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介護施設・デイサービスで、利用者ごとの1か月の記録から家族へ送る近況報告の手紙の下書きを作り、相談員の確認に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

利用者ごとの1か月分の介護記録から、家族へ送る近況報告の手紙の下書きを作ります。相談員は、記録を一から読み返して書く代わりに、下書きと根拠の記録を見比べて直し、送るかどうかを決めます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
介護/医療
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
50h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
68%
年間削減
408h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 月末に、介護記録ソフトで利用者ごとに1か月分のケース記録を画面に出す
  2. 記録を上から読み、家族に伝えたい出来事に印を付ける(行事、食事、会話、体調の様子)
  3. 看護職員の記録や受診の記録も見て、体調の変化がなかったかを確かめる
  4. 便箋の様式に、季節のあいさつから始めて近況を書く
  5. 行事の写真の中から、その利用者が写っているものを探して貼る
  6. 施設長または主任相談員が読み、表現と内容を確かめる。直しがあれば書き直す
  7. 印刷して封入し、郵送する。メールを希望する家族にはPDFで送る
導入後(After)
  1. 人月末に、介護記録ソフトから前月分の記録をCSVで書き出し、決められたフォルダに置く
  2. 自動毎月決まった日にワークフローが動き、CSVを読み込んで利用者ごとに記録を分ける
  3. 自動利用者の台帳から、家族の呼び方、送付の方法、本人が伝えてほしくないことの欄を引く
  4. 自動定型の記録を外し、家族に伝える候補になる記録だけを残す
  5. 自動生成AIが、候補の記録から手紙の下書きを作る。体調の変化などの事柄は、手紙に入れずに別の欄へ出す
  6. 自動下書きを手紙の様式の文書に流し込み、確認の一覧に1行ずつ載せる
  7. 人相談員が自分の担当分の下書きを開き、根拠の記録と見比べて直す
  8. 人「電話で伝えるべき事柄」が出ている利用者は、相談員または看護職員が家族に電話する
  9. 人主任相談員が一覧で確認の状態を見て、送付を承認する
  10. 人印刷して封入し、郵送する。メールを希望する家族にはPDFで送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 月末に、介護記録ソフトで利用者ごとに1か月分のケース記録を画面に出す
  2. 記録を上から読み、家族に伝えたい出来事に印を付ける(行事、食事、会話、体調の様子)
  3. 看護職員の記録や受診の記録も見て、体調の変化がなかったかを確かめる
  4. 便箋の様式に、季節のあいさつから始めて近況を書く
  5. 行事の写真の中から、その利用者が写っているものを探して貼る
  6. 施設長または主任相談員が読み、表現と内容を確かめる。直しがあれば書き直す
  7. 印刷して封入し、郵送する。メールを希望する家族にはPDFで送る

(a)読み返しに時間がかかる。 2番目の作業が手紙の時間のほとんどを占めます。100件の記録の大半は「食事全量摂取」「排泄介助」のような定型の記録で、家族に伝える価値のある出来事は数件しかありません。 その数件を探すために、全部を読む必要があります。

(b)書く人で中身と分量が違う。 ある相談員は毎月600字の手紙を書き、別の相談員は200字で終わる。行事のことしか書かない人もいれば、食事の様子を細かく書く人もいます。同じ施設に入所している利用者の家族どうしで、手紙の内容を比べて不満が出ることもあります。

(c)書いてはいけないことの線引きが、人の記憶に頼っている。 体重の減少を手紙に書いてしまい、家族から驚いた電話がかかってくる。他の利用者の名前が入った文を書いてしまう。本人が家族に知られたくないと言っていたことを書いてしまう。 どれも書く人が気をつけるしかなく、新しい相談員ほど踏みます。

(d)6番目の確認が形だけになる。 120通を施設長が読むと、それだけで数時間かかります。読む側も急ぐので、表現の誤りは拾えても、記録と食い違っているかまでは確かめられません。

