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ECサイトに付く商品レビューを、品質・サイズ・配送・説明との違いの区分で分類して担当へ回し、週次の要点にまとめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

ECサイトに付いた商品レビューを1件ずつ読み、品質・サイズ・配送・説明との違いなどの区分を付けて、商品担当・物流・カスタマーサポートへ回します。週に1回、区分と商品ごとに要点をまとめ、どの商品で何が起きているかを一覧にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
EC/小売/製造
対象部門
カスタマーサポート/マーケティング
対象業務
分類・仕分け/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/人手が足りない/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当が、自社ECサイトと2つのモールのレビュー管理画面を順に開く
  2. 新しく付いたレビューを1件ずつ読む
  3. 不満が含まれていれば、どの担当に関係するかを考える
  4. 商品担当・物流・カスタマーサポートの Slack のチャネルに、レビューの本文を貼って伝える
  5. 気になったレビューを、スプレッドシートに手で書き写す
  6. 週に1回、スプレッドシートを見返して、商品ごとの不満の傾向を会議用にまとめる
導入後(After)
  1. 自動毎朝、各サイトのレビュー管理画面から書き出したCSVを、スプレッドシートの「受信」シートに取り込む
  2. 自動新しい行の追加をきっかけに Make のシナリオが動く
  3. 自動商品マスタから、その商品の商品名・カテゴリ・商品担当を引く
  4. 【AI】 レビューの本文を読み、区分(複数可)と根拠の一文、緊急度を付ける
  5. 自動区分と緊急度から、対応表に沿って担当のチャネルを決め、Slack に投稿する
  6. 自動結果を「分類済み」シートに書き、担当が「確認済み」を付けられる列を用意する
  7. 人担当が自分のチャネルに届いたレビューを読み、対応したら「確認済み」を付ける
  8. 人カスタマーサポートが、`判定不能` と `緊急` のものをその日のうちに見る
  9. 自動毎週月曜の朝、前の週の分類結果を商品と区分で束ね、要点の下書きを作る
  10. 人マーケティング担当が要点の下書きを確かめ、週次の会議に出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当が、自社ECサイトと2つのモールのレビュー管理画面を順に開く
  2. 新しく付いたレビューを1件ずつ読む
  3. 不満が含まれていれば、どの担当に関係するかを考える
  4. 商品担当・物流・カスタマーサポートの Slack のチャネルに、レビューの本文を貼って伝える
  5. 気になったレビューを、スプレッドシートに手で書き写す
  6. 週に1回、スプレッドシートを見返して、商品ごとの不満の傾向を会議用にまとめる

(a)全件を読みきれない。 新商品の発売やセールの直後は、1日に100件を超えるレビューが付きます。読むのが追いつかない日は、星の低いものだけを読み、星4のレビューに書かれた不満は読み飛ばされます。 「気に入っているが、縫い目がほつれていた」という星4のレビューは、品質の問題として大事な1件です。

(b)伝わったかどうかが分からない。 Slack に貼ったレビューは、チャネルの流れの中に消えます。商品担当が読んだのか、対応したのかは、誰にも分かりません。 同じ不満を別の担当がもう一度貼ることもあります。

(c)区分の付け方が人によって違う。 「思っていた色と違う」を、ある担当は品質、ある担当は説明との違いに入れます。週次のまとめで区分ごとの件数を出しても、数字の意味がそろっていません。

(d)週次のまとめに半日かかる。 スプレッドシートに書き写したものを見返し、商品ごとに数え、会議用の文にします。書き写されていないレビューは、まとめにも出てきません。

