Media > AI活用ユースケース > 総務 > 毎月届く単位認定・読み替えの申請に、他校のシラバスと自校のシラバスを内容で突き合わせ、対応する科目の候補と根拠を出す

毎月届く単位認定・読み替えの申請に、他校のシラバスと自校のシラバスを内容で突き合わせ、対応する科目の候補と根拠を出す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

学生が単位認定や読み替えを申請した他校の科目について、そのシラバスを自校のシラバスと突き合わせ、対応しそうな自校の科目の候補を、到達目標・授業計画・評価方法の根拠付きで並べます。教務課の担当者が、教員に回す比較の資料を作る時間を縮めます。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
対象業界
教育
対象部門
総務
対象業務
情報検索/比較検討
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
判断支援/品質標準化/検索時間短縮
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
60%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 申請を受け付け、他校の科目名・単位数・シラバスの写しを確かめる
  2. 他校のシラバスを読み、内容を把握する
  3. 自校の科目一覧から、名前の近い科目を探す。学生の学科の教育課程表も見る
  4. 候補の科目のシラバスを開き、到達目標・授業計画・評価方法・単位数を見比べる
  5. 他校の科目と自校の候補を並べた比較表を作り、該当の分野の教員に回す
  6. 教員が判断し、教授会の資料にまとめる
  7. 認定した単位を教務システムに入力し、これまでに認めた単位の合計を確かめる
導入後(After)
  1. 人申請を受け付け、他校のシラバスを申請の番号付きで受付フォルダに置く
  2. 自動シラバスから文字を取り出し、到達目標・授業計画・評価方法・単位数の見出しで区切る
  3. 自動区切った文を埋め込みにし、自校のシラバスの索引をハイブリッド検索で引く
  4. 自動学生の学科と入学年度の教育課程で絞り、科目ごとにまとめて上位5科目を返す
  5. 自動Claude に他校のシラバスと候補のシラバスを検索結果として渡し、対応する文を引用付きで書かせる
  6. 自動これまでに認めた単位の合計を教務システムから数え、上限に近ければ印を付ける
  7. 人担当者が候補と引用を確かめ、比較表を整えて教員に回す
  8. 人教員が判断し、教授会の資料にまとめる
  9. 人認定した結果を教務システムに入力する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 申請を受け付け、他校の科目名・単位数・シラバスの写しを確かめる
  2. 他校のシラバスを読み、内容を把握する
  3. 自校の科目一覧から、名前の近い科目を探す。学生の学科の教育課程表も見る
  4. 候補の科目のシラバスを開き、到達目標・授業計画・評価方法・単位数を見比べる
  5. 他校の科目と自校の候補を並べた比較表を作り、該当の分野の教員に回す
  6. 教員が判断し、教授会の資料にまとめる
  7. 認定した単位を教務システムに入力し、これまでに認めた単位の合計を確かめる

(a)名前で探すしかない。 3番目は、教務システムの科目名の検索で探します。名前の違う同じ内容の科目は、担当者がたまたま知っていなければ候補に上がりません。 候補なしとして教員に回すと、教員が自分で探し始めます。

(b)見比べに時間がかかる。 4番目は、他校の15回分の授業計画と、自校の候補3科目の15回分を並べて読む作業です。1科目に10分かかることもあります。

(c)担当者によって候補が違う。 経験の長い担当者は、教育課程の改編で名前が変わった科目や、学科をまたいで内容の近い科目を知っています。同じ申請でも、誰が受けたかで候補の数が変わります。

(d)単位数の合計を見落としやすい。 大学設置基準では、他の大学での修得単位と入学前の既修得単位などを合わせて、編入学・転学などの場合を除き、60単位を超えないとされています。科目ごとの判断に気を取られると、合計の確認が後回しになります。

  1. 【人】 申請を受け付け、他校のシラバスを申請の番号付きで受付フォルダに置く
  2. 【自動】 シラバスから文字を取り出し、到達目標・授業計画・評価方法・単位数の見出しで区切る
  3. 【自動】 区切った文を埋め込みにし、自校のシラバスの索引をハイブリッド検索で引く
  4. 【自動】 学生の学科と入学年度の教育課程で絞り、科目ごとにまとめて上位5科目を返す
  5. 【自動】 Claude に他校のシラバスと候補のシラバスを検索結果として渡し、対応する文を引用付きで書かせる
  6. 【自動】 これまでに認めた単位の合計を教務システムから数え、上限に近ければ印を付ける
  7. 【人】 担当者が候補と引用を確かめ、比較表を整えて教員に回す
  8. 【人】 教員が判断し、教授会の資料にまとめる
  9. 【人】 認定した結果を教務システムに入力する

