Media > AI活用ユースケース > 人事 > 面接官からの「この質問はしてよいか」「この場合の選考はどう進めるか」に、社内の採用の手引きと公正な採用選考の資料を根拠にチャットで答える

面接官からの「この質問はしてよいか」「この場合の選考はどう進めるか」に、社内の採用の手引きと公正な採用選考の資料を根拠にチャットで答える

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

面接官が「この質問はしてよいか」「評価が割れたらどう進めるか」をチャットで聞くと、職種と選考の段階を確かめ、面接官の手引き・評価基準・公正な採用選考の資料から根拠付きで答えます。判断の要るものは採用担当へ回します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
IT・SaaS/人材/小売/製造
対象部門
人事/採用
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
判断に時間がかかる/問い合わせが多い/属人化している
AIで行う処理
対話
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/教育コスト削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
48h/月
AI導入後
16h/月
想定削減
67%
年間削減
384h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 面接官が、面接の準備や面接の直後に迷うことがあり、採用担当にチャットで聞く
  2. 採用担当が、職種、選考の段階、候補者の状況を聞き返す
  3. 面接官の手引き、職種の評価基準、必要なら厚生労働省の資料を開いて、該当する箇所を探す
  4. 可否や進め方を返信する。聞いてはいけない事項なら、代わりの聞き方を考えて添える
  5. 判断の要るもの(例外の合格、配慮の申し出)は、採用グループのリーダーと相談して答える
  6. やり取りを、問い合わせの記録の表に書く
導入後(After)
  1. 人面接官が、社内のチャットツールの面接官向けボットに質問する(例:「一次面接で、通勤時間を聞くのは問題ないか」)
  2. 自動中継プログラムが、ログインした面接官の所属と、面接官として登録された職種を受け取る
  3. 自動質問を「質問の可否」「選考の進め方」「その他」に分け、足りない条件(職種、選考の段階)を選択肢で聞き返す
  4. 自動回す条件(すでに聞いてしまった、候補者から配慮や苦情の申し出、評価基準の例外)に当たれば、答えを作らずに採用担当へ回す
  5. 自動職種と段階に効く手引き・評価基準・公正な採用選考の資料に絞って、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが根拠付きで答える
  6. 自動質問の可否には、手引きにある「職務に関わる聞き方」の例を添える
  7. 人面接官は、根拠のページを開いて確かめてから面接に臨む
  8. 人採用担当は、回ってきた問い合わせだけを、聞き取り済みの条件を見て判断する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 面接官が、面接の準備や面接の直後に迷うことがあり、採用担当にチャットで聞く
  2. 採用担当が、職種、選考の段階、候補者の状況を聞き返す
  3. 面接官の手引き、職種の評価基準、必要なら厚生労働省の資料を開いて、該当する箇所を探す
  4. 可否や進め方を返信する。聞いてはいけない事項なら、代わりの聞き方を考えて添える
  5. 判断の要るもの(例外の合格、配慮の申し出)は、採用グループのリーダーと相談して答える
  6. やり取りを、問い合わせの記録の表に書く

(a)面接の直前に問い合わせが集まる。 面接官が手引きを開くのは面接の10分前で、分からなければ採用担当にチャットします。 採用担当が別の面接に入っていると返事が間に合わず、面接官は自分の判断で臨みます。

(b)答えが採用担当によって違う。 「前の会社を辞めた理由を深く聞いてよいか」に、ある担当は「職務に関わる範囲で」、別の担当は「避けて」と答えます。根拠を手引きのページで示す習慣がなく、担当ごとの経験で答えています。

(c)代わりの聞き方まで手が回らない。 「家族のことは聞かないでください」は言えても、「では転居を伴う配属に応じられるかは、どう聞けばよいか」までは、忙しいと返せません。面接官は禁止だけを受け取り、確かめたいことを確かめずに面接を終えます。

(d)判断の要る話が、普通の問い合わせに混ざる。 「つい家族のことを聞いてしまった」は、可否の質問ではなく、記録を残して候補者への対応を決める必要がある出来事です。 他の問い合わせの山に埋もれると、対応が遅れます。

