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銀行の営業店から上がる苦情の記録を本部の苦情報告の書式にそろえて要約し、原因の区分と再発防止の案を付けて、苦情対応の担当が月次で確かめられるようにする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

営業店が書いた苦情等の記録を、本部の苦情報告の書式の項目に分けて要約し、原因の区分の候補と再発防止の案を付けます。本部の担当は、記録を読み直して書き直す代わりに、要約を確かめる側に回ります。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
n8n/Power Automate
対象業界
その他/金融
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
書類作成/要約
主な課題
データ分析に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
60%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 営業店が、苦情管理の仕組みに受付の内容と対応の経緯を書く
  2. 本部の担当が、毎日新しい記録を開き、重要案件の疑いがあるかを読む
  3. 重要案件の疑いがあれば、責任者に報告し、関係部署へ連絡する
  4. 月末に、その月の記録を1件ずつ読み直す
  5. 本部の書式の項目(申出の要旨、顧客の申出、営業店の説明、確認できた事実、対応の結果)に書き直す
  6. 原因の区分を付け、再発防止の案を書く
  7. 記録に足りないことがあれば、営業店に電話かメールで聞く
  8. 区分ごとの件数を集計し、月次の苦情報告にまとめる
導入後(After)
  1. 人営業店が、これまでどおり苦情管理の仕組みに記録を書く
  2. 自動毎晩、中継プログラムが新しい記録と更新された記録を書き出す
  3. 自動氏名・口座番号・電話番号などを置き換え、要約に要らない情報を外す
  4. 自動Azure OpenAI が、本部の書式の項目に分けて要約し、原因の区分の候補・再発防止の案・営業店へ確かめることを付ける
  5. 自動中継プログラムが、重要案件の疑いの印がある記録を、翌朝いちばんに担当へ知らせる
  6. 人担当が、重要案件の疑いの記録を読み、責任者への報告と関係部署への連絡を決める
  7. 人担当が、毎日数十件ずつ要約を元の記録と見比べて確かめ、区分を確定する
  8. 人担当が、営業店へ確かめることを送り、返事を記録に足してもらう
  9. 自動月末に、確定した区分で件数を集計し、苦情報告の表を作る
  10. 人責任者が苦情報告を確かめ、会議にかける
各工程の詳しい説明を読む
  1. 営業店が、苦情管理の仕組みに受付の内容と対応の経緯を書く
  2. 本部の担当が、毎日新しい記録を開き、重要案件の疑いがあるかを読む
  3. 重要案件の疑いがあれば、責任者に報告し、関係部署へ連絡する
  4. 月末に、その月の記録を1件ずつ読み直す
  5. 本部の書式の項目(申出の要旨、顧客の申出、営業店の説明、確認できた事実、対応の結果)に書き直す
  6. 原因の区分を付け、再発防止の案を書く
  7. 記録に足りないことがあれば、営業店に電話かメールで聞く
  8. 区分ごとの件数を集計し、月次の苦情報告にまとめる

(a)記録の書き方がばらばら。 「お客様が手数料が高いとご立腹。説明不足を謝罪し納得いただいた」の1行で終わる記録と、時刻ごとに経緯を書いた長い記録が混ざります。5番の書き直しは、短い記録では情報が足りず、長い記録では読むのに時間がかかります。

(b)顧客の申出と営業店の説明が混ざる。 「説明不足を謝罪し」と書かれていても、顧客が「説明を受けていない」と言ったのか、担当者が「説明が足りなかった」と考えたのかは、文からは分かりません。本部の書式では別の欄なので、担当が読み分けます。

(c)原因の区分の付け方が人で違う。 同じ手数料の苦情でも、「説明不足」とする担当と「商品・サービスの内容」とする担当がいます。月ごとの件数の増減が、区分の付け方の違いなのか、実際の変化なのかが分かりません。

