を指示に入れるのは、既定では逆に寄るからです。 何も言わなければ、雑談の中の「地元」を評価と無関係として「なし」にします。

Step7

出力形式を固定する

最小構成では、次の列の表で受け取ります。 評価シート1行について、評価項目の数だけ行を並べます。

受付番号評価項目点数evidencescore_matchsensitivequoteconfirm
R-3312課題解決4印象のみ一致なし「論理的に考えられる方」-
R-3312仕事への動機5根拠あり一致あり(家族)「父親も同業とのことで理解がある」家族の職業に当たる

半自動化では、同じ中身を JSON で受け取ります。

{
  "sheet_id": "R-3312",
  "items": [
    { "item": "problem_solving", "score": 4,
      "evidence": "impression_only",
      "score_match": "match",
      "sensitive": { "found": false, "category": "" },
      "quote": "論理的に考えられる方",
      "confirm": "" }
  ],
  "resend_needed": true,
  "resend_draft": ""
}

evidence を with_evidence / impression_only / empty の enum で縛るのが1つ目の理由です。 面接官ごと・評価項目ごとに「印象のみ」の割合を数えられ、どの項目の定義が書きにくいのかが分かります。

2つ目は、resend_needed をワークフローの側で決められることです。 本記事では、empty か impression_only が1つでもあるか、sensitive.found が true なら差し戻しの候補にします。どこまでを差し戻すかは、あとから規則だけで変えられます。

3つ目は、quote で確認が速くなることです。 採用担当は原文の全体を読まずに、判定の根拠になった一文を見て判断できます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Google フォーム回答のシートへの保存送信のたびに1行増える
ChatGPT画面へのファイルのアップロード(最小構成)判定の表と差し戻しの文面を返す
OpenAI APIApps Script の UrlFetchApp(半自動化以降)JSON で判定を返す
「点検結果」シート採用担当の貼り付け、または Apps Script の書き戻し判定と確定を残す
Gmail採用担当が送る差し戻しの文面を面接官へ送る

差し戻しは自動で送りません。 配慮すべき事項への言及を含むシートは、採用担当が面接官に電話で確かめてから扱いを決めます。 自動で「配慮すべき事項に触れています」と送ると、面接官との間に不要な摩擦が生まれます。

採用管理システムへは、この構成から書き込みません。 転記は、点検を通ったものを採用担当が行います。点検の途中のシートが合否会議の資料に混ざらないようにするためです。

Step9

人が確認する

  1. sensitive が「あり」のシートを最初に見る … 原文を読み、事項に当たるかを確かめます。当たるなら、面接官に聞いたのか候補者が話したのかを確かめます
  2. score_match が「食い違いの疑い」の行を見る … 点数とコメントのどちらを直すべきかは面接官に聞きます
  3. evidence の判定を流し読む … quote を見て、印象のみの判定に違和感がなければそのまま差し戻します
  4. 差し戻しの文面を直して送る … 面接官の名前と、何日までに再送信してほしいかを足します
  5. 判定を覆したら記録する … どの判定を、どちらに変えたかを残します

目標は、300件をならして1件2分です。 差し戻しになるのは3割前後という想定で、それより多い月は、定義の「根拠の例」が厳しすぎるか、特定の拠点の面接官に書き方が伝わっていません。 拠点ごとに割合を見て、面接官の研修で伝え直します。

1番目は、確かめた結果の扱いまで人が決めます。 面接官が聞いていたなら、面接官の研修の見直しにつなげます。 候補者が自分から話しただけでも、その記述を評価の記録に残さないよう、面接官に消してから再送信してもらいます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
表の行数が評価シートの行数と合わない足りない受付番号だけを渡し直す
候補者の氏名がコメントに残っていたその回の書き出しファイルを削除し、置き換えてから新しいチャットで渡し直す
コメントが全項目「記入なし」送信の誤りの可能性。点検せず面接官に確かめる
評価項目がシートと定義で合わない選考段階の取り違え。段階を確かめて渡し直す
再送信の「元の受付番号」が無い候補者の受付番号と面接日で元の行を探し、並べて点検する
同じ候補者の面接官2名のコメントが矛盾する点検の対象外。合否会議で扱う
総合所見だけに根拠が書かれている項目ごとの欄は「記入なし」とし、確認事項に「総合所見に記載あり」と書かせる
面接官が差し戻しに反論してきた判定を覆すかは採用担当が決め、覆したら記録する
応答が拒否された・途中で止まった半自動化では refusal を検知して人へ回す。最小構成は手作業に戻す

6行目は、点検で直そうとしないでください。 2名の評価が分かれるのは面接の結果で、記入の不足ではありません。比べるのは UC-0154 の比較表の仕事です。

7行目は、面接官が「総合所見にまとめて書いた」というときに起きます。 項目ごとの欄が空でも、総合所見に根拠が書かれていれば、合否会議で困ることはありません。差し戻すかは採用担当が決め、様式のほうで総合所見の書き方を示すかを検討します。