  1. 【自動】 毎朝、各サイトのレビュー管理画面から書き出したCSVを、スプレッドシートの「受信」シートに取り込む
  2. 【自動】 新しい行の追加をきっかけに Make のシナリオが動く
  3. 【自動】 商品マスタから、その商品の商品名・カテゴリ・商品担当を引く
  4. 【AI】 レビューの本文を読み、区分(複数可)と根拠の一文、緊急度を付ける
  5. 【自動】 区分と緊急度から、対応表に沿って担当のチャネルを決め、Slack に投稿する
  6. 【自動】 結果を「分類済み」シートに書き、担当が「確認済み」を付けられる列を用意する
  7. 【人】 担当が自分のチャネルに届いたレビューを読み、対応したら「確認済み」を付ける
  8. 【人】 カスタマーサポートが、判定不能 と 緊急 のものをその日のうちに見る
  9. 【自動】 毎週月曜の朝、前の週の分類結果を商品と区分で束ね、要点の下書きを作る
  10. 【人】 マーケティング担当が要点の下書きを確かめ、週次の会議に出す

8番目が、この設計の分かれ目です。 区分を付けられなかったもの、安全に関わる記載があるものは、規則で必ず人に回します。 自動で振り分けるのは、区分がはっきりしているものだけです。

7番目の「確認済み」の列は、第3章の(b)への手当てです。 担当のチャネルに届いたレビューのうち、何日たっても確認済みにならないものが一覧で見えます。 伝わったかどうかが、記録として残ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
自社ECサイト/モールA/モールB のレビュー管理画面
   │  毎朝、新しいレビューをCSVで書き出す
   ▼
Google スプレッドシート「受信」シート
   ▼【トリガー】新しい行(Watch New Rows)
Make(日次のシナリオ)
   ├──▶ 商品マスタを引く(商品名・カテゴリ・商品担当)
   ├──▶ Claude API ── 区分(複数)・根拠の一文・緊急度を JSON で返す
   ├──▶ ルーター
   │      ├─ 品質/説明との違い ─▶ 商品担当のチャネル
   │      ├─ 配送 ──────────────▶ 物流のチャネル
   │      ├─ 返品・交換の希望/緊急 ▶ カスタマーサポートのチャネル
   │      └─ フォールバック(判定不能)▶ カスタマーサポートの確認待ち
   └──▶ 「分類済み」シートへ書き込み(確認済みの列つき)
   ▼
Make(週次のシナリオ:毎週月曜)
   ├──▶ 前の週の分類済みを検索 ── 集約(商品×区分で束ねる)
   └──▶ Claude API ── 週次の要点の下書き ─▶ マーケティング担当へ
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakeZapier、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(区分の付与と週次の要点の下書き)OpenAI API、Gemini API
台帳Google スプレッドシート(受信・分類済み・商品マスタ・対応表)Microsoft Lists
通知SlackMicrosoft Teams、Chatwork

新しく足すのは、Make のシナリオ2本と、スプレッドシートのシート構成だけです。 レビュー管理画面とECサイトには書き込みません。最初の準備作業は、区分の定義と、区分から担当への対応表を作ることです。

土台は、Make のルーターです。 ルーターはシナリオの流れを複数の経路に分け、経路ごとに条件を設定できます。経路は並行ではなく順に処理され、1つ目の経路を処理し終えるまで2つ目には進まないとされ、経路の処理順を設定できます。どの経路の条件にも当てはまらないデータを受けるフォールバックの経路も置けます。判定不能のレビューは、このフォールバックで受けます。

週次の要点には、集約のモジュールを使います。 集約のモジュールは、複数のバンドルを1つにまとめ、グループ化の欄に式を入れると、その式の値ごとに1つのバンドルを出すとされています。商品コードと区分を式にすれば、「商品×区分」ごとにレビューが束になります。

スプレッドシートとのやり取りは、Google Sheets のモジュールで行います。 新しい行を検知する Watch New Rows、行の検索の Search Rows、Add a Row、Update a Row が用意されています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

日次のシナリオは、「受信」シートに新しい行が追加されたことを起点にします。 Watch New Rows は新しい行が追加されたときに動く監視のモジュールで、Make のスケジュールで定期的に確かめます。スケジュールは、CSVを取り込む朝の時刻に合わせて「Daily」で1日2回にします。 朝の取り込み分と、昼に追加で取り込んだ分を拾うためです。

