GDNが畳まれる前に決めること|配信先をAIに渡す線引き

GDNが畳まれる前に決めること|配信先をAIに渡す線引き

「GDNで配信先を選んで回してきたが、デマンドジェネレーションに移れと言われても、何が変わるのか分からない」「移行ツールが出たと聞いたが、そのまま押していいのか、先に止めるべきキャンペーンがあるのか判断がつかない」。ディスプレイ広告を長く運用してきたBtoBの広告担当者が、いま抱えがちな疑問です。グーグルは2026年5月26日、ディスプレイ広告のキャンペーンをデマンドジェネレーションの中にまとめると発表しました。これは管理画面の模様替えではありません。本当は、人が選んでいた配信先と、人が決めていた入札の判断が、媒体のAIに移るという変化です。この記事では、いまGDNで動いているキャンペーンを持つ側が、畳まれる前と後に何を決めておくべきかを、グーグルの公式の発表とヘルプで確かめた範囲で整理します。


カメ先生カメ先生

ディスプレイ広告の移行は、設定を引っ越すだけの作業だと思われがちなんだ。でも本当は、どの面に出すか、いくらで入札するかを決める役が、人からグーグルのAIに移る話なんだよ。


カメ子カメ子

引っ越しというより、運転を誰がするかが変わる、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。だから移す前に、AIに渡すものと人が持ち続けるものを分けておかないと、移した後で成果が変わっても、理由をたどれなくなる。


カメ子カメ子

移行ツールを押す前に決めることのほうが、ずっと多いんですね。


この記事のポイント
  • グーグルは2026年5月26日、GDNのキャンペーンをデマンドジェネレーションにまとめると発表した。移行は2027年までに完了する見込みで、GDNだけに配信を続けることもできる
  • 移すと個別クリック単価や視認可能インプレッションでの課金などが使えなくなり、入札は自動入札に寄る。配信先と入札の判断の多くがAIに移る
  • 掲載面の読み込みや設定の棚卸しの下書きはAIに任せ、移すかやめるか、チャネルの範囲、除外の一覧の持ち主、比べ方、止める基準は人が決める

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目次

2026年5月、グーグルはディスプレイ広告の型を自分で畳んだ

グーグルは2026年5月26日の公式ブログで、ディスプレイ広告をデマンドジェネレーションへ移し、GDNへの配信をデマンドジェネレーションのキャンペーンの中で管理する形に変えると発表しました。移行は2027年までに完了する見込みとしています。発表では、デマンドジェネレーションの中でも、GDNだけに配信を続けることはできると明記されています。つまり、GDNという配信先がなくなるのではなく、GDNだけを相手にしたキャンペーンの型がなくなる、ということです。

発表は、移った先で得られるものとして、ユーチューブ、ディスカバー、Gメール、グーグルマップへの配信と、面ごとに配信を切り替えるチャネルの設定を挙げています。GDNそのものについては、200万を超えるサイト、動画、アプリに届くと説明しています。これまで別々のキャンペーンで扱っていた面を、1つのキャンペーンの中で扱えるようにする、というのが媒体の側の狙いです。

発表には「デマンドジェネレーションのキャンペーンにGDNを足した広告主は、平均で費用対効果(ROI)が9.5%上がった」という数字も載っています。ただしこれはグーグル自身の社内データ(2025年8月)に基づく平均で、業種や商材ごとの内訳は示されていません。検討期間が長く、成果の件数が少ないBtoBの商材で同じ伸びが出るかどうかは、この数字からは分かりません。社内の説明資料にこの数字を使うときは、出どころと前提を必ず添えてください。

大事なのは、これが新しい機能を「使うかどうか」の話ではない点です。媒体が型そのものを畳む以上、GDNを使ってきた広告主は、どう移るか、移らずにやめるかを選ぶ立場に置かれます。何もしなければ、いずれ媒体の決めた既定の形で移されます。だからこそ、移される前に自分たちで決めておく項目を洗い出す必要があります。

決まっていることと、まだ日付のないこと

グーグル広告のヘルプによると、移行ツールは2026年6月から段階的に提供されています。その後、新しいディスプレイ広告のキャンペーンはデマンドジェネレーションの中でしか作れなくなり、移されずに残ったキャンペーンは、今後自動で移される予定とされています。ここまでが、公式に書かれている順番です。

