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研究開発の各テーマから毎月出る進捗報告を、経営向けの研究開発ポートフォリオの概要にまとめ、前月からの変化と判断が要る事項を示す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

研究開発の各テーマから毎月出る進捗報告を読み、経営向けの研究開発ポートフォリオの概要にまとめます。テーマごとに進み・課題・判断が要る事項を同じ形に要約し、前月から何が変わったかを示します。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/医療/建設/製造
対象部門
研究開発/経営企画
対象業務
書類作成/要約
主な課題
判断に時間がかかる/情報が見つからない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
60%
年間削減
216h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 第2営業日の締めの後、担当者が60件の報告をリストから開く
  2. 1件ずつ読み、テーマ台帳の予定日と見込み日を見比べて、進みの区分を決める
  3. 課題と次月の予定を1〜2行に縮める
  4. 前月の概要を開き、区分や課題が変わったかを見る
  5. 「経営への相談」欄と、関門の審査の予定から、判断が要る事項を拾う
  6. Word の書式に一覧と総括を書く
  7. 研究開発本部長の確認を経て、経営企画部へ渡す
導入後(After)
  1. 人テーマのリーダーが、第2営業日までに「テーマ月報」に報告を出す
  2. 自動第2営業日の夜に定時のフローが動き、その月の報告と、テーマ台帳の予定日を集める
  3. 自動マイルストーンの予定日と見込み日を比べ、進みの区分を規則で決める
  4. 自動関門の審査が翌月までに予定されているテーマに印を付ける
  5. 自動Azure OpenAI が報告を決まった項目に要約し、根拠の欄と文を付け、判断が要る事項を拾う
  6. 自動フローが前月の要約と項目どうしで比べ、変化の一覧を作る
  7. 自動Azure OpenAI が段階別の総括の下書きを、要約だけを材料に書く
  8. 自動一覧・総括・判断が要る事項を Word の概要に流し込む
  9. 人企画管理部の担当者が、区分が変わったテーマと判断が要る事項を中心に確かめて直す
  10. 人研究開発本部長の確認を経て、経営企画部へ渡す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 第2営業日の締めの後、担当者が60件の報告をリストから開く
  2. 1件ずつ読み、テーマ台帳の予定日と見込み日を見比べて、進みの区分を決める
  3. 課題と次月の予定を1〜2行に縮める
  4. 前月の概要を開き、区分や課題が変わったかを見る
  5. 「経営への相談」欄と、関門の審査の予定から、判断が要る事項を拾う
  6. Word の書式に一覧と総括を書く
  7. 研究開発本部長の確認を経て、経営企画部へ渡す

(a)読むだけで月初が埋まる。 報告は1件あたり2,000〜4,000字です。60件を3名で分けても、1人20件を2日で読んで縮めることになります。 締めが遅れたテーマの報告が届くと、その分だけ後ろにずれます。

(b)進みの区分が担当者で違う。 見込み日が予定日から2週間ずれたテーマを「予定どおり」とする担当者もいれば、「遅れ」とする担当者もいます。経営から見ると、同じ遅れでもテーマによって色が違って見えます。

(c)判断が要る事項が埋もれる。 リーダーが「経営への相談」欄ではなく「課題」欄の最後に「追加の装置の購入をご検討いただきたい」と書くことがあります。欄を決めて読んでいると、その1文を拾い損ねます。 経営会議で取り上げられないまま、翌月の報告に同じ文が出てきます。

(d)前月との比較に手が回らない。 前月の概要と並べて読む④は、締めが遅れた月から省かれます。「先月から何が変わったのか」が、経営会議でいちばん聞かれる問いです。