7番目で担当者が見るのは、候補の選び方ではなく引用の対です。 引用が正しく対応していれば比較表はほぼでき上がっており、担当者は抜けている観点を書き足すだけで済みます。

6番目の単位の合計は、AIを通しません。 教務システムの記録から足し算するだけです。数えれば分かることに推測を挟みません。 60単位の上限の扱いは入学の経路によって変わるので、上限に近いという印までにとどめ、判断は担当者が行います。

02今回想定するシステム構成

構成図
申請(他校の科目名・単位数・シラバスの写し)
   ▼【トリガー】受付フォルダへの保存(申請の番号付き)
AWS Lambda
   ├──▶ 文字の取り出し、見出しでの区切り
   ▼
Amazon Titan Text Embeddings V2(Amazon Bedrock)── 区切った文をベクトルに
   ▼
Amazon OpenSearch Service ── 自校のシラバスの索引(年度・学科・科目・見出しごと)
   │   ハイブリッド検索(言葉の一致+意味の近さ)
   │   教育課程の年度・学科で絞り込み、科目番号で collapse
   ▼
Claude API ── 検索結果のブロックで渡し、対応する文を引用付きで書く
   ▼
AWS Lambda ── 引用から比較表を組み立て、単位の合計の印を付ける
   ▼
【人】担当者が確かめて教員へ → 教員が判断 → 教授会
役割想定する製品代替候補
検索基盤Amazon OpenSearch Service(ハイブリッド検索、collapse、日本語の形態素解析)Azure AI Search、Vertex AI Search(Agent Search)
埋め込みAmazon Titan Text Embeddings V2(Amazon Bedrock)Cohere Embed v4
生成AIClaude API(検索結果の引用付きの読み比べ)OpenAI API、Gemini API
連携AWS Lambda(取り込み、検索の呼び出し、比較表の組み立て)AWS Step Functions

教務システムは、新しく足すものではありません。 自校のシラバスを毎年の確定後に書き出して索引に入れ、単位の記録は読み取るだけです。教務システムの書き出しの形式は製品によって違うため、この部分は利用環境に合わせた個別の実装になります。 認定の結果は、これまでどおり担当者が教務システムに入力します。

検索の中心は、OpenSearch のハイブリッドクエリです。 複数のクエリの関連性スコアを1つのスコアにまとめるもので、組み合わせられるクエリ句は最大5つです。この構成では、形態素解析をかけた言葉の一致と、埋め込みによる意味の近さの2つを使います。「回帰分析」「t検定」のような専門用語は言葉の一致で、「表計算ソフトでデータを整理する」と「スプレッドシートの基本操作」の近さは意味の側で拾います。

科目ごとにまとめるのは、ハイブリッドクエリの collapse です。 3.1で導入され、指定した項目の値ごとに最もスコアの高い文書だけを返します。 項目は keyword か数値の型である必要があり、同じ科目のほかの文を追加で取り出す inner_hits は3.2からです。シラバスは見出しごとに区切って入れるので、まとめないと同じ科目の到達目標と授業計画が上位を埋めます。

日本語の形態素解析は、Sudachi を想定します。 Amazon OpenSearch Service で日本語向けに推奨されたプラグインで、kuromoji はすべてのドメインに入っています。Sudachi の辞書を差し替えても、次のブルー/グリーンのデプロイまで反映されないとされているので、専門用語の辞書を足したときは新しい索引に入れ直して別名で切り替えます。

埋め込みは、Amazon Titan Text Embeddings V2 です。 入力は8,192トークンまたは50,000文字までで、英語に最適化され、日本語は多言語対応の一覧に含まれます。 言語をまたいだ検索は精度が落ちるとされているので、英語のシラバスは日本語に訳してから引きます(第7章の前処理)。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

申請の受付で、担当者が他校のシラバスを受付フォルダに置いたことを起点にします。 ファイル名には申請の番号と科目の順番を入れます。1つのファイルに複数の科目のシラバスが入っているときは、担当者が科目ごとに分けてから置きます。 分けずに置くと、2つの科目の授業計画が混ざって1つの科目として引かれます。