  1. 【人】 面接官が、社内のチャットツールの面接官向けボットに質問する(例:「一次面接で、通勤時間を聞くのは問題ないか」)
  2. 【自動】 中継プログラムが、ログインした面接官の所属と、面接官として登録された職種を受け取る
  3. 【自動】 質問を「質問の可否」「選考の進め方」「その他」に分け、足りない条件(職種、選考の段階)を選択肢で聞き返す
  4. 【自動】 回す条件(すでに聞いてしまった、候補者から配慮や苦情の申し出、評価基準の例外)に当たれば、答えを作らずに採用担当へ回す
  5. 【自動】 職種と段階に効く手引き・評価基準・公正な採用選考の資料に絞って、Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが根拠付きで答える
  6. 【自動】 質問の可否には、手引きにある「職務に関わる聞き方」の例を添える
  7. 【人】 面接官は、根拠のページを開いて確かめてから面接に臨む
  8. 【人】 採用担当は、回ってきた問い合わせだけを、聞き取り済みの条件を見て判断する

4番目が、この設計の分かれ目です。 回すかどうかは、質問の種類と、聞き返しで選ばれた値から、中継プログラムの規則で決めます。 「もう聞いてしまった」が選ばれたら、内容にかかわらず回します。AIに判断させると、「本籍を聞いた」に「本籍は聞いてはいけない事項です」と答えて終わり、記録と候補者への対応が抜け落ちます。

6番目で代わりの聞き方を添えるのは、手引きに書いてあるものだけです。 モデルに言い換えを作らせると、別の聞いてはいけない事項に触れる言い換えを作ることがあります。例は採用担当が手引きに書き、チャットはそれを引くだけにします。

02今回想定するシステム構成

構成図
社内のチャットツールの面接官向けボット(面接官)
   ▼【トリガー】質問の送信(面接官の ID 付き)
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 面接官の一覧:所属・担当する職種
   ├──▶ 質問の種類の判定 → 聞き返しの選択肢
   ├──▶ 回す条件 → 採用担当の待ち行列
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド
   │  データストア:面接官の手引き+職種ごとの評価基準
   │               +公正な採用選考の資料+過去の問い合わせ集
   │  絞り込み:job_family/stage/doc_type/valid_from
   │  閲覧の範囲:職種ごとの評価基準はその職種の面接官だけ
   ▼
中継プログラム ── 根拠が手引きの現行の版かを確かめる
   ├──▶ 回答・根拠・代わりの聞き方を返す
   └──▶ 答えられない・版が合わない → 採用担当の待ち行列
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、チャットツール・検索・待ち行列をつなぐ)Node.js で同じものを書く
認証社内の ID 基盤(Microsoft Entra ID など。Workforce Identity Federation でつなぐ)Google の ID
保管Cloud Storage(手引き・評価基準・資料の原本とメタデータ)─

応募者管理の仕組みとは、つなぎません。 面接官の質問に答えるのに、候補者の氏名も応募書類も要らないからです。最初の準備は、面接官の手引きに「聞きたいこと→職務に関わる聞き方」の対応の表を足すことです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、出典を付けられます。セッションを使った複数回のやり取りに対応し、質問の言い換えは既定で有効です。関係の薄い内容しか無いときは回答を作らない設定と、根拠の強さを示すスコアが低い回答を落とす設定があります。

判断の土台は、厚生労働省の公正な採用選考の資料です。 就職差別につながるおそれがある14事項として、本籍・出生地、住宅状況、家族、生活環境・家庭環境といった本人に責任のない事項、宗教、人生観、思想、購読新聞・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合・社会運動といった本来自由であるべき事項、そして身元調査、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断、適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用を挙げ、これらに限られるわけではないとしています。面接については、質問事項をあらかじめ決め、その内容を職務遂行のために必要な適性・能力を評価するために必要な事項とすること、家族のことをたずねる事案が大変多く見られることを示しています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、面接官がチャットツールの面接官向けボットに質問を送ったことです。 ボットは社内のチャットツールに置き、社内の ID でログインした社員のうち、面接官として登録された社員だけが使えるようにします。登録の一覧には、面接官が担当する職種を持たせます。