  1. 【人】 テーマのリーダーが、第2営業日までに「テーマ月報」に報告を出す
  2. 【自動】 第2営業日の夜に定時のフローが動き、その月の報告と、テーマ台帳の予定日を集める
  3. 【自動】 マイルストーンの予定日と見込み日を比べ、進みの区分を規則で決める
  4. 【自動】 関門の審査が翌月までに予定されているテーマに印を付ける
  5. 【自動】 Azure OpenAI が報告を決まった項目に要約し、根拠の欄と文を付け、判断が要る事項を拾う
  6. 【自動】 フローが前月の要約と項目どうしで比べ、変化の一覧を作る
  7. 【自動】 Azure OpenAI が段階別の総括の下書きを、要約だけを材料に書く
  8. 【自動】 一覧・総括・判断が要る事項を Word の概要に流し込む
  9. 【人】 企画管理部の担当者が、区分が変わったテーマと判断が要る事項を中心に確かめて直す
  10. 【人】 研究開発本部長の確認を経て、経営企画部へ渡す

9番目で人が重点を置くのは、変化のあったテーマです。 区分も課題も前月と同じテーマは、要約を流し見るだけにします。60件すべてを報告に戻って読み直す設計にすると、30.0時間はほとんど減りません。

3番目と6番目をフローに置いているのは、答えが1つに決まる作業だからです。 日付の比較も、前月の値との比較も、AIに任せると「概ね予定どおり」のような丸めた言い方で返ってきます。 経営会議で聞かれるのは、何日ずれているかです。

02今回想定するシステム構成

構成図
テーマ月報(SharePoint のリスト)   テーマ台帳(マイルストーン・予定日・関門)
   │                                   │
   ▼【トリガー】繰り返し(毎月 第2営業日の夜)
Power Automate
   ├──▶ その月の報告と台帳を集める
   ├──▶ 予定日と見込み日を比べ、進みの区分を決める
   ├──▶ 関門の審査が近いテーマに印
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)── 構造化出力
   │   ① テーマ別の要約(根拠の欄と文付き)
   │   ② 判断が要る事項(報告の記載から)
   ▼
Power Automate ── 前月の要約と項目どうしで比べ、変化の一覧
   ▼
Azure OpenAI ── 段階別の総括の下書き(要約だけを材料に)
   ▼
Word の概要(Microsoft Word テンプレートを設定する)
   ▼
【企画管理部が確認】→ 研究開発本部長 → 経営企画部
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude、Gemini
連携Power AutomateMake、n8n
概要の生成Word Online (Business) コネクタ文書生成の個別実装
報告と台帳の置き場SharePoint のリストDataverse

テーマ月報とテーマ台帳は、新しく足すものではありません。 フローはどちらも読むだけで、書き込むのは要約を残す別のリストと、概要のファイルだけです。

土台になるのは、Microsoft Foundry で提供される Azure OpenAI のモデルです。 Azure が販売するモデルは Microsoft の Azure 環境でホストされ、モデルの提供元が運営するサービスとはやり取りしないとされています。入力と出力は他の顧客にもモデルの提供元にも提供されず、許可や指示なしに生成AIの基盤モデルの学習に使われないとされています。公表前の研究の成果と、テーマの継続に関わる情報を扱うので、この点を最初に確かめます。標準のデプロイでは指定した地域の中で処理されますが、「Global」や「DataZone」の種類では処理の場所が広がるので、デプロイの種類も先に決めます。

起点は、Power Automate のスケジュール済みクラウド フローです。 「繰り返し」のトリガーで間隔と頻度を決め、開始時刻とタイム ゾーンを指定します。月の頻度にすると毎月同じ日に動くので、第2営業日のように日付が月ごとに変わる起点には、毎日動かしてフローの中で「今日が第2営業日か」を確かめる形にします。

報告と台帳は、SharePoint コネクタの「アイテムを取得」で読みます。 OData のフィルター クエリで対象の月に絞ってから読みます。概要は、Word Online (Business) コネクタの「Microsoft Word テンプレートを設定する」で作ります。このコネクタは Power Automate ではプレミアムの扱いなので、ライセンスを先に確かめます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎日夜に動く定時のフローにし、その日が第2営業日のときだけ先へ進めます。 「繰り返し」のトリガーで頻度を日、実行する時刻を夜に指定し、タイム ゾーンを日本に合わせます。営業日の判定は、会社の休日を並べたリストを引いて行います。月の頻度で「毎月2日」にすると、2日が休日の月にずれます。

