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発明届と発明者との打合せ記録から、特許事務所へ出す出願依頼書を下書きし、足りない情報を発明者への確認質問にする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

発明届、発明者との打合せ記録、先行技術の調査結果を読み、特許事務所へ出す出願依頼書の下書きを項目ごとに作ります。あわせて、依頼書を埋めるのに足りない情報を、発明者への確認質問の形にします。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/医療/建設/製造
対象部門
知財
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
72h/月
AI導入後
28h/月
想定削減
61%
年間削減
528h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 職務発明審査会で出願と決まった発明について、担当者が発明届を読み直す
  2. 社内の調査担当がまとめた先行技術の調査結果を読み、近い文献を把握する
  3. 発明者と1時間ほど打合せをし、Teams の文字起こしを保存する
  4. 文字起こしを読み返しながら、依頼書の10項目を Word で書く
  5. 書いているうちに足りない情報に気づいたら、発明者にメールで聞く
  6. 回答を待って依頼書を仕上げ、課長が確認する
  7. 依頼書と発明届、図面のラフ、調査結果を事務所へ送る
導入後(After)
  1. 人発明者と打合せをし、文字起こしを案件フォルダに保存する
  2. 人確認リスト「出願依頼」の状態を「下書き依頼」にする
  3. 自動フローが発明届、文字起こし、調査結果、図面のラフの一覧を集め、そろっているかを確かめる
  4. 自動文字起こしを発言ごとに番号を振って分け、発明届と調査結果にも番号を振る
  5. 自動Azure OpenAI が依頼書の10項目を下書きし、1文ごとに根拠の番号を付ける
  6. 自動埋められない項目を、発明者への確認質問にする
  7. 自動フローが下書きの数値を根拠の発言・資料と照らし、合わないものに印を付ける
  8. 自動下書きを Word の書式に流し込み、案件フォルダに保存する
  9. 人担当者が下書きを読み、根拠を確かめて直す。言い換えの候補を採るかを決める
  10. 人確認質問を整えて発明者に送り、回答を依頼書に反映する
  11. 人課長の確認を経て、事務所へ送る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 職務発明審査会で出願と決まった発明について、担当者が発明届を読み直す
  2. 社内の調査担当がまとめた先行技術の調査結果を読み、近い文献を把握する
  3. 発明者と1時間ほど打合せをし、Teams の文字起こしを保存する
  4. 文字起こしを読み返しながら、依頼書の10項目を Word で書く
  5. 書いているうちに足りない情報に気づいたら、発明者にメールで聞く
  6. 回答を待って依頼書を仕上げ、課長が確認する
  7. 依頼書と発明届、図面のラフ、調査結果を事務所へ送る

(a)依頼書の起案に、1件で半日近くかかる。 文字起こしは1時間の打合せで2万字を超えます。どの発言が実施例で、どれが雑談かを読み分けるだけで1時間かかります。 書く時間より、読み直す時間のほうが長いのが実態です。

(b)足りない情報に気づくのが遅い。 4番目の途中で「変形例が無い」「比較した数値が無い」と気づき、5番目で聞き直します。発明者は開発の繁忙期で返事が遅れ、依頼書が事務所へ出るまでに2週間かかる案件があります。 学会発表が迫っている案件ではこの遅れが響きます。

(c)書き方が担当者ごとに違う。 「従来技術との違い」を1行で済ませる担当者もいれば、調査結果の文献ごとに対比表を付ける担当者もいます。事務所から見ると、依頼書の厚みが担当者で変わり、面談で聞き直す範囲も変わります。

(d)発明者が言っていないことが紛れる。 担当者が良かれと思って「〜でもよい」と変形例を書き足し、発明者が確かめていない構成が明細書に入ったことがあります。後で発明者が読んで「それは動かない」と言っても、出願後には直せない部分があります。

