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「この商材・この表現は媒体の審査を通るか」を、媒体ごとの広告ポリシーと過去の審査落ち・修正の記録から探し、根拠の条文と過去の例付きで返す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

営業や運用の担当が、媒体・商材・表現の案を入れると、その媒体の広告ポリシーの該当条文と、社内の過去の審査落ち・修正の例を探して並べて返します。審査を通るかは言わず、確かめる材料をそろえます。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
EC/医療/小売/広告
対象部門
マーケティング/営業
対象業務
内容確認・チェック/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
属人化解消/検索時間短縮/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
200h/月
AI導入後
70h/月
想定削減
65%
年間削減
1,560h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 営業が広告主から企画の相談を受け、商材と訴求の案を作る
  2. 媒体ごとのポリシーのページを開き、商材に関係する章を探す
  3. 過去に同じ商材で審査落ちが無かったかを、社内チャットで聞くか、運用部のベテランに直接聞く
  4. ベテランが記憶とメールを頼りに、似た例を探して答える
  5. 営業が条文と例をまとめ、広告主への提案に反映する
  6. 判断が付かないものは、出稿してみて審査の結果を待つ
導入後(After)
  1. 人営業が確認の画面で、媒体・商材のカテゴリー・表現の案(見出し、本文、画像の説明)を入れる
  2. 自動中継プログラムが、商材のカテゴリーから関係するポリシーの章の候補を引き、絞り込みの式を作る
  3. 自動Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その媒体の現行のポリシーから該当する条文を探し、出典付きで要点を返す
  4. 自動同じ仕組みで、過去の審査落ち・修正の記録から、同じ媒体・同じカテゴリーの似た例を探す
  5. 自動中継プログラムが、例ごとに「その例の後に関係する条文が改定されたか」を付ける
  6. 自動条文と例を、「改定後の例」「改定前の例」「関係する条文」に分けて画面に並べる
  7. 人営業が条文の原文と例を開き、提案の表現を決める
  8. 人判断が付かないもの、例が見つからないものは、運用部の担当に相談する
  9. 人出稿して審査の結果が出たら、運用の担当が結果と修正の経緯を記録に足す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 営業が広告主から企画の相談を受け、商材と訴求の案を作る
  2. 媒体ごとのポリシーのページを開き、商材に関係する章を探す
  3. 過去に同じ商材で審査落ちが無かったかを、社内チャットで聞くか、運用部のベテランに直接聞く
  4. ベテランが記憶とメールを頼りに、似た例を探して答える
  5. 営業が条文と例をまとめ、広告主への提案に反映する
  6. 判断が付かないものは、出稿してみて審査の結果を待つ

(a)ポリシーのどこに書いてあるか探せない。 媒体のポリシーは章が多く、商材によっては複数の章にまたがります。「健康食品の広告の写真」のような質問は、商材の章と表現の章と画像の章の3か所を読むことになります。

(b)過去の例がベテランの記憶にしかない。 社内チャットで聞くと、答えが返るのは数時間後か翌日です。ベテランの運用者3名に、月に数百件の質問が集まっています。 本人たちの運用の仕事は、そのたびに止まります。

(c)提案してから出せないと分かる。 広告主が気に入った案を、出稿の直前に「この媒体では出せない」と差し戻すことになります。企画の段階で分かっていれば、別の訴求で提案できました。 広告主の信頼に直接ひびきます。

(d)古い例で判断してしまう。 ベテランの記憶にある「これは通った」が、ポリシーの改定前の話だったということがあります。記憶には日付が付いていません。

4つとも、情報が無いことの問題ではありません。 条文は公開されていて、例は社内のどこかに残っています。それを、その日付と一緒に、企画の段階で引けないことの問題です。

