Media > AI活用ユースケース > 人事 > カジュアル面談の記録から、一次面接の面接官に渡す引き継ぎメモを作る

カジュアル面談の記録から、一次面接の面接官に渡す引き継ぎメモを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

カジュアル面談の文字起こしや手書きメモを渡すと、候補者の関心事・懸念・志向・次に確かめることの4欄にまとめた引き継ぎメモの案を作ります。採用担当は案を確かめて、一次面接の面接官へ渡します。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/人材/小売/広告/製造
対象部門
人事/採用
対象業務
要約/記録・議事録作成
主な課題
属人化している/引き継ぎができていない/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
最小構成
費用感
既存ツールのみ(小)
人間の確認
必須
現在工数
25h/月
AI導入後
8h/月
想定削減
68%
年間削減
204h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 採用担当が候補者とカジュアル面談を行う
  2. Web会議なら文字起こしを保存し、対面なら手書きのメモを残す
  3. 面談の後、記録を読み返して要点を拾う
  4. 候補者が知りたがっていたこと、気にしていたこと、志向を頭の中で整理する
  5. 採用管理システムの自由記述欄に、引き継ぎのメモを書く
  6. 一次面接の面接官に、メモを見るよう連絡する
  7. 面接官は一次面接の直前にメモを読む(読まないこともある)
導入後(After)
  1. 採用担当がこれまでどおり、カジュアル面談を行う(面談のやり方は変えません)
  2. 文字起こしを保存するか、手書きメモを写真に撮る
  3. 【AI】 ChatGPT の「カジュアル面談引き継ぎ」プロジェクトで新しいチャットを開き、記録を貼り付ける
  4. 【AI】 決めた様式で、関心事・懸念・志向・次に確かめること・面談で答えたことをまとめる
  5. 【AI】 各項目に、候補者の発言を引用として添える
  6. 【AI】 聞いてはいけない事項に当たる記述を、メモから除いて件数だけを示す
  7. 採用担当が案を読み、引用と記録を突き合わせて直す
  8. 採用管理システムに貼り付け、面接官へ連絡する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 採用担当が候補者とカジュアル面談を行う
  2. Web会議なら文字起こしを保存し、対面なら手書きのメモを残す
  3. 面談の後、記録を読み返して要点を拾う
  4. 候補者が知りたがっていたこと、気にしていたこと、志向を頭の中で整理する
  5. 採用管理システムの自由記述欄に、引き継ぎのメモを書く
  6. 一次面接の面接官に、メモを見るよう連絡する
  7. 面接官は一次面接の直前にメモを読む(読まないこともある)

問題は5つあります。

(a)メモの中身が人によって違う。 3人の採用担当のうち、1人は10行書き、1人は「前向き。技術志向」の一言で終わります。面接官は、誰の面談だったかでメモの厚みが変わることに慣れてしまいます。

(b)面談の直後に書けない。 1日に3〜4件の面談が続くと、メモを書くのは夕方か翌日になります。時間が空くほど、候補者の言い回しが消え、採用担当の解釈に置き換わります。「残業が気になると言っていた」が「働き方を重視」に変わります。

(c)懸念が書かれない。 候補者の関心事は書かれても、懸念は落ちやすくなります。懸念は面談の終わりのほうで、遠回しに出てくることが多いためです。「前職では評価の基準が見えなかった」という一言は、そのまま残さないと次に渡りません。

(d)採用担当が答えたことが残らない。 面談で「リモートは週3日まで」と答えたことが書かれていないと、一次面接で面接官が別の説明をしてしまいます。 候補者から見ると、会社の中で話が揃っていません。

(e)聞いてはいけない事項が混ざる。 候補者が「実家の親の都合で」と自分から話した内容が、そのままメモに書かれることがあります。メモに書かれると、面接官がそれに触れる入口になります。