  1. 【人】 月末に、介護記録ソフトから前月分の記録をCSVで書き出し、決められたフォルダに置く
  2. 【自動】 毎月決まった日にワークフローが動き、CSVを読み込んで利用者ごとに記録を分ける
  3. 【自動】 利用者の台帳から、家族の呼び方、送付の方法、本人が伝えてほしくないことの欄を引く
  4. 【自動】 定型の記録を外し、家族に伝える候補になる記録だけを残す
  5. 【自動】 生成AIが、候補の記録から手紙の下書きを作る。体調の変化などの事柄は、手紙に入れずに別の欄へ出す
  6. 【自動】 下書きを手紙の様式の文書に流し込み、確認の一覧に1行ずつ載せる
  7. 【人】 相談員が自分の担当分の下書きを開き、根拠の記録と見比べて直す
  8. 【人】 「電話で伝えるべき事柄」が出ている利用者は、相談員または看護職員が家族に電話する
  9. 【人】 主任相談員が一覧で確認の状態を見て、送付を承認する
  10. 【人】 印刷して封入し、郵送する。メールを希望する家族にはPDFで送る

7番目と8番目が、この設計の分かれ目です。 下書きができても、送るかどうか、何を電話で話すかは相談員が決めます。AIが外した事柄を、相談員が確かめずに放置しないよう、一覧に「電話済み」の欄を設けます。

1番目だけは人の作業として残します。 介護記録ソフトから書き出す操作を自動にできるかは、ソフトの機能次第です。書き出しの手順が決まっていれば、月に1回、数分で済む作業です。

02今回想定するシステム構成

構成図
介護記録ソフト
   │  【人】前月分の記録をCSVで書き出し、所定のフォルダへ
   ▼【トリガー】Make のスケジュール(毎月3日 9時)
Make
   ├──▶ CSVを読み込み、利用者ごとに分ける(Iterator)
   ├──▶ 利用者の台帳を引く(家族の呼び方・送付方法・伝えないこと)
   ├──▶ 定型の記録を外す(前処理の規則)
   ▼
Claude API(Make の Anthropic Claude アプリ「Make an API Call」)
   │   ① 家族に伝える出来事を選ぶ  ② 記録を根拠に下書きを書く
   │   ③ 電話で伝えるべき事柄を手紙から外して列挙する
   │   structured outputs で決まった形のJSONを返す
   ▼
Make ── Google ドキュメントの様式に流し込む(Create a Document from a Template)
   ▼
確認の一覧(スプレッドシート)
   ▼
【人】相談員が下書きを直す/電話で伝える/主任相談員が承認
   ▼
印刷・郵送、またはPDFでメール送付(人が送る)
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakeZapier、Power Automate、n8n
生成AIClaude API(Make の Anthropic Claude アプリ)OpenAI API、Gemini API
文書Google ドキュメント(手紙の様式)Microsoft Word
保管Google スプレッドシート(利用者の台帳と確認の一覧)SharePoint リスト

介護記録ソフトと利用者の台帳は、新しく足すものではありません。 介護記録ソフトからは読むだけで、この構成から書き込むことはありません。台帳には、「家族の呼び方」「送付の方法」「本人が伝えてほしくないこと」の3列を足すのが最初の準備です。

Make を選ぶ理由は、毎月決まった日に動かす仕組みと、1件ずつの繰り返しを画面で組めることです。 Make のシナリオのスケジュールには、一定間隔、1回だけ、毎日、平日、毎週、毎月、指定した日付、必要なときに動かす、の選択肢があります。手紙は毎月1回なので「毎月」を使います。

利用者ごとの繰り返しには Iterator を使います。 Iterator は配列を1件ずつのバンドルに分けるモジュールで、配列の要素がそれぞれ別のバンドルとして出力されるとされています。CSVの行を利用者ごとにまとめた配列を Iterator に渡すと、その後の生成AIの呼び出しが利用者1人につき1回ずつ行われます。

生成AIの呼び出しには、Anthropic Claude アプリの「Make an API Call」を使います。 このアプリには「Simple Text Prompt」「Create a Prompt」などのモジュールがあり、接続には Anthropic のコンソールで作ったAPIキーを使います。出力の形を決めて受け取るために、API呼び出しのモジュールから Messages API を直接呼び、structured outputs を指定します。

