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社員から届く「このサービスに業務データを入れてよいか」の質問に、情報セキュリティ規程と許可したサービスの一覧を根拠にチャットで答え、例外申請が要るものを担当へ回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社員が「このサービスに顧客の資料を入れてよいか」とチャットで聞くと、データの格付け・サービス・端末を聞き返して特定し、規程と許可サービスの一覧から可否の根拠を条文付きで答えます。例外申請が要るものは担当へ回します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
IT・SaaS/人材/広告/製造/金融
対象部門
情報システム
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/問い合わせが多い/属人化している
AIで行う処理
対話
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/属人化解消
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
96h/月
AI導入後
32h/月
想定削減
67%
年間削減
768h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 社員が社内チャットの窓口に「このサービスを使ってよいか」と書き込む
  2. 情報セキュリティ担当が、何のデータを、どのアカウントで、どの端末で使うのかを聞き返す
  3. 担当が許可サービスの一覧を開き、サービスの許可の区分と条件を確かめる
  4. 規程とガイドラインを開き、格付けの取扱いと条件に当たる条文を探す
  5. 可否と条件を返信し、根拠の条文を添える
  6. 一覧に無いサービスや例外が要るものは、申請の様式を案内する
  7. 質問と回答を問い合わせの一覧に書く
導入後(After)
  1. 人社員が社内ポータルのチャットで質問する(例:「取引先から届いた仕様書を翻訳サービスに入れてよいか」)
  2. 自動中継プログラムが、質問からサービス名と使い方の種類を取り出し、許可サービスの一覧を引く
  3. 自動まだ分かっていない項目(格付け、アカウントの種類、端末)を、選択肢付きで1つずつ聞き返す
  4. 自動格付けとサービスの区分と端末の組み合わせから、判定の表で「可/条件付き可/不可/例外申請/未審査」を決める
  5. 自動Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その判定の根拠になる規程とガイドラインの条文を探し、出典を付けて説明を作る
  6. 自動中継プログラムが、説明の結論が判定の表と食い違っていないかを確かめる
  7. 自動例外申請・未審査・判定の表に無い組み合わせは、聞き取った条件を付けて情報セキュリティ担当へ回す
  8. 人社員は回答の条文を開き、条件(会社のアカウントに限る、など)を確かめてから使う
  9. 人担当は、回ってきた質問だけを、聞き取り済みの条件を見て答える
各工程の詳しい説明を読む
  1. 社員が社内チャットの窓口に「このサービスを使ってよいか」と書き込む
  2. 情報セキュリティ担当が、何のデータを、どのアカウントで、どの端末で使うのかを聞き返す
  3. 担当が許可サービスの一覧を開き、サービスの許可の区分と条件を確かめる
  4. 規程とガイドラインを開き、格付けの取扱いと条件に当たる条文を探す
  5. 可否と条件を返信し、根拠の条文を添える
  6. 一覧に無いサービスや例外が要るものは、申請の様式を案内する
  7. 質問と回答を問い合わせの一覧に書く

(a)聞き返しが1往復で終わらない。 2番目で「何のデータか」を聞くと「普通の資料です」と返り、格付けを確かめるために同じ社員にもう一度聞くことになります。 担当が席を外していると、そのやり取りが半日止まります。

(b)答えが担当者で揺れる。 「会社の契約のアカウントに限り、社内限りまで可」のような条件を、ある担当は「機密も可」と読み、ある担当は「社内限りまで」と読みます。同じ質問に違う答えが返ったことが社内のチャットで話題になると、規程そのものが信用されなくなります。

(c)一覧に無いと「不可」と答えてしまう。 一覧に無いのは未審査という意味なのに、忙しい日は「一覧に無いので使えません」と返します。社員は、申請すれば使えたかもしれないものを、別の手段で回避しはじめます。