もう一つの起点は、自校のシラバスの確定です。 毎年、次の年度のシラバスが確定したら、その年度の分を索引に足します。前の年度の分は消しません。 読み替えは、学生が入学した年度の教育課程で行うからです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
申請の情報申請の番号、学生の学科・入学年度・入学の経路(編入学・一般など)、他校の学校名・科目名・単位数申請の受付フォーム
他校のシラバス到達目標、授業計画、評価方法、教科書。PDFまたは印刷物学生が提出
自校のシラバス年度、科目番号、科目名、単位数、配当年次、到達目標、授業計画、評価方法教務システムの書き出し
教育課程表学科・入学年度ごとの開講科目と必修・選択の区分教務課の一覧
これまでの認定の記録学生ごとに認めた単位と、その根拠の区分教務システム
過去の認定の判断他校の科目と、読み替えた自校の科目、教員のコメント教務課の記録

質を決めるのは、自校のシラバスが見出しごとに分かれているかです。 到達目標・授業計画・評価方法が別々の項目で入っていれば、それぞれを別の文として索引に入れ、引用もその単位で示せます。 1つの欄に全部が書かれている年度の分は、取り込みのときに見出しで区切ります。

過去の認定の判断は、別の索引にします。 同じ学校の同じ科目が以前にも申請されていれば、そのときの判断がいちばん強い材料になります。ただし、自校の教育課程が改編されていれば、当時の読み替え先がもう無いこともあります。

Step3

データの取得方法を決める

自校のシラバスの索引は、1つの文書を「1科目の1つの見出し」にします。

項目型使い方
course_idkeywordcollapse の単位
year departmentkeyword教育課程の年度・学科での絞り込み
sectionkeyword(到達目標/授業計画/評価方法)引用で示す見出し
texttext(Sudachi)言葉の一致
vectork-NN のベクトル意味の近さ
credits数値比較表に並べる

他校のシラバスも同じ見出しで区切り、見出しごとに検索します。 到達目標で引いた結果と授業計画で引いた結果を、科目ごとに合わせて順位を付けます。評価方法では引きません。 評価方法は試験かレポートかの違いで、内容が対応しているかの手がかりにならないからです。

{
  "size": 5,
  "query": {
    "hybrid": {
      "queries": [
        { "match": { "text": "記述統計 度数分布 相関 回帰分析 表計算" } },
        { "knn": { "vector": { "vector": [0.013, -0.022], "k": 50 } } }
      ],
      "filter": { "bool": { "must": [
        { "term": { "year": "2024" } },
        { "terms": { "department": ["経営学科", "全学共通"] } },
        { "term": { "section": "授業計画" } }
      ] } }
    }
  },
  "collapse": { "field": "course_id" }
}

過去の認定の判断の索引は、他校の学校名と科目名で先に引きます。 こちらは言葉の一致だけで足ります。同じ学校の同じ科目が見つかれば、そのときの判断と読み替え先を候補の先頭に置きます。見つかった場合も、自校のシラバスの検索は省きません。 当時の読み替え先が改編で無くなっていれば、今の教育課程の候補が要るからです。

絞り込みには、学生の学科だけでなく「全学共通」を必ず入れます。 教養の科目は学科の教育課程表に載らないことが多く、入れ忘れると、いちばん対応しやすい科目が候補から消えます。

collapse を使うと、返る科目が size より少なくなることがあります。 公式ドキュメントでは、上位の文書が同じ科目に集まると、まとめたあとの数が減るとされています。index.neural_search.hybrid_collapse_distinct_groups_enabled を有効にすれば、size の数だけ別の科目が返ります。 候補を5科目そろえたいので、この設定を有効にします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 文字の取り出し … PDFの文字の層から取り出します。文字の層の無いスキャンは、学生に電子版の提出をお願いするか、担当者が要点を入力します
  2. 見出しでの区切り … 「到達目標」「授業の概要」「授業計画」「成績評価」などの見出しを手がかりに区切ります。学校によって見出しの言葉が違うので、見出しの言い換えの一覧を持ちます
  3. 授業計画の整形 … 「第1回」「1.」のような回の番号を落とし、各回の主題だけを並べます。番号が残ると、言葉の一致が番号で当たります
  4. 英語のシラバスの翻訳 … 留学先のシラバスは日本語に訳してから引きます。訳した文と原文の両方を残し、教員には原文も見せます
  5. 長さの確認 … 埋め込みの入力は8,192トークンまたは50,000文字までです。シラバス1科目なら収まりますが、見出しごとに区切ったほうが引用の単位として使いやすくなります
  6. 単位数と授業時間の取り出し … 他校の単位数と授業の回数・時間を項目として取り出し、比較表に並べるだけにします
  7. 申請の情報との照合 … シラバスの科目名・単位数を、申請フォームに書かれた科目名・単位数と照らします。食い違えば別の科目のシラバスが添えられている可能性があるので、検索の前に担当者へ戻します