スケジュールには、一定間隔、1回、毎日、平日、毎週、毎月、日付指定、オンデマンドがあり、毎日の設定では1日に複数の実行時刻を持てるとされています。一定間隔の最短の長さは契約のプランによるとされているので、新商品の発売日のように1時間ごとに回したい日がある場合は、プランを先に確かめます。

週次のシナリオは、「Weekly」で毎週月曜の7時に動かします。 前の週(月曜から日曜)の分類結果だけを対象にします。

Watch New Rows には、1回の実行で扱う件数の上限の欄があります。 セールの翌朝のように取り込みが多い日は、上限に当たって次の実行に回ることがあります。上限に当たったかどうかを実行の記録で見て、当たる日が多いなら実行時刻を増やします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
レビューサイト名、レビューID、商品コード、星の数、タイトル、本文、投稿日各サイトのレビュー管理画面のCSV
商品マスタ商品コード、商品名、カテゴリ、サイズ展開、商品担当スプレッドシート「商品マスタ」
区分の定義区分の名前、含めるもの、含めないもの、例文スプレッドシート「区分の定義」
対応表区分と緊急度の組み合わせごとの担当チャネルスプレッドシート「対応表」

質を決めるのは、区分の定義です。 「思っていた色と違う」をどこに入れるかを決めておかないと、第3章の(c)がAIでもそのまま起きます。定義には、含めるものと同じくらい、含めないものを書きます。

レビューの投稿者の名前やニックネームは、取り込みません。 分類に要るのは本文と星の数と商品だけです。

Step3

データの取得方法を決める

レビューは、各サイトのレビュー管理画面から、前日分をCSVで書き出して「受信」シートに追記します。書き出しの形式はサイトごとに違うので、列の対応表を作り、取り込むときに同じ列にそろえます。 サイトにレビューのAPIやWebhookがある場合は、そちらで受け取ってもかまいません。

取るものどこからどうするか
前日の新しいレビュー各サイトのCSV列をそろえて「受信」シートへ追記
商品の情報「商品マスタ」シートSearch Rows で商品コードから引く
区分の定義と対応表各シートシナリオの開始時に読み、指示と振り分けに使う
前の週の分類結果「分類済み」シート週次のシナリオで Search Rows で投稿日から引く

サイトをまたいで同じレビューIDが重なることがあるので、「サイト名+レビューID」を一意の鍵にします。 同じ鍵の行が「分類済み」にあれば、分類し直さずに飛ばします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 列をそろえる … サイトごとに違う列名を、サイト名・レビューID・商品コード・星の数・タイトル・本文・投稿日にそろえます
  2. 本文の無いレビューを外す … 星だけのレビューは分類に回さず、件数だけを数えます
  3. 重複を除く … 「サイト名+レビューID」が「分類済み」にあれば飛ばします
  4. 商品コードの照合 … 商品マスタに無い商品コードは、セット商品や終売品のことが多いので、商品不明 の印を付けて分類は続けます
  5. 投稿者の情報を落とす … ニックネーム、年代、性別のような項目は取り込みません
  6. 本文の個人情報の印 … 本文に電話番号やメールアドレスのような書き込みがあれば、印を付けてカスタマーサポートへ回します
  1. ショップからの返信を外す … 管理画面のCSVに、自社が書いた返信の列が含まれることがあります。本文と一緒に渡すと、返信に書いた「ご迷惑をおかけしました」から不満の区分が付くので、取り込むときに列を外します

2番目の件数は、週次の要点で使います。 星だけのレビューは区分を付けられませんが、星の分布の変化は傾向の手がかりになります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、本文を読んで区分を付け、区分ごとに根拠の一文を写し、緊急度を付けることだけです。