  1. 採用担当がこれまでどおり、カジュアル面談を行う(面談のやり方は変えません
  2. 文字起こしを保存するか、手書きメモを写真に撮る
  3. 【AI】 ChatGPT の「カジュアル面談引き継ぎ」プロジェクトで新しいチャットを開き、記録を貼り付ける
  4. 【AI】 決めた様式で、関心事・懸念・志向・次に確かめること・面談で答えたことをまとめる
  5. 【AI】 各項目に、候補者の発言を引用として添える
  6. 【AI】 聞いてはいけない事項に当たる記述を、メモから除いて件数だけを示す
  7. 【人】 採用担当が案を読み、引用と記録を突き合わせて直す
  8. 【人】 採用管理システムに貼り付け、面接官へ連絡する

AIに任せるのは「読む」「欄に分ける」「引用を添える」「載せないものを除く」の4つです。残るのは、案が記録と合っているかの確認と、面接官に渡す判断です。

7番目を省かないでください。 要約は、候補者の言葉を少しずつ強めたり弱めたりします。「少し気になる」が「強い懸念」になったメモを渡すと、面接官はそこを掘り下げ、候補者は面談の話を大きく取られたと感じます。

自動で面接官に送る経路は作りません。 人が1回読んでから渡します。

02今回想定するシステム構成

構成図
カジュアル面談(Web会議 / 対面)
   │
   ├──▶ 文字起こし(Web会議ツールの機能)
   └──▶ 手書きメモ(写真)
   │
   ▼【トリガー】面談の終了後、採用担当が開く
ChatGPT「カジュアル面談引き継ぎ」プロジェクト
   │  プロジェクトの指示:様式・載せない事項・書き方の決まり
   │  プロジェクトのファイル:メモの様式、募集ポジションの概要、載せない事項の一覧
   │
   ├──▶ 4欄への要約と、発言の引用
   ├──▶ 面談で採用担当が答えたことの整理
   └──▶ 載せない事項を除いた件数の表示
   │
   ▼
採用担当が確認して直す ──【人】
   │
   ▼
採用管理システムの引き継ぎ欄に貼り付け → 面接官へ連絡
役割想定する製品代替候補
処理ChatGPT(ChatGPT Business のプロジェクト)Claude(プロジェクト)、Gemini(Gem)、Microsoft 365 Copilot
記録の取得既存のWeb会議ツールの文字起こし手書きメモの写真、ICレコーダーの文字起こし
引き継ぎの置き場既存の採用管理システムGoogle スプレッドシート、Excel

カスタムGPTではなく、プロジェクトで組みます。 OpenAI は、カスタムGPTを2026年12月11日に提供終了する予定だと案内しています。Enterprise のワークスペースでは、2026年10月26日にカスタムGPTの新規作成を終える予定です。移行先はプラグインで、GPTの指示はプラグインのスキルに、ナレッジファイルは参照ファイルにコピーされるとされています。これから作るなら、終了が決まっている仕組みに載せる理由はありません。

プロジェクトは、関連するチャット、ファイル、指示をまとめて管理する機能です。この構成で使うのは次の3つです。

機能この構成での使い方
プロジェクトの指示様式と、載せない事項と、書き方の決まりを書いておく。プロジェクト内でのみ適用され、グローバルなカスタム指示より優先されます
ファイルメモの様式、募集ポジションの概要、載せない事項の一覧を置く。Business と Enterprise ではプロジェクトごとに最大40ファイルです
プロジェクト専用メモリプロジェクトの外の会話と混ざらないようにする

指示がカスタム指示より優先されることが効きます。 採用担当が普段のカスタム指示に「くだけた文体で」と書いていても、このプロジェクトの中では様式どおりに出ます。3人が同じ形のメモを出すための土台です。

プロジェクトには PDF、スプレッドシート、文書のほか画像も追加できるので、手書きメモは写真のまま渡せます。ただし読み取りの正確さは確かめていません。 手書きの記録は、確認の時間を長めに取ってください。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

面談が終わった後、採用担当が自分でプロジェクトを開くのが起点です。自動では動かしません。

面談の当日中に作ることを決まりにしてください。 翌日に回すと、採用担当が記録にない補足を思い出せなくなります。AIの案を見て「そういえばこうも言っていた」と気づけるのは、当日だけです。 記録にない補足は、後で説明する「採用担当の補足」欄に人が書き足します。