  1. 【人】 営業が確認の画面で、媒体・商材のカテゴリー・表現の案(見出し、本文、画像の説明)を入れる
  2. 【自動】 中継プログラムが、商材のカテゴリーから関係するポリシーの章の候補を引き、絞り込みの式を作る
  3. 【自動】 Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その媒体の現行のポリシーから該当する条文を探し、出典付きで要点を返す
  4. 【自動】 同じ仕組みで、過去の審査落ち・修正の記録から、同じ媒体・同じカテゴリーの似た例を探す
  5. 【自動】 中継プログラムが、例ごとに「その例の後に関係する条文が改定されたか」を付ける
  6. 【自動】 条文と例を、「改定後の例」「改定前の例」「関係する条文」に分けて画面に並べる
  7. 【人】 営業が条文の原文と例を開き、提案の表現を決める
  8. 【人】 判断が付かないもの、例が見つからないものは、運用部の担当に相談する
  9. 【人】 出稿して審査の結果が出たら、運用の担当が結果と修正の経緯を記録に足す

5番目が、この設計の分かれ目です。 例の日付と条文の改定日を比べるのは、中継プログラムの規則で、AIの判断ではありません。 改定の前後を分けずに並べると、古い「通った」が今の「通る」に見えます。

9番目の記録が、この構成を育てます。 審査の結果を足し続けないと、例は古くなる一方です。記録の様式は短くし、運用の担当が審査の結果を見たその場で書けるようにします。

通った例も記録します。 落ちた例だけを集めると、画面には「落ちた」ばかりが並び、営業は出せる案まで避けるようになります。 制限のある商材で、初回の審査で通った表現も、同じ様式で残します。

02今回想定するシステム構成

構成図
確認の画面(営業・運用の担当)
   ▼【トリガー】媒体・商材・表現の案の送信
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 商材のカテゴリー → 関係する章の候補
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド(2回呼ぶ)
   │  ① ポリシー:媒体ごとの広告ポリシーの写し(取得日付き)
   │  ② 過去の例:審査落ち・修正の記録(伏せ字の版は全員、元の版は担当チームだけ)
   │  絞り込み:media/category/doc_type/status
   ▼
中継プログラム ── 例の日付と条文の改定日の比較
   └──▶ 画面:関係する条文/改定後の例/改定前の例/確かめる点
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの要点の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・検索・記録をつなぐ)Node.js で同じものを書く
認証社内の ID 基盤(Microsoft Entra ID など。Workforce Identity Federation でつなぐ)Google の ID
保管Cloud Storage(ポリシーの写しと、審査の記録とメタデータ)─

媒体の管理画面と社内チャットは、そのまま使います。 新しく作るのは、確認の画面と審査の記録の様式です。最初の準備は、メールと社内チャットに散らばった審査落ちの経緯を、記録の様式に写すことです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、includeCitations で出典を付けられます。関係の薄い内容しか無いときは回答を作らず、answerSkippedReasons で理由を返します。この構成では1件の確認で2回呼び、1回目はポリシー、2回目は過去の例を対象にします。

媒体のポリシーの構成は、媒体ごとに違います。 例えば Google 広告のポリシーは、禁止コンテンツ、禁止されている行為、制限されているコンテンツと機能、編集基準と技術要件の4つに分かれ、ヘルスケア、金融サービス、アルコール、ギャンブルなどは制限されているコンテンツとして扱われます。 ポリシーに違反した広告は不承認となり、不承認の判定には再審査を請求できるとされています。媒体ごとのこの構成を、章のメタデータとして持たせます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、担当が確認の画面で案を送ったことです。 画面は社内の ID でログインした社員だけが使え、ログインした社員の所属チームが、過去の例の元の版を見られるかの判定に使われます。

1つの案は、1回の確認で完結させます。 続けて「では、この語を外したら」と聞くときは、表現を直した案として送り直してもらいます。同じセッションで表現を少しずつ変えると、どの表現の確認結果なのかが記録の上で分からなくなります。

ポリシーの取り込みは、別に週に1回動かします。 中継プログラムが各媒体のポリシーのページを取得し、前回の写しと比べて変わった章だけを、新しい取得日の版として取り込みます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
案媒体、商材のカテゴリー、見出し・本文・画像の説明、配信する地域確認の画面
担当の情報所属チーム、担当している広告主社内の ID 基盤
ポリシーの写し媒体ごと・章ごとの本文、取得日、前回から変わった日媒体の公開ページを取得したもの
審査の記録媒体、カテゴリー、出稿した表現、審査の結果、表示された不承認の理由、修正後の表現、再審査の結果、日付運用の担当が書く記録
カテゴリーと章の対応商材のカテゴリーごとに、各媒体の関係する章運用部が作る表