締めに遅れた報告は、第3営業日の夜にもう一度拾います。 第2営業日の実行で報告が無かったテーマを覚えておき、翌日の実行ではそのテーマだけを要約します。それでも出ていないテーマは、概要に「報告未提出」と載せます。 未提出を空欄にすると、経営会議で「動きが無い」と読まれます。

リーダーが報告を出したたびに動かす形は取りません。 要約は個別に作れますが、前月との比較と段階別の総括は全テーマがそろってからでないと書けないためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
進捗報告実施内容、成果、課題、次月の予定、マイルストーンの見込み日、経営への相談テーマ月報のリスト
テーマ台帳テーマ名、段階、リーダー、マイルストーンと予定日、関門の審査の予定月テーマ台帳のリスト
前月の要約テーマごとの要約の各項目と区分要約を残すリスト
進みの区分の規則予定日と見込み日の差の日数で区分を決める表。段階ごとSharePoint のリスト
社外の名前の置き換え表共同研究の相手、顧客、委託先の名前と、置き換えた表記SharePoint のリスト

質を決めるのは、テーマ台帳のマイルストーンです。 「年度内に試作」のような粗い予定しか無いテーマは、見込み日と比べようがありません。区分を規則で決めるには、マイルストーンごとに日付が入っていることが前提です。 日付の無いテーマは、区分を「判定不可」にして概要に載せます。

前月の要約は、AIの出力をそのまま残したものを使います。 担当者が直した後の版を残し、翌月はそれと比べます。 直す前の版と比べると、担当者が直した箇所が「変化」として出てきます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
その月の報告テーマ月報のリスト「アイテムを取得」。対象月でフィルター クエリを指定して絞る
テーマ台帳テーマ台帳のリスト「アイテムを取得」。状態が「進行中」のテーマに絞る
前月の要約要約を残すリスト「アイテムを取得」。前月で絞る
規則・置き換え表SharePoint のリスト「アイテムを取得」

台帳は「進行中」のテーマだけを引きます。 中止や完了になったテーマを含めると、報告が無いことが「未提出」として出てきます。台帳にあって報告が無いテーマと、報告があって台帳に無いテーマの両方を、フローで突き合わせます。 後者は、台帳への登録漏れです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 報告のそろいの確認 … 台帳の進行中のテーマと、報告を突き合わせます。未提出と、台帳に無い報告を分けて印を付けます
  2. 進みの区分の決定 … マイルストーンごとに、見込み日 − 予定日 の日数を計算し、段階ごとの規則の表で区分を決めます。テーマの区分は、マイルストーンの中でいちばん悪い区分にします
  3. 関門の審査の印 … 審査の予定月が当月か翌月のテーマに印を付けます
  4. 社外の名前の置き換え … 報告の中の共同研究の相手、顧客、委託先の名前を、置き換え表で 共同研究先A のような表記にします
  5. 欄に番号を振る … 報告の6つの欄を R1〜R6 とし、欄の中の文に R3-02 のような番号を付けます
  6. AIに渡す単位を作る … テーマごとに、報告の文、台帳の項目、区分とその理由(何日ずれているか)を1つにまとめます

2番目で「いちばん悪い区分」にするのは、楽観に寄らないためです。 3つのマイルストーンのうち2つが予定どおりでも、1つが大きく遅れていれば、テーマとしては遅れです。どのマイルストーンが区分を決めたかを、要約に一緒に載せます。

