HubSpotのAI学習を止めるべき?|顧客データを渡す前の判断

「HubSpotのAI学習を止めたら、便利な機能まで使えなくなるのでは」「止めておけば、これまでのデータも学習から消えるはず」。顧客管理を預かるマーケの責任者や情シスから、こうした声をよく聞きます。どちらも、止めるかどうかを真剣に考えているからこそ出てくる心配です。ただ、公式のヘルプを読むと、どちらも実際の仕組みとは違います。この設定は、AIを使うか使わないかのスイッチではありません。本当は、自社の顧客データを提供元のAIの学習に回すかどうかを、これから先について決めるスイッチです。この記事では、止める・残す・機微データを分ける、の3つの選び方と、決める前に確かめる点を整理します。
カメ先生この設定で動くのは、AIの機能の使える・使えないではなく、預けたデータが提供元のAIの教材になるかどうか、なんだ。だから止めても、画面のAIの機能はそのまま残るんだよ。
カメ子そうなると、止めるほうが得に聞こえます。残す理由なんてあるんでしょうか。
カメ先生残すと、自社の中だけで学ぶ予測のような仕組みに材料が入り続ける。一方で、顧客から預かった情報を提供元の教材に回すことになる。どちらを重く見るかは、データの中身と、顧客に何を約束しているかで変わるんだ。
カメ子つまり、スイッチの前に、自社のデータの中身と約束を確かめる順番なんですね。
- HubSpotのAIモデルの学習の設定は既定でオン。変えられるのはスーパー管理者だけで、止めてもAI機能は使える
- 止めた効果はこれから先にだけ及ぶ。学習済みのモデルから、過去に使われたデータは消せない
- 選び方は止める・残す・機微データを分けるの3つ。決めるのは人で、個人情報の方針に書き足すかは法務と確かめる
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誤解:止めるとAIの機能が使えなくなる
最初に、いちばん多い誤解から正しておきます。HubSpotの公式ヘルプには、AIモデルの学習を止めても、AI機能を使えなくなるわけではない、とはっきり書かれています。止めることと、AIの機能を使わないことは別の話です。文章の下書きや要約といった画面のAIの機能は、止めたあともそのまま使えます。
利用規約の本文にも、同じ趣旨の一文があります。確かめた時点(2026年9月16日の最終改定の版)の規約では、学習を止めてもAI機能の利用は妨げられない、と念を押す書き方になっています。つまり、止めるかどうかの判断で、機能を失う不利益を大きく見積もる必要はありません。ヘルプと規約の両方に同じ趣旨が書かれているので、社内で説明するときは、2つの出典を並べて示すと納得を得やすくなります。
もう一つの誤解は、止めればこれまでのデータも学習から外れる、というものです。こちらも公式ヘルプが否定しています。学習済みのモデルから、過去に使われたデータを消すことはできず、止めた効果はこれから先にだけ及ぶと書かれています。止める判断が遅れるほど、学習に回った期間が長くなる、ということです。
この2つの誤解がそろうと、判断がねじれます。機能を失うのが怖いから残す、残しても後で止めれば消える、という考え方です。実際は逆で、止めても機能は残り、後で止めても過去は戻りません。判断の軸は、機能の損得ではなく、顧客データを提供元の教材に回してよいかに置き直します。
HubSpotのAI学習の設定とは:2種類のモデル
公式ヘルプによると、HubSpotが顧客のデータで学習させるモデルには2つの種類があります。1つは、そのアカウントのデータだけで学ぶモデルです。例として営業の見込みの予測が挙げられており、自社の過去の商談から、自社向けの予測を作る使い方です。自社の業務に直接返ってくるのは、主にこちらのモデルです。止めたときの影響を気にするなら、まずこちらを使っているかどうかを確かめます。
もう1つは、多くの顧客のアカウントのデータをまとめて学ぶモデルです。例として迷惑メールの検出が挙がっています。多くの会社のメールの傾向を学ぶことで、仕組み全体の精度を上げる使い方です。設定が1つでも、中で動いているモデルの性格は2種類あることを押さえておきます。
ヘルプは、どちらの場合も、自社の事業のデータが他の顧客に共有されることはない、と説明しています。多くの会社のデータで学ぶといっても、他社の画面に自社の顧客名が出てくるという意味ではありません。ただし、教材として使われること自体は、共有されないことと別の話です。この区別が、あとで選び方を考えるときの土台になります。共有されないから問題ない、とすぐに結論を出さないことが大切です。