2番目に手間がかかります。 見出しの付け方は学校ごとに違い、「学修目標」「到達目標」「授業のねらい」が同じ意味で使われます。最初の3か月で出てきた言い換えを一覧に足していけば、その後はほとんど増えません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、他校の科目と自校の候補の科目を見比べ、到達目標と授業計画のどの文が対応しているかを、引用で示すことです。

渡し方は、Claude の検索結果のブロック(search_result)にします。他校のシラバスと自校の候補を、それぞれ1つの検索結果として渡し、source に科目番号と年度、title に科目名を入れます。 中身の content は見出しごとの文に分けて入れます。引用は content の文の単位で付くので、分けておけば「到達目標のこの文」と「授業計画の第3回」が対応する、という形で返ります。

させること中身
対応する文の対他校の到達目標・授業計画の文と、自校の文の対応。引用で示す
対応しない内容他校の科目にあって自校の候補に無い主題、その逆
対応の程度の区分「大部分が対応」「一部が対応」「対応が見当たらない」のどれか
させないこと理由
認定の可否を書く判断は教員が行う
単位数の比較から結論を出す単位数は比較表に並べるだけ。扱いは大学の定め
60単位の上限の判断合計は教務システムで数え、上限の扱いは担当者が見る
候補に無い自校の科目を挙げる検索で引いた科目の中からだけ選ばせる
シラバスに無い内容を補う「一般にこの科目では〜を扱う」と書かせない
評価方法の違いで程度を下げる内容の対応と、評価の違いは分けて書く

候補は5科目に絞ってから渡します。 多く渡すほど、どれかの科目に近い文が見つかり、「一部が対応」が増えて比較表が長くなります。 教員が読むのは比較表なので、候補の数は検索の側で決めます。

下から2行目が、いちばん起きやすい失敗です。 他校のシラバスが短いと、「統計学の科目であれば、通常は推測統計も扱うと考えられる」のように、書かれていない内容を補って対応させます。 対応の根拠にできるのは、シラバスに書かれた文だけです。

Step6

指示内容を固定する

あなたは大学の教務課で、単位認定の申請に添えられた他校のシラバスと、
自校の科目のシラバスを見比べる担当です。判断をするのは教員です。
あなたは、教員が判断しやすいように、対応する箇所を示してください。

【渡すもの】
- 他校の科目のシラバス(検索結果1)
- 自校の候補の科目のシラバス(検索結果2〜6)

【書くこと】自校の候補の科目ごとに、次の見出しで書いてください。
1. 対応している内容 … 他校の文と自校の文の対応を、両方を根拠にして書く
2. 他校の科目にあって、この科目に無い内容
3. この科目にあって、他校の科目に無い内容
4. 対応の程度 … 「大部分が対応」「一部が対応」「対応が見当たらない」のどれか1つ

【厳守事項】
- 対応の根拠は、渡したシラバスの文だけにしてください。シラバスに
  書かれていない内容を、一般的な授業の内容から補わないでください。
- 他校のシラバスが短く判断できないときは、4を「対応が見当たらない」とせず
  「シラバスの記載が少なく判断できない」と書いてください。
- 単位を認めるべきか、読み替えるべきかを書かないでください。
- 単位数や授業の回数の違いから結論を出さないでください。
- 評価方法の違いは、1〜3とは別に1文で書いてください。
- 渡していない自校の科目に触れないでください。

「判断できない」を別に言わせるのが大事です。 何も言わなければ、記載の少ないシラバスは「対応が見当たらない」になります。教員にとって、この2つはまったく違います。 前者は学生に詳しい資料を求めるもの、後者は認定しない方向の材料です。

