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広告会社の営業が担当する広告主の決算資料・中期経営計画・ニュースリリースを公表のたびに要約し、次の提案に使える経営課題と注力領域を抜き出した提案メモを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

広告会社の営業が担当する広告主の決算説明資料・中期経営計画・有価証券報告書・ニュースリリースを、公表のたびに読み込みます。会社自身が書いた経営課題と注力領域を、ページ付きで決まった項目に要約し、次の提案に使う提案メモの下書きにします。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Power Automate
対象業界
IT・SaaS/人材/広告
対象部門
営業
対象業務
情報検索/要約
主な課題
営業フォローが追いつかない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
要約
主な効果
判断支援/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
63%
年間削減
300h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 営業が、担当する広告主の決算の公表日や新聞の記事で公表に気づく
  2. 広告主のIRのページを開き、決算説明資料や中期経営計画のPDFを保存する
  3. 有価証券報告書が必要なときは、EDINET の閲覧サイトで検索してPDFを開く
  4. 資料を読み、経営課題、重点施策、新商品・新事業、マーケティングに関わる記述を探す
  5. 気になった箇所をメモし、数字を書き写す
  6. 前回の提案や取引の履歴と照らし、次の提案の切り口を考える
  7. 提案メモにまとめ、上長との定例で共有する
導入後(After)
  1. 自動毎朝、EDINET の書類一覧API で前日に提出された書類を取得し、担当する広告主の有価証券報告書・半期報告書を拾う
  2. 人営業が、広告主のIRのページで公表された決算説明資料・中期経営計画・ニュースリリースのPDFやURLを、Teams の受付用のチャネルに投稿する
  3. 自動資料を取得し、文字・見出し・表に読み取る
  4. 自動資料の種類ごとに決まった項目(業績の要点、経営課題、注力領域、顧客接点に関する記述、新商品・新事業、リスク)を、ページ付きで抜き出す
  5. 自動顧客管理から前回の提案と取引の履歴を引き、前回の提案メモと比べて「新しく出てきた記述」に印を付ける
  6. 自動抜き出しとは別の欄に、提案の仮説を3つまで書かせ、「仮説」と明記した提案メモの下書きを作る
  7. 人営業が下書きを開き、数字と引用を原本のページで確かめ、仮説を直す
  8. 人確定した提案メモを広告主ごとの保存先に置き、上長との定例で共有する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 営業が、担当する広告主の決算の公表日や新聞の記事で公表に気づく
  2. 広告主のIRのページを開き、決算説明資料や中期経営計画のPDFを保存する
  3. 有価証券報告書が必要なときは、EDINET の閲覧サイトで検索してPDFを開く
  4. 資料を読み、経営課題、重点施策、新商品・新事業、マーケティングに関わる記述を探す
  5. 気になった箇所をメモし、数字を書き写す
  6. 前回の提案や取引の履歴と照らし、次の提案の切り口を考える
  7. 提案メモにまとめ、上長との定例で共有する

(a)気づくのが遅れる。 1番目は、営業が公表に気づくかどうかに頼っています。決算の時期は担当する広告主の公表が重なり、どれかを見落とします。 見落とした公表は、次の定例の議題に上がるまで誰も読みません。

(b)読み方が人によって違う。 4番目は、どこを読むかが営業の経験で決まります。経験の長い営業は、有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を読みますが、若手は決算説明資料の数字のページだけを見ます。同じ広告主でも、担当が替わると提案の切り口が変わります。

(c)書き写した数字が合わない。 5番目で、売上や営業利益を書き写すときに、連結と単体、通期と四半期を取り違えることがあります。提案書に載った数字を広告主に指摘されると、提案そのものの信用を失います。

(d)前の読みが残らない。 7番目の提案メモは、営業の手元のファイルやメールに散らばっています。担当が替わると、前任がどの資料をどう読んだかが引き継がれず、新しい担当は同じ資料を最初から読みます。