区分含めるもの含めないもの
品質初期不良、破損、ほつれ、においなど商品そのものの不具合配送中の箱のつぶれ
サイズ・仕様サイズ感、重さ、色味の印象、使い勝手商品ページの記載との食い違い
配送届くまでの日数、梱包、配送中の破損、届け先の誤り商品そのものの不具合
説明との違い商品ページの記載・写真と届いた商品の食い違い好みに合わなかったという感想
返品・交換の希望返品・交換・返金を求める記載返品の方法の質問だけ
称賛不満の無い好意的な感想-
その他上のどれにも当たらないもの-

「サイズ・仕様」と「説明との違い」を分けるのが、この区分のいちばんの肝です。 「思ったより小さい」は印象で、「記載の寸法より2cm小さい」は記載との食い違いです。前者は商品ページの見せ方の話、後者は表示の誤りの話で、直す担当と急ぎ具合が違います。

緊急度は3段階にします。 緊急 は、けが・発火・異臭・誤飲など安全に関わる記載、要対応 は返品・交換の希望と説明との違い、通常 はそれ以外です。

させないこと理由
担当の決定対応表で決める。組織の都合で変わる
レビューの掲載・非掲載の判断掲載の基準はサイトと自社の方針で決める
返信文の作成本記事の範囲外。返信は担当が書く
不具合の原因の推定「製造時の不良と思われる」のような推測を書かせない
星の数からの区分の推定本文に書かれていない不満を作らない

最後の行がいちばん起きやすい失敗です。 星2で本文が「また買います」のレビューに、星の数に引きずられて品質の区分を付けます。区分は本文の記載だけで決めさせます。

逆向きの失敗もあります。 星5で「とても気に入っています。ただ、2回洗ったら色落ちしました」というレビューは、称賛の印象が強く、品質の区分が落ちがちです。「ただ」「でも」「残念なのは」の後ろに不満が書かれることが多いと指示に添え、文の後半まで読ませます。

Step6

指示内容を固定する

あなたはECサイトの商品レビューを、社内の担当へ回すために区分けする担当です。
レビューの本文に書かれていることだけで判断してください。

【区分の定義】{区分の定義シートの内容}

【付け方】
- 当てはまる区分をすべて付けてください。1つに絞らないでください。
- 区分ごとに、根拠にした本文の一文をそのまま evidence に写してください。
  要約や言い換えをしないでください。
- 「サイズ・仕様」と「説明との違い」は分けてください。
  商品ページの記載や写真との食い違いが本文に書かれているときだけ
  「説明との違い」にしてください。印象の違いは「サイズ・仕様」です。
- 星の数から区分を推測しないでください。本文に不満が書かれていなければ、
  星が低くても不満の区分を付けないでください。
- 不具合の原因を推測して書かないでください。
- 緊急度は次のとおりです。
  緊急:けが、発火、異臭、誤飲、やけどなど安全に関わる記載がある
  要対応:返品・交換・返金の希望、または説明との違いがある
  通常:それ以外
- どの区分か決められないときは、labels を空にして undecidable を true にしてください。
- 本文に電話番号・メールアドレス・住所のような個人の情報があれば、
  personal_info を true にし、その内容は evidence に写さないでください。

【商品】{商品名}/{カテゴリ}/{サイズ展開}
【星の数】{星}
【タイトル】{タイトル}
【本文】{本文}

「1つに絞らない」を最初に書かないと、いちばん目立つ区分だけが付きます。 サイズの不満と配送の不満が並んでいるレビューで、文章の量の多いほうだけが選ばれ、もう一方の担当に届きません。

「印象の違いはサイズ・仕様」を例と一緒に書くのは、ここがいちばん揺れるからです。 定義のシートに例文を5つずつ置き、指示に差し込みます。揺れたレビューは、例文として定義のシートに足していきます。