職種は、登録から自動で受け取ります。 複数の職種を担当する面接官には、最初に選んでもらいます。職種が、どの評価基準で答えるかを決めます。

1件の問い合わせは、1つのセッションで最後まで続けます。 「では、転勤の可否はどう聞けばよいか」のような続けての質問も同じセッションでつなぎ、別の候補者・別の職種の話は新しいセッションで始めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問面接官が打った質問の文、選んだ聞き返しの値チャットツール
面接官の情報所属、担当する職種、面接官の研修を受けた日面接官の一覧
面接官の手引き選考の流れ、評価のしかた、聞いてよい事項と避ける事項、聞きたいこと→職務に関わる聞き方の表社内ポータルのPDF
職種ごとの評価基準評価の観点と段階、合否の目安、段階ごとの面接官の役割社内ポータルのPDF
公正な採用選考の資料14事項、採用選考の具体的な方法(面接の項)厚生労働省の公正採用選考特設サイト
過去の問い合わせ集問い合わせ、回答、根拠のページ、日付採用グループの記録
回す条件の表質問の種類ごとに、聞き返す項目と選択肢、答えずに回す値採用グループが作る表

質を決めるのは、手引きの「聞きたいこと→職務に関わる聞き方」の表です。 例えば「家族の事情で転居できるか知りたい」には「配属先は○○です。この勤務地で働くことについて、確かめておきたいことはありますか」、「夜間の対応ができるか知りたい」には「この職務では月に数回、夜間の障害対応の当番があります。この勤務の形について確かめておきたいことはありますか」。この表が無いと、チャットは禁止を返すだけになります。

回す条件の表には、「もう聞いてしまった」「候補者から配慮の申し出があった」「候補者から苦情があった」「評価基準と違う判断をしたい」を必ず入れます。 どれも、採用担当が記録を残して対応を決めるものです。

Step3

データの取得方法を決める

手引き・評価基準・公正な採用選考の資料・問い合わせ集は、Cloud Storage に置いてデータストアに取り込みます。 文書ごとのメタデータに、文書の種類、職種、選考の段階、適用開始日、閲覧の範囲を持たせます。

取るものどこから何に使うか
文書の種類(手引き/評価基準/公的資料/問い合わせ集)メタデータ絞り込みと、根拠の表示の順
職種、選考の段階メタデータその職種・段階の評価基準だけに絞る
適用開始日・終了日メタデータ現行の版だけに絞る
閲覧の範囲acl_info職種ごとの評価基準をその職種の面接官だけに出す

公正な採用選考の資料は、特設サイトのページを保存して取り込みます。 取り込んだ日をメタデータに持たせ、半年に一度、ページが変わっていないかを採用担当が確かめます。 変わっていれば取り込み直し、旧版に終了日を付けます。

絞り込みの式は、職種と段階で書きます。 項目を索引可能にしておけば、(doc_type: ANY("guide", "public") OR (doc_type: ANY("criteria") AND job_family: ANY("engineering") AND stage: ANY("first"))) に valid_from <= "2026-10-07" のような日付の条件を加えて書けます。日付は ISO 8601 の形式でそろえます。

職種ごとの評価基準には、閲覧の範囲を付けます。 評価基準には合否の目安と、職種によっては提示する報酬の幅が書かれています。acl_info にその職種の面接官のグループを書き、他の職種の面接官の検索には出しません。 この設定はデータストアの作成時にしか選べず、データソースのアクセス制御はプレビューの機能です。 使わない場合は、職種ごとにデータストアを分け、中継プログラムが面接官の職種のものだけを呼びます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 手引きを章と節で分ける … 選考の流れ、評価、聞いてよい事項と避ける事項、候補者からの質問への答え方、の見出しを立てます
  2. 「聞きたいこと→聞き方」の表を作る … 採用担当が過去の問い合わせから拾って作り、手引きの付録として取り込みます
  3. 評価基準を職種と段階で分ける … 1つのPDFに複数の段階が入っているものは、段階ごとに分けます
  4. 公的資料を保存する … 14事項のページと採用選考の具体的な方法のページを、取り込んだ日付付きで保存します
  5. 問い合わせ集を整える … 候補者の氏名や応募番号を消し、回答の根拠のページを書き添えます
  6. 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、includeAncestorHeadings を有効にします

