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酒類・化粧品などの業界団体が定める広告の自主基準を集め、広告制作の担当者が「この表現・この演出は使えるか」を条項の番号と原文付きで確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

広告制作の担当が企画の段階で「この表現・この演出は使えるか」を尋ねると、広告主の業種の自主基準から関係する条項を探し、条項の番号・原文・版を付けて返します。条項に記載のないものと判断の要るものは、法務・考査の担当へ回します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
EC/小売/広告/製造
対象部門
法務
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
判断支援/教育コスト削減/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
24h/月
想定削減
70%
年間削減
672h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 制作の担当がチャットかメールで、企画の概要と気になる表現・演出を考査へ送る
  2. 考査の担当が広告主の業種を確かめ、該当する自主基準のPDFを開く
  3. 目次と本文から関係する条項を探す。複数の文書にまたがるものは全部を開く
  4. 改正や正誤表が出ていないかを、業界団体のページで確かめる
  5. 社内の考査メモに、過去の同じ相談の扱いがないかを探す
  6. 条項の番号と原文を貼り、考査の見方を添えて返す
  7. 条項に直接の記載がないものは、広告主の法務や業界団体の窓口への確認を勧める
導入後(After)
  1. 人制作の担当がチャット画面で、広告主・媒体・気になる表現や演出を入れて質問する
  2. 自動中継プログラムが広告主の一覧から業種を引き、検索の絞り込みの式を作る
  3. 自動Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、その業種の自主基準と正誤表・社内の考査メモから関係する条項を探し、出典付きで答える
  4. 自動中継プログラムが、答えに引かれた原文が元の条項の文と一致するかを確かめる
  5. 自動条項の番号・原文・版・施行日を添えて画面に出す
  6. 人制作の担当が原文を読み、企画と絵コンテを直す
  7. 自動条項に直接の記載がないもの・根拠の弱いもの・原文が一致しないものを考査の待ち行列に入れる
  8. 人考査の担当が待ち行列の相談だけに答え、社内の考査メモに残す
  9. 人原稿ができた段階で、これまでどおり考査が出稿前の点検を行う
各工程の詳しい説明を読む
  1. 制作の担当がチャットかメールで、企画の概要と気になる表現・演出を考査へ送る
  2. 考査の担当が広告主の業種を確かめ、該当する自主基準のPDFを開く
  3. 目次と本文から関係する条項を探す。複数の文書にまたがるものは全部を開く
  4. 改正や正誤表が出ていないかを、業界団体のページで確かめる
  5. 社内の考査メモに、過去の同じ相談の扱いがないかを探す
  6. 条項の番号と原文を貼り、考査の見方を添えて返す
  7. 条項に直接の記載がないものは、広告主の法務や業界団体の窓口への確認を勧める

(a)どこに書いてあるかが分からない。 酒類の基準では、テレビCMの注意表示の秒数はⅡ1⑵ロ、使わない表現はⅡ2⑵、放送しない時間帯はⅡ2⑶と、テレビに関する決まりが3か所に分かれています。 「テレビCMで気をつけること」と聞かれると、全部を拾うのに時間がかかります。

(b)改正を制作の担当が知らない。 酒類の基準は2026年7月に改正され、附則は純アルコール量の表示とテレビの注意表示の事項について実施の時期の扱いを書いています。制作の担当は前のキャンペーンの演出を下敷きに企画を作るので、改正前の決まりで絵コンテが届きます。

(c)要約で返すと、言い回しがずれる。 考査が急いで「喉元のアップはNG」と返すと、制作は「首より上ならよい」と受け取ります。原文は「喉元アップの描写はしない」に続けて「肩から頭部が描写されているよう配慮する」と書いています。原文を貼る手間を省くと、撮り直しで返ってきます。

(d)答えが担当の経験に頼る。 同じ「『最先端の製造方法』と書けるか」に、化粧品に詳しい担当は F2.1 を引いて答え、詳しくない担当は「誇大と取られるおそれ」とだけ返します。どちらも間違いではないのに、制作から見ると根拠の重さが違います。

