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知財部が毎月出す社内向けの知財ニュースを、案件台帳と他社の公報・判決のメモから事業部ごとに下書きする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

知財部員が書きためた他社の公報と判決のメモ、案件台帳の集計から、技術者向けの月次の知財ニュースの記事を事業部ごとに下書きします。知財部は、取り上げる記事を選び、表現を直して出すだけになります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
IT・SaaS/医療/製造
対象部門
知財
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/情報が見つからない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/教育コスト削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
12h/月
想定削減
60%
年間削減
216h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当の知財部員が、自分の分野の公報と判決のメモを読み返し、取り上げるものを選ぶ
  2. 公報のメモを見ながら、技術者向けに発明の要点を3〜4文で書く
  3. 判決のメモを見ながら、何が争われ、何が判断されたかを書く
  4. 公報番号・事件番号・出願人・日付を、メモから記事へ写す
  5. 案件台帳から事業部ごとの出願件数を数え、表にする
  6. 編集の担当が全員の記事を集め、表現をそろえ、1つの版にまとめる
  7. 知財部長が読み、直してポータルに載せる
導入後(After)
  1. 人知財部員は、これまでどおり公報と判決のメモを共有の表に書く。「ニュースに載せる候補」の印と、関係する事業部を付ける
  2. 自動毎月の締め日に、プログラムが候補の印のあるメモを事業部ごとに集める
  3. 自動案件台帳から、事業部ごと・月ごとの出願の件数を、決めた条件で数える
  4. 自動メモと件数をAIに渡し、技術者向けの記事の見出しと本文を事業部ごとに下書きさせる
  5. 自動プログラムが、番号がメモと一致するか、件数が集計と一致するか、書いてはいけない語が入っていないかを点検する
  6. 人メモを書いた知財部員が、自分の記事の下書きを直す
  7. 人編集の担当が版ごとに並べ、知財部長が確認する
  8. 【人/自動】 確認を通った版を、事業部ごとにポータルへ載せる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当の知財部員が、自分の分野の公報と判決のメモを読み返し、取り上げるものを選ぶ
  2. 公報のメモを見ながら、技術者向けに発明の要点を3〜4文で書く
  3. 判決のメモを見ながら、何が争われ、何が判断されたかを書く
  4. 公報番号・事件番号・出願人・日付を、メモから記事へ写す
  5. 案件台帳から事業部ごとの出願件数を数え、表にする
  6. 編集の担当が全員の記事を集め、表現をそろえ、1つの版にまとめる
  7. 知財部長が読み、直してポータルに載せる

(a)書くのが後回しになる。 2番目と3番目は、メモを書いた本人でないと書けません。中間処理の期限や調査の依頼が入ると、ニュースの記事は最後に回され、発行が翌月にずれ込みます。 遅れたニュースは、もうニュースではありません。

(b)番号を写し違える。 公報番号の数字の1桁、事件番号の「(行ケ)」と「(ネ)」。記事を読んだ技術者が公報を引こうとして見つからず、知財部に問い合わせが来ます。 写し違いは、急いだ月ほど増えます。

(c)書いてはいけないことが混ざりそうになる。 「当社の〇〇の構成に近い」「この請求項なら回避できる」。メモには知財部員の所見として書かれていても、全社に配る記事に入れてよいものではありません。 部長の確認で毎回削っています。

(d)表現が担当ごとにばらばら。 ある知財部員は請求項の言い回しをそのまま書き、別の知財部員はくだけた言葉で書く。編集の担当がそろえ直す時間が、毎月まとまってかかります。

(e)事業部ごとの版が作れない。 1本の記事を5つの版に振り分け、版ごとに前置きと表を作り直す手間があり、全社の1つの版で妥協しています。 技術者の読む率は上がりません。