手紙の様式への流し込みは、Google ドキュメントの「Create a Document from a Template」で行います。 既存のテンプレート文書を複製し、文書中のタグを指定した値に置き換えるモジュールです。画像をURLで差し替える機能もあるので、行事の写真の差し込みにも使えます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

Make のスケジュールで、毎月3日の9時に動かします。 前月の記録は月末の夜勤の記録まで含めたいので、月が明けてから書き出し、2日のうちにフォルダへ置くという段取りにします。3日の朝に下書きがそろえば、相談員は1週目のうちに確認を終えられます。

フォルダにCSVが無いときは、ワークフローを止めて相談員に知らせます。 書き出しを忘れた月に、空の下書きが120通できてしまうのを防ぐためです。ファイルの更新日時が前月の末日より前なら、前々月のファイルと見なして止めます。

途中で入所した利用者や、月の途中で退所した利用者も、同じ実行で扱います。 台帳の入所日と退所日を見て、退所した利用者の下書きは作りません。 退所の連絡は手紙とは別の手続きで行うためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
ケース記録日時、記録した職員の職種、記録の種別(生活・行事・会話・体調)、本文介護記録ソフトのCSV
食事量・水分量日ごとの主食・副食の摂取量同上
バイタル・体重体温、血圧、月1回の体重同上
行事の参加記録行事名、日付、参加したか同上
利用者の台帳氏名、家族の呼び方(「ご長女様」など)、送付方法、本人が伝えてほしくないこと、入退所日スプレッドシート
前月の手紙前月に送った手紙の本文確認の一覧に保存したもの

質を決めるのは、ケース記録の書き方と、台帳の「伝えてほしくないこと」の欄です。 「穏やかに過ごす」とだけ書かれた記録が続くと、下書きもそれ以上のことを書けません。記録が薄いことは、下書きの段階で「書ける出来事が少ない」として相談員に返します。 記録の書き方を見直すきっかけにします。

「伝えてほしくないこと」の欄は、本人の意思を残すためのものです。 入所時や面談のときに本人が「家族には言わないで」と話したことを、相談員が台帳に書きます。この欄に書かれた事柄は、記録にあっても下書きに入れません。 ここは規則で外し、AIの判断に任せません。

前月の手紙を渡すのは、同じ書き出しや同じ話題が続かないようにするためです。 毎月「お元気に過ごされています」で始まる手紙は、家族に読まれなくなります。

Step3

データの取得方法を決める

CSVは、介護記録ソフトから人が書き出して、共有ドライブの決められたフォルダに置きます。 ソフトによっては記録の書き出しの機能や外部連携の仕組みを持つものもありますが、ここでは月1回の手作業の書き出しを前提にします。 手作業でも月に数分で、ソフトごとの連携を作るより確実です。

取るものどこから何に使うか
前月分の記録のCSV共有ドライブの所定のフォルダ利用者ごとの記録の束
利用者の台帳の行スプレッドシート家族の呼び方、送付方法、伝えないこと
前月の手紙確認の一覧の前月の行同じ話題の繰り返しを避ける
行事の写真の一覧写真を置いたフォルダと、写っている利用者の一覧表写真の差し込みの候補

写真は、AIに選ばせません。 写っている人の判別を生成AIにさせると、別の利用者の写真を家族に送る誤りにつながります。 行事の担当職員が、写真ごとに写っている利用者を一覧表に書き、Make はその表から候補を引くだけにします。他の利用者が写り込んでいる写真は、一覧表の段階で除きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイルの確認 … CSVの列がそろっているか、期間が前月の1日から末日までかを確かめます
  2. 利用者ごとに分ける … 利用者の番号で行をまとめ、Iterator に渡す配列にします
  3. 定型の記録を外す … 「食事全量摂取」「排泄介助実施」のような、本文が決まった言い回しだけの記録を外します。外す言い回しは一覧にして持ちます
  4. 体調に関わる記録に印を付ける … 記録の種別が体調・受診・服薬のもの、職種が看護職員のものに印を付けます。手紙の候補にはせず、電話で伝える事柄の判定に回します
  5. 数値の変化を計算する … 体重の前月との差、食事量の月平均の変化を計算します。計算はワークフローで行い、AIにはさせません
  6. 伝えないことを外す … 台帳の「伝えてほしくないこと」に当たる記録を外します
  7. 他の利用者の名前を伏せる … 記録の本文に出てくる他の利用者の氏名を「他のご利用者」に置き換えます。氏名の一覧は台帳から作ります