  1. 【人】 制作の担当がチャット画面で、広告主・媒体・気になる表現や演出を入れて質問する
  2. 【自動】 中継プログラムが広告主の一覧から業種を引き、検索の絞り込みの式を作る
  3. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、その業種の自主基準と正誤表・社内の考査メモから関係する条項を探し、出典付きで答える
  4. 【自動】 中継プログラムが、答えに引かれた原文が元の条項の文と一致するかを確かめる
  5. 【自動】 条項の番号・原文・版・施行日を添えて画面に出す
  6. 【人】 制作の担当が原文を読み、企画と絵コンテを直す
  7. 【自動】 条項に直接の記載がないもの・根拠の弱いもの・原文が一致しないものを考査の待ち行列に入れる
  8. 【人】 考査の担当が待ち行列の相談だけに答え、社内の考査メモに残す
  9. 【人】 原稿ができた段階で、これまでどおり考査が出稿前の点検を行う

7番目と8番目が、この設計の分かれ目です。 条項に書いてあることは画面で原文まで届け、考査の時間は、条項に書いていないことと判断の要ることだけに使います。 全件を考査が見直す設計にすると、80.0時間はほとんど減りません。

9番目は変えません。 この構成は企画の段階の相談を速くするもので、出稿前の考査を省くものではありません。 企画の段階で条項を知っていれば、出稿前の考査で差し戻される件数が減ります。

02今回想定するシステム構成

構成図
制作・営業の担当(社内のチャット画面)
   │
   ▼【トリガー】質問の送信(広告主・媒体・表現や演出)
中継プログラム(Python/Cloud Run)
   ├──▶ 広告主の一覧から業種を引く
   ├──▶ 絞り込みの式を作る(業種・有効な版)
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッド
   │   条項ごとに分けた自主基準/正誤表/社内の考査メモ
   │   答え+出典+根拠のスコア
   ▼
中継プログラム ── 引いた原文と元の条項の文を照合
   ▼
条項の番号+原文+版・施行日+関係の度合い
   ├──▶ 画面へ
   └──▶ 考査の待ち行列へ(記載なし/根拠が弱い/原文が一致しない)
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・広告主の一覧・検索・照合・記録をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(条項ごとに分けた自主基準、正誤表、考査メモの原本とメタデータ)─

広告主の一覧と社内の考査メモは、新しく足すものではありません。 広告主の一覧に業種の列が無ければ、最初にそれを足します。この構成は出稿前の考査の記録に書き込みません。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 公式のページでは、answer メソッドは検索の結果から答えを作り、答えの文ごとに出典を付けられるとされています。答えの主張ごとに0から1の根拠のスコアが返り、基準に届かない答えを返さない設定があります。前のセッションの ID を渡せば、「では雑誌広告なら?」のような続きの質問もできます。

取り込む自主基準は、業界団体が公開しているものです。 酒類の自主基準は、飲酒に関する連絡協議会が昭和63年12月9日に制定し、令和8年7月1日に最終改正したものが公開されています。化粧品のガイドラインは、日本化粧品工業会のページに2020年版(第2刷)、改正新旧対照表、正誤表、インターネット上の広告基準が並んでいます。会員向けにだけ配られる文書は、利用の条件を確かめてから入れます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

制作の担当がチャット画面で質問を送ったことを起点にします。 企画会議の直後や絵コンテを描いている最中に聞かれるもので、答えが翌日になると、確かめないまま絵コンテが進みます。

入口はチャット画面の1つに絞ります。メールで届いた相談は、考査の担当がチャット画面に入れて答えを確かめ、その答えを返信に使います。 入口を分けたままにすると、どの業種のどの条項への質問が多いかを数えられません。

もう1つの起点は、自主基準の改正と正誤表の公開です。 考査の担当が業界団体のページを月に1回見て、更新があれば条項ごとに分け直して取り込みます。改正の当日に取り込みが終わっていなければ、その業種の質問は考査へ回します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問質問の文、広告主、媒体(テレビ・新聞・雑誌・ウェブなど)、セッションの IDチャット画面
広告主の情報広告主の名前、業種(酒類/化粧品/健康食品など)広告主の一覧
自主基準(条項ごと)条項の番号、見出し、原文、文書名、版、施行日Cloud Storage
正誤表正誤の対象の条項と、正しい文Cloud Storage
社内の考査メモ過去の相談と扱い、根拠にした条項、日付Cloud Storage

質を決めるのは、自主基準を条項ごとの文書に分けておくことです。 PDFを丸ごと入れると、検索は数百字の断片を返し、その断片がどの条項のものかが答えから分かりません。条項1つを文書1つにし、条項の番号をメタデータに持たせれば、出典がそのまま条項の番号になります。