質を決めるのは、審査の記録の「表示された不承認の理由」と「日付」です。 理由が「落ちた」としか書かれていない記録は、どの条文に当たったかが分からず、今回の案と比べようがありません。 媒体の管理画面に表示された理由を、言い換えずにそのまま写します。

画像は、画像のまま渡さず、担当が言葉で説明して入れます。 「施術の前と後の顔写真を左右に並べる」「商品を持った医師風の人物」のように、ポリシーの条文の言葉で引ける書き方にします。画像そのものを検索に入れても、条文と照らす手がかりにはなりません。説明の書き方の例を、画面の入力欄に添えておきます。

カテゴリーと章の対応の表は、運用のベテランの知識そのものです。 「健康食品なら、この媒体ではこの章とこの章」という対応を表にしておくと、検索が1つの章だけを見て終わることを防げます。

Step3

データの取得方法を決める

ポリシーの写しと審査の記録は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 メタデータは JSONL の各行に id、structData、content.mimeType、content.uri を書きます。

取るものどこから何に使うか
媒体、カテゴリー、文書の種類(ポリシー/記録)メタデータ絞り込み
章の名前、取得日、改定日メタデータ例との日付の比較
審査の結果(不承認/修正後に承認/承認)メタデータ例を結果ごとに分ける
閲覧の範囲acl_info元の版の記録を担当チームだけに出す

絞り込みの式は、媒体とカテゴリーで書きます。 項目を索引可能にしておけば、media: ANY("search_ads") AND category: ANY("supplement") AND doc_type: ANY("policy") AND status: ANY("current") のように書けます。2回目の呼び出しでは doc_type を record に替え、ポリシーと記録が同じ回答に混ざらないようにします。

審査の記録には、伏せ字の版と元の版を作ります。 元の版には広告主名と商品名が入っていて、競合する広告主を担当する別のチームに見せてはいけません。 文書のメタデータの acl_info に担当チームの group_id を書くと、そのチームの社員の検索にだけ出ます。伏せ字の版は全員に見せます。

アクセス制御は、データストアを作るときにしか有効にできません。 また、Cloud Storage からの定期的な取り込みではデータソースのアクセス制御が使えないとされています。記録は書かれたたびに取り込みを実行し、定期の同期は使いません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ポリシーを章ごとに分ける … 媒体のページを章ごとのファイルにし、章の名前を付けます
  2. 改定日を付ける … 前回の写しと比べて本文が変わった章に、変わった日を付けます
  3. 審査の記録を写す … メールと社内チャットから、媒体・表現・結果・理由・日付を様式に写します
  4. 伏せ字の版を作る … 広告主名、商品名、ブランド名を、カテゴリーの言葉に置き換えます
  5. 記録にカテゴリーを付ける … 商材のカテゴリーを、カテゴリーと章の対応の表と同じ言葉で付けます
  6. 閲覧の範囲を付ける … 元の版に担当チームの group_id を書きます
  7. 地域を付ける … 配信する地域でポリシーが違う媒体は、地域を付けます

2番目を省かないでください。 改定日が無いと、中継プログラムは例の日付と比べる相手がありません。ポリシーのページが丸ごと新しい日付になっても、変わったのが別の章なら、その例は今も参考になります。 章の単位で比べるのは、そのためです。

4番目の伏せ字は、表現そのものを伏せません。 伏せるのは誰の広告かで、どの表現が落ちたかは残します。 表現まで伏せると、例として使えなくなります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、案に関係するポリシーの条文と、似た過去の例を見つけ、どこが問題になりうるかを条文の言葉で示すことです。 審査を通るかの見込みは書かせません。

返すもの中身根拠
関係する条文媒体・章・条文の要点ポリシーの写し
確かめる点案のどの語・どの画像が、どの条文に関わるかポリシーの写し
改定後の例似た表現の審査の結果と修正の経緯審査の記録
改定前の例同上。参考として分けて示す審査の記録