3番目で、記録の量は大きく減ります。 1か月100件の記録のうち、家族に伝える候補として残るのは数件から20件ほどです。生成AIに渡す量が減り、選ぶ手間も減ります。

7番目を省かないでください。 「〇〇様と一緒に歌を歌われました」という記録はよくあります。そのまま手紙に書くと、他の利用者の個人情報を第三者である家族に渡すことになります。 置き換えは生成AIに任せず、渡す前に済ませます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、残った記録から家族に伝える出来事を選び、記録を根拠にした下書きを書き、電話で伝えるべき事柄を分けて出すことです。

させること中身
出来事を選ぶ行事、会話、楽しまれていたこと、食事の様子から、3〜5個を選ぶ
下書きを書く季節のあいさつ、近況、来月の予定の3段で、400〜600字
根拠を付ける下書きの段落ごとに、根拠にした記録の番号を付ける
電話で伝える事柄を分ける印の付いた記録と数値の変化から、家族に電話で伝えるべきものを挙げる
書ける出来事が少ないことを知らせる選べる記録が2個に満たなければ、その旨を返す
させないこと理由
体調・受診・服薬の説明を手紙に書く電話で伝え、家族の質問に答えるべき内容
記録にない様子を書き足す家族が面会で話題にしたときに、誰も答えられない
体重や食事量の数値を手紙に書く数値だけでは家族が判断できず、心配だけが残る
医療的な見立てを書く「認知症が進んだ」「回復してきた」は職員が判断して話すこと
写真を選ぶ写っている人の判別を誤ると、別の利用者の写真を送る

1行目がいちばん大事です。 「今月は少し食欲が落ちていましたが」の一文を手紙で読んだ家族は、何がどれくらい落ちたのか、施設は何をしているのかを知りたくて電話をかけてきます。 それなら最初から相談員が電話で話すほうが、家族にとっても施設にとっても負担が軽く済みます。

2行目は、指示と後段の確認の両方で守ります。 指示で禁じたうえで、段落ごとの根拠の記録の番号が、渡した記録に実在するかをワークフローで確かめます。番号が無い段落、存在しない番号を指す段落は、確認の一覧で目立つ色にします。

Step6

指示内容を固定する

あなたは介護施設の生活相談員として、利用者のご家族へ毎月お送りする
近況報告のお手紙の下書きを書く立場です。
渡された記録だけを根拠にしてください。記録に無いことを書かないでください。

【書くこと】
- 記録の中から、ご家族に伝えたい出来事を3〜5個選んでください
  (行事への参加、職員との会話、楽しまれていたこと、食事の様子など)
- 季節のあいさつ、近況、来月の予定の3つの段落で、400〜600字にしてください
- 段落ごとに、根拠にした記録の番号を source_ids に入れてください
- ご家族の呼び方は {family_title} を使ってください
- 前月のお手紙と同じ書き出し、同じ出来事は避けてください

【書かないこと】
- 体調、受診、服薬、けが、体重、食事量の数値に関することは、
  お手紙に書かないでください。phone_items に挙げてください
- 「認知症が進んだ」「回復してきた」のような、状態の見立てを書かないでください
- 記録に無い表情や気持ちを書き足さないでください。
  「笑顔で」と書くのは、記録に笑顔とある場合だけです
- 他のご利用者のことを書かないでください
- 施設のサービスの宣伝や、ご家族へのお願いを書かないでください
  (お願いがあるときは、相談員が書き足します)

【phone_items の挙げ方】
- 印の付いた記録と、渡した数値の変化を見て、ご家族に電話でお伝えすべき
  ものを挙げてください。reason には、根拠の記録の番号と内容を書いてください
- 判断に迷うものも挙げてください。挙げないよりも挙げるほうを選んでください