一方で、新しく作れなくなる日と、自動で移される日には、2026年10月3日時点のヘルプに具体的な日付がありません。社内で「何月までに移さないといけない」と言い切ると、根拠のない期限が一人歩きします。期限を決めるなら、それは媒体の期限ではなく、自社が「自動で移される前に、移すかやめるかを決め終える」ための社内の期限として置くのが正確です。

移行ツールで移したときの扱いも、ヘルプに書かれています。元のキャンペーンは「削除済み」の状態になりますが、レポートのために最長5年間アカウントに残ります。元のキャンペーンの状態は引き継がれ、一時停止していたものは、移した後も一時停止のままです。新しいキャンペーンの名前には、元の名前の後に「2」が付きます。また、広告は新しく作られた扱いになり、審査をやり直します。

実務で効いてくるのは、最後の2点です。移した当日にすでに使った予算は、新しいキャンペーンでは考慮されないとされています。審査のやり直しで、配信が一時的に途切れることもありえます。移す日を月の途中や、展示会の前のような配信の山に置かない、という日程の判断は人がします。

移っても使えるもの、使えなくなるもの

移す前に最初に読むべきなのは、ヘルプにある「使えなくなる機能」の一覧です。自社のキャンペーンがその機能に頼っていれば、移した瞬間に動き方が変わります。2026年10月3日に確認したヘルプの記載を、移す前に人が決めることと並べてまとめます。

区分公式ヘルプの記載(要約)移す前に人が決めること
入札個別クリック単価、視認可能インプレッションでの課金、コンバージョンに対する支払い、入札単価調整、季節性の調整、ポートフォリオ入札戦略は使えない。目標コンバージョン単価やコンバージョン数の最大化などは使えるどの自動入札に寄せ、目標の値をいくらに置くか
届ける相手組み合わせオーディエンスは使えない。自社の顧客データやカスタムセグメント、コンテンツのターゲットは引き継がれる組み合わせで絞っていた条件を、何で置き換えるか
除外コンテンツの適合性の除外はアカウント単位だけに対応し、キャンペーン単位の設定はアカウント単位へ移す。プレースメントとトピックの除外は対応。広告グループの除外設定は一部が非対応除外の一覧をどの単位で持ち、誰が管理するか
広告の形式アップロード型のディスプレイ広告(HTML5)と第三者広告は2026年後半に対応予定。ビジネスデータのフィードは近日対応予定対応するまでの間、その形式の広告をどう扱うか
その他共有予算、リードフォーム、電話をかけるボタンのアセットなどは、移行の際に非対応として示される代わりの導線と予算の分け方をどうするか
測定ブランド効果測定と、検索数の増加の測定は使えない認知の効果を、別のどの物差しで見るか

「対応予定」「近日対応予定」と書かれている項目は、時期が動く可能性があります。移す直前にもう一度ヘルプを読み直し、自社に当たる項目だけを確かめる手順を、段取りに入れておいてください。この一覧は日付の付いた控えとして残し、後で「なぜこの設定を変えたのか」を説明するときの根拠にします。

BtoBの運用で特に響きやすいのは、入札とその他の行です。限られた業界のサイトに絞って個別クリック単価で入札していたキャンペーンは、入札の考え方そのものが変わります。リードフォームで資料請求を受けていた場合や、複数のキャンペーンで予算を共有していた場合も、移す前に代わりの形を決めておかないと、成果の受け皿と予算の配分が同時に崩れます。

配信先と入札の判断がAIに移るとは、どういうことか

これまでのGDNの運用では、人が配信先のサイトやアプリを選び、面ごとや広告グループごとに単価を決めて入札する、という形をとれました。移った後は、入札は自動入札が中心になり、届ける相手も、指定したセグメントを手がかりにAIが広げていく形になります。人が手で握っていた「どこに、いくらで出すか」の判断の多くが、媒体のAIに移ります。

このとき人に残るのは、どこに出すかを選ぶことではなく、どこに出さないかを決めることと、AIに渡す目標の値を決めることです。配信先を選ぶ運用から、除外と目標で枠をはめる運用へ、仕事の中身が変わります。除外の一覧と目標の値が粗いままAIに渡すと、AIはその粗さのまま最適化を進めます。

デマンドジェネレーションそのものの始め方、入稿の要件、オーディエンスの作り方は、別の記事「【2026年】デマンドジェネレーション広告の入門」にあたる内容で、本稿では扱いません。本稿が扱うのは、いまGDNで動いているキャンペーンを持つ側が、畳む前と後に何を決めるかに限ります。初めて使う側の手順と、既存の運用を移す側の判断は、決める人も決める順番も違うからです。