1日に面談が続く日は、まとめて夕方に作っても構いません。ただし1件ずつ別のチャットで作ります。 理由は前処理の項で書きます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
面談の記録文字起こしの全文、または手書きメモの写真Web会議ツール/採用担当のメモ
候補者の基本情報候補者ID、応募を考えているポジション、面談日採用管理システム
募集ポジションの概要仕事の中身、働き方、よく聞かれることへの会社の回答プロジェクトのファイル
メモの様式欄の名前と、各欄に書くことの定義プロジェクトのファイル
載せない事項の一覧公正な採用選考で配慮すべき事項プロジェクトのファイル

候補者の氏名は入れません。 候補者IDだけで足ります。メモを採用管理システムに貼れば、氏名とは向こうで結びつきます。

募集ポジションの概要を置く理由は、「面談で答えたこと」を正しく整理させるためです。 採用担当が「リモートは週3日まで」と答えた場面で、それが会社の正式な回答かどうかをAIが照らせます。正式な回答と違うことを答えていたら、それも面接官に渡すべき情報です。

Step3

データの取得方法を決める

文字起こし: Web会議ツールの文字起こしを、テキストとして書き出します。話者の名前が付いていることを確かめてください。 採用担当の発言と候補者の発言が区別できないと、「候補者が言ったこと」と「採用担当が答えたこと」が分けられません。この構成は、その区別が土台です。

手書きメモ: スマートフォンで撮り、画像としてプロジェクトに追加します。追加したファイルはプロジェクトのメンバー全員が閲覧できるので、メモを登録したら削除します。 字が読みにくいメモは、要点を打ち直して貼るほうが確実です。メモを書くときに、候補者の発言には「候」、自分が答えたことには「答」と頭に付けるだけで、要約の質が大きく変わります。

候補者の基本情報: 採用管理システムの画面から、候補者IDとポジションを写します。この構成では、採用管理システムとAIをつなぎません。 手で貼る運用です。月60件なら、それで足ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 1件ずつ新しいチャットにする … プロジェクト内のチャットは、同じプロジェクト内のほかの会話を参照できます。 前の候補者の話が、次の候補者のメモに混ざる入口になります。1チャット1候補者にし、指示でも「このチャットに貼られた記録だけを根拠にする」と決めます
  2. プロジェクト専用メモリにする … Business では、既定のメモリのままだと、プロジェクトの中と外の会話を互いに参照できます。プロジェクト設定のメモリで「プロジェクト専用メモリ」を選んでください
  3. 氏名を消す … 文字起こしの冒頭に候補者の氏名が出る場合は、候補者IDに置き換えてから貼ります
  4. 面談の前後の雑談を消さない … 冒頭と最後の雑談に懸念が出ることがあります。要約の前に人が削らないでください。載せるかどうかはAIの案を見て決めます
  5. 登録が終わったチャットを削除する … メンバーは自分のチャットを削除できます。採用管理システムに貼り付けたら、そのチャットは消して、次の候補者の参照先に残さない運用にします

1つ目と5つ目は対になっています。 別チャットにしても、同じプロジェクトに60件の面談が溜まれば、どこかで混ざる余地が残ります。正本は採用管理システムに置き、プロジェクトには溜めません。

Step5

AIに処理させる

処理内容
関心事の抽出候補者が知りたがったこと、質問したこと
懸念の抽出候補者が気にしていたこと、迷っていたこと、前職で困っていたこと
志向の要約仕事の進め方、キャリアの方向、働き方の希望として候補者が述べたこと
次に確かめることの整理面談で答えきれなかったこと、候補者が「考えておきます」と言ったこと
面談で答えたことの整理採用担当が候補者に説明したこと。正式な回答と違うものに印を付ける
載せない事項の除外公正な採用選考で配慮すべき事項に当たる記述を除き、件数だけを示す

2つ目の「懸念の抽出」が、この構成の価値の中心です。 関心事は採用担当もよく覚えていますが、懸念は遠回しに出るので落ちます。「前の会社では、頑張っても何が評価されたのか分からなかった」は、評価制度への懸念です。 候補者はそう言い換えてはいません。だから言い換えた要約と、元の発言の引用を両方載せます。