【書ける出来事が少ないとき】
- 選べる出来事が2個に満たないときは、few_events を true にし、
  下書きは書ける範囲で短くしてください。言葉を足して長くしないでください

【記録】{records}
【数値の変化】{metrics}
【前月のお手紙】{last_letter}
【来月の予定】{next_month_events}

「挙げないよりも挙げるほうを選ぶ」を明記しないと、AIは迷ったものを落とします。 電話で伝える事柄は、漏れたときの痛手が、余計に挙げたときの手間よりはるかに大きいからです。相談員が見て「これは電話するほどではない」と外すほうが安全です。

「言葉を足して長くしない」も同じ理由です。 字数の指定だけをすると、記録の少ない利用者でも600字に届くまで一般的な言葉で埋めます。埋めた言葉は、たいてい記録にない様子の描写になります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Messages API の structured outputs で output_config.format に json_schema を指定すると、制約付きのデコードでスキーマに沿った応答が返るとされています。

{
  "resident_id": "",
  "letter": {
    "greeting": { "text": "", "source_ids": [] },
    "updates": [
      { "text": "", "source_ids": [] }
    ],
    "next_month": { "text": "", "source_ids": [] }
  },
  "phone_items": [
    { "topic": "", "reason": "", "source_ids": [], "suggested_caller": "相談員 | 看護職員" }
  ],
  "few_events": false,
  "char_count": 0
}

1つ目の理由は、source_ids で根拠を機械的に確かめられることです。 ワークフローの側で、すべての段落に番号があるか、番号が渡した記録に実在するかを見ます。自由文で受け取ると、根拠の確認を人が全部しなければなりません。

2つ目は、phone_items を手紙と別の欄にできることです。 手紙の本文と電話で伝える事柄が同じ文章に混ざっていると、相談員が本文から削り忘れたまま送ることが起きます。欄が分かれていれば、本文には最初から入っていません。

3つ目は、スキーマに沿わない応答を見分けられることです。 公式の説明では、安全上の理由で応答が拒否された場合(stop_reason が refusal)や、max_tokens に達して途中で切れた場合は、スキーマに合わない出力になることがあるとされています。Make の側で stop_reason を見て、どちらかならその利用者を「下書きなし」として一覧に出します。

一覧の状態付ける条件(ワークフローの規則)
要確認(通常)下書きがあり、すべての段落に実在する根拠の番号がある
要確認(根拠不足)根拠の番号が無い、または存在しない番号を指す段落がある
電話が先phone_items が1件以上ある。電話を済ませるまで承認できない
記録が少ないfew_events が true
下書きなし応答の拒否、途中で切れた、CSVに記録が無い
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有ドライブの所定のフォルダMake のモジュールで読み取り前月分の記録のCSV
利用者の台帳スプレッドシートの読み取り家族の呼び方、送付方法、伝えないこと、入退所日
Claude APIAnthropic Claude アプリの「Make an API Call」下書きと電話で伝える事柄
手紙の様式Google ドキュメントの「Create a Document from a Template」下書きを流し込んだ文書を利用者ごとに作る
確認の一覧スプレッドシートへの書き込み利用者ごとの行、状態、文書へのリンク

介護記録ソフトには書き込みません。 手紙は記録ではなく、家族への連絡です。下書きの文章が記録に混ざると、職員が書いた事実と、家族向けに言い換えた文章の区別がつかなくなります。

メールでの送付も自動にしません。 送付の方法が「メール」の家族にも、承認されたPDFを相談員が送ります。宛先を取り違えたときに、他の利用者の家族へ健康に関わる情報が届くことになるためです。