  1. 【人】 知財部員は、これまでどおり公報と判決のメモを共有の表に書く。「ニュースに載せる候補」の印と、関係する事業部を付ける
  2. 【自動】 毎月の締め日に、プログラムが候補の印のあるメモを事業部ごとに集める
  3. 【自動】 案件台帳から、事業部ごと・月ごとの出願の件数を、決めた条件で数える
  4. 【自動】 メモと件数をAIに渡し、技術者向けの記事の見出しと本文を事業部ごとに下書きさせる
  5. 【自動】 プログラムが、番号がメモと一致するか、件数が集計と一致するか、書いてはいけない語が入っていないかを点検する
  6. 【人】 メモを書いた知財部員が、自分の記事の下書きを直す
  7. 【人】 編集の担当が版ごとに並べ、知財部長が確認する
  8. 【人/自動】 確認を通った版を、事業部ごとにポータルへ載せる

6番目を、メモを書いた本人に戻しているのが大事です。 下書きは文章の形になっていますが、請求項の要点の取り方が合っているかを判断できるのは、その公報を読んだ本人だけです。 編集の担当が直すと、意味の取り違えに気づけません。

3番目を台帳の集計で行うのは、件数をAIに数えさせないためです。 件数はプログラムが数えた値をそのまま記事の表に入れ、本文で件数に触れるときも、その値を使います。 数える条件(出願日で数えるか、受付の日で数えるか)は、知財部で一度決めて固定します。

02今回想定するシステム構成

構成図
公報・判決のメモ(共有の表)+ 案件台帳
   │  知財部員が「候補」の印と事業部を付ける
   ▼【トリガー】毎月の締め日(定時実行)
Python ── 候補のメモを事業部ごとに集める/台帳の件数を決めた条件で数える
   ▼
ChatGPT(OpenAI API・構造化出力)
   │   記事の見出しと本文(他社の注目出願/判決/社内の出願実績の解説)
   ▼
Python ── 番号の一致/件数の一致/書いてはいけない語の点検
   ▼
事業部ごとの版の下書き(点検の結果つき)
   ▼
【メモを書いた本人が直す】→【編集の担当・知財部長が確認】→ ポータルへ
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(OpenAI API。最小構成では ChatGPT の画面)Claude、Gemini、Microsoft Copilot
集計Python(メモの収集、台帳の件数の集計、番号と件数と禁止語の点検)Google Apps Script
保管公報・判決のメモの共有の表と、案件台帳-
配信社内のポータル-

新しく足すのは、メモの表の2つの列と、Python の小さな処理と、AIへの指示文だけです。 案件台帳には書き込みません。ポータルへ載せる操作も、確認を通った後に人が行います。

材料の出どころは、公開されている情報です。 公報は、INPIT が運営する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、特許・実用新案・意匠・商標などの情報を無料で検索・閲覧できます。判決は、裁判所の知的財産裁判例の検索で、裁判年月日・事件番号・権利の種別・訴訟の類型・キーワードで引けます。どちらも知財部員が人の手で引き、読んでメモを書くことを前提にし、この構成で自動の取得はしません。

AIには、OpenAI API の構造化出力を使います。 公式の説明では、text.format に type: "json_schema" と strict: true を指定すると応答がスキーマに従い、すべての項目を required にし、additionalProperties を false にする必要があります。 値の無い項目は null との共用体で表します。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月の締め日(たとえば第3金曜日)に、定時で処理を動かします。 締め日までにメモの表で「候補」の印が付いたものを、その月の材料にします。メモが書かれるたびに下書きを作り直すことはしません。 版ごとの記事の並びと前置きは、その月の材料がそろってから決まるからです。

締め日の翌週を、本人の手直しと部長の確認の週にします。下書きが締め日の当日に出ていれば、発行は翌月にずれ込みません。 これまで発行を遅らせていたのは、書き始めるまでの時間だったからです。