(d)同じ質問が何度も届く。 月480件のうち、同じサービスの同じ使い方の質問が部署を変えて何度も届きます。 回答は一覧に残っていますが、社員からは見えません。

4つとも、規程の中身の問題ではありません。 規程を読み解く役を担当4名が1件ずつ引き受けているため、質問の件数がそのまま情報システム部門の工数になっています。

  1. 【人】 社員が社内ポータルのチャットで質問する(例:「取引先から届いた仕様書を翻訳サービスに入れてよいか」)
  2. 【自動】 中継プログラムが、質問からサービス名と使い方の種類を取り出し、許可サービスの一覧を引く
  3. 【自動】 まだ分かっていない項目(格付け、アカウントの種類、端末)を、選択肢付きで1つずつ聞き返す
  4. 【自動】 格付けとサービスの区分と端末の組み合わせから、判定の表で「可/条件付き可/不可/例外申請/未審査」を決める
  5. 【自動】 Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その判定の根拠になる規程とガイドラインの条文を探し、出典を付けて説明を作る
  6. 【自動】 中継プログラムが、説明の結論が判定の表と食い違っていないかを確かめる
  7. 【自動】 例外申請・未審査・判定の表に無い組み合わせは、聞き取った条件を付けて情報セキュリティ担当へ回す
  8. 【人】 社員は回答の条文を開き、条件(会社のアカウントに限る、など)を確かめてから使う
  9. 【人】 担当は、回ってきた質問だけを、聞き取り済みの条件を見て答える

4番目が、この設計の分かれ目です。 判定の表は、格付けの規程とサービスの一覧をそのまま行と列にしたもので、AIに可否を考えさせません。 可否をAIに任せると、条文の言い回しが似ている別のサービスの条件を当てはめた答えが、正しい答えと同じ顔で返ります。

6番目の照合を省かないでください。 answer メソッドが作る説明は文章なので、判定が「条件付き可」なのに説明が「利用できます」で終わることがあります。結論の語が判定と合わない説明は、社員に出さずに担当へ回します。

02今回想定するシステム構成

構成図
社内ポータルのチャット(社員)
   ▼【トリガー】質問の送信
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ サービス名の取り出し → 許可サービスの一覧(区分・上限の格付け・条件)
   ├──▶ 未確認の項目(格付け・アカウント・端末)を選択肢付きで聞き返す
   ├──▶ 判定の表で 可/条件付き可/不可/例外申請/未審査 を決める
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド
   │  データストア:基本方針+規程4本+ガイドライン6本+過去の回答集
   │  絞り込み:topic/effective_from/status
   │  閲覧の権限:例外承認の記録は情報セキュリティ担当だけ
   ▼
中継プログラム ── 判定と説明の照合
   ├──▶ 回答と条文を返す
   └──▶ 例外申請・未審査・照合不一致 → 担当の待ち行列
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの説明の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、チャット・一覧・検索・待ち行列をつなぐ)Node.js で同じものを書く
認証社内の ID 基盤(Microsoft Entra ID など。Workforce Identity Federation でつなぐ)Google の ID
保管Cloud Storage(規程・ガイドラインの原本とメタデータ)─

社内ポータルと問い合わせの一覧は、新しく足すものではありません。 チャットの画面をポータルに置き、記録は中継プログラムが一覧に書き足します。最初の準備は、許可サービスの一覧に「上限の格付け」と「条件」の列をそろえ、判定の表を作ることです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、includeCitations で出典を付けられます。セッションを使った複数回のやり取りに対応し、質問の言い換えは既定で有効です。関係の薄い内容しか無いときは回答を作らず、answerSkippedReasons で理由を返します。

規程の土台には、公的なひな形を使えます。 IPA の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(2026年3月27日公開)は、付録に「情報セキュリティ関連規程(サンプル)」と「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」を収めています。規程がまだ薄い会社は、この構成を作る前に、サンプルを下敷きに格付けとクラウドの利用の条文を整えるのが先です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、社員がチャットで質問を送ったことです。 チャットは社内ポータルに置き、社内の ID でログインした社員だけが使えるようにします。ログインした社員の所属が、回答に添える問い合わせ先と、閲覧の権限の判定に使われます。

1つの質問は、1つのセッションで最後まで続けます。 格付けを聞き返すやり取りと、答えたあとの「では社外のアカウントで受け取るだけなら」のような続けての質問を、同じセッションでつなぎます。別のサービスの質問は、新しいセッションで始めてもらいます。 同じセッションでサービスを変えると、前のサービスの条件が言い換えに混ざります。