  1. 【自動】 毎朝、EDINET の書類一覧API で前日に提出された書類を取得し、担当する広告主の有価証券報告書・半期報告書を拾う
  2. 【人】 営業が、広告主のIRのページで公表された決算説明資料・中期経営計画・ニュースリリースのPDFやURLを、Teams の受付用のチャネルに投稿する
  3. 【自動】 資料を取得し、文字・見出し・表に読み取る
  4. 【自動】 資料の種類ごとに決まった項目(業績の要点、経営課題、注力領域、顧客接点に関する記述、新商品・新事業、リスク)を、ページ付きで抜き出す
  5. 【自動】 顧客管理から前回の提案と取引の履歴を引き、前回の提案メモと比べて「新しく出てきた記述」に印を付ける
  6. 【自動】 抜き出しとは別の欄に、提案の仮説を3つまで書かせ、「仮説」と明記した提案メモの下書きを作る
  7. 【人】 営業が下書きを開き、数字と引用を原本のページで確かめ、仮説を直す
  8. 【人】 確定した提案メモを広告主ごとの保存先に置き、上長との定例で共有する

7番目が、この設計の分かれ目です。 下書きの数字と引用は、提案書に載る前に必ず原本のページで確かめます。 そのために、抜き出しのすべてにページ番号を付けさせています。

2番目を人が行っているのも、意図してのことです。 広告主のIRのページは会社ごとに作りが違い、自動で巡回して資料を集める仕組みは、各社のサイトの利用条件を確かめないと作れません。 公表に気づいた営業が投稿するだけにしておけば、その確認が要りません。EDINET は、機械的な取得の手段として API が用意されているので、自動にします。

02今回想定するシステム構成

構成図
【自動】EDINET 書類一覧API(毎朝)──▶ 担当する広告主の有価証券報告書・半期報告書
【人】  Teams の受付用チャネル ──────▶ 決算説明資料・中期経営計画・ニュースリリース
   ▼【トリガー】毎朝の定時実行/チャネルへの投稿
Azure Functions ── 資料の取得、広告主と資料の種類の判定
   ▼
Azure AI Document Intelligence(レイアウト モデル。Markdown 出力)
   │  見出し・段落・表
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry。構造化出力)
   │  資料の種類ごとの項目をページ付きで抜き出す
   ▼
Azure Functions ── 顧客管理の履歴と前回の提案メモを引き、新しい記述に印
   ▼
Azure OpenAI ── 提案の仮説(抜き出しとは別の欄)
   ▼
提案メモの下書き(広告主ごとの保存先)+ Teams で担当営業に通知
   ▼
【人】営業が原本で確かめて確定 → 上長との定例で共有
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude API、Gemini API
連携Azure Functions(EDINET API の呼び出し、資料の取得、照合)Power Automate
読み取りAzure AI Document Intelligence(レイアウト モデル)PDFの埋め込みテキストの取り出し
通知Microsoft Teams(受付用チャネルと担当営業への通知)メール

顧客管理は、新しく足すものではありません。 広告主ごとの担当営業、EDINET コード、取引と提案の履歴を読むだけで、提案メモの確定版を顧客管理に登録するのは営業です。

有価証券報告書は、EDINET API で取ります。 金融庁の EDINET API 仕様書(Version 2、2026年6月)では、EDINET に提出された書類の一覧を取得する書類一覧APIと、書類を取得する書類取得APIがあるとされています。書類一覧API は、リクエストにファイル日付と API キーを指定し、取得情報に2を指定すると提出書類一覧及びメタデータが返ります。書類の一覧には、提出者の EDINET コード、証券コード、提出者名、書類種別コードなどが入ります。書類取得API では、必要書類の指定でPDFや、XBRL データを変換したCSVなどを取得できます。

EDINET のサイトから機械的に取るときは、API を使います。 EDINET の利用規約では、スクレイピングなどで本ウェブサイトからコンテンツを機械的に取得することを禁止し、機械的に取得するには API 機能を利用するよう求めています。あわせて、短時間における大量のアクセスなどの API 機能の運用に支障を与える行為を禁じています。担当する広告主の分だけを毎朝1回引く設計にします。

