AWSマーケットプレイスで買う前に|AIに候補を選ばせる線

AWSマーケットプレイスで買う前に|AIに候補を選ばせる線

「AWSの請求でまとめて買えるなら、購買部門を通さなくてもよいのだろうか」「要件の文書を渡すとAIが候補を並べてくれるらしいが、その一番上を選んでよいのか」。AIエージェントやクラウドのソフトの導入を任された情シスや購買の担当者から、こうした声が聞かれるようになりました。きっかけの1つは、2025年11月30日にAWSが自社のマーケットプレイスに加えた「エージェントモード」です。用途を説明し、要件の文書を渡すと、AIが3万件を超える掲載の中から候補を探し、横に並べて比べられるようにする機能です。候補を探す手間が減るのは確かです。ただし、これは選ぶ作業をAIに渡してよいという話ではありません。本当は、候補選びが速くなるぶん、どこで人が止めて決めるかを先に書いておく話です。この記事では、買い手の側から、AIに候補を出させてよい品目の線引き、要件の文書の書き方、比較の根拠の確かめ方、購買規程と稟議への乗せ方、価格の交渉、解約の条件までを順番に整理します。


カメ先生カメ先生

マーケットプレイスでAIが候補を並べてくれると聞くと、選ぶところまでAIに任せられると思われがちなんだ。でも、AIが並べるのは公開されている情報と、自社が渡した要件の範囲だけ。自社の規程や、過去に揉めた取引先のことは知らないんだよ。


カメ子カメ子

候補を並べるのはAIで、その中から選んで買うのは人、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。しかもAWSの請求に乗る買い方は、手続きが軽いぶん、購買部門の目を通らずに契約が増えやすい。だから品目の線、規程の通し方、交渉、根拠の確かめ、解約の条件を、AIを使う前に決めておく必要があるんだ。


カメ子カメ子

便利になったぶん、止める場所を自分たちで作らないといけないんですね。


この記事のポイント
  • AWSマーケットプレイスは、購入した代金がAWSの請求に乗る買い方。2025年11月30日に、要件の文書をもとにAIが候補を出して横に並べるエージェントモードが加わった。日本語での提供は公式に明記されていない(2026年10月時点)
  • 要件の文書の下書き、候補の横並びの比較、比較表の根拠となる出典の洗い出しはAIに任せられる。AIが選び、人が買う
  • AIの候補で決めてよい品目、購買規程と稟議のどこに通すか、価格条件の交渉、比較の根拠を誰が確かめるか、解約条件の判断は人が決める

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目次

AWSマーケットプレイスで買うとは:代金がAWSの請求に乗る買い方

AWSマーケットプレイスは、AWSが運営するソフトの売り場です。掲載されているのは、AWSの上で動かすソフト、クラウドで使うソフト、AIのモデルやAIエージェント、データなどで、売り手はAWS以外のさまざまな会社です。買い手から見たいちばんの特徴は、購入した代金が、自社がふだん払っているAWSの利用料の請求にまとめて乗ることです。

この形には、買い手にとって分かりやすい利点があります。売り手ごとに取引先の登録をし、契約書を交わし、請求書を受け取って支払う、という手続きを、AWSの請求の中にまとめられるからです。新しい売り手と取引を始めるたびに必要だった社内の手続きが、軽くなる場合があります。

一方で、同じ性質が管理の抜けを生みます。AWSのアカウントで購入の権限を持っている人なら、購買部門を通さずに契約を始められてしまうことがあるからです。請求はAWSの利用料の一部として届くため、経理の側から見ても、どの部署が何を買ったのかが見えにくくなります。社内の購買管理システムの申請から発注確定までの詰まりは別の記事「購買管理システムを入れても発注は速くならない」で扱っています。本稿は、社外の売り場であるマーケットプレイスで買う経路に絞ります。

