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外国特許庁から届いた拒絶理由通知を翻訳・要約して対応方針の検討表を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

外国特許庁の拒絶理由通知と現地代理人の報告のPDFを入力に、拒絶理由ごとの根拠条文・引用文献・対象クレーム・指摘の要旨・代理人の所見を日本語の検討表に整理します。英文を訳し、引用箇所を探して表に書き写す作業が、訳語と引用箇所を原文で確かめる作業に変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Make/n8n/Power Automate
対象業界
士業/製造
対象部門
知財
対象業務
書類作成/要約
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
120h/月
AI導入後
46.7h/月
想定削減
61%
年間削減
880h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 現地代理人から報告メールが届く
  2. 担当者が報告レターに書かれた応答期限を特許管理システムに登録する
  3. 拒絶理由通知を読み、拒絶理由の数と対象クレームを書き出す
  4. 対象クレームの英文を、日本語明細書と対訳ファイルに照らしながら訳す
  5. 引用文献のPDFを開き、審査官が指摘した段落や図を探す
  6. クレームの構成要素ごとに、引用文献のどこが対応するとされたかを整理する
  7. 代理人の所見を訳し、拒絶理由ごとに検討表へ書き込む
  8. 検討表を発明者と国内の特許事務所へ送り、打ち合わせを組む
導入後(After)
  1. 現地代理人から報告メールが届く
  2. 自動送信元と件名で報告メールを見分け、添付のPDFを案件フォルダに保存する
  3. 担当者が報告レターの応答期限を特許管理システムに登録する(従来どおり)
  4. 自動案件番号をもとに、クレーム対訳と訳語の用語集を取り出す
  5. 自動拒絶理由ごとに、審査官の指摘と引用箇所を原文の引用で抜き出す
  6. 自動抜き出した内容を用語集の訳語に揃え、日本語の検討表の下書きにする
  7. 自動訳語の不一致と、反論や見込みの表現の混入を機械的に確かめる
  8. 担当者が引用箇所と訳語を原文で確認し、検討表を仕上げる
  9. 発明者・国内事務所と打ち合わせ、対応方針を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 現地代理人から報告メールが届く
  2. 担当者が報告レターに書かれた応答期限を特許管理システムに登録する
  3. 拒絶理由通知を読み、拒絶理由の数と対象クレームを書き出す
  4. 対象クレームの英文を、日本語明細書と対訳ファイルに照らしながら訳す
  5. 引用文献のPDFを開き、審査官が指摘した段落や図を探す
  6. クレームの構成要素ごとに、引用文献のどこが対応するとされたかを整理する
  7. 代理人の所見を訳し、拒絶理由ごとに検討表へ書き込む
  8. 検討表を発明者と国内の特許事務所へ送り、打ち合わせを組む

問題は4つあります。

(a)訳語が明細書と揃わない。 辞書どおりに訳すと、明細書の呼び方と違う言葉になります。対訳ファイルと1語ずつ照らしますが、クレームが20項を超えると漏れが出ます。

(b)引用箇所を探すのに時間がかかる。 審査官は段落番号や欄と行で箇所を示しますが、引用文献は数十ページあり、複数の文献を組み合わせた拒絶理由では文献の間を行き来します。

(c)検討表の粒度が担当者によって違う。 指摘を1行にまとめる人もいれば、全文を訳す人もいます。

(d)方針を検討する日数が削られる。 表ができるまでの日数だけ、補正の選択肢を比べる期間が短くなります。

  1. 現地代理人から報告メールが届く
  2. 【自動】 送信元と件名で報告メールを見分け、添付のPDFを案件フォルダに保存する
  3. 【人】 担当者が報告レターの応答期限を特許管理システムに登録する(従来どおり)
  4. 【自動】 案件番号をもとに、クレーム対訳と訳語の用語集を取り出す
  5. 【自動】 拒絶理由ごとに、審査官の指摘と引用箇所を原文の引用で抜き出す
  6. 【自動】 抜き出した内容を用語集の訳語に揃え、日本語の検討表の下書きにする
  7. 【自動】 訳語の不一致と、反論や見込みの表現の混入を機械的に確かめる
  8. 【人】 担当者が引用箇所と訳語を原文で確認し、検討表を仕上げる
  9. 【人】 発明者・国内事務所と打ち合わせ、対応方針を決める