資料の読み取りには、Document Intelligence のレイアウト モデルを使います。 レイアウト モデルは、テキスト、テーブル、ドキュメント構造を抽出し、outputContentFormat=markdown で Markdown 形式に出力できるとされています。決算説明資料はスライドをPDFにしたもので、表とグラフの説明文が多いため、見出しと表を残したまま読める形にします。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

入口は2つです。 1つは毎朝の定時実行で、EDINET の書類一覧API に前日の日付を指定して、提出された書類の一覧を取ります。もう1つは、営業が Teams の受付用チャネルに資料のPDFやURLを投稿したときです。

毎朝の定時実行では、担当する広告主の分だけを拾います。 一覧の EDINET コードを、顧客管理に登録した広告主の EDINET コードと照合し、書類種別コードが有価証券報告書・半期報告書のものだけを残します。それ以外の書類(大量保有報告書など)は提案メモの対象にしません。

営業の投稿は、資料1件につき1回にします。 投稿には広告主名と資料の種類(決算説明資料/中期経営計画/ニュースリリース)を添えてもらいます。同じ資料が2人から投稿されたら、ファイルの中身で重複を見て1件にします。 共同で担当している広告主では、よく起きます。

決算の時期は、投稿が数日に集中します。 3月決算の広告主が多ければ、5月の中旬に担当する広告主の決算説明資料がまとめて公表されます。投稿は受け付けた順に処理し、通知は1件ずつ出します。 まとめて翌朝に通知すると、営業は一度に十数件の下書きを受け取り、結局どれも読みません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
有価証券報告書・半期報告書PDFEDINET 書類取得API
決算説明資料・中期経営計画PDF営業が投稿(広告主のIRのページ)
ニュースリリースPDFまたはWebページ営業が投稿
広告主の情報担当営業、EDINET コード、業種、決算期顧客管理
取引と提案の履歴過去の提案のテーマ、採用・不採用、取引の媒体顧客管理
前回の提案メモ同じ広告主の前回の抜き出しと仮説提案メモの保存先

質を決めるのは、いちばん下の2つです。 前回の提案メモが無ければ「新しく出てきた記述」を判定できず、毎回同じ経営課題が「新しい」として営業に届きます。 取引と提案の履歴が無ければ、仮説が「すでに提案して断られたこと」を繰り返します。

営業が広告主との打合せで聞いた話は、この入力に入れません。 打合せの内容には、広告主から預かった未公表の情報が含まれることがあります。公表資料の要約と混ぜると、提案メモのどの記述が公表されたものか分からなくなります。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
前日の提出書類一覧書類一覧API(date と type=2)担当する広告主の書類を拾う
書類のPDF書類取得API(必要書類にPDFを指定)読み取りの対象
見出し・段落・表レイアウト モデルの Markdown 出力章ごとに区切る、表の数字を写す
段落の役割title、sectionHeading、pageNumber見出しの判定とページ番号の対応
担当と履歴顧客管理通知先、仮説の材料

有価証券報告書は、読む章を絞ります。 100ページを超える書類をすべて渡すと、抜き出しが薄くなります。「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」「事業の内容」と、業績の概要の章を見出しで切り出して渡します。

ページ番号は、読み取り結果のページと対応させて持ちます。 決算説明資料はスライドの番号とPDFのページがずれることがあるので、PDFのページ番号で統一し、スライドに印字された番号は別に残します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 資料の種類の判定 … 投稿に添えられた種類と、表紙の文言を突き合わせます。食い違えば営業に聞き返します
  2. 広告主の特定 … 投稿の広告主名と、資料の表紙の社名・証券コードを照合します
  3. ページ数とサイズの確認 … PDFは最大2,000ページ、有料(S0)レベルで500MBまで読み取れます
  4. 章の切り出し … 有価証券報告書は見出しで必要な章を切り出し、決算説明資料と中期経営計画は全体を渡します
  5. ヘッダーとフッターの除去 … 社名やページ番号の繰り返しを本文から外します
  6. 重複の確認 … 同じ資料がすでに処理されていれば、新しく処理しません
  7. Webページのニュースリリース … URLで投稿されたものは本文を取り出し、取り出した日時とURLを残します。後から内容が書き換えられることがあるため、取り出した時点の本文を原本として保存します