2025年に何が変わったか:AIエージェントの売り場とエージェントモード

2025年には、マーケットプレイスでの買い方に関わる発表が続きました。まず7月16日に、AIエージェントとその道具を集めたカテゴリが設けられ、他社が作ったAIエージェントを探して買い、AWSの上で動かせるようになりました。外部とつなぐための共通の規格に対応しているかどうかも、掲載の情報から確かめられるようになっています。

続いて11月30日に、エージェントモードとAIで強化した検索が発表されました。AWSの公式発表によると、エージェントモードでは、用途を言葉で説明したり、業務の要件をまとめた文書を渡したりすると、AIが要件に合う候補を探します。対話を続けながら質問し、候補を横に並べた比較を、言葉で指示して組み替えられるのが特徴です。掲載の数は3万件を超えると説明されています。

日本の買い手に関わる点では、2025年10月7日に、販売代理店を通したプライベートオファーでの日本の消費税と適格請求書の対応が広がったことも挙げられます。国内の売り手と販売代理店を通して、国内の買い手が買う取引の税の扱いがそろいました。なお、エージェントモードが日本語で使えるか、日本の地域で同じように提供されているかは、2026年10月時点の公式の発表には明記されていません。使う前に、自社の環境で公式の情報を確かめてください。

エージェントモードがすること、しないこと

公式の発表では、エージェントモードが候補を探すときに使う情報として、AWSが持つデータ、セキュリティとコンプライアンスの記録、確認済みの販売者の情報、Web上の最新の情報が挙げられています。さらに、候補を比べた結果をもとに購入を始めたり、社内の承認に使う購買の提案書をダウンロードしたりできると説明されています。

ここから分かるのは、エージェントモードが「探す」「比べる」「社内に説明する材料を作る」までを手伝う道具だということです。逆に、エージェントモードが知らないこともはっきりしています。自社の購買規程、過去に揉めた取引先、社内ですでに使っている似た道具、自社のデータの扱いの決まりなどは、自社が渡さない限り、AIは知りようがありません。

もう1つ押さえておきたいのは、比べた根拠の一部がWeb上の情報から来るという点です。Web上の情報には、売り手自身の宣伝や、古くなった情報も混ざります。AIが並べた比較表は、根拠の出どころを確かめるまでは、下書きとして扱うのが安全です。また、自社のAIアプリからMCPサーバーを通して同じ検索を使う仕組みも用意されていますが、どの入口から使っても、AIが出すのは候補であり、決めるのは人です。

手順1:AIに候補を出させてよい品目と、使わない品目を分ける

最初に決めるのは、どの品目ならAIの候補選びを使ってよいか、です。すべての品目で同じように使うのではなく、品目ごとに線を引きます。目安になるのは、その品目が扱うデータの重さと、入れた後に替えにくいかどうかの2つです。

AIの候補選びを使いやすいのは、社内の公開してよい情報だけを扱う道具や、試しに使ってみて合わなければすぐにやめられる従量の品目です。たとえば、開発の補助の道具や、社外に公開している情報を整理するための道具などです。候補の中から選び違えても、影響が小さく、やり直しがききます。

反対に、AIの候補をそのまま使わない品目もあります。個人情報や顧客の情報を扱う品目、基幹の業務に組み込む品目、複数年の契約を前提にした品目です。こうした品目では、AIの候補は検討の入口として参考にしても、選定は従来どおり、要件の確認と社内の審査を通して人が行います。この線引きは情シスの責任者と購買の責任者が一緒に決め、文書にしておきます。

手順2:要件の文書を書く

エージェントモードは、渡された要件の文書をもとに候補を探します。要件の文書の出来が、そのまま候補の質を決めます。要件の文書の下書きはAIに手伝わせてかまいませんが、中に書く条件は人が決めます。少なくとも次の項目は、AIに渡す前に社内で埋めておきます。

  • 何の業務の、どの作業を楽にしたいのか(目的)
  • 使う人の数と部署、使い始めたい時期
  • 扱うデータの種類と、社外に出してよいかどうか
  • すでに社内で使っている道具と、つなぐ必要があるもの
  • 予算の上限と、払い方の希望(従量か、期間の契約か)
  • 必ず満たす条件と、あれば望ましい条件の区別