「両方を根拠にして書く」は、引用を両側に付けさせるための指示です。 片方のシラバスだけを根拠にした文は、対応を示したことになりません。

Step7

出力形式を固定する

応答は、引用の付いたテキストのブロックで返ります。 引用は次の形です。

{
  "type": "text",
  "text": "他校の第4回〜第6回の相関と回帰の主題が、この科目の第8回〜第10回に対応する",
  "citations": [
    { "type": "search_result_location",
      "source": "OTHER-2026-031-02",
      "title": "データ分析入門(他校)",
      "cited_text": "相関係数と単回帰分析",
      "search_result_index": 0, "start_block_index": 3, "end_block_index": 4 },
    { "type": "search_result_location",
      "source": "2024-BA2105",
      "title": "経営統計",
      "cited_text": "相関と回帰による関係の把握",
      "search_result_index": 1, "start_block_index": 7, "end_block_index": 8 }
  ]
}

引用の cited_text は、渡した content の文の範囲をそのまま写したもので、文の途中だけを引くことはしないとされています。見出しごと、授業計画なら回ごとに文を分けて渡すのは、このためです。

Lambda は、引用から比較表を組み立てます。

他校の科目の文自校の科目自校の文程度
相関係数と単回帰分析(授業計画)経営統計(2024年度)相関と回帰による関係の把握(第8回)一部が対応

引用が片側にしか付いていない文は、比較表に入れません。 対応の主張として不完全だからです。引用の付いていない文も入れません。 単位数・授業の回数・評価方法の列は、AIの出力ではなく、前処理で取り出した項目から埋めます。

Lambda は、引用の source が渡した科目のどれかであることも確かめます。 渡していない科目番号を指す引用は、比較表に入れません。

引用はすべての検索結果で有効にするか、すべてで無効にする必要があります。 一部だけ有効にするとエラーになるので、渡す検索結果はすべて citations.enabled=true にします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付フォルダ保存の通知他校のシラバスが置かれたことを受ける
教務システム書き出しの読み取り自校のシラバス、教育課程表、これまでの認定の記録
Amazon BedrockAPI呼び出しTitan Text Embeddings V2 で文を埋め込む
Amazon OpenSearch Service検索ハイブリッド検索と collapse で候補の科目を返す
Claude APIAPI呼び出し検索結果のブロックで渡し、引用付きで読み比べる
共有フォルダ書き出し比較表と引用の一覧を、申請の番号ごとに置く

教務システムには書き込みません。 認定の結果の入力は、教員の判断と教授会のあとに担当者が行います。

Step9

人が確認する

  1. 候補の科目を見る … 学生の学科と入学年度の教育課程の科目か、全学共通の科目かを確かめます
  2. 引用の対を読む … 比較表の対が本当に同じ内容を指しているかを確かめます。名前が同じだけの対応を見逃さないようにします
  3. 「判断できない」の科目を分ける … 学生に詳しい資料を求めるか、教員に先に相談します
  4. 単位の合計の印を見る … 上限に近い学生は、入学の経路と認定の根拠の区分を確かめます
  5. 教員に回す … 比較表と引用の一覧を、該当の分野の教員に送ります

2番目で対が誤っていたら、担当者は比較表から外し、外した理由を残します。 この記録が、授業計画の区切り方や指示を直す材料になります。

目標は、300科目をならして1科目8分です。 候補と引用が正しければ、確かめて体裁を整えるだけで済みます。候補が外れている科目は、従来どおり教育課程表から探します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
シラバスに文字の層が無い学生に電子版を求めるか、担当者が要点を入力する
見出しが見つからず区切れない全文を1つの文として引き、担当者が区切りを直す
1つのファイルに複数の科目が入っている担当者が分けて置き直す
候補が1科目も返らない絞り込みを外して全学科で引き直し、印を付ける
返った引用の科目が候補に無いその引用を比較表に入れない
過去に同じ科目の認定の判断がある過去の判断を先頭に示す。読み替え先が今の教育課程にあるかを確かめる
英語以外の外国語のシラバス翻訳の精度を担当者が確かめてから引く
他校と自校で単位数が大きく違う比較表に並べて印を付ける。扱いは大学の定めで、AIは触れない
埋め込み・検索・Claude API が応答しない再試行は3回まで。担当者は従来どおり科目名で探す

6行目は、この構成でいちばん効く例外です。 編入学の多い大学では、同じ短期大学の同じ科目が毎年申請されます。過去の判断が引ければ、教員が同じ判断を繰り返さずに済みます。