週次の要点の指示は別に持ちます。 集約した「商品×区分」の束を渡し、件数の多い順に、根拠の一文を2つずつ添えて要点を書かせます。件数は Make の側で数えた値を渡し、AIに数えさせません。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "review_key": "モールA_R123456",
  "labels": [
    { "category": "サイズ・仕様", "evidence": "思っていたより一回り小さかったです。" },
    { "category": "配送", "evidence": "届いた箱の角がつぶれていました。" }
  ],
  "urgency": "通常 | 要対応 | 緊急",
  "undecidable": false,
  "personal_info": false
}

JSONの形は、Claude API の構造化出力で固定します。 構造化出力はスキーマに沿った応答を制約付きのデコードで保証するもので、output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを渡して使います。enum は文字列などで使えますが、大文字と小文字の違いまでは保証されないとされているため、区分の値は日本語にし、Make の側で比較するときも表記をそろえてから比べます。

Make の Anthropic Claude のアプリには、Simple Text Prompt、Create a Prompt、Make an API Call のモジュールがあります。 スキーマの指定を細かく渡したい場合は、Make an API Call でメッセージの API を呼び、output_config を含めます。

1つ目の理由は、区分ごとに担当へ回せることです。 labels が配列なので、ルーターの手前で区分ごとにバンドルを分ければ、1件のレビューが商品担当と物流の両方に届きます。

2つ目は、根拠の一文で担当の確認が速くなることです。 Slack の投稿には、本文全体ではなく区分の根拠の一文を先頭に置き、本文全体はその下に付けます。物流の担当は、配送の一文だけを読めば足ります。

3つ目は、undecidable でフォールバックに回せることです。 区分を付けられなかったものは、ルーターのどの経路の条件にも当たらず、フォールバックの経路で確認待ちに入ります。

週次の要点は、次の表の形で受け取ります。 件数の列は Make の集約で数えた値を差し込み、AIが書くのは「要点」の列だけです。

商品区分件数前の週要点根拠の一文(2つ)
綿のシャツ(白)サイズ・仕様93肩幅が狭いという記載が続く「肩がきつい」/「いつものサイズでは窮屈」
保存容器3点配送51箱の角のつぶれと、ふたの割れ「箱がへこんでいた」/「ふたにひびが」
加湿器説明との違い30容量の記載と実際の違い「記載の容量まで入らない」/「説明より小さい」

「前の週」の列を置くのは、増えたものから読めるようにするためです。 件数の多さより、急に増えた商品のほうが、商品担当にとって急ぎの話です。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
「受信」シートGoogle Sheets の Watch New Rows新しいレビューを検知する
「商品マスタ」シートSearch Rows商品名・カテゴリ・商品担当を引く
Claude APIAnthropic Claude のアプリ(Make an API Call)区分・根拠・緊急度を返す
SlackMake の Slack のモジュール担当のチャネルへ投稿する
「分類済み」シートAdd a Row/Update a Row結果と確認済みの列を書く

ルーターの経路は、緊急を先頭に置きます。 経路は順に処理されるため、緊急の経路を最初にしておけば、安全に関わるレビューが他の経路の処理を待たずにカスタマーサポートへ届きます。 2番目以降に、返品・交換の希望、説明との違い、品質、配送の順で並べます。

経路条件送り先
1urgency が緊急カスタマーサポート(メンション付き)
2返品・交換の希望を含むカスタマーサポート
3説明との違い・品質を含む商品マスタの商品担当
4配送を含む物流
5称賛・その他だけ投稿せず、分類済みに書くだけ
フォールバックどれにも当たらない(undecidable)カスタマーサポートの確認待ち