  1. 【人】 発明者と打合せをし、文字起こしを案件フォルダに保存する
  2. 【人】 確認リスト「出願依頼」の状態を「下書き依頼」にする
  3. 【自動】 フローが発明届、文字起こし、調査結果、図面のラフの一覧を集め、そろっているかを確かめる
  4. 【自動】 文字起こしを発言ごとに番号を振って分け、発明届と調査結果にも番号を振る
  5. 【自動】 Azure OpenAI が依頼書の10項目を下書きし、1文ごとに根拠の番号を付ける
  6. 【自動】 埋められない項目を、発明者への確認質問にする
  7. 【自動】 フローが下書きの数値を根拠の発言・資料と照らし、合わないものに印を付ける
  8. 【自動】 下書きを Word の書式に流し込み、案件フォルダに保存する
  9. 【人】 担当者が下書きを読み、根拠を確かめて直す。言い換えの候補を採るかを決める
  10. 【人】 確認質問を整えて発明者に送り、回答を依頼書に反映する
  11. 【人】 課長の確認を経て、事務所へ送る

9番目が、この設計の分かれ目です。 担当者は文字起こしを頭から読み直すのではなく、下書きの1文ごとに付いた番号から、その発言だけを開きます。 根拠の無い文はそもそも出てこないので、確かめる量が読み直しの量より小さくなります。

6番目で質問を先に出すのも、意図してのことです。 これまでは書きながら気づいていた不足が、下書きと同時に一覧で出ます。 発明者への問い合わせが1回で済めば、依頼書が事務所へ出るまでの日数が縮みます。

02今回想定するシステム構成

構成図
発明届(SharePoint のリスト)  打合せの文字起こし  調査結果  図面のラフ
   │                              │                  │          │
   ▼                              ▼                  ▼          ▼
SharePoint の案件フォルダ + 確認リスト「出願依頼」
   ▼【トリガー】アイテムが作成または変更されたとき(状態=下書き依頼)
Power Automate
   ├──▶ 資料をそろえる/発言・資料に番号を振る
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)── 構造化出力
   │   ① 依頼書10項目の下書き(1文ごとに根拠)
   │   ② 言い換えの候補(別欄)
   │   ③ 発明者への確認質問
   ▼
Power Automate ── 数値を根拠と照らす
   ▼
Word の依頼書(Microsoft Word テンプレートを設定する)
   ▼
確認リスト「出願依頼」──【担当者が直し、質問を送る】
   ▼
課長 → 特許事務所
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude、Gemini
連携Power AutomateMake、n8n
依頼書の生成Word Online (Business) コネクタ文書生成の個別実装
資料と確認の置き場SharePoint のライブラリとリストDataverse

発明届のリストと Teams の文字起こしは、新しく足すものではありません。 文字起こしは打合せの後に案件フォルダへ保存する運用を決めるだけです。フローは資料を読み、依頼書を新しいファイルとして作るだけで、発明届のリストには書き込みません。

土台になるのは、Microsoft Foundry で提供される Azure OpenAI のモデルです。 Azure が販売するモデルは Microsoft の Azure 環境でホストされ、モデルの提供元が運営するサービスとはやり取りしないとされています。入力と出力は他の顧客にもモデルの提供元にも提供されず、許可や指示なしに生成AIの基盤モデルの学習に使われないとされています。未出願の発明そのものを扱うので、この点を最初に確かめます。標準のデプロイでは指定した地域の中で処理されますが、「Global」や「DataZone」の種類では処理の場所が広がるので、デプロイの種類も先に決めます。

資料の受け取りは、Power Automate の SharePoint コネクタで行います。 確認リストの状態の変更は「アイテムが作成または変更されたとき」のトリガーで受け、資料の中身は「パスを使用してファイルコンテンツを取得する」で取ります。下書きの状態の書き戻しは「項目を更新する」です。

依頼書のファイルは、Word Online (Business) コネクタの「Microsoft Word テンプレートを設定する」で作ります。 Word の開発者タブでコンテンツ コントロールを置いたテンプレートを用意し、フローから値を流し込みます。このコネクタは Power Automate ではプレミアムの扱いなので、ライセンスを先に確かめます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