2行目の「確かめる点」には、表現の前に商材そのものの条件が入ることがあります。 制限されているコンテンツの扱いでは、表現をどう直しても、媒体の認定を受けていない広告主は出稿できないという条件が先に来ることがあります。条文に認定や証明の記載があれば、表現の話より先に示させます。企画の段階でいちばん早く知りたいのは、この条件です。

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
includeCitations有効条文と例に出典を付ける
ignoreLowRelevantContent有効関係の無い条文で答えない
ignoreNonAnswerSeekingQuery有効質問でない入力で検索しない
filter媒体、カテゴリー、文書の種類、状態ポリシーと記録を分けて引く
userPseudoId社員ごとの仮の識別子確認の記録と結びつける
preamble下の指示答え方の規則を与える

検索は、ログインした社員の ID で行います。 中継プログラムが広い権限で検索すると、他のチームの広告主の元の記録が、例として表示されます。

させないこと理由
審査を通るかの見込み審査は媒体が行い、結果は媒体の判断
審査を通すための言い換えの提案ポリシーの趣旨を避ける表現になりうる
改定前の例を今も有効として扱う改定で結果が変わりうる
法令上の表示の可否媒体のポリシーとは別に法務が確かめる
他の媒体の条文での代用媒体ごとにポリシーが違う

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 落ちた例と通った例を並べると、モデルは「この語をこう変えれば通る」という言い換えを作りたがります。それは審査を避ける表現の工夫で、媒体が禁じている行為に近づきます。 示すのは、記録に残っている修正の事実までです。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます(1回目のポリシーの呼び出し用)。

あなたは広告会社で、企画段階の広告の案について、
媒体の広告ポリシーの該当箇所を示す担当です。
読むのは、広告主に提案する前の営業と運用の担当です。

【前提】
検索の文の最初に、媒体、商材のカテゴリー、配信する地域、表現の案が並んでいます。
検索の対象は、その媒体のポリシーの写しだけです。

【答え方】
1. 案に関係する章の名前と、条文の要点を1つずつ書いてください。
   条文の言葉をそのまま使ってください。
2. 案のどの語・どの画像が、その条文に関わるかを書いてください。
3. 条文に、事前の認定や証明が要ると書かれていれば、その旨を書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果のポリシーに書かれていることだけで答えてください。
  一般的な広告の知識や、他の媒体の決まりで補わないでください。
- 審査を通るか、通らないかの見込みを書かないでください。
- 審査を通すための言い換えや、表現の工夫を提案しないでください。
- 法律に違反するかどうかを書かないでください。
- 関係する条文が見つからないときは、
  「この媒体のポリシーに該当する記載が見つかりません。運用部の担当に確認してください」
  とだけ書いてください。

2回目の過去の例の呼び出しでは、【答え方】を「似た例を3件まで、日付・表現・結果・表示された理由・修正後の表現の順に書く」に替え、【厳守事項】に「記録に書かれていない修正の理由を推測しない」を足します。

「言い換えを提案しない」を名指しで書くのが、この指示の要です。 「見込みを書かない」だけでは、モデルは見込みの代わりに「こう書けば問題になりにくい」と書きます。禁じるのは、審査をくぐる工夫そのものです。

Step7

出力形式を固定する

2回の応答を、中継プログラムが次の形に整えて、画面と記録に渡します。

{
  "check_id": "",
  "media": "",
  "category": "",
  "region": "",
  "draft": { "headline": "", "body": "", "image_note": "" },
  "policy_refs": [ { "chapter": "", "point": "", "fetched_at": "", "revised_at": "", "uri": "" } ],
  "concerns": [ { "draft_part": "", "chapter": "" } ],
  "precedents": [ { "record_id": "", "date": "", "result": "rejected | approved_after_fix | approved",
                    "reason_shown": "", "fixed_text": "", "after_revision": true, "visibility": "masked | team" } ],
  "status": "found | no_policy | no_precedent | skipped",
  "consulted": false
}

1つ目の理由は、after_revision を規則で付けられることです。 中継プログラムは、例の date と、その例に関わる章の revised_at を比べ、例の後に改定があれば false にします。 画面では false の例を「改定前の例」として別の枠に出します。