レビュー管理画面とECサイトへは書き込みません。 掲載・非掲載の切り替えや返信は、担当が管理画面で行います。

Step9

人が確認する

人が必ず見るのは、緊急 と、フォールバックに入ったものです。 それ以外は担当のチャネルに届いたものを担当が読み、確認済みを付けます。

  1. カスタマーサポートが 緊急 をその日のうちに見る … 安全に関わる記載は、購入者への連絡や商品の確認が要るかを判断します
  2. カスタマーサポートがフォールバックを見る … 区分を付けて「分類済み」を直します。直した区分は、定義の例文の候補にします
  3. 各担当が自分のチャネルを見る … 対応したら確認済みを付けます
  4. マーケティング担当が週次の要点を確かめる … 件数の多い「商品×区分」の根拠の一文が、要点の文と合っているかを見ます
  5. 毎週、確認済みになっていないものを数える … 3日たっても確認済みにならないものを、週次の要点に載せます

2番目を省かないでください。 フォールバックに入るレビューは、区分の定義のすき間を教えてくれます。直したものを例文に足すほど、フォールバックが減ります。

自動で振り分けたものも、毎週20件だけ抜き取って見ます。 称賛・その他だけに分類されて誰にも投稿されなかったレビューから選び、不満の区分が抜けていないかを確かめます。投稿されなかったものは、誤っていても誰の目にも触れないので、ここだけは抜き取りで補います。

目標は、1,200件をならして1件1分です。 担当が根拠の一文を読んで確認済みを付ける時間と、緊急・フォールバックの確認、週次の要点の確認を合わせた平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
安全に関わる記載がある緊急 の経路でカスタマーサポートへ。分類の精度にかかわらず必ず人が見る
区分を付けられないフォールバックで確認待ちへ
本文に個人の情報があるpersonal_info の印でカスタマーサポートへ。根拠の一文に写さない
商品マスタに無い商品コード商品不明 の印で分類を続け、商品担当の代わりにマーケティング担当へ
同じレビューが二度取り込まれる「サイト名+レビューID」で飛ばす
外国語のレビュー区分は付けさせ、根拠の一文は原文のまま写す
Claude API が応答しないその行を「受信」に残し、次の実行で拾い直す
1回の実行の上限に当たる実行時刻を増やす。残った行は次の実行で拾われる
競合や他の商品の名前が書かれている区分はそのまま付け、名前は根拠の一文に残してよい。扱いは担当が決める

いちばん上の行は、件数は少なくても最も重い例外です。 緊急の判定を外すと、けがにつながる不具合のレビューが通常の流れに埋もれます。指示の緊急の例を広めに取り、迷うものは緊急に倒すほうが安全です。

Step11

記録を残す

  • 取り込んだレビュー(サイト名、レビューID、商品コード、星の数、本文、投稿日)
  • 分類の結果(区分、根拠の一文、緊急度、判定不能、個人情報の印)と、分類した日時
  • 人が区分を直した記録 … どのレビューの、どの区分を、どう直したか
  • 担当のチャネルに投稿した日時と、確認済みを付けた人と日時
  • 週次の要点の下書きと、マーケティング担当が直した確定版
  • 区分の定義と対応表の版と、変えた日

3つ目の直した記録が、定義を育てる材料です。 同じ直しが続く区分は、定義の「含めないもの」が足りていません。

最後の行は、区分ごとの件数を月をまたいで比べるために残します。 定義を変えた月は、件数が増減しても傾向の変化とは限りません。

04実装レベルの3段階

最小構成:レビューの本文を手でAIの画面に貼り、区分と根拠の一文を付けさせる / 区分の付与
半自動化:上記+Make で「受信」シートの新しい行から区分を付け、ルーターで担当のチャネルへ回し、週次の要点の下書きを作る / 区分の付与、振り分け、週次の要点
本格構成:上記+各サイトのAPI・Webhookでレビューを直接受け取り、確認済みにならないものの催促と、商品ごとの区分の件数の推移を自動で出す / 取り込みから追跡まで