付けるメタデータは、業種・発行者・文書名・版・施行日・条項の番号・条項の見出し・文書の種類(本文/正誤表/考査メモ)・状態(有効/廃止)の9つです。 化粧品のガイドラインは、基本編を略号「F」、表現編を略号「E」の連番で体系化し、広告審査等で引用が明確・簡便にできるよう配慮したと書いています。この番号をそのまま条項の番号に使えます。

媒体もメタデータに持たせます。 酒類の自主基準では、注意表示の適用媒体が新聞・雑誌・ポスター・テレビ・ラジオ・インターネット・消費者向けチラシとされ、テレビとラジオだけの細則があります。テレビの質問にラジオの細則を返さないために、条項ごとに対象の媒体を付けます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
広告主の業種広告主の一覧(広告主の名前で引く)絞り込みの式
答えと出典answer メソッドの応答画面への表示
根拠のスコアanswer メソッドの応答考査へ回すかの判定
出典の条項の原文Cloud Storage の条項の文書引いた原文との照合
版と施行日出典の文書のメタデータ画面への表示、旧版の検知

絞り込みの式は、中継プログラムが広告主の業種と媒体から組み立てます。 公式のページでは、メタデータの項目をスキーマでインデックス可能にしたうえで、ANY で値の一覧と一致させ、AND / OR でつなぎ、日付は ISO 8601 の文字列と比較演算子で絞れるとされています。

industry: ANY("酒類")
AND status: ANY("有効")
AND media: ANY("テレビ", "全媒体")
AND effective_from <= "2026-10-08"

「全媒体」を値として持たせるのは、媒体を問わない条項を落とさないためです。 「20歳未満の者の飲酒を推奨、連想、誘引する表現は行わない」は、テレビにもウェブにも当てはまります。

社内の考査メモは、同じデータストアに文書の種類を変えて入れます。 業界団体の条項と同じ重さで並ぶと、考査メモの「この案件では可とした」が条項のように読まれます。画面では「社内の過去の扱い」として、条項と分けて表示します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 条項ごとの分割 … 自主基準のPDFから文字を取り出し、条項の見出しの階層(酒類はⅡ・1・⑵・ロ、化粧品は F2.1・E1.0)で文書を分けます。分けた文書の先頭に、上位の見出しをすべて書きます
  2. 原文の保存 … 分けた条項の文を、そのまま照合用の原文として別に保存します。整形した文と照合用の原文を混ぜません
  3. 正誤表の反映 … 正誤表の対象の条項には、正しい文を本文として入れ、誤っていた文と正誤表の日付をメタデータに残します
  4. 附則の扱い … 改正の附則に、施行日から実施できない場合の扱いが書かれている条項には、その旨を条項のメタデータに付けます
  5. 広告主の業種の確認 … 広告主の一覧で業種が空のときは、絞り込みをかけずに答え、答えの先頭にその旨を出します
  6. 質問の中の固有の情報の扱い … 未発表の商品名やタレントの名前は、記録に残す前に伏せます

1番目を手で確かめる時間を取ってください。 PDFの文字の取り出しは、表や段組みで順番が崩れることがあります。崩れた条項が1つあると、その条項を引いた答えの原文の照合が毎回失敗します。 条項の数は1つの文書で数十から百程度なので、取り込みのたびに見直せる量です。

4番目は、酒類の自主基準の2026年7月の改正が例です。 附則は、純アルコール量の表示に関する事項とテレビの注意表示に関する事項について、施行日から実施できない場合はできるだけ早期に実施するとしています。この条項を引いた答えには、附則の扱いもあわせて出します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、質問に関係する条項を探し、条項ごとに原文を引いて、質問とどう関係するかを短く書くことだけです。

見るもの答え方答えられないときの扱い
質問の表現・演出に直接触れる条項条項の番号と原文、「直接の記載あり」原文が照合できなければ考査へ
関係しうる条項条項の番号と原文、「関係しうる」判断は考査へ
媒体ごとの細則質問の媒体に当てはまる細則だけ媒体が分からなければ媒体ごとに分けて書く
改正・正誤表・附則版・施行日・附則の扱い─
社内の過去の扱い考査メモの日付と扱い、条項と分けて─
条項が見つからない「自主基準に直接の記載なし」考査へ