(d)月末に集中する。 400件を月末の数日で書き直すので、7番の営業店への聞き返しが翌月にずれ込みます。 経緯を覚えている担当者が異動していることもあります。

  1. 【人】 営業店が、これまでどおり苦情管理の仕組みに記録を書く
  2. 【自動】 毎晩、中継プログラムが新しい記録と更新された記録を書き出す
  3. 【自動】 氏名・口座番号・電話番号などを置き換え、要約に要らない情報を外す
  4. 【自動】 Azure OpenAI が、本部の書式の項目に分けて要約し、原因の区分の候補・再発防止の案・営業店へ確かめることを付ける
  5. 【自動】 中継プログラムが、重要案件の疑いの印がある記録を、翌朝いちばんに担当へ知らせる
  6. 【人】 担当が、重要案件の疑いの記録を読み、責任者への報告と関係部署への連絡を決める
  7. 【人】 担当が、毎日数十件ずつ要約を元の記録と見比べて確かめ、区分を確定する
  8. 【人】 担当が、営業店へ確かめることを送り、返事を記録に足してもらう
  9. 【自動】 月末に、確定した区分で件数を集計し、苦情報告の表を作る
  10. 【人】 責任者が苦情報告を確かめ、会議にかける

7番目が、この設計の分かれ目です。 要約は確定するまで下書きとして扱います。担当は元の記録を横に並べて読み、誰の言葉かの分け方が合っているかを見て、区分を確定します。月末に400件を書き直す代わりに、毎日20件ずつ確かめる形に変わります。

9番目の集計を AI にさせないのも、意図してのことです。 件数は、担当が確定した区分から中継プログラムが数えます。要約の文から件数を読み取らせると、確定前の候補が数に混ざります。

02今回想定するシステム構成

構成図
営業店(苦情管理の仕組みに受付と対応を記録)
   │
   ▼【トリガー】毎晩の書き出し(新規・更新)
中継プログラム(Azure Functions)
   ├──▶ 氏名・口座番号・電話番号の置き換え
   ├──▶ 重要案件の語の一覧で事前の印付け
   ▼
Azure OpenAI(構造化出力)
   │   本部の書式の項目に分けた要約
   │   原因の区分の候補/再発防止の案/営業店へ確かめること/重要案件の疑い
   ▼
中継プログラム ── 書式と語彙の点検、重要案件の疑いの通知
   ▼
【人】お客さま相談室が確かめて区分を確定
   ├──▶ 営業店へ確認の依頼
   └──▶ 月末の集計 → 苦情報告 → 会議
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)の Standard デプロイClaude、Gemini
連携Azure Functions(書き出しの受け取り、置き換え、点検、通知、集計)Power Automate、n8n
保管Azure SQL Database(要約・候補・確定した区分・確認の記録)苦情管理の仕組みの追加の項目
苦情等の記録既存の苦情管理の仕組み各製品の書き出しの機能

苦情管理の仕組みは、新しく足すものではありません。 毎晩の書き出しを読むだけで、苦情管理の仕組みには書き込みません。 書き出し方は使っている製品によって違うため、この部分は利用環境に合わせた個別の実装になります。 確定した区分は、これまでどおり担当が苦情管理の仕組みに入れます。

要約には、Azure OpenAI の構造化出力を使います。 渡した JSON Schema にモデルの出力を従わせる機能で、以前の JSON モードは正しい JSON を保証しても、スキーマへの厳密な準拠は保証しなかったとされています。本部の書式の項目を、決まった項目名と決まった区分の値で受け取るために使います。