自動化されるのは「保存」「抜き出し」「翻訳と整形」「照合」の4つです。期限の登録と方針の判断は人に残します。

02今回想定するシステム構成

構成図
現地代理人からの報告メール(報告レター+拒絶理由通知+引用文献のPDF)
   │
   ▼【トリガー】When a new email arrives (V3) ── 送信元・件名で絞り込み
Power Automate
   │
   ├──▶ Get Attachment (V2) → SharePoint の案件フォルダへ保存
   │
   ├──▶ Claude API【1回目】Citations を有効にしてPDFを読む
   │       └─ 拒絶理由ごとの指摘と引用箇所を、原文の引用とページ番号で返す
   │
   ├──▶ Claude API【2回目】用語集と対訳を添えて検討表にする(JSON)
   │
   └──▶ 機械チェック ── 訳語 / 反論・見込みの表現 / 日付の混入
   │
   ▼
検討表の下書き ──【人が確認】──▶ 打ち合わせ ──【人が決める】対応方針

特許管理システム(期限管理)── この仕組みからは書き込まない
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower AutomateMake、n8n
生成AIClaude API(PDF入力、Citations)OpenAI API、Gemini API
訳語統一の補助DeepL API の用語集(v3)生成AIへの指示に用語集を同梱する方式
保管SharePointBox
期限管理既存の特許管理システム(書き込まない)

契約中の特許管理システムや特許情報サービスに、通知の翻訳・要約の機能がないかを先に確認してください。 自前で組む価値があるのは、出願時の対訳を訳語の正本にしたい場合です。

Claude API は Power Automate の HTTP コネクタで呼びます。プレミアムのコネクタなので、ライセンスを先に確認してください。 DeepL API の用語集(v3 は複数の言語の組を1つに持てる)でも訳語を固定できますが、翻訳元の言語の自動判定とは併用できません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

現地代理人からの報告メールが届いたことを起点にします。Office 365 Outlook コネクタの「When a new email arrives (V3)」トリガーで、送信元(From)と件名(Subject Filter)を指定します。

絞り込みはトリガーの設定で行ってください。 フロー内の条件分岐で判定すると、対象外のメールも実行回数に数えられます。報告メールには請求書も混ざるため、書類の種類は1回目のAI呼び出しで判定し、通知でなければ止めます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
報告レター代理人の所見と推奨、期限に触れた記載メールの添付PDF
拒絶理由通知拒絶理由、根拠条文、対象クレーム、引用文献と該当箇所の指定メールの添付PDF
引用文献審査官が挙げた特許文献や論文添付PDF(なければ人が入手して置く)
クレーム対訳審査中の英文クレーム(前回の補正を反映)と日本語クレームの対応案件フォルダ
訳語の用語集クレームの英語の用語と、明細書での日本語の呼び方案件フォルダ(発明ごとに1つ)
Step3

データの取得方法を決める

添付PDF: 「Include Attachments」を Yes にすると、添付付きメールが同時に多く届いたときにタイムアウトすることがあります。 公式の回避策どおり No にし、Get Attachment (V2) で取得した Content Bytes を base64 のPDFとして渡します。変換の要否は利用環境に応じた個別確認が必要です。

PDFの上限: Claude API はPDFを URL、base64、Files API の file_id で受け取り、1リクエスト最大600ページ(コンテキストウィンドウ100万トークン未満なら100ページ)、32MBまでです。他の内容も含めた上限なので、引用文献が多い案件は文献ごとに呼び出しを分けます。

案件の特定: 報告レターの代理人整理番号や出願番号を案件一覧と照合します。一致しなければ推測で当てずに止めます。

用語集: 発明ごとに1つ作り、同じ発明の米国・欧州・中国の案件で共有します。 国ごとに持つと訳語が国によって変わります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 書類の仕分け … 添付の通知、引用文献、報告レター、請求書を分けます
  2. 文字を取り出せるPDFかの確認 … スキャン画像だけのPDFは Citations で引用できません。自動の引用抽出から外します
  3. 用語集の重複の検出 … 1つの英語の用語に訳語が2つあれば止め、人が決めてから進めます
  4. 対訳の版の確認 … 審査中のクレームの番号と文言が対訳の英文と一致するかを照らします。前回の補正が反映されていなければ止めます
Step5

AIに処理させる

AIの呼び出しを2回に分けます。 Claude API の Citations(文書の該当箇所を引用として返す機能)と、出力の形式を固定する structured outputs は同時に使えず、両方を指定するとエラーになるためです。