外部のAIの提供元との関係にも触れられています。HubSpotは、外部のAIの提供元に顧客データを学習に使うことを許しておらず、可能な限りデータを保持させない取り決めにしている、とされています。この設定で動くのは、HubSpot自身のモデルの学習だと読むのが正確です。
既定はオン、変えられるのはスーパー管理者だけ
公式ヘルプでは、AIモデルの学習は既定でオンです。何もしなければ、顧客データは学習に回る状態で使い続けることになります。導入した日から、誰も判断しないまま学習に回っているというのが、多くのアカウントで起きていることです。
設定を変えられるのは、スーパー管理者の権限を持つ人だけです。場所は、設定の画面からアカウントの管理、AIの項目へと進み、アクセスのタブにある、AIモデルの学習の切り替えです。マーケの担当者が気づいても、スーパー管理者でなければ自分では変えられません。
このため、まず確かめるのは、自社でスーパー管理者の権限を持っているのが誰か、です。導入を支援した外部の会社の担当者や、すでに異動した人が持ったまま、ということもあります。変えられる人が誰か分からない状態では、止めると決めても実行できません。
例外として、機微データの設定をオンにしているアカウントは、既定で学習の対象外になっています。これは後の選択肢3で詳しく扱いますが、該当するかどうかは、スーパー管理者がセキュリティの設定を見れば分かります。まず自社の現状が、オンなのか、対象外なのかを確かめることから始めます。複数のアカウントを持つ会社では、アカウントごとに状態が違うことがあるので、すべてのアカウントを一覧にして1つずつ確かめます。
規約にはどう書かれているか
ヘルプの説明の元になっているのが、顧客向けの利用規約です。確かめた時点の版(最終改定は2026年9月16日)では、顧客データをAI機能の開発や改善に使うこと、AIモデルの学習に使うことがある、と書かれています。あわせて、アカウントの設定を変えれば、学習に使うのを止められるとも書かれています。ここでいう顧客データは、規約の中で意味が決められた言葉です。自社のどのデータがそれに当たるかは、定義の条文を読んで確かめます。
止めたあとの扱いも規約にあります。止めた場合、再びオンにしない限り、学習のために顧客データを集めることはしない、という書き方です。規約は将来の収集を止める約束で、過去の学習を取り消す約束ではありません。ヘルプの説明と読み合わせると、この点が一致しています。
学習の条項とは別に、読み落としやすい条項があります。サイトに埋め込む計測のタグで集めるデータについて、接続元の番号などの識別子を含むことがあり、HubSpotが自社のデータセットやサービスの改善などに使う、という条項です。この計測タグのデータが、学習の設定で止まる範囲に入るかは、確かめた資料には書かれていません。
規約は改定されます。日付の書かれた版で読み、読んだ日と版を記録しておきます。改定に気づく仕組みの作り方そのものは、規約の改定に備える一般論の記事に譲ります。ここでは、学習の条項と計測タグの条項の2か所を、自社の判断の材料として押さえておけば十分です。
止めても、過去に学習した分は消えない
公式ヘルプの中で、判断にいちばん効くのがこの一文です。止めても、学習済みのモデルから過去のデータは消せず、止めた効果はこれから先にだけ及びます。いつ止めるかで、学習に回る期間の長さが決まるということです。
たとえば、導入から3年たったアカウントで今日止めた場合、その3年間に学習へ回ったデータは、モデルの中に残ります。今日から先の顧客データだけが、新たに学習に回らなくなります。止めるか迷っている間も、既定のオンのまま、学習は続いています。
このため、「いったん様子を見る」は、残すという判断と同じ効果を持つことを、関係者に伝えておきます。結論が出るまでの期間が長くなりそうなら、まず止めておき、結論が出たら残すか止めるかを決め直す、という順番も選べます。止めても機能は使えるので、この順番の不利益は小さくて済みます。
過去の分については、止めても取り戻せない以上、顧客に何かを約束する文面を作るときには注意が要ります。「当社の顧客データはAIの学習に使われていません」と書けるのは、導入の時点から止めていた場合だけです。途中で止めたなら、いつから止めたかを正確に書くようにします。
止めたときに効かなくなるもの
判断の材料として、止めたときに何が変わり、何が変わらないかを1枚にまとめます。公式ヘルプと規約で確かめられた範囲だけを書き、書かれていないことは「記載なし」としています。
| 項目 | 止めたとき | 根拠 |
|---|---|---|
| 画面のAIの機能 | 使える(止めても制限されない) | 公式ヘルプ・規約 |
| これから先の学習への収集 | 止まる(再びオンにするまで) | 規約 |