苦情等への対処の土台は、監督指針の II-3-2-6 です。 苦情等の内容と対処結果を類型化のうえ内部管理部門や営業部門に報告し、重要案件は速やかに監査部門や経営陣に報告すること、苦情等の内容と対処結果を適切かつ正確に記録・保存し、分析して再発防止策・未然防止策に活用する態勢を求めています。銀行法第12条の3は、指定銀行業務紛争解決機関があるときは、一の機関と手続実施基本契約を結ぶことを銀行に求めています。本部の苦情報告は、この上で回っています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、毎晩の苦情管理の仕組みからの書き出しです。 その日に新しく書かれた記録と、対応の経緯が書き足された記録の両方を取ります。苦情等は数日から数週間かけて対応が進むので、書き足しのたびに要約を作り直します。

月末にまとめて動かさないのは、重要案件を待たせないためです。 監督指針は、重要案件を速やかに経営陣などへ報告する態勢を求めています。毎晩動かせば、営業店が記録した翌朝には印の付いた記録が担当の画面に出ます。

要約を作り直すたびに、前の版を残します。 担当が確定した後に記録が書き足されたら、確定を外して「書き足しあり」の印を付け、担当に見直しを求めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
受付の記録受付日、受付の方法(窓口・電話・手紙・メール)、申出の内容、営業店の名前苦情管理の仕組み
対応の経緯日付ごとの対応、説明した内容、顧客の反応、結果苦情管理の仕組み
取引の種類預金、為替、融資、投資信託、保険の窓販、相続など苦情管理の仕組みの項目
本部の書式の定義項目の名前と書き方の例お客さま相談室
原因の区分の定義区分の名前と、当てはまる例・当てはまらない例お客さま相談室
重要案件の目安経営陣へすぐに上げる案件の目安と、その語の一覧お客さま相談室とコンプライアンスの担当

質を決めるのは、原因の区分の定義です。 区分の名前だけを渡すと、モデルも担当と同じように揺れます。区分ごとに、当てはまる例と当てはまらない例を2〜3件ずつ書いて渡します。例えば「説明不足」には「手数料の説明を受けていないという申出」、当てはまらない例には「説明を受けたが金額に納得しないという申出(商品・サービスの内容)」を置きます。

記録の文は、置き換えた後のものだけを渡します。 顧客の氏名、口座番号、電話番号、住所、生年月日は、要約にも区分にも要りません。

Step3

データの取得方法を決める

苦情管理の仕組みの書き出しを、中継プログラムが毎晩受け取ります。 CSV か API かは製品によって違い、どちらで取れるかを最初に確かめます。 取れない製品では、担当が毎朝書き出したファイルを決まった場所に置く運用にします。

取るものどこから何に使うか
新規と更新の記録書き出しの更新日時要約を作る・作り直す対象を決める
受付の方法と取引の種類記録の項目要約の見出しと集計の切り口
対応の経緯の全文記録の本文顧客の申出・営業店の説明・事実の読み分け
前の版の要約と確定の状態保管の場所書き足しで確定を外すかどうか

営業店の名前と担当者の名前は、分けて扱います。 営業店の名前は集計の切り口として残し、担当者の名前は「担当者A」のように置き換えます。 本部の担当が元の記録を開けば分かるので、要約に名前は要りません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 個人を特定する情報を置き換える … 氏名・口座番号・電話番号・住所・生年月日を、「顧客」「口座X」のような記号に置き換えます
  2. 職員の名前を置き換える … 営業店の担当者の名前を「担当者A」「役席B」にします
  3. 経緯を日付順に並べる … 書き足しの順がばらばらな記録は、日付で並べ直します
  4. 重要案件の語で事前に印を付ける … 「金融ADR」「弁護士」「金融庁」「訴える」「脅し」「高齢」などの語の一覧に当たる記録に、プログラムで印を付けます
  5. 前の版と比べる … 書き足しがあった記録は、前の版の要約と確定の状態を添えます
  6. 短すぎる記録に印を付ける … 本文が数十字しか無い記録は、要約より先に「営業店へ確かめること」が要る記録として扱います