6番目でまとめる1テーマ分は、次のような形です。

テーマ: T-014 高耐熱樹脂の量産試作(段階: 製品化)
区分: delayed(規則の版 2026-04)
区分を決めたマイルストーン: M3 量産試作の完了 予定 2026-11-30 見込み 2026-12-24(24日遅れ)
関門の審査: 2026-12(当月・翌月ではないため印なし)
R1-01 今月は試作設備の据え付けを行った。
R2-01 小型機での耐熱試験は目標値を満たした。
R3-01 試作設備の立ち上げが、部品の納入遅れで3週間ずれた。
R3-02 量産時の金型の寿命が未確認。
R4-01 来月は設備の試運転と、金型の耐久試験に着手する。
R5-01 M3 の見込み日は 2026-12-24。
R6-01 (経営への相談の欄は空欄)

5番目は、第3章の(c)への対策です。 「課題」欄の最後に書かれた相談も、R3-05 のような番号で渡されるので、AIは欄ではなく文の中身で拾えます。 拾った根拠の番号が付くので、担当者はその文だけを確かめれば済みます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、テーマごとに報告を決まった項目に要約することと、判断が要る事項を報告の記載から拾うことです。進みの区分は渡したものを使わせ、決めさせません。

項目書かせること根拠が無いときの扱い
今月の進み実施内容と成果を1〜2文で成果の記載が無ければ「成果の記載なし」
区分の理由区分を決めたマイルストーンについて、遅れの原因として報告に書かれていること原因の記載が無ければ「原因の記載なし」
課題報告に書かれた課題を、重いものから3つまで無ければ空
判断が要る事項報告の中で、経営・本部に判断や支援を求めている文無ければ空
次月の予定1文で記載が無ければ「記載なし」

「判断が要る事項」は、報告がはっきり求めているものに限ります。 「ご検討いただきたい」「ご判断をお願いしたい」「追加の予算が必要」のように、リーダーが判断や支援を求めている文です。関門の審査の印が付いたテーマは、それとは別に「関門の審査が翌月」として一覧に載せます。

段階別の総括は、要約がそろってから別に書かせます。 材料は要約のJSONだけで、報告の原文は渡しません。 原文を渡すと、総括に要約に無い細部が入り、担当者が確かめる範囲が広がります。

させないこと理由
進みの区分を決める・変える規則で決めている。文章の調子で区分が動く
テーマの継続・中止・資源配分の提案経営と研究開発の責任者が決める
報告に無い課題やリスクの指摘リーダーが書いていない評価を概要に載せることになる
遅れの日数の計算フローが計算済み
研究の成果の評価(有望かどうか)判断の材料が報告に無く、評価は専門家が行う
Step6

指示内容を固定する

あなたは研究開発本部の企画管理部で、経営会議向けに各テーマの進捗を要約する担当です。
渡された報告とテーマ台帳に書かれていることだけを根拠にしてください。

【書くこと】
テーマごとに、今月の進み、区分の理由、課題(3つまで)、判断が要る事項、
次月の予定を書いてください。

【厳守事項】
- 進みの区分は、渡された status をそのまま使ってください。変えないでください。
  報告の書きぶりが楽観的・悲観的でも、区分を言い換えないでください。
- 区分の理由には、区分を決めたマイルストーンと、渡された遅れの日数をそのまま書き、
  遅れの原因として報告に書かれていることを添えてください。
  原因が書かれていなければ「原因の記載なし」と書いてください。
- 各文に、根拠にした報告の文の番号(R1-01 など)を付けてください。
  番号を付けられない文は書かないでください。
- 判断が要る事項は、報告の中で経営・本部に判断や支援を求めている文だけを挙げてください。
  どの欄に書かれていても拾ってください。
  あなたの考えで「中止を検討すべき」「資源を増やすべき」などを書き足さないでください。
- 報告に無い課題やリスクを指摘しないでください。
- 研究の成果が有望かどうかを評価しないでください。
- 日数・数量を計算しないでください。渡された値をそのまま使ってください。
- 社外の名前は、置き換えた表記(共同研究先A など)のまま使ってください。
- 1テーマの要約は全体で200字以内にしてください。