締め日の前に、候補の印が付いていない事業部があれば知らせます。 その事業部の版は、社内の出願実績だけの薄い版になります。知財部員に、候補を選ぶよう締め日の3日前に通知を出します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
公報のメモ公報の種別と番号、出願人、発明の名称、公開・登録の日、知財部員の要点メモ、関係する事業部、注目した理由メモの共有の表
判決のメモ裁判所、事件番号、裁判年月日、権利の種別、訴訟の類型、争点と判断の要点メモ、社内への示唆メモの共有の表
出願の件数事業部ごと・月ごとの出願の件数、前年の同じ月の件数案件台帳(Python で集計)
書き方の決まり用語の言い換えの一覧(「請求項」→「権利の範囲を決める文」など)、文の長さ、敬体知財部で用意する一覧
書いてはいけない語の一覧「侵害」「抵触」「回避できる」「無効にできる」などの見解の語、社内の開発の呼び名知財部で用意する一覧

質を決めるのは、メモの「注目した理由」の欄です。 「競合のA社が、当社が昨年出した分野で3件続けて出している」のような理由があれば、記事は技術者にとって意味のあるものになります。理由が空欄のメモからは、公報の要約しか書けません。 要約だけの記事は読まれません。

メモの1行は、たとえば次のような形です。この形で書かれていれば、記事の材料として足ります。

列例
公報の種別と番号特開2026-xxxxxx(知財部で決めた書き方のまま)
出願人A社
発明の名称電源装置
要点メモスイッチング素子の発熱を、基板の配線の形で逃がす構成。従来は放熱板を足していた
注目した理由A社がこの半年で同じ分野に3件。当社の電源の事業部も同じ課題に取り組んでいる
所見(AIに渡さない)知財部の中の記録として書く欄
候補・事業部候補/電源

社内の開発の呼び名を禁止語に入れるのは、公開前の発明の手がかりになるからです。 知財部員のメモには、比較のために社内の開発の呼び名が書かれていることがあります。記事に1語でも残ると、配布の範囲によっては外へ出る経路ができます。

Step3

データの取得方法を決める

メモの共有の表は、Python で行ごとに読みます。 「候補」の列に印があり、締め日の月に書かれた行だけを取り、関係する事業部の列で振り分けます。1つのメモに事業部が2つ付いていれば、両方の版に入れます。

取るものどこから何に使うか
候補のメモメモの共有の表の「候補」の列記事の材料
公報番号・事件番号メモの番号の列下書きの点検の照合の元
出願の件数案件台帳を出願日で集計社内の出願実績の表と本文
前月までの掲載の記録過去の版の記録同じ公報を二度取り上げない

案件台帳からは、件数だけを取ります。 発明の名称、発明者、技術の分類は取りません。出願公開の前の案件の名称は、件数の集計にしか使わないので、プログラムの外に出す必要がありません。 集計の条件は、出願日がその月に入り、取り下げの案件を除く、のように知財部で固定します。

事業部の列は、決まった名前から選ぶ形にします。 自由に書けるようにすると「電源」「パワー」「電源事業部」が混ざり、振り分けの段階で記事がどの版にも入らないことが起きます。 メモの表の入力を、一覧から選ぶ形に変えておきます。

前月までの掲載の記録を引くのは、二度載せを防ぐためです。 同じ公報に別の知財部員がメモを付けることがあり、先月載せた公報が今月も候補に上がっていれば、プログラムが候補から外して知らせます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 候補の絞り込み … 「候補」の印があり、締め日の月に書かれたメモだけを取ります
  2. 番号の書式の確認 … 公報番号と事件番号が、知財部で決めた書き方になっているかを見ます。なっていなければ、AIに渡す前にメモを書いた本人へ返します
  3. 二度載せの除外 … 過去の版に同じ番号があれば外します
  4. 禁止語の事前の点検 … メモの所見の欄に書いてはいけない語があれば、その欄をAIに渡しません。 要点の欄と注目した理由の欄だけを渡します
  5. 件数の集計 … 事業部ごと・月ごとの出願の件数と、前年の同じ月の件数を数えます
  6. 版ごとの束ね … 事業部ごとに、公報のメモ・判決のメモ・件数を1つの材料にまとめます

