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社内のIT問い合わせをチャットで一次対応する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社員が Teams のチャットで「VPNがつながらない」「共有フォルダに入れない」と書くと、情報システム部が SharePoint に置いている手順書とFAQを根拠に、その場で回答が返る構成です。回答には参照した文書へのリンクが付きます。

サマリー
利用ツール
Azure AI/ChatGPT/Claude/Gemini/Make/Microsoft Copilot/n8n/OpenSearch/Power Automate
対象業界
保険/教育/自治体/製造
対象部門
情報システム
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
人手が足りない/問い合わせが多い/情報が見つからない
AIで行う処理
対話
主な効果
対応スピード向上/工数削減/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
80h/月
AI導入後
30h/月
想定削減
63%
年間削減
600h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 社員がヘルプデスクの代表アドレス、Teams、または電話で問い合わせる
  2. 担当者が症状を聞き取り、どの種類の問題かを切り分ける
  3. 該当する手順書を SharePoint で探す(見つからないこともある)
  4. 手順を要約して回答する(電話の場合は口頭で読み上げる)
  5. 解決しなければ、自分で調査するか、担当者へ引き継ぐ
  6. チケット管理システムに内容を記録する
  7. 月次で件数を集計し、多い問い合わせを報告する
導入後(After)
  1. 社員が Teams でエージェントに質問する
  2. 自動質問した本人の権限の範囲で、手順書とFAQを検索する
  3. 自動見つかった内容を根拠に回答し、参照元の文書リンクを付ける
  4. 自動手順書に答えがない場合は、推測で答えず「記載がない」と返す
  5. 自動端末名、OSバージョン、症状が出た時刻などを対話で聞き取る
  6. 自動解決しなければ、やり取りをまとめてチケットを起票する
  7. 情報システム部が、起票されたチケットだけを見て対応する
  8. 自動回答できなかった質問を記録し、手順書の不足を洗い出す材料にする
各工程の詳しい説明を読む
  1. 社員がヘルプデスクの代表アドレス、Teams、または電話で問い合わせる
  2. 担当者が症状を聞き取り、どの種類の問題かを切り分ける
  3. 該当する手順書を SharePoint で探す(見つからないこともある)
  4. 手順を要約して回答する(電話の場合は口頭で読み上げる)
  5. 解決しなければ、自分で調査するか、担当者へ引き継ぐ
  6. チケット管理システムに内容を記録する
  7. 月次で件数を集計し、多い問い合わせを報告する

問題は4つあります。

(a)同じ質問が繰り返し来る。 月600件のうち、パスワード、VPN、プリンタ、共有フォルダの権限、ライセンス申請の5種類で6割を占めます。答えはすべて手順書に書かれています。

(b)社員が手順書を探せない。 手順書は SharePoint にありますが、社員はどこにあるか知りません。「聞いたほうが速い」状態になっています。

(c)電話が作業を止める。 電話は着信のたびに手を止めます。1件8分でも、中断の影響を含めると実質はそれ以上かかります。

(d)二次対応に時間が残らない。 一次対応に追われ、資産管理やセキュリティ更新といった本来の業務が後回しになります。

  1. 社員が Teams でエージェントに質問する
  2. 【自動】 質問した本人の権限の範囲で、手順書とFAQを検索する
  3. 【自動】 見つかった内容を根拠に回答し、参照元の文書リンクを付ける
  4. 【自動】 手順書に答えがない場合は、推測で答えず「記載がない」と返す
  5. 【自動】 端末名、OSバージョン、症状が出た時刻などを対話で聞き取る
  6. 【自動】 解決しなければ、やり取りをまとめてチケットを起票する
  7. 【人】 情報システム部が、起票されたチケットだけを見て対応する
  8. 【自動】 回答できなかった質問を記録し、手順書の不足を洗い出す材料にする

自動化されるのは「探す」「読み上げる」「聞き取る」「記録する」の4つです。解決しない問題を調べることは自動化しません。

02今回想定するシステム構成

構成図
社員(Teams の1対1チャット)
   │
   ▼
Microsoft Copilot Studio のエージェント
   │
   ├──▶ ナレッジソース:SharePoint の手順書・FAQ
   │       └─ 質問した本人の閲覧権限の範囲だけを検索
   │
   ├──▶ 生成的回答 ── 見つかった文書を根拠に回答+出典リンク
   │
   └──▶ エージェントフロー(Power Automate)
           ├─ チケット管理システムへの起票
           └─ 会話ログの記録
   │
   ▼
解決した:会話で完了
解決しない:チケットが起票され、情シスが対応【人】
役割想定する製品代替候補
実行環境Microsoft Copilot Studio(Teams上のエージェント)ChatGPT のカスタムGPT、Gemini Gems
検索基盤SharePoint(ナレッジソース)Azure AI Search、OpenSearch
生成AIMicrosoft Copilot Studio の生成的回答Claude API、OpenAI API
連携Power Automate(エージェントフロー)Make、n8n
対話の窓口Microsoft Teams社内ポータル、メール