もう1つ変わるのは、成果の読み方です。チャネルを広げると、AIは面をまたいで予算を動かします。そうなると、成果が上がっても下がっても、どの面が効いたのかを人が読み解く手間が増えます。判断をAIに渡すほど、人が読める形で記録を残す仕組みを先に用意しておく必要があります。

最初の判断は、移すか、移す前にやめるか

最初に決めるのは、そのキャンペーンを移すのか、移す前にやめるのかです。判断の材料は、いまのGDNの成果がどこから来ていたかです。成果が、手で選んだ配信先と個別クリック単価の細かな調整から生まれていた場合、移した後の自動入札で同じ成果が出る保証はありません。その成果の源泉は、移すとそのまま使えなくなるからです。

選択肢は大きく3つあります。移行ツールで履歴ごと移す、デマンドジェネレーションで構成から作り直す、移す前に止めて予算を別の施策に回す、の3つです。どれを選ぶかはキャンペーンごとに違ってよく、全部を同じ扱いにする必要はありません。リマーケティングのように引き継がれる設定が中心のキャンペーンと、配信先の指定が中心のキャンペーンとでは、移したときの変わり方がまったく違います。

止める判断の目安としては、たとえば次のようなものがあります。直近の期間で商談や有効なリードにつながった記録がほとんどない。成果の件数が少なく、自動入札に渡す材料が足りない。そもそも惰性で続いていて、担当者も目的を説明できない。こうしたキャンペーンは、移す手間をかける前に、やめる候補として並べてみる価値があります。

やめるのも立派な判断です。ただし、やめるかどうかは広告の担当者だけで決めず、成果を受け取る営業の責任者と合わせて決めるようにしてください。広告の管理画面では成果が薄く見えても、営業の側では指名の問い合わせのきっかけとして効いていた、ということがあるからです。

チャネルの範囲は、GDNだけに絞るか、広げるか

ヘルプによると、移行ツールで移したキャンペーンでは、はじめはGDNが有効になっており、移行の間は外せません。そのうえでヘルプは、チャネルの設定でGDNだけにしておくことを勧めています。まずは移す前と同じ面に出し続けることで、変化をGDNの中だけに閉じ込められる、という考え方です。

チャネルを広げると、ユーチューブ、ディスカバー、Gメールなどにも配信が広がり、AIがそれらの面をまたいで予算を動かします。BtoBでは、面が広がると、届く相手の性格まで変わることに注意が要ります。業界のサイトで記事を読んでいた担当者と、動画の合間に広告を見た人とでは、同じクリックでも意味が違います。

おすすめの順番は、移すことと広げることを別の判断として分けることです。まずGDNだけで移し、移す前と後の成果を比べます。そのうえで、広げるかどうかを、期間と予算の上限を区切った試しとして決めます。2つを同時に変えると、成果が変わった理由が移行なのか、面の広がりなのか分からなくなります。

チャネルを広げる判断は、運用の担当者ではなく予算を持つ責任者が決めるのが筋です。広げれば、予算の一部が広告の担当者の目の届きにくい面に流れます。どの面にいくらまで流れてよいか、という枠は、運用の作業ではなく予算の判断だからです。

引き継がれない設定を、移す前に一覧にする

移すと決めたキャンペーンについては、引き継がれない設定を移す前に一覧にします。先ほどの表の項目のうち、自社のキャンペーンで実際に使っているものを、キャンペーンごとに拾い出す作業です。棚卸しは次の順で進めると漏れが減ります。

  1. キャンペーンごとに、入札の方式と単価の設定を書き出す
  2. 入札単価調整、季節性の調整、ポートフォリオ入札戦略を使っているかを確かめる
  3. 組み合わせオーディエンスで絞り込んでいる条件を書き出す
  4. キャンペーン単位と広告グループ単位の除外の設定を書き出す
  5. アップロード型の広告、リードフォーム、共有予算を使っているかを確かめる

この書き出しの下書きは、AIに任せやすい作業です。管理画面から書き出した設定の一覧を読み込ませ、ヘルプの非対応の項目に当たるものを拾わせます。ただし、AIにはどの設定のどの値を見て「当たる」と判断したのかを、項目ごとに書かせてください。根拠のない一覧は、人が確かめようがありません。最後は人が実際の画面で照らし合わせます。