2番目で番号を直さないのが大事です。 書式が崩れた番号をプログラムやAIが整えると、整えた結果が正しいかを確かめる元が無くなります。 メモを書いた本人に直してもらい、その番号を正とします。

4番目で所見の欄ごと外すのは、AIに見せた語は下書きに出てくるからです。 「回避できる」という所見を渡して「書かないでください」と指示するより、渡さないほうが確実です。 所見は知財部の中の記録として、メモの表に残ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、メモに書かれた事実と要点を、技術者が読む言葉の記事に直すことです。 新しい事実を足させません。

記事の種類書かせること書かせないこと
他社の注目出願何についての出願か、どこが新しいとされているか、注目した理由当社製品との関係、権利になる見込み、回避の方法
判決何が争われ、裁判所がどう判断したか、技術者にとっての示唆判決の当否の評価、当社の案件への当てはめ
社内の出願実績集計した件数の読み方(前年との増減)、事業部への呼びかけ件数の計算、個別の案件の名称や中身

右端の列は、記事の品質の問題ではなく、知財部の方針の問題です。 他社の特許に対する見解は、知財部が正式な手順で検討して、必要な相手にだけ伝えるものです。全社に配る記事に、検討を経ない見解の文が載ることを避けます。

判決の記事で「技術者にとっての示唆」を書かせるのは、メモの「社内への示唆」の欄がある場合だけです。 欄が空なら、争点と判断の紹介にとどめます。AIが自分で示唆を考えると、判決が言っていないことを言わせることになります。

点検することどう確かめるか
番号の写し違い下書きの番号がメモの番号と完全に一致するかをプログラムで見る
件数の食い違い本文と表の件数が集計の値と一致するかをプログラムで見る
書いてはいけない語禁止語の一覧と照合する
メモに無い事実AIに、記事の各文の根拠にしたメモの欄を返させる

4行目の「根拠の欄」を返させるのは、足された事実を見つけるためです。 根拠の欄が空の文は、メモに無いことを書いた可能性がある文として、手直しの画面で色を付けます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは製造業の知財部で、技術者向けの社内の知財ニュースの記事を下書きする担当です。
渡されたメモと件数だけを使って書いてください。メモに無い事実を足さないでください。

【記事の種類】
- competitor_filing ... 他社の注目出願
- case_law ............ 知財の判決
- internal_stats ...... 社内の出願実績

【書き方】
- 読み手は研究開発の技術者です。知財の専門用語は、用語の言い換えの一覧に従って開いてください。
- 見出しは30字以内、本文は200〜300字、です・ます調で書いてください。
- 公報番号、事件番号、出願人、裁判所、日付は、メモの値を一字も変えずに写してください。
  書式を整えたり、略したりしないでください。
- 件数は、渡された集計の値だけを使ってください。計算や言い換え(「約」「倍増」など)をしないでください。

【厳守事項】
- 他社の出願や特許が、当社の製品や開発に関係するか、触れるか、避けられるかを書かないでください。
- 他社の出願が権利になるか、無効にできるかを書かないでください。
- 判決が正しいか、当社の案件に当てはまるかを書かないでください。
- 技術者にとっての示唆は、メモの「社内への示唆」の欄に書かれている場合だけ書いてください。
- 本文の各文について、根拠にしたメモの欄の名前を sources に入れてください。
  根拠の欄が無い文は書かないでください。
- メモの内容が少なく記事にできない場合は、記事を作らず insufficient に入れてください。

【用語の言い換えの一覧】{glossary}
【事業部】{division}
【公報のメモ】{filing_memos}
【判決のメモ】{case_memos}
【出願の件数】{counts}

「計算や言い換えをしない」に「倍増」を例として挙げているのは、件数の表現で起きやすいからです。 前年が4件、今年が9件のとき、AIは「倍増」と書きます。9は4の倍より多く、「倍増」は正しくありません。 件数は値のまま書かせ、増減の表現は人が付けます。