このうち、いちばん抜けやすいのが最後の項目です。必ず満たす条件と、あれば望ましい条件が混ざったまま渡すと、AIはすべての条件を同じ重さで扱い、望ましい条件を多く満たす候補を上に並べることがあります。必須の条件は別に書き、満たさない候補は比較の前に外すよう指示しておきます。

もう1つの注意は、要件の文書に書いてよい情報の範囲です。社内の業務の細かな事情や、顧客の名前、未公表の計画などを要件の文書に書き込むと、それを外部のサービスに渡すことになります。要件の文書は、外に出してよい粒度で書きます。どこまで書いてよいかは、社内のAIの利用の規程に照らして決めます。

手順3:AIに候補を出させ、横に並べさせる

要件の文書がそろったら、AIに候補を出させます。ここで大切なのは、候補の一覧だけでなく、それぞれの候補を挙げた理由と、理由の出どころを一緒に出させることです。どの要件をどの情報で満たしていると判断したのかが書かれていない一覧は、比べる材料になりません。

横並びの比較では、比べる観点を人が先に決めて渡します。AIに観点まで任せると、目立つ機能の多さや評判の高さが前に出て、自社の要件で本当に効く観点が抜けることがあります。たとえば、つなぐ必要がある既存の道具に対応しているか、データをどの地域に置くか、契約の形と最短の期間、支援の窓口が日本語で使えるか、といった観点です。

候補の数も、あらかじめ絞り方を決めておきます。3万件を超える掲載から候補を出させると、似た候補が多く並び、比べる手間がかえって増えることがあります。必須の条件で外した後に、上位の3件から5件程度に絞って並べさせる、といった決め方にしておくと、後の手順で人が確かめる量を抑えられます。どの候補を絞り込みの対象から外したのか、その理由もAIに残させておきます。

手順4:比較の根拠を、誰がどこまで確かめるか

AIが並べた比較表は、そのまま社内の承認に回してはいけません。先に見たとおり、比較の根拠にはWeb上の情報が混ざり、売り手の宣伝や古い情報が入り込むことがあります。比較表に書かれた「対応している」「満たしている」という記述の1つ1つについて、根拠を確かめる人を決めます。

確かめ方は、根拠の種類で分けるとやりやすくなります。料金と契約の条件は、マーケットプレイスの掲載の画面に出ている条件で確かめます。セキュリティの記録は、売り手が公開している第三者の認証や報告書で確かめます。機能の対応は、売り手の公式の説明書で確かめます。根拠の出典を洗い出して一覧にする作業はAIに任せ、出典を開いて中身を確かめるのは人、という分担にします。

確かめる担当は、品目によって変えます。技術の対応は情シス、契約と料金は購買、データの扱いは個人情報の担当や法務、というように、記述ごとに持ち主を決めます。誰も確かめていない記述が承認の資料に残ったまま通ると、導入した後に「対応していると書いてあった」と言っても、誰の判断だったのかが分からなくなります。確かめた結果は、記述ごとに「確かめた人・確かめた日・見た出典」の3点を比較表の横に書き足しておくと、そのまま稟議の資料の裏づけとして使えます。

手順5:購買規程と稟議の経路に乗せる

候補が決まったら、購入を社内の手続きに乗せます。ここが、AWSマーケットプレイスで買うときにいちばん抜けやすいところです。代金がAWSの請求に乗るため、購入の権限を持つ人がその場で買えてしまい、購買部門も稟議も通らないまま契約が増えることがあるからです。

公式の発表では、エージェントモードから社内の承認に使う購買の提案書をダウンロードできるとされています。これは稟議の資料の下書きとして使えますが、そのまま稟議にかけるのではなく、手順4で確かめた根拠と、確かめた人の名前を書き足してから回します。手続きの流れは、次のように決めておくと抜けが出にくくなります。