【テーマ台帳の項目】{theme}
【進みの区分と、区分を決めたマイルストーン・遅れの日数】{status}
【報告(文の番号付き)】{report}

「区分を言い換えない」まで書くのは、AIが要約の文で区分をやわらげるからです。 区分は「遅れ」でも、本文に「概ね順調に推移」と書けば、経営はそちらを読みます。区分と本文が食い違う概要は、区分を規則で決めた意味をなくします。

「どの欄に書かれていても拾う」は、第3章の(c)をそのまま指示にしたものです。 欄の名前だけで探させると、「経営への相談」欄が空のテーマからは何も出てきません。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Azure OpenAI の構造化出力を使い、JSON Schema に沿った形で返させます。

{
  "theme_id": "",
  "period": "2026-09",
  "status": "on_track | delayed | at_risk | not_assessable | not_submitted",
  "progress": [ { "text": "", "sources": ["R1-02", "R2-01"] } ],
  "status_reason": { "milestone": "", "delay_days": 0, "cause": "", "sources": ["R3-01"] },
  "issues": [ { "text": "", "sources": ["R3-02"] } ],
  "decisions_requested": [ { "text": "", "sources": ["R3-05"] } ],
  "next_month": { "text": "", "sources": ["R4-01"] }
}

1つ目の理由は、status を enum で縛り、渡した値のまま返させられることです。 構造化出力は enum に対応しているので、区分が「概ね順調」のような6つ目の値に崩れることがありません。フローは返ってきた status が渡した値と同じかを確かめ、違えば渡した値で上書きして印を付けます。

2つ目は、項目ごとに配列で持てるので、前月との比較が項目どうしでできることです。 区分は値の比較、課題と判断が要る事項は前月の配列との突き合わせで、「新しく出た」「解消した」「続いている」を出します。 課題の文面は毎月少しずつ違うので、突き合わせは根拠の文ではなく、課題の要約どうしを Azure OpenAI に対で渡して「同じ課題か」だけを答えさせます。

3つ目は、空の配列で「無い」を表せることです。 構造化出力ではすべての項目を必須にする決まりがあるので、decisions_requested が空なら判断を求める文が無かったことがはっきりします。書き忘れと区別できます。

前月との比較の結果は、フローが次のような表にして概要の冒頭に置きます。

テーマ区分(前月→今月)変化根拠
T-014 高耐熱樹脂の量産試作予定どおり → 遅れ試作設備の立ち上げが遅れ、量産試作が予定日から24日遅れの見込みR3-01、R5-01
T-027 リサイクル原料の配合遅れ → 遅れ新しい課題:原料の受け入れ検査の基準が未定R3-03
T-031 塗工プロセスの省エネ化要注意 → 予定どおり解消した課題:乾燥炉の温度ムラR2-01
T-042 次世代電池材料の探索予定どおり → 予定どおり判断が要る事項:分析装置の追加購入R3-05

4行目のように、区分が変わらなくても判断が要る事項が出たテーマは「変化あり」に入れます。 区分だけで変化を拾うと、課題欄の最後に書かれた相談がまた埋もれます。

段階別の総括は、この表と要約のJSONだけを渡して、別の呼び出しで書かせます。 指示は短く、「区分の件数、区分が悪くなったテーマ、判断が要る事項を、段階ごとに3〜5文で整理してください。テーマの評価や今後の提案を書かないでください。各文にテーマの番号を付けてください」とします。総括の1文ごとにテーマの番号が付くので、担当者は一覧の該当行と照らすだけで確かめられます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
テーマ月報・テーマ台帳SharePoint コネクタ報告と台帳を読む。書き込まない
要約を残すリストSharePoint コネクタテーマごとの要約と区分を「項目を作成する」で書く
Azure OpenAIAPI呼び出しテーマ別の要約、課題の対の突き合わせ、段階別の総括
Word の概要「Microsoft Word テンプレートを設定する」一覧・変化・判断が要る事項・総括を流し込む