| 過去に学習へ回ったデータ | モデルから消えない | 公式ヘルプ |
| 他の顧客への自社データの共有 | 設定に関係なく共有されない | 公式ヘルプ |
| 外部のAIの提供元による学習 | 設定に関係なく許していない | 公式ヘルプ |
| 自社の中だけで学ぶ予測の精度 | 変わるかどうか記載なし | ― |
| 計測タグで集めるデータの扱い | この設定の範囲か記載なし(別の条項) | 規約 |
表で分かるとおり、止めて効かなくなるものとして公式が挙げているのは、実質的に、これから先の学習への収集だけです。止めた損がはっきり書かれていないことは、止める判断を後押しする材料になります。
一方で、記載のない行が2つあります。自社の中だけで学ぶ予測の仕組みが、止めたあとに精度を落とすかどうかは、公式の資料からは読み取れません。予測を業務で使っているなら、止める前後で予測の当たり方を記録し、変化があるかを自分たちで見ておくのが確実です。
計測タグの行は、学習の設定とは別の条項で動いています。サイトの訪問者のデータをどう扱っているかを顧客に説明する立場なら、この行は法務と一緒に規約の条項を読んで確かめる項目にします。
選択肢1:止める
1つ目の選択肢は、学習の設定を止めることです。向いているのは、顧客から預かった情報を、提供元の教材に回さないと約束している、あるいは約束すべき立場にある会社です。取引先との秘密保持の取り決めで、第三者の利用を広く禁じている場合も、止める側に寄ります。
止める場合の利点は、判断の説明がしやすいことです。顧客や取引先から「AIの学習に使われていないか」と聞かれたとき、いつから止めているかを答えられます。止めてもAI機能は使えるので、現場の業務への影響も小さく済みます。
注意点は、過去の分が残ることと、自社の中だけで学ぶ予測への影響が分からないことです。予測の仕組みを営業の会議で使っているなら、止める前に営業の責任者に知らせ、しばらく予測の当たり方を見てもらいます。止める前の3か月と後の3か月で、予測と実績のずれを並べておけば、変化があったかどうかを感覚ではなく記録で話せます。
止めたら、その日付と、止めたスーパー管理者の名前、判断の理由を記録します。記録がないと、1年後に誰かが「なぜ止まっているのか」と戻してしまうことがあります。設定の画面は誰でも見られるわけではないので、社内の台帳に残しておくことが大切です。
選択肢2:残す
2つ目は、既定のオンのまま残すことです。残すなら、それを「何もしなかった」ではなく、「判断して残した」にすることが大切です。残す理由を文章にできないなら、それは判断ではなく放置です。
残す理由になりうるのは、たとえば、顧客データの中身が会社の名前と担当者の連絡先、商談の段階程度で、預かった機密を入れていない場合です。あるいは、顧客への約束の中で、提供元のサービスの改善に使うことを明示している場合です。こうした条件がそろうなら、残す判断にも筋が通ります。自社の中だけで学ぶ予測を業務の中心に置いていて、その材料を止めたくない、という事情も理由になりえますが、その場合も顧客への約束と矛盾しないかを先に確かめます。
残す場合は、データを入れる側の決まりを強めます。メモの欄や添付に、取引先から預かった資料や、契約の条件を書き込まないといった決まりです。学習に回る中身そのものを軽くしておけば、残す判断の重さも軽くなります。
残した判断にも見直しの時期を決めます。規約が改定されたとき、機微な情報を扱う事業を始めたとき、顧客から学習について問い合わせがあったとき、の3つを見直しのきっかけにして、そのたびに止めるかどうかを決め直します。
選択肢3:機微データを分ける
3つ目は、機微データの設定を使う道です。公式ヘルプによると、機微データの設定をオンにしたアカウントは、既定で学習の対象外になり、設定が有効な間は学習に参加できません。健康に関わる情報のように、特に慎重に扱うべき情報を持つ会社向けの仕組みです。
ただし、条件があります。確かめた時点(2026年9月7日更新)のヘルプでは、機微データの設定を使えるのはエンタープライズの版だけです。オンにできるのはスーパー管理者で、セキュリティの設定の中の機微データのタブから、関連する規約に同意したうえで有効にします。下位の版では、この道はそもそも選べません。
もう一つの条件は、使える道具が減ることです。機微データの項目は、チャットの自動応答や差し込みの文字、試験用の環境など、いくつかの道具で使えないとされています。さらに扱いの厳しい区分の項目は、値を見る・直す、フォームで受け取る、添付するといった場面に限られます。