「根拠の欄が無い文は書かない」は、下書きを短くする指示でもあります。 記事を読みやすくしようとして、AIは技術分野の一般的な説明を足します。その説明が正しくても、メモに無い以上、知財部が確かめていない文です。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "division": "",
  "articles": [
    {
      "kind": "competitor_filing | case_law | internal_stats",
      "memo_id": "",
      "headline": "",
      "body": "",
      "identifiers": [""],
      "numbers_used": [0],
      "sentences": [
        { "text": "", "sources": ["要点", "注目した理由"] }
      ]
    }
  ],
  "insufficient": [ { "memo_id": "", "reason": "" } ]
}

1つ目の理由は、番号と件数をプログラムで照合できることです。 identifiers に入った番号を、memo_id のメモの番号の列と文字の単位で比べ、numbers_used を集計の値と比べます。一致しなければ、その記事に「番号の確認」「件数の確認」の印を付けます。

2つ目は、sentences の sources で足された事実を見つけられることです。 渡したメモの欄の名前に無い値が入っていたり、空だったりする文に色を付けて、手直しの画面に出します。

下書きの文書には、JSONから組み立てた記事を次の形で並べます。点検の印は記事の頭に置きます。

【電源の事業部 版 2026年10月】
[印なし]他社の注目出願
見出し:配線の形で熱を逃がす、A社の電源装置の出願
本文:A社が、スイッチング素子の発熱を基板の配線の形で逃がす構成を出願しました(特開2026-xxxxxx)。……
根拠:要点/注目した理由

[件数の確認]社内の出願実績
見出し:電源の事業部の出願、今月は9件
本文:……

3つ目は、insufficient で記事にならなかったメモが分かることです。 理由の多くは「注目した理由が空」で、メモの書き方を知財部員に返す材料になります。 返事は必ずこの形で来るので、refusal が返った場合だけ、その版を手で書きます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
メモの共有の表読み取り(候補の印・番号・要点)記事の材料
案件台帳読み取り(件数の集計のみ)社内の出願実績の表
OpenAI APIAPI呼び出し(構造化出力)事業部ごとの記事の下書き
下書きの文書事業部ごとに1つの文書として書き出す手直しと確認に使う
社内のポータル人が載せる確認を通った版を掲載する
掲載の記録掲載した版の番号の一覧に追記二度載せの防止

ポータルへの掲載は、自動にしません。 部長の確認を通った版を、編集の担当が載せます。記事の中に1つでも見解の文が残っていれば、全社に配られた時点で取り消せないからです。

下書きの文書には、点検の結果を記事ごとに付けます。 「番号の確認」「件数の確認」「根拠の無い文」「禁止語」の4つの印のどれが付いたかを、記事の頭に出します。 印の無い記事から読めば、手直しが速く終わります。

Step9

人が確認する

手直しは、メモを書いた知財部員が自分の記事について行います。

  1. 点検の印が付いた記事を先に見る … 番号と件数の印は、メモと集計を見て直します
  2. 要点の取り方を確かめる … 公報や判決の要点が、自分の読んだ内容と合っているかを見ます
  3. 根拠の無い文を消す … 色の付いた文は、原則として消します
  4. 見出しを直す … 技術者が読みたくなる見出しかを見ます。誇張した見出しは直します

そのうえで、知財部長が版ごとに確認します。 部長が見るのは、他社の出願と判決の記事に、見解に当たる文が残っていないかです。禁止語の点検は語の一致しか見ないので、「当社の主力製品と同じ構成です」のように禁止語を使わない見解の文は、人が読んで見つけます。