処理内容
1回目判定と区切り通知かどうかを判定し、拒絶理由ごとの根拠条文・対象クレームを記載のまま抜き出す
1回目指摘と該当箇所の引用構成要素ごとの審査官の記述と、指定された段落・欄・図の本文を引用する
1回目期限と所見の引用期限に触れた文と代理人の見解を引用する(期限は計算しない)
2回目翻訳と整形引用文を用語集の訳語で日本語にし、要旨をまとめ、検討表の形に揃える
2回目未登録語の報告用語集にないクレームの用語を列挙する

Citations を使う理由は、「原文にある文だけを引用として扱う」を指示だけでなくAPIの仕組みで担保できるからです。引用文(cited_text)は文書から直接取り出され、PDFではページ番号が付きます。

米国では、引用文献が複雑な場合などに、審査官は依拠した部分をできる限り特定し、拒絶したクレームを明示すると規則(37 CFR 1.104(c)(2))で定められています。該当箇所は通知の指定から取り、AIに探させません。

Step6

指示内容を固定する

1回目(引用の抜き出し)の厳守事項です。

添付の拒絶理由通知、引用文献、代理人の報告レターから、
拒絶理由ごとに根拠条文・対象クレーム・審査官の指摘・引用文献の該当箇所・
期限に触れた文・代理人の所見を、必ず添付文書の文を引用して抜き出してください。

【厳守事項】
- 審査官が箇所を指定していない場合は「指定なし」と書き、
  引用文献の中から自分で対応箇所を探さないでください。
- 期限の日付を計算しないでください。記載された文の引用だけを示してください。
- 拒絶理由を解消できるか、登録できるかの見込みを書かないでください。
- 反論や補正の案を書かないでください。
  代理人が書いた見解は、代理人の所見として引用してください。

2回目(検討表への整形)の指示です。

下の【抜き出し結果】を、日本語の検討表の形式に整えてください。

【厳守事項】
- クレームの用語は【用語集】の訳語を必ず使い、言い換えないでください。
- 用語集にない用語は、仮の訳を付けて unknown_terms に列挙してください。
- 引用文は書き換えず quote に入れ、訳は translation に分けてください。
- 要旨は抜き出し結果に書かれた範囲だけで書き、推測を足さないでください。
- 対応方針、反論の案、登録の見込みを書く欄は作らないでください。
- 期限は日付を書かず、ページ番号と引用文だけを入れてください。

【用語集(英語 → 日本語明細書での呼び方)】{glossary}
【審査中クレームの対訳】{claims_parallel}
【抜き出し結果(引用文とページ番号付き)】{extraction}

「代理人の見解は代理人の所見として引用する」の1行が重要です。 反論をすべて禁止すると、反論の方向性を含む代理人の所見まで消えます。出どころを分けることで、その反論を誰が書いたのかが分かる状態にします。

Step7

出力形式を固定する

{
  "case_ref": "",
  "office": "US | EP | CN | KR | other",
  "deadline_mentions": [
    { "source": "agent_letter | office_action", "page": 0, "quote": "" }
  ],
  "rejections": [
    {
      "legal_basis": "",
      "claims": [],
      "references": [
        { "ref_id": "D1", "designated_parts": "", "quote": "", "page": 0 }
      ],
      "element_mapping": [
        { "claim_element_ja": "", "examiner_says_ja": "", "quote": "", "page": 0 }
      ],
      "summary_ja": "",
      "agent_comment_ja": "",
      "agent_comment_quote": ""
    }
  ],
  "unknown_terms": [ { "term_en": "", "provisional_ja": "" } ],
  "needs_review": []
}

legal_basis には「35 U.S.C. 103」のように通知の表記をそのまま、page には1回目の Citations が返したページ番号を入れます。「対応方針」「見込み」の欄を作らないことが安全装置です。 欄があれば、AIは何かを書きます。JSONにするのは、検討表の列へ流し込み、項目ごとに検査するためです。

Step8

システムへ連携する

検討表: JSONを検討表のテンプレートに流し込み、案件フォルダに保存します。この部分は利用環境に応じた個別実装が必要です。

機械チェック: 保存の前に、AIではなく文字列の照合で確かめます。

確かめること方法
訳語英文クレームに出る用語集の語について、対応する日本語が訳文にあるか
反論・見込みの表現「登録できる」「解消できる」「補正案」などの語がないか。あれば差し戻す
日付の混入deadline_mentions 以外の欄に日付の形の文字列がないか
引用の欠けquote が空、または page が0の行がないか

通知: Send an email (V2) で担当者にリンクを送ります。発明者や代理人へは自動で送らず、期限にも書き込みません。

Step9

人が確認する

全件、担当者が原文で確認します。運用が安定しても省略しません。 訳語1語の違いで構成要素と引用文献の対応の読み方が変わり、それが補正の範囲に響くためです。確認を速くするため、次を用意します。