このため、機微データの設定は、学習を止めるための近道として選ぶものではありません。もともと機微な情報を扱っていて、その保護のために使う仕組みで、学習の対象外になるのはその結果です。学習を止めたいだけなら、選択肢1のほうが負担は小さく済みます。
3つを分けるのは、顧客データの中身
3つのどれを選ぶかは、HubSpotに入っている顧客データの中身で決まります。判断の前に、どの欄に何が入っているかを棚卸しすることが先です。会社の名前と担当者の連絡先だけなのか、商談のメモに取引先の内情まで書いているのか、で結論が変わります。
棚卸しでは、標準の項目より、自由に書ける欄を重点的に見ます。商談のメモ、活動の記録、問い合わせの本文、添付のファイルです。ここには、担当者が善意で書き込んだ取引先の予算や社内の事情、個人の事情が混ざっていることがあります。数十件を抜き出して読むだけでも、傾向はつかめます。直近の半年分から、担当者ごとに数件ずつ選ぶと、書き方の癖の偏りも見えてきます。読むのは人で、抜き出す作業だけを仕組みに任せると、見落としが減ります。
目安としては、連絡先と段階の情報が中心なら残すことも選べる、取引先の内情が日常的に書かれているなら止める、健康や信用に関わる情報を扱うなら機微データの設定を検討する、という分け方になります。迷ったら止める側に倒すのが無難です。止めても機能は使え、後から残す側に戻すこともできるからです。
棚卸しの結果は、判断の記録に添えて残します。どの欄を何件読み、何が混ざっていたか、という事実があれば、後で判断を見直す人が同じ作業を繰り返さずに済みます。混ざっていた情報のうち、そもそも顧客管理に書くべきでないものが見つかったら、学習の判断とは別に、書き方の決まりを直す材料にもします。
決める前に集める材料
止めるか残すかは、一人で決めるものではありません。材料を持つ人が部署ごとに分かれているからです。集める材料は4つ、持っている人もそれぞれ違います。誰か一人が全部を集めようとすると、部署の外の事情を想像で埋めることになり、判断の根拠が弱くなります。
1つ目は、いまの設定の状態と、スーパー管理者が誰かです。これは情シスか、HubSpotの管理を担当している人が持っています。2つ目は、顧客データの中身の棚卸しの結果で、これは使っているマーケと営業の担当者が持っています。
3つ目は、顧客や取引先に何を約束しているかです。秘密保持の取り決め、個人情報の方針、営業の資料に書いたデータの扱いの説明などで、法務や営業の責任者が持っています。4つ目は、自社の中だけで学ぶ予測の仕組みをどれだけ使っているかで、営業の責任者が知っています。
4つがそろったら、マーケの責任者と情シスで結論を出し、法務に確かめてから、スーパー管理者が設定を変えます。材料が1つでも欠けたまま結論を出さないと決めておくと、後から「知らなかった」が起きにくくなります。材料の一部を待つ間は、止めておく順番を選べることも思い出してください。
法務に確かめる点
学習の設定を決めるときに、法令の細目まで自分たちで判断する必要はありません。ただ、法務に何を聞けばよいかは、マーケの側で整理して持ち込むと話が早くなります。聞く点は3つに絞れます。
1つ目は、自社の個人情報の方針に書いた利用の目的の中に、提供元のサービスの改善のための利用が入るかどうかです。残す判断をするなら、ここが入っていないと説明がつきません。書き足すかどうか、書き足すならどう書くかは、法務と決めます。
2つ目は、提供元に預けたデータが学習に使われることが、取引先との秘密保持の取り決めに反しないかです。主要な取引先の取り決めを並べ、第三者の利用をどう定めているかを確かめてもらいます。3つ目は、途中で止めた場合に、過去の分について顧客に何か伝える必要があるかです。
法務に渡すときは、公式ヘルプの該当の一文と、規約の版と日付を添えます。「止めても過去の分は消えない」という一文は必ず渡すようにします。この一文を知らないと、止めれば解決すると受け取られてしまうからです。公表の書き方そのものは、個人情報の公表を扱った記事で整理しています。
設定を変える手順と記録の残し方
結論が出たら、次の順番で設定を変え、記録を残します。止める場合を例にしますが、残す場合も記録の手順は同じです。
権限を持つ人を一覧にし、変更を実行する人を1人決めます。外部の会社の担当者が持っている場合は、自社の人が実行します。
設定の画面のAIの項目のアクセスのタブを開き、学習の切り替えの状態と、確かめた日付を台帳に書きます。
切り替えを変え、画面を開き直して反映されたことを確かめます。AI機能が使えることも、担当者に1つ試してもらいます。
日付、実行した人、判断の理由、棚卸しの結果、法務の確認の結論を1つの記録にまとめます。