版ごとの前置きは、編集の担当が書きます。 その月の版で読んでほしい記事を1〜2本挙げる短い文で、どの記事を推すかは知財部の意図なので、AIには書かせません。

目標は、1本の記事あたり12分です。 本人の手直しに8分、編集と部長の確認に4分という想定で、それより長くかかる記事は、メモの側が足りていないことが多いので、メモの書き方を見直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
締め日に候補が1件も無い事業部社内の出願実績だけの版にする。知財部員に候補の選び方を相談する
メモの番号の書式が崩れているAIに渡さず、メモを書いた本人に返す
先月載せた公報が候補にある候補から外し、メモを書いた本人に知らせる
所見の欄に禁止語があるその欄をAIに渡さない。メモの表には残す
下書きの番号がメモと一致しない「番号の確認」の印を付け、本人がメモから写し直す
下書きの件数が集計と一致しない「件数の確認」の印を付け、集計の値に直す
メモが少なく記事にならないinsufficient に出し、本人がメモを足すか見送る
AIが拒否した・応答が無いその版を手で書く。ほかの版は進める
案件台帳の集計が前月と大きく違う集計の条件が変わっていないかを確かめてから載せる
判決のメモの事件番号が控訴審と第一審で混ざるどちらの判決を紹介するかを本人に確かめ、メモを1件に分ける

上から2行目が、最初の数か月の大半を占めます。 公報番号の書き方は、知財部員によって「特開2026-」「特開2026-」「JP2026-」と揺れています。一度だけ書き方を決め、メモの表の入力の時点でそろえれば、それ以降はほとんど出ません。

Step11

記録を残す

  • 版ごとの材料(使ったメモの番号の一覧と件数の集計の値、集計の条件)
  • AIに渡した材料と、返ってきたJSONの全文
  • 点検の結果(番号・件数・根拠の無い文・禁止語)
  • 本人の手直しの前と後の記事
  • 部長の確認で消した文と、その理由
  • 掲載した版と、掲載の日

4つ目を残すのは、指示文と言い換えの一覧を育てるためです。 毎月同じ種類の直しが入っていれば、それは指示か一覧に書くべきことです。 「請求項」を開いた言い方が毎回直されているなら、一覧の言い換えが技術者に合っていません。

5つ目は、見解に当たる文の例集になります。 禁止語の一覧に載らない形の見解の文を集めておくと、指示文の例として足せます。

04実装レベルの3段階

最小構成:要点を ChatGPT の画面に貼り、記事を書かせる / 1本ずつの下書きの試し
半自動化:上記+Python で候補の収集、件数の集計、AIの呼び出し、番号・件数・禁止語の点検、事業部ごとの下書きの書き出しを行う / 版ごとの下書きと点検
本格構成:上記+ポータルの配信と、記事の閲覧の数・技術者からの問い合わせの記録をつなぎ、次の月の候補の選び方に返す / 下書きから読まれ方の振り返りまで

本記事の想定は半自動化です。 1本30分が12分になる構成で、事業部ごとの版を出せるようになります。月に1回の処理なので、Python の処理を知財部の端末で動かすだけで足ります。 半自動化で変わるのは、知財部員の手元の順番です。 これまでは白紙から書き始めていたのが、締め日の翌朝に自分の記事の下書きが届き、直すところから始まります。 書き始めるまでの腰の重さが無くなることが、発行の遅れを止めるいちばんの理由です。 本格構成は、読まれ方を見たい会社向けです。 どの記事が読まれ、どの記事のあとに技術者からの問い合わせや発明の届出が増えたかが分かれば、知財部員が候補を選ぶ目安になります。 ただし、半自動化で事業部ごとの版を半年ほど出してからでないと、比べる材料がそろいません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  60件 × 30分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 60件 × 12分 ÷ 60 = 12 時間/月
月間削減時間
18h
削減率
60%
年間削減時間
216h
年間金額換算(時間単価4,000円)
86万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 研究開発の部門を複数持つメーカーで、知財部が技術者向けの知財ニュースを毎月出しているが、記事を書く時間が取れず、発行が遅れたり事業部ごとの版を作れなかったりしている場合。知財部員が他社の公報や判決を読んだメモはたまっているのに、技術者が読める文章に直す作業で止まっている場合。ニュースに載せる社内の出願件数を、毎月手で数え直している場合。
向いていない
  1. 知財部が1〜2名で、ニュースを出す余力そのものが無い場合(先に台帳の整備と調査の体制を整える)。他社の公報や判決のメモを取る習慣が無く、下書きの材料が無い場合。他社の特許に対する侵害・非侵害の見解を技術者に伝えることが目的の場合(この構成はそれを書かない)。なお、どの他社の出願を取り上げるかと、記事の最終的な表現は知財部が決めます。