概要の一覧は、繰り返しセクションのコンテンツ コントロールで表の行にします。 テーマの数は月によって変わるので、フローで値の配列を作って渡します。コントロールの名前はテンプレートの中で一意にする必要があります。総括の本文はプレーン テキストのコントロールにし、「複数の段落」を許可しておきます。リッチ テキストのコントロールには対応していません。

一覧の並びは、変化のあったテーマを先にします。 区分が悪くなったテーマ、判断が要る事項のあるテーマ、関門の審査が近いテーマ、それ以外の順です。経営会議で上から読めば、議論が要るところに先に着きます。

Step9

人が確認する

企画管理部の担当者が重点を置くのは、変化のあったテーマと、判断が要る事項です。

  1. 区分が悪くなったテーマの理由を確かめる … 区分を決めたマイルストーンと遅れの日数、原因の要約を、報告の根拠の文と照らします
  2. 判断が要る事項の根拠を開く … 拾われた文が、本当に判断や支援を求めているかを確かめます。拾い損ねが無いかは、「経営への相談」欄が空のテーマを流し見て確かめます
  3. 「判定不可」と「報告未提出」のテーマに連絡する … マイルストーンの日付が無いテーマには台帳の更新を、未提出のテーマには提出を頼みます
  4. 段階別の総括を直す … 要約に無いことが入っていないかを見ます
  5. 直した箇所を記録する … どのテーマの、どの項目を直したかを残します

区分そのものは、担当者も直しません。 区分がおかしいと思ったら、台帳の予定日か規則の表のほうを直します。 その月の概要で区分だけを手で変えると、翌月の比較が狂います。

目標は、60件をならして1件12分です。 変化の無いテーマは数分、区分が悪くなったテーマと判断が要る事項のあるテーマは報告に戻って確かめるので長くなります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
報告が未提出第3営業日に再度拾い、それでも無ければ「報告未提出」で概要に載せる
マイルストーンに日付が無い区分を「判定不可」にし、台帳の更新を担当者からリーダーに頼む
報告があって台帳に無いテーマ要約はせず、台帳への登録漏れとして担当者へ
見込み日の欄が空区分を「判定不可」にする。予定どおりとみなさない
返ってきた status が渡した値と違う渡した値で上書きし、印を付けて担当者へ
1テーマの要約が200字を超える次の処理には進め、印を付けて担当者が縮める
テンプレートへの流し込みが失敗する入力ファイルの最大は10MB。要約のリストから概要を手で作れるようにしておく
Azure OpenAI が応答しないそのテーマを「要約未作成」として残し、翌日の実行で拾う

上から4行目が、いちばん気をつけたい例外です。 見込み日が空のテーマを予定どおりとみなすと、書かないほうが良い区分になるという仕組みができてしまいます。リーダーが見込み日を書かなくなります。

Step11

記録を残す

  • 実行の日時と、対象月、集めた報告の一覧
  • テーマごとの区分の計算(マイルストーン、予定日、見込み日、差の日数、規則の版)
  • Azure OpenAI に渡した指示と、返ってきたJSONの全文
  • 担当者が直した後の要約(翌月の比較に使う版)
  • 前月との比較の結果(区分の変化、新しい課題、解消した課題)
  • 経営企画部へ渡した概要のファイルと、渡した日時
  • 経営会議で取り上げられた判断が要る事項と、その結論

4つ目を「直した後」の版で残すのは、第7章の入力データで書いたとおりです。 ここを取り違えると、翌月の「変化」に担当者の手直しが混ざります。

最後の行は、翌月の要約と突き合わせるために残します。 判断が出た事項が翌月の報告でまた相談として出てきたら、結論がテーマ側に届いていないことが分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:番号を振った報告と区分を手でAIの画面に貼り、要約させる / 1件ごとの要約
半自動化:上記+フローで報告と台帳を集め、区分を規則で決め、Azure OpenAI のAPIで要約してリストに書く / 区分の決定と要約の一覧化
本格構成:上記+前月との比較、段階別の総括、Word の概要への流し込み / 概要の作成までの全体