2番目を軽く見ないでください。 グループ会社や似た社名の会社の資料が投稿されると、別の会社の経営課題が、担当する広告主の提案メモに載ります。 証券コードが一致しない資料は処理しません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、2回に分けて2つです。 1回目は資料からの抜き出し、2回目は抜き出しをもとにした提案の仮説です。2回に分けるのは、抜き出しの中に仮説が混ざらないようにするためです。

抜き出す項目何を拾うか書かれていないときの扱い
業績の要点売上・利益など、資料が強調している数字と、その期間・連結か単体か空
経営課題会社自身が「課題」「対処すべき」と書いている記述空
注力領域重点施策、成長分野、投資の方針空
顧客接点に関する記述ブランド、顧客の獲得、販促、デジタル、店舗、会員などに関する記述空
新商品・新事業発売・開始・参入の予定と時期空
リスク事業等のリスクのうち、顧客や市場に関わるもの空

広告会社の営業にとって効くのは、4つ目の「顧客接点に関する記述」です。 決算説明資料の大半は数字と事業の説明で、ブランドや顧客の獲得、会員、店舗、デジタルの施策は数行しか書かれていないことがあります。その数行が、次の提案の入口になります。 通して読むと読み流してしまう箇所を、項目として必ず拾わせます。

どの項目も、根拠のページと引用を必ず付けさせます。 引用は資料の文言をそのまま30字程度で写し、要約はその後ろに書きます。引用とページがあれば、営業は原本を開いて10秒で確かめられます。

させないこと理由
伸び率・構成比などの計算書かれていない数字を作らない。期間や連結・単体の取り違えを防ぐ
広告費や予算の推測資料に書かれていないことを提案の根拠にしない
抜き出しの欄への解釈の混入「資料に書いてあること」と「営業の読み」を分ける
他社との比較他の広告主の情報を混ぜない
株価や投資の判断に関わる記述提案メモの目的ではない

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 前年の数字と今年の数字が並んでいると、AIは伸び率を計算して書きます。計算自体が合っていても、資料に書かれていない数字が提案書に載ると、出どころを説明できません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは広告会社の営業部で、担当する広告主の公表資料を読み、
次の提案の材料を整理する立場です。
渡す資料に書かれていることだけを使い、推測で埋めないでください。

【資料の情報】
広告主:{advertiser}(証券コード {sec_code})
資料の種類:{doc_type} 公表日:{published}

【抜き出す項目】
1. 業績の要点(数字は期間と、連結か単体かを必ず添える)
2. 経営課題(会社自身が課題・対処すべきと書いている記述)
3. 注力領域(重点施策、成長分野、投資の方針)
4. 顧客接点に関する記述(ブランド、顧客の獲得、販促、デジタル、店舗、会員)
5. 新商品・新事業(予定と時期)
6. リスク(顧客や市場に関わるもの)

【厳守事項】
- 各項目には、根拠のページ番号と、資料の文言をそのまま写した引用(30字程度)を付けてください。
- 引用できない内容は書かないでください。書かれていない項目は空にしてください。
- 数字は資料に書かれたものをそのまま写してください。
  伸び率・構成比・差額などを計算しないでください。
- 「広告費を増やすはず」「この媒体が合う」といった推測や提案は、
  この段階では一切書かないでください。
- 期間(通期・半期・四半期)や連結・単体が資料から読み取れない数字は、
  period を空にして、数字だけを写してください。
- 他の会社の情報や、資料に無い一般論を足さないでください。
- 資料が別の会社のもの、または指定した種類と違うと判断した場合は、
  mismatch を true にして、抜き出しをしないでください。