Step11

記録を残す

  • 評価シートの原文(回答のシート)と、書き出したファイルの日時
  • ChatGPT が返した判定の表(「点検結果」シート)
  • 採用担当が確定した判定と、覆した記録
  • sensitive が「あり」だったシートの、確認の結果と対応
  • 差し戻した日時、再送信された日時と受付番号の対応
  • 面接官ごと・評価項目ごとの「印象のみ」の割合

4つ目は、他の記録と分けて残します。 閲覧できる人を人事部の責任者と採用担当に絞ります。面接官の研修の見直しに使う記録で、面接官の人事評価に使うものではありません。

最後の行は、評価項目の定義を直す材料になります。 特定の項目だけ「印象のみ」が多いなら、面接官の書き方ではなく、項目の定義か質問の組み立てのほうに理由があります。

04実装レベルの3段階

最小構成:回答のシートを書き出して ChatGPT に渡し、表を貼り付ける / 1件ずつの記入の点検
半自動化:上記+Apps Script で送信のたびに OpenAI API を呼び、判定を「点検結果」シートに書き戻す / 点検の実行と記録
本格構成:上記+差し戻しの下書きを面接官ごとにまとめ、採用担当の承認後に送る / 点検から差し戻しの準備まで

本記事の想定は最小構成です。 月300件なら、1日2回の書き出しで回ります。半自動化に進む理由は、差し戻しを面接の直後に届けたいときです。 半自動化の起点は、Apps Script のインストール可能なトリガーです。 公式ドキュメントでは、フォーム送信時に動くトリガーがあり、時間主導のトリガーも毎分から月1回の間隔で設定できるとされています。ただし、トリガーは常に作成した人のアカウントで実行され、別のアカウントで作られたトリガーはほかのアカウントからは見えません。採用グループの共有のアカウントで作ってください。 API の呼び出しには UrlFetchApp を使います。 method、headers、payload を指定して送り、muteHttpExceptions を true にすると、失敗の応答でも例外にせずに結果を受け取れます。 失敗した行は「点検済み」を空のまま残し、次の回で拾い直します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  300件 × 8分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 300件 × 2分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 通年で採用を行い、面接官が数十名いて、月に数百件の評価シートが提出される人材サービス会社・IT企業・小売チェーン・介護事業者。評価シートの自由記述が「熱意を感じた」のような印象で埋まり、合否会議で根拠を聞き直すことが多い場合。採用担当が提出されたシートを1件ずつ読んで差し戻しているが、見る観点が担当者ごとに違う場合。ChatGPT の法人向けのプランをすでに契約している場合。
向いていない
  1. 面接が月に数件で、採用担当が面接に同席して評価を直接聞ける場合。評価シートが点数だけで自由記述の欄が無く、先に様式を見直す必要がある場合。面接官の評価コメントを社外のサービスへ入力することを、社内の規程で認めていない場合。なお、候補者の合否の判断と、就職差別にあたるかどうかの最終的な判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月提出された評価シートから30件を選ぶ(うち数件は、当時差し戻したものを入れる)
  2. 候補者の氏名が無いことを確かめ、評価項目の定義と配慮事項の一覧を1枚にまとめる
  3. ChatGPT にファイルをアップロードし、第7章の指示文で判定させる
  4. 出てきた判定を、当時の差し戻しの記録と突き合わせる
  5. 差し戻しの文面に、例文や候補者の発言が入っていないかを見る

30件は必ずやってください。 回答のシートを組み替える前に、「根拠あり」の基準が自社の感覚と合うかを確かめます。

出てきた内容判断
当時差し戻したシートが「印象のみ」になった1日2回の運用に進む
ほとんどのシートが「根拠あり」になった定義の「根拠の例」を具体的に書き直す。構成は有効
差し戻しの文面に例文が入った指示文の禁止を強める。入らなくなるまで運用に出さない

2行目が出たら、定義の側を直します。 基準をAIに任せず、何を根拠とみなすかを採用担当の言葉で書くことが、この構成の本体です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
差し戻しの文面に例文が入る指示文で禁じる。 例文は面接で出ていない発言になる
印象の記述が「根拠あり」になる「いつ・何を・どうした」の基準と、項目ごとの根拠の例を定義に書く
雑談の「地元」「実家」を拾わない配慮事項の一覧に言い換えの例を並べ、迷ったら「あり」にさせる
候補者の氏名がコメントに残る様式を受付番号だけにし、前処理でも見る
再送信のたびに新しい指摘が出る前回の点検結果を渡し、前回の指摘が直ったかを先に見させる
一次と二次の項目が混ざる選考段階ごとに書き出しを分ける
面接官を評価する言葉が入る「不十分」「不適切」を使わせない。指摘は記入の不足だけ
半自動化のトリガーが担当者の異動で止まる共有のアカウントで作る。作成者のアカウントで動く
差し戻しが多すぎて面接官が反発する最初の1か月は差し戻しを根拠の不足の大きいものに絞り、割合を見て広げる
配慮事項の記述を消した後も抜き出しが残る点検結果のシートの quote も消す。消した日と人を残す