最小構成では60件をさばけません。 番号を振る作業が手作業だからです。確かめるための段階です。 半自動化で、1件30分が18分程度になります。 読み込みと要約は自動になりますが、前月との比較と、一覧から Word の概要への転記が残ります。本格構成で12分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を2〜3か月見ると、「判定不可」が多いテーマと、要約を直されることが多いテーマが分かります。台帳と報告の書き方を直してから本格構成に進むほうが、概要の手直しが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  60件 × 30分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 60件 × 12分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
18h
削減率
60%
年間削減時間
216h
年間金額換算(時間単価4,500円)
97万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 研究開発のテーマを数十件抱え、各テーマのリーダーが毎月進捗報告を出している製造業・医療機器メーカー・IT企業など。研究開発の企画の担当が報告を1件ずつ読んで経営会議向けの一覧と総括を作っており、月初の数日がそれで埋まる場合。テーマごとにマイルストーンと予定日が決まっていて、報告の書式がそろっている場合。
向いていない
  1. テーマが十件に満たず、経営層がテーマのリーダーから直接報告を受けられる場合。進捗報告の書式が無く、テーマごとに自由な形式で書かれている場合(先に書式を決める作業が要ります)。マイルストーンと予定日が決まっていない場合。なお、テーマの継続・中止・資源の配分の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の報告から10件を選ぶ(区分が変わったテーマと、判断が要る事項が「課題」欄に書かれていたテーマを含める)
  2. テーマ台帳から、10件のマイルストーンと予定日、見込み日を表にし、区分を手で決める
  3. 報告の文に、手で番号を振る
  4. 社内で利用が認められている生成AIの画面に、報告と区分を貼り付け、「渡した区分を変えずに、今月の進み、区分の理由、課題、判断が要る事項、次月の予定を要約してください。1文ごとに根拠の番号を付けてください」と指示する
  5. 出てきた要約を、先月実際に作った概要と突き合わせる

10件は必ずやってください。 フローを組む前に、「番号を振った報告から、根拠付きで要約できるのか」と「課題欄の相談を拾えるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
課題欄に書かれた相談を拾えているフローの構築に進む
区分と本文の調子が食い違う指示の書き方で直る。構成は有効
マイルストーンの日付が無く、区分が決められないテーマが多い台帳の整備が先。 AIの問題ではない

3行目が出たら、 台帳の整備を先に進め、日付のそろったテーマから試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
楽観的な報告のテーマが「予定どおり」に寄る区分を規則で決め、AIに決めさせない
区分と本文の調子が食い違う「区分を言い換えない」と指示し、返ってきた区分を確かめる
課題欄の中の相談を拾い損ねる文に番号を振り、欄ではなく中身で拾わせる
AIが「中止を検討すべき」と書き足す報告に無い提案を禁じる
見込み日が空のテーマが予定どおりになる判定不可にする
前月との比較に担当者の手直しが混ざる直した後の版を残し、それと比べる
課題の文面が毎月違い、同じ課題が新規に見える要約どうしを対で渡し、同じ課題かだけを答えさせる
月の頻度の繰り返しで、第2営業日にずれる毎日動かし、営業日をフローで判定する
テーマの数が変わり一覧の行が足りない繰り返しセクションに配列で渡す
共同研究の相手の名前が概要に残る前処理で置き換え、置き換えた表記のまま使わせる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、報告の書きぶりが区分に漏れ出す誤りです。区分を規則に置き、文章が区分を上書きできない形にしておかないと、概要は書く人の性格を映すものになります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 公表前の研究の成果、出願前の技術の内容、共同研究の相手や顧客の名前、テーマの継続に関わる評価です。出願前の技術と、他社との契約で秘密を守る取り決めのある情報が含まれます。