Step9

人が確認する

相談員が見るのは、自分の担当の利用者の行だけです。

  1. 「電話が先」の行を最初に見る … phone_items を読み、電話するか、誰が電話するかを決めます。看護職員に頼むものは、その日のうちに伝えます
  2. 下書きと根拠の記録を見比べる … 段落ごとに source_ids の記録を開き、書かれた様子が記録と合っているかを確かめます
  3. 自分の言葉で一文を足す … 担当として見ていたこと、家族へのお願いなどを足します。手紙の最後の一文は相談員が書く、と決めておきます
  4. 写真を確かめる … 候補の写真に、本人以外の利用者が写り込んでいないかを見ます
  5. 電話を済ませたら一覧に記録する … 電話した日、話した相手、家族の反応を残します
  6. 主任相談員が承認する … 一覧で状態を見て、「電話が先」が残っていないこと、根拠不足が直っていることを確かめます

3番目は、手紙が機械の文章だけにならないようにするためです。 家族は相談員の名前で届く手紙を読みます。一文でも担当者の言葉があると、読まれ方が変わります。

6番目の主任相談員は、全文を読む必要はありません。 状態の欄が整っているかを見て、気になる数通だけを開きます。全文を読むのは、運用を始めて最初の2か月だけにします。

Step10

例外に対処する

起きること対応
フォルダにCSVが無い・前月分でないワークフローを止めて相談員に知らせる。空の下書きを作らない
利用者の記録が1件も無い入院中の可能性。下書きを作らず「下書きなし」で一覧に出す
月の途中で入所した入所日からの記録で書く。最初の手紙であることを指示に渡す
月の途中で退所した下書きを作らない。退所の連絡は別の手続き
台帳に家族の呼び方が無い下書きは作り、呼び方を空欄にして相談員が埋める
事故の記録があるphone_items に必ず出す。事故の説明は手紙で行わない
応答が拒否された・途中で切れた「下書きなし」として出し、相談員が書く
根拠の番号が実在しない「根拠不足」として出す。その段落は使わない前提で確かめる
家族の連絡先が複数ある台帳でキーパーソンを1人に決める。決まっていなければ相談員に聞く

6行目の事故は、手紙とは別の流れで扱います。 転倒や誤薬が起きたときの家族への説明は、起きたその日のうちに電話で行うもので、月初の手紙を待つものではありません。 手紙の下書きの段階で事故の記録が出てくるのは、その説明が済んでいるかを確かめる最後の機会と考えます。

Step11

記録を残す

  • 生成AIに渡した記録の束(前処理の後のもの)と、外した記録の件数
  • 生成AIの応答のJSONの全文と、stop_reason
  • 相談員が直した後の手紙の本文と、直す前の下書きとの差分
  • phone_items の内容と、電話した日・相手・話した内容
  • 承認した人と日時、送付の方法と日時
  • 送付した写真のファイル名

3つ目の差分は、指示を直す材料にします。 相談員が毎月同じ種類の言い回しを削っているなら、指示に「書かないこと」として足します。差分が小さくなるほど、確認の時間が短くなります。

4つ目は、家族から「聞いていない」と言われたときのためにも残します。 電話で伝えた日と内容があれば、何をいつ伝えたかを確かめられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:記録を手で生成AIの画面に貼り、下書きを作らせる / 1名ずつの下書きの作成
半自動化:上記+Make で毎月CSVを読み込み、全員分の下書きを様式に流し込み、確認の一覧を作る / 下書きの作成、根拠の確認、電話で伝える事柄の仕分け
本格構成:上記+介護記録ソフトとの連携で書き出しを自動化し、承認後の印刷・送付の段取りまでつなぐ / 記録の取得から送付の準備まで