【資料】{document_markdown}

「引用できない内容は書かない」を明記しないと、もっともらしい要約が並びます。 中期経営計画には、図だけで説明している施策があり、文字で書かれていないことを図から読み取って書きます。引用できない記述は、営業が原本で確かめられない記述です。

2回目の指示では、1回目の抜き出しと、前回の提案メモ、取引と提案の履歴を渡し、「抜き出しのどの項目を根拠にしたかを必ず示し、仮説は3つまで」と指示します。仮説の欄の見出しには、確認画面の側で「AIによる仮説」と固定で表示します。

Step7

出力形式を固定する

1回目は、次の形のJSONで受け取ります。

{
  "advertiser": "",
  "sec_code": "",
  "doc_type": "results_briefing | mid_term_plan | annual_report | semiannual_report | news_release",
  "published": "",
  "mismatch": false,
  "items": [
    { "category": "issue", "summary": "", "quote": "", "page": 0,
      "figure": { "value": "", "unit": "", "period": "", "scope": "" } }
  ]
}

category は results / issue / focus / customer_touchpoint / new_business / risk のいずれかで、figure は業績の要点のときだけ値を入れ、それ以外は空の文字列にします。

1つ目の理由は、引用とページを1件ずつ持てることです。 quote と page が必須の項目なので、根拠の無い記述はスキーマの上で作れません。 確認画面では、引用をクリックすると原本の該当ページが開くようにします。

2つ目は、前回の提案メモと比べられることです。 category ごとに前回の summary と比べ、新しく出てきた記述に印を付けます。 印の判定はプログラムが文の近さで行い、迷うものは「新規の可能性」とします。

3つ目は、数字の取り違えを見つけやすくすることです。 period と scope(連結・単体)を別の項目にしておけば、「通期の数字のつもりで四半期の数字を書いた」という誤りを、確認画面で一目で見つけられます。

2回目の仮説は、次の形で受け取ります。

項目中身
hypothesis提案の仮説(1〜2文)
based_on根拠にした抜き出しの項目(category とページ)
history_note過去の提案との関係(新しい切り口/前回の提案の続き/過去に不採用)
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
EDINET API書類一覧API・書類取得API(API キー)担当する広告主の有価証券報告書・半期報告書
Teams の受付用チャネル投稿を起点に Azure Functions を起動決算説明資料などのPDF・URL
Azure AI Document IntelligenceAPI呼び出し見出し・段落・表を Markdown で返す
Azure OpenAIAPI呼び出し(構造化出力)抜き出しと仮説
顧客管理読み取り担当営業、EDINET コード、取引と提案の履歴
提案メモの保存先書き込み(下書き)広告主ごとのフォルダ
Teams担当営業への通知下書きができたことと、新しい記述の件数

顧客管理には書き込みません。 提案メモの確定版を顧客管理に登録するのは営業です。下書きのまま顧客管理に入ると、確かめていない数字が取引の履歴の一部になります。

通知には、新しい記述の件数を添えます。 「新しい記述が0件」の資料は、営業が読み飛ばしてよい資料です。全部の公表を同じ重さで通知すると、決算の時期に通知が埋もれます。

Step9

人が確認する

  1. 広告主と資料の種類を確かめる … 表紙の社名と証券コード、資料の種類が正しいかを見ます
  2. 数字を原本で確かめる … 業績の要点の数字は、引用のページを開いて、期間と連結・単体まで確かめます
  3. 引用を流し見る … 経営課題と注力領域の引用が、資料の文言のままかを見ます
  4. 仮説を直す … AIの仮説は叩き台です。営業の知っている広告主の事情(担当者の関心、過去の経緯)を足して書き直します
  5. 上長と共有する … 定例で提案メモを共有し、どの仮説を提案に進めるかを決めます

2番目を省かないでください。 数字は、提案書に載ったときに広告主がいちばん先に確かめるところです。1つ違っていれば、提案の残りの部分まで疑われます。

新しい記述が0件の資料も、件数だけは確かめます。 前回と同じ経営課題が続いているということは、広告主がその課題をまだ解決できていないということで、前回の提案をもう一度持ち込む理由になることがあります。