最小構成では件数がさばけません。 月1,200件を手で貼るのは続かないので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件3分が1分になり、この段階が本記事の想定です。 CSVの取り込みは人の作業として残りますが、読む・区分を付ける・伝える・書き写すがなくなります。 本格構成は、取り込みの手間と、伝えたあとの追跡を足す段階です。 サイトにAPIやWebhookが無い場合は、CSVの取り込みのままでも半自動化までは組めます。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、フォールバックに入りやすい書き方と、確認済みになりにくい担当が先に分かります。定義と対応表をそこで直してから取り込みを自動にするほうが、誤った区分のレビューが大量に流れる事態を避けられます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
1,200 件
1件あたり現在時間
3 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  1,200件 × 3分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 1,200件 × 1分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,000円)
144万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 自社のECサイトやモールの店舗で数百から数千の商品を扱い、商品レビューが月に千件前後付くEC事業者・小売・メーカーの直販部門。レビューを担当者が目で読み、気づいたものだけを商品担当や物流に口頭やチャットで伝えている場合。レビューの不満が商品ページの記載の直しや梱包の見直しにつながっていない場合。レビューをCSVで書き出せるか、API・Webhookで受け取れる場合。
向いていない
  1. レビューが月に数十件で、1人が毎日読んで足りている場合。レビューの多くが星だけで本文が無い場合。レビュー管理のサービスに分類と通知の機能があり、それで運用が回っている場合。なお、レビューを掲載するか、どう返信するか、商品や表示を直すかの判断は、各担当に残ります。

07最小構成で試す方法

  1. 先月のレビューから100件を選ぶ(うち10件は、後から商品担当や物流に伝えるべきだったと分かったものを入れる)
  2. 区分の定義(第7章の表)を、自社の商品に合わせて書き直す
  3. 100件の本文と定義を、手元のAIサービスに貼り付け、第7章の指示で区分と根拠の一文を付けさせる
  4. 出てきた区分を、担当2名が別々に付けた区分と突き合わせる
  5. 「伝えるべきだった10件」に、正しい区分が付いたかを確かめる

担当2名にも別々に区分を付けてもらってください。 人どうしで区分が割れるレビューは、AIでも割れます。割れたレビューが、定義に書き足すべき例文です。

出てきた内容判断
伝えるべきだった10件に正しい区分が付いたMake のシナリオの作成に進む
区分が1つしか付かないレビューが多い指示文で直る。構成は有効
担当2名の区分そのものが割れる定義の書き直しが先。 AIの問題ではない

3行目が出たら、割れたレビューを例文にして定義を書き直し、同じ100件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
区分が1つしか付かない「1つに絞らない」を指示の最初に書く。 labels を配列にする
サイズの印象と記載の違いが混ざる定義に含めないものと例文を書く
星の数に引きずられて区分が付く本文に書かれていない不満を作らせない
緊急が通常に埋もれる緊急の経路を先頭に置き、迷うものは緊急に倒す
区分の値の表記が揺れて経路に乗らない大文字・小文字は保証されない。 比較の前に表記をそろえる
同じレビューが二度投稿される「サイト名+レビューID」で重複を除く
サイトごとのCSVの列が違う列の対応表で取り込むときにそろえる
実行の上限に当たって取り残しが出る実行時刻を増やす
担当に届いたまま放置される確認済みの列を作り、3日たったものを週次に載せる
週次の件数がAIの数え間違いで狂う件数は Make の側で数えて渡す
投稿者の情報が台帳に残る取り込む列から外す
不満のレビューを消す運用に流れる掲載の判断はこの構成に入れない

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、区分が実際より少なく、粗く付くことから起きます。区分が足りないと、担当には「何も届かない」という形で現れるので、気づくのが遅れます。

下の2行も、早めに効いてきます。 台帳に投稿者の情報が残っていると、週次の要点を社外の取引先や仕入先に見せる場面で困ります。不満のレビューを消したくなる気持ちも、件数が見えるほど強くなります。 区分の結果は直すための材料で、レビューを減らすための材料ではない、という線を最初に引いておきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: レビューの本文、星の数、商品の情報、そして本文に書き込まれていることがある購入者の個人の情報(電話番号、住所、注文番号)です。