4つ目の「次に確かめること」が、面接官にとってもっとも使いやすい欄です。 一次面接の冒頭で何を話せばよいかが、そのまま書いてあるからです。

載せない事項の除外を、この構成では最初から入れます。 厚生労働省は、公正な採用選考の基本として、応募者が求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか、という基準で行うことを挙げています。そのうえで、採用選考時に配慮すべき事項として14の事項を示しています。本籍・出生地、住宅状況、家族、生活環境・家庭環境といった本人に責任のない事項と、宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合や社会運動といった本来自由であるべき事項です。これらを面接時においてたずねることは就職差別につながるおそれがある、とされています。

引き継ぎメモに書かれていれば、面接官がそれに触れる入口になります。候補者が自分から話したことでも、メモには載せません。

判定させないことも決めます。 「志望度が高い」「カルチャーに合う」のような評価はさせません。カジュアル面談は選考ではないと伝えて始めているためです。面接官は評価の先入観なしに一次面接に入るべきです。

Step6

指示内容を固定する

プロジェクト設定の「プロジェクトの指示」に、次を書きます。

あなたは、中途採用のカジュアル面談を行った採用担当が、
一次面接の面接官に渡す引き継ぎメモの案を作るのを支援します。

【根拠にしてよいもの】
- このチャットに貼られた面談の記録(文字起こし、またはメモの画像)だけを根拠にしてください。
- このプロジェクトのほかのチャットの内容は使わないでください。
- プロジェクトのファイル「募集ポジション概要」は、
  採用担当の回答が会社の正式な回答と合っているかを照らすときだけ使ってください。

【作るもの】
ファイル「引き継ぎメモ様式」の表の形で出してください。欄を足したり減らしたりしないでください。
1. 関心事 … 候補者が知りたがったこと、質問したこと
2. 懸念 … 候補者が気にしていたこと、迷っていたこと、前職で困っていたこと
3. 志向 … 仕事の進め方、キャリアの方向、働き方として候補者が述べた希望
4. 次に確かめること … 面談で答えきれなかったこと、候補者が保留したこと
5. 面談で答えたこと … 採用担当が候補者に説明した内容

【書き方の決まり】
- 各項目に、候補者の発言をそのまま引用してください。引用は記録の原文を写し、言い換えないでください。
- 要約は1〜2文にしてください。候補者の言葉より強い言い方にしないでください。
  「少し気になる」を「強い懸念」にしないでください。
- 記録に無いことを補わないでください。推測を書かないでください。
  該当する発言が無い欄は「記録なし」と書いてください。空欄にしないでください。
- 志望度、人柄、カルチャーとの相性、合否の見込みなど、評価にあたることを書かないでください。
- 「面談で答えたこと」のうち、募集ポジション概要と食い違うものには【要確認】を付けてください。
- 発言者が分からない箇所は、候補者の発言として扱わず、末尾の「確認が必要な箇所」に入れてください。

【載せない事項】
ファイル「載せない事項の一覧」に当たる記述は、候補者が自分から話したものでも、
どの欄にも、要約にも、引用にも入れないでください。
- 本籍・出生地、住宅の状況、家族(職業・続柄・健康・病歴・学歴・収入など)、生活環境・家庭環境
- 宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、
  労働組合や社会運動
除いた記述は、メモの末尾に「載せない事項に当たる記述:○件」とだけ書き、中身は書かないでください。
採用担当がその話題をたずねていた場合は、「採用担当からの質問あり」と添えてください。

【勤務条件の希望の扱い】
候補者が勤務地、転勤、勤務時間の希望を述べた場合、希望そのものは「志向」に載せてください。
その理由として家族や家庭の事情が語られていても、理由は載せないでください。
例:「転勤のない勤務を希望」は載せる。「親の介護のため」は載せない。

【最後に】
末尾に「確認が必要な箇所」として、聞き取れない箇所、発言者が不明な箇所、
記録の中で矛盾している箇所を挙げてください。

「勤務条件の希望の扱い」の段が、この業務に特有の決まりです。 候補者が「転勤のない勤務がいい」と言うとき、多くの場合その理由も一緒に話します。希望は面接官が知るべき情報ですが、理由が家族の事情なら載せてはいけません。 希望と理由を分けて扱うよう、例を付けて書きます。例がないと、AIは理由ごと要約に入れるか、希望ごと落とすかのどちらかになります。