処理は質問のたびに1件ずつ行います。 社員は作業の手を止めて返事を待っているので、まとめて処理する理由がありません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問社員の質問の文、選んだ聞き返しの値チャット
社員の情報所属の部署、職位社内の ID 基盤
許可サービスの一覧サービス名と別名、許可の区分、扱ってよい格付けの上限、条件、次の見直しの日情報セキュリティ担当の表
判定の表格付け × 区分 × アカウント × 端末 の組み合わせごとの結論情報セキュリティ担当が作る表
規程とガイドライン基本方針、格付けと取扱い、クラウドの利用、端末の利用、生成AIの利用など社内ポータルのPDF
過去の回答集よくある質問と回答、根拠の条文問い合わせの一覧から担当が選んだもの
例外承認の記録承認した例外の内容と期限情報セキュリティ担当の記録

質を決めるのは、許可サービスの一覧の「上限の格付け」と「条件」の列です。 ここが「可」「不可」の2値しか無いと、社員の質問の多くを占める「機密はだめだが社内限りなら会社のアカウントで可」が表せません。判定の表が答えを出せない組み合わせは、すべて担当へ回ることになります。

サービス名には別名の列を持たせます。 同じサービスでも、製品名、会社名、アプリの名前、略称で質問が届きます。別名で一覧を引けないと、許可済みのサービスが「未審査」として担当へ回ります。

Step3

データの取得方法を決める

規程・ガイドライン・過去の回答集は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 文書ごとのメタデータに、話題(生成AI/ファイル共有/端末/格付け など)、施行日、状態(現行/廃止)を持たせます。

取るものどこから何に使うか
話題、文書の種類(規程/ガイドライン/回答集)メタデータ絞り込み
施行日・状態メタデータ現行の版だけに絞る
閲覧の範囲acl_info例外承認の記録を担当だけに出す
サービスの区分・上限の格付け・条件許可サービスの一覧中継プログラムが直接引く

許可サービスの一覧は、データストアに入れず中継プログラムが直接引きます。 一覧は「このサービスの上限は社内限り」という事実の表で、検索して似たものを探す対象ではありません。 検索に入れると、名前の似た別のサービスの行が根拠に出ます。

絞り込みの式は、話題と日付で書きます。 項目を索引可能にしておけば、topic: ANY("generative_ai") AND status: ANY("current") のように書けます。施行日を比べるときは、日付をISO 8601の形式で書きます。改訂前のガイドラインは status を retired にして、検索の時点で除きます。

例外承認の記録には閲覧の範囲を付けます。 文書のメタデータの acl_info に、情報セキュリティ担当のグループの group_id を書くと、そのグループの社員の検索にだけ出ます。例外の記録には他部署の案件の事情が書かれているため、社員の検索に出してはいけません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 許可サービスの一覧を整える … 区分(許可/条件付き許可/禁止)、上限の格付け、条件、別名、見直しの日の列をそろえます
  2. 判定の表を作る … 格付け4段階 × 区分 × アカウント(会社の契約/個人)× 端末(会社支給/私物)の組み合わせに、結論を1つずつ書きます
  3. 規程を条文の単位で読めるようにする … データストアを作るときにレイアウトパーサーと分割を有効にし、includeAncestorHeadings で章と条の見出しを各断片に含めます
  4. ガイドラインに施行日と状態を付ける … 改訂のたびに旧版を retired にします
  5. 過去の回答集を選ぶ … 問い合わせの一覧から、規程の改訂後も通用する回答だけを選び、根拠の条文を書き添えます
  6. 個別の事情を除く … 回答集から、部署名・顧客名・案件名を伏せます
  7. 閲覧の範囲を決める … 例外承認の記録に acl_info を付けます

3番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成のあとでは有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 規程は「第○条」の見出しが無いと、断片だけを読んでもどの条の話か分かりません。分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。条が短い規程では小さめにします。

2番目の判定の表を、AIに作らせないでください。 表の1行は「機密 × 条件付き許可 × 会社の契約 × 会社支給 → 条件付き可(条件:一覧の条件欄)」のような事実で、情報セキュリティの責任者が承認するものです。 ここに推測が混ざると、AIが可否を決めているのと同じになります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、判定の表が出した結論の根拠になる条文を見つけ、条件と守ることを短く説明することです。 何を聞き返すかは聞き返しの表で、可否は判定の表で中継プログラムが決めます。