担当者が確認リストの状態を「下書き依頼」にしたことを起点にします。 「アイテムが作成または変更されたとき」のトリガーは状態以外の列を変えても動くので、フローの最初で状態が「下書き依頼」かを確かめ、違えば何もせずに終えます。 下書きを保存したら、状態を「下書き済み」に変えます。

文字起こしが保存されたことを起点にはしません。 打合せが2回に分かれる案件や、図面のラフが後から届く案件があります。資料が途中のまま動くと、「図面の指示が無い」という見当違いの質問が出ます。そろったと判断するのは担当者です。

発明者の回答が届いて資料を足したら、担当者が状態を「下書き依頼」に戻します。同じ案件の下書きを作り直し、前の版は消さずに残します。 版を並べると、回答で何が埋まったかが分かります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
発明届発明の名称、発明者、技術分野、課題、構成、効果、関連する製品・開発テーマSharePoint のリスト
打合せの文字起こし発明者と担当者の発言。話者と時刻付き案件フォルダ
先行技術の調査結果近い文献の番号、要約、発明との対比のメモ案件フォルダ
図面のラフ発明者が描いた構成図・フロー図。ファイル名と図の番号案件フォルダ
審査会の結論出願の決定、出願の希望(国内のみ/外国出願を予定)、公表の予定日確認リスト「出願依頼」
依頼書の書式10項目と、各項目に書くことの説明SharePoint のリスト
項目ごとの確認事項「実施例には効果を確かめた条件と結果を書く」のような、項目を埋めるのに要る事実SharePoint のリスト

質を決めるのは、いちばん下の確認事項の書き方です。 「実施例を書く」だけでは、何がそろえば足りるのかが分かりません。「実施例:構成の具体例、効果を確かめた条件、比較の対象、結果の数値」のように、事実の単位で書きます。 確認質問は、この行と資料を突き合わせて出ます。

公表の予定日は必ず入れます。 学会発表や製品の展示会が決まっている案件は、それより前に出願する必要があるので、質問の期限と依頼書の送付日をそこから逆算します。 下書きの冒頭に、その日付をそのまま書かせます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどう取るか
状態と審査会の結論確認リスト「出願依頼」トリガーが返す列の値
発明届発明届のリスト「アイテムを取得」。発明届の番号でフィルター クエリを指定して1件に絞る
文字起こし・調査結果・図面のラフ案件フォルダ「パスを使用してファイルコンテンツを取得する」
依頼書の書式・確認事項SharePoint のリスト「アイテムを取得」

発明届は1件だけを引きます。 同じ発明者の別の届を混ぜると、別の発明の構成が実施例に紛れます。発明届の番号で絞り、返ってきた件数が1件でなければ止めます。

図面のラフは、中身ではなくファイル名と図の番号の一覧として渡します。 図面の指示で要るのは「どの図に何を描くか」で、図そのものの読み取りは担当者と弁理士が行います。 発明者が図に付けた説明の文字は、文字起こしと同じく番号を振って渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 資料のそろいの確認 … 発明届、文字起こし、調査結果の3つがあるかを見ます。図面のラフは任意です。無いものは、そのまま「資料が無い」としてAIに伝えます
  2. 文字起こしを発言ごとに分ける … 話者と時刻で区切り、T-001 のような番号を付けます
  3. 相づちと雑談を落とす … 「はい」「なるほど」だけの発言と、冒頭・末尾の日程調整の発言を除きます。番号は振り直さず、欠番にします
  4. 発明届の項目に番号を振る … R-構成、R-効果 のように項目名で付けます
  5. 調査結果の文献に番号を振る … 文献ごとに P-01 を付け、対比のメモを並べます
  6. 社外の固有名を伏せる … 打合せで出た取引先や共同開発の相手の名前を、取引先A のように置き換えます
  7. 数値の一覧を作る … 文字起こしと発明届から、数字と単位を含む発言を抜き出し、番号と並べて表にします。後段で下書きの数値と照らすための表です

3番目で番号を振り直さないのは、根拠の番号と元の文字起こしを1対1で結ぶためです。 振り直すと、担当者が T-084 を開いたときに元の時刻と合わなくなります。

7番目は、AIに渡すと同時にフローの側にも持っておきます。 下書きに出てきた数値が、この表のどの行にあるかを機械的に照らせるようにするためです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、依頼書の10項目を下書きすることと、埋められない項目を確認質問にすることです。どちらも、渡した資料の番号を根拠にします。