4番目をモデルとは別に置くのは、取りこぼしを二重に防ぐためです。 モデルが重要案件の疑いを付けなくても、語の一覧に当たった記録は必ず担当の目に入ります。 語の一覧は、お客さま相談室とコンプライアンスの担当が月ごとに見直します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、記録の文を本部の書式の項目に読み分けて要約し、原因の区分の候補・再発防止の案・営業店へ確かめることを付け、重要案件の疑いに印を付けることです。 苦情かどうか、重要案件かどうかの決定はさせません。

項目中身書き方
申出の要旨何についての不満か1〜2文
顧客の申出顧客が言ったこと、求めたこと記録に「お客様が〜と言った」とある部分から
営業店の説明担当者が説明したこと、営業店の見解記録に「〜と説明した」「〜と考える」とある部分から
確認できた事実記録や帳票で確かめたと書かれていること確かめた方法が書かれているものだけ
対応の結果解決・継続・外部機関の紹介など記録の最後の状態
原因の区分の候補定義の中から1つ。根拠の文を添える定義に当てはまらなければ「判断できない」
再発防止の案営業店・本部で考えられる手当て「案」として1〜3件
営業店へ確かめること記録に足りない事実質問の形で
重要案件の疑い目安に当たる記述があるか当たった目安と根拠の文

いちばん大事なのは、3行目と4行目を分けることです。 「手数料について事前に説明しており、当店に落ち度はない」は営業店の説明で、確認できた事実ではありません。記録に「申込書の控えで説明の記録を確認した」とあれば、そこで初めて確認できた事実になります。確かめた方法が書かれていない記述は、事実の欄に入れません。

させないこと理由
苦情か、相談か、紛争かを決める監督指針は申出を形式的に切り分けないよう求めている。担当が扱いを決める
重要案件と決めて経営陣へ送る判断は責任者。モデルは印を付けるだけ
営業店の説明を事実として書く本部の検証の材料が消える
顧客の落ち度・営業店の落ち度を書く要約の役目ではない。担当と責任者が検証する
区分ごとの件数を数える件数は確定した区分から中継プログラムが数える
再発防止策を決める案まで。採るかは会議で決める

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 記録を書いたのは営業店なので、文の多くは営業店の見方で書かれています。何も言わなければ、モデルはその見方のまま「事前に説明していた」を事実として要約します。 書いた人と言った人を分けるよう、指示で明記します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは銀行の本部のお客さま相談室で、営業店が書いた苦情等の記録を
本部の苦情報告の書式に要約する担当を手伝う立場です。
記録は営業店の職員が書いたものです。顧客が書いたものではありません。

【要約の項目】
申出の要旨/顧客の申出/営業店の説明/確認できた事実/対応の結果

【読み分けの規則】
- 「顧客の申出」には、記録の中で顧客が言った・求めたと書かれている内容だけを入れてください。
- 「営業店の説明」には、担当者が説明したこと、営業店の見方や評価を入れてください。
  「落ち度はない」「納得いただいた」は営業店の見方です。
- 「確認できた事実」には、帳票・記録・映像などで確かめたと、確かめた方法が
  書かれているものだけを入れてください。方法が書かれていなければ入れないでください。
- 記録に無いことは書かないでください。足りない事実は「営業店へ確かめること」に
  質問の形で書いてください。

【原因の区分】
- 区分の定義から1つを選び、選んだ根拠の文を記録から写してください。
- 定義の例に照らして決められないときは「判断できない」を選んでください。

【重要案件の疑い】
- 目安の一覧に当たる記述があれば、当たった目安と根拠の文を写してください。
- 重要案件かどうかを決めないでください。印を付けるだけです。

【書かないこと】
- 苦情・相談・紛争のどれに当たるかの結論
- 顧客や営業店の落ち度についての評価
- 再発防止策を決めたかのような書き方(必ず「案」として書く)
- 置き換えた記号を、元の名前や番号に戻そうとすること