「採用担当からの質問あり」は、採用担当自身の点検のための印です。 候補者が自分から話したのか、採用担当が聞いたのかで意味が違います。採用担当が聞いていたなら、面談のやり方を見直す材料になります。 この印は面接官に渡すメモからは消して、採用担当の手元にだけ残します。

「記録なし」と書かせる理由は、空欄の意味を消すためです。 懸念の欄が空欄だと、「懸念が無かった」のか「書き忘れた」のかが面接官に分かりません。「記録なし」とあれば、面談で懸念は出なかったと読めます。

チャットでは、次のように貼り付けるだけにします。

候補者ID:C-2026-0412
ポジション:バックエンドエンジニア
面談日:2026-09-24

(以下、文字起こし全文)

依頼の文を毎回書かせないことが、3人のメモを揃えるこつです。 指示はプロジェクト側に固定し、チャットには記録だけを貼ります。

Step7

出力形式を固定する

プロジェクトのファイル「引き継ぎメモ様式」に、次の表を置きます。

要約(1〜2文)候補者の発言の引用
関心事
懸念
志向
次に確かめること
面談で答えたこと(採用担当の説明。食い違いは【要確認】)(採用担当の発言の引用)

表の後ろに、次の3行を付けます。

項目中身
確認が必要な箇所聞き取れない、発言者が不明、矛盾している箇所
載せない事項に当たる記述○件(中身は書かない)/採用担当からの質問あり・なし
採用担当の補足人が書く欄。 AIは空けておく

表の形にするのは、採用管理システムの自由記述欄に貼っても崩れにくく、面接官が1分で読めるからです。 各欄は1行に収まる分量にします。

「候補者の発言の引用」を別の列にしているのが設計の中心です。 面接官は要約だけを読みがちですが、一次面接で懸念に触れるとき、候補者の言葉で話を始められます。「前回、評価の基準が見えなかったとおっしゃっていましたが」と切り出せば、候補者は面談の話が伝わっていると分かります。

「採用担当の補足」をAIに書かせないのは、記録にないことを入れる欄だからです。 面談の雰囲気、話しぶりの印象など、記録に残らないことは採用担当が書きます。ただし評価は書きません。

Step8

システムへ連携する

この構成では、システムをつなぎません。 記録を貼り付け、出てきた表を採用管理システムに貼り付けます。★1で組む理由は、月60件なら手で回るうえ、候補者の情報の流れを採用担当が目で追えるためです。

プロジェクトの共有の範囲を決めてください。 共有プロジェクトでは、メンバーはプロジェクト内のチャット、ファイル、メンバーリストを閲覧できます。 面接官をメンバーにすると、ほかの候補者の面談の記録まで見えてしまいます。

誰を入れるか権限理由
採用チームの責任者1名所有者指示とファイルを管理する
採用担当チャットアクセスチャットを作り、指示とファイルを使う。指示は変えられない
一次面接の面接官入れないメモは採用管理システムで受け取る

採用担当を編集アクセスにしないのは、指示を固定するためです。 編集アクセスでは指示の更新やファイルの削除ができます。1人が指示を書き換えると、3人のメモの形がそこから揃わなくなります。

Business と Enterprise では、プロジェクトに招待できる相手がワークスペースのメンバーに限られる場合があります。リンクで共有する場合は「招待された人のみ」を選んでください。 ワークスペースリンクで共有すると、共有設定を変えない限り新しいユーザーがそのリンクから参加できることがあります。

Step9

人が確認する

全件、採用担当が確認します。 確認するのは面談をした本人です。記録を読み返すのではなく、案と記録の引用を突き合わせます。

見る順番を決めておくと、1件5分で終わります。

  • 懸念の欄 … 候補者の言葉より強い言い方になっていないか
  • 引用 … 記録にある文か。言い換えられていないか
  • 面談で答えたこと … 【要確認】の付いた項目。会社の正式な回答と違うことを答えていたなら、面接官に「一次面接で訂正してください」と書き添える
  • 載せない事項の件数 … 1件以上なら、表の中に残っていないかを目で確かめる。「採用担当からの質問あり」なら、面談のやり方を振り返る
  • 確認が必要な箇所 … 発言者が不明な箇所を記録で確かめる