5番目を省かないでください。 問い合わせの記録には、面接官が書いた候補者の名前や事情がそのまま残っています。検索に入れる前に消さないと、他の面接官の回答に別の候補者の事情が出ます。

6番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成のあとでは有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 「避けてください」という断片は、見出しが無いと何を避けるのか分かりません。分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、聞き取った職種と段階に当たる手引き・評価基準・公的資料の記載を見つけ、面接官が面接の前に読める短い答えを、根拠を付けて返すことです。 何を聞き返すか、何を回すかは、回す条件の表で中継プログラムが決めます。

要素中身根拠
答え質問の可否、または進め方を2〜3文手引き、評価基準
当たる事項公的資料の14事項のどれに当たるか公正な採用選考の資料
代わりの聞き方手引きの表にある聞き方手引きの付録
根拠文書の名前と章・ページすべて

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session問い合わせごとのセッション聞き返しと続けての質問をつなぐ
includeCitations有効回答に手引きのページを付ける
ignoreLowRelevantContent有効手引きに無い話に答えない
ignoreNonAnswerSeekingQuery有効あいさつや雑談で検索しない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い回答を出さない
filter文書の種類、職種、段階、版その職種と段階に効く記載だけにする
userPseudoId面接官ごとの仮の識別子記録と結びつける。個人を特定できる値は入れない
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
候補者の合否・評価の判断面接官と採用担当が評価基準で決める
手引きに無い言い換えの作成別の避けるべき事項に触れることがある
「この程度なら聞いてよい」という線引き線引きは採用担当が決める
一般的な面接のノウハウで補う自社の手引きと違いうる
候補者の事情への言及質問の文に候補者の事情が書かれていても扱わない

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「家族構成を雑談として軽く聞くのは」に、モデルは「雑談の範囲なら」と線を引きたがります。厚生労働省の資料は、面接の空気を和らげるために家族のことを聞いてしまうケースが多いと注意しています。 線引きの言葉を返させないことが、この構成の要です。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは人事部の採用担当として、
面接官から届く質問の可否と選考の進め方の問い合わせに答えます。
読むのは、面接の直前に確かめている社員です。短く答えてください。

【前提】
検索の文の最初に、職種、選考の段階、問い合わせの種類が並んでいます。
その職種と段階に当たる記載だけを使って答えてください。

【質問の可否を聞かれたとき】
1. 手引きで避ける事項とされているか、公的資料の14事項に当たるかを、
   根拠の文書の言葉のまま書いてください。
2. 手引きの「聞きたいこと→職務に関わる聞き方」の表に当たる行があれば、
   その聞き方をそのまま書いてください。表に無い言い換えを作らないでください。
3. どちらにも当たらないときは「手引きに記載がありません。採用担当へ回します」
   とだけ書いてください。

【選考の進め方を聞かれたとき】
1. 手引きと評価基準に書かれた手順を、順番どおりに書いてください。
2. 誰に連絡するか、いつまでにするかが書いてあれば、それも書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで答えてください。
  一般的な面接の考え方や他社の例で補わないでください。
- 「この程度なら」「雑談であれば」のような線引きを書かないでください。
- 候補者の合否や評価を書かないでください。
- 質問の文に候補者の事情が書かれていても、それには触れないでください。
- 最後に、根拠にした文書の名前と章・ページを書いてください。

「表に無い言い換えを作らない」が、この指示の要です。 例えば「出身地」の代わりに「どちらで育ちましたか」と言い換えれば、同じ事項を別の言葉で聞いているだけです。 モデルはこうした言い換えを自然に作れてしまうため、聞き方は採用担当が確かめた表からしか返させません。

検索の文は、中継プログラムが組み立てます。 例えば「職種:エンジニア、段階:一次面接、種類:質問の可否。通勤時間を聞いてよいか。聞いてよくない場合の聞き方を教えてください」のように、条件を先に並べ、面接官の質問の文を最後に足します。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、チャットツールと記録に渡します。