【原因の区分の定義と例】{cause_definitions}
【重要案件の目安】{escalation_criteria}
【記録】{record}

「納得いただいた、は営業店の見方」と例を挙げて書くのは、言い方だけでは分からないからです。 「納得いただいた」は事実の報告のように読めますが、顧客がそう言ったのか、担当者がそう受け取ったのかは記録からは分かりません。例を示すと、モデルは同じ型の文を営業店の説明の側に置きます。

Step7

出力形式を固定する

次の形の JSON で受け取ります。

{
  "record_id": "",
  "version": 1,
  "branch": "",
  "channel": "counter | phone | letter | email | other",
  "product": "",
  "gist": "",
  "customer_statements": [""],
  "branch_explanations": [""],
  "verified_facts": [ { "fact": "", "how_verified": "" } ],
  "outcome": "resolved | ongoing | referred_external | unknown",
  "cause_candidate": { "category": "", "basis_quote": "" },
  "prevention_ideas": [""],
  "questions_to_branch": [""],
  "escalation_flags": [ { "criterion": "", "basis_quote": "" } ]
}

1つ目の理由は、customer_statements と branch_explanations を別の配列に持てることです。 本部の書式の別の欄にそのまま流し込め、担当は2つの配列を元の記録と見比べるだけで読み分けの誤りを見つけられます。

2つ目は、verified_facts に how_verified を必須で持たせられることです。 構造化出力はすべての項目を必須にする決まりなので、事実を1つ書けば確かめた方法も必ず書かれます。方法が空の事実は、中継プログラムが営業店の説明の側へ移します。

3つ目は、category と outcome を決まった値で受け取れることです。 原因の区分は Enum にして、定義の区分と「判断できない」だけを許します。定義に無い区分の名前が増えないので、月ごとの集計が比べられます。項目は合計100まで、入れ子は5段までという上限があるので、書式の項目はこの程度の深さに収めます。

4つ目は、escalation_flags を事前の印と突き合わせられることです。 語の一覧で印が付いたのに escalation_flags が空なら、その食い違いも担当に見せます。 片方だけに頼りません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
苦情管理の仕組み毎晩の書き出し(CSV または API)新規と更新の記録を受け取る
Azure OpenAIChat Completions の呼び出し(構造化出力)要約と候補を返す
Azure SQL Database書き込み要約の版、候補、確定した区分、確認の記録
お客さま相談室の確認画面庁内…ではなく行内向けの画面元の記録と要約を並べ、区分を確定する
行内のメール通知重要案件の疑いを翌朝に知らせる
営業店確認の依頼(行内のメール)足りない事実を聞く

苦情管理の仕組みには書き込みません。 確定した区分を苦情管理の仕組みに入れるのは担当です。要約の下書きが正式な記録に混ざらないようにします。

呼び出しには、Chat Completions を使います。 Responses API はやり取りの履歴を保存する機能を持ちます。1件ずつ要約するだけなので、履歴を残さない呼び出し方にします。

Step9

人が確認する

担当は、元の記録と要約を並べて、毎日20件前後を確かめます。 確かめるまで、要約は苦情報告に使いません。

  1. 重要案件の疑いを先に見る … escalation_flags と事前の印のある記録を最初に読み、責任者への報告を決めます
  2. 読み分けを確かめる … 顧客の申出・営業店の説明・確認できた事実の振り分けを、元の記録の文と見比べます
  3. 区分を確定する … 候補と根拠の文を見て、定義に合う区分を選びます。候補と変えたら理由を残します
  4. 営業店へ確かめることを送る … 質問を選んで送り、返事が記録に足されたら要約を作り直します
  5. 再発防止の案を会議の材料にする … 案のうち会議にかけるものを選びます

2番目を省かないでください。 本部が営業店の説明を事実として報告すれば、顧客に直接確かめる必要がある案件を見逃します。 要約の読み分けが合っているかは、毎回人が見ます。