下の2行も、早い段階で効いてきます。 差し戻しが面接官にとって「採用担当からの小言」に見えると、評価シートの提出そのものが遅れます。最初は差し戻しの範囲を狭く始め、面接官が慣れてから広げてください。

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「根拠でないものが、根拠として記録に残る」ことから出ています。根拠を書くのは面接官だけ、という線を守れるかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 候補者の受付番号と選考段階、面接での発言や行動についての面接官の記述、点数、そして本来把握すべきでない事項に触れた記述です。

  1. 候補者の氏名を渡さない … 点検に氏名は要りません。様式を受付番号だけにし、コメントに書かれた氏名も前処理で置き換えます
  2. 契約の条件を確かめてから使う … API は、明示的にオプトインしない限り学習に使われないとされています。ChatGPT の画面で使う場合は、契約しているプランのデータの扱いを確かめます
  3. 配慮すべき事項の記述を広げない … 拾った記述は「点検結果」シートに写ります。閲覧できる人を絞り、面接官に消してもらった後は、点検結果の側の抜き出しも消します
  4. この構成は就職差別にあたるかの判断を代替しない … 拾うのは記述の有無までです。判断に迷う場合は、ハローワークや都道府県労働局に相談できます
  5. 差し戻しを自動で送らない … 面接官との関係に関わります。採用担当が文面を直してから送ります
  6. 点検の記録を面接官の人事評価に使わない … 使うと、面接官は無難な記述しか書かなくなります

誤りが起きた場合のリスクは、配慮すべき事項の記述を見落として評価の記録に残すことと、AIが作った根拠が記録に混ざることの2つです。 前者は「迷ったらあり」で、後者は例文と補完の禁止で止めます。

10まず何から始めるか

1週目:評価項目の定義に「根拠の例」を足す

5つの評価項目それぞれに、根拠として通すものと、印象として差し戻すものの例を2つずつ書きます。採用担当3名で、過去に差し戻したシートを持ち寄って決めます。

2週目:配慮事項の一覧を作る

厚生労働省の「採用選考時に配慮すべき事項」を1行ずつ並べ、評価シートでどんな言い方で出てくるかの例を足します。自社で足す事項があれば、人事部の責任者と決めて加えます。

3週目:30件で試す

先月の評価シートから30件を ChatGPT に渡し、当時差し戻したものが「印象のみ」になるか、差し戻しの文面に例文が入らないかを見ます。

4週目:1日2回の点検を始める

評価シートの様式を受付番号だけにし、「元の受付番号」の設問を足します。11時と17時の書き出しを始め、判定を覆した記録を残します。

2か月目: 面接官ごと・評価項目ごとの「印象のみ」の割合を数え、定義を直します。3か月目以降: 差し戻しを面接の直後に届けたいなら、半自動化に進みます。1件8分が何分になったかを実測し、合否会議で根拠を聞き直す場面がなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-30/最終更新:2026-10-01
確認した内容情報源確認日
採用選考時に配慮すべき14事項として、本人に責任のない事項(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境)、本来自由であるべき事項(宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書)、採用選考の方法(身元調査など、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断、適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類)が示されていること。これらを面接時にたずねるなどして把握することが就職差別につながるおそれがあること厚生労働省: 公正な採用選考をめざして(採用選考時に配慮すべき事項)2026-09-30
公正な採用選考に必要なのはその人の適性と能力であるとされていること。不明な点をハローワークまたは都道府県労働局に問い合わせるよう案内されていること厚生労働省: 公正な採用選考特設サイト2026-09-30
Structured Outputs がモデルに供給された JSON Schema に準拠した応答を生成させ、必須キーの省略や無効な enum 値を防ぐこと。strict: true、additionalProperties: false、required の働き。安全性に基づく拒否が refusal で検出できることOpenAI: Structured Outputs2026-09-30
API に送られたデータは明示的にオプトインしない限り学習や改善に使われないこと。不正利用の監視のログが最大30日保持されることOpenAI: API に送ったデータの扱い2026-09-30
フォームの回答の送信先に新しいスプレッドシートか既存のスプレッドシートを選べること。データが自動的にテーブル形式になり、新しい回答が自動で送られることGoogle ヘルプ: フォームの回答の保存先2026-09-30
インストール可能なトリガーにフォーム送信時のものと時間主導のもの(毎分から月1回)があること。作成した人のアカウントで実行されること。別のアカウントで作られたトリガーは見えないことGoogle Apps Script: Installable Triggers2026-09-30
UrlFetchApp で method・headers・payload を指定して外部へリクエストを送れること。muteHttpExceptions を true にすると失敗の応答でも例外にならないことGoogle Apps Script: UrlFetchApp2026-09-30

就職差別にあたるかどうかの判断は、人事部の責任者が行ってください。 不明な点は、ハローワークや都道府県労働局に確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0397)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次