{
  "inquiry_id": "",
  "session_id": "",
  "job_family": "engineering | sales | customer_success | corporate",
  "stage": "screening | first | second | final",
  "category": "question_check | process | other",
  "status": "answered | escalated | skipped",
  "escalate_reason": "already_asked | accommodation_request | candidate_complaint | exception_to_criteria | not_in_guide | version_mismatch | skipped | user_request | none",
  "answer_text": "",
  "public_item": "family | birthplace | housing | living_environment | religion | belief | ideology | reading | political_party | respected_person | union_or_movement | background_check | health_check | none",
  "alternative_question": { "text": "", "guide_ref": "" },
  "refs": [ { "doc_type": "guide | criteria | public | qa", "title": "", "section": "", "version": "", "uri": "" } ],
  "feedback": "resolved | escalated_after | wrong | none"
}

1つ目の理由は、public_item で問い合わせの傾向を数えられることです。 family が多ければ、面接官の研修で家族の話題を重点的に扱う材料になります。 厚生労働省の資料が「家族に関すること」の質問が多いとしているのと同じ傾向が、自社でも出ているかを確かめられます。

2つ目は、alternative_question に guide_ref を必須にできることです。 中継プログラムは、guide_ref が空の代わりの聞き方を表示しません。手引きの表に無い言い換えが混ざったときの歯止めです。

3つ目は、escalate_reason で回った理由を数えられることです。 not_in_guide が多い話題は手引きの書き足しが要り、already_asked が多い職種は、その職種の面接官の研修を見直す材料になります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
社内のチャットツールボット質問を受け、聞き返しと回答を表示する
社内の ID 基盤Workforce Identity Federation面接官の所属と職種で閲覧の範囲を決める
面接官の一覧読み取り担当する職種、研修を受けた日を引く
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し面接官の ID で、手引き・評価基準・資料から回答を作る
採用担当の待ち行列書き込み回す問い合わせを、条件と一緒に載せる
問い合わせの記録書き込み質問・条件・回答・評価を残す

応募者管理の仕組みと評価シートには、書き込みません。 チャットが出すのは手引きの案内までで、評価を書くのは面接官、合否を決めるのは面接官と採用担当です。

Step9

人が確認する

面接官は、回答を読んだあと、根拠の手引きのページを開いてから面接に臨みます。 回答の上には、選んだ職種と段階を必ず並べて表示します。

  1. 職種と段階が合っているかを見る … 別の職種の評価基準で答えていないかを確かめます
  2. 代わりの聞き方を読む … 自分の確かめたいことに合っているかを見ます
  3. 評価を付ける … 解決した/採用担当へ回した/誤りを選びます

採用担当は、回ってきた問い合わせだけを見ます。 already_asked は当日のうちに面接官と話し、記録を残して候補者への対応を決めます。 回答した内容を手引きに足すかは、月に一度まとめて見直します。

目標は、240件をならして1件4分です。 チャットで解決した問い合わせの記録の確認と、回ってきた問い合わせへの対応の平均です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
面接官として登録されていない社員が使う使えない旨を表示し、採用担当の連絡先を示す
職種が決められない主な職種を選択肢で示し、選んでもらう
「もう聞いてしまった」が選ばれる答えを作らず already_asked で回す
候補者からの配慮や苦情の申し出答えを作らず回す
評価基準と違う判断をしたい答えを作らず exception_to_criteria で回す
手引きに該当する記載が無いnot_in_guide で回す
代わりの聞き方の根拠が空聞き方を表示せず、可否と根拠だけを返す
面接の開始まで時間が無い「面接開始まで○分」を選べるようにし、回すときは待ち行列の先頭に載せる
検索の呼び出しが失敗する「回答を作れませんでした」と表示し、採用担当の連絡先を示す

3行目と4行目は、運用の約束として面接官に伝えておきます。 聞いてしまったことを隠さずに報告できる窓口だと分かっていないと、面接官は「聞いてよかったか」という形で聞き、チャットの答えで済ませてしまいます。

Step11

記録を残す

  • 質問の文、選んだ聞き返しの値、日時、面接官の仮の識別子、職種、段階
  • 中継プログラムが組み立てた検索の文と、使った絞り込みの式
  • answer メソッドの応答の全文(回答、出典、根拠のスコア、回答しなかった理由)
  • 回す・回さないの判定と、その理由、採用担当が最終的に答えた内容
  • そのとき効いていた手引きと評価基準の版、公的資料を取り込んだ日