3つ目を丁寧に見てください。 採用担当が面談で答えた内容と会社の回答が食い違っていると、一次面接で面接官が違う説明をし、候補者は会社を信用しなくなります。 訂正を面接官に任せるなら、そのことをメモに書きます。

手書きメモから作った案は、引用を1つずつ確かめてください。 読み取りの誤りが引用に入ると、候補者が言っていない言葉を面接官が使うことになります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
文字起こしに話者名が付いていない候補者の発言と採用担当の発言を分けられない。話者名の付いた形で書き出し直す。できなければ人が手で書く
手書きメモが読み取れない「確認が必要な箇所」に出る。採用担当が記憶で補うか、該当箇所を削る
候補者が選考に進まないと言ったメモは作らない。辞退の理由だけを採用管理システムに残す
懸念の欄が「記録なし」そのまま渡す。無理に懸念を探させない
載せない事項が表の中に残っていた人が削る。同じことが続くなら、プロジェクトの指示に例を足す
採用担当が載せない事項をたずねていたメモからは除く。採用チームの中で面談のやり方を見直す
答えた内容が正式な回答と違う【要確認】を残し、面接官への訂正の依頼を書き添える
評価の言葉が案に混ざった削る。「前向き」「優秀」など。繰り返すなら指示に禁止する語を足す
前の候補者の話が混ざったそのチャットを削除して作り直す。1チャット1候補者を守れていたかを見直す
面談が英語で行われた引用は原文のまま、要約は日本語で書かせる
一次面接の面接官が決まっていないメモは作って採用管理システムに置く。面接官が決まったら連絡する
Step11

記録を残す

  • 引き継ぎメモの確定版(採用管理システムが正本
  • 面談の記録の原本(文字起こし、手書きメモの写真)。保管場所と期間は、社内の候補者情報の取り扱いに従う
  • 人が直した箇所の傾向(採用チームで月1回、口頭で共有する程度でよい)
  • 「載せない事項に当たる記述」の件数と「採用担当からの質問あり」の件数(中身は残さない

ChatGPT のプロジェクトは保存先にしません。 プロジェクト内のメッセージには、ワークスペースに設定された保持期間が引き継がれます。プロジェクトを削除すると、チャット、指示、プロジェクト内にのみ保存されているファイルは完全に削除され、元に戻せません。 正本を置く場所としては向きません。

直した箇所の傾向は、指示を育てる材料になります。 懸念を毎回強めに書き直しているなら、指示の例を増やします。面接官から「この欄は要らない」「この欄が欲しい」という声が出たら、様式のファイルを直します。

04実装レベルの3段階

最小構成:プロジェクトに指示と様式を固定し、記録を貼って案を作る / 要約と除外
半自動化:上記+文字起こしの保存先から自動で読み込み、案を採用管理システムの下書きに置く / 貼り付けの手間
本格構成:上記+一次面接の日程に合わせて面接官に通知+一次面接後に「引き継ぎが使われたか」を記録 / 引き継ぎの運用全体

月60件の規模なら、最小構成で止めて構いません。 25分が8分になる効果のほとんどは、最小構成で出ます。読み返し、整理、記入のうち、整理と記入がほぼ消えるためです。 半自動化で減るのは、貼り付けと画面の切り替えの手間だけです。そのためにAPIや連携の仕組みを作ると、候補者の情報の流れが見えにくくなります。 面談が月に数百件ある場合に初めて検討してください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
25 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  60件 × 25分 ÷ 60 = 25 時間/月
導入後 60件 × 8分 ÷ 60 = 8 時間/月
月間削減時間
17h
削減率
68%
年間削減時間
204h
年間金額換算(時間単価3,500円)
71万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 中途採用でカジュアル面談を入口にしており、採用担当が月に数十件の面談を行っている企業。面談をした採用担当と一次面接の面接官が別の人で、面談の中身が口頭か短い一言でしか伝わっていない場合。一次面接で候補者から「それは前回お話ししました」と言われたことがある場合。ChatGPT Business か Enterprise を全社で契約しており、採用担当が使える場合。
向いていない
  1. カジュアル面談をした人がそのまま一次面接も担当しており、引き継ぐ相手がいない場合。面談が月に数件で、口頭の引き継ぎで困っていない場合。候補者の情報を外部の生成AIサービスに入れることが、社内の規程で認められていない場合。面談の記録がほとんど残っておらず、要約する材料がない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 直近の面談記録を3件選ぶ(文字起こし2件、手書きメモ1件)
  2. ChatGPT でプロジェクトを1つ作り、プロジェクトの指示に上の例を貼る
  3. メモの様式と募集ポジションの概要を、ファイルとして置く
  4. 1件ずつ新しいチャットで記録を貼り、案を作らせる
  5. その面談をした採用担当が、自分の書いた引き継ぎメモと比べる
  6. その候補者の一次面接をした面接官に、両方を見せて「どちらが使いやすいか」を聞く