  • 検討表の各行から、PDFの該当ページを開けるようにする
  • unknown_terms と機械チェックで引っかかった欄を先頭にまとめる
  • 期限は、報告レターの引用文と特許管理システムの登録値を並べ、一致を人が確かめる

期限をAIに計算させないのは、通知の日付だけで決まらないためです。 米国では本案の通知への応答期間は3か月ですが、手数料を払えば延長でき、法定の上限は6か月です。延長するかは社内の判断で、PDFには書かれていません。正本は代理人の報告と特許管理システムです。

Step10

例外に対処する

起きること対応
通知がスキャン画像で文字が取れないCitations で引用できない。自動の抽出を止め、担当者へ回す
審査官が該当箇所を指定していない「指定なし」と表示し、AIに探させない
引用文献が添付されていない引用文献の欄を「未入手」とする。人が置いたら再実行する
用語集にない用語が出たunknown_terms に入れて人へ回す。仮の訳で確定させない
対訳が前回の補正に追いついていないクレームの文言が合わないため、止めて人へ回す
報告レターと通知で期限の記載が食い違う両方の引用を並べる。どちらが正しいかをAIに判断させず、代理人に確認する
反論や見込みの表現が入った差し戻して再生成する。2回続けば、その欄は人が書く
電子署名付きメールで添付が正しく取れない人が保存して処理を始める
Step11

記録を残す

  • 受信メールと添付PDFの原本
  • 1回目の引用文とページ番号、2回目のJSON、使った用語集の版
  • 機械チェックの結果
  • 担当者が直した訳語と要旨の、直す前と後

直された訳語の記録が資産です。 毎回直される語は、担当者の承認後に用語集へ足します。決まった方針は仕組みの外に残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:PDFと用語集を生成AIの画面に渡し、結果を人が検討表に貼る / 翻訳と整理のみ
半自動化:報告メールの受信 → 添付の保存 → 引用付きの抜き出しと検討表の下書き → 機械チェック → 担当者へ通知 / 期限登録、確認、方針判断以外
本格構成:上記+案件情報との自動照合+同じ発明の他国の検討表の参照+承認済み訳語の用語集への反映 / 上記に加えて案件特定と用語集の更新

この用途では半自動化を推します。 引用を担保する Citations は API の機能だからです。最小構成では貼り付けと転記も残り、1件あたりの時間は第10章の70分より長くなります。 本格構成の価値は、同じ発明の他国の検討表を参照できることです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
180 分
1件あたり導入後時間
70 分
現在  40件 × 180分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 40件 × 70分 ÷ 60 = 46.7 時間/月
月間削減時間
73.3h
削減率
61%
年間削減時間
880h
年間金額換算(時間単価4,000円)
352万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 外国出願が多く、米国・欧州・中国などの拒絶理由通知が月20件以上届く製造業の知財部、または特許事務所の外国部。出願時の日本語明細書と英文クレームの対訳が案件ごとに保管されていること。応答期限を管理する仕組みが別にあること。
向いていない
  1. 外国の拒絶理由通知が年に数件の場合。クレームの対訳が残っておらず、訳語の正本を用意できない場合。未公開の発明情報を外部のAIサービスへ送ることが、社内規程や顧客との契約で認められていない場合。届く通知の大半が文字を取り出せないスキャン画像の場合。

07最小構成で試す方法

  1. 応答済みで出願が公開されている過去の案件から、通知を5件選ぶ(引用文献が3件以上の案件を含める)
  2. 各案件のクレーム対訳から、用語集を20〜30語作る
  3. 生成AIのチャット画面にPDFを添付し、用語集を貼って、第7章の2つの指示を続けて与える
  4. 当時の検討表と並べ、引用箇所・訳語・要旨を比べる

応答済みで公開済みの案件を使うのが要点です。 答え合わせができ、未公開の情報も出さずに済みます。

結果判断
引用箇所が原文と合い、訳語が用語集どおり半自動化へ進めてよい
引用箇所は合うが訳語が揺れる直された語を用語集に足して測り直す
引用に原文にない文やずれたページが混ざるAPI の Citations を使う形で測り直す
要旨に見込みの表現が入る厳守事項と出力の欄を見直す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
訳語が明細書の呼び方と揃わない発明ごとの用語集を同梱し、訳文を照合する
引用に原文にない文が混ざるCitations を使い、引用は API が返した cited_text だけにする
AIが引用文献から対応箇所を探してくる審査官の指定から取らせ、なければ「指定なし」にする
要旨に「登録できる」などの見込みが入る見込みの欄を作らず、語の検出で差し戻す
AIが期限の日付を書く期限は引用文とページ番号だけにする
引用文献が多くリクエストの上限を超える文献ごとに呼び出しを分ける。Files API で渡す
国ごとに用語集を分けて訳語がずれる同じ発明で1つの用語集を共有する