最小構成では、120通はさばけません。 1名ずつ記録を貼るので、10名を試すための段階です。確かめたいのは、記録から手紙が書けるかと、体調のことを外せるかの2つです。 本記事の想定は半自動化です。 1件25分が8分になります。残る8分は、下書きと根拠の見比べ、自分の言葉の一文、写真の確認です。どれも相談員が手放してはいけない作業として残しています。 本格構成に進むかは、介護記録ソフトの連携の仕組み次第です。 書き出しは月に1回、数分の作業なので、連携を作る費用に見合うかは慎重に見てください。 送付も、宛先の取り違えの危険を考えると、人の手に残す価値があります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
25 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  120件 × 25分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 120件 × 8分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
34h
削減率
68%
年間削減時間
408h
年間金額換算(時間単価3,000円)
122万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなどで、利用者の家族へ毎月の近況報告を手紙やお便りで送っている事業所。生活相談員や担当職員が月末に1か月分の記録を読み返して手書きやワープロで書いており、書く人によって中身と分量が大きく違う場合。介護記録ソフトから記録をCSVなどで書き出せる場合。
向いていない
  1. 利用者が数名で、手紙を書く時間が月に1〜2時間に収まっている場合。介護記録が紙だけで、書き出せる形の記録がない場合。家族への報告を電話や面会のときの口頭だけで行っており、書面を送る運用がない場合。なお、体調の変化や事故を家族へどう伝えるかの判断、医療的な内容の説明は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月送った手紙の中から、担当の違う利用者を10名選ぶ(記録の多い人と少ない人、体調の変化があった人を混ぜる)
  2. その10名の先月分の記録を、介護記録ソフトから書き出す
  3. 他の利用者の氏名を「他のご利用者」に置き換え、本人の氏名もイニシャルにする
  4. 手元の生成AIの画面に記録を貼り、第7章の指示を少し短くしたものを与える
  5. 出てきた下書きを、先月実際に送った手紙と並べて比べる

比べるときに見るのは、文章のうまさではありません。 見るのは次の3つです。

出てきた内容判断
実際の手紙と同じ出来事が選ばれ、体調のことが手紙から外れているワークフローの組み立てに進む
記録にない様子を書き足している指示の「書かないこと」を強める。構成は有効
選べる出来事が少なく、どの下書きも薄い記録の書き方が先。 AIの問題ではない

3行目が出たときは、記録を書く介護職員と話してください。 「穏やかに過ごす」だけの記録を「〇〇の歌を口ずさまれていた」と書くように変えるだけで、手紙の中身は大きく変わります。手紙のためだけでなく、ケアの記録としても質が上がります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
体調のことが手紙に書かれる印を付けた記録を手紙の候補から外し、指示でも phone_items へ回すよう明記する
記録にない表情や気持ちが書き足される段落ごとの根拠の番号を必須にし、ワークフローで実在を確かめる
他の利用者の名前が入る渡す前に置き換える。 生成AIに任せない
記録の少ない利用者の下書きが一般的な言葉で埋まる字数を満たすことを求めず、few_events で知らせる
毎月同じ書き出しになる前月の手紙を渡し、同じ書き出しを避けさせる
別の利用者の写真が差し込まれる写真の選定をAIにさせない。 一覧表で写っている人を人が決める
応答が途中で切れて様式が崩れるstop_reason を見て「下書きなし」にする。max_tokens を見直す
「伝えてほしくないこと」が台帳に無い入所時と面談のときに聞く項目に加える
電話で伝える事柄が放置される一覧で「電話済み」にならないと承認できない作りにする
下書きをそのまま送ってしまう最後の一文は相談員が書く、と決める
CSVの書き出しを忘れる3日の朝にファイルが無ければ止めて知らせる

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「記録にあることを、そのまま手紙に書く」ことから起きます。手紙は記録の要約ではなく、家族に宛てた連絡です。 何を書かないかを、規則と指示の両方で決めておきます。

下から2行目も早く効いてきます。 下書きの出来がよいほど、直さずに送りたくなります。相談員の一文が無い手紙が続くと、家族はいずれ気づきます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 利用者の氏名、日々の暮らしの記録、体調・受診・服薬の記録、体重、家族の氏名と連絡先です。健康に関わる記録は要配慮個人情報にあたります。