目標は、400件をならして1件6分です。 短く明快な記録は数分で確定でき、経緯の長い記録や重要案件の疑いのある記録は15分を超えます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
記録が短く、要約できない要約を作らず「営業店へ確かめること」だけを出す
確かめた方法の無い事実が出た中継プログラムが営業店の説明の側へ移し、印を付ける
区分が「判断できない」担当が定義を見て決める。多い区分は定義の例を足す
事前の印と escalation_flags が食い違う両方を担当に見せる。片方だけで判断しない
反社会的勢力による圧力の疑い通常の苦情等と分け、責任者と所管の部署へすぐに連絡する
確定の後に記録が書き足された確定を外して「書き足しあり」の印を付け、作り直す
置き換えの漏れ(名前・番号が残った)呼び出しの前に検知して止め、置き換えの規則を直す
外部機関(指定ADR機関など)が関わったreferred_external とし、外部機関の手続の記録を添えて確かめる
呼び出しが失敗する記録を翌晩の対象に残し、担当の画面に未処理として出す

5行目は、要約の流れに乗せません。 監督指針は、反社会的勢力による苦情等を装った圧力を通常の苦情等と区別し、関係部署に速やかに連絡する態勢を求めています。語の一覧で印が付いたら、要約より先に責任者へ知らせます。

Step11

記録を残す

  • 書き出した記録(置き換えの前は苦情管理の仕組みにあり、ここでは置き換えた後の文を残す)
  • 置き換えの対応表(記号と元の値。行内の限られた担当だけが見られる場所に分けて置く)
  • 要約の版ごとの全文、使った指示とスキーマの版、原因の区分の定義の版
  • 担当が確定した区分と、候補から変えた理由
  • 営業店への確認の依頼と、返事の日付
  • 重要案件の疑いの通知と、責任者への報告の記録

4つ目は、区分の定義を見直す材料になります。 候補から変えた理由が同じ区分に集まるなら、その区分の定義の例が足りません。 月ごとに数え、定義に例を足します。

2つ目を分けて置くのは、要約の側から元の個人の情報に戻れないようにするためです。 要約の保管の場所を見られる人と、対応表を見られる人を分けます。

04実装レベルの3段階

最小構成:置き換えた記録を手でAIの画面に貼り、書式の項目に分けて要約させる / 1件ずつの読み分けと要約
半自動化:上記+毎晩の書き出しと置き換えを自動にし、要約を一覧に書き出す / 書き出し・置き換え・要約の一覧化
本格構成:上記+重要案件の疑いの通知、確認画面での区分の確定、営業店への確認、月末の集計 / 要約から苦情報告の表までの全体

最小構成では件数がさばけません。 置き換えも貼り付けも手作業なので、400件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件15分が9分程度になります。 要約は出ますが、一覧と元の記録を行き来する手間と、区分を表計算に転記する作業が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、元の記録と要約を並べて確定する画面と、確定した区分からの集計です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で1か月回すと、置き換えの漏れの型と、「判断できない」が多い区分が先に分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
400 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  400件 × 15分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 400件 × 6分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
60%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,500円)
252万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 数十の営業店から毎月数百件の苦情等の記録が上がり、本部の担当が記録を読み直して苦情報告の書式に書き直している地方銀行・信用金庫・信用組合。営業店ごとに記録の書き方がばらばらで、顧客の申出と担当者の説明が1つの文に混ざっている場合。原因の区分の付け方が本部の担当者ごとに違い、月ごとの集計を比べにくい場合。
向いていない
  1. 苦情等の件数が月に数十件で、本部の担当が全件を読んで書き直せる場合。苦情等の記録が紙の受付票だけで、文字のデータになっていない場合。原因の区分の定義や本部の報告の書式が決まっていない場合(先に書式と区分を決める作業が要ります)。苦情として扱うか、重要案件として経営陣に上げるかの判断までAIに任せたい場合(この構成は要約と候補を出すだけで、判断は苦情対応の担当と責任者が行います)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の記録から30件を選ぶ(短い記録、経緯の長い記録、重要案件として報告したものを入れる)
  2. 30件の氏名・口座番号・電話番号を、手で記号に置き換える
  3. 置き換えた記録を1件ずつ、行内で使ってよいと認められたAIサービスの画面に貼る
  4. 「この記録を、申出の要旨・顧客の申出・営業店の説明・確認できた事実・対応の結果に分けて要約してください。確かめた方法が書かれていないことは事実に入れないでください。原因の区分は次の定義から選び、根拠の文を写してください」と指示する
  5. 出てきた要約を、先月お客さま相談室が書いた本部の書式と突き合わせる