AIより先に入れるべきものがあります。パスワードリセットです。 ヘルプデスクへの問い合わせで最も多い「パスワードを忘れた」は、Microsoft Entra ID のセルフサービスパスワードリセット(SSPR)で、AIを使わずに社員自身が解決できます。クラウドのみのユーザーは Microsoft Entra ID Free でも利用でき、オンプレミスの Active Directory と同期していてパスワードの書き戻しが必要な場合は Microsoft Entra ID P1 以上(または Microsoft 365 Business Premium)が必要です。まずここを塞いでから、残った問い合わせをAIの対象にしてください。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

社員が Teams でエージェントに話しかけたことが起点です。定時実行やメール監視ではありません。

Copilot Studio で作ったエージェントは Teams に公開できます。公開すると、生成的回答の呼び出しはエージェントと会話しているユーザー本人の資格で実行されます。認証は既定で「Microsoft で認証する」が設定されており、Teams、Power Apps、Microsoft 365 Copilot で動きます。

重要な制約があります。 SharePoint をナレッジソースにした生成的回答は、Teams の1対1チャットで利用できます。グループチャットとチャネルの投稿ではまだ利用できません。「部署のチャネルに置いて全員で使う」構成は成り立ちません。 1人ずつのチャットで使う前提で設計してください。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
手順書VPN設定、プリンタ追加、共有フォルダ申請などの操作手順SharePoint のサイト
社内FAQ過去の問い合わせと回答SharePoint のリスト
申請フォームの案内ライセンス申請、権限申請の窓口と必要事項SharePoint のページ
端末・利用者の情報社員が対話の中で答える端末名、OS、発生時刻会話(人が入力する)

社員名簿や資産管理台帳を自動で引くことは、最初の構成には入れません。連携先が増えるほど権限設計が複雑になります。

Step3

データの取得方法を決める

手順書: Copilot Studio の「知識を追加」から SharePoint を選び、サイトまたはフォルダのURLを登録します。登録したURLとその下位パスが検索対象になります。親フォルダ、兄弟フォルダ、別サイトは、個別に登録しない限り検索されません。 例えば contoso.sharepoint.com/sites を登録すると contoso.sharepoint.com/sites/policies も含まれます。

社内FAQ: SharePoint リストをナレッジソースとして追加すると、リストへのリアルタイム接続になり、常に最新のデータが参照されます。1度に選べるのは10個までで、10個以内に収めることが推奨されています。1つのリストが35,000行を超えると、回答品質と応答時間に影響します。

古い文書を除く: ナレッジソースの詳細設定で、タイトル、作成者、更新者、更新日で絞り込み条件を作れます。「更新日が指定日以降」という条件を入れておくと、廃止された手順書を参照させずに済みます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 手順書の置き場所を1か所にまとめる … 複数サイトに散っているとURLを個別に登録する必要があります。エージェント用のサイトを作り、そこに集約するのが確実です
  2. 文書内のリンクを本文に展開する登録した文書に含まれるハイパーリンクは辿られません。 「詳細は別紙参照」と書いてある手順書は、参照先を独立したナレッジソースとして登録するか、本文に内容を書き足します
  3. 暗号化された文書を外す … 暗号化を伴う秘密度ラベル、Double Key Encryption、パスワード保護されたファイルは、権限があっても内容を読み取れず「回答なし」になります。対象から外し、平文で置き直します
  4. 廃止された手順書を消す … 古い手順を回答されるのが最悪の事故です。改訂履歴のない手順書は、この機会に一度棚卸しします
Step5

AIに処理させる

処理内容
質問の言い換えの吸収「ネットにつながらない」「VPNが落ちる」「在宅で社内システムが開かない」を同じ問題として扱う
手順書を根拠にした回答該当箇所を要約し、出典リンクを付けて返す
不足情報の聞き取り端末名、OS、発生時刻、エラーメッセージを対話で埋める
回答できるかの判定手順書に答えがなければ、推測せずチケット起票へ回す
起票内容の作成症状、試したこと、端末情報を定型のチケット項目に整形する