Step11

記録を残す

  • 申請の番号、他校のシラバスの元のファイルと、区切ったあとの文
  • 検索の条件(年度・学科の絞り込み)と、返った候補の科目と順位
  • Claude に渡した検索結果と、引用付きの応答の全文
  • 組み立てた比較表と、担当者が直した箇所
  • 教員の判断の結果(認めた/認めない/資料を求める)と、読み替えた自校の科目

最後の行が、過去の認定の判断の索引に入ります。 判断がたまるほど、6行目の例外が効く場面が増えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:他校と自校のシラバスを手元のAIサービスに貼り、対応する文を示させる / 読み比べ
半自動化:上記+自校のシラバスを OpenSearch に入れ、担当者が検索画面で候補の科目を引く / 候補を探す作業
本格構成:上記+受付フォルダを起点に自動で引き、引用付きの比較表と単位の合計の印まで出す / 探す・見比べる・表にするの全体

半自動化で、①の「探す」が縮みます。 名前の違う同じ内容の科目が、意味の近さで上がってきます。本格構成で比較表まで自動で出るようになり、この段階が本記事の想定です。 半自動化の期間に、見出しの言い換えの一覧を育てます。 担当者が検索画面に貼った他校のシラバスで区切りがうまくいかなかった見出しを、一覧に足していきます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
8 分
現在  300件 × 20分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 300件 × 8分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
60%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価3,000円)
216万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 編入学・社会人入学・留学からの帰国・他大学との単位互換などで、単位認定や読み替えの申請が年間を通じて届く大学・短期大学・専門学校。自校のシラバスが電子データで年度ごとに残っている場合。教務の担当者が申請の科目ごとに自校の科目を探し、教員に回す比較の資料を手で作っている場合。
向いていない
  1. 申請が年に数十科目で、担当者が自校の科目を覚えていられる場合。自校のシラバスが紙や画像でしか残っていない場合(先に電子化する)。協定校との間で読み替えの対応表がすでに決まっており、表を引くだけで済む場合。認定の可否そのものをAIに決めさせたい場合(本記事は候補と根拠までで、判断は教員が行います)。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の申請から20科目を選ぶ(名前の違う科目に読み替えたものを半分入れる)
  2. その科目の他校のシラバスと、実際に読み替えた自校の科目、ほかに候補にした科目のシラバスを集める
  3. 手元のAIサービスに、他校のシラバスと自校の候補3科目のシラバスを貼り付ける
  4. 「到達目標と授業計画のどの文が対応しているかを、両方の文を写して示してください。単位を認めるべきかは書かないでください。書かれていない内容を補わないでください」と指示する
  5. 結果を、当時の比較表と教員の判断と比べる

ここで確かめるのは、検索ではなく読み比べです。 候補を人が選んでおけば、「対応する文の対を正しく示せるか」だけを見られます。

出てきた内容判断
当時の比較表と同じ対応が示された検索の仕組みに進む
書かれていない内容を補って対応させた指示の書き方で直る。構成は有効
名前が同じだけの科目を対応とした授業計画を回ごとに分けて渡す
シラバスの記載が少なく判断できない科目が多い学生に求める資料の書き方を見直す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
名前が同じだけの科目が上位に来る授業計画を回ごとに分け、内容で引く
同じ科目の見出しが上位を埋める科目番号で collapse する
候補が5科目そろわない別の科目を size の数だけ返す設定を有効にする
全学共通の科目が候補に出ない絞り込みに必ず「全学共通」を入れる
入学年度と違う年度の科目が出る教育課程の年度で絞り込む
書かれていない内容で対応させる補わないことを指示し、引用の無い文を比較表に入れない
記載が少ないのに「対応なし」になる「判断できない」を別の区分にする
英語のシラバスが当たらない訳してから引き、原文も残す
専門用語の辞書を足しても効かないSudachi の辞書は次のデプロイまで反映されない。索引を入れ直す
引用が文の途中を示さない文の単位で引用されるので、見出し・回ごとに分けて渡す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「候補として出てくるが、役に立たない」という形で現れます。授業計画を回ごとに分け、科目でまとめるという索引の作りで防ぎます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 学生の氏名・学籍番号・入学の経路・これまでの成績と認定の記録、他校のシラバス、自校のシラバスです。