最後の行は、候補者から問い合わせや申し立てがあったときに効きます。 その日の面接官が、どの版の手引きでどう案内されていたかを示せるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:手引き・評価基準・公的資料を手元のAIサービスに読み込ませ、採用担当が問い合わせを貼って聞く / 該当する箇所の検索
半自動化:上記+データストアを作り、採用担当が問い合わせを受けながら検索画面で聞く / 根拠付きの回答と、職種・段階に合った評価基準の選択
本格構成:上記+面接官がチャットツールで直接聞き、聞き返しと回す判断、閲覧の範囲の出し分けを行う / 問い合わせの受け付けから回答・引き継ぎまで

半自動化で、1件12分が8分程度になります。 探す時間は縮みますが、チャットでの聞き返しと、採用担当が全件を受ける形が残ります。本格構成で4分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、手引きに答えのある問い合わせが、採用担当を通らずに面接官の側で解決するからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、採用担当が回答の前に何を聞き返しているかを拾い、聞き返しの選択肢と回す条件の表の元にします。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
240 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
4 分
現在  240件 × 12分 ÷ 60 = 48 時間/月
導入後 240件 × 4分 ÷ 60 = 16 時間/月
月間削減時間
32h
削減率
67%
年間削減時間
384h
年間金額換算(時間単価4,000円)
154万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 中途採用を通年で行い、現場のマネージャーやエンジニアが面接官を務める企業。面接官が百名を超え、面接の前後に「これは聞いてよいか」「評価が割れたらどうするか」の質問がチャットやメールで採用担当に届いている場合。面接官の手引きと職種ごとの評価基準が文書になっている場合。社内の文書を Google Cloud に置くことが規程で認められている場合。
向いていない
  1. 面接官が数名で、採用担当が全員と毎回打ち合わせできる場合。面接官の手引きが無く、聞いてよいことと選考の手順が採用担当の口頭の説明だけで伝わっている場合(根拠にする文書が無いので、まず手引きを書くのが先です)。合否や評価そのものをAIに決めさせたい場合(この構成は手引きと資料の該当箇所を示すだけで、選考の判断は面接官と採用担当が行います)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月と先々月に面接官から届いた問い合わせを30件選ぶ(質問の可否と、採用担当が判断した問い合わせを数件ずつ入れる)
  2. その30件について、採用担当がどの資料を見てどう答えたかを記録から拾う
  3. 面接官の手引き、関係する職種の評価基準、厚生労働省の2つのページを、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
  4. 職種・段階を並べて貼り、「添付の資料だけを根拠に答えてください。聞き方の例は手引きの表にあるものだけを書いてください。線引きの言葉は書かないでください」と指示する
  5. 出てきた回答を、当時の採用担当の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ根拠で同じ答えが出たデータストアの構築に進む
線引きの言葉や、表に無い言い換えを書いた指示の書き方で直る。構成は有効
代わりの聞き方を返せない手引きに聞き方の表を作るのが先。 検索の問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 採用担当がその場で考えていた聞き方が、手引きに書かれていないと分かったということです。 30件の当時の回答から表の最初の行を作り、同じ30件で試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「雑談なら」のような線引きを返す線引きの言葉を禁じ、線引きは採用担当が手引きに書く
同じ事項を別の言葉で聞く言い換えを作る聞き方は手引きの表からだけ返し、根拠の空いた聞き方を表示しない
「聞いてしまった」に可否だけ答える回す条件の表に入れ、答えられても答えさせない
別の職種の評価基準で答える面接官の職種で絞り込み、画面に職種を出す
他の職種の報酬の幅が見える閲覧の範囲を付けるか、職種ごとにデータストアを分ける
問い合わせ集から候補者の事情が出る取り込む前に氏名と事情を消す
公的資料が古いまま取り込んだ日を持たせ、半年に一度確かめる
見出しの無い断片で答える作成時に includeAncestorHeadings を有効にする。後から変えられない

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、面接官にとっては親切に見える答えが、結果として避けるべき事項を聞く手助けになるという失敗です。聞き方を採用担当の確かめた表からしか出さないことで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 面接官の手引き、職種ごとの評価基準(合否の目安、報酬の幅)、公的資料、過去の問い合わせ集、面接官の質問の文です。質問の文には、面接官が候補者の事情を書いてしまうことがあります。