障害の原因を推定させることはしません。 手順書に書かれていることを案内する役割に限定します。

Step6

指示内容を固定する

Copilot Studio のエージェントの指示(instructions)に、次のような内容を書きます。

あなたは社内の情報システム部のヘルプデスク担当です。
社員からのIT問い合わせに、登録された手順書とFAQだけを根拠に回答してください。

【厳守事項】
- 登録されたナレッジソースに書かれていないことは答えないでください。
  一般的なIT知識やインターネット上の情報で補わないでください。
  該当する記載がない場合は「手順書に記載がないため担当者へ引き継ぎます」と返してください。
- 回答には必ず参照した文書のリンクを付けてください。
- パスワードや認証コードを聞き出さないでください。
  社員が入力しようとした場合は止めてください。
- 端末やシステムの設定変更を、社員に代わって実行しないでください。
  手順を案内するだけにしてください。
- チケットを起票する前に、次の項目が埋まっているか確認してください。
  端末名/OSのバージョン/発生した日時/エラーメッセージ/すでに試したこと
- 障害の原因を推測して伝えないでください。

「一般的なIT知識で補わない」の1行が要点です。 これを外すと、自社の設定と違う一般論を回答してしまいます。エージェント側でも、Web検索と「一般知識を使用する」の設定を無効にします。トピック単位の生成的回答ノードにも同じ設定があるため、両方を切ってください。これらを切ると、絞り込んだナレッジソースに答えがない場合に「回答なし」が返るようになります。

Step7

出力形式を固定する

会話の回答は自然文ですが、チケット起票へ渡す部分は項目を固定します。

{
  "category": "パスワード | ネットワーク | 端末 | プリンタ | 権限申請 | ライセンス | その他",
  "summary": "",
  "device_name": "",
  "os_version": "",
  "occurred_at": "",
  "error_message": "",
  "steps_tried": [],
  "answered_by_ai": true,
  "escalation_reason": "",
  "referenced_documents": []
}

answered_by_aiescalation_reason を必ず残します。これが「何が答えられていないか」の一覧になり、手順書を足す優先順位になります。

Step8

システムへ連携する

チケット起票は、Copilot Studio からエージェントフローを呼び出して行います。フローを呼べるようにするには、次の条件をすべて満たす必要があります。

条件内容
トリガー「エージェントがフローを呼び出すとき」トリガーを使う
応答アクション「エージェントに応答する」アクションを置く
応答方式「エージェントに応答する」の設定で、非同期応答のトグルをオフにする(リアルタイム応答にする)
公開フローを公開済みにする
時間100秒のアクション制限内に応答する。処理と返すデータ量を絞る

条件を満たしたフローを、エージェント全体のツールとして、またはトピック単位のツールとして追加します。追加時の説明文は、エージェントがいつ呼ぶかを判断する材料になるため、具体的に書いてください。

チケット管理システムへの登録方法は製品によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。

Step9

人が確認する

回答は人が確認しません。チケット対応は人が行います。

回答を全件確認する構成では、情シスの工数が減りません。ここで確認を挟まずに済む理由は3つです。

  • 回答の根拠が、情シス自身が書いた手順書に限定されている
  • 出典リンクが付いており、社員が原文を確認できる
  • 設定変更をAIが実行せず、案内するだけである

ただし、次は人が対応します。

  • 手順書に答えがない問い合わせ(チケットとして情シスへ)
  • 権限の付与、ライセンスの割り当て、アカウントのロック解除などの実行を伴うもの
  • 障害の切り分けと復旧

公開直後の2週間は、回答された会話を全件読んでください。 誤った案内が出ていないかを見るためです。件数が読める量のうちに見ておかないと、あとから遡れません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
手順書に答えがない推測せず「記載がない」と返し、チケットを起票する
権限がなく文書を読めない「回答なし」になる。文書の権限設定を見直す
暗号化された文書を参照しようとした内容を読み取れない。対象から外し、平文の版を用意する
質問が2つ以上混ざっている1つずつに分けて確認する
緊急の障害(全社で使えない等)AIで対応しない。障害連絡の窓口へ誘導する
パスワードを会話に書こうとした入力を止め、SSPRの手順を案内する
社外のゲストユーザーからの質問シングルサインオンが有効なアプリでは、ゲストユーザーは生成的回答を利用できません。 従来の窓口へ誘導する
SharePoint のサイト名を変更した参照リンクが切れ、ナレッジにアクセスできなくなる。管理者に新しいリンクを発行させ、ナレッジソースを更新する
フローが100秒で返らないチケット起票が失敗する。取得するデータを絞る
Step11