項目書かせること根拠が無いときの扱い
発明の名称(仮)・技術分野発明届の記載をそのまま発明届に無ければ空欄
従来技術と課題調査結果の文献と、発明者が述べた課題発明者の発言が無ければ発明届の課題だけ
発明の要点課題を解く構成。発明者の言葉で構成が曖昧なら質問に回す
従来技術との違い文献ごとに、どの構成が無いか対比のメモが無い文献は「対比なし」
実施例構成の具体例、効果を確かめた条件と結果条件か結果が無ければ質問に回す
変形例発明者が「こうもできる」と述べたもの発言が無ければ空欄にして質問に回す
権利化したい範囲発明者と担当者が打合せで述べた希望言い換えの候補は別欄
図面の指示どの図に何を描くか。ラフの図の番号ラフが無ければ「図面の指示なし」
出願の希望・公表の予定審査会の結論の値をそのまま-

「権利化したい範囲」は、この中でいちばん慎重に扱います。 打合せで出た希望は書きますが、上位の概念への言い換え(「ばね」を「付勢部材」とするような)は、本文とは別の generalization_candidates に置かせます。採るかどうか、どこまで広げるかは担当者と弁理士が決めます。

させないこと理由
発言に無い実施例・変形例の作文発明者が確かめていない構成が明細書に入る
数値の補完・換算・範囲の拡大「5〜10mm」を「1〜20mm」に広げると、裏付けの無い範囲になる
特許請求の範囲の文案弁理士の仕事。依頼書は材料まで
特許になるかどうかの見込み判断の材料が足りず、依頼書に書く性質のものでもない
出願するかどうか、外国出願の要否審査会と知財部が決める
Step6

指示内容を固定する

あなたは製造業の知財部で、特許事務所へ出す出願依頼書の下書きを作る担当者です。
渡された資料に書かれていることだけを根拠にしてください。

【書くこと】
依頼書の書式の10項目を、項目ごとに書いてください。
あわせて、項目ごとの確認事項のうち、根拠になる発言・資料が無いものを、
発明者への確認質問にしてください。

【厳守事項】
- 1文ごとに、根拠にした発言・資料の番号(T-xxx、R-xx、P-xx、図-x)を付けてください。
  番号を付けられない文は書かないでください。
- 実施例と変形例は、発明者が述べたもの(T-xxx)か発明届(R-xx)にあるものだけを
  書いてください。「〜でもよい」「〜も考えられる」と自分で足さないでください。
- 数値は、資料にある値と単位をそのまま書いてください。
  換算、丸め、範囲を広げる・狭めることをしないでください。
- 上位の概念への言い換え(例:「ばね」→「付勢部材」)は本文に書かず、
  generalization_candidates に、元の語と言い換えの候補と根拠の番号を並べてください。
- 特許請求の範囲の文案、特許になるかどうかの見込みを書かないでください。
- 調査結果の文献との違いは、文献の番号ごとに、どの構成がその文献に無いかを書いてください。
  対比のメモが無い文献は「対比なし」と書き、推測で違いを書かないでください。
- 埋められない項目は missing_note に理由を書き、確認質問を作ってください。
  確認質問は、発明者が「はい/いいえ」か数値で答えられる形を優先し、
  なぜ必要かを1文添えてください。
- 社外の固有名は、置き換えた表記(取引先A など)のまま使ってください。

【審査会の結論と公表の予定】{decision}
【依頼書の書式】{form}
【項目ごとの確認事項】{checkpoints}
【発明届】{disclosure}
【打合せの文字起こし】{transcript}
【先行技術の調査結果】{prior_art}
【図面のラフの一覧】{drawings}

「自分で足さないでください」と、足しがちな言い回しまで書くのが要点です。 実施例を書けと言われると、AIは発明者の構成から自然に広がる変形を「〜でもよい」の形で書き足します。その1文が、第3章の(d)の再現になります。