07最小構成で試す方法

  1. 先月のメモから、1つの事業部の候補を10件選ぶ
  2. 所見の欄を除いた要点と注目した理由を、ChatGPT の画面に貼る
  3. 「技術者向けの社内の知財ニュースの記事を、見出し30字以内・本文200〜300字で書いてください。公報番号はメモから一字も変えずに写してください。他社の出願が当社に関係するかを書かないでください。メモに無い事実を足さないでください」と指示する
  4. 出てきた記事の番号を、メモと突き合わせる
  5. メモを書いた知財部員に読んでもらい、要点の取り方が合っているかを聞く

10件は必ずやってください。 プログラムを書く前に、今のメモで記事が書けるかを確かめます。

このとき、本人に「自分で書いたら何分かかったか」も聞いてください。 下書きを直す時間と比べると、第10章のモデル条件が自社に合っているかが分かります。直す時間が書く時間とほとんど変わらない記事は、メモの側か、言い換えの一覧の側に足りないものがあります。 その記事を並べると、次に直すべき場所が見えてきます。

出てきた内容判断
本人が少し直せば載せられる記事になったPython の処理を書く段階に進む
当社との関係を書いてしまった指示の書き方で直る。構成は有効
要約だけの、読みどころの無い記事になったメモの「注目した理由」を先に書いてもらう

3行目は、たいてい出ます。 AIの書き方の問題ではなく、注目した理由がメモに無いので書けないのです。メモの表に「注目した理由」の列を必須として足すことが、この構成の最初の成果になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
他社の出願と当社の関係を書く所見の欄を渡さず、指示でも禁じる。 部長が読んで確かめる
公報番号を整えて写し違える一字も変えずに写させ、プログラムでメモと照合する
件数を「倍増」「約」で言い換える件数は値のまま。増減の表現は人が付ける
メモに無い一般的な説明を足す根拠の欄を返させ、根拠の無い文に色を付ける
判決の示唆を自分で考える示唆はメモの欄にある場合だけ書かせる
要約だけの記事になるメモの「注目した理由」を必須の列にする
社内の開発の呼び名が残る禁止語の一覧に入れ、材料の段階で点検する
同じ公報を二度載せる掲載の記録と照合して候補から外す
集計の条件が月によって違う条件を知財部で決めて固定し、版ごとに記録する
禁止語を使わない見解の文が残る部長の確認で読む。 見つかった文を例集にする
事業部の名前が揺れて版に入らない事業部の列を一覧から選ぶ形にする
見出しが誇張になる見出しの字数と、使わない言い回しを指示に書く
締め日に候補が集まらない3日前に通知を出し、候補ゼロの事業部を知らせる

上の4行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIが記事を「良くしよう」として、メモに無いことを足すところから起きます。メモに無いことを書かせない指示と、それを確かめるプログラムの点検の2つで防ぎます。

最後の行は、プログラムでは防げません。 見解は禁止語を使わなくても書けるので、部長の確認はこの構成の中で削らない工程です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 他社の公開された公報と判決の情報、知財部員の要点のメモ、社内の出願の件数です。出願公開の前の自社の発明の名称と中身は、この構成の外に置きます。