一覧ができたら、項目ごとに「何で置き換えるか」と「置き換えを決める人」を1人ずつ割り当てます。入札の項目は運用の担当者、リードフォームの代わりの導線はフォームを持つ担当者、共有予算の分け方は予算の責任者、というように、項目によって決める人が違います。置き換えの担当が空欄の項目は、移した後に誰も気づかないまま消えます。

除外の一覧は誰が持ち、どの周期で見直すか

配信先を選べなくなるぶん、除外の一覧の重みが増します。ヘルプによると、コンテンツの適合性の除外はアカウント単位だけに対応し、キャンペーン単位で持っていた設定はアカウント単位へ移すことになります。キャンペーンごとに違う基準で外していた場合は、移す前にアカウント全体で1つの基準にまとめる判断が要ります。

除外の一覧には、持ち主を1人決めます。持ち主が決まっていない一覧は、誰かが足すことはあっても、誰も見直さないまま膨らみます。そして見直しの周期を決めます。たとえば月に1回、掲載面の実績を見て候補を足し、四半期に1回、外しすぎていないかを見直す、といった形です。周期そのものは商材と予算の規模で決めます。

掲載面のレポートの見方と除外の手順は、別の記事「配信先の除外で広告費を守る手順|表示先の点検を習慣に」で扱っています。また、どんな面に載ると自社の信用を損なうか、という基準の決め方は「ブランドセーフティ対策とは?|広告が載る面を選ぶ基準」で整理しています。本稿では、その一覧を移行の後も誰が持ち続けるか、という点だけを扱います。

除外の候補を洗い出す作業は、AIが得意です。掲載面のレポートを読み込ませ、成果がない面や商材と関係のない面を候補として挙げさせます。ただし、除外を決めるのは人です。外しすぎると配信の量が落ち、自動入札に渡る材料も減ります。AIには候補ごとに理由を書かせ、持ち主が採否を決めて、決めた日と理由を一覧に残します。

移行ツールで移すか、手で作り直すか

移すと決めたら、移行ツールを使うか、デマンドジェネレーションで手で作り直すかを選びます。ヘルプによると、移行ツールを使うと過去42日分までの成果の履歴を引き継いで移せるため、学習の期間を1〜2日程度に抑えられるとされています。成果が安定しているキャンペーンを、なるべく揺らさずに移したい場合は、こちらが向いています。

手で作り直すほうが向いているのは、これを機に構成を整理し直したい場合です。たとえば、似た狙いのキャンペーンが何本も並んでいる、古い設定が積み重なって誰も全体を説明できない、といった状態なら、そのまま移すと散らかった構成ごと引き継ぐことになります。その代わり、作り直すと履歴を引き継げず、学習は一からになります。

どちらを選んでも、移した後に確かめることは同じです。新しいキャンペーンの名前に付く「2」を社内の命名の決まりに合わせるか、広告の審査が通っているか、予算の消化が想定どおりか、を移した直後の数日で確かめます。移した日と、移した人と、選んだ方法を記録しておくことも忘れないでください。後で成果を比べるときの起点になります。

移行ツールが引き継ぐのは履歴であって、判断ではありません。過去42日分の成果を引き継いでも、その成果を何と比べてよしとするか、どこまで下がったら止めるかは、ツールは決めてくれません。次の2つの節で、その2つを扱います。

移行の前と後を、どの期間とどの物差しで比べるか

移した後の成果を判断するには、比べる期間と物差しを、移す前に決めておく必要があります。期間は、移す前と後で同じ長さをとり、繁忙期や展示会のような季節の山が片方だけに入らないようにします。成果の件数が少ないBtoBでは、短い期間で比べると、たまたまの増減を変化と見誤りやすくなります。

物差しは、クリック単価やクリック率ではなく、商談や有効なリードのような、事業の側で意味のある成果に置きます。面が広がったり入札が変わったりすると、広告の管理画面で数えられる成果の種類や数え方が変わり、見かけの件数が増えることがあります。広告の管理画面の数字と、営業の管理表の数字を並べて見る形にしておくと、見かけの変化に振り回されにくくなります。

移す前の数字は、移す前の時点で控えておきます。元のキャンペーンのレポートは最長5年残るとされていますが、比べる物差しが商談の数なら、その数字は広告の管理画面の外にあります。移す直前の一定期間の成果を、比べる物差しごとに表に固定して残すのが確実です。