2つ目は、concerns で確かめる箇所が分かることです。 案のどの部分がどの章に関わるかが並ぶので、営業は条文を全部読まずに、関わる箇所から見られます。

3つ目は、visibility で見せ方を分けられることです。 伏せ字の例は誰にでも出し、元の版の例は担当チームにだけ出ます。画面に出す前に、もう一度 visibility と社員の所属を照合します。

4つ目は、status の no_precedent を数えられることです。 条文はあるのに例が無い確認は、記録が足りないカテゴリーの一覧そのものです。 月ごとにカテゴリー別に数え、多いものから過去のメールを掘り起こして記録に写します。

consulted は、運用部に相談したかどうかです。 相談した確認の結論を記録に足すと、次に同じ案が来たときの例になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
確認の画面社内向けの画面案を受け、条文と例を表示する
社内の ID 基盤Workforce Identity Federation社員の所属チームで閲覧の範囲を決める
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し(2回)社員の ID で、ポリシーと記録から探す
媒体のポリシーのページ週に1回の取得写しを更新し、変わった章に改定日を付ける
審査の記録様式への書き込み運用の担当が結果と修正の経緯を足す

媒体の管理画面には、つなぎません。 入稿や審査の申請はこれまでどおり運用の担当が行い、この構成は企画の段階の確認だけを受け持ちます。 管理画面から審査の結果を自動で取り込む作りは、記録の様式が定着してから考えます。

Step9

人が確認する

営業は、提案に使う前に、必ず条文の原文を開きます。 返ってくるのは要点で、条文の細かい条件(地域、年齢、認定の要否)は原文にしかありません。

  1. 媒体と地域を確かめる … 案に入れた媒体・地域の条文かを見ます
  2. 改定前の例を今の根拠にしない … 改定前の例は、何が問題になったかの参考にとどめます
  3. 例が無い・判断が付かないものは運用部へ … 「例なし」は「問題なし」ではありません
  4. 審査の結果を記録に足す … 出稿したら、運用の担当が結果を書きます

3番目を軽く見ないでください。 記録の少ない新しい商材は、例が見つからずに条文だけが返ります。それを「過去に落ちていないから大丈夫」と読むと、(c)の差し戻しがそのまま起きます。

画面をそのまま広告主に送らないでください。 画面には伏せ字の他社の例が並び、要点は条文の言い換えです。広告主への説明には、営業が条文の原文と自社の判断をまとめ直して使います。 画面の転送を前提にすると、伏せ字の例から他社が推測される危険が残ります。

目標は、600件をならして1件7分です。 返ってきた条文と例を確かめる時間と、運用部に相談する時間の平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
商材のカテゴリーが表に無い近いカテゴリーを選ばせず、運用部に回して表に足す
関係する条文が見つからない回答を作らず、運用部に確認するよう表示する
似た例が無い条文だけを返し、「例なし(問題なしではない)」と表示する
改定後の例が無く、改定前の例だけある例を「改定前」の枠にだけ出し、条文の改定の要点を添える
ポリシーの取得に失敗した前回の写しで答え、取得日を目立たせて表示する
ポリシーのページの構成が変わった章の分け方を見直すまで、その媒体の写しを status で止める
元の版の例しか無く、見る権限が無い伏せ字の版を作るまで出さない。作成を担当チームに依頼する
検索の呼び出しが失敗する「確認できませんでした」と表示し、運用部の窓口を示す

5行目と6行目は、媒体側の都合で起きます。 ポリシーのページは予告なく構成が変わり、取得の仕組みが古い章の分け方のまま動き続けると、改定日が付かなくなります。 取得のたびに章の数を数え、前回と違えば運用部に知らせます。

Step11

記録を残す

  • 案の全文、媒体、カテゴリー、地域、日時、所属チーム
  • 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
  • answer メソッドの応答の全文(2回分。要点、出典、回答しなかった理由)
  • 表示した条文の取得日と改定日、例ごとの after_revision
  • 運用部に相談したかどうかと、その結論
  • その案で出稿したときの審査の結果

最後の行は、記録を育てる材料です。 確認した案と審査の結果を結びつけておけば、条文と例を見て出した案が実際に通ったかを数えられ、その結果がそのまま次の例になります。