STEP1
購入の権限を持つ人を絞る

AWSのアカウントで、マーケットプレイスから購入できる権限を持つ人を、購買の担当と情シスの責任者などに限ります。誰に権限があるかの一覧を作り、定期的に見直します。

STEP2
購入の前に、社内の申請を必須にする

金額の大小にかかわらず、マーケットプレイスでの購入も、ふだんの購買と同じ申請の経路に通すと規程に書きます。AWSの請求に乗るかどうかで、手続きを変えないのが原則です。

STEP3
稟議の資料に、AIが関わった範囲を書く

比較表のどこをAIが作り、どこを人が確かめたかを資料に書きます。決裁者が、AIの比較をどこまで信じてよいかを判断できるようにするためです。

STEP4
経理に、AWSの請求の内訳を渡す

どの部署の、どの購入かを、経理が月次で突き合わせられるようにします。AWSの利用料とマーケットプレイスの購入を分けて見られる形にしておきます。

承認した製品だけを社内の利用者に見せる仕組み(プライベートマーケットプレイス)も用意されています。社内で使ってよい製品を先に絞っておけば、AIが候補を探すときも、承認済みの範囲から外れにくくなります。設定の範囲や細かな動きは、AWSの購入者向けの公式ガイドで確かめてください。

手順6:個別の価格条件を、人が交渉する

マーケットプレイスの掲載には、誰でも同じ条件で買える公開の価格のほかに、売り手が特定の買い手のために出す個別の条件(プライベートオファー)があります。利用の規模が大きい場合や、複数年の契約を考えている場合は、公開の価格のまま買うのではなく、売り手に個別の条件を出してもらう道があります。

この交渉は人が行います。AIに任せられるのは、交渉の前の準備です。過去の利用の量の集計、似た品目の公開の価格の整理、条件として求めたい項目の下書きなどです。どの条件をどこまで求めるか、どこで折り合うかは、購買の担当が決めます。値引きの幅だけでなく、契約の期間、支払いの時期、途中での席数の増減、支援の範囲といった条件も、交渉の対象になります。

個別の条件は、販売代理店を通して出されることもあります。この場合、売り手、販売代理店、AWSの三者が関わるため、請求書が誰の名前で発行されるのか、税の扱いはどうなるのかを、条件を受け入れる前に確かめておきます。日本では、2025年10月に、販売代理店を通した取引の消費税と適格請求書の扱いが広がっています。経理の担当にも、条件の書面を見てもらってから受け入れます。

手順7:やめるときの契約の条件を、買う前に読む

AIの候補選びは、買うまでの手間を減らしますが、やめるときの手間は減らしません。むしろ、手軽に買えるぶん、やめ方を確かめないまま契約が始まりがちです。AWSの購入者向けの公式ガイドでは、解約の仕方が契約の形によって違うと説明されています。

ガイドによると、使った分だけ払う従量の品目は、公開の条件でも個別の条件でも、買い手がいつでも画面から解約できます。前払いの期間の契約で、公開の条件で買ったものは、購入から48時間以内であればAWSの窓口を通して解約でき、全額の返金も受けられます。それ以外、つまり48時間を過ぎた公開の契約と、個別の条件で結んだ契約は、売り手が解約を申し出て、買い手がそれを承認する形になります。

もう1つ大事なのは、解約しても返金は自動では行われない、という点です。解約で止まるのはこの先の請求で、すでに発行された請求は返ってきません。返金を求めるには、条件に応じて窓口か売り手に申し出る必要があります。期間の契約の自動更新は、解約とは別に取り消す操作が要ります。契約の期間、自動更新の有無、途中でやめたときの扱いは、稟議の資料に書いておくと、更新の時期に慌てずに済みます。