記録を残す

  • 質問と回答(会話の記録)
  • 参照された文書
  • answered_by_aiescalation_reason
  • チケットに起票された内容と、その後の対応結果

SharePoint をナレッジソースにした場合、会話の記録には参照した文書の中身(search_results)が含まれません。 質問と回答は記録されます。「どの文書を根拠にしたか」を後から追う必要があるなら、回答に付く出典リンクを別途記録する設計にしてください。

回答できなかった質問の一覧が、手順書の不足リストになります。月次でこれを見て、多いものから手順書を足していく運用が、この構成の本体です。

04実装レベルの3段階

最小構成:手順書を集約し、SharePoint の検索と社内ポータルの導線を整える / 社員の自己解決(AIなし)
半自動化:Copilot Studio のエージェントと SharePoint ナレッジを Teams に公開 / 一次回答と聞き取り
本格構成:上記に加えてエージェントフローでのチケット起票、資産管理台帳の参照、回答不能ログの月次集計 / 起票と記録まで

半自動化の時点で効果の大半が出ます。 一次回答が返るだけで、繰り返しの質問が消えるためです。本格構成でさらに減るのは、記録と起票の手間です。 先に SSPR を入れておくと、この3段階のどこから始めても件数が下がります。順番を間違えないでください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
600 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  600件 × 8分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 600件 × 3分 ÷ 60 = 30 時間/月
月間削減時間
50h
削減率
63%
年間削減時間
600h
年間金額換算(時間単価3,500円)
210万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. Microsoft 365 を全社で使っており、IT問い合わせが月300件以上ある組織。手順書やFAQが SharePoint に置かれていること。拠点が分散し、情シスが少人数で兼務している場合。
向いていない
  1. 問い合わせが月100件未満の組織。手順書が個人のPCやメールの中にしかない場合(まず文書の整備が先)。問い合わせの大半が個別の障害調査で、手順書で答えられない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 過去3か月の問い合わせ記録から100件を抜き出し、種類ごとに数える
  2. 上位5種類(多くの組織ではパスワード、ネットワーク、プリンタ、権限、ライセンス)を選ぶ
  3. その5種類の手順書だけを置いた SharePoint サイトを作る
  4. Copilot Studio でエージェントを1つ作り、そのサイトをナレッジソースに追加する
  5. Web検索と一般知識の設定を切る
  6. 実際の問い合わせ文をそのまま20件投げ、回答が正しいかを数える

この検証だけは必ずやってください。 回答の質は、手順書がどれだけ具体的に書かれているかで決まります。「管理者に申請してください」としか書かれていない手順書からは、使える回答は出てきません。

20件中の正答数判断
16件以上進めてよい
10〜15件手順書の書き方が原因。外れた質問の手順書を書き直してから再測定する
9件以下手順書の整備が先。AIの設定を変えても改善しない

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
チャネルやグループチャットで回答が返らないSharePoint ナレッジの生成的回答は Teams の1対1チャットのみ。 チャネル運用を前提にしない
テスト画面では動くのに、公開すると回答が変わる公開後は会話しているユーザーの権限で実行される。テストした本人と一般社員の権限差を確認する
権限があるのに「回答なし」になる暗号化を伴う秘密度ラベル、DKE、パスワード保護のファイルは読み取れない。平文の版を用意する
「詳細は別紙参照」の手順書で答えが出ない文書内のリンクは辿られない。参照先を個別のナレッジソースとして登録する
SharePoint 全体が検索されないRestricted SharePoint Search が有効だと SharePoint の利用がブロックされる。管理者に設定を確認する
古い手順を回答してしまうナレッジソースの詳細設定で更新日による絞り込み条件を入れる。廃止文書は削除する
サイト名を変えたら回答が止まったリンク切れで権限のギャップが生じる。新しいリンクを発行し、ナレッジソースを更新する
FAQリストが大きく、回答が遅い・外れる1リスト35,000行を超えると品質と応答時間に影響する。分割するか件数を絞る
リストを10個以上登録したら精度が落ちた1エージェント10リスト以内に収める
チケット起票が失敗するフローの非同期応答をオフにし、公開済みにする。100秒以内に返るようデータ量を絞る
認証の設定を変えたのに反映されない反映に数時間かかることがある。会話中の場合は「最初からやり直す」と入力して会話を再開させる
一般論を回答してしまうWeb検索と一般知識の設定を、エージェント単位とトピック単位の両方で切る

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内の手順書、システム構成に関する記述、社員が会話に書く端末情報。手順書には社内システムの構成やアクセス方法が含まれます。