要素中身根拠
結論判定の表の結論をそのまま書く判定の表
根拠の条文格付けの取扱い、クラウドの利用、端末の利用の該当条規程とガイドライン
条件会社のアカウントに限る、ファイルを残さない、など一覧の条件欄と規程
次の手続き例外申請の様式、審査の依頼の窓口規程と回答集

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session質問ごとのセッション聞き返しと続けての質問をつなぐ
includeCitations有効説明の文に出典を付ける
ignoreLowRelevantContent有効規程に無い話に答えない
ignoreAdversarialQuery有効規程の抜け道を探す文面に答えない
ignoreNonAnswerSeekingQuery有効あいさつや雑談で検索しない
filter話題と状態改訂前のガイドラインを除く
userPseudoId社員ごとの仮の識別子質問の記録と結びつける
preamble下の指示答え方の規則を与える

ignoreAdversarialQuery は、この題材では特に効きます。 社員の質問には「規程に違反しないで顧客データを生成AIに入れる方法は」のように、禁止の抜け道を探す形のものが混ざります。 答えを作らず、担当へ回します。

させないこと理由
可否の結論を決める判定の表と責任者の承認で決まる
データの格付けを決める格付けは資料の持ち主の部署が規程に沿って決める
一覧に無いサービスの安全性の評価審査は情報セキュリティ担当の仕事
例外を認めてよいかの見通し例外の承認は責任者が事案ごとに判断する
規程に無い一般的な対策の提案自社の規程と食い違いうる

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 社員が「普通の会議資料です」と書くと、モデルは「社内限り」と読み替えて答えようとします。格付けは聞き返しの選択肢で社員本人に選ばせ、「分からない」が選ばれたら、格付けの決め方の条文だけを示して止めます。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは情報システム部門で、社員からの「使ってよいか」の質問に
社内の規程を根拠に説明する担当です。
読むのは業務の手を止めて返事を待っている社員です。

【前提】
検索の文の最初に、聞き取った条件と、判定の表が出した結論が並んでいます。
結論は確定しています。あなたが変えてはいけません。

【答え方】
1. 最初の行に、与えられた結論(可/条件付き可/不可/例外申請/未審査)を
   そのまま書いてください。
2. 次に、その結論の根拠になる規程・ガイドラインの名前と条の番号を書いてください。
3. 条件付き可のときは、守る条件を箇条書きで書いてください。
   許可サービスの一覧の条件欄の語をそのまま使ってください。
4. 例外申請・未審査のときは、次の手続きの名前と窓口だけを書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで説明してください。
  一般的なセキュリティの知識で条件を足さないでください。
- 与えられた結論と違う結論を書かないでください。
  条文が結論と合わないと思ったときは、
  「規程の確認が必要です。情報セキュリティ担当へ回します」とだけ書いてください。
- データの格付けを推測しないでください。
- 一覧に無いサービスについて、安全かどうかの意見を書かないでください。
- 例外が認められそうかどうかを書かないでください。
- 規程の抜け道や、禁止されていることを避ける方法を書かないでください。
- 該当する条文が見つからないときは、
  「規程とガイドラインに該当する記載が見つかりません。情報セキュリティ担当へ回します」
  とだけ書いてください。
- 顧客名、案件名、個人名を書かないでください。

「結論は確定している。変えてはいけない」が、この指示の要です。 モデルに条文だけを渡すと、条文を読んで自分で可否を考え、判定の表と違う結論を丁寧な根拠付きで書きます。結論を先に渡し、それを説明する役に限ることで、文章の役と判定の役が分かれます。

検索の文は、中継プログラムが組み立てます。 例えば「サービス:翻訳サービスA(条件付き許可、上限:社内限り)、データ:取引先の仕様書(機密)、アカウント:会社の契約、端末:会社支給。判定:不可。根拠の条文を示してください」のように、条件と結論を並べ、社員の質問の文を最後に足します。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、チャットと記録に渡します。