04実装レベルの3段階

最小構成:ポリシーの写しと伏せ字の例を手元のAIサービスに読み込ませ、案を貼って聞く / 条文と例の検索
半自動化:上記+データストアを作り、運用部の担当が営業の質問を受けて検索画面で使う / 根拠付きの条文と例、媒体・カテゴリーの絞り込み
本格構成:上記+営業が確認の画面で直接引き、改定前後の区別と閲覧の範囲の出し分けまで行う / 案の受け付けから条文・例の表示まで

半自動化で、1件20分が12分程度になります。 探す時間は縮みますが、営業が運用部に聞き、運用部が検索する形が残ります。本格構成で7分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、ベテランを通らずに、営業が自分で条文と例にたどり着けるからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、運用部の担当が検索のあとに何を足して答えているかを拾います。それがカテゴリーと章の対応の表に足りない行です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
25 名
月間件数
600 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
7 分
現在  600件 × 20分 ÷ 60 = 200 時間/月
導入後 600件 × 7分 ÷ 60 = 70 時間/月
月間削減時間
130h
削減率
65%
年間削減時間
1,560h
年間金額換算(時間単価4,000円)
624万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 検索広告・SNS広告・動画広告など複数の媒体で運用を請け負う広告会社や、自社で複数の媒体に出稿している通販の会社。健康食品・化粧品・金融・美容医療など、審査で落ちやすい商材の広告主を抱えている場合。審査落ちと修正の経緯が、担当者のメールや社内チャットに散らばっていて、ベテランの記憶に頼っている場合。企画や提案の段階で、営業が媒体の可否を毎回運用の担当に聞きに来ている場合。
向いていない
  1. 出稿する媒体が1つで、商材も審査で問題になりにくいものに限られる場合。過去の審査落ちの記録がほとんど残っておらず、残す運用も作れない場合(例が無いと、ポリシーの条文を引くだけの検索になります)。審査を通るかどうかの判定そのものをAIに任せたい場合(審査は媒体が行い、この構成は根拠の条文と過去の例を示すだけです)。法令上の表示の可否(景品表示法・薬機法など)を判断したい場合(媒体のポリシーとは別に、法務の確認が要ります)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月までの審査落ちのうち、経緯が分かるものを30件選ぶ(修正して通ったものと、改定前の例を数件入れる)
  2. その30件の媒体のポリシーの関係する章を、ページから写して手元のAIサービスに読み込ませる
  3. 30件の経緯を、伏せ字にして同じく読み込ませる
  4. 新しい案を10件作り、「添付のポリシーと例だけを根拠に、関係する条文と似た例を示してください。通るかの見込みと言い換えは書かないでください」と指示する
  5. 出てきた条文と例を、運用部のベテランが同じ案に答えた内容と突き合わせる
出てきた内容判断
ベテランと同じ条文と例が出たデータストアの構築に進む
言い換えや見込みを書いた指示の書き方で直る。構成は有効
例の経緯が足りず、比べようがない記録の様式を作るのが先。 検索の問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、メールと社内チャットに残っている経緯が、表示された理由と日付を欠いていると分かったということです。 記録の様式を先に作り、次の1か月の審査落ちから書き始めてください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
古い「通った」例を今の根拠にする章の改定日と例の日付を比べ、改定前の例を別の枠に出す
審査を通すための言い換えを提案する言い換えを名指しで禁じ、記録にある修正の事実だけを示す
他のチームの広告主の記録が見える元の版に acl_info を付け、社員の ID で検索する
例が無いことを「問題なし」と読む「例なし(問題なしではない)」と表示する
ポリシーと記録が1つの回答に混ざる文書の種類で絞り、2回に分けて呼ぶ
記録の理由が「落ちた」だけ表示された理由を言い換えずに写す様式にする
定期の同期で権限が効かない定期の取り込みではアクセス制御が使えない。書くたびに取り込む
媒体のページの構成が変わる章の数を数え、変わったら運用部に知らせる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、審査をするのは媒体であることを忘れたときに起きます。 改定の前後を規則で分け、言い換えを禁じているかどうかで、営業に開けるかが決まります。

3行目は、広告会社に特有の失敗です。 競合する広告主を別のチームが担当していることは珍しくなく、ある広告主の審査落ちの経緯が競合の担当に見えれば、それだけで取引の問題になります。 本番の前に、他のチームの ID で元の版の例を狙った確認を試してください。