  1. 検索とAIに渡すのはシラバスだけにする … 埋め込みと読み比べに、学生の氏名や成績は要りません。申請の番号で結び、個人の情報は教務システムの側に残します
  2. 認定の可否をAIに書かせない … 認めるかどうかは大学の判断です。出力から認定の結論を除き、比較の材料だけにします
  3. 他校のシラバスの扱いを決める … 学生が提出した他校のシラバスは、その申請の判断のために受け取ったものです。過去の判断の索引に入れて使い回す範囲を、学内で決めておきます
  4. 単位の上限の判断を機械に任せない … 60単位の上限は、編入学・転学などの場合を除くとされています。入学の経路で扱いが変わるので、印を付けるまでにとどめます
  5. 教員の判断の記録を評価に使わない … 教員ごとの認定の傾向は記録から見えますが、目的は次の判断の材料で、教員の比較ではありません

誤りが起きた場合のリスクは、対応しない科目を対応すると示して誤った認定につながることと、対応する科目を見落として学生に不利になることの2つです。 前者は引用の対の確認で、後者は意味の近さで候補を広げることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:自校のシラバスの書き出しを確かめる

教務システムから、直近4年度分のシラバスを書き出し、到達目標・授業計画・評価方法が別の項目で取れるかを確かめます。1つの欄にまとまっている年度があれば、区切り方を決めます。

2週目:20科目で試す

先月の申請から20科目を選び、手元のAIサービスで対応する文の対を示させます。書かれていない内容を補っていないかを最優先で見ます。

3週目:見出しの言い換えの一覧を作る

過去の申請に添えられた他校のシラバスから、到達目標・授業計画・成績評価にあたる見出しの言い方を集めます。

4週目:検索の土台を作る

OpenSearch のドメインを作り、自校のシラバスを見出しごとに入れて、ハイブリッド検索と collapse を組みます。担当者が検索画面で候補を引ける半自動化の状態にします。

2か月目: 受付フォルダを起点に自動で引き、引用付きの比較表を出します。3か月目以降: 教員の判断を過去の判断の索引に入れ、同じ学校の同じ科目が先に引けるようにします。担当者が科目名で探す前に比較表が届き、教員が引用の対だけを読んで判断する流れになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-07
確認した内容情報源確認日
大学設置基準第28条(他の大学等で修得した単位を、教育上有益と認めるとき60単位を超えない範囲で自校の単位とみなせること。外国の大学への留学などに準用すること)、第29条(大学以外の教育施設等における学修)、第30条(入学前の既修得単位等の認定。編入学・転学等の場合を除き、第28条・第29条とあわせて60単位を超えないこと)e-Gov法令検索: 大学設置基準(法令API)2026-10-06
ハイブリッドクエリが複数のクエリのスコアを1つにまとめ、クエリ句が最大5つであること。filter がすべてのサブクエリにかかることOpenSearch Documentation: Hybrid query2026-10-06
ハイブリッドクエリの collapse が3.1で導入され、項目の値ごとに最もスコアの高い文書を返すこと。項目が keyword か数値であること。inner_hits が3.2からであること。返るグループが size より少なくなりうること、index.neural_search.hybrid_collapse_distinct_groups_enabled で size の数だけ返せることOpenSearch Documentation: Collapsing hybrid query results2026-10-06
Sudachi が日本語向けに推奨されたプラグインであること。kuromoji がすべてのドメインに入っていること。Sudachi の辞書の再関連付けが次のブルー/グリーンのデプロイまで反映されないことAWS: Plugins by engine version in Amazon OpenSearch Service2026-10-06
Titan Text Embeddings V2 の入力が8,192トークンまたは50,000文字であること。英語に最適化され、日本語が多言語対応の一覧に含まれること。言語をまたいだ検索は精度が落ちるとされることAmazon Bedrock: Amazon Titan Text Embeddings models2026-10-06
検索結果のブロック(search_result)に source・title・content を入れて渡すと、引用が search_result_location として返ること。引用が content の文の単位で付くこと。引用はすべての検索結果で有効か無効にそろえる必要があることClaude Docs: Search results2026-10-06

単位の認定の基準と、60単位の上限の扱いは、自校の学則と教授会の定めに従ってください。 本記事は大学設置基準の条文と公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。専門学校の場合は、専修学校設置基準など別の定めを確かめてください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-0612)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次