{
  "inquiry_id": "",
  "session_id": "",
  "department": "",
  "service": { "name": "", "matched_alias": "", "category": "allowed | conditional | prohibited | not_listed" },
  "conditions": { "classification": "public | internal | confidential | secret | unknown",
                  "account": "corporate | personal", "device": "company | byod" },
  "verdict": "ok | ok_with_conditions | ng | exception_required | not_reviewed",
  "status": "answered | escalated | skipped",
  "escalate_reason": "exception | not_reviewed | mismatch | skipped | adversarial | user_request | none",
  "answer_text": "",
  "policy_refs": [ { "doc": "", "article": "", "effective_from": "", "uri": "" } ],
  "service_conditions": [],
  "feedback": "resolved | escalated_after | wrong | none"
}

1つ目の理由は、verdict を説明の文と別に持てることです。 verdict は判定の表が決め、answer_text はAIが書きます。中継プログラムは、answer_text の最初の行が verdict と合っているかを機械的に照合し、合わないものを出しません。

2つ目は、conditions を回答と一緒に残せることです。 担当へ回すとき、聞き取り済みの格付け・アカウント・端末がそのまま渡るので、担当は聞き直さずに例外の審査に入れます。 誤った回答が出たときも、どの条件で判定したかが分かります。

3つ目は、service.category の not_listed を数えられることです。 未審査として回ったサービスを月ごとに数えると、次に審査すべきサービスの順番がそのまま決まります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
社内ポータルのチャット社内向けの画面質問を受け、聞き返しと回答を表示する
社内の ID 基盤Workforce Identity Federation社員の所属で閲覧の権限を決める
許可サービスの一覧と判定の表中継プログラムからの読み取り区分・上限の格付け・条件と、結論を引く
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し社員の ID で、規程とガイドラインから説明を作る
担当の待ち行列書き込み回す質問を、条件と判定と一緒に載せる
問い合わせの一覧書き込み質問・条件・判定・回答・評価を残す

許可サービスの一覧には書き込みません。 未審査のサービスが回ってきても、一覧に足すのは審査を終えた担当です。中継プログラムが一覧を書き換えられる作りにすると、照合の誤りが許可として残ります。

検索は、社員の ID で行います。 中継プログラムが広い権限のサービスアカウントで検索すると、例外承認の記録が一般の社員への説明に入ります。

Step9

人が確認する

社員は、回答を読んだあと必ず根拠の条文を開いてから使います。 回答は「どの条を読めばよいか」と結論を示すもので、条件の細かい言い回しは原文にしかありません。

  1. 結論と条件を確かめる … 条件付き可なら、条件の一つひとつを自分の使い方が満たしているかを見ます
  2. 聞き返しで選んだ値が正しいかを確かめる … 格付け・アカウント・端末の値を、回答の上に並べて表示します
  3. 評価を付ける … 解決した/担当へ回した/誤りを選びます

2番目を軽く見ないでください。 急いでいる社員は、会社の契約のアカウントと個人のアカウントを取り違えて選ぶことがあります。条件を1つ違えた回答は、条文まで含めて正しく見えるので、回答の側からは誤りに気付けません。

情報セキュリティ担当は、回ってきた質問だけを見ます。 例外申請は、これまでどおり責任者の承認に回します。未審査のサービスは、月に一度まとめて審査の順番を決め、審査が済んだら一覧と判定の表に足します。

目標は、480件をならして1件4分です。 回答で解決した質問の記録の確認と、回ってきた質問を担当が答える時間の平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
サービス名が一覧の名前にも別名にも当たらない候補を3つまで示して選んでもらい、無ければ not_reviewed で回す
格付けに「分からない」が選ばれる判定せず、格付けの決め方の条文と資料の持ち主の部署を示して止める
判定の表に無い組み合わせ回答を作らず担当へ回す。表に行を足すかを担当が決める
説明の結論が判定と合わない説明を出さず mismatch で回す
抜け道を探す質問と判定された回答を作らず adversarial で回す
該当する条文が無いanswerSkippedReasons の理由を記録し、担当へ回す
一覧の見直しの日を過ぎたサービス判定を「条件付き可」より上にしない。見直しの依頼を担当に出す
検索の呼び出しが失敗する「回答を作れませんでした」と表示し、窓口の連絡先を示す
社員が「担当と話したい」と書く回答の途中でも、その時点の条件を付けて担当へ回す

3行目は、最初の数か月は多く出ます。 判定の表は最初から全部の組み合わせを埋められません。回ってきた組み合わせに行を足していくことで、表は質問の実態に合わせて育ちます。 担当が答えた内容を、そのまま表の1行にします。