関係の度合いは3つに分けます。 「直接の記載あり」は、質問の表現や演出が条項の文にそのまま出てくるもの(「ゴクゴク」の効果音、喉元のアップ)。「関係しうる」は、条項の考え方に当たりうるもの(「最先端」が製造方法の優秀性の表現に当たるか)。どちらも、使えるか使えないかの結論ではありません。

させないこと理由
使える・使えないの結論基準自体が、適否は広告全体のニュアンスから判断されるとしている
条項の文の言い換え・要約での代用原文の言い回しが絵コンテの直し方を決める
自主基準に無い一般論での補足条項が無いことと、一般に問題が無いことは違う
法令の解釈この構成が扱うのは業界の自主基準。法令の判断は法務と広告主
社内の過去の扱いを条項として示す過去の案件の扱いは、その案件の全体を見た判断
Step6

指示内容を固定する

answer メソッドには、答え方の指示を前置き(promptSpec.preamble)として渡します。

あなたは広告会社の考査の窓口として、業界団体の広告の自主基準について質問に答えます。
検索で見つかった条項だけを根拠にしてください。

【答え方】
- 関係する条項ごとに、条項の番号、文書名と版、条項の原文を書く。
- 原文は、検索で見つかった文をそのまま写す。言い換え、要約、省略をしない。
- 原文のあとに、質問とどう関係するかを1〜2文で書き、次のどちらかを付ける。
  「直接の記載あり」:質問の表現・演出が条項の文にそのまま出てくる
  「関係しうる」:条項の考え方に当たりうるが、文には出てこない
- 質問の媒体に当てはまらない細則は書かない。媒体が分からなければ媒体ごとに分けて書く。
- 社内の考査メモが見つかった場合は、条項と分けて「社内の過去の扱い」として日付とともに書く。

【厳守事項】
- 表現や演出を「使える」「使えない」「問題ない」「NG」と結論づけない。
- 関係する条項が見つからない場合は「自主基準に直接の記載はありません」と書き、
  考査への相談を案内する。一般的な広告の常識や法令の知識で補わない。
- 条項の番号を推測で書かない。検索で見つかった文書の番号だけを書く。
- 改正の附則や正誤表が見つかった場合は、あわせて書く。
- 未発表の商品名やタレントの名前を答えに書かない。

「使える」「使えない」と書かせない指示が、この前置きのいちばん大事な行です。 何も言わなければ、条項を引いたうえで「したがってこの表現は使えません」と結論を足します。制作の担当はその1文だけを読み、条項の原文を読みません。 結論を書かせないことで、原文を読むしかない画面にします。

「原文をそのまま写す」と指示しても、写し間違いや要約はゼロになりません。 だから中継プログラムの側で、答えに引かれた原文が、出典の条項の照合用の原文の中に文字列として含まれるかを確かめます。含まれなければ、その答えは画面に出さず考査へ回します。

検索の側の設定もあわせて決めます。 公式のページでは、質問の分類(queryClassificationSpec)で敵対的な質問と答えを求めていない質問を見分け、ignoreAdversarialQuery / ignoreNonAnswerSeekingQuery で答えを作らないようにできるとされています。関連の薄い内容しか見つからないときに決まった文を返す設定(ignore_low_relevant_content)もあります。3つとも有効にし、 答えの言語は answer_language_code で日本語に固定します。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に詰め替えて画面と記録に渡します。

{
  "question_id": "",
  "advertiser_industry": "酒類",
  "media": "テレビ",
  "clauses": [
    {
      "clause_id": "Ⅱ2⑵ワ",
      "document": "酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準",
      "version": "令和8年7月1日 最終改正",
      "quote": "",
      "quote_verified": true,
      "relation": "direct | possible",
      "note": "",
      "transitional": ""
    }
  ],
  "internal_precedents": [ { "date": "", "summary": "", "clause_id": "" } ],
  "support_score": 0.0,
  "route_to_reviewer": false,
  "route_reason": "no_clause | low_support | quote_mismatch | industry_unknown"
}

1つ目の理由は、quote_verified で写し間違いを画面の手前で止められることです。 原文の照合に失敗した条項が1つでもあれば、答え全体を出さずに考査へ回します。条項の一部だけを出すと、出なかった条項が無いものと読まれます。

2つ目は、clauses と internal_precedents を別の配列にできることです。 画面では条項を上、社内の過去の扱いを下に、見出しを分けて表示します。同じ配列に入れると、過去の案件の扱いが条項と同じ重さで読まれます。