確認質問を「はい/いいえか数値で答えられる形」にするのは、発明者の返事を早くするためです。 「変形例を教えてください」と聞くと返事が来ません。「ばねの代わりにゴムでも同じ効果が出ますか」なら、開発の合間に答えられます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 Azure OpenAI の構造化出力を使い、JSON Schema に沿った形で返させます。

{
  "case_id": "",
  "sections": [
    {
      "section": "title | field | background | gist | difference | embodiment | variation | scope | drawings | filing",
      "sentences": [ { "text": "", "sources": ["T-084", "R-構成"] } ],
      "missing_note": ""
    }
  ],
  "prior_art_comparison": [
    { "doc_id": "P-01", "absent_features": "", "status": "compared | not_compared" }
  ],
  "generalization_candidates": [
    { "original_term": "", "candidate": "", "sources": ["T-112"] }
  ],
  "questions": [
    { "section": "", "question": "", "why_needed": "", "answer_type": "yes_no | number | text" }
  ],
  "numbers_used": [ { "source": "T-084", "value_in_text": "" } ]
}

1つ目の理由は、文と根拠を同じ要素に持たせられることです。 確認リストでは文の横に番号が並び、担当者は番号からその発言だけを開きます。

2つ目は、section と answer_type を enum で縛れることです。 構造化出力は enum に対応しているので、書式に無い項目が増えることも、質問の種類が自由な文になることもありません。 構造化出力ではすべての項目を必須にし、additionalProperties を false にする決まりがあるので、空の項目も必ず返ってきます。「書かなかった」と「書き忘れた」が区別できます。

3つ目は、generalization_candidates を本文と別の層に置けることです。 Word の依頼書では、言い換えの候補を「担当者確認用」の欄に流し込み、事務所へ送る前に、採ったものだけを本文へ移します。

numbers_used は、フローが前処理の数値の一覧と照らします。一覧に無い数値が1つでもあれば、下書きに印を付けて担当者に知らせます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
確認リスト「出願依頼」SharePoint コネクタ状態の変更を受け、下書きの状態を書き戻す
案件フォルダSharePoint コネクタ文字起こし・調査結果・図面のラフを読む。依頼書の下書きを保存する
発明届のリストSharePoint コネクタ発明届を1件読む。書き込まない
Azure OpenAIAPI呼び出し10項目の下書き、言い換えの候補、確認質問
Word の依頼書「Microsoft Word テンプレートを設定する」下書きをテンプレートに流し込む

テンプレートのコンテンツ コントロールには使えない種類があります。 対応しているのはプレーン テキスト、コンボ ボックス、ドロップダウン リスト、イメージ、繰り返しセクションで、リッチ テキストは対応していません。 項目ごとの本文はプレーン テキストのコントロールにし、プロパティで「複数の段落」を許可しておくと改行が入ります。

文献ごとの対比と確認質問は、繰り返しセクションで表の行にします。 行の数は案件ごとに違うので、フローで値の配列を作って渡します。コントロールの名前はテンプレートの中で一意にする必要があり、重複すると両方に同じ値が入ります。

依頼書は事務所へ自動で送りません。 送るのは課長の確認の後で、送信は担当者が行います。

Step9

人が確認する

担当者が見るのは、下書きの全文と、印の付いた箇所と、言い換えの候補です。 文字起こしを頭から読み直すことはしません。

  1. 印の付いた数値を先に見る … numbers_used が数値の一覧と合わなかったものです。丸めか単位の取り違えがほとんどです
  2. 実施例と変形例の根拠を開く … 1文ごとの番号から発言を開き、発明者がそう言っているかを確かめます
  3. 言い換えの候補を採るかを決める … 採るものだけを本文へ移します。迷うものは弁理士との面談の論点に回します
  4. 確認質問を整えて送る … 重複を除き、発明者が答えやすい順に並べ替えます。送信は担当者が行います
  5. 直した箇所を記録する … どの項目の、どの文を、なぜ直したかを残します