品目の種類による違いにも注意が要ります。同じガイドでは、AWSの上の仮想サーバーで動かすソフトは、マーケットプレイスで購読を取り消すだけでは足りず、動いている仮想サーバーをすべて止めないと請求が続くと説明されています。機械学習のモデルも、動かしている処理を止めなければ請求が続きます。従量の品目では、取り消す前に使った分の支払いも残ります。やめるときに誰が何を止めるのかを、情シスの手順として書いておきます。

AIに候補を選ばせる前の確認表

ここまでの手順を、AIに候補を出させる前に確かめる項目として1枚にまとめます。品目ごとにこの表を埋めてから、要件の文書をAIに渡します。

確かめることAIに任せてよい作業人が決めること決める人
この品目でAIの候補を使ってよいか過去の購入の一覧から、品目の性質を整理する扱うデータと替えにくさから、使う・使わないを決める情シス責任者と購買責任者
要件の文書の中身目的や条件の下書き、抜けている項目の指摘必須の条件と望ましい条件、外に出してよい情報の範囲導入の担当部署
比較の観点と候補の数観点ごとの横並びの表を作る比べる観点、絞り込む件数導入の担当部署と情シス
比較の根拠記述ごとの出典の洗い出し出典を開いて中身を確かめる、確かめた人の記録記述ごとの担当
社内の手続き購買の提案書の下書き申請の経路、購入の権限を持つ人購買責任者
価格の条件利用の量の集計、似た品目の価格の整理求める条件と折り合う線購買の担当
やめるときの条件契約の条件の要約期間、自動更新、解約の扱いを受け入れるか購買責任者と法務

表の右の2列が空いたままの行があれば、まだAIに候補を出させる段階ではありません。特に、決める人の欄が埋まっていない行は、後で誰の判断だったのかが分からなくなる行です。

個人情報を扱う品目と、安全の関門は別に通す

AIが並べる比較には、セキュリティとコンプライアンスの記録も含まれると説明されています。ただし、比較表に記録が載っていることと、その品目が自社の安全の基準を満たしていることは別の話です。比較表は、検討の入口として役に立つ材料であって、社内の安全の審査の代わりにはなりません。

特に、個人情報や顧客の情報を扱う品目では、データをどこに置くのか、売り手がデータをどう扱うのか、委託先として契約上どう位置づけるのかを、個人情報の担当や法務が確かめる必要があります。手順1で「AIの候補をそのまま使わない品目」に入れたものは、ここでの確認を省かないことが前提です。

AIエージェントや外部の道具を入れるときに増える入口と、入れる前に通す安全の関門の作り方は、別の記事「サプライチェーン攻撃はAI導入にも及ぶ」にまとめています。マーケットプレイスで買う場合も、売り場が変わるだけで、入れる前に通す関門は同じです。

社内のAIアプリから同じ検索をつなぐときの線

公式の発表では、MCPサーバーを通して、自社が使っているAIアプリからもマーケットプレイスの検索を使えるとされています。社内のAIの助手から「この用途に合う道具を探して」と頼めば、マーケットプレイスの候補が返ってくる、という使い方です。候補を探す入口が、社内の日々の作業の中に入ってくることになります。

便利な半面、入口が増えるほど、誰がどの候補を見て、どれを買おうとしているのかが見えにくくなります。社内のAIアプリからつなぐ場合も、AIが出すのは候補まで、購入は手順5の経路を通すという線を変えないことが大切です。AIアプリにつなぐ権限は検索に限り、購入の権限とは分けておきます。

AIエージェントに支払いそのものを任せる場合の権限の決め方は、別の記事「AIに支払いを任せても責任は会社に残る」で扱っています。本稿は、AIが選び、人が買う、という線を前提にしています。AIに支払いの権限まで渡すかどうかは、別の判断として決めてください。