見るのは次の3点です。

見る点判断
懸念の欄に、採用担当が書き落としていた発言が出たか出たなら、この構成の価値がある
引用が記録と一致しているか言い換えが多いなら、指示の「言い換えないでください」を強める
載せない事項が除かれているか記録に混ざっている面談を1件は選んで試す

3つ目のために、あえて家族や出身地の話が出てくる記録を選んでください。 除かれるかを確かめないまま使い始めると、最初の事故が本番で起きます。

面接官の声を聞くのが6番目です。 引き継ぎメモは読む人のためのものなので、作る側の手間が減っても、面接官が読まなければ意味がありません。 1〜2日で試せます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
採用担当が毎回違う依頼文を書く指示をプロジェクトに固定し、チャットには記録だけを貼る
前の候補者の話が混ざる1チャット1候補者。登録後にチャットを削除する。プロジェクト専用メモリにする
懸念が強い言い方に変わる「候補者の言葉より強い言い方にしない」と例付きで書く
家族や出身地の話がメモに載る載せない事項を列挙し、件数だけを示させる
転勤の希望ごと落ちる希望は載せ、理由は載せないと例付きで書く
「志望度が高い」などの評価が入る評価にあたる語を禁止する
面接官をプロジェクトに入れてしまう面接官は入れない。メモは採用管理システムで渡す
採用担当が指示を書き換える採用担当はチャットアクセスにし、指示は責任者だけが直す
話者名のない文字起こしを貼る書き出し直す。候補者の発言と採用担当の発言を分けられないと成立しない
カスタムGPTで作ってしまう提供終了予定。プロジェクトで作る
プロジェクトを記録の保管先にする正本は採用管理システム。プロジェクトには溜めない

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 候補者の転職の理由、前職での困りごと、働き方の希望、面談での発言。選考の前の、本人が気軽に話したつもりの情報です。

  1. 外部AIへの入力可否 … 候補者の面談の記録を外部のAIサービスへ入れることになります。社内の個人情報の取り扱いの規程と、候補者に示している個人情報の利用目的に、この使い方が含まれるかを確かめてください
  2. 学習利用 … OpenAI は、既定では ChatGPT Business、ChatGPT Enterprise、Edu のワークスペースのコンテンツをモデルのトレーニングに使わないと案内しています。個人向けのプランで試さないでください。 個人向けのプランでは、設定によって学習に使われることがあります
  3. 候補者に伝えること … カジュアル面談は選考ではないと伝えて始めることが多いはずです。面談の内容を一次面接の担当に引き継ぐことは、面談の冒頭で候補者に伝えてください。 伝えずに引き継ぐと、「選考ではないと言われたのに」と受け取られます
  4. 評価を書かないこと … 同じ理由で、引き継ぎメモに評価を入れません。面談で話したことが、評価の材料として使われたと候補者に感じさせないためです
  5. 聞いてはいけない事項 … 公正な採用選考で配慮すべき事項は、メモから除きます。除いた記述の中身は、どこにも残しません。 件数だけを見ます
  6. 共有の範囲 … プロジェクトのメンバーは、中のチャットとファイルを閲覧・ダウンロードできます。メンバーは採用チームに限ってください
  7. メモリ … プロジェクト専用メモリにします。候補者の話が、採用担当の普段の ChatGPT の会話に出てこないようにするためです
  8. 自動実行してよい範囲 … 要約と除外までです。面接官への送付、評価、選考に進めるかどうかの判断は人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、候補者の言葉と違うメモによる誤った一次面接、聞いてはいけない事項の引き継ぎ、候補者情報の意図しない共有です。2つ目は就職差別につながるおそれがあるため、試行の段階から除外を確かめてください。