比較の表を作る作業は、AIに任せられます。移す前と後の数字を並べ、差を計算し、目立つ動きに印を付けるところまでです。ただし、差が移行のせいなのか、季節や営業の動きのせいなのかを判断するのは人です。AIには、計算に使った数字の出どころを表の中に残させてください。

止める基準を、移す前に書いておく

移した後で成果が落ちたとき、その場で止めるかどうかを議論し始めると、判断が遅れます。そこで、移す前に、何がどうなったら止めるかを書いておきます。たとえば、比べる期間の商談1件あたりの費用が、移す前の水準から一定の幅を超えて悪化したら止める、問題のある面への配信が見つかったら止める、といった形です。幅をどこに置くかは、商材の単価と予算の大きさで人が決めます。

止める権限を誰が持つかも決めておきます。運用の担当者が止めてよいのか、予算の責任者の承認が要るのかを分けておかないと、問題に気づいた人が手を出せずに数日が過ぎます。面の問題のように急ぐものは担当者がまず止めてよく、成果の悪化のように判断が要るものは責任者が決める、という分け方が現実的です。

気をつけたいのは、止めた後にGDNだけの型には戻れないことです。媒体の側で型が畳まれる以上、止めるとは「その予算を別の施策に回す」ことを意味します。止めた場合の予算の行き先も、あわせて決めておくと、止める判断がしやすくなります。

基準は一度決めたら終わりではありません。移した直後の数週間は学習の揺れもあるため、最初の見直しの日をあらかじめ決めておき、その日に基準そのものを見直す形にします。基準を変えたときは、変えた理由と日付を残します。

AIに任せてよい作業と、人が持つ判断

ここまでの作業のうち、AIに任せてよいものを整理しておきます。共通しているのは、どれも「材料をそろえる」作業で、「決める」作業ではないことです。

  • 掲載面のレポートを読み込み、成果のない面や商材と関係のない面を、除外の候補として理由付きで挙げる
  • 書き出した設定の一覧から、ヘルプの非対応の項目に当たるものを拾い、棚卸しの下書きを作る
  • 移す前と後の数字を物差しごとに並べ、差を計算し、目立つ動きに印を付ける
  • ヘルプの更新の有無を確かめるため、前回控えた一覧と今の記載の違いを洗い出す

反対に、人が持ち続ける判断は次のとおりです。移すか、移す前にやめるか。チャネルをGDNだけに絞るか、広げるか。除外の一覧を誰が持ち、どの周期で見直すか。比べる期間と物差しを何にするか。何がどうなったら止めるか。どれも、媒体のAIに渡した判断の外側に、人が枠を引く仕事です。

AIに材料をそろえさせるときは、必ず根拠を書かせます。除外の候補なら、どの期間のどの数字を見たのか。棚卸しなら、どの設定のどの値を見たのか。AIの出した一覧を、根拠をたどらずにそのまま設定に反映しないことが、事故を防ぐいちばん確かな方法です。

移行を進める手順

ここまでの判断を、作業の順番に並べると次のようになります。全部のキャンペーンを一度に移すのではなく、影響の小さいものから順に移していくのが安全です。

STEP1
キャンペーンを並べ、移すかやめるかを決める

GDNのキャンペーンを一覧にし、成果の源泉と直近の実績を並べます。移す、作り直す、やめるのどれにするかを、営業の責任者と合わせて決めます。

STEP2
引き継がれない設定を棚卸しする

移すキャンペーンごとに、ヘルプの非対応の項目に当たる設定を書き出します。下書きはAIに任せ、根拠を書かせて人が画面で照らし合わせます。

STEP3
置き換えと除外の持ち主を決める

項目ごとに置き換えの方法と担当を決め、除外の一覧の持ち主と見直しの周期を決めます。

STEP4
比べる期間と物差し、止める基準を書く

移す前の成果を物差しごとに固定して残し、止める基準と止める権限を文書にします。

STEP5
GDNだけで1本目を移す

影響の小さいキャンペーンから、チャネルをGDNだけにして移します。移す日は月の途中や配信の山を避けます。

STEP6
最初の見直しの日に判断する

決めておいた日に前後を比べ、続ける、止める、次を移す、チャネルを広げる試しをする、のどれかを決めます。

この手順のどこでも、AIの作業の結果は元の数字や設定にさかのぼれる形で残してください。移した後に成果が変わったとき、どの判断を、誰が、何を根拠に下したのかを説明できることが、次のキャンペーンを移すときの材料になります。