  1. 権限で回答範囲が決まる … SharePoint オプションは、ユーザーが閲覧権限を持つ内容だけを提示します。最低でもサイトまたはリストの「読み取り」権限が必要です。逆に言えば、権限設定が甘い文書は誰にでも回答されます。 導入前に手順書の権限を棚卸ししてください
  2. 秘密度ラベルの扱い … 秘密度ラベルによる権限のトリミングは尊重されます。ただし暗号化を伴うものは読み取れません。「暗号化して置いたから安全」ではなく「参照できない」という結果になります
  3. 認証情報を会話に書かせない … パスワードやコードを聞き出さない指示を明記します。会話ログに認証情報が残るのを防ぐためです
  4. 実行系の操作を自動化しない … 権限付与、アカウントのロック解除、設定変更をエージェントに実行させない構成にします。案内までにとどめてください
  5. 会話ログの保管 … 会話には端末情報や社員名が含まれます。保管期間とアクセス権限を、社内の情報管理規程に合わせて決めてください
  6. ゲストユーザー … シングルサインオンが有効なアプリでは、ゲストユーザーは生成的回答を利用できません。委託先を含む運用を考えている場合は、この点を前提に設計してください

誤りが起きた場合のリスクは、古い手順の案内による設定ミス、権限のない情報への到達、認証情報の記録です。1つ目は文書の棚卸し、2つ目は権限設計、3つ目は指示文で対処します。

10まず何から始めるか

1週目:問い合わせを数えて、SSPRを検討する

過去3か月の問い合わせを種類別に数えます。パスワード関連が多いなら、AIより先に SSPR の適用可否を確認してください。ライセンスの条件は自社の契約状況によって変わります。

2週目:手順書を集約して権限を棚卸しする

上位5種類の手順書を1つのサイトに集めます。同時に、その文書を誰が読めるかを確認します。この作業がこの構成の実質的な準備です。 ここを飛ばすと、あとの調整が効きません。

3週目:エージェントを作って20件テストする

Copilot Studio でエージェントを作り、Web検索と一般知識を切って、実際の問い合わせ文20件で正答数を測ります。16件以上なら次へ進みます。

4週目:一部の部署に公開する

1つの部署(30〜50名)に Teams で公開し、2週間使ってもらいます。回答された会話を全件読み、誤りがないかを確認します。同時に、回答できなかった質問を集めて手順書を足します。

2か月目以降: 全社に広げ、エージェントフローでチケット起票を自動化します。並行して、回答不能だった質問の月次集計を仕組みにしてください。この集計が続く限り、回答品質は上がり続けます。止まると陳腐化します。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-09/最終更新:2026-09-09
確認した内容情報源確認日
Copilot Studio で SharePoint をナレッジソースにでき、ユーザーが権限を持つ内容だけを提示すること(最低「読み取り」権限が必要)。秘密度ラベルによる権限トリミングを尊重するが、暗号化・DKE・パスワード保護のファイルは参照できないこと。公開後は会話中のユーザーの資格で生成的回答が実行され、既定で「Microsoft で認証する」が設定されること。Teams の1対1チャットで利用でき、グループチャットとチャネル投稿では未対応であること。登録したURLと下位パスのみが検索対象で、文書内のリンクは辿られないこと。リストは10個まで、35,000行超で品質と応答時間に影響すること。タイトル・作成者・更新者・更新日で絞り込めること。Web検索と一般知識を切ると「回答なし」が返ること。会話の記録に参照文書の中身が含まれないこと。SSO有効なアプリでゲストユーザーが利用できないこと。Restricted SharePoint Search 有効時は利用がブロックされることMicrosoft Learn: Add SharePoint as a knowledge source2026-09-09
エージェントフローをツールとして呼ぶ条件(「エージェントがフローを呼び出すとき」トリガー、「エージェントに応答する」アクション、非同期応答トグルをオフ、公開済み、100秒のアクション制限内に応答)。エージェント単位とトピック単位のどちらにも追加できることMicrosoft Learn: Add an agent flow as a tool to an agentCall an agent flow from an agent2026-09-09
セルフサービスパスワードリセット(SSPR)のライセンス条件。クラウドのみのユーザーは Microsoft Entra ID Free で利用可能。オンプレミス Active Directory と同期しパスワードの書き戻しが必要な場合は Microsoft Entra ID P1 以上(または Microsoft 365 Business Premium)が必要Microsoft Learn: License self-service password reset2026-09-09

Copilot Studio の課金体系、必要ライセンス、チケット管理システムへの連携方法は、利用環境と契約によって異なります。この部分は個別確認が必要です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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