条件扱い
すべての条項で quote_verified が真、support_score が基準以上画面に答えを出す
quote_verified が偽の条項がある答えを出さず、考査へ
関係する条項が無い「直接の記載なし」と出し、考査へ
support_score が基準未満「考査へ回します」と返し、待ち行列へ
広告主の業種が分からない業種ごとに分けて答え、考査にも知らせる

3つ目は、transitional で附則の扱いを条項に付けて出せることです。 改正のあった条項は、新しい文に加えて附則の扱いが見えないと、制作は「もう全部変わった」とも「まだ前のままでよい」とも読めてしまいます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
チャット画面中継プログラムの API質問を受け、答えを返す
広告主の一覧読み取り業種を引く
Agent Search の answer メソッドAPI 呼び出し絞り込みの式と前置きを付けて答えを得る
Cloud Storage読み取り照合用の原文を引く
考査の待ち行列既存の相談管理への登録回された相談と理由を入れる

出稿前の考査の記録へは書き込みません。 企画の段階の答えが考査の記録に入ると、「企画の段階で確かめ済み」として出稿前の点検が軽くなります。 原稿ができたら、これまでどおり考査が見ます。

社内の考査メモへの追記は、考査の担当が待ち行列の相談に答えたときに人が書きます。 答えを自動でメモに残すと、AIの答えが次の答えの根拠になり、元の条項から離れた扱いが積み重なります。

Step9

人が確認する

人が見るのは、待ち行列に入った相談だけです。 条項の原文が照合できた答えは、制作の担当が画面で原文を読んで終わります。

  1. 「直接の記載なし」の相談 … 条項が無いもの。考査の担当が答え、必要なら広告主の法務や業界団体の窓口への確認を勧めます
  2. 根拠の弱い答え・原文が照合できない答え … 条項の分割や取り込みに誤りがないかを先に疑います
  3. 広告主の業種が分からない相談 … 広告主の一覧に業種を足します
  4. 答えに付いた「関係しうる」の条項 … 制作の担当が判断に迷えば、そのまま考査に相談します

考査の担当は月に1回、答えの記録から20件を抜き出して読みます。 待ち行列に入らなかった答えに、質問と関係の薄い条項が並んでいないか、逆に関係する条項が抜けていないかを見ます。

目標は、240件をならして1件6分です。 待ち行列に入るのは3割前後という想定で、それより多い月は、条項の分割に崩れがあるか、自主基準に無い種類の相談が増えています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
引いた原文が照合できない答えを出さず考査へ。条項の分割と取り込みを見直す
関係する条項が見つからない「直接の記載なし」と返し、考査へ
広告主の業種が分からない業種で絞らずに業種ごとに分けて答え、考査にも知らせる
1つの広告に複数の業種がかかる(酒類と食品の共同企画など)両方の業種で絞って答え、考査にも知らせる
改正の取り込みが終わっていないその業種の質問を考査へ回し、画面に「改正の反映中」と出す
会員向けの文書を入れたい利用の条件を確かめるまで取り込まない
答えを求めていない質問・敵対的な質問答えを作らない設定。決まった文で考査の窓口を案内する
検索の API が応答しない決まった文で考査の窓口を案内し、待ち行列に入れる

上の2行が大半を占めます。 1行目はたいてい条項の分割の崩れで、AIの答えの問題ではありません。 2行目は、自主基準が想定していない新しい媒体や演出の相談で、考査の担当が答えるべきものです。

Step11

記録を残す

  • 質問の文(固有の情報を伏せた後)、広告主の業種、媒体
  • 送った絞り込みの式と、answer メソッドの応答の全文(答え・出典・根拠のスコア)
  • 条項ごとの原文の照合の結果(quote_verified)
  • そのとき有効だった自主基準の版と正誤表の一覧
  • 考査の担当が待ち行列の相談に返した答えと、考査メモへの追記の有無
  • 月ごとの「直接の記載なし」の相談の一覧

4つ目を残すのは、自主基準が改正されるためです。 撮影の後に「企画のときは問題ないと言われた」と言われたとき、当時の版でどの条項を示していたのかを確かめられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:PDFを手でAIの画面に貼り、条項を引かせる / 1件ごとの条項の引き当て
半自動化:上記+条項ごとに分けた自主基準を検索の基盤に取り込み、考査だけが使う画面で条項の候補を得る / 条項を探す工程
本格構成:上記+制作の担当が直接チャットで尋ね、業種と媒体で絞り、原文を照合し、記載なしと根拠の弱いものを考査へ回す / 回答の全体と、考査へ回す振り分け