30件は必ずやってください。 組む前に、「顧客の申出と営業店の説明を読み分けられるか」を確かめます。

出てきた内容判断
読み分けも区分も、担当の書式と合っている書き出しと置き換えの構築に進む
営業店の説明を事実の欄に入れた指示の例の足し方で直る。構成は有効
区分が担当と大きくずれた区分の定義が先。 当てはまる例・当てはまらない例を作る

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、担当者ごとに区分が揺れていた理由が1つ分かったということです。 定義の例を足し、同じ30件で区分がどこまでそろうかを見てください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
営業店の説明が事実として要約される確かめた方法の無い記述を事実に入れない規則を、指示と後段の点検の両方で持つ
「納得いただいた」が顧客の申出に入る営業店の見方の例として指示に書く
区分が担当と揺れる区分ごとに当てはまる例・当てはまらない例を渡す
定義に無い区分の名前が出る区分を Enum にし、「判断できない」を用意する
重要案件の疑いを取りこぼす語の一覧による事前の印とモデルの印を突き合わせる
確定の後の書き足しを見落とす書き足しで確定を外し、作り直す
置き換えの漏れ呼び出しの前に、名前・番号の型を検知して止める
要約から件数を数えてしまう件数は確定した区分から数える
再発防止の案がそのまま決定のように扱われる必ず「案」として出し、会議で採るかを決める
月末にまとめて動かす毎晩動かし、毎日確定する運用にする
書き出しの方法が分からない製品の書き出しの機能を先に確かめる。無ければ手で置く運用にする

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、書いた人の見方が、そのまま本部の報告の事実になる失敗です。要約の文はきれいに整うので、読んだだけでは気づきません。読み分けの規則を、指示だけでなく後段の点検でも持っているかで、運用に乗るかが決まります。

下から2行目は、運用の最初に決めます。 毎晩動かしても、担当が月末にまとめて確定すれば、以前と同じ集中が起きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 営業店の苦情等の記録で、顧客の取引の内容と不満の中身、対応した職員の言動が書かれています。

  1. 個人を特定する情報を外へ出さない … 氏名・口座番号・電話番号・住所・生年月日は、呼び出しの前に置き換えます。置き換えの対応表は、要約とは別の場所に置き、見られる人を限ります
  2. データの扱いを確かめる … Azure が販売するモデルでは、プロンプトと応答は他の顧客にも OpenAI にも提供されず、許可や指示なしに基盤モデルの学習に使われないとされ、モデルはステートレスとされています。Global や DataZone のデプロイでなければ指定した地域の中で処理されます。 Standard のデプロイを日本の地域で選びます
  3. 不正利用の監視の扱いを確かめる … 不正利用の監視のために、印の付いたプロンプトと応答が人の確認のために保存されうるとされ、管理された顧客は監視の変更を申請できるとされています。苦情等の記録を扱う前に、行内の規程に照らして申請の要否を決めます
  4. この構成は苦情等の扱いの判断を代替しません … 苦情・相談・紛争のどれとして扱うか、重要案件として経営陣に上げるか、どの再発防止策を採るかは、苦情対応の担当と責任者、会議が決めることです
  5. 営業店の評価に直結させない … 要約と区分は、記録の書き方にも左右されます。 区分の件数を、そのまま営業店や職員の評価に使わないでください
  6. 記録・保存の方針に合わせる … 監督指針は苦情等の内容と対処結果を適切かつ正確に記録・保存することを求めています。正式な記録は苦情管理の仕組みに置き、要約の下書きの保存の期間と消し方を別に決めます