10まず何から始めるか

1週目:社内の規程と候補者への伝え方を確かめる

候補者の面談記録を ChatGPT Business に入れてよいかを、個人情報の担当に確かめます。あわせて、面談の冒頭で「内容を一次面接の担当に引き継ぎます」と伝える一言を、採用担当3人で揃えます。 ここが決まらないうちは作りません。

2週目:プロジェクトを作り、3件で試す

プロジェクトを作り、メモリを「プロジェクト専用メモリ」にしてから、指示と様式を置きます。直近の面談記録を3件選び、そのうち1件は家族や出身地の話が混ざっているものにします。 除かれるか、懸念が拾えているかを見ます。

3週目:面接官に見せる

一次面接をした面接官に、従来のメモとAIの案を並べて見せます。「どちらなら一次面接の前に読むか」を聞いてください。 欄の過不足もここで直します。

4週目以降: 3人の採用担当で、すべての面談に使います。採用担当はチャットアクセスで招待し、指示は責任者だけが直します。 登録したチャットは削除する運用を、最初から守ってください。

2か月目以降: 一次面接の後に、面接官へ「引き継ぎメモで聞き直しが減ったか」を1行で聞きます。懸念の欄が一次面接で使われたかどうかが、この構成の効果をもっともよく表します。 使われていないなら、書き方か欄の名前を直します。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-24/最終更新:2026-09-24
確認した内容情報源確認日
プロジェクトが関連するチャット・ファイル・指示をまとめて管理する機能であること。PDF・スプレッドシート・文書・画像を追加できること。プロジェクトの指示はプロジェクト内でのみ適用され、グローバルなカスタム指示より優先されること。プロジェクト内のチャットは同じプロジェクト内のほかの会話を参照できること。Business では既定のメモリだとプロジェクト内外の会話を互いに参照できること。共有プロジェクトはプロジェクト専用メモリになること。編集アクセスとチャットアクセスの違い。メンバーがチャット・ファイル・メンバーリストを閲覧でき、ファイルをダウンロードできること。管理対象ワークスペースでは招待先がメンバーに限られる場合があること。ワークスペースリンクから新しいユーザーが参加できることがあること。メンバーが自分のチャットを削除できること。Business・Enterprise はプロジェクトごとに最大40ファイルであること。メッセージにワークスペースの保持期間が引き継がれること。プロジェクトの削除は元に戻せないこと。既定では Business・Enterprise・Edu のワークスペースのコンテンツをトレーニングに使わないこと。プロジェクトに追加料金がかからないことOpenAI Help: ChatGPT のプロジェクト2026-09-24
カスタムGPTが2026年12月11日に提供終了予定であること。Enterprise では2026年10月26日(予定)にカスタムGPTの新規作成を終了すること。移行先がプラグインで、指示はスキルに、ナレッジファイルは参照ファイルにコピーされることOpenAI Help: カスタム GPT の提供終了と移行に関する FAQ2026-09-24
公正な採用選考の基本が、応募者が求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうかという基準で行うことであること。本籍地・家族の職業などの本人に責任のない事項と、宗教・支持政党などの本来自由であるべき事項が、職務遂行とは関係のないことであること厚生労働省: 公正な採用選考の基本2026-09-24
採用選考時に配慮すべき14事項(本籍・出生地、住宅状況、家族、生活環境・家庭環境、宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合・社会運動、身元調査、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断、適性・能力に関係ない事項を含む応募書類)。これらを面接時においてたずねることなどが就職差別につながるおそれがあること厚生労働省: 採用選考時に配慮すべき事項2026-09-24

Web会議ツールの文字起こしの形式、話者名の付き方、採用管理システムの自由記述欄の仕様は、利用する製品によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 手書きメモの画像からの読み取りの正確さは確かめていません。候補者の情報を生成AIサービスに入れてよいかは、自社の個人情報の取り扱いの規程と、候補者に示している利用目的を確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0203)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次