最小構成では、原文の照合ができません。 写し間違いを人が1件ずつ確かめるので、件数がさばけません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件20分が12分程度になります。 条項を探す工程は短くなりますが、考査が全件の答えを確かめて制作へ返す工程が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、条項に書いてあることへの答えを考査が中継しなくなるからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、条項の分割の崩れと、自主基準に無い種類の相談が先に分かります。それを直してから制作に開くほうが、待ち行列が溢れません。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  240件 × 20分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 240件 × 6分 ÷ 60 = 24 時間/月
月間削減時間
56h
削減率
70%
年間削減時間
672h
年間金額換算(時間単価4,000円)
269万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 酒類・化粧品・健康食品など、業界団体が広告の自主基準を定めている業種の広告主を複数抱える広告会社や、その業種の広告主の宣伝部。企画や絵コンテの段階で「この表現・この演出は使えるか」の質問が法務・考査の担当に毎月まとまって届き、担当がそのたびに自主基準のPDFを開いて条項を探している場合。自主基準の改正があっても、制作の担当が旧版の知識のまま企画を進めてしまう場合。
向いていない
  1. 扱う業種が1つで、制作の担当が自主基準を覚えきっている場合。広告の適否の最終判断までAIに任せたい場合(業界団体の基準自体が、表現の適否は広告全体のニュアンスから判断されると書いています。この構成は条項を探して示すだけで、判断は法務・考査の担当と広告主が行います)。会員向けにだけ配られている基準を、利用の条件を確かめずに取り込もうとしている場合。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた相談から30件を選ぶ(うち数件は、条項に直接の記載がない相談と、改正の前後で扱いが変わる相談を入れる)
  2. 対象の業種の自主基準のPDFと正誤表を用意する
  3. 手元のAIサービスの画面にPDFを貼り付け、広告主の業種と媒体を書き添えて30件を1件ずつ尋ねる
  4. 「関係する条項の番号と原文をそのまま書いてください。使える・使えないの結論は書かないでください。条項が無ければ『記載なし』と書いてください」と指示する
  5. 出てきた条項を、当時考査が返した条項と突き合わせ、原文がPDFの文と一致するかを1件ずつ確かめる

30件は必ずやってください。 検索の仕組みを組む前に、「条項を正しく引けるか」と「原文を写し間違えないか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の考査と同じ条項が出て、原文も一致した条項の分割と検索の仕組みに進む
結論を書き足した・原文を要約した指示と照合で直る。構成は有効
条項の番号が違う・存在しない番号が出たPDFのまま渡しているのが原因。 条項ごとに分けるのが先

3行目が出ることは珍しくありません。 PDFを丸ごと渡すと、AIは条項の階層を読み違えます。失敗ではなく、条項ごとに分けて番号をメタデータに持たせる理由が確かめられたということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
PDFを丸ごと入れて、条項の番号が答えに出ない条項ごとの文書に分け、番号をメタデータにする
原文を要約・言い換えて返す指示で禁じ、照合用の原文と文字列で照合する
「使えない」と結論を書き足す前置きで禁じる。制作が原文を読まなくなる
テレビの質問にラジオの細則を返す条項ごとに媒体を付けて絞る
改正後も旧版の条項で答える状態と施行日をメタデータにし、有効な版だけを検索する
正誤表が反映されていない正誤の対象の条項を正しい文で入れ直す
附則の扱いが答えに出ない附則のある条項にメタデータを付け、答えに添える
社内の考査メモが条項のように読まれる文書の種類を分け、画面で見出しを分ける
AIの答えを自動で考査メモに残す人が書く。 答えが次の答えの根拠にならないようにする
会員向けの文書を確かめずに入れる利用の条件を確かめてから入れる
出稿前の考査を軽くする企画の段階の答えを考査の記録に入れない

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「条項の原文を、条項の番号付きで、結論なしに届ける」という一点から外れたときに起きます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 広告主の名前と業種、未発表の商品名・キャンペーンの企画・起用するタレントの名前、業界団体の自主基準、社内の考査メモです。