  1. 投稿者の情報を取り込まない … ニックネーム、年代、性別は分類に要りません。取り込まなければ、外部のAIに渡ることもありません
  2. 本文の個人の情報を広げない … personal_info の印が付いたものは、根拠の一文に写さず、カスタマーサポートだけが本文を見ます。担当のチャネルに本文を貼らないように経路を分けます
  3. 掲載の判断をこの構成に入れない … 不満のレビューを非掲載にする判断は、サイトの規約と自社の方針で行います。区分の結果を掲載の操作につなげません
  4. 安全に関わる記載は必ず人が見る … 分類の精度にかかわらず、緊急 は人が見ます。購入者への連絡や商品の確認が要るかは、カスタマーサポートが判断します
  5. 区分の結果を個人の評価に使わない … 配送の区分の件数を、配送業者や個々の作業者の評価に直結させないでください。区分は本文の記載であって、原因の特定ではありません

誤りが起きた場合のリスクは、安全に関わるレビューを見落とすことと、区分が抜けて担当に届かないことの2つです。 前者は緊急の経路を先頭に置き、迷うものを緊急に倒すことで防ぎ、後者は区分を複数付けさせ、フォールバックを人が見ることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:区分の定義を作る

マーケティングとカスタマーサポートの担当で、区分の名前、含めるもの、含めないもの、例文を決めます。「サイズ・仕様」と「説明との違い」の境目を、過去のレビューを見ながら決めることに時間を使います。

2週目:100件で試す

先月のレビューから100件を選び、手元のAIサービスで区分を付けさせ、担当2名が別々に付けた区分と突き合わせます。伝えるべきだった10件に正しい区分が付くかを最優先で見ます。

3週目:対応表とシートを作る

区分と緊急度から担当のチャネルを決める対応表を作り、受信・分類済み・商品マスタ・区分の定義・対応表のシートをそろえます。サイトごとのCSVの列の対応表も作ります。

4週目:日次のシナリオをつなぐ

Make で Watch New Rows から区分の付与、分類済みへの書き込みまでを組みます。この時点ではルーターの投稿を止め、分類済みのシートだけを担当が見ます。

2か月目: ルーターで担当のチャネルへの投稿を始め、フォールバックと緊急の件数を毎週数えます。3か月目以降: 週次のシナリオを足し、1件3分が何分になったかを実測します。商品担当と物流が、週次の要点をもとに商品ページや梱包を直し始めた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
ルーターがシナリオを複数の経路に分け、経路ごとに条件を設定できること。経路が並行ではなく順に処理されること。経路の処理順を設定できること。どの条件にも当たらないデータを受けるフォールバックの経路があることMake Help Center: Router2026-10-06
集約のモジュールが複数のバンドルを1つにまとめ、グループ化の式の値ごとに1つのバンドルを出すことMake Help Center: Aggregator2026-10-06
スケジュールの種類(一定間隔、1回、毎日、平日、毎週、毎月、日付指定、オンデマンド)。毎日の設定で複数の実行時刻を持てること。一定間隔の最短の長さがプランによることMake Help Center: Schedule a scenario2026-10-06
Google Sheets のモジュールに Watch New Rows、Search Rows、Add a Row、Update a Row があり、監視と検索に1回の実行で扱う件数の上限の欄があることMake Apps: Google Sheets modules2026-10-06
Anthropic Claude のアプリに Simple Text Prompt、Create a Prompt、Make an API Call のモジュールがあることMake Apps: Anthropic Claude2026-10-06
構造化出力がスキーマに沿った応答を保証し、output_config.format に json_schema を渡して使うこと。enum の大文字・小文字の違いが保証されないことClaude Docs: Structured outputs2026-10-06

レビューの掲載や表示の扱いは、出店しているサイトの規約と自社の方針に従ってください。 本記事は Make と Anthropic の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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