2番目を省かないでください。 依頼書に書いた実施例は、事務所にとっては発明者が確かめた事実です。根拠の番号が付いていても、発言の読み違いで別の構成を書いていることがあります。

目標は、1件70分です。 打合せの記録を読み直す60分が、根拠を開いて確かめる時間に置き換わる想定です。それより長くかかる案件は、打合せで構成が詰まっていないことが多く、質問が多く出ます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
文字起こしが無い(打合せが対面で録音していない)担当者のメモを文字にして代わりに置く。メモに無いことは書けないと担当者に伝える
発明届の番号で2件以上引ける止めて担当者へ。別の発明が混ざるのを防ぐ
打合せが2回以上ある文字起こしを日付順に並べ、番号に回の印(T1-、T2-)を付ける
発明者の発言どうしが食い違う両方の番号を並べて質問に回す。どちらかに決めない
調査結果が届いていない「従来技術との違い」を空欄にし、調査担当への確認事項に回す
公表の予定日が近い予定日まで14日を切る案件は、確認リストで目立つ印を付け、質問を先に送る
テンプレートへの流し込みが失敗する入力ファイルの最大は10MB。下書きのJSONを案件フォルダに保存して担当者へ
Azure OpenAI が応答しない状態を「下書き依頼」のまま残す。「下書き済み」へ変えるのは成功時だけ

上から4行目が、この構成で気をつけたい例外です。 打合せの中で発明者が言い直すことはよくあります。どちらかを選ばせると、言い直す前の古い構成が依頼書に残ることがあります。 両方を並べて発明者に聞けば、1往復で決まります。

Step11

記録を残す

  • 下書きの依頼の日時と、そのときの資料の一覧(ファイル名と更新日時)
  • 前処理で番号を振った文字起こし・発明届・調査結果
  • Azure OpenAI に渡した指示と、返ってきたJSONの全文
  • 数値の照合の結果
  • 担当者が直した箇所と理由、採った言い換えの候補
  • 確認質問と、発明者の回答、回答を反映した版
  • 事務所へ送った依頼書の最終版と送付日

5つ目が、書式と確認事項を直す材料になります。 同じ項目ばかり直されているなら、確認事項の書き方か、打合せでの聞き方のどちらかが足りていません。 月に一度、直した箇所を項目別に数えます。

最後の行は、事務所からの問い合わせと突き合わせます。 依頼書を送った後に事務所から何を聞かれたかを残すと、確認事項に足すべき行が見えてきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:番号を振った資料を手でAIの画面に貼り、下書きと質問を出させる / 1件ごとの下書き
半自動化:上記+フローで資料を集めて番号を振り、Azure OpenAI のAPIを呼び、JSONを確認リストに書き出す / 資料の取りまとめと下書き・質問の一覧化
本格構成:上記+数値の照合、Word の依頼書への流し込み、版の管理、直した箇所の記録 / 依頼書の作成までの全体

最小構成では、番号を振る作業が重く、件数がさばけません。 1件の文字起こしに何百もの発言があるからです。確かめるための段階です。 半自動化で、1件180分が110分程度になります。 読み直しと起案は下書きに置き換わりますが、確認リストのJSONを Word の書式に写す作業と、数値を目で照らす作業が残ります。本格構成で70分になり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、どの項目で質問が多いか、どの担当者の打合せで構成が詰まっていないかが分かります。打合せの進め方を直してから本格構成に進むほうが、質問の往復が減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
24 件
1件あたり現在時間
180 分
1件あたり導入後時間
70 分
現在  24件 × 180分 ÷ 60 = 72 時間/月
導入後 24件 × 70分 ÷ 60 = 28 時間/月
月間削減時間
44h
削減率
61%
年間削減時間
528h
年間金額換算(時間単価4,500円)
238万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 社内の知財部が職務発明の出願を月に十数件から数十件決め、特許事務所への出願依頼書を担当者が一から書いている製造業・IT企業・医療機器メーカーなど。依頼書の書き方が担当者ごとに違い、事務所から同じ種類の問い合わせが何度も戻ってくる場合。発明者との打合せを録音や文字起こしで残しており、発明届が電子の書式で集まっている場合。依頼書の項目(何をどの順に書くか)が社内で決まっている場合。
向いていない
  1. 出願が月に数件で、担当者が1件ずつ発明者と時間をかけて詰められる場合。発明者との打合せの記録が担当者の手書きのメモにしかない場合。依頼書の書式が無く、事務所ごと・担当者ごとに書き方がまちまちな場合(先に書式を決める作業が要ります)。なお、出願するかどうか、どの範囲で権利化を目指すか、特許請求の範囲をどう書くかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月出した依頼書から5件を選ぶ(事務所から問い合わせが多く戻ってきた案件を含める)
  2. その5件の発明届、打合せの文字起こし、調査結果をそろえる
  3. 文字起こしの発言に、手で番号を振る(表計算の行番号で足ります)
  4. 社内で利用が認められている生成AIの画面に、依頼書の書式と資料を貼り付け、「10項目を下書きし、1文ごとに根拠の番号を付けてください。発言に無い実施例を書かないでください。埋められない項目は発明者への質問にしてください」と指示する
  5. 出てきた下書きと質問を、実際に出した依頼書と、事務所からの問い合わせと突き合わせる