  1. 候補者の情報を入れさせない … チャットの画面に「候補者の氏名や事情は書かないでください」と表示し、職種と段階は選択肢で入れさせます。書かれた場合も、検索の文には質問の部分だけを渡します
  2. 合否と評価をAIに作らせない … 厚生労働省の資料は、採否は職務の遂行に必要な適性・能力の観点で、あらかじめ定めた基準に従って評価するとしています。評価するのは面接官で、チャットは基準の場所を示すだけです
  3. 聞いてしまった事案を記録として扱う … already_asked は採用担当が記録を残し、候補者への対応を決めます。チャットの回答で完結させません
  4. 評価基準を出し分ける … 職種ごとの合否の目安と報酬の幅は、その職種の面接官だけに出します
  5. 問い合わせの記録の保存の期間を決める … 選考に関する申し立てに答えられる期間だけ残し、期間を過ぎたら消します

誤りが起きた場合のリスクは、避けるべき事項を聞く手助けをしてしまうことと、聞いてしまった事案が採用担当に届かないことの2つです。 前者は聞き方の表と線引きの禁止で、後者は回す条件の規則で防ぎます。どちらも規則と表で守り、AIの回答の文に頼りません。

10まず何から始めるか

1週目:「聞きたいこと→聞き方」の表を作る

過去半年の問い合わせから、面接官が確かめたかったこと(転居の可否、勤務時間の制約、体力の要る作業への対応など)を拾い、職務に関わる聞き方を1行ずつ書きます。 1行ごとに、14事項に触れていないかを採用担当2名で確かめます。

2週目:30件で試す

過去の問い合わせから30件を選び、手元のAIサービスに手引き・評価基準・公的資料・表を読み込ませて聞きます。線引きの言葉と、表に無い言い換えを書いていないかを最優先で見ます。

3週目:回す条件の表を決める

「聞いてしまった」「配慮の申し出」「苦情」「評価基準の例外」を中心に、聞き返す項目と回す値を表にし、採用グループのリーダーの承認を取ります。

4週目:データストアを作る

閲覧の範囲と分割・見出しの設定を決めて、手引き・評価基準・公的資料・問い合わせ集を取り込みます。採用担当が検索画面で使い、自分の回答と比べます。

2か月目: 中継プログラムとボットを作り、エンジニア職の面接官30名で試します。回った理由を毎週数えます。3か月目以降: 全職種に広げ、1件12分が何分になったかを実測します。採用担当に届く問い合わせが、判断の要るものだけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-07/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドがセッションによる複数回のやり取りに対応し、質問の言い換えが既定で有効なこと。includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreNonAnswerSeekingQuery、preamble、filter、session。groundingSpec の filteringLevel で根拠の弱い回答を落とせること。userPseudoId に個人を特定できる情報を入れてはならないことGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-07
絞り込みの ANY()、比較の演算子、AND/OR、項目を索引可能にする必要があること、日付を ISO 8601 で書くことGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-07
レイアウトパーサーが表と見出しを検出し、PDF・HTML などを扱えること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割は作成後に切り替えられないことGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-07
データソースのアクセス制御がプレビューの機能であること。データストアの作成時にしか設定できないこと。Microsoft Entra ID などを Workforce Identity Federation でつなげることGoogle Cloud: Set up data source access control2026-10-07
就職差別につながるおそれがある14事項(本人に責任のない事項の把握、本来自由であるべき事項の把握、採用選考の方法)と、これらに限られないこと。「家族に関すること」の質問が多く、面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いこと厚生労働省 公正採用選考特設サイト: 採用選考時に配慮すべき事項2026-10-07
面接の質問事項をあらかじめ決め、職務遂行のために必要な適性・能力を評価するために必要な事項とすること。家族のことをたずねる事案が大変多いこと。複数の面接担当者で意思統一を図ること。評価基準をあらかじめ決めること。採否はあらかじめ定めた基準に従って総合的に評価すること厚生労働省 公正採用選考特設サイト: 採用選考の具体的な方法2026-10-07

どの質問を避けるか、評価基準の例外をどう扱うかは、自社の採用の方針と、必要に応じて労働局・ハローワークの助言に従ってください。 本記事は Google Cloud と厚生労働省の公開ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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