  1. 家族へ伝える範囲を、本人の意思に沿って決めておく … 個人情報保護委員会の医療・介護分野のQ&Aでは、家族等に病状等の説明が必要な場合でも、本人に対して、説明を行う対象者の範囲、説明の方法や時期等をあらかじめ確認しておくなど、できる限り本人の意思に配慮する必要があるとされています。台帳の「伝えてほしくないこと」と「キーパーソン」の欄は、その確認を残す場所です
  2. 外部へ渡す範囲を絞る … 生成AIに渡すのは、前処理で絞った記録と家族の呼び方までです。氏名はイニシャルや番号に置き換えて渡す設計にできます。家族の住所や電話番号は渡しません
  3. 他の利用者の情報を渡さない … 記録の本文に出てくる他の利用者の氏名は、渡す前に置き換えます。 手紙を受け取るのは第三者である家族です
  4. 送付を自動にしない … 宛先の取り違えは、健康に関わる情報を別の家族へ渡すことになります。承認と送付は人が行います
  5. 健康に関わることは電話で伝える … この構成が出すのは「電話で伝えるべき事柄」の候補までです。何をどう伝えるかは、相談員と看護職員が判断します
  6. 利用者の情報を使う場面の同意を確かめる … 同じQ&Aでは、介護関係事業者について、サービス担当者会議等で利用者又は家族の個人情報を使用する場合は、文書による同意を得ておく必要があることにも触れています。家族への近況報告に記録を使うことが、契約時の利用目的の説明に含まれているかを確かめてください

誤りが起きた場合のリスクは、体調のことが手紙で不意に伝わること、記録にない様子が伝わること、別の利用者の情報が伝わることの3つです。 1つ目は phone_items の仕分け、2つ目は根拠の番号の確認、3つ目は渡す前の置き換えで防ぎます。どれもAIの判断の外側で守るように組みます。

10まず何から始めるか

1週目:台帳に3つの列を足す

利用者の台帳に、「家族の呼び方」「送付の方法」「本人が伝えてほしくないこと」の列を足します。最後の列は、相談員が知っている範囲で埋め、分からない利用者は次の面談で聞きます。キーパーソンが決まっていない利用者も、ここで洗い出します。

2週目:10名で試す

先月の記録から10名分を書き出し、氏名を置き換えて生成AIに下書きを作らせます。実際に送った手紙と並べて、体調のことが手紙から外れているか、記録にない様子を書いていないかを見ます。

3週目:手紙と電話の線引きを決める

相談員と看護職員で、何を電話で伝え、何を手紙に書くかを決めます。 体重の変化はどれくらいから電話するか、受診の結果は誰が伝えるか。決めたことを前処理の規則と指示に反映します。あわせて、定型の記録の言い回しの一覧を作ります。

4週目:Make で下書きの一覧までをつなぐ

Make で、フォルダのCSVの読み込み、利用者ごとの繰り返し、生成AIの呼び出し、様式への流し込み、確認の一覧への書き込みまでを作ります。最初の月は、主任相談員が全文を読みます。

2か月目: 相談員の差分を見て、指示を直します。phone_items の件数と、電話した結果を数えます。3か月目以降: 1件25分が何分になったかを実測します。主任相談員の確認を状態の欄だけにして回るようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
家族等に病状等の説明が必要な場合、本人に対し説明を行う対象者の範囲、説明の方法や時期等をあらかじめ確認しておくなど、できる限り本人の意思に配慮する必要があること(A4-1)。介護関係事業者は、サービス担当者会議等で利用者又は家族の個人情報を使用する場合に文書による同意を得ておく必要があること個人情報保護委員会: 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に関するQ&A(事例集)2026-10-06
シナリオのスケジュールに、一定間隔、1回、毎日、平日、毎週、毎月、指定した日付、必要なときに動かす、の選択肢があることMake Help Center: Schedule a scenario2026-10-06
Iterator が配列を分け、配列の要素をそれぞれ別のバンドルとして出力することMake Help Center: Iterator2026-10-06
Anthropic Claude アプリに Simple Text Prompt、Create a Prompt、Make an API Call などのモジュールがあり、接続に Anthropic のコンソールで作るAPIキーを使うことMake Apps: Anthropic Claude2026-10-06
Create a Document from a Template が既存のテンプレート文書を複製してタグを置き換え、画像をURLで差し替えられることMake Apps: Google Docs modules2026-10-06
output_config.format に json_schema を指定するとスキーマに沿った応答が返ること。stop_reason が refusal の場合や max_tokens に達した場合はスキーマに合わない出力になりうることClaude Docs: Structured outputs2026-10-06

何を手紙に書き、何を電話で伝えるかは、事業所の相談員・看護職員と管理者で決めてください。 本記事は上記のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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