5件は必ずやってください。 フローを組む前に、「番号を振った文字起こしから、根拠付きで書けるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
事務所から聞かれたことが、質問に先に出ているフローの構築に進む
発言に無い変形例が書かれている指示の書き方で直る。構成は有効
打合せで構成が詰まっておらず、質問ばかり出る打合せの進め方が先。 AIの問題ではない

3行目が出たら、 確認事項を打合せの前に発明者へ渡し、打合せの場で埋める進め方に変えてから試し直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
発言に無い変形例が書かれる「〜でもよい」と足さないと指示に書き、根拠の番号の無い文を出させない
数値の範囲が広がる換算・丸め・範囲の変更を禁じ、numbers_used を数値の一覧と照らす
言い換えが本文に混ざるgeneralization_candidates を別の層に置き、採ったものだけを人が移す
根拠の番号が元の発言と合わない前処理で欠番にし、番号を振り直さない
別の発明の構成が混ざる発明届は番号で1件だけ引く。2件以上なら止める
確認質問が多すぎて発明者が答えない「はい/いいえか数値」で答えられる形を優先し、項目ごとにまとめる
リッチ テキストのコントロールに流し込めないプレーン テキストにし、「複数の段落」を許可する
表の行数が案件ごとに違う繰り返しセクションのコントロールに配列で渡す
コントロールの名前が重複する両方に同じ値が入る。名前を一意にする
依頼書が自動で事務所に送られる送らない。 送信は課長の確認の後に担当者が行う
打合せで構成が詰まっていない確認事項を打合せ前に発明者へ渡す
社外の固有名が下書きに残る前処理で置き換え、置き換えた表記のまま使わせる

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「依頼書をもっともらしく整える」方向に働く誤りで、読みやすくなるほど見つけにくくなります。 根拠の番号と数値の照合という機械の仕組みで止めておかないと、担当者の確認だけでは追いつきません。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 出願前の発明の内容(構成、実施例、効果のデータ)、発明者の氏名と所属、打合せでの発言、取引先や共同開発の相手の名前です。出願前の発明は、外へ出た時点で新規性を失いかねない情報です。

  1. 処理の場所とデータの扱いを先に確かめる … Azure OpenAI の入力と出力は、他の顧客にもモデルの提供元にも提供されないとされています。デプロイの種類によって処理の場所が広がるので、社内の規程と照らして決めます
  2. 不正利用の監視の扱いを知っておく … 不正利用の監視で検知された入力と出力は、権限のある担当者に確認されることがあるとされています。未出願の発明を扱うことを前提に、社内の情報管理の担当と扱いを確かめておきます
  3. 依頼書を自動で送らない … 送り先の誤りは、そのまま未出願の発明の漏えいです。送信は人が行い、宛先は事務所ごとに固定した一覧から選びます
  4. 社外の固有名を伏せる … 共同開発の相手との契約で、相手の名前や開発の事実を伏せる取り決めがあることがあります。前処理で置き換えます
  5. この構成は権利化の判断を代替しません … 何を権利化したい範囲とするか、言い換えをどこまで採るか、特許請求の範囲をどう書くかは、担当者と弁理士が決めることです。 この構成が出すのは、発明者が言ったことの整理と、足りないものの一覧だけです
  6. 案件フォルダの権限を案件ごとに絞る … 発明者、担当者、課長に限ります。別の部署の未出願の発明が見えないようにします