Step11

記録を残す

  • 質問の文、選んだ聞き返しの値、日時、所属の部署
  • 引いた一覧の行(区分・上限の格付け・条件)と、そのときの判定の表の版
  • 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
  • answer メソッドの応答の全文(説明、出典、回答しなかった理由)
  • 照合の結果、回す・回さないの判定と、その理由
  • 社員の評価と、担当が最終的に答えた内容

2行目で「判定の表の版」を残すのは、表が後から変わるためです。 サービスの区分を見直すと、過去の回答の意味が変わります。当時の表が残っていないと、「なぜあのとき可と答えたのか」を説明できません。 規程の監査で問われるのは、たいていこの点です。

04実装レベルの3段階

最小構成:規程を手元のAIサービスに読み込ませ、担当が条件と結論を貼って根拠を探させる / 条文の検索
半自動化:上記+データストアと判定の表を作り、担当がチャットの質問を見ながら検索画面で使う / 判定と根拠付きの説明、改訂前のガイドラインの除外
本格構成:上記+社員がチャットで直接聞き、聞き返しと照合、回す判断まで行う / 質問の聞き取りから回答・引き継ぎまで

半自動化で、1件12分が7分程度になります。 探す時間は縮みますが、聞き返しと、担当が全件を受ける形が残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、聞き返しがチャットの選択肢に移り、判定の表に答えのある質問が担当を通らずに完結するからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、担当が回答の前に何を聞き返しているかを記録から拾います。それが聞き返しの表と、判定の表の列の元になります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
480 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  480件 × 12分 ÷ 60 = 96 時間/月
導入後 480件 × 4分 ÷ 60 = 32 時間/月
月間削減時間
64h
削減率
67%
年間削減時間
768h
年間金額換算(時間単価4,000円)
307万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 従業員が数百名以上で、情報セキュリティ規程と情報の格付け(公開・社内・機密など)の決まりがすでに文書になっている会社。クラウドのサービスや生成AIの利用について、社員から情報システム部門へ「使ってよいか」「このデータを入れてよいか」の質問が月に数百件届き、答えが担当者によって揺れている場合。利用を許可したサービスの一覧を、表の形で持っているか、これから持つ用意がある場合。社内の文書を Google Cloud に置くことが自社の規程で認められている場合。
向いていない
  1. 情報セキュリティ規程が無い、または格付けの決まりが無く、可否が担当者の経験で決まっている場合(根拠にする文書が無いので、まず規程を書くのが先です)。従業員が数十名で、質問が月に数十件の場合。利用の可否の最終判断や例外の承認そのものをAIに任せたい場合(この構成は規程と一覧の該当箇所を示すだけで、例外の承認は情報セキュリティの責任者が行います)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の問い合わせの一覧から30件を選ぶ(一覧に無いサービスの質問と、条件付き許可の質問を数件入れる)
  2. その30件について、担当がどの条文と一覧の行を見て、どう答えたかを記録から拾う
  3. 規程4本と関係するガイドラインを、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
  4. 格付け・サービスの区分・アカウント・端末と、当時の結論を並べて貼り、「添付の資料だけを根拠に、この結論の根拠になる条文を番号付きで示してください。結論は変えないでください」と指示する
  5. 出てきた条文を、当時の担当の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ条文と条件が出たデータストアの構築に進む
結論を書き換えた、条件を足した指示の書き方で直る。構成は有効
担当ごとに当時の結論が違っていた判定の表を作るのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、第3章の(b)の揺れが、記録の上で確かめられたということです。 その質問の組み合わせを責任者と決め、判定の表の最初の行にします。

同じ30件を、結論を渡さずにも試してください。 AIに可否から考えさせたときに、当時の結論と何件違うかを数えると、判定の表を別に持つ意味が数字で分かります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが条文を読んで可否を考え直す結論を先に渡し、変えないと指示する。 説明の最初の行を判定と照合する
格付けを推測して答える格付けは社員に選ばせ、「分からない」なら判定せずに止める
一覧に無いサービスを「不可」と答えるnot_listed は「未審査」として回す。禁止と未審査を分ける
別名で一覧を引けない一覧に別名の列を持たせ、回ってきた名前を足していく
例外承認の記録が社員に見えるacl_info を付け、社員の ID で検索する
改訂前のガイドラインで答える旧版を retired にし、状態で絞り込む
条の見出しが無い断片で答える作成時に includeAncestorHeadings を有効にする。後から変えられない
抜け道を探す質問に答えるignoreAdversarialQuery を有効にし、回答を作らずに回す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、答えとしては筋が通っているのに、自社の決まりではないという失敗です。可否と格付けを規則と本人の選択で持っているかどうかで、社員に開けるかが決まります。