営業とマーケの責任者に、変えた日付と、止めても機能は使えることを伝えます。現場から問い合わせが来たときに答えられるよう、短い案内の文も添えます。予測を使っている部署には、当たり方を見てもらうよう頼みます。
記録は、規約の版と一緒に残すのが大切です。どの版の規約を読んで判断したかが分かれば、改定があったときに、どこが変わったかだけを読み直せます。
変更の後、3か月ほどたったら、設定が変わっていないかをもう一度確かめます。管理者が交代したり、支援の会社が設定を触ったりして、戻っていることがあるからです。確かめた日付も台帳に足しておきます。管理者が替わるときの引き継ぎの項目にも、この設定を1行加えておきます。
止めたあとで、残す側に戻すと決めることもあります。規約では、設定をオンに戻せば、学習のための収集が再び始まる書き方になっています。戻すときも、止めたときと同じ記録を残します。戻した日付が分からないと、どの期間のデータが学習に回ったのかを後から説明できなくなります。戻す判断にも、棚卸しと法務の確認をもう一度通します。
AIに判断させない:人が決める範囲
規約やヘルプの読み込みに、AIを使いたくなる場面もあります。英語の長い規約を要約させたり、該当する条項を探させたりする使い方です。使ってよいのは、条項の場所を探す下書きと、要約の下書きまでです。
止めるか残すかの判断は、AIに判断させない範囲に置きます。判断には、自社の顧客データの中身、顧客への約束、取引先との取り決めといった、AIが知らない事情が効くからです。AIが「止めるべきです」と答えても、それは材料の一つにすぎません。
AIに要約させるときは、根拠を書かせます。「要約の各文について、元の規約のどの条項に書かれているかを添えて」と頼み、人が元の条項で確かめます。とくに、止めても過去の分は消えない、止めてもAI機能は使える、の2点は、要約で落ちたり言い換えられたりしやすいので、原文で確かめます。
人が確認する範囲を先に決めておくと、作業が早くなります。規約の学習の条項と計測タグの条項、公式ヘルプの学習の説明、機微データのヘルプの対象の版、の4か所は人が原文で読む、と決めておけば、残りの長い部分はAIの下書きに任せられます。
やりがちな失敗
HubSpotの学習の設定で起きやすい失敗を並べます。どれも、既定のオンと、止めた効果が過去に及ばないことを知らないところから始まります。
- 止めるとAI機能が使えなくなると思い込み、検討しないまま既定のオンで使い続ける
- 「いずれ止めればよい」と先送りし、その間に学習に回る期間が延びる
- 途中で止めたのに、顧客向けの文面に「学習には使っていない」と書く
- 学習を止めたいだけなのに、機微データの設定を選び、使える道具が減って現場が困る
- 止めた記録を残さず、管理者の交代の後に誰かが元に戻す
1つ目と2つ目は、同じ結果を生みます。検討しない間も、先送りしている間も、学習は既定のオンで続いています。迷っているなら、まず止めて、結論が出たら決め直す順番のほうが、失うものは少なく済みます。止めること自体は、スーパー管理者が切り替えを1つ変えるだけの作業です。
3つ目は、顧客との信頼に関わります。途中で止めた場合に書けるのは、いつから止めているかという事実だけです。文面を作るときは、判断の記録の日付を見て書くようにし、記録がなければ書かない、と決めておきます。
4つ目と5つ目は、仕組みを知っている人ほど起こしやすい失敗です。機微データの設定は、エンタープライズの版で機微な情報を守るための仕組みで、学習を止めるためだけに使うと、自動応答や差し込みの文字が使えなくなって現場が困ります。学習を止めるだけなら、学習の切り替えを止めるのが最短です。記録を残すことも、管理者が替わる前に済ませておきます。
- この記事の内容は、2026年9月に確かめた公式ヘルプ(学習の説明は7月10日更新、機微データは9月7日更新)と、9月16日改定の規約に基づきます
- 設定の場所や対象の版は変わることがあります。変更の前に、自社の画面と最新のヘルプで確かめてください
- 個人情報の方針への記載や取引先との取り決めの解釈は、自社の法務に確かめてください
まとめ
HubSpotのAIモデルの学習の設定は既定でオンで、変えられるのはスーパー管理者だけです。止めてもAI機能は使えますが、学習済みのモデルから過去のデータは消えず、止めた効果はこれから先にだけ及びます。選び方は、止める・残す・機微データを分けるの3つで、どれを選ぶかは顧客データの中身と顧客への約束で決まります。機微データの設定はエンタープライズの版だけで、使える道具も減ります。材料を部署ごとに集め、法務に確かめてから、日付と規約の版を添えて記録を残しましょう。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