  1. 公開前の自社の案件を記事に出さない … 案件台帳からは件数だけを取り、名称や技術の分類は取りません。AIにも渡しません
  2. 他社の特許への見解を全社に配らない … 所見の欄はAIに渡さず、下書きにも書かせず、部長が読んで確かめます。見解が要る相手には、知財部が正式な手順で伝えます
  3. AIに渡すのは公開情報の要点だけにする … OpenAI の説明では、API に送ったデータは、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習に使われないとされています。それでも、社内の所見や開発の呼び名は渡しません
  4. 判決の扱いを知っておく … 著作権法では、裁判所の判決・決定・命令・審判は著作権の目的とならないとされています。判決の要旨を記事で紹介すること自体に支障はありませんが、紹介の正確さは知財部が責任を持ちます
  5. 公報の扱いは知財部の方針で決める … 公報の図面や明細書の文章を記事にどこまで載せるかは、この構成では扱わず、要点と公報番号での案内にとどめます
  6. 下書きと手直しの記録を知財部の中に置く … 手直しの前の下書きには、消された文も残っています。ポータルに載せるのは確認を通った版だけにし、下書きの文書は知財部だけが見られる場所に置きます
  7. 裁判例の検索は網羅的ではないことを書いておく … 裁判所の知的財産裁判例の検索には、すべての判決が載っているわけではないと書かれています。記事に「その月の判決のすべて」と書かないでください

誤りが起きた場合のリスクは、公開前の案件や見解が全社に配られることと、番号の誤りで技術者が誤った公報を読むことの2つです。 前者は材料の段階で渡さないことで、後者はメモとの照合で防ぎます。どちらも、AIの性能ではなく設計の側で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:メモの表に3つの列を足す

「候補」「事業部」「注目した理由」の列を足し、知財部員に今月のメモから付けてもらいます。公報番号と事件番号の書き方も、このとき1つに決めます。 事業部の名前は一覧から選ぶ形にし、過去のメモの揺れた名前もそろえておきます。所見の欄は、AIに渡さない欄として表の右端に寄せます。

2週目:10件で試す

1つの事業部の候補10件を ChatGPT の画面で記事にし、番号をメモと突き合わせ、メモを書いた本人に読んでもらいます。他社の出願と当社の関係を書いていないかを最優先で見ます。

3週目:2つの一覧を作る

用語の言い換えの一覧と、書いてはいけない語の一覧を作ります。社内の開発の呼び名は、研究開発の部門に聞いて集めます。 案件台帳の件数の集計の条件も、ここで決めます。

4週目:Python の処理を作る

候補の収集、件数の集計、AIの呼び出し、番号・件数・禁止語の点検、事業部ごとの下書きの書き出しをつなぎます。この時点では、2つの事業部の版だけを出します。

2か月目: 5つの事業部の版に広げ、本人の手直しの前と後を毎月比べます。3か月目以降: 直しの多い表現を指示と一覧に足し、1本30分が何分になったかを実測します。事業部ごとの版が毎月、締め日の翌週のうちに出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
知的財産裁判例を、裁判年月日・事件番号・権利の種別(特許・実用新案・意匠・商標・著作権・不正競争など)・訴訟の類型(行政・民事・民事仮処分)・キーワードで検索できること。裁判例の情報にすべての判決が掲載されているわけではないこと裁判所: 知的財産裁判例の検索2026-10-07
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)が INPIT により運営され、特許・実用新案・意匠・商標などの情報を無料で検索・閲覧できることINPIT: J-PlatPat の案内2026-10-07
裁判所の判決・決定・命令・審判などが、著作権の目的とならないこと(第13条)e-Gov 法令API: 著作権法2026-10-07
text.format に type: "json_schema" と strict: true を指定すると応答がスキーマに従うこと。すべての項目を required にし、additionalProperties を false にする必要があること。値の無い項目を null との共用体で表すこと。拒否が refusal として別に返ることOpenAI: Structured model outputs2026-10-07
API に送ったデータが、明示的に共有を選ばない限りモデルの学習に使われないことOpenAI: Data controls in the OpenAI platform2026-10-07

どの他社の出願や判決を取り上げるか、記事の最終的な表現と配布の範囲は、知財部が決めてください。 本記事は公開されている情報と仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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