AIの候補選びで起きやすい失敗

エージェントモードのような仕組みを使い始めると、手順のどこかが形だけになりやすくなります。起きやすい失敗を挙げます。

  • 比較表の一番上をそのまま買う:並び順の理由を確かめず、望ましい条件を多く満たした候補が、必須の条件を満たしているものと思い込む
  • 要件の文書に社内の事情を書き込みすぎる:顧客の名前や未公表の計画を、外部のサービスに渡してしまう
  • 購買の提案書をそのまま稟議に回す:AIが作った資料に、誰も確かめていない記述が残ったまま決裁が下りる
  • 購入の権限が広いまま使い始める:現場の担当者が個別に買い、AWSの請求の中に、誰も把握していない契約が増える
  • 自動更新の取り消しを忘れる:使わなくなった期間の契約が、そのまま次の期間に更新される

どれも、AIの候補の質の問題ではなく、人の側で決めておくべき線を引かなかったことから起きます。確認表の右の2列を埋めることと、購入の権限を絞ることの2つで、多くは防げます。

  • エージェントモードの名前・発表の日付・機能・掲載の数は、AWSの公式発表(2025年11月30日)に基づきます。AIエージェントのカテゴリは2025年7月16日、日本の消費税の対応の拡大は2025年10月7日の公式発表に基づきます(2026年10月3日に確認)
  • 解約と返金の扱いは、AWSの購入者向けの公式ガイドに基づきます。条件は改訂されることがあるため、購入の時点で公式の情報を確かめてください
  • エージェントモードの日本語での提供と、日本の地域での提供の状況は、2026年10月時点の公式の発表には明記されていません

誰が何を持つか:情シス・購買・経理・法務の分担

マーケットプレイスでの購入にAIの候補選びを足すと、関わる部署が増えます。最後に、部署ごとの持ち場を整理しておきます。情シスは、AIの候補を使ってよい品目の線引きと、技術の対応の確認、購入の権限の管理を持ちます。購買は、申請の経路、価格の条件の交渉、契約の期間と解約の条件の確認を持ちます。

経理は、AWSの請求の中にあるマーケットプレイスの購入を、部署ごと、契約ごとに突き合わせる役を持ちます。法務と個人情報の担当は、データを扱う品目の契約の条件と、委託の位置づけを確かめます。導入を求める現場の部署は、要件の文書の中身と、必須の条件の決定を持ちます。

AIは、この分担のどの部署の作業も手伝えます。要件の文書の下書き、候補の横並びの比較、比較の根拠の出典の洗い出し、契約の条件の要約などです。ただし、AIの作業の結果を受け取って判断する部署を、作業ごとに1つに決めておくことが前提です。受け取る部署が決まっていない作業は、AIが出した結果が誰にも確かめられないまま、次の手順に流れていきます。

分担を決めたら、見直しの時期も決めておきます。たとえば半年に一度、情シスが持つ購入の権限の一覧と、経理が持つマーケットプレイスの契約の一覧を突き合わせ、誰が買ったか分からない契約や、使われていない契約がないかを確かめます。契約の一覧から更新の時期が近いものを拾い出す作業はAIに任せられますが、続けるかやめるかは、その品目を求めた部署と購買が決めます。

まとめ

AWSマーケットプレイスは、購入した代金がAWSの請求に乗る買い方で、2025年11月30日に、要件の文書をもとにAIが候補を探して横に並べるエージェントモードが加わりました。候補を探す手間は減りますが、AIが並べる比較にはWeb上の情報も混ざり、自社の規程や事情は反映されません。エージェントモードの日本語での提供は、2026年10月時点の公式の発表には明記されていません。使うときは、AIに候補を出させてよい品目を先に分け、必須の条件を分けた要件の文書を渡し、比較の根拠を記述ごとに人が確かめ、購入を購買規程と稟議の経路に乗せ、個別の価格条件は人が交渉し、解約と自動更新の条件を買う前に読んでください。要件の文書の下書き、候補の横並びの比較、根拠の出典の洗い出しはAIに任せ、どの品目で使うか、どこに通すか、どこで折り合うか、誰が確かめるか、いつやめるかは人が決めます。AIが選び、人が買う、という線を崩さないことが出発点です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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