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 審査中のクレーム、拒絶理由通知、代理人の所見、発明者名。出願が公開前の場合があり、代理人の所見は権利範囲の弱い点に触れる社外秘の情報です。

  1. 外部AIへの入力可否 … 公開前の出願と代理人の所見を送ってよいかを情報管理規程で確認します。判断がつくまでは公開済みの案件だけを対象にします
  2. 特許事務所の場合 … 顧客から預かった情報です。外部のAIサービスで処理してよいかを顧客ごとに取り決めます
  3. 学習利用と保存 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  4. アクセス権限 … 案件フォルダと検討表を、その案件の担当者に限定します
  5. 自動実行してよい範囲 … 下書きまでです。期限を書き換えない、代理人や発明者へ自動で送らない。 運用が安定しても変えません

誤りのリスクは、期限の見落とし、訳語の取り違えによる補正範囲の誤り、未公開情報の流出です。期限は仕組みの外で、訳語は全件の原文確認で、流出は対象案件を絞ることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:過去の案件5件で試す

応答済みで公開済みの案件5件で、第8章の検証を行います。この結果で導入可否が決まります。 引用箇所が原文と合い、訳語が用語集どおりなら進めます。

2週目:用語集の形を決める

発明ごとに1つ、米国・欧州・中国で共有する形にします。項目は「英語の用語/明細書での呼び方/段落番号/登録者」で足ります。訳語を変えてよい人もここで決めます。

3〜4週目:米国の案件だけで半自動化を作る

件数の多い米国の案件に絞り、受信から下書きまでを作ります。担当者1名が2週間使い、180分が何分になるかを実測します。

2か月目以降: 欧州と中国へ広げます。公開前の案件を扱ってよいかは、情報管理の担当と決めてください。特許事務所の場合は、顧客との取り決めが先です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-14/最終更新:2026-09-14
確認した内容情報源確認日
PDFを URL・base64・file_id で渡せること。1リクエスト最大600ページ(コンテキストウィンドウ100万トークン未満は100ページ)・32MBで、他の内容を含む上限であること。各ページを画像とテキストで処理し、テキストは1ページ通常1,500〜3,000トークンであることClaude Docs: PDF support2026-09-14
cited_text が文書から直接取り出され有効な箇所を指すこと。PDFの引用にページ番号が付くこと。文字のないスキャンPDFは引用できないこと。structured outputs と併用すると400エラーになることClaude Docs: Citations2026-09-14
「When a new email arrives (V3)」で Folder・From・Subject Filter 等を条件にでき、フロー内で判定すると対象外でも実行回数に数えられることMicrosoft Learn: Trigger a cloud flow based on email properties2026-09-14
Include Attachments を Yes にするとタイムアウトし得るため、No にして Get Attachment (V2)(Content Bytes を返す)で取得する回避策。電子署名付きメールで添付が正しくないことがあること。Send an email (V2) があることMicrosoft Learn: Office 365 Outlook connector2026-09-14
プレミアムの HTTP コネクタで、専用コネクタのないサービスへ GET・POST 等で接続できることMicrosoft Learn: HTTP connectors(Introduction)2026-09-14
用語集を glossary_id で翻訳に使えること。v3 が複数の言語の組を持てること。日本語・英語・中国語で作成できること。翻訳元の言語の自動判定と併用できないことDeepL API Documentation: Glossaries2026-09-14
先行技術による拒絶が35 U.S.C. 102・103に基づくこと。37 CFR 1.104(c)(2) で、依拠した部分をできる限り特定し、拒絶したクレームを明示すると定めることUSPTO: MPEP 7062026-09-14
審査官が短縮した応答期間を設定し、本案の通知への応答は3か月であること。37 CFR 1.136(a) で手数料を払って延長できること。35 U.S.C. 133 の法定上限が6か月であることUSPTO: MPEP 7102026-09-14

欧州・中国・韓国の特許庁の応答期間と延長の扱いは確認していません。期限は各国代理人の報告と自社の期限管理を正本にしてください。 検討表への流し込みと特許管理システムとの連携は、利用環境に応じた個別実装が必要です。 対応方針と補正の内容は、弁理士・現地代理人と検討してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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