  1. 処理の場所とデータの扱いを先に確かめる … Azure OpenAI の入力と出力は、他の顧客にもモデルの提供元にも提供されないとされています。デプロイの種類によって処理の場所が広がるので、社内の規程と照らして決めます
  2. 共同研究の相手の名前を伏せる … 共同研究の契約で、相手の名前や研究の事実を伏せる取り決めがあることがあります。前処理で置き換えます
  3. 概要の閲覧を絞る … 概要は60テーマを一覧にしたもので、個々の報告より機密の度合いが高くなります。 経営会議の出席者と事務局に限ります
  4. この構成はテーマの評価と資源配分を代替しません … テーマを続けるか、止めるか、人と予算をどう配るかは、経営と研究開発の責任者が決めることです。 この構成が出すのは、報告に書かれたことの整理と、規則で決めた区分だけです
  5. 区分を人事評価に使わない … 区分はテーマの進みであって、リーダーの評価ではありません。評価に使うと、見込み日を書かない・予定日を緩めるといった動きを招きます

誤りが起きた場合のリスクは、遅れているテーマが順調に見えることと、判断を求める声が経営に届かないことの2つです。 前者は区分を規則で決めることで、後者は欄ではなく文の中身で拾うことで止めます。

10まず何から始めるか

1週目:テーマ台帳の日付をそろえる

進行中の60テーマについて、マイルストーンごとの予定日が入っているかを確かめます。入っていないテーマは、リーダーに入れてもらいます。あわせて、報告に見込み日の欄があるかを確かめます。

2週目:区分の規則を決める

段階ごとに、見込み日が予定日から何日ずれたら「遅れ」「要注意」かを決めます。研究開発本部と経営企画部で合意し、表にしてリストに置きます。

3週目:10件で試す

先月の報告から10件を選び、番号を振って生成AIの画面で要約させます。課題欄に書かれた相談を拾えているかを最優先で見ます。

4週目:定時のフローから要約の一覧までをつなぐ

毎日動くフローで第2営業日を判定し、報告と台帳を集め、区分を決め、Azure OpenAI の要約をリストに書くところまで作ります。この時点では Word の概要を作らず、一覧だけを見ます。

2か月目: 前月との比較と段階別の総括を足し、Word の概要に流し込みます。3か月目以降: 1件30分が何分になったかを実測し、「判定不可」のテーマの数を毎月数えます。判定不可が無くなり、経営会議で変化のあったテーマから議論が始まるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Azure が販売するモデル(Azure OpenAI を含む)の入力と出力が、他の顧客やモデルの提供元に提供されず、許可や指示なしに基盤モデルの学習に使われないこと。Microsoft の Azure 環境でホストされ、モデルの提供元のサービスとやり取りしないこと。標準のデプロイでは指定した地域で処理され、Global と DataZone では処理の場所が広がることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-06
構造化出力が JSON Schema への準拠をさせる機能であること。enum に対応すること。すべての項目を必須にすること。additionalProperties を false にすることMicrosoft Learn: How to use structured outputs with Azure OpenAI2026-10-06
「アイテムを取得」「項目を作成する」のアクションがあること。「アイテムを取得」で OData のフィルター クエリを指定できることMicrosoft Learn: SharePoint コネクタ2026-10-06
スケジュール済みクラウド フローが「繰り返し」のトリガーで間隔・頻度・開始時刻・タイム ゾーンを指定して動くこと。頻度が日なら実行する時刻を指定できること。月の頻度では毎月同じ日に実行されることMicrosoft Learn: Power Automate でスケジュールに従ってクラウド フローを実行する2026-10-06
「Microsoft Word テンプレートを設定する」のアクションがあり、Power Automate ではプレミアムであること。繰り返しセクションのコンテンツ コントロールに配列を渡して行を作れること。リッチ テキストに対応しないこと。入力ファイルの最大が10MBであること。コントロールの名前が一意である必要があることMicrosoft Learn: Word Online (Business) コネクタ2026-10-06

進みの区分の規則、報告の書式、関門の審査の運用は、各社の研究開発管理の規程によります。 本記事は Microsoft Learn で確認できた製品の仕様だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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