誤りが起きた場合のリスクは、発明者が言っていない構成や数値が出願書類に入ることと、未出願の発明が外へ出ることの2つです。 前者は根拠の番号と数値の照合で止め、後者はデータの扱いの確認と送信を人に残すことで止めます。

10まず何から始めるか

1週目:確認事項を書き出す

依頼書の10項目ごとに、埋めるのに要る事実を書き出します。 ベテランの担当者に、事務所から戻ってきた問い合わせを思い出してもらいながら作ると早く進みます。特に実施例と変形例の行を厚くします。

2週目:5件で試す

先月の依頼書から5件を選び、文字起こしに番号を振って、生成AIの画面で下書きと質問を出させます。発言に無い実施例が書かれていないかを最優先で見ます。

3週目:Word のテンプレートを作る

今の依頼書の書式に、コンテンツ コントロールを置きます。本文はプレーン テキスト、文献ごとの対比と確認質問は繰り返しセクションにし、名前を一意に付けます。 あわせて、Word Online (Business) コネクタのライセンスを確かめます。

4週目:資料の取りまとめから下書きまでをつなぐ

確認リスト「出願依頼」を作り、状態の変更から資料を集め、Azure OpenAI の下書きを確認リストに書き出すところまで作ります。この時点では Word への流し込みをせず、JSONの一覧で中身を見ます。

2か月目: 数値の照合と Word への流し込みを足し、版の管理を始めます。直した箇所を項目別に数えます。3か月目以降: 事務所からの問い合わせを記録し、確認事項に足す行を見つけます。1件180分が何分になったか、依頼書が事務所へ出るまでの日数がどう変わったかを実測し、確認事項の行が増えなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-06/最終更新:2026-10-06
確認した内容情報源確認日
Azure が販売するモデル(Azure OpenAI を含む)の入力と出力が、他の顧客やモデルの提供元に提供されず、許可や指示なしに基盤モデルの学習に使われないこと。Microsoft の Azure 環境でホストされ、モデルの提供元のサービスとやり取りしないこと。標準のデプロイでは指定した地域で処理され、Global と DataZone では処理の場所が広がること。不正利用の監視で、検知された入力と出力が権限のある担当者に確認されうることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-06
構造化出力が JSON Schema への準拠をさせる機能であること。enum に対応すること。すべての項目を必須にし、任意の項目は null との組み合わせの型で表すこと。additionalProperties を false にすることMicrosoft Learn: How to use structured outputs with Azure OpenAI2026-10-06
「アイテムが作成または変更されたとき」のトリガー、「パスを使用してファイルコンテンツを取得する」「アイテムを取得」「項目を更新する」のアクションがあること。「アイテムを取得」で OData のフィルター クエリを指定できることMicrosoft Learn: SharePoint コネクタ2026-10-06
「Microsoft Word テンプレートを設定する」のアクションがあり、Power Automate ではプレミアムであること。対応するコンテンツ コントロールがプレーン テキスト、コンボ ボックス、ドロップダウン リスト、イメージ、繰り返しセクションで、リッチ テキストに対応しないこと。入力ファイルの最大が10MBであること。コントロールの名前が一意である必要があること。「複数の段落」の設定で改行が入ることMicrosoft Learn: Word Online (Business) コネクタ2026-10-06

依頼書の書式、項目ごとの確認事項、権利化の方針は、各社の知財部の規程と特許事務所との取り決めによります。 本記事は Microsoft Learn で確認できた製品の仕様だけを扱っています。打合せの文字起こしの保存方法は、利用している会議の製品と社内の運用によって異なります。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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