目標は、60件をならして1件15分です。 内訳は、数字と引用の確認に8分、仮説の書き直しに7分です。資料を通して読む時間が無くなる代わりに、引用のページだけを読む時間が残ります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
投稿された資料が別の会社のものmismatch。処理せず営業に聞き返す
証券コードが顧客管理に無い処理を止め、顧客管理の登録を担当に依頼
EDINET API が応答しない・停止している翌日に前日分と合わせて取り直す。それでも取れなければ営業が閲覧サイトで確認
スライドが画像だけで文字が少ない抜き出しが空になる。営業が原本を読む対象として通知
引用が原本に見つからない引用と原本の文字列をプログラムで照合し、見つからない項目に印
同じ資料の訂正版が公表された前の提案メモを残したまま新しく処理し、差分に印
有価証券報告書の章が見出しで切り出せない全体を分割して渡し、抜き出しの件数が少なければ人へ

上から5行目が、いちばん効く行です。 AIが書いた引用が、本当に資料にある文字列かをプログラムで照合します。見つからない引用は、AIが言い換えたか、作ったかのどちらかで、どちらも確認が要ります。

EDINET の API は、予告なく停止や性能の低下が起きることがあると利用規約に書かれています。止まっても、営業の投稿の入口は動きます。

Step11

記録を残す

  • 資料の原本(PDF)と、取得した経路(EDINET API /営業の投稿)、取得日時
  • 読み取り結果(Markdown)
  • 1回目の抜き出しのJSONと、2回目の仮説のJSON
  • 引用の照合の結果(原本に見つかった・見つからなかった)
  • 営業が直した箇所と、確定した提案メモ
  • 仮説のうち、提案に進んだもの・進まなかったもの
  • 使った指示の版と、抜き出しの項目の定義の版

指示の版を残すのは、項目の定義を後から変えるためです。 「顧客接点」の範囲を広げると、過去の提案メモとの比較で急に「新しい記述」が増えます。版が分かれば、増えたのが広告主の変化か定義の変化かを区別できます。

最後の行が、次の仮説の質を決めます。 提案に進まなかった仮説と、その理由を取引と提案の履歴に残しておけば、次の公表のときに同じ仮説を繰り返しません。

提案メモの保存先は、広告主ごとに閲覧できる人を分けます。 同じ業種の広告主を別の営業部が担当していることがあり、ある広告主の提案メモが、競合の広告主の担当から見える状態にしてはいけません。

04実装レベルの3段階

最小構成:資料を手でAIの画面に渡し、項目ごとに抜き出させる / 1件ごとの抜き出し
半自動化:上記+EDINET API と受付用チャネルから資料を取り、読み取り・抜き出し・引用の照合・提案メモの下書きまで出す / 資料の取得から下書きまで
本格構成:上記+前回の提案メモとの比較、取引と提案の履歴を使った仮説、提案の結果の記録まで回す / 提案の材料づくりの全体