6行目は、運用が回り始めてから効いてきます。 「落ちた」とだけ書かれた記録は、似た例として表示されてもどの条文に当たったのかが分からず、営業はかえって判断に迷います。 様式の「表示された理由」を必須の欄にし、空のままでは保存できないようにしてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 媒体の公開ポリシーの写し、審査の記録(広告主名、商品名、出稿した表現、審査の結果)、企画中の表現の案です。企画中の案と、広告主ごとの審査の経緯は、広告主との契約上の秘密に当たります。

  1. 広告主ごとの記録を出し分ける … 元の版は担当チームだけに見せ、伏せ字の版を全員に見せます
  2. 審査をくぐる工夫をさせない … 言い換えの提案を禁じ、記録にある修正の事実だけを示します
  3. 見込みを書かせない … 審査は媒体の判断です。「通る」と書いた画面は、外れたときに広告主への説明の根拠にされます
  4. 法令の判断と分ける … 媒体のポリシーと、景品表示法・薬機法などの法令上の表示の可否は別の確認です。この構成は前者だけを扱います
  5. ポリシーの写しの取得日を必ず表示する … 古い写しで答えていることが、画面で分かるようにします
  6. 案の保存の期間を決める … 出稿しなかった案は、広告主との取り決めに沿って消します

誤りが起きた場合のリスクは、古い例で「出せる」と判断することと、他の広告主の記録が見えることの2つです。 前者は改定日の比較で、後者は ID による検索で防ぎます。どちらも規則と設定で守り、AIの回答の文に頼りません。

10まず何から始めるか

1週目:審査の記録の様式を作る

媒体、カテゴリー、出稿した表現、結果、表示された理由、修正後の表現、日付の様式を作り、運用部が今月の審査落ちから書き始めます。 あわせて、カテゴリーと章の対応の表を、健康食品・化粧品・美容医療・金融の4つから作ります。

2週目:30件で試す

過去の審査落ちから30件を写し、手元のAIサービスにポリシーの写しと一緒に読み込ませて、新しい案10件を聞きます。言い換えや見込みを書いていないかを最優先で見ます。

3週目:伏せ字の版と閲覧の範囲を決める

記録の伏せ字の決まり(何を伏せ、何を残すか)と、チームごとの閲覧の範囲を決めます。競合する広告主を持つチームの組み合わせを、営業部長と確かめます。

4週目:データストアを作る

アクセス制御を有効にして、ポリシーの写しと記録を取り込みます。運用部の担当が検索画面で使い、自分の答えと比べます。

2か月目: 中継プログラムと確認の画面とポリシーの取得を作り、営業の1チームで試します。運用部への相談の件数を毎週数えます。3か月目以降: 全チームに広げ、1件20分が何分になったかを実測します。記録の件数が増え、相談に回る割合が2割を下回った時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドの includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreNonAnswerSeekingQuery、answerSkippedReasons、preamble、filter、userPseudoIdGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-06
絞り込みの ANY()、AND/OR/NOT、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-06
データソースのアクセス制御で、acl_info に group_id を書いて閲覧の範囲を限れること。Workforce Identity Federation で外部の ID 基盤とつなげること。作成時にしか有効にできないことGoogle Cloud: Use data source access control2026-10-06
Cloud Storage から取り込むときのメタデータの JSONL(id、structData、content.mimeType、content.uri)。定期的な取り込みではデータソースのアクセス制御が使えないことGoogle Cloud: Create a search data store2026-10-06
Google 広告のポリシーが、禁止コンテンツ/禁止されている行為/制限されているコンテンツと機能/編集基準と技術要件の4つに分かれること。ヘルスケア・金融サービス・アルコール・ギャンブルなどが制限されているコンテンツとされること。違反した広告が不承認となり、不承認の判定に再審査を請求できることGoogle 広告のポリシー ヘルプ: Google 広告のポリシーについて2026-10-06

審査の結果は、各媒体の判断です。法令上の表示の可否は、法務と顧問の弁護士に確認してください。 本記事は Google Cloud と Google 広告のポリシーの公開ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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