体制:誰が何を持つか

移行の判断は、広告の担当者1人の作業に見えて、実は複数の人の判断が絡みます。誰が何を決めるかを先に表にしておくと、移した後に「聞いていない」が起きにくくなります。

決めること決める人AIに任せる下ごしらえ
移すか、やめるか広告の責任者と営業の責任者キャンペーンごとの実績の並べ替え
チャネルの範囲予算を持つ責任者面ごとの配信の実績のまとめ
引き継がれない設定の置き換え項目ごとの担当者非対応の項目の棚卸しの下書き
除外の一覧と見直しの周期除外の一覧の持ち主除外の候補の洗い出しと理由
比べる期間と物差し、止める基準広告の責任者前後の数字の比較表

移行のときに起きやすい失敗も挙げておきます。

  • 全部を一度に移す:成果が変わったとき、どのキャンペーンの何が原因か分からなくなる
  • 移すことと広げることを同時にする:変化の理由が、移行か面の広がりか切り分けられない
  • AIの除外候補をそのまま反映する:外しすぎて配信の量が落ち、自動入札に渡る材料まで減る
  • 媒体の数字だけで成否を決める:見かけの件数の増減に振り回され、商談の数で見ると逆の結論になる
  • 9.5%の数字を目標に置く:グーグル自身の平均を、自社の商材で約束された数字のように扱う

どの失敗も、AIの性能ではなく、判断の線を引かないまま作業を進めたことから起きます。媒体がAIに判断を寄せていく流れは、ディスプレイ広告に限らず続いていきます。今回の移行で引いた線は、次に別の型が畳まれたときにもそのまま使えます。

よくある質問

移した後も、GDNだけに広告を出し続けられますか?

出し続けられます。グーグルの発表は、デマンドジェネレーションの中でもGDNだけに配信できるとしており、ヘルプもチャネルの設定でGDNだけにしておくことを勧めています。ただし入札の方式などは、デマンドジェネレーションの仕組みに合わせて変わります。

自動で移されるのはいつですか?

2026年10月3日時点のヘルプでは、移行ツールが2026年6月から段階的に提供され、残ったキャンペーンは今後自動で移される、とされていて、具体的な日付は書かれていません。発表では、移行は2027年までに完了する見込みとされています。日付が出たときに見落とさないよう、ヘルプを定期的に確かめる担当を決めておくと安心です。

移した後で、元のキャンペーンに戻せますか?

ヘルプでは、移した元のキャンペーンは「削除済み」の状態になり、レポートのために最長5年間残るとされています。元の形に戻す方法については、確認した範囲のヘルプには記載がありませんでした。戻せる前提で移さず、移す前に止める基準と予算の行き先を決めておくほうが安全です。

費用対効果が9.5%上がるという数字は、BtoBにも当てはまりますか?

分かりません。この数字はグーグル自身の社内データ(2025年8月)に基づく平均で、業種や商材の内訳は示されていません。自社で判断するときは、移す前と後を自社の物差しで比べた結果を使ってください。

  • 発表の日付、2027年までの完了見込み、9.5%の数字は、グーグルの公式ブログ(2026年5月26日)に基づきます
  • 移行ツールの提供時期、使えなくなる機能と引き継がれる機能、履歴の42日分、元のキャンペーンの扱いは、グーグル広告ヘルプの、ディスプレイ広告キャンペーンをデマンドジェネレーションに移行する手順のページに基づきます(2026年10月3日に確認)
  • ヘルプの「対応予定」の項目は変わる可能性があります。移す直前に最新の記載を確かめてください

まとめ

グーグルは2026年5月26日、ディスプレイ広告をデマンドジェネレーションにまとめると発表し、移行は2027年までに完了する見込みとしています。GDNだけに配信を続けることはできますが、個別クリック単価や視認可能インプレッションでの課金などは使えなくなり、配信先と入札の判断の多くが媒体のAIに移ります。新しく作れなくなる日と自動で移される日は、まだ公式に示されていません。だからこそ、自動で移される前に、キャンペーンごとに移すかやめるかを決め、チャネルはまずGDNだけに絞り、引き継がれない設定の置き換えの担当を決め、除外の一覧の持ち主と見直しの周期を決め、比べる期間と物差しと止める基準を書いておいてください。掲載面の読み込み、設定の棚卸しの下書き、前後の数字の並べ替えはAIに任せ、根拠を書かせたうえで、線を引く判断は人が持ちます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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