  1. 未発表の情報を記録に残さない … 企画の段階の質問には、発表前の商品名や起用の予定が書かれます。記録に残す前に伏せ、伏せる前の文は保存しません
  2. 表現の適否の判断をAIに寄せない … 業界団体の基準自体が、適否は広告全体のニュアンスから判断されるとしています。この構成が出すのは条項と原文までで、判断は考査と広告主が行います
  3. 自主基準の利用の条件を確かめる … 公開されている基準でも、社内の検索の仕組みに取り込んでよいかは発行した団体の利用の条件を確かめます。 会員向けの文書は特に慎重に扱います
  4. 社内の考査メモを広告主の間で混ぜない … 考査メモには、ある広告主の企画の中身が書かれています。別の広告主の担当が引けるかどうかを、文書ごとの閲覧者で分けるか、メモを条項の番号と扱いだけに要約して入れます
  5. 法令の判断と混ぜない … この構成が扱うのは業界の自主基準です。医薬品医療機器等法や景品表示法の判断が要る相談は、法務の担当と広告主の法務に回します
  6. 改正の取り込みに責任者を置く … 条項の分割と取り込みを行える人を、考査の担当に限ります。 条項の文を1つ書き換えるだけで、答えが変わります

誤りが起きた場合のリスクは、条項の写し間違いや旧版で企画が進むことと、AIの答えを結論として受け取って考査を飛ばすことの2つです。 前者は原文の照合と有効な版の絞り込み、後者は結論を書かせない指示と出稿前の考査を残すことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:自主基準を条項ごとに分ける

広告主の多い業種から1つ選び、その自主基準のPDFを条項ごとに分けます。条項の番号・見出し・原文・対象の媒体・版・施行日を付けます。正誤表と附則も反映します。あわせて、広告主の一覧に業種の列を足します。

2週目:30件で試す

先月の相談から30件を選び、分けた条項を手元のAIサービスに貼り付けて答えさせます。当時の考査の答えと突き合わせ、原文を写し間違えていないか、結論を書き足していないかを最優先で見ます。

3週目:取り込みと照合を作る

データストアを作って条項を取り込み、answer メソッドを呼んで、引いた原文を照合するプログラムを作ります。 この時点では制作に開かず、考査の担当が条項の候補として使います。

4週目:考査メモの扱いを決める

社内の考査メモを、条項の番号と扱いだけに要約して入れるか、閲覧者で分けるかを決めます。広告主の企画の中身が別の担当に見えない形にします。

2か月目: 根拠のスコアと考査の判定を並べて基準の値を決め、制作に開きます。待ち行列の件数を毎週数えます。3か月目以降: 2つ目の業種の自主基準を足し、1件20分が何分になったかを実測します。業界団体の改正を月1回見て、条項の取り込みまでを考査の手順に入れた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
酒類の自主基準が飲酒に関する連絡協議会のもので、昭和63年12月9日制定・令和8年7月1日最終改正であること。注意表示の適用媒体(新聞・雑誌・ポスター・テレビ・ラジオ・インターネット・消費者向けチラシ)、テレビ広告での喉元を通る「ゴクゴク」等の効果音の不使用と喉元アップの描写をしないこと(肩から頭部が描写されるよう配慮)、20歳未満の者の飲酒を推奨・連想・誘引する表現を行わないこと。附則で純アルコール量の表示とテレビの注意表示に関する事項を施行日から実施できない場合はできるだけ早期に実施するとしていること飲酒に関する連絡協議会: 酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準2026-10-08
化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版(第2刷)、改正新旧対照表、正誤表(2020年6月22日)、インターネット上の広告基準(2017年7月13日)が掲載されていること日本化粧品工業会: 化粧品等の適正広告ガイドライン2026-10-08
基本編を「F」、表現編を「E」の略号付連番で体系化し、広告審査等で引用が明確・簡便にできるよう配慮したこと。記載した表現でも適否は広告全体のニュアンスから判断され、最終的な判断基準とするものではないこと日本化粧品工業連合会: 化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版2026-10-08
answer メソッドが文ごとに出典を付けられること、主張ごとに0〜1の根拠のスコアが返り基準に届かない答えを返さない設定があること、セッションでやり取りを続けられること、promptSpec.preamble、queryClassificationSpec、ignore_low_relevant_content、answer_language_code があること、Enterprise エディションと生成回答のオプションが要ること、Agent Search への改称Google Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
メタデータでの絞り込み(ANY、AND / OR、ISO 8601 の日付と比較演算子)Google Cloud: Filter custom search2026-10-08

表現や演出を使えるかどうかは、自社の考査・法務と広告主で判断してください。 本記事は公開されている自主基準と公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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