誤りが起きた場合のリスクは、重要案件を見逃すことと、営業店の説明を事実として報告することの2つです。 前者は事前の印との突き合わせで、後者は読み分けの規則と人の見比べで止めます。どちらも、要約を確定するまで下書きとして扱う設計の側で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:区分の定義に例を書く

原因の区分ごとに、当てはまる例と当てはまらない例を2〜3件ずつ、過去の記録から選んで書きます。担当者どうしで区分が分かれた記録を、必ず例に入れます。

2週目:30件で試す

置き換えた30件を、行内で認められたAIサービスで試します。営業店の説明が事実の欄に入っていないかを最優先で見ます。

3週目:置き換えと重要案件の目安を決める

システムの担当と、氏名・番号の置き換えの規則と対応表の置き場所を決めます。コンプライアンスの担当と、重要案件の目安と語の一覧を決めます。苦情管理の仕組みの書き出しの方法も、ここで確かめます。

4週目:毎晩の要約をつなぐ

中継プログラムで、書き出し、置き換え、要約、事前の印付けまでを作ります。この時点では区分を確定させず、要約の一覧を担当が見るだけにします。

2か月目: 確認画面と重要案件の通知を足し、毎日の確定を始めます。候補から変えた区分の数を毎週数えます。3か月目以降: 営業店への確認と月末の集計をつなぎ、1件15分が何分になったかを実測します。候補から変える区分が減り、月末に書き直す件数が無くなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
II-3-2-6(苦情等への対処):申出を形式的に「苦情」「紛争」に切り分けず相対性・連続性を勘案すること。苦情等の担当部署・処理手続の整備、進捗管理、受付窓口。反社会的勢力による苦情等を装った圧力を通常の苦情等と区別し関係部署に速やかに連絡すること。苦情等と対処結果を類型化のうえ報告し、重要案件を速やかに監査部門や経営陣に報告すること。適切かつ正確に記録・保存し、分析して再発防止策・未然防止策に活用すること。II-3-2-1-2(6):重大な苦情等の検証で営業店担当者等の報告等のみを判断の根拠とせず、必要に応じ本部等の担当者が苦情者等に直接確認すること金融庁: 中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(II 銀行監督上の評価項目)2026-10-08
銀行法第12条の3:指定銀行業務紛争解決機関が存在する場合は一の機関と手続実施基本契約を締結すること、存在しない場合は苦情処理措置と紛争解決措置を講じることe-Gov 法令検索 法令API: 銀行法2026-10-08
構造化出力が渡した JSON Schema にモデルを従わせること。JSON モードはスキーマへの厳密な準拠を保証しなかったこと。すべての項目を必須にし、additionalProperties: false を付けること。対応する型に Enum が含まれること。項目は合計100まで、入れ子は5段までであることMicrosoft Learn: How to use structured outputs with Azure OpenAI in Microsoft Foundry Models2026-10-08
プロンプトと応答が他の顧客にも OpenAI にも提供されず、許可や指示なしに基盤モデルの学習に使われないこと。モデルがステートレスであること。Global・DataZone の種類でなければ指定した地域の中で処理されること。Responses API がやり取りの履歴を保存すること。不正利用の監視で人の確認のためにプロンプトと応答が保存されうること、管理された顧客が監視の変更を申請できることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-08

苦情等の扱いと報告の範囲は、各金融機関の社内規則と、苦情対応の責任者・コンプライアンスの担当の判断に従ってください。 本記事は金融庁、e-Gov 法令検索、Microsoft Learn で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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