3行目は、運用が始まってから効いてきます。 「不可」と答えると社員は申請をあきらめ、規程の外で同じサービスを使い始めます。 未審査と答えて審査の順番に載せるほうが、結果として規程の内側に戻ってきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 情報セキュリティ規程とガイドライン、許可サービスの一覧、例外承認の記録、社員の質問の文です。質問の文には、社員が使おうとしているデータの中身(顧客名、案件名)が書かれがちです。

  1. 質問の文にデータの中身を書かせない … チャットの画面に「資料の中身や顧客名を書かないでください」と表示し、格付けは選択肢で入れさせます
  2. 可否をAIに決めさせない … 結論は判定の表で決め、表の変更は情報セキュリティの責任者の承認を通します
  3. 例外承認の記録を出し分ける … acl_info を付け、検索は社員の ID で行います
  4. 一覧と判定の表を中継プログラムから書き換えない … 読み取りだけにします
  5. 規程の抜け道の質問を記録に残す … adversarial で回った質問は、担当が月次で見て、規程の書き方を見直す材料にします
  6. 社内の文書をクラウドに置くことを、自社の規程で確かめる … この構成そのものが、自社のクラウドの利用の規程の審査を通っている必要があります

誤りが起きた場合のリスクは、使ってはいけないデータを使ってよいと答えることと、見せてはいけない記録が見えることの2つです。 前者は判定の表と説明の照合で、後者は ID による検索で防ぎます。どちらも規則と設定で守り、AIの説明の文に頼りません。

10まず何から始めるか

1週目:許可サービスの一覧を整える

一覧に、区分・上限の格付け・条件・別名・見直しの日の列をそろえます。質問の多い生成AI、ファイル共有、私物の端末の3つに関係するサービスから始めます。

2週目:30件で試す

先月の質問から30件を選び、手元のAIサービスに規程を読み込ませて、条件と当時の結論を並べて根拠の条文を探させます。結論を書き換えていないかを最優先で見ます。

3週目:判定の表を作る

3つの話題について、格付け × 区分 × アカウント × 端末 の組み合わせに結論を書き、責任者の承認を取ります。 この表は、異動してきた担当が何を確かめるべきかの手引きとしても、そのまま使えます。

4週目:データストアを作る

アクセス制御と分割・見出しの設定を決めて、規程とガイドラインと回答集を取り込みます。担当が検索画面で使い、自分の回答と比べます。

2か月目: 中継プログラムとチャットの画面を作り、2つの部署で試します。社員の評価と、回ってきた組み合わせの数を毎週数えます。3か月目以降: 全社に広げ、1件12分が何分になったかを実測します。判定の表に無い組み合わせで回る質問が月に数件以下に収まった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドがセッションによる複数回のやり取りに対応し、質問の言い換えが既定で有効なこと。includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreAdversarialQuery、ignoreNonAnswerSeekingQuery、answerSkippedReasons、preamble、filter、userPseudoIdGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-06
データソースのアクセス制御で、acl_info の readers に user_id/group_id を書いて閲覧の範囲を限れること。Microsoft Entra ID・Okta・Ping を Workforce Identity Federation でつなげること。作成時にしか有効にできないことGoogle Cloud: Use data source access control2026-10-06
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR/NOT、項目を索引可能にする必要があること、日付をISO 8601で書くことGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-06
分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割はデータストアの作成後に切り替えられないこと。レイアウトパーサーが見出しと表を検出することGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-06
「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(2026年3月27日公開)。付録に「情報セキュリティ関連規程(サンプル)」と「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」があることIPA: 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン2026-10-06

利用の可否と例外の承認は、自社の情報セキュリティ規程と責任者の判断に従ってください。 本記事は Google Cloud と IPA の公開ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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