最小構成でも、1件あたりの読む時間は減ります。 ただし、資料を探して渡す手間は残り、提案メモが広告主ごとにたまらないので、引き継ぎには効きません。 半自動化で1件40分が15分程度になり、この段階が本記事の想定です。 資料の取得、読み取り、抜き出し、下書きまでが自動になり、営業は確かめて仮説を直すだけになります。 本格構成で効いてくるのは、件数より質です。 前回との比較で「新しい記述」だけを見られるようになり、仮説が過去の提案と重ならなくなります。時間の削減は半自動化とあまり変わりませんが、提案に進む仮説の割合が変わります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
12 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
15 分
現在  60件 × 40分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 60件 × 15分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
25h
削減率
63%
年間削減時間
300h
年間金額換算(時間単価3,500円)
105万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 上場している広告主を1人あたり数社ずつ担当している広告会社・マーケティング支援会社の営業部門。広告主の決算や中期経営計画が公表されるたびに資料を読み、次の提案の切り口を考える作業が担当者まかせになっていて、読んだかどうか、どこを読んだかが人によって違う場合。求人広告やSaaSの法人営業のように、顧客の経営方針から提案を組み立てる営業にも当てはまります。Microsoft Azure の利用について社内の取り決めができる場合。
向いていない
  1. 担当する広告主の多くが非上場で、決算資料や有価証券報告書が公表されていない場合。提案が価格と枠の調整が中心で、広告主の経営方針から組み立てる営業ではない場合。営業が広告主から預かった未公表の情報と公表資料を分けて扱う取り決めが社内に無い場合。なお、どの提案を出すか、広告主の課題をどう読むかの判断は営業と上長が行うもので、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 営業3名が担当する広告主から、直近に公表された決算説明資料を3件選ぶ
  2. その3件について、営業が以前に作った提案メモを手元に置く
  3. 社内で利用が認められている生成AIの画面にPDFを渡し、第7章の6項目を、ページと引用付きで抜き出させる
  4. 「数字を計算しないでください。引用できない内容は書かないでください」と指示する
  5. 出てきた抜き出しを、営業の提案メモと原本のページで見比べる

最初に見るのは、引用が原本にあるかです。 要約がうまいかどうかより先に、引用のページを開いて、同じ文言が書かれているかを確かめます。

出てきた内容判断
引用とページが原本と一致した読み取りと抜き出しの自動化に進む
伸び率を計算した・推測を書いた指示の書き方で直る。構成は有効
図の多いページで、抜き出しが空になった読み取りの対象の限界。 営業が原本を読む対象として扱う

2行目が出ることは珍しくありません。 指示に「計算しない」を書いても、前年比の表があると書きます。その場合は、抜き出しの後に引用の照合を入れることで、本番では印が付きます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
伸び率や差額を計算して書く計算を禁じ、引用の照合で計算した数字に印を付ける
資料に無い解釈が抜き出しに混ざる抜き出しと仮説を2回に分け、仮説には「AIによる仮説」と表示する
連結と単体、通期と四半期を取り違えるperiod と scope を別の項目にし、確認画面で目立たせる
別の会社の資料が投稿される証券コードで照合し、一致しないものは処理しない
毎回同じ経営課題が「新しい」と届く前回の提案メモと比べ、新しい記述にだけ印を付ける
打合せで聞いた未公表の情報が混ざる入力を公表資料に限る。打合せのメモはこの構成に入れない
広告主のIRのページを自動で巡回したくなる各社のサイトの利用条件を確かめるまでは、営業の投稿で始める
EDINET に短時間に大量に問い合わせる毎朝1回、前日分だけを引く
競合の広告主の担当から提案メモが見える保存先の閲覧権限を広告主ごとに分ける

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「資料に書いてあること」の外にあるものが、抜き出しの中に入り込む失敗です。引用とページを必須にし、原本との照合を機械で行うことで、入り込んだものに印が付きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 広告主の公表資料(決算説明資料、中期経営計画、有価証券報告書、ニュースリリース)と、自社の提案の履歴と仮説です。公表資料そのものは公開の情報ですが、提案の履歴と仮説は、広告主ごとに守るべき社内の情報です。

  1. 未公表の情報を入れない … 営業が広告主との打合せで聞いた話や、広告主から預かった資料は、この構成の入力にしません。公表資料だけを入力にすることで、提案メモの記述がすべて公表されたものだと言えます
  2. 広告主ごとに閲覧を分ける … 同じ業種の広告主を担当している営業部があるときは、提案メモの保存先と通知の範囲を、広告主の担当チームに絞ります
  3. EDINET の利用規約を守る … 機械的な取得は API で行い、短時間の大量のアクセスをしません。提案書に EDINET のコンテンツを載せるときは、利用規約にある出典の記載(編集・加工した場合はその旨と主体)に従います
  4. 処理する場所を確かめる … Microsoft Learn では、プロンプトと出力は他のお客様に利用されず、OpenAI に提供されず、モデルやサービスの改善に使われないとされています。処理は、グローバルまたは DataZone のデプロイの種類を使わない限り、お客様が指定した地域内で行われます
  5. 仮説を事実のように使わない … AIの仮説は提案の叩き台です。提案書に「御社の課題は〜」と書くときは、抜き出しの引用とページを根拠にし、仮説を根拠にしません
  6. 投資の判断に使わない … 提案メモは営業の材料です。株式の売買など、営業の目的以外に使わないことを社内の取り決めにしておきます

誤りが起きた場合のリスクは、広告主の前で、資料に無いことを「資料に書いてあった」と言ってしまうことです。 引用とページを必須にし、原本との照合を入れ、仮説を別の欄に分けることで、その経路を塞ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:顧客管理を整える

担当する広告主のうち上場している会社について、EDINET コードと証券コード、決算期を顧客管理に登録します。EDINET API の API キーを発行します。

2週目:3件で試す

直近の決算説明資料3件を、社内で認められた生成AIに渡し、6項目をページと引用付きで抜き出させます。引用が原本にあるか、数字を計算していないかを最優先で見ます。

3週目:提案メモの形を決める

抜き出しの6項目と、仮説の欄、前回からの変化の欄を持つ提案メモの雛形を決めます。あわせて、広告主ごとの保存先と閲覧の権限を決めます。

4週目:入口から下書きまでをつなぐ

EDINET API の毎朝の取得と、Teams の受付用チャネルを入口に、読み取り、抜き出し、引用の照合、提案メモの下書きまでを作ります。この時点では仮説を出さず、抜き出しだけを営業に確かめてもらいます。

2か月目: 仮説の欄を足し、前回の提案メモとの比較を入れます。3か月目以降: 仮説のうち提案に進んだものを記録し、1件40分が何分になったかを実測します。担当が替わった営業が、前任の提案メモを読んで最初の提案を出せた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
EDINET API に、提出された書類の一覧を取得する書類一覧API と、書類を取得する書類取得API があること。書類一覧API にファイル日付と API キーを指定し、取得情報に2を指定すると提出書類一覧及びメタデータが返ること。一覧に EDINET コード、証券コード、提出者名、書類種別コードが含まれること。書類取得API で PDF や、XBRL を変換した CSV を取得できること。ファイル日付は10年を経過していない日付を指定できること(Version 2、2026年6月)金融庁: EDINET API 仕様書(Version 2)2026-10-08
スクレイピング等で EDINET のサイトからコンテンツを機械的に取得することを禁止し、機械的に取得するには API 機能を利用するよう求めていること。短時間における大量のアクセス等を禁止していること。API 機能は予告なく停止、性能の低下等が発生することがあること。コンテンツを利用する際は出典を記載し、編集・加工した場合はその旨と主体を記載することEDINET: 利用規約2026-10-08
レイアウト モデルがテキスト、テーブル、ドキュメント構造を抽出し、title・sectionHeading・pageNumber などの段落の役割を返すこと。outputContentFormat=markdown で Markdown 形式に出力できること。PDFが最大2,000ページ、ファイルサイズが有料(S0)レベルで500MBであることMicrosoft Learn: ドキュメント レイアウト分析2026-10-08
構造化出力で、モデルが指定した JSON スキーマの定義に従うこと。Chat Completions API では response_format、Responses API では text.format にスキーマを書くこと。すべてのフィールドを必須にし、additionalProperties: false を設定することMicrosoft Learn: Azure OpenAI で構造化出力を使用する方法2026-10-08
プロンプトと出力が他のお客様に利用されず、OpenAI に提供されず、モデルやサービスの改善に使われないこと。グローバル・DataZone 以外ではお客様が指定した地域内で処理されることMicrosoft Learn: Azure が販売する Foundry モデルのデータ、プライバシー、セキュリティ2026-10-08

どの提案を出すか、広告主の課題をどう読むかは、営業と上長が判断してください。 